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河川 の公益 的機 能評価 に関す る考察(1)

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河川 の公益 的機 能評価 に関す る考察(1)

山 本 充

は じ め に

河 川 事 業 で は,こ れ ま で安 全 確 保(治 水)を 主 軸 に水 資 源 の 有 効 利 用 を 図 る 利 水 の展 開,河 川 空 間 の多 目的 利 用 を図 る親 水 性 の 整 備 な ど を推 進 して きた が, 最 近 で は これ らに 加 え,水 辺 の 自然 環 境 の 保 全 ・再 生,自 然 との 共 生 を 目指 し

た河 川 事 業 の展 開 が 推 進 され て い る。 この よ うな新 た な方 向性 を加 え た河 川 事 業 を効 果 的 に実 施 す る に は,河 川 の公 益 的 機 能 を 適 正 に評 価 して お く必 要 が あ る。 本 稿 で は,多 自然 型 河 川 工 法(ま た は 近 自然 河 川 工 法 な ど と も呼 ば れ て い る)な ど に よ り創 出 され る 自然 豊 か な 河 川 環 境 を 中 心 に河 川 の 公 益 的 機 能 を整 理 し,そ の 便 益 評 価 方 法 につ い て 考 察 す る。

1多 自然 型 河 川 工 法 につ い て

日本 の 河 川 改 修 工 事 は,河 川 の 洪 水 流 下 能 力 を最 大 限 に高 め,維 持 管 理 の 労 力 と費 用 を最 小 限 に しよ う とす る もの で あ っ た。 しか し,近 年 「 河 川 が 本 来 も っ て い る生 物 の 良 好 な生 息 環 境 に配 慮 し,あ わせ て 美 しい 自然 景 観 を保 全 あ る い は創 出 す る」 とい う河 川 改 修 の 考 え 方 が 登 場 して きた 。 そ の 考 え に基 づ く工 法 が 「 近 自然 河 川 工 法 」 あ るい は 「 多 自然 型 河 川 工 法 」 と呼 ば れ る もの で,ド

イ ツ な どで 先 行 して 実 施 され て い る 。

多 自然 型 河 川 工 法 を実 施 す る に あ た っ て 問 題 と な る主 な 点 と して は,次 の3 つ が 考 え られ る 。

〔131〕

(2)

ヱ32 商 学 討 究 第50巻 第1号

第 一 に は,治 水 との 矛 盾 を ど う調 整 す るか で あ る 。 生 物 の生 育 に良 好 な 河 川 環 境 は,基 本 的 に 蛇 行 して い て,瀬 が あ り淵 が あ り,樹 木 が 多 い 環 境 で あ る の で,洪 水 の流 下 に と っ て は マ イナ ス で あ る。 こ の よ う な こ とか ら,現 在 の 治 水 事 業(砂 防 を含 む)で は安 全 性 が 確 実 に 保 証 さ れ る場 合 の み,実 施 可 能 とい う こ とで,多 自然 型 河 川 工 法 の 適 用 に は 限 界 が み られ る 。

第 二 に,そ れ ぞ れ の河 川 の 地 域 に よ っ て異 な る 自然 条 件 に 依 存 せ ざ る を えず, 画 一 的 な工 法 が な い とい う こ とで あ る 。 す な わ ち,河 川 の 地 域 性 ・個 別 性 へ の 配 慮 が 必 要 で あ り,技 術 者 に と っ て 自然 の 条 件 や 性 質 を見 抜 く力 量 が 最 も問 わ れ る。 この 点 を解 決 す る に は,多 自然 型 河 川 工 法 の 適 用 に際 して流 域 住 民 に 計 画 の方 向 性 を周 知 し,そ の地 域 の 自然 環 境 を最 も熟 知 して い る人 々 の 意 見 を 十 分 に取 り入 れ る こ とが 肝 要 で あ る。

第 三 に は,竣 工 後 の 維 持 管 理 の 問 題 で あ る。 自然 とい う も の は 時 間 と と もに 変 化 す る もの で あ り,長 期 に わ た る維 持 管 理 を無 視 した 多 自然 型 河 川 工 法 は あ りえ な い 。 したが っ て,そ の適 用 に 当 た っ て は竣 工 後 の 維 持 管 理 に 関 す る配 慮 を十 分 取 り込 ん だ計 画 が 必 要 で あ る。

多 自然 型 河 川 工 法 に は 画 一 的 な 工 法 が 無 い た め,施 工 事 例 を 中心 に護 岸 ・水 制 ・落 差 工 の 工 種 ご と に整 理 を行 う と次 の よ う に な る 。

(1)護 岸

護 岸 の 工 法 は,用 い る材 質等 に よ り大 き く次 の3つ に 分 け られ る。

① 生 物 材 料(植 物)に よる 工 法

② 混 合 材 料(植 物 と木 ま た は石 材 の 併 用)に よ る 工 法

③ 堅 固 な材 料(木 材,石 材,コ ンク リー ト)に よる 工 法

① 生 物 材 料(植 物)に よ る工 法

植 生 を用 い る 護 岸 工 法 は と くに 「 生 物 学 的 河 川 工 法 」 と呼 ば れ て い る。

用 い られ る植 物 と して は,柳 な どが 多 く,例 え ば編 み 柴 工 法 は柳 の 枝 を束

ね た編 み 柴(そ だ 柴 と もい う)を1本 また は数 本 ま とめ て 川 岸 に横 た え,

杭 で 固 定 して上 を 土 砂 で軽 く覆 う方 法 で,柳 が 数 週 間 で 根 を張 り土 を しっ

か り抱 き込 ん で 川 岸 を 固 定 す る も の で あ る。 柳 の繁 茂 に よ り,水 草 の 異 常

(3)

河川 の公 益的機 能 評価 に関 す る考 察(1) ヱ33 な繁 茂 と水 温 の 上 昇 を抑 え る と と もに,魚 の 休 息 場 所 と もな る 。 また 編 み 垣 植 え工 と い う方 法 で は,河 岸 の り尻 に 列 状 に打 ち 込 ん だ杭 の 問 を柳 の 枝 で 編 む よ う に結 ん で垣 を作 り,背 面 に土 砂 を埋 め戻 す もの で あ る 。

② 混 合 材 料(植 物 と木 ま た は石 材 の併 用)に よ る工 法

代 表 的 な工 法 と して柳 枝 工 と呼 ば れ る もの が あ り,こ れ は柳 の 挿 し木 を 石 の 問 に 差 し込 み,石 の 裏 ま で伸 び た柳 の 根 で 背 後 の 土 砂 を安 定 させ,石

をす っ ぽ り包 み こ ん で 石 ど う し を強 く結 合 させ,一 体 と な っ て 川 岸 の の り 面 を守 る 方 法 で あ る 。 柳 は し なや か な 枝 葉 に よっ て 洪 水 流 を岸 辺 で ゆ る め, 堅 固 な護 岸 の 必 要 性 を 減 じる と と も に,水 生 生 物 の 生 息 場 所 を も提 供 す る 。

③ 堅 固 な材 料(木 材,石 材,コ ン ク リー ト)に よ る工 法

人 家 な どが 河 岸 に接 近 して お り,洪 水 流 の 浸 食 に よ る被 害 が 深 刻 に生 じ る よ う な場 所 な ど で は,石 材 や コ ン ク リー トを用 い た 護 岸 を採 択 せ ざ る を 得 な い 。 こ う し た場 合 で も,人 工 構 造 物 の 強 い 印 象 を和 ら げ る工 夫 が 行 わ れ て い る。 事 例 と して 多 く見 られ る の が石 積 み 護 岸 で あ り,石 積 み の 背 後 は コ ンク リー トで しっ か り と補 強 され て い た り,上 縁 部 に植 栽 す る な ど, 見 え ない と こ ろで 安 全 性 を確 保 し,表 面 上 は 景 観 に 配慮 した もの が 多 い 。

