北海道企業の活性化方策 に関する実証研究
一 経 営 成 功 要 因 と変 革 へ の対 応 方 策 一
出 川
︑¥ 山早は じ め に
21世 紀 を 目前 に控 え 日本 国 で は 財 政 が 極 め て 厳 しい状 況 に あ り,抜 本 的 な 財 政 改 革 が 進 め られ よ う と し て い る 。 北 海 道 経 済 は こ れ まで 国 か らの 地 方 交 付 税 や 各 種 補 助 金 等 に大 き く依 存 して き て お り,財 政 改 革 の 影 響 は甚 大 で あ る こ と が 予 想 さ れ る 。 した が っ て,従 来 の 様 な 国 の 予 算 に頼 っ た 経 済 構 造 を改 革 し な け れ ば な らな い が,こ の た め に は,北 海 道 の 産 業 が 自 らの 努 力 で市 場 を 開拓 し, 収 益 を確 保 す る と い う努 力 が 必 要 と な る こ とは 言 う まで も な い。
本 稿 は こ の よ う な認 識 の も と,中 小 企 業 が 大 多 数 を 占 め る北 海 道 企 業 が 成 功 す る た め の経 営 成 功 要 因 と こ れ を 身 につ け る た め の 具 体 的 な対 応 方 策 を明 らか
にす る こ とを 目的 と した 分 析 結 果 で あ る。
分 析 に は,道 内 企 業5219社 を対 象 に した ア ン ケ ー ト結 果(1996年 実 施)1)を 用 い て お り,経 営 成 功 要 因 及 び対 応 方 策 の 明確 化 に成 功 して い る 。 た だ し,こ の分 析 結 果 は 北 海 道 の全 企 業 を対 象 と した もの の た め,設 立 後 の経 過 年 数 や 従 業 員 規 模,業 種 な どで規 定 さ れ る よ り具 体 的 で 小 さ な企 業 セ グ メ ン トに対 して は,抽 出 した経 営 成 功 要 因 や 変 革 時 の 対 応 が 必 ず し も有 効 で な い場 合 もあ る と 予 想 され,こ れ らの セ グ メ ン トに つ い て の さ ら な る分 析 の 必 要 性 も示 唆 して い
る。
な お,本 稿 の 分 析 の 手 順 は 図 表1に 示 す 通 りで あ る。
〔91〕
92
商 学 討 究 第49巻 第1号
(1)
経 営 に 成 功 して い る 企 業 の 定 義 (SPAセ グ メ ン ト)
↓ (2)
成功 してい る企業 が 相関 を示す 変数 の抽 出 と 定性 的 な経営 成要 因 の設 定
↓
(3)
経 営成 功要 因 の精微 化及 び有 意性 の確 認
↓ (4)
経営 成功 要 因 問の相 関の 明確化
↓ (5)
経 営成 功要 因 と変革 時 の対応 方策 との相 関に基 づ く分析
↓ (6)
経過 年 数,企 業規 模,業 種 に よ り規 定 され る各 セ グメ ン トご との 経営 成功 要 因 と改革 時の 対応 方策 との相 関 に基づ く分 析
図 表1分 析手順
1.経 営 に 成 功 し て い る 企 業 の 定 義
経 営 成 功 要 因や 具 体 的 な対 応 方 策 を 企 業 ア ンケ ー ト結 果 か ら明 らか に す る た め に は,ど の よ う な 企 業 が 経 営 に成 功 して い る とす るか 定 義 しな け れ ば な ら な い 。 通 常 は 利 益 や 売 上 を指 標 とす る場 合 が 多 い が,本 稿 で は 以 下 の 様 に 定 義 し た 。
① 売 上 が 伸 び て い る
② 利 益 が 伸 び て い る
③ 経 営 に対 して積 極 的 で あ る
北 海 道企業 の 活性化 方 策 に関す る実証研 究
93こ の な か で 特 に③ を組 み 込 ん だ 理 由 は,利 益 や 売 上 だ け で 定 義 す る と,前 述 した よ うに 公 共 投 資 な どに よ って 構 造 的 に潤 っ て い る企 業 が 優 れ た 企 業 と見 な され て し ま う た め で あ る。
経 営 に対 す る積 極 さ は意 識 的 要 因 で あ り,何 が 経 営 に と っ て 必 要 か つ 有 効 な
「 積 極 さ」 か につ い て は議 論 の 残 る所 で あ るが ,本 稿 で は,以 下の3つ の設問 結 果 を用 い て い る 。
「 業 界 の リー ダ ー を 目指 して い る」
「自社 の 発 展 の た め に は競 合 他 社 との 競 争 も辞 さな い 」
「 新 規 事 業 や 新 市 場 開 拓 ,新 技 術 開発 に 積 極 的 に乗 り出す 」
なお,先 に示 した 「 売 上(Sales)」 「 利 益(Pro趾)」 「 積 極 さ(Activity)」 に 基 づ くセ グ メ ン トを以 降 で はSPAセ グ メ ン トと呼 ぶ が,具 体 的 なSPAセ グ メ ン トの設 定 の仕 方 につ い て は 付 録1に 示 す 。
2.成 功 してい る企業が相関 を示す変数の抽出 と定性的 な経営 成功要因の設定
第1章 で 導 入 し た 各SPAセ グ メ ン ト との 相 関 を調 べ,以 下 の4つ のSPA セ グ メ ン トと明 らか な 正 の 相 関 を示 した 変 数 を抽 出 す る。 こ れ は 「 次 の4セ グ メ ン トと相 関 を示 す 変 数 は,経 営 を成 功 させ る た め の 何 らか の 要 因 に な っ て い る 」 とす る仮 説 に基 づ く もの で あ る。
・SPA111(売 上 利 益 と も伸 び て お り ,積 極 的)
・SPA112(売 上 利 益 は伸 び て い る が ,非 積 極 的)
・SPA121(売 上 が 伸 び て お り ,積 極 的)
・SPA211(利 益 が伸 び て お り ,積 極 的)
抽 出 さ れ た 変 数 は55変 数 で あ るが,こ れ らを以 下 の9つ の グ ル ー プ に類 型 化
し,経 営 成 功 要 因 を 設 定 した 。 結 果 を 図 表2に 示 す 。 た だ し,こ の 類 型 化 は定
性 的 な もの で あ り,統 計 的 な 裏 付 け な どは な い。
94
KFSl KFS2
KFS3 KFS4 KFS5 KFS6 KFS7 KFS8 KFS9
商 学 討 究 第49巻 第1号 無謀経 営の 回避
企業 間競 争の厳 しさの認識 地域 や北海道 に とらわれない経営 変革 的な取組
