河川 の公益 的機 能評価 に関す る考察(3)
山 本 充
3河 川 の 公 益 的機 能評 価
(4)離 散 的 選 択 モ デ ル に よ る水 辺 利 用 の 分析
① ア ンケ ー ト調 査 お よ び勝 納 川 に対 す る 利 用 意 識
ア ンケ ー ト調 査 は,平 成11年2月 〜3月 に電 話 帳 か ら無 作 為 に抽 出 し た小 樽 市 民504人 を 対 象 に,被 験 者 の属 性,利 用 状 況,勝 納 川 に対 す る環 境 要 素 と感 覚 的 イ メ ー ジ の 評 価 等 に つ い て調 査 した 。 調 査 票 の 配 布 お よび 回 収 は 郵 送 法 で 行 っ た 。 そ の 結 果,有 効 回収 数 は124件(回 収 率24,6%)で あ っ た。
ま た,回 答 者 の属 性 は平 均 年齢 が 約60歳,男 女 比 は約87%が 男 性,約3割 が 子 供 の 居 る世 帯 で7割 が 夫 婦2人 暮 ら し も し くは1人 暮 ら しの 世 帯 で あ っ た 。 被 験 者 の 居 住 地 か ら河 川 まで の平 均 所 要 時 間 は約18分 で,ア クセ ス 方 法 は31%が 徒 歩,45%が 自家 用 車,20%が バ ス と して い る5)。 調 査 票 は,対 象 河 川 に 関 す る認 知,訪 問 の 有 無,最 近2年 以 内 の利 用 の 有 無 と年 間 の 利 用 回 数, 対 象 河 川 まで の所 要 時 間 と移 動 の た め の 交 通 手 段,29項 目の 現 状 の 河 川 環 境 に対 す る評 価(表6),環 境 改 善 に伴 な う利 用 機 会 の 変 化(具 体 的 に は,被 験 者 が 評価 した29項 目の 現 状 評 価 レベ ル が1レ ベ ル 向 上 した と きの 利 用 の有 無,同 様 に2レ ベ ル 向上 し た と き の利 用 の 有 無 を 問 う もの と した),お よ び 個 人 属 性 に 関す る 質 問 構 成 で あ る。 こ の 集 計 結 果 に よ る と,92.7%が 勝 納 川 を実 際 に 訪 れ た経 験 が あ る もの の,現 状 の 河 川 環 境 は 余 暇 的 利 用 が不 可 能 な 5)利 用 の有 無 にか かわ らず対 象河 川 まで のア クセ ス手段 と所 要時 間 を求め た結果 で
あ る。
〔47〕
48 商 学 討 究 第50巻 第4号 表6水 辺の認 識 ・評価 項 目
河川環境 の構成要素 感覚的評価指標
環 境 的 要 素
1水 が きれい 2嫌 な匂 い が しな い 3ゴ ミが 少 ない 4水 量 が 多 い 5木 が 多い 6花 が 多い 7草 が 多い 8昆 虫が 多 い 9魚 が 多 い 10鳥 が 多い 11人 が 多 い
施 設 的 要 素
12遊 歩 道 が多 い 13堤 防 が緩 や か 14遊 び場 所 が 多 い 15公 園 が多 い 16休 む場 所 が 多 い 17ト イ レが 多 い 18駐 車場 が 多 い
心 象 イ メ 1 ジ
19歩 きや す い 20静 か で あ る 21水 際 まで 降 りや す い 22危 険 を感 じない 23気 軽 にい け る 24場 所 が 分 か りや す い 25親 しみ やす い川
蕩 渓 占
26眺 め て み た い川 27水 に触 れ た くな る川 28入 りた くな る川 29泳 ぎた くな る川
状 態 で あ る こ とか ら余 暇 的 利 用 は わ ず か12.9%が 利 用 して い る に 過 ぎず, 周 辺 を散 歩 す る こ と に よる わ ず か な利 用 が 見 られ る程 度 で あ る 。