(2)水 制

流 れ の 中 に水 制 を突 き出 して 流 速 を和 らげ る 方 法 で あ る 。 水 制 を用 い る こ とに よ り,水 制 と水 制 の 問 の 川 岸 は よ りソ フ トな護 岸 で 防 護 で きる 可 能 性 が 生 まれ る。 例 え ば,土 砂 で 水 制 を形 作 り,柳 の 編 み 垣 で そ の 周 囲 を 固 定 し, 水 制 上 に も柳 を植 栽 して,河 岸 に流 れ が 近 寄 る の を防 ぐた め 直 角 よ りや や 下 流 向 き に水 制 を設 け て,出 水 時 に は水 制 の背 後 が 緩 流 部 と な り河 岸 が保 護 さ れ る と同 時 に水 生 生 物 の 避 難 場 所 と も な る工 法 や 巨 石 を投 入 し て水 制 を 作 り 流 向 を 河 心 へ 押 し戻 す 機 能 を与 え た り,植 栽 と合 わ せ た水 制 を設 け て い る も

の も見 られ る 。

(4)

134 商 学 討 究 第50巻 第1号 (3)落 差 工

落 差 工 は,河 床 勾 配 を緩 和 し,流 速 を減 少 させ る と と も に,河 床 低 下 を 防 止 して 河 岸 の 浸 食 を和 らげ る た め の 横 断工 作 物 で あ る 。 多 自然 型 河 川 工 法 で は,河 岸 を生 物 材 料 等 の ソ フ トな護 岸 で 守 り,か つ,水 面 幅 を で き る だ け広 くと っ て水 生 生 物 に好 ま しい環 境 を作 り出 す た め に重 要 な役 割 を 果 た す 。 巨 石 を用 い た もの や 自然 石 を用 い た 階 段 状 の もの が 多 く見 られ る。 これ らは魚 類 の 遡 上 を阻 害 せ ず,ば っ気 に よ る水 質 の 自浄 能 力 の 改 善 効 果 も見 られ る。

この よ うな状 況 を み る と,多 自然 型 河 川 工 法 は コ ンク リー ト護 岸 に代 表 さ れ る 近 代 的技 術 が 普 及 す る 以 前 に行 わ れ て い た伝 統 的 な工 法 の 復 活 と もい え る。

こ れ らの 伝 統 的 河 川 工 法 は,施 工 場 所 へ の対 応 性,竣 工 後 の 地 盤 変 化 へ の 順 応 性 な どが 高 く,か つ 川 に棲 む 生 物 へ の 好 影 響 を与 え る こ とな ど ま さ に 多 自然 型 河 川 工 法 そ の もの で あ る 。 天 然 素 材 を用 い た伝 統 的 河 川 工 法 の 施 工 地 点 で は, 多 くの 水 生 生 物 の 生 息 場 所 と な っ て い る ほ か,水 際 に お け る 植 物 の繁 茂 に よ り 陸上 生 物 に とっ て も環 境 の 連 続 性 が確 保 さ れ て お り,生 態 系 へ の効 果 が 大 きい 。 中 で も根 固 め な ど に適 用 され て い る 木 工 沈 床,巨 石 を用 い た 空 石 積 み 護 岸 や 水 制 な ど の施 工 場 所 で は多 くの 魚 類 の 生 息 が 確 認 され て い る 。 これ らの工 法 で は 素 材 間 の 空 隙 の 形 状 が 多 様 で,か つ流 速 の 変 化 も大 きい た め,生 物 の 習性 に応 じた 環 境 の選 択 が 可 能 とな っ て い る 。 つ ま り,流 速 ・水 深 ・河 床 材 料 な どが 変 化 に 富 み,多 様 な 習 性 の 生 物 が 多 く生 息 で きる 空 間 を創 出 す る こ とが重 要 な点 とな っ て い る。 さ ら に景 観 的 に は,素 材 が 周 囲 の 自然 とな じみ や す い こ と も あ る が,そ れ 以 上 に 盛 土 や割 石 の 隙 間 か らそ れ ぞ れ の 環 境 に応 じた 植 物 が 生 育 可 能 な た め,時 間 の 経 過 と と も に緑 豊 か な景 観 を 形 成 す る こ とが で きる 。

2河 川 の公 益 的 機 能

歴 史 的 に み て,河 川 の機 能 は漁 労 や 潅 概,物 流 幹 線,農 業 ・生 活 用 水 な ど の

利 水 に よ り人 間 との 関 わ り を持 ち,河 川 の 氾 濫 源 の 利 用 価 値 の 増 大 と も にそ こ

(5)

河 川 の公益 的機 能評 価 に関す る考 察(1) 135 に 資 産 の集 中 が 起 こ り,治 水 の必 要 性 が 確 固 た る もの とな った 。 人 口 の都 市 集 中 と工 業 化 の 進 展 に伴 な い 都 市 部 で は効 率 的 な 用 水 確 保 と信 頼 性 の 高 い 治 水 機 能 の 要 請 と追 求 の 結 果,自 然 と して の 河 川 が もつ 多 様 性 が 失 われ,経 済 成 長 に 寄 与 す る流 水 機 能 ・通 水 機 能 の み を 重 視 した事 業 が 展 開 され た 。しか し なが ら, 国 民 の 生 活 質 の 向 上 と と も に河 川 環 境 の 存 在 が 見 直 さ れ,自 由 空 間 と して,自 然 環 境 と して の 河 川 の存 在 価 値 ・利 用 価 値 が 高 ま っ て きた 。

河 川 の 持 つ 環 境 機 能 は,大 き く親 水 機 能 ・空 間 機 能 ・自然 生 態 機 能 の3機 能 で構 成 され る とす る見 方 や,図1に 示 す よ うな 治 水 ・利 水 を流 水 機 能 と して 分 類 し,環 境 機 能 は こ れ に並 列 に構 成 す る見 方,ま た 図2に 示 す よ う な 自然 資 源 と して の 機 能 や 空 間 の利 用 方 法 に よ る分 類 な ど も見 られ る 。 これ らの 例 をみ れ ば,心 理 的満 足,レ ク リ ェー シ ョ ン,公 園,エ コ ロ ジ ー,気 候 調 整,空 間, 景 観 な どが 環 境 機 能 の要 素 と して考 え ら れ て い る。 つ ま り,水 災 害 防 止 の た め の 治水 機 能 と水 資 源(狭 義 の)と して の 利 水 機 能 に含 まれ ない 河 川 の 多 様 性 を

河川空 間の機能

一[i欝蕪 …

利水機能[1:楚 遍 鋤 の水源及び流路

9.心 理 的満 足 … … 水 と周 辺 の 地 物 や 生 物 に接 す る こ とに よ る

h.レ ク リェ ー シ ョ ン… … 魚 釣 り,水 遊 び な ど i.公 園 … …住 民 の 憩 い,コ ミュニ ケ ー シ ョ ンの場 環 境 機 能j.エ コ ロ ジ ー … … 空 気,水 を浄 化 し,生 物 を 育 む

k.気 候 調 整 … … 水,空 間 に よ る気 候 の調 整 1.空 間 … … 光,空 気 の 通 路,騒 音 の 吸 収,防 災 m.景 観(狭 義 の)… … 景 観 を形 成 し,或 は芸 術 の 場