経営者 の資質 顧客 ・市 場尊重 情報活用 人的資 源の尊重 組 織運営 の効率化
図表2定 性 的 な経 営成功要 因の類型化結 果 類 型 化 し た
経営 成功 要 因 抽 出 し た 変 数
(KFS1)
無 謀 経 営 の 回 避
重点 市場 セ グ メ ン トへ の経 営 資源 の集 中 衰退 分野 か らの早 期撤 退
製 品 ラ イ ン は 強 い も の に 限 定
緻密 な計 画 力
(KFS2)
企 業 間 競 争 の 厳 し さ の 認 識
商 品やサ ー ビス の差 別化
製 品 ラ イ ン,品 揃 え,サ ー ビ ス メ ニ ュ ー の 豊 富 さ
価格競争力
流 通 チ ャ ネ ル の 強 さ
マ ー ケ テ ィ ン グ情 報(商 品,サ ー ビス 情 報)
製 品情報
(KFS3)
地 域 や 北 海 道 に と らわ れ な い 経 営
道外 へ の事 業展 開の 必要性 生 産販 売活動 の広 が り(道 内) 生産 販売 活 動の広 が り(道 外) 生 産販売 活動 の広 が り(海 外) 国 際化 の必 要性
(KFS4) 変 革 的 な 取 組
新 しい ア イデ アの受 け入 れ
冒 険心
北 海道 企業 の活 性化 方策 に関す る実証研 究
95 (KFS5)経 営 者 の 資 質
繊 細 さ ・気 配 り
統 率力
持続力
社 長 の リ ー ダー シ ップ (KFS6)
顧 客 ・市 場 尊 重
民 間か らの安 定 的 な受 注 官 公庁 か らの安 定 的な受 注 変 革時 の対応 と しての新 規市 場 開拓 変 革時 の対応 と しての新 規事 業 の展 開 新規 顧 客開拓 力
最 終利 用状 況の把 握 組織 的 な顧 客防 衛
マ ー ケ テ ィ ン グ情 報(顧 客 情 報 、 消 費 者 動 向) (KFS7)
情 報 活 用
情報収集能力 業 界内 で の情 報 流通
公 的 機 関 な どの 対 面 式 コ ンサ ル テ ィ ン グ,カ ウ ン セ リ ン グ
社外 の専 門家の ア ドバ イス
情報 化教 育 の必 要性
情 報化 教育 の適切 な教育 内容 の把 握 情 報化 教育 の担 当 セ クシ ョンの設 置 情 報化 教育 の社 外 セ ミナーへ の参 加
ワ ー プ ロ 専 用 機 の 利 活 用 パ ソ コ ン を ワー プ ロ と して 利 活 用
パ ソコ ンを表計 算 として利活 用
パ ソ コ ン をDBと して 利 活 用中 型,大 型 コ ン ピ ュ ー タの 利 活 用 イ ン タ ー ネ ッ トや パ ソ コ ン通 信 の 活 用 (KFS8)
人 的 資 源 の 尊 重
営 業力 の 強 さ 技術 開発力
製 品 ・サ ー ビ ス の 企 画 力
変 革時 の対応 と して研 究 開発 の 強化 公 平 さ
従 業員 の新 規事 業展 開や 経営 へ の参加 の積 極性 社内研修
社外研修 従業 員 の社外 活 動
変 革時 の対 応 としての 人材 の登 用
(KFS9)組織 運営 の効率 化
合 理化 された業 務運 営
変 革時 の対応 としての組 織 の再編 成
96
商 学 討 究 第49巻 第1号
3.経 営成功要因の精緻化及び有意性の確認
図 表2に 示 した 経 営 成 功 要 因 は,恐 ら くそ れ ほ ど不 適切 な設 定 に な っ て い る もの は ない と思 わ れ る が,定 性 的 な 判 断 に基 づ く もの な の で,解 釈 の 誤 りな ど を含 ん で い る可 能 性 もあ る 。
そ こで,9つ の 経 営 成 功 要 因毎 に,因 子 分 析 お よ び信 頼 性 分 析 を 行 っ て,不 適 切 な 変 数 を そ れ ぞ れ の 経 営 成 功 要 因 か ら除外 し,経 営 成 功 要 因 を よ り精 緻 化 す る 。
精 緻 化 の 具 体 的 な手 順 は 図 表3の 通 りで あ る 。 ま た,図 表4に 各KFSに そ
類型 化 した経 営 成功 要 因 ごとの 全変 数 を対象 とす る
↓
対 象 と した 変数 に対 して 因子 分析 を行 い 第1因 子 の結 果 か ら最 もそ ぐわ ない変 数
を見出 して お く
↓
因子 分析 を行 った変 数 に対 して 信頼 性分 析 を行 い α値 を求め る
(α1)
↓
先 の 因子分 析 の第1因 子の 結果 か ら最 もそ ぐ わ ない変数 を除外 した 変数 に対 して,信 頼性 分 析 を行 い α値 を求め る(α2)
α1>α2NO‑一 一■ 〉
YES
α2を 示 した 変数 群 (そ ぐわ ない 変数 を 除外 した 変数 群)を 新 た な対 象 とす る a1を 示 した変 数群 を 当該経営 成功 要 因
を構 成す る変数 とす る
図 表3経 営成 功要 因 の精緻 化 の手順
北 海道 企業 の活 性化 方策 に 関す る実証研 究
97図 表4KFS1の 精緻 化 の過程
1回 目 2回 目 3回 目 4回 目 5回 目 6回 目 7回 目
α
値
及
び
構
成
変
数
の
第
1
因
子
の
値 K F S
‑
α値 .3666 .3869 ,3460
重点セグメントへの経営資源の集中 .62040 .67959 .77763
衰退分野からの早期撤退 .65736 .61064 一
製品ラインは強いものに限定 .66765 .71761,77763
緻密な計画力 .34953 一 }
K
D r ρD 9臼
α値 .5655 .6299 ,7072 .7202 .6710
商品やサー ビスの差別化 .60846 .60808 .36117 一 一
製品ライン,品 揃え,サ ービスメニューの豊富さ .77731 .77730 .60882 .78108 一 価格競争力 .73903 ,73949 .55823.79394 .75282 流通チ ャネルの強 さ .79043 .79068 ,63271 .82963 .75282 マーケテ ィング情報(商 品,サ ービス情報) ,18289 .18174 一 一 一
製品情報 .01905 一 一 一 一
K
D r
S 3
α値 .5675. 6279, 6117
道外への事業展開の必要性 .77294 .59973 .70805
生産販売活動の広がり(道内) 一,0461 一 一
生産販売活動の広がり(道外) .72281 .52606 .60860 生産販売活動の広がり(海外) .66778 .44193 一
国際化の必要性 .66682 、44430 .40288
K 4
α値 .3788
新しいアイデアの受け入れ .78728
冒険心 ,78728
K
Dr
S 5
α値 .5178 .6830 .6511
繊細 さ ・気配 り .73752 .54551 一
統率力 .80934 .66195.74136
持続力 .79245 ,62979 ,74136
社長の リーダーシ ップ(率 先力) ,13851 一 一
KDr Sρo
α値 .1646 .3526 .3712 .3842 、荏228 .4401 .4287 民間からの安定的な受注 .71576 ,68696,69726 .69845 .70079 .72008 .79828
官公庁からの安定的な受注 「5606 一 一 『 一 一 『
変革時の対応としての新規市場開拓 .31633 ,36026.36529 、38151 ,40400 『 一 変革時の対応としての新規事業の展開 ,14909 .22529、20236 『 一 一 『
新規顧客開拓力 .59391 .71097.71543 ,71973 .72446.73296 .79828
最終利用状況の把握
.01249
,18681 一 一 一 一 一組織的な顧客防衛 ,14562 .20593 .22202,21108 一 一 一 マーケテ ィング情報(顧 客情報,消 費者動向) .56976 .53076,53229 .54322.54489 .60151 一 K
F S 7
α値 .6359 .6425 .6456 ,6371
情報収集能力 .34853 .34804,34512 .32680 業界内での情報流通 .26053 .26013 .25889 一 公的機関などの対面式コンサルティング,カウンセリング ,13869 .13664 一 一
98
商 学 討 究 第49巻 第1号
α
値
及
び
構
成
変
数
の
第
1
因
子
の
値 K F S 7
社外の専門家のアドバイス ,34453 .34282,33941 ,32772 情報化教育の必要性 .49506 ,49624 .49958.49755 情報化教育の適切な教育内容の把握 ,43714 ,43820 .43618.42439 情報化教育の担当セクションの設置 ,48338 .48432 .48496 .48673 情報化教育の社外セミナーへの参加 ,55249 .55173 .54763 ,53362
ワー プロ専用機の利活用 .06742 一 一 一
パ ソコンをワープロと して利活用 .53939 ,54273 .54470 .55688 パソコンを表計算として利活用 .48074 .47929 .48137 .50187
一
パ ソコンをDBと して利活用 .56748 ,56782.56964 .57530 中型,大 型 コンピュー タの利活用 ,31475 ,31142 .31922 .31756
インター ネッ トやパソコ ン通信の活用 ,63429 ,63531 .63787 .63542
K F S 8
α値 ,6473 ,6653 .6690 ,6722 ,6660
営業力の強さ .51424 .51393 ,50794 。52092 .54516 技術開発力 .65103 .65071.65597 .64177 .67289 製品 ・サー ビスの企画力 .69734 ,69792.70331 ,69932 .73291 変革時の対応としての研究開発の強化 .30277 .30291 .31873 一 一
公平さ ,26445 26486 一 一 一
従業員の新規事業展開や経営への参加積極性 ,63727 .63765 .64193 .64578 ,64123
社内研修 ,57001 .57080 ,57219 .58389 .56625
社外研修 ,57132 ,57225 、57689 .58542 ,56962
従類 の社外活動
,42215 .42205 .41744 .44128}変革時の対応としての人材の登用 .02670 一 一 一 一
K Qソ
α値 一.0393 一
合理化された業務運営 ,71390 一
変革時の対応としての組織の再編成 一.7239 一
K F S 10
α値 .2175 ,3457 ,3654 ,3647 緻密な計画力 .22138 ,55058 .55086 .56818
商品やサービスの差別化 「2517 一 一 一
マーケテ ィング情報(商 品,サ ー ビス情報) 一,5405 一 一 一
製品情報 一.5318 一 一 一
生産販売活動の広がり(道内) .05731 ,14530.13711 ,12810
社長の リーダーシ ップ(率 先力) 一.1303 一 一 一
官公庁からの安定的な受注 .70535 ,51426 、51118 .49332
変革時の対応としての新規市場開拓 一.1870 一 一 一
変革時の対応としての新規事業の展開 ,08492 .16212 ,17577 ,18434 最終利用状況の把握 ,39595 ,48376 ,48766 .48369 組織的な顧客防衛 ,02633 ,11333 .11700 ,11219 公的機関などの対面式コンサルティング,カウンセリング .52733 ,40591 .40347,39167 ワープロ専用機の利活用 .25922 .25982 .25588.24907
公平さ .31648 .56003 .56022 .57348
変革時の対応としての研究開発の強化 一.0951 一 一 一
北海 道 企業 の活性 化 方策 に関す る実 証研 究
99α
値 及 び 構 成 変 数 の 第 1 因 子 の 値
K F S 10
変革時の対応としての人材の登用 ,13784 .10861 ,11480 一 合理化された業務運営 ,08634 ,39072,39563 ,40364 変革時の対応としての組織の再編成 ,11188 .09069 一 一
K F S n
α値 ,1855 ,2668 .2711 .2664 商品やサービスの差別化 .61936 .69001 ,70775,71955 マーケティング情報(商 品,サ ー ビス情報) .42986 .46618 ,43896,46797
製品情報 ,23713 ,23246 一 一
社 長のリーダー シップ(率 先力) ,30183 ,35253 ,36966 一 変革時の対応としての新規市場開拓 .49916 .42862,42149 .43362 変革時の対応としての研究開発の強化 .54262 ,51844,55054 .59188
変革時の対応としての組織の再編成一 ,2891 一 一 一
K E
α値
製品情報 ,7163 一
変革時の対応としての組織の再編成 一.7163 一