を提 供

出典:亀 山 章,信 州 大 学 ・地域 開 発 と環 境 問 題 研 究 班 編 「 地域 開 発 と水 環 境 」,信 山 社,1990

図1河 川 空間 の機 能

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136 商 学 討 究 第50巻 第1号 生 み 出 す 機 能 を 環 境 機 能 と して い る。

そ こで,治 水 及 び 利 水 に 相 当 す る機 能 以 外 の機 能 を公 益 的機 能 と考 え具 体 的 に どの よ う な機 能 で あ る か を考 え る と,河 川 及 び水 の 資 源 と して の 利 用(利 水) と災 害 防 御(治 水)以 外 に 河 川 環 境 か ら供 給 さ れ る 便 益 で あ り,そ の 特 徴 と し て は都 市 化 の 進 展 と工 業 の発 達 な どに よ り(特 に都 市 部 にお い て)河 川 環 境 か ら失 わ れ た もの で あ る と考 え られ る。 そ の 代 表 的 な もの と して は,自 然 河 川 が 持 つ 機 能 で あ る。 自然 河 川 が 持 つ 機 能 は 本 来 の(元 々)河 川 が 有 して い た 機 能 で あ り,そ れ は 自然 の 環 境 す な わ ち 自然 生 態 系 が 正 常 に機 能 して 起 きる 自然 な 物 質 代 謝 に よ る機 能 が 主 た る もの で あ る 。

そ こ で まず そ の よ う な 機 能 に つ い て 考 え る と,「 三 尺 流 れ れ ば 水 清 し」 と昔 か ら言 わ れ て い た諺 の よ う に 河 川 で は,水 の 流 下 に伴 って 水 の 汚 れ が 減 少 し, 水 質 が ま た 良 好 な 状 態 の 回 復 す る 現 象 す な わ ち 自 浄 作 用(self‑purification)

に よ る水 質 浄 化 が 挙 げ られ る 。 これ は(水 質 に 関 す る)自 然 浄化 機 能 で あ る。

ま た,水 の 流 れ と し て は,降 雨 に よ り地 表 に 降 りた 水 は蒸 発 す る もの の ほ か に浸 透 し地 下 水 とな る も の,地 表 面 を流 れ る表 流 水,そ して そ れ らが 集 ま り河 川 水 とな る が,河 川水 の 一 部 は 自然 河 川 の 場 合 河 床 な どか ら浸 透 して 再 び 地 下 水 と な る もの もあ る 。 こ の よ う な水 の流 れ(循 環)を 考 え る と,我 々人 間 に と っ て 欠 くこ と の で き な い水 を確 保 す る機 能 と して水 源 酒 養 機 能 が 考 え られ る。

水 源 と して は,河 川 や 湖 沼,地 下 水 が 重 要 な もの で あ る。 河 川 水 や 表 流 水 と地 下 水 との水 の 流 れ は,土 地 の 地 質 な どに よ り量 や 質 が左 右 す る が,自 然 な 環 境 で は森 林 な どの 植 生 に よ る土 地 の 保 水 性,浸 透 性,水 質 保 全 能 力 な どが 機 能 す る こ とに よ り適 当 な 地 下 水 の 酒 養 が 行 わ れ て い る。 この よ う な機 能 は,河 川 の み な らず 周 辺 の 地 質 や 自然 環 境 と の 一 体 的 な機 能 と して 便 益 が あ る もの で あ

る。

次 に,水 の 熱 しに く く冷 め に くい とい う熱 特 性 や 蒸 発 散 に よる 熱 交 換,河 畔

の 緑 地 の 存 在 な ど,自 然 環 境 で は水 辺 が 多 様 な生 物 層(生 態 系)を 形 成 して い

る こ とか ら も生 物 の 生 息 環 境 と して最 適 な 気 候 条 件 を提 供 して い る こ とが 分 か

る。 つ ま り,河 川 環 境 は温 度,湿 度,光,空 気 な どの 状 況 を生 物 の 生 息 に最 適

(7)

河 川 の公益 的機 能評価 に関す る考 察(1)137

な 状 況 に維 持 す る機 能 を 有 して い る とい え る。 この よ うな気 候 調 節 は ミ ク ロ的 な もの で あ る が,河 川 流 域 の 気 候 も河 川 環 境 の状 況 に よ り影 響 を受 け て お り,

生 物 の生息 地(魚,野 鳥,昆 虫,植 物) 自然環境 機 能

景 観形 成

河 川 の 環 境 機 能

レ ク リ ェ ー シ ョ ン 機 能

水 辺 レ ク リ ェ ー シ ョ ン

河 川 敷 利 用 レ ク リ ェ ー シ ョ ン

水 辺 の 行 事

魚 釣 り

ボ ー ト

水 泳 そ の 他

公 園緑地 ス ポ ー ツ 広 場

散歩広場

サ ン ク リ ン グ 道 路 ゴ ル フ場 そ の 他

花 火大 会 た こあ げ大会

都市防災機能

出典

防火等 ・防火用 水 避 難広 場

緊急通 路

谷村 喜 代 司,「 河川 環境」,第 一法 規 出版, 図2河 川 の環 境機 能

1977

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ヱ38 商 学 討 究 第50巻 第1号

快 適 な 生 活 環 境 を生 み 出 す 一 つ の 要 因 で あ る。 こ の ミ ク ロ 的 な気 候 調 整 機 能 は 微 気 候 調 整 機 能 と呼 ば れ る もの で,河 川 の み な らず 様 々 な環 境 構 成 要 素 に み ら

れ る 機 能 で あ る 。

上 述 した 自然 浄化 機 能 ・水 源 酒 養 機瀧 ・微 気 候 調 整 機 能 は 自然 河 川 が 有 す る 機 能 の 代 表 的 な機 能 と考 え られ る。 河 川 と人 間 との 関 わ りは歴 史 的 にみ て も水 産 資 源 な ど食 料 供 給 源 と して も大 きな存 在 で あ る が,こ こで は食 糧 資 源 が 正 常 に確 保 され る に は(す な わ ち 食 料 とな る 生 物 が 生 息 可 能 で あ り,資 源 量 が 自然 に 回 復 で き る状 況 が 維 持 さ れ る),当 然,水 質 な ど環 境 の 条 件 が 保 全 され て い る こ とが 必 要 不 可 欠 で あ る こ とか ら,水 産 資 源 の維 持 に 影 響 度 が 大 きい と考 え られ る水 質 に着 眼 し 自然 浄 化 機 能 の 効 果 の 一 つ と して捉 え る こ とが で き よ う。

上 述 して き た よ うな 自然 生 態 系 の 物 質 代 謝 的 な機 能 の ほ か に,人 問 特 有 の機 能 と して 自然 と人 間 の接 触 や 自然 環 境 の存 在 自体 が 人 間 の 欲 求 を満 足 させ る と い う便 益 が 考 え られ る 。 こ の よ う な機 能 も前 述 の3つ の 機 能 も 自然 環境(生 態 系)の 生 み 出 す もの で あ り,特 に 本 機 能 は 自然 環 境 の保 全 が と りわ け都 市 生 活 者 な どに とっ て,ど の よ う な現 代 的 意 義 が あ るの か とい う観 点 か ら も重 要 な機 能 と考 え られ る。 そ こで,こ の よ う な 自然 環 境 と の接 触 や そ の 存 在 自体 が 人 々 の 選 好 を満 足 させ る便 益 を もつ 機 能 と して 自然 環 境 の ア メ ニ テ ィ機 能 と呼 ぶ こ