ぐわ な い変 数 を除 去 す る過 程 で の 第1因 子 の 値 と α値 を示 す 。
な お,こ の 精 緻 化 の 過 程 で 除去 さ れ た 変 数 は,SPAセ グ メ ン トと相 関 が あ る もの の,変 数 の 類 型 化 が 不 適 切 なた め 除 去 され た と解 釈 で きる 。した が っ て, 適 切 な類 型 化 を見 出す 必 要 性 が あ る。 こ の た め,除 去 され た変 数 に つ い て も図 表3の 方 式 を適 用 し,α 値 に 基 づ い て 類 型 化 す る 。 図 表4のKFS10以 降 は こ の 結 果 を示 す も の で あ る。 つ ま り,KFS10の 変 数 はKFS1〜KFS9の 精 緻 化 の 過 程 で 除 去 さ れ た 変 数 と な っ て お り,続 くKFS11はKFS10の 精 緻 化 の過 程 で 除 去 され た も の で,KFS12つ い て も 同様 で あ る 。 た だ し,KFS12ま で残 っ た2変 数 は,因 子 分 析 の 結 果 逆 方 向 を示 す 変 数 な の で,と も にKFSと して は採 用 され な か っ た 。
図 表4に 抽 出 した 経 営 成 功 要 因 の 有 意 性 の確 認 は,定 数 項 を持 つ 重 線 型 回帰 分 析 に基 づ い て行 っ た 。 重 線 型 回帰 分析 に あ た り,従 属 変 数 は 第1章 で 用 い た SPAセ グ メ ン トを規 定 す る3変 数(い ず れ も3点 尺 度)を1〜3の 値 で3(要 す る に最 大 値)が 最 も望 ま しい値 に 変 換 した う えで 合 計 した 合 成 変 数 を用 い た 。
また 独 立 変 数 は,第3章 で精 緻 化 した 各 経 営 成 功 要 因 ご とに,構 成 す る 変 数 を
1〜5の 値 を もつ5点 尺 度 で,5が 最 も望 ま しい値 に変 換 し,こ れ を合 計 し た
合 成 変 数 を採 用 した 。 ま た,重 回 帰 分 析 は 独 立 変 数 の 投 入F確 率 を0.05,除 去
ヱ00
商 学 討 究 第49巻 第1号
確 率 を0.1と す る ス テ ップ ワ イ ズ 方 式 で 行 っ た 。 ス テ ッ プ ワ イ ズ 方 式 を用 い る こ と に よ っ て,各 経 営 成 功 要 因 の 従 属 変 数 に対 す る 寄 与 率 と も言 え る 係 数 (Beta係 数)が 求 め られ る ば か りで な く,有 意 性 の低 い 経 営 成 功 要 因 を 除 去 す る こ と もで きる 。
結 果 を図 表5に 示 す 。 図 表5に は,精 緻 化 の効 果 を確 認 す る た め,図 表2に 示 した精 緻 化 して い な い経 営 成 功 要 因 の 構 成 変 数 に よ る結 果 も併 せ て示 す 。 な お,精 緻 化 前 の場 合 も従 属 変 数 は 同 じ と した 。
図表5重 回帰 分析 によ る経 営成 功要 因 の序列 づ けの結 果 精 緻 化後 の結果 精 緻化 前 の結果
適
R2乗 係 数 .52877 .51946合 R2乗 係 数 の 平 方 根
.27960 .26984度 調整 済 みR2
.27391 .26490投 入 された経 営成 功 要因 と KFS2(,122566) KFS2(.211518)
Beta係 数(括 弧 内)KFS3(.116850) KFS3(.141339)
KFS6(。193659)
KFS5(,058866)
KFS7(.100543) KFS6(.159927) KFS8(.121894) KFS7(,075874) KFS10(.091366) KFS8(,162066) KFS11(.135692)
除去 され た経営 成功 要 因
KFS1 KFS1KFS4 KFS4
KFS5 KFS9
※KFS9は 事 前 に 除 去 済
み
図 表5の 結 果 よ り,精 緻 化 した 経 営 成 功 要 因 の 方 が 適 合 度(調 整 済 みR2の 値) が 高 い 重 線 型 回 帰 モ デ ル を導 出す る され た こ とが わ か る。 また,精 緻 化 す る こ
とに よ っ て,KFS5(経 営 者 の 資 質)が 経 営 成 功 要 因 か ら除 去 さ れ た 。
精 緻 化 処 理 を施 した経 営 成 功 要 因 変 数 を用 い た ス テ ップ ワ イ ズ 方 式 の 重 線 型
回帰 分 析 よ り抽 出 さ れ た 経 営 成 功 要 因 は以 下 の 通 りで あ る 。
北 海道 企業 の活 性化 方 策 に関す る実証研 究 KFS2:マ ー ケ テ ィ ング 機 能 の 重 要 性
KFS2を 構 成 す る変 数 は 以 下 の 通 りで あ る。
・製 品 ラ イ ン,品 揃 え,サ ー ビスメニ ューの豊富 さ(の 重要性)
・価 格 競 争 力(の 重 要 性)
・流 通 チ ャ ネ ル の 強 さ(の 重 要 性)
101
KFS2は そ も そ も は 「企 業 間 競 争 の 厳 し さ 」 の 観 点 で 定 性 的 に 類 型 化 し た 変 数 群 で あ っ た が,上 記 し た3つ の 変 数 の 意 味 す る 内 容 は,そ れ ぞ れ 順 に 製 品 (Product),価 格(Price),流 通(Place)と な っ て お り,「 マ ・…一ケ テ ィ ン グ 機 能 」 の 重 要 性 を 示 し て い る と 考 え ら れ る 。
KFS3:北 海 道 に と らわ れ な い経 営
KFS3を 構 成 す る 変 数 は 以 下 の 通 りで あ る。
・道 外 へ の 事 業 展 開 の必 要 性
・生 産 販 売 活 動 の 広 が り(道 外)
・生 産 販 売 活 動 の 広 が り(海 外)
・国 際 化 の 必 要性
KFS3の 構 成 変 数 が 意 味 す る も の は,ほ ぼ 当 初 の とお り 「 北 海 道 に と ら わ れ ない 経 営 」 と解 釈 す る こ とが で きる 。
KFS6:民 間市 場(民 需)
KFS6を 構 成 す る 変 数 は 以 下 の通 りで あ る。
・民 問 か らの安 定 的 な受 注
・新 規 顧 客 開拓 力
・マ ー ケ テ ィ ン グ情 報(顧 客 情 報 ,消 費 者 情 報)
KFS6は,最 初 は 顧 客 ・市 場 尊 重 と し て 類 型 化 さ れ た 経 営 成 功 要 因 で あ っ