と にす る。

この ア メ ニ テ ィ機 能 の捉 え方 に よっ て は,景 観 に対 す る修 景 機 能 も含 む こ と も考 え られ る が,景 観 に お い て は 自然 環 境 は構 成 要 素 で あ り,同 様 に建 物 な ど の 人 工 物 も構 成 要 素 で あ る。 景 観 に 対 す る評 価 は,そ の判 断 基 準 は非 常 に 多 様 で あ り,一 概 に 良 好 な景 観 を定 義 す る こ とは 困 難 で あ る。 した が っ て,自 然 環 境 の 持 つ 独 自的 な機 能 と して 修 景 を位 置 づ け る こ と は無 理 で あ る こ とか ら こ こ で は ア メ ニ テ ィ機 能 に含 め な い こ と とす る。

この 自然 環 境 の ア メ ニ テ ィ機 能 は,現 代 の都 市 生 活 者 が よ り良 い 居 住 ・生 活

環 境 を求 め て い る こ とに起 因 す る もの で あ り,そ の よ う な ア メ ニ テ ィ の 追 求 と

い う視 点 で河 川 環 境 を み る と,過 密 な 都 市 空 間 の 中 で 極 め て 貴 重 な 開放 的 空 間

(オ ー プ ンス ペ ー ス)を 持 つ 環 境 で あ る とい え る。 こ の河 川 の オ ー プ ンス ペ ー

(9)

河 川の 公益 的機 能評価 に関す る考 察(1) ヱ39 ス は,都 市 に お い て は レク リ ェー シ ョ ン空 間や 防 災 空 間 な ど と して 多 様 な 選 択 性 と利 用 価 値 を有 して い る 。 この 選 択 性 の あ る空 間 の 供 給 も河 川 環 境 の特 有 な 機 能 と して 挙 げ られ,こ れ を 空 間 機 能 と して 位 置 付 け る。

さ らに 文 化 活 動 や都 市 化 な どの 開 発 行 為 に よ りそ の 価 値 が 認 識 され て い る も の と して 景 観 が あ る 。 こ の景 観 に対 す る 評価 は非 常 に 多 様 で 普 遍 的 な評 価 が 困 難 で,ま た 一 概 に景 観 とい っ て も巨 視 的 な 景 観(傭 鰍 景)か ら微 視 的 な 景 観(対 岸 景 等)ま で 様 々 で あ る。 しか しなが ら,こ の景 観 も ア メ ニ テ ィ にか か わ る 重 要 な もの と して考 え られ て い る こ とは 明 白で,良 好 な 景 観 は心 理 的 な安 ら ぎ ・ 潤 い 等 を もた らす 効 果 が あ る と され て い る。 河 川 に つ い て も,河 川 自体 の 景 観

や 流 域 の 景 観 との 関係 な どい か に 良 好 な 景 ・

観 を創 出 して い る か は,ア メ ニ テ ィ に対 す る河 川 の 景 観 機 能 が どの 程 度 寄 与 して い る か と い う こ と に ほ か な ら な い と考 え られ る。 こ の こ とか ら景 観 機 能 も重 要 な河 川 の 公 益 的 機 能 の 一 つ で あ る と考 え られ る。

以 上 の こ と を整 理 す る と,図3に 示 す よ う に河 川 の 公 益 的 機 能 は,自 然 環 境 機 能 ・

空 間 機 能 ・景 観 機 能 の3つ に 大 き く分 類 さ 図3河 川の 公益 的機能 れ る。

ヨ 自然環境機剣 H微 気候調整機訓 ヨ 自然浄化機倒 刊 水源酒予機能1 一 アメニ テ 磯 能1

ヨ 空 間(オ ー プ ン ス ペ ー ス)機 能1

H景 観機倒

(1)自 然 環 境 機 能(自 然 生 態 機 能)

① 微 気 候 調 整 機 能

気 象 は 時 々刻 々 と変 化 して い る もの で あ るが,そ の 平 均 的 な状 態 を考 え た も の を 気 候 とい う。 気 候 とい う言 葉 に は,生 物 や 環 境 との 関 わ り合 い が 含 ま れ て い る。 対 象 とす る 環 境 の 大 き さ に よ る気 象 あ る い は気 候 の 分 類 は 様 々 で あ るが,そ の 分 類 方 法 や 規 模 の概 念 の 統 一 的 記 述 は な い 。 表1に 参 考 と して 気 候 の ス ケ ー ル に よ る分 類 例 を示 す 。

屋 外 環 境 と して は,温 熱 環 境 ・風 環 境 ・空 気 環 境 ・光 環 境 ・音 環 境 が あ

(10)

140 商 学 討 究 第50巻 第1号 表1気 候 の スケ ール に よる分 類例

分 類 地域 の水 平 的 広 が り(m)

垂 直的 広が り

(m) 気象現象の例

対 応 す る気 象 の 寿命 時 間

(sec)

その現象の例

大気候

(2〜4)・

105〜107 100〜2・105

季節風 東 アジアの

雨季

105〜107

ジェ ッ トス トリー ム シベ リア高気 圧

中気候

103〜2・105 100〜6・103

盆地の気候

関東平野の風

103〜105

集 中豪 雨 トル ネー ド

小気候

101〜104 10一1〜103

斜面の温暖帯

霜道

101〜104

しゅ う雨 海 陸風

微気候

10‑2〜102 10‑2〜2・100

水田の気候

温室内の気候

10‑1〜101

風 の息 川霧 出 典:吉 野 正 敏,「 小 気 候 」,地 人 書 館,1986

る。 空 気 環 境 や 音 環 境 は 気 象 要 素 以 外 に汚 染 物 質 や 騒 音 な どの 環 境 要 素 が 関 与 して い る もの で あ る。 河 川 空 聞 にお け る 環 境 は,大 き く水 面 と河 川 敷 な ど の 陸上 部 分 に分 け る こ と が で き る。 陸上 部 分 は,都 市 河 川 で は 道 路 や コ ン ク リー トな ど人 工 環 境 に よ り構 成 さ れ て い る割 合 が 多 い が,自 然 河 川 で は上 流 域(渓 流 部)を 除 い て森 林 や 草 地 な ど緑 地 で あ る こ とが ほ とん ど で あ り,植 生 に よ る気 候 調 整 が 働 い て い る。 同 時 に,水 辺 と し て特 有 な気 候 調 整 が 働 くの は水 面 の存 在 に よる もの で あ り,水 の蒸 散 や 熱 収 支 な どが 影 響 して い る 。

一 般 に樹 林 下 の 気 温 は樹 林 外 に比 較 して 日較 差 も年 較 差 も小 さ くな る。

これ は 日中,樹 葉 や 地 表 面 か らの 蒸 発 散 に伴 う潜 熱 に よる 熱 エ ネ ル ギ ー の

放 出 と,夜 間 の樹 葉 に よ る熱 エ ネ ル ギ ー の保 持 に よ る もの で あ り,草 地 に

お い て も同様 の こ とが い え る。 植 物 に よ る水 分 の 蒸 散 や 日射 の 遮 断 に よ っ

て,夏 は そ の 周 りの気 温 の 上 昇 を 防 ぎ,冬 は 防風 効 果 と比 熱 の 大 きい水 分

に よ っ て温 度 の 低 下 を 防 い で お り,こ の 関係 は 昼 間 と夜 間 につ い て も同 様

で あ る。 一 方,人 工 環 境 を構 成 す る コ ンク リー ト,鉄,石,ア ス フ ァル ト

(11)