た が,精 緻 化 に よ っ て 残 っ た 上 記3変 数 は,「 民 間 市 場(民 需)」 の 重 要 性 と考
え る こ とが で き る 。
ヱ02
商 学 討 究 第49巻 第1号 KFS7:情 報 活 用 技 能
KFS7を 構 成 す る変 数 は 以 下 の通 りで あ る。
・情 報 収 集 能 力
・業 界 内 で の 情 報 流 通
・社 外 の 専 門家 の ア ドバ イス
・情 報 化 教 育 の 必 要 性
・情 報 化 教 育 の 適 切 な教 育 内 容
・情 報 化 教 育 の 担 当 セ ク シ ョ ンの 設 置
・情 報 化 教 育 の 社 外 セ ミナ ー へ の 参 加
・パ ソ コ ンを ワー プ ロ と し て利 活 用
・パ ソ コ ン を 表 計 算 と して 利 活 用
・パ ソ コ ン をDBと して 利 活 用
・中型 ,大 型 コ ン ピ ュ ー タ を利 活 用
・イ ン タ ー ネ ッ トや パ ソ コ ン通 信 の 活 用
KFS7は も と も との 定性 的 類 型 化 の 通 り,「 情 報 活 用 技 能 」 の 重 要 性 を示 す もの とな っ て い る 。
KFS8:人 的技 能
KFS8を 構 成 す る変 数 は 以 下 の通 りで あ る。
・営 業 力 の 強 さ
・技 術 開 発 力
・製 品 ・サ ー ビス の 企 画 力
・従 業 員 の新 規 事 業 展 開 や 経 営 へ の 積 極 的参 加
・社 内研 修
・社 外 研 修
・従 業 員 の社 外 活 動
KFS8は,元 は 「 人 的 資 源 の 尊 重 」 と して 類 型 化 し た 変 数 の 集 ま りで あ っ
た が,上 記 変 数 を み る と,「 人 的技 能 」 の重 要 性 を示 す 内 容 に な っ て い る。
北 海道 企業 の活性 化方 策 に関す る実 証研 究 KFS10:そ の 他 の経 営 成 功 要 因(度 外 視)
KFS10の 変 数 は以 下 の 通 りで あ る。
・緻 密 な 計 画 力
・生 産 販 売 活 動 の広 が り(道 内)
・官 公 庁 か らの 安 定 的 な受 注
・変 革 時 の 対 応 と して の 新 規 事 業 の 展 開
・最 終 利 用 状 況 の 把 握
・組 織 的 な顧 客 防 衛
・公 的 機 関 な どの 対 面 式 コ ン サ ル テ ィ ング ,カ ウ ン セ リ ン グ
・ワー プ ロ専 用 機 の活 用
・公 平 さ
・変 革 時 の対 応 と して の 人 材 の登 用
・合 理 化 さ れ た 業 務 運 営
ZO3
KFS10を 構 成 す る 変 数 は,KFS1〜KFS9の 精 緻 化 の 過 程 で 除 去 さ れ た 変 数 が 元 に な っ て お り,上 記11変 数 を見 て も ま とま りは 感 じ られ ない 。ち な み に, 上 記11変 数 を 因子 分析 す る と4つ もの 因 子 が 導 出 され る(図 表6参 照)。 また, KFS10のBeta係 数 も他 のKFSのBeta係 数 と比 較 す る と最 も小 さ く,逆 に標 準
図 表6KFS10の 変数 か ら抽 出 され る4因 子
Factor1 Factor2 Factor3 Factor4
緻密 な計 画 力
.55082 一.43062 一.06576 一
.24285
生 産販売 活動 の広 が り(道 内)
.13711 一 〇5596 .53474 .07609官公 庁 か らの安 定的 な受 注
.51118 .54705 .07085 一.16272変革時の対応としての新規事業の展開
.17577 .02396 一.55846 .53351最終 利用 状 況の把 握
.48776 .04369 一.06606 .16060組織 的 な顧客 防衛
.11700 一.24109 .27964 .57724 公 的 機 関 な どの 対 面 式 コ ンサ ルテ ィ ン グ,カ ウ ンセ リ ン グ .40347 .59239 一.08972 一 .20744
ワー プロ専用 機 の利活 用
.25588 .24362 一.15719 .42560公平 さ
.56022 一.42689 .01340 一.23345変革時の対応 としての人材の登用
.11480 .26456 ,61237 .23977合理 化 され た業務 運営
.39536 一.31523 .05807 。11368ヱ04
商 学 討 究 第49巻 第1号 誤 差 は最 大(図 表7参 照)と な っ て い る 。 こ れ らの 点 か ら,KFS10と して ま と め ら れ た 経 営 成 功 要 因 は,「 そ の他 の 経 営 成 功 要 因」 と判 断 せ ざ る を えず, 有 意 性 も抽 出 さ れ た 経 営 成 功 要 因 の 中 で は 最 も低 い 。 実 際 に,ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る重 線 型 回帰 分 析 の 投 入F確 率 を0.003ま で 下 げ る と本 変 数 は 除 去
され る(図 表8参 照)。
図 表7抽 出 さ れ たKFS の標 準 誤差
KFS2 .375517 KFS3 .320606 KFS6 .336793 KFS7 .566217 KFS8 .423831 KFS10 .739861 KFS11 .568625これ らの 点 か ら,KFSIOは 以 降 の分 析 に お い て,度 外 視 して 扱 う こ と とす る 。
図表8重 回帰分 析 に よ る経 営成 功要 因の序 列 づ けの結 果 (ステ ップ ワイズ法 の投 入F確 率0.003の 時)
精 緻化 後 の結果 精 緻化 前 の結果
適
R2乗 係 数 .52212 .51190合 R2乗 係 数 の平 方根
.27261 .26204度 調整 済みR2
.26769 .25872投 入 され た経 営成功 要 因 と KFS2(.134594) KFS2(.214346)
Beta係 数(括 弧 内)KFS3(.109640) KFS3(.144662) KFS6(.183115) KFS6(.173267) KFS7(.113395) KFS8(.206433) KFS8(.148548)
KFS11(.120231)
除去 され た経営 成功 要 因
KFS1 KFS1KFS4 KFS4
KFS5 KFS5
KFS10 KFS7
※KFS9は 事 前 に 除去 済
KFS9み
KFS11:新 商 品 開発 に よ る差 別化