河川 の公益 的機 能 評価 に関 す る考 察(1) 14.Z な ど は水 に 比 べ て 熱 容 量 が 小 さ く,熱 しや す く,冷 め や す い た め 同 じ 日射 を受 け て も植 物 との 間 に温 度 差 が 大 き く現 れ る。 また,植 物 は 蒸 散 作 用 に よ っ て 多 量 の 水 分 を大 気 中 に 放 出 す る。 例 え ば,4,000㎡ の果 樹 園 で は一 日 に600㌧ も の水 分 を 蒸 散 す る とい わ れ て お り,芝 生 で も1㎡ 当 た り20㍑

以 上 もの水 を大 気 中 に放 出す る と い う報 告 も あ る。 これ に加 え て,河 川 空 間 で は河 川 水 の蒸 発 も加 わ り,温 度 や 湿 度 の コ ン トロ ー ル が 行 わ れ て い る。

この よ うに,過 度 の 高 温 化 防止 効 果 や 乾燥 防 止 効 果 が あ る。

ま た,温 度 ・湿 度 の 変 化 に よ る熱 の 移 動 は,空 気 の 移 動 を伴 い 風 を発 生 させ る こ と に も な る 。 緑 地 で は 適 度 な 通風 と 防風 効 果 も持 つ 。 一 般 に風 速 が1m/s増 す と体 感 温 度 は1〜2℃ 下 が る と い わ れ て お り,暴 風 は 生 命 を脅 か す 原 因 で もあ る。 後 者 の 点 で は 防風 林 が 一 般 に知 られ て い る。 樹 林 に よ る風 の コ ン トロー ル は,樹 種 に よ る樹 冠 の疎 密 度 や,樹 高,樹 幅,樹 林 密 度 な ど に よ っ て 異 な る。 また 草 地 に お い て も草 丈 や 個 体 密 度 な どに よ

る地 表 粗 さの た め,風 の エ ネ ル ギ ー が 減 じ られ て風 が 弱 ま る 。 さ らに樹 林 は 風 を弱 め る だ け で な く,風 の 方 向 を 変 え る こ と もあ る。

こ の よ う に植 物 に よ る通 風 ・防 風 効 果 や 熱 移 動 に よ る風 の 発 生 な どは, 空 気 の流 れ を遮 断 せ ず,局 所 的 な大 気 の 質 の低 下 を防 止 す る換 気 不 良 防 止 効 果 を もつ 。 樹 林 に よ る風 の コ ン トロ ー ル 同様,樹 林 地 や 草 地 は 日射 に よ る光 環 境 を適 度 に コ ン トロ ー ルす る機 能 を有 す る。 樹 冠 の疎 密 に よ る太 陽 光 線 の滅 衰,低 い 反 射 率 に よ る光 線 の 緩 和 な どに よ り直 射 光 線 を適 度 な 強 さ に調 整 す る。 この 機 能 は 先 に述 べ た 気 温 上 昇 の コ ン トロ ー ル に も関 る こ とで あ る。 光 環 境 に 関 して は,オ ー プ ンス ペ ー ス と して ビル な どの 高 層 建 築 物 の 過 密 に よる 都 市 の 日照(日 射)不 足 を補 う効 果 もあ る 。

次 に,こ れ は植 生 に よ る効 果 で あ る が,二 酸 化 炭 素 の 同化,硫 黄 酸 化 物

な どガ ス 状 汚 染 物 質 の 吸 収 ・吸 着,粒 子 状 汚 染 物 質 の吸 着 な ど に よ る大 気

の 浄 化 効 果 を有 す る。 大 気 汚 染 の発 生 源 と受 害 者 の 間 に樹 林 帯 が 存 在 す れ

ば,汚 染 物 質 は 気 流 に よ り樹 林 方 向 に輸 送 され,吸 着 ・吸 収 ・拡 散 ・沈 降

とい っ た現 象 に よ り,そ の量 を減 少 させ る(一 部 は透 過)。 こ こ で い う吸

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ヱ42 商 学 討 究 第50巻 第1号

着 と は,個 体 あ る い は 液 体 状 の汚 染 物 質 が 植 物 体 の 外 表 面 に 付 着 す る こ と で,吸 収 とは ガス 状 の 汚 染 物 質 が気 孔 な どの 器 官 を通 して植 物 体 の組 織 内 へ 入 り込 む こ とで あ る 。 また 拡 散 と は,汚 染 物 質 が 林 縁 で 気 流 と と もに樹 冠 上 部 へ 持 ち 上 げ られ,実 質 的 に発 生 源 が 樹 冠 上 部 に移 動 す る こ とに よ っ

て 拡 散 希 釈 が 有 利 に働 く こ とで あ る 。 沈 降 とは,気 流 と と も に樹 林 中 に侵 入 した 汚 染 物 質 が 気 流 速 度 の 減 少 に よ っ て比 較 的 重 量 の あ る 汚 染 物 質 が 重 力 落 下 す る こ とで あ る 。

最 後 に音 環 境 につ い て は,気 候 調 整 と い う観 点 で は異 質 で あ るが,オ ー ブ ンス ペ ー ス や緑 地 の生 活 環 境 保 全 効 果 と して そ の 機 構 が 前 述 の他 の 環 境 コ ン トロ ー ル に 類 似 す る もの で あ る こ と か ら,微 気 候 調 整 機 能 の一 つ と し て含 め る こ と とす る。 樹 林 内 を音 が 通 過 す る こ と に よ っ て,吸 収 ・屈 折 ・ 反 射 ・回 折 な ど に よ り減 衰 す る遮 音 ・防 音 効 果 が あ る。 樹 林 内 を音 が 通 過 す る 過 程 で は,枝 葉 ・幹 に よ っ て音 が 吸 収 され る。 こ れ は 複 雑 で 密 な 展 葉 形 態 を持 つ 樹 種 で は展 葉 部 全 体 が い わ ゆ る多 穴 質 材 料 の役 目 を し,音 の エ ネ ル ギ ー の 一 部 が こ の 穴 の 中 で 摩 擦 抵 抗 や 粘 着 抵 抗 あ る い は 微 細 な繊 維 状 器 官 の 振 動 に よ っ て熱 エ ネ ル ギ ー に 変 換 す る こ とで あ る 。 また 枝 葉 ・幹 に 音 が 反 射 し,複 雑 な面 を 有 す る樹 林 の 場 合 は 散 乱 す る。 この 散 乱 に よ っ て 受 音 者 側 に伝 わ る音 の エ ネ ル ギ ー が 減 少 す る 。 さ らに は,林 床 に音 が 入 射

圃 ∵∵:灘[韓㈱

図4微 気 候調 整機 能

温熱 環境 風 環 境 空気環境 光 環 境 音 環 境

乾燥化 防止効果

日射不足 防止効果

換気不 良防止効果

大気汚染 防止 ・軽減効果

騒音 防止 ・低減効果

高温化 防止効果

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河川 の公益 的機 能評 価 に関す る考 察(1) ヱ43 し,地 表 や 地 被 植 生 に よ っ て 反 射 ・吸収 が 生 じる こ と を地 表 面 反射 ・擦 過 吸 収 と呼 ば れ る効 果 で あ る。

以 上 の こ と を整 理 す る と,微 気 候 調 整 機 能 と して は 図4に 示 す よ う に考 え られ る。

② 自然 浄 化 機 能(水 質)

河 川 の 一 般 的 な 自浄 作 用 と して は,有 機 物 の 分 解 作 用 が 中心 で あ るが, 曝 気 やNに お け る 硝 化 ・脱 窒 も対 象 とな る。 また 有 機 物 を汚 濁 物 質 と し

て,そ の 無 機 化 を 自浄 と した場 合 に は,無 機 態 量 は増 加 して い る こ と に な り,特 にPやNは 湖 沼 や 海域 な どで は 富 栄 養 化 の 原 因物 質 で あ る こ とか ら, そ の増 加 も好 ま し くな い 。この よ う に,一 つ の 場 所 で の 汚 濁 物 質 の 減 少(自 浄 作 用)は,他 の場 所 で の増 加(自 濁 作 用)と な る ケ ー ス もあ る 。

河 川 は,個 別 に 形 態 が 異 な るだ け で な く,流 下 す る水 質 も様 々 で あ る。

源 流 近 くの よ う に 非 常 に 清 澄 でDO(溶 存 酸 素)が 飽 和 状 態 に 近 い 未 汚 濁 水 か ら,都 市 河 川 で 見 られ る よ う に 有 機 物 濃 度 が 高 くDOが 枯 渇 して 黒 ず ん で い る水 に い た る まで種 々水 質状 態 が 異 な り,ま た そ こに 生 存 す る 生 物 も汚 濁 程 度 に よ っ て様 々 で あ る。 河 川 に排 出 され た 物 質 は,そ の 流 下 過 程 で,そ の河 川 特 有 の物 理 的,化 学 的,生 物 学 的 な作 用 を 受 け て 量 的, 質 的 に 変 化 す る 。 汚 濁 物 質 の 減 少 に は,系 外 へ の 除 去 と,よ り悪 影 響 の少

な い物 質 へ の 変 換 に よ る 除去 も含 ま れ る 。 河 川 で の水 質 の特 徴 は 一 過 性 で あ る こ とで あ る 。 河 床 で の底 質 との水 質 交 換 を無 視 で きな い こ とか ら,必 ず し も単 純 な機 構 で は な い が,水 自体 の 流 下,大 雨 の 後 の底 質 の 掃 津,さ

らに は 河 床 凌 深iなど に よ り比 較 的 短 時 間 に汚 濁 物 質 が 系 外 へ 持 ち 出 さ れ, 浄 化 効 果 は湖 沼 や 海 域 な どの 水 域 と比 べ 現 れ や す い 。

河 川 水 申 に負 荷 され た汚 濁 物 質 を,そ の 河 川 水 中 に生 存 す る 水 生 生 物 群

に 悪 影 響 を及 ぼ さ な い 範 囲 で 自然 浄 化 す る能 力 は 同 化 容 量(assimilative

capacity)と 呼 ば れ て お り,一 般 に は水 中 のDOが あ る 一 定 以 上 あ る こ と

が まず 必 要 で あ る と一 して,限 界DO濃 度 以 下 に な らず 自 浄 が な さ れ る場

合 の 汚 濁 物 質 負 荷 量 と して取 り扱 わ れ て い る。 人為 的 汚 濁 が 進 行 した河 川

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ヱ44 商 学 討 究 第50巻 第1号

に お い て は,DOの 消 費 に は 有 機 汚 濁 物 質 の 生 物 化 学 的 分 解 に加 え て, ア ンモ ニ ア態 窒 素(NH+N)の 硝 化 も大 き く関 与 して い る 。

ま た,河 川 のDOの 変 化 や 浮 遊 性 有 機 物 濃 度 の 変 化 に 関 与 す る機構 と して,付 着 藻 類 の 増 殖 も重 要 で あ り,こ れ に 関与 す る水 質項 目 と して富 栄 養 化 の 観 点 か らN及 びPも 状 態 変 数 と して 取 り扱 わ れ る 。

自然 浄 化 作 用 は,自 然 科 学 的 な表 現 の み な らず,人 間 の価 値 判 断 を含 ん だ社 会 科 学 的 な 側 面 も含 ん で い る。 自然 浄 化 に よ る水 質 浄 化 の 最 終 的 な便 益 を 考 え る と,社 会 科 学 的 な側 面 と して は人 間 の水 利 用 に 関 して,つ ま り 水 を 資 源 と して 需 要 す る(利 水)こ と に関 与 す る こ と,ま た水 産 資 源 の採 捕 な どの 食 料 調 達 に 関与 す る こ とが 考 え ら れ る 。

水 資 源 の 利 用 とい う点 に お い て,河 川 水 が 良好 な 水 質 で あ る,あ る い は 改 善 され る こ とは 飲 用 水 や 工 業 用 水,農 業 用 水 な どの 使 用 段 階 で よ り適 正 な水 質 へ の 改 善 にか か る 費 用 が 減 少 す る。 つ ま り,各 種 の用 水 浄 化 費 用 を 軽 減 す る効 果 を 生 み 出す 。 また,食 料 資 源 と して の 水 産 資 源 が,水 質 の み に依 存 す る わ け で は な い が,資 源 量 が 自 ら の繁 殖 力 に よ っ て 回 復 で きる 環 境 を保 全 す る こ と に,水 質 は 大 きな影 響 力 を持 つ と考 え られ る こ とか ら, 過 剰 な採 取 を行 わ ない 限 り,水 産 資 源 の 持 続 的 確 保 が 可 能 で あ る。さ らに,

ま っ た く同 様 な観 点 か ら河 川 に生 息 す る生 物 な どの 生 態 系 も保 全 さ れ,時 に は再 生 す る こ と も期 待 で き る。

一 一醗 灘 一 熾 欝 譲 欝

図5自 然浄 化機 能(水 質)

③ ア メ ニ テ ィ機 能

都 市 生 活 者 を 申 心 に,自 然 環 境 とふ れ あ う こ とや そ の 存 在 自体 が 人 々 の

選 好 を満 足 させ る便 益 を 持 つ 機 能 と して 狭 義 の ア メ ニ テ ィ機 能 と定 義 し

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河川 の公 益 的機能 評価 に 関す る考察(1) ヱ45

た 。 人 々 の 自然 との ふ れ あ い に対 す る 欲 求 は,過 去 にお い て 身 近 に存 在 し た 自然 が 失 わ れ た 都 市 に お い て 大 き く現 れ て い る 。そ の 背 景 と して は,人 々 の 生 活 の 質 が 向 上 し,家 計 に お け る経 済 的 余 裕 や 時 問 に お け る余 裕,す な わ ち 生 活 に ゆ と りが 生 じて きた こ とに よ り,余 暇 に 対 す る充 実 度 の 向 上 と い う欲 求 が あ り,加 え て 主 に 工 業 の大 規 模 な展 開 や モ ー タ リゼ ー シ ョ ンの 発 達,空 間 の高 度 利 用 に よ る 過 密 な ど様 々 な要 因 の 相 乗 効 果 に よ る大 気 汚 染 や水 質 汚 濁 な どの 生 活 環 境 の 悪 化 に対 す る不 満 ・改 善 要 求 の行 動 的 現 れ で あ る 。 こ の よ う な人 々 の行 動 を求 自然 行 動 とい う。 こ の求 自然 行 動 が こ こ で い う選 好 で あ る と考 え られ る。