KFS11を 構 成 す る変 数 は以 下 の 通 りで あ る 。
・商 品 や サ ー ビス の 差 別 化
・マ ー ケ テ ィ ン グ情 報(商 品 ,サ ー ビ ス情 報)
・社 長 の リー ダ ー シ ッ プ(率 先 力)
北 海 道企 業 の活性 化方 策 に関す る実 証研 究
105・変 革 時 の対 応 と して の 新 規 市 場 開 拓
・変 革 時 の対 応 と して の研 究 開発 の 強 化
上 記5変 数 は 「 新 商 品 開発 に よ る差 別 化 」 と解 釈 で き る。 一 見 す る と社 長 の リ ー ダ ー シ ップ(率 先 力)だ け が 異 質 に 感 じ られ る が,こ れ は 新 商 品 開発 に伴 う投 資 の 意 思 決 定 な ど,社 長 の 率 先 的 な リ ー ダ ー シ ップ な しに は 新 商 品 開 発 が 進 ま な い こ と を考 え合 わせ る と,決 して 不 自然 な組 み 合 わせ で は な い。
以 上 の 考 察 よ り注 目 す べ き経 営 成 功 要 因 お よび そ の 序 列 は 図 表6のBeta係 数 の大 き さ よ り以 下 の 通 りで あ る。(括 弧 内 はBeta係 数 値)
①KFS6:民 間 市 場(O.193659>
②KFS11:新 商 品 開 発 に よ る差 別 化(0.135692)
③KFS2:マ ー ケ テ ィ ン グ機 能(0.122566)
④KFS8:人 的技 能(0,121894)
⑤KFS3:北 海 道 に と らわ れ な い経 営(0.116850)
⑥KFS7:情 報 活 用 技 能(0.100543)
な お,上 記 序 列 に つ い て は ス テ ップ ワ イ ズ 法 の投 入F確 率 を0.003と した 図 表8の 結 果 で は 異 な っ た もの と な っ て い るが,KFS6が 最 も重 要 な経 営 成 功 要 因 で あ る こ とは 双 方 の結 果 か ら言 え る 。
4.経 営成功要因間の相関の明確化
第3章 で 明 らか に し た経 営 成 功 要 因 が北 海 道 企 業 の 経 営 に大 き く寄 与 して い る こ と は 間 違 い な い が,実 際 の 企 業 が どの よ う に して これ らの経 営 成 功 要 因 を 身 につ け て い くか が 現 実 的 な 課 題 で あ り重 要 と な る 。
こ の 点 を明 確 に す る た め に は まず,抽 出 され た経 営 成 功 要 因 ど う しの相 関 を
確 認 す る こ とが 有 効 と考 え られ る。 とい うの は,そ れ ぞ れ の経 営 成 功 要 因 が 独
立 し た 関 係 に あ れ ば,経 営 成 功 要 因 を1つ ず つ 身 に つ け て い け ば よ い こ と に な
り,そ れ が 可 能 と思 わ れ る か らで あ る。 逆 に,経 営 成 功 要 因 ど う しが 強 い 相 関
を示 す こ と に な れ ば,経 営 成 功 要 因 は そ れ ぞ れ に 身 に つ け る こ と は困 難 で,何
106商 学 討 究 第49巻 第1号
らか の他 の 方 策 を も っ て,複 数 の 経 営 成 功 要 因 を 同 時 に身 につ け て い か な け れ ば な らな い か らで あ る。
第3章 で 抽 出 した6つ の経 営 成 功 要 因 の 相 関 を 図表9に 示 す 。 図表9抽 出 した経営成 功 要因 の相関
KFS2 KFS3 KFS6 KFS7 KFS8 KFS11
KFS2 1.00 1996** 3439** .2163** .4560** .2764**
KFS3 1996** 1.00 1517** 1940** 2733** 3250**
KFS6 3439** 1517** 1.00 2152* 3796** 3247**
KFS7 2163** 1940** 2152* 1.00 .4366** 1814**
KFS8 .4560** 2733** 3796** .4366** 1.00 2639**
KFS11 2764** 3250** 3247** 1814** 2639** 1.00 凡 例:*‑Signif.LE.05**‑Signi£LE.01
図 表9の 結 果 よ り,抽 出 され た6つ の 経 営 成 功 要 因 は 明 らか に強 い 相 関 を示 して い る。 した が っ て,こ れ らの経 営 成 功 要 因 が 企 業 に お い て 身 につ く場 合 に は,そ れ ぞ れ が 個 々独 立 に 身 につ く もの で は な く,何 らか の 施 策 に よ っ て ほ ぼ 同時 に 醸 成 さ れ て い く もの と考 え られ る。
5.経 営成功要因 と変革時の対応方策 との相関に基づ く分析
経 営 成 功 要 因 が そ れ ぞ れ独 立 に身 につ か な い と した 場 合,ど の よ う な 方 策 に よ っ て そ れ ら を ほ ぼ 同 時 に 身 に つ け て い け ば 良 い か を 明 らか に し な け れ ば な ら な い 。
こ の た め,経 営 成 功 要 因 と変 革 時 の対 応 方 策 の相 関 を調 べ る。 ア ン ケ ー トで 調 査 して い る変 革 時 の 対 応 方 策 は 以 下 の12項 目 で あ る 。 この12項 目 と経 営 成 功 要 因 の相 関 を図 表10に 示 す 。
・経 営 ポ リ シ ー の変 更
・組 織 の 再 編 成
・人 員 削 減
北海 道 企業 の活性 化 方策 に関す る実 証研 究
107・経 費 削 減
・研 究 開発 の 強 化
・業 務 の 効 率 化
・職 務 分 掌 の 変 更
・新 規 市 場 の 開 拓
・新 規 事 業 の展 開
・人材 の 登 用
・他 社 との 合 併 ・連 携
・大 手 系 列 傘 下 へ の 加 入
図 表10変 革時 の対 応 方策 と経 営成功 要 因 との 相関
変 革 時の対 応
KFS2 KFS3 KFS6 KFS7 KFS8 KFSIl 経営ポ リシーの変更 一.0094 一。0242 .0442 .0884** .0028 一.0246組織再編成
一.0021 一.OlO2 一 .Ol34 .096α* .0202 一.055P人員削 減
一 .1229** 一.0304 一 .0570ネ 一 .0436 一.0922** 一 .1043**経 費削 減
一.109P* 一 .ll85** 一 .0736** 一 .1379料 一 .ll97** 一 .1869**研 究開 発強化
.ll76** .2660** .0904** .0915** .177P* .3662**業務効率化
.0335 一.0835*ホ 一 .0043 .0097 .0351 一.0894**職務 分掌 の 変更
一.0247 一.0824串* 一 .0546* 一 .0473 一.0439 一 .1031**新規市場開拓
.06工2* ,1255** .1364** .0505 .0712* .5063**新規事業展開
.0331 。0743* .0699" .0293 .0831** .0262人材 の登 用
.0436 一.0060 一.Ol25 .0368 .0236 一.0395他社 と合 併
.0078 .Ol27 .Ol62 .0269 .O!60 一.0083大手 傘下加 入
一.0267 ,0248 一.0074 一 .0515* 一 .0364 一.OO54*‑Signif
.LE。05**‑Signif.LE.Ol
図 表10に は,正 の相 関 だ け で な く負 の相 関 も示 して い るが,正 負 につ い て は 相 関係 数 の符 号 か ら識 別 す る こ とが で きる。 した が っ て,経 営 成 功 要 因 に全 般
的 に 好 影 響 を 及 ぼ す 対 応 方 策 は,
・研 究 開発 の 強 化
・新 規 市 場 の 開 拓
で あ り,逆 に
108
商 学 討 究 第49巻 第1号
・人 員 削 減
・経 費 削 減
につ い て は 明 らか な 悪 影 響 を及 ぼ す こ とが わ か る。 要 す る に北 海 道 企 業 の全 般 的 な傾 向 と して,成 功 して い る 企 業 は,研 究 開 発 の 強化 や 新 規 市 場 の 開 拓 を進 め る こ とに よ っ て,前 述 した経 営 成 功 要 因 を 強 め てお り,逆 に成 功 に い た っ て い ない 企 業 は 経 費 削 減 や 人 員 削 減 な ど の方 策 に よ っ て経 営 成 功 要 因 を 弱 体 化 さ せ て い る と考 え られ る の で あ る 。
しか し この結 果 は,業 種 や 規 模 等 の 属 性 に よ らな い全 北 海 道 企 業 の 全 般 的 な傾 向 を示 す もの で あ り,こ れ らの 属性 に よっ て規 定 され るセ グ メ ン ト毎 に み る と, 必 ず し もこ の全 般 的 な傾 向 に 当該 セ グ メ ン トの 企 業 群 が準 じる とはい え ない 。
そ こで 以 降 の 章 で は,設 立 後 の経 過 年 数,従 業 員 規 模,業 種 で規 定 され る そ れ ぞ れ の セ グ メ ン トに つ い て,経 営 の 成 功 を規 定 す る構 造 が,第3章 で抽 出 し た経 営 成 功 要 因 に準 ず る か 否 か,準 じた 場 合 に,そ れ ぞ れ の セ グ メ ン トの 実 際 の対 応 方 策 が どの よ う な傾 向 を示 して い る か な ど につ い て分 析 を行 う。
分 析 の 方 法 は,第3章 で 抽 出 した 経 営 成 功 要 因 同 士 の 相 関 の 強 さの 度 合 い, 及 び,本 章 で既 に 明 らか に した 経 営 成 功 要 因 に つ い て 好 悪 影 響 を及 ぼ す4つ の 施 策(研 究 開発 の 強 化,新 規 市 場 の 開 拓,人 員 削 減,経 費 削 減)と 経 営 成 功 要 因 の相 関 の 強 さ に よ る確 認 で あ る。 これ に よ っ て,そ れ ぞ れ の セ グ メ ン トが ど の程 度,全 般 的 な傾 向 と同 じ傾 向 を示 して い る か を把 握 す る こ とが 可 能 と思 わ れ る 。 逆 に い う と,あ ま り相 関 を示 さ ない セ グ メ ン トは,全 般 的 な傾 向 と は異
な る,特 異 な構 造 を有 す る 可 能 性 が 高 い と言 え る 。
北 海 道企業 の活 性化 方 策 に関す る実証研 究
1096.経 過年数 と経営成功要因に関する分析
北海道企 業の設立 後の経過年 数毎 の分析 を行 うに当 り,経 過 年数の 区分 を図 表11の 様 に 設 定 す る 。 こ の設 定 は,そ れ ぞ れ
の 区 分 の論 理 的 な 意 味 合 い だ け で な く,相 関 分 析 等 の統 計 処 理 を 施 す に あ た り,対 象 と な る 企 業 数 の 分 布 もあ る 程 度 考 慮 し て定 め た も の で あ る 。な お,設 立 後 の 経 過 年 数 は ア ンケ ー ト実 施 時 点(1996年)の 経 過 年 数 を用 い て い る。
次 に 図表11の 区分 ご と に,6つ の 経 営 成 功 要 因 毎 の相 関 を調 べ た 結 果 を 図 表12に そ れ ぞ れ の 相 関 の 強 さ を記 号 で 示 す 。
図表11経 過年 数毎 の 区分
区 分 対象社数
10年 未 満 36
10年 以 上15年 未 満 77 15年 以 上20年 未 満 117 20年 以 上25年 未 満 210 25年 以 上30年 未 満 205 30年 以 上35年 未 満 198 35年 以 上40年 未 満 182 40年 以 上45年 未 満 172 45年 以 上50年 未 満 155
50年 以 上 86
※社数 に は無効 回答社 数 も含 む
図表12経 過年 数 区分 毎 の経 営成 功要 因間 の相 関
KFS2 KFS3 KFS6 KFS7 KFS8 KFS11
10 年 未満
KFS2 \ *
KFS3
KFS6 \
KFS7 **
KFS8 * ** \
KFS11 10
以 上 15 未 満
KFS2 \ ** ** *
KFS3 *
KFS6 ** \ * ** *
KFS7 * \ ** *
KFS8 ** * ** ** \
KFS11 * * *
15 以 上 20 未満
KFS2 ** ** * ** **
KFS3 ** \ * ** *
KFS6 ** \ ** ** **
KFS7 * * ** **
KFS8 ** ** ** ** \
KFS11 ** * ** \
ヱヱ0
商 学 討 究 第49巻 第1号
20 以 上 251 未 満
KFS2 * ** ・ ** ** *
KFS3 * * * ** **
KFS6 ** * ** ** **