都 市 生 活 者 は,求 自然 行 動 を満 足 させ る た め に 野 山 や 川,公 園 な ど に 出 か け た り,自 宅 の庭 を楽 しん だ りす る こ とが 一 般 的 に多 くみ られ,レ ク リ ェ ー シ ョン行 動 を起 こす 。 レ ク リェ ー シ ョン よ っ て 得 られ る便 益 は,究 極 的 に は 心 理 的 満 足 感 を得 る こ とで あ る 。 魚 釣 りや 山 菜 狩 りな どの 収 穫 物 を 伴 う場 合 も あ る が,そ れ は 見 せ か け の便 益 で あ り,代 替 的 に市 場 で そ れ ら を購 入 す る こ とが 可 能 で あ る の で,真 の 目的 は こ こ に な い。 公 共 財 と して 身近 に 求 自然 行 動 や そ の他 の レク リェ ー シ ョ ン行 動 を満 足 させ る場 が 供 給 さ れ る な らば,そ れ ま で レ ク リ ェ ー シ ョン地 に 出 か け て い た場 合 に は,移 動 に係 る費 用 が 減 少 す る た め,そ の機 会 費 用 は 直接 的 な便 益 とみ なす こ と が で き る。 レク リ ェ ー シ ョ ンの 場 を供 給 す る機 能 は 後 述 す る 空 間 機 能 に含 ま れ る よ う に も考 え ら れ る が,空 間機 能 で は河 川 空 間 を人 工 的 に整 備 す る こ とに よ り供 給 され る もの と定 義 す る た め,こ こで い う 身近 で 自然 な河 川 の環 境 を余 暇 活 動 に利 用 す る こ と とは 区 別 す る こ と に した。

ア メ ニ テ ィ機 能 一 求 自然 行 動 の 充 足 一 居 住 生 活 環 境 の 質 的 向 上 (自然 ・生 き物 とのふ れあい)

図6ア メ ニ テ ィ機 能(狭 義)

(2)空 間(オ ー プ ンス ペ ー ス)機 能

河 川 環 境 が 持 つ 開 放 的 な 空 間(オ ー プ ンス ペ ー ス 〉 は,過 密 化 し た都 市 の

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ヱ46 商 学 討 究 第50巻 第1号

中 で は貴 重 な空 間 で あ る 。 そ の空 間 の利 用 形 態 と して は,現 代 で は 第 一 に親 水 活 動 な どの レ ク リェ ー シ ョ ン利 用 が 挙 げ られ る。 第 二 に は 河 川 と人 間 との 歴 史 の 中 で も古 くか ら機 能 して きた水 運 が 挙 げ られ る。 現 在 で は過 去 に 比 べ て モ ー タ リゼ ー シ ョ ンの 発 達 に よ り道 路 輸 送 が 主 流 とな り,そ れ ほ どの 重 み は ない が,輸 送 機 能 の 一 部 を担 っ て い る地 域 もあ る。 ま た 治水 施 設 で あ る堤 防 の 天 端 や ス ー パ ー 堤 防 に み られ る よ う に道 路 機 能 が 付 与 され て い る こ と も 多 くみ られ,地 域 の 重 要 な 輸 送 路 とな っ て い る場 合 も あ る。

第 三 に は,緑 地 の 機 能 と同 様 に火 災 時 や 震 災 時 に お い て は類 焼 ・延 焼 を く い 止 め る機 能 が み られ,ま た 避 難 場 所 と して も機 能 して い る。 この よ うな こ

とか ら空 間 機 能 と して は① レ ク リェ ー シ ョン機 能,② 交 通 輸 送 補 完 機 能,③ 防災 機 能 が 考 え られ る。

① レク リ ェ ー シ ョ ン機 能

こ こで い う レ ク リ ェ ー シ ョン機 能 とは,河 川 空 間 にお い て 人工 環 境 と し て レク リ ェー シ ョ ン空 聞 ・施 設 を供 給 す る機 能 を意 味 す る。 河 川 空 間 の レ ク リェ ー シ ョ ン利 用 は,都 市 にお い て は住 宅 や 業 務 施 設 な どに よ る過 密 化 の た め,充 分 な レク リ ェ ー シ ョ ン空 間が 確 保 で き な い こ とや,近 年 の 余 暇 活 動 の活 発 化 に よる レ ク リェ ー シ ョ ン空 間 の 不 足 な どの た め,河 川 空 間 を 利 用 して い る こ とが 考 え られ る 。つ ま り,野 球 場 や テ ニ ス コー ト,サ ッ カ ー 場 な どの ス ポ ー ツ施 設 や,自 由広 場 ・芝 生 広 場 と い っ た 公 園 は 目的機 能 的 に み て 河 川 空 間 で な くて も,市 街 地 に空 間 が あ れ ば展 開可 能 で あ る(た だ 雰 囲 気 的 な 感 覚 と して,同 じ施 設 を河 川 空 間 とそ の 他 の 空 間 と を比 較 し た と き の差 異 は 若 干 あ る と思 わ れ る)。 一 方,水 辺 に お け る レ ク リ ェー シ ョ ンは,い わ ゆ る 親 水 活 動 と呼 ば れ る もの が 中心 で,河 川 な どの 水 辺 で な く て は展 開 で きな い もの で あ る。

これ ら の レ ク リ ェ ー シ ョン機 能 が供 給 さ れ る こ と に よ る便 益 は,自 然 環

境 の ア メニ テ ィ機 能 の 場 合 と 同様 に 考 え られ,心 理 的 満 足 と身 近 に供 給 さ

れ た場 合 の旅 行 費 用 の軽 減 効 果 が あ る と考 え られ る。 さ らに,河 川 空 間 の

代 替 的 な レク リェ ー シ ョ ン利 用 で は,同 一 の(規 模,内 容 と も)施 設 を市

(17)

河 川の 公益 的機 能評価 に関す る考察(1) 147 街 地 な どに整 備 す る場 合 に 比 べ て整 備 にか か る 費 用 の うち,特 に土 地 取 得 費用 が か か らず そ の 分 が 直接 的 な便 益 とみ なせ る 。

賑 ⊥ 鷺 ㌫ 一嚇 遊1

歩 園

ス 散 公

け 灘

彌 爵 野 測

心 理的 満足 余 暇空 間代替 効 果

図7レ ク リ ェー シ ョ ン 機 能

② 防 災 機 能

河 川 空 問 の 防 災 機 能 は,緩 衝 緑 地 の考 え 方 と基 本 的 に 同 様 で あ る 。 物 質 的 に不 燃 性 ・難 燃 性 の もの で多 く構 成 さ れ る環 境 で,か つ 面 積 ・規 模 が 大 き い た め 火 災 に対 す る 抵 抗 とな り う る の で あ る。 オ ー プ ンス ペ ー ス や グ リー ンベ ル トに よ る 防 火 対 策 とそ の 効 果 は歴 史 をみ て も明 らか で あ る 。 ま た,避 難 場 所 と して も火 災 に よ る 輻 射 熱 や 煙 な どか らの 人 命 の 保 護 に 対 し て も安 全 距 離 を持 つ こ と,通 風 性 の 良 い こ とな どか ら効 果 を持 つ 。

… 能⊥蹴 器 コーrll=簾 確 保

図8防 災機 能

③ 交 通 輸 送 補 完 機 能

本 機 能 は,河 川 が 本 来 有 す る機 能 とい う よ りは,流 域 の 様 々 な社 会 経 済 的 な状 況 に 応 じて 河 川 施 設 等 に付 加 さ れ た も の で 後 付 け さ れ た 機 能 で あ る 。そ の た め,他 の 機 能 に 比 べ 先 行 的 に評 価 す べ き も の で は な い と考 え る 。

交 通 輸 送 を 補 完 す る機 能 は,大 き く陸 上 交 通 と水 上 交 通 に 分 け られ る。

(18)

148 商 学 討 究 第50巻 第1号

水 上 交 通 は ほ とん ど船 舶 に よ る水 運 機 能 で あ り,陸 上 交 通 で は 道 路 交 通 が 中心 と な る。交 通 輸 送 機 能 を補 完 す る 考 え 方 は,河 川 空 聞 以 外 の 道 路 網 や, 鉄 道 網 な ど にお い て 輸 送 容 量 の 限 界 が 生 じた り,時 問 ・距 離 も含 め て 輸 送 コ ス トが 大 きい 場 合 に,河 川 空 間 に そ の 機 能 を もた せ た と き,よ り効 率 の 良 い 輸 送 網 が 形 成 され,様 々 な 費 用 が軽 減 さ れ る こ と も充 分 考 え られ る と

い う と こ ろ に あ る 。

輸 送 とい う表 現 で は,運 輸 部 門 と して の ニ ュ ア ンス が 強 い が,マ イ カ ー な どに よ る人 に移 動 につ い て も含 ん で い る。 こ の よ う な点 か ら,大 き く道 路 交 通 網 の 補 完 ・代 替 と物 流 網 の 補 完 ・代 替 が 考 え られ る。 具 体 的 な効 果 と して は,渋 滞 の緩 和 ・解 消,輸 送 ・移 動 コ ス トの低 減,移 動 ・輸 送 の 時 間 ・距 離 の 短 縮 な どが 考 え られ る。

交 一 一 ⊥灘 穐ll効 雪[1羅 二 群

図9交 通輸 送補 完機 能

(3)景 観 機 能

景 観 とは,あ る主 体(人 間)の 視 野 に入 る す べ て の物 体 に よ り構 成 され る も の で あ る 。 河 川 や 山 な ど は,そ の 存 在 が 重 要 な意 味 を持 ち,景 観 の 主 題 に な る景 観 要 素 で あ る 。 しか し,河 川 環 境 に お け る修 景 とい う点 で操 作 しう る の は,河 川 空 間 内 に 限 られ て くる 。 河 川 景 観 の 構 図 と して は,流 れ の 方 向 と 視 軸 が 直 角 に交 差 す る よ う な対 岸 景,流 れ の 方 向 と視 軸 が 平 行 な流 軸 景,遠

くや 高 所 か ら河 川 を 眺 め る傭 鰍 景 の 三 つ に 大 別 さ れ る 。

さ て景 観 は,主 体 が 視 覚 に よ り対 象 と して 捕 捉 し,認 知 す る の で あ るが,

景 観 は対 象 の 捉 え 方 に よ り非 常 に多 様 で あ り,か つ 景 観 を捉 え る(認 知 す る)

主 体 が 評価 す る た め,そ の評 価 基 準 も多 様 で あ る。 そ の た め 一 概 に 良 好 な河

川 景 観 を 規 定 す る こ と は 困難 で あ る。 景 観 は人 の感 性 に 大 き く依 存 す る もの

(19)

河 川 の公益 的機 能評 価 に関す る考 察(1) 149 で あ る。 そ して 景 観 が 生 み 出 す便 益 は,情 調 で 表 さ れ る 感 覚 を主 体 に 与 え る

こ と で,精 神 的 な潤 い,や す ら ぎ な どの心 理 的 効 果(満 足 感)で あ る。

以 上 の よ う に河 川 の 公 益 的 機 能 につ い て整 理 を試 み た の で あ るが,上 記 の 整 理 で は次 の 点 で 注 意 が 必 要 で あ る。

ぴ)河 川 の 公 益 的 機 能 の 全 て で は ない こ と,

α)各 機 能 の 効 果 との 対 応 関 係 は 必 ず し も一 対 一 の 対 応 関 係 で は な い こ と,

(ウ)各 種 の 効 果 が100%河 川 に よ り供 給 さ れ る もの と は 限 定 で き ない こ と, (エ)あ る特 定 の 機 能 に 対 応 しな い 便 益 が 存 在 す る こ と,

な どで あ る 。

(のにつ い て は,公 益 的 機 能 の 定 義 に よ り,機 能 と して捉 え る現 象 の 範 囲 が 異 な り,そ の 結 果,提 案 され る機 能 に差 が 出 る こ とや,注 意 す べ き点 は社 会 的 ・経 済 的情 勢 の 変 化 に よ り人 々 の 価 値 観 が 変 化 し,河 川 に求 め る機 能 が 変 化 す る こ と(例 え ば高 度 成 長 期 と現 代 で は 親水 機 能 に対 す る価 値 観 は 大 き く 違 う こ とは 明 白)で あ る。

曾)につ い て は,複 数 の 機 能 が 同 時 に働 く こ と に よ る相 乗 効 果 が 確 実 に存 在 し,そ の効 果 に 対 す る個 別 機 能 の 寄 与 度 を 明確 にす る こ と は困 難 で あ る。 例 え ば,水 辺 レ ク リェ ー シ ョン に お い て は,生 き物 との ふ れ あ い が 同 時 に存 在 し う るの で ア メ ニ テ ィ機 能 が 働 い て い る こ とに な るが,そ の 結 果 得 られ る心 理 的 満 足 を分 解 す る こ と は容 易 で な い 。

(ウ)に つ い て は,水 源 酒 養 機 能 な ど は河 川 だ けの 能 力 で は 効 果 を 十 分 発 揮 で きな い,周 辺 の 山 林 や 地 質 な どに 大 き く依 存 す る た め で あ る。

(:エ)に つ い て は,存 在 価 値 や 遺 贈 価 値,オ プ シ ョ ン価 値,代 位 価 値 な ど,あ る 特 定 の機 能 に よ る効 果 つ ま り便 益 で は な く,河 川 の存 在 そ の もの や 次 世 代 の た め の価 値 な ど社 会 的 な便 益 が 存 在 す る こ とで あ る。

さて,河 川 の 公 益 的機 能 評 価 の 意 義 を考 え る と,我 々 の 居 住 生 活 環 境 を改

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150 商 学 討 究 第50巻 第1号

善 で きる に もか か わ らず,従 来 の 河 川 事 業 に お い て適 正 な 評 価 が 行 わ れ て い な い 機 能 を計 測 ・評 価 し,流 域 の 持 続 的 な福 祉 の 向 上 を 図 る こ と に現 代 的 意 義 が あ る 。 す な わ ち,従 来 の事 業 評 価 で は経 済 活 動 に対 す る投 入 と産 出 に寄 与 す る機 能 の 評 価 が 中 心 で あ り,外 部 効 果 に つ い て は公 害 の 防 除 とい う最 低 限 の 評 価 しか な され て お らず 最 適 な 環 境 を提 供 す る とい う積 極 性 を 欠 い て い る 。 こ の視 点 か ら考 え れ ば,上 記 で 整 理 した 機 能 の うち 交 通 輸 送 補 完 機 能 は 除 外 して 考 え る こ とが 適 当 で あ る 。 そ の理 由 と して は,道 路 沿 線 の 騒 音 ・大 気 汚 染 とい う外 部 不 経 済 を発 生 させ るか らで あ る。

よ り快 適 な 環 境 質 を提 供 で きる 河 川 の公 益 的 機 能 を積 極 的 に認 め る た め,

そ の 便 益 評 価 が な さ れ るべ きで あ る。

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