KFS7 ** * ** **
驚
KFS8 ** ** ** ** **
KFS11 * ** ** ** **
25 以 上 30 未 満
KFS2 F ** ** ** **
KFS3 * **
KFS6 ** ** ** **
KFS7 ** ** ** **
KFS8 ** * ** ** **
KFS11 ** ** ** ** **
30 以 上 35 未 満
KFS2 * **' ** ** **
KFS3 * ** ** **
KFS6 ** ** ** **
KFS7 ** ** *
KFS8 **' ** ** ** **
KFS11 ** ** ** * **
35 以 上 40 未 満
KFS2 * ** ** ** **
KFS3 * ** * ** *
KFS6 ** ** ** ** **
KFS7 ** * ** ** *
KFS8 ** ** ** ** **
KFS11 ** * ** * **
40 以 上 45 未 満
KFS2 ** ** ** **
KFS3 ** ** ** **
KFS6 ** ** **
KFS7 ** **
KFS8 ** ** ** ** **
KFS11 ** ** ** **
45 以 上 50 未 満
KFS2 ** ** * ** **
KFS3 ** ** ** **
KFS6 ** ** ** **
KFS7 * ** ** **
KFS8 ** ** ** ** **
KFS11 ** ** ** **
50 年 以 上
KFS2 ** * ** **
KFS3 *
KFS6 ** ** **
KFS7 * **
KFS8 ** ** **
KFS11 ** . * *「
北 海道 企業 の活性 化 方策 に関す る実 証研 究111
図 表12の 結 果 よ り,設 立 後 の経 過 年 数 が15年 未 満 の2セ グ メ ン ト(5年 未 満 と5〜10の セ グ メ ン ト)と50年 以 上 の セ グ メ ン トにお い て,経 営 成 功 要 因 相 互 の相 関 が 弱 い よ うで あ る 。 これ らの セ グ メ ン トに つ い て は,別 途,経 営 を成 功 させ る 要 因 等 に 関 す る分 析 が 必 要 と考 え られ る 。
な お,そ れ以 外 の セ グ メ ン トは,ほ ぼ経 営 成 功 要 因 相 互 の 相 関 を示 して い る
図表13経 過年 数 ご との 経営成 功 要因 と対応 方策 の相 関
経過年数 対 応 方 策
KFS2 KFS4 KFS6 KFS7 KFS8 KFS1115年 以 上 20年 未 満
悪影響 人員 削減
経 費削 減
* ** * **好影響 研 究 開発 強化
** **
新規市場開発
**20年 以 上 25年 未 満
悪影響 人員削 減
* * *
経 費削 減
* * **好影響 研 究 開発強 化
** ** **
新規市場開発
** * **25年 以 上 30年 未 満
悪影響 人員削 減
経費削減
**好影響 研 究 開発 強化
* ** * ** **
新規市場開発
**30年 以 上 35年 未 満
悪影 響 人員削 減
経 費削 減
* ** ** * ** **好影響 研 究 開発 強化
** **
新規市場開発
* ** **35年 以 上 40年 未 満
悪影響 人 員削 減
**
経 費 削減 好影響 研 究 開発 強化
** * ** **
新規市場開発
**40年 以 上 45年 未 満
悪影響 人員削 減 経費削減
好影響 研究開発強化
** ** **新規市場開発
** * **45年 以 上 50年 未 満
悪影響 人員 削減
経 費削 減
** *好影響 研 究 開発 強化
** **
新規市場開発
**ヱ12
商 学 討 究 第49巻 第1号
よ うで あ る。 これ ら の セ グ メ ン トに つ い て,具 体 的 な対 応 方 策 と経 営 成 功 要 因 の 相 関 の 強 さ を 図 表13に 示 す 。 な お,図 表13も 図 表12と 同 様 に相 関 の 強 さ の み
を示 す 。
図 表13の 結 果 よ り,設 立 後 の 経 過 年 数 が25年 未 満 の 企 業 にお い て は,経 費 削 減 や 人 員 削 減 の経 営 成 功 要 因 の 醸 成 に 悪 影 響 を 及 ぼ す と考 え られ る対 応 法 策 を 取 り易 い 傾 向 が 出 て い る よ うで あ る 。 次 の25年 以 上30年 未 満 の 企 業 セ グ メ ン ト
に お い て は,研 究 開 発 の 強 化 とい う経 営 成 功 要 因 に とっ て好 影 響 を 及 ぼ す 方 策 が 強 くで て,経 費 削 減 や 人 員 削 減 とい う方 策 は弱 くな っ て い る。 とこ ろ が,次 の30年 以 上35年 未 満 の 企 業 セ グ メ ン トで は再 び,経 費 削 減 の 悪 影 響 が 強 く出 て い る。 そ の 後 の35年 以 上40年 未 満,40年 以 上45年 未 満 の 企 業 セ グ メ ン トで は, 人 員 削 減 や 経 費 削 減 は弱 くな っ て い る が,最 後 の45年 以 上50年 未 満 の セ グ メ ン
トで は,経 費 削 減 の 悪 影 響 が 再 びや や 出 て い る よ うで あ る。
7.従 業員規模 と経営成功要因 に関する分析
第6章 の 設 立 後 の 経 過 年 数 と同 様 の分 析 を,北 海 道 企 業 の従 業 員 規 模 で 規 定 され る セ グ メ ン トに対 して行 う。 図 表14に 設 定 した 従 業 員 規 模 の 区分 を 示 す 。 な お,従 業 員 数10人 未 満 の 企 業 は,そ もそ も ア ンケ ー ト調 査 対 象 か ら除外 し た が,こ こ で 用 い た デ ー タ は や や 古 い
もの で あ り,ア ンケ ー トの 設 問 と し て 調 査 した 従 業 員 数へ の 回答 に は10 人 未 満 の 数 字 も多 くみ られ る 。 今 回 分 析 に 用 い た 図 表14の 区 分 は ア ン ケ ー ト結 果 の 従 業 員 数 に基 づ くもの で,結 果 的 に従 業 員 数 が10人 未 満 の 企 業 も対 象 と な っ た 。
図表14設 定 した従 業 員規模 の 区分
区 分 対象社数
0人 以 上20人 未 満 332
20人 以 上50人 未 満 520
50人 以 上100人 未 満 250 100人 以 上300人 未 満 258
300人 以 上 92