勝 納 川 に対 す る環 境 要 素 と感 覚 的 イ メ ー ジ の 評 価 につ い て は,表6に 示 し た29項 目につ い て5件 法(5段 階 評 価)を 適 用 し,(良 い,や や 良 い,ふ つ う, や や 悪 い,悪 い)=(1,0.5,0,‑O.5,‑1)と して 評 点 化 した 平 均 値 を 図13に 示 す 。 認 識 ・評 価 項 目は 表6に 示 す よ う に 河 川 環 境 の構 成 要 素 と して 環 境 的 要 素 と施 設 的要 素 に対 す る 評 価 項 目 と,感 覚 的評 価 指 標 と して 心 象 イ メ ー ジ と 活 動 イ メ ー ジに 対 す る 認 識 指 標 項 目で構 成 して い る。 評 点平 均 は 一〇.47であ り,場 所 の認 識 と整 合 的 な 項 目 「場 所 が わ か りや す い 」 を 除 くす べ て の項 目 が低 い 評 価 とな っ て い る 。 特 に評 価 の 低 い項 目は,施 設 的 要 素 群 お よび 活 動 イ メ ー ジ群 で あ り河 川 空 間 内 で の 活 動 が で きな い と い う対 象 河 川 の現 状 を反 映 して い る。 また,河 川構 成 要 素 群 にお い て は 水 質 面 に 関 す る項 目に比 し て 生 物 的 要 素 に 関 す る項 目が 低 く評 価 され て い る 。 調 査 票 で は,勝 納 川 再 生 事 業 が 環 境 改 善効 果 を 目的 と して い る こ と か ら,事 業 実 施 後 の 環 境 が 被 験 者 の 現 状 評 価 を1ラ ン ク お よび2ラ ン ク上 昇 させ た 場 合 に対 象 河 川 にお け る 余 暇 的 利 用 が 発 生 す る か否 か を質 問 した 。 こ れ は 図13に お い て 実 線 で 示 され る現 状 評 価 が,破 線 お よび 点 線 で 示 され る水 準 へ そ れ ぞ れ0.5ポ イ ン トお よび1
ポ イ ン トシ フ トす る こ と を意 味 す る。 こ の結 果,環 境 評 価 が1ラ ンク上 昇 す
河 川の公 益 的機能 評価 に関す る考察(3) 49
る よ う な場 合 は,現 在 利 用 が な い 人 の うち 約1/3が 利 用 す る 意 向 を示 し(全 が利 用意 向 に改 善 され
%時
さ らに2ラ ン ク上 昇 の 場 合 は全 体 で 約56
, )
%が 利
こ こで は す べ て の 認 識 ・評 価 項 目が 同
14)。
用図(
い る
36て
体 で約 を示 し
再生事 業 による環境 改善効 る こ と を仮 定 して い る た め過 大 評 価 で は あ るが,
果 を 示 唆 して い る 。
一 ◆一現 状 一 →■ 一 言平点1UP
・‑i・‑S¥点2UP
\
甑
瓦㍉b︑︑へ只6'9,,'
護
声
㌦㌔ム∩﹃ノ9
﹁唾
声▲ 唇︑
︑▲!
\ ︑A!ピ
㌔ ︑ う^.
9・.
▲ 冷㌦へ㌦顧亀へ︑︑︑η︑︑ 岐︑ ︑,ノ,''﹁''6ノ,﹁9三
・辱亀︑
︑ ︑
﹁,','.声8!
〆
旨
職
か
レ
㌔ ︑A!
ど
㌦ 覧 噛︑丹9',9'一▲
㌦ 馳.
︑
︑
ハ!8.'1
欺,︑︑貝
ゼ
︑ ︑
︑
刃ノゴ ■︑\︑取
)'︑
質!ノごノ
ヤ
虫
唱
﹂
︑ ︑
み1旨
一■.ノ,へ ︑ ︑
ハ ︑ ︑
Mt V>
N
1.00
O.50
0.00
一〇.50
一1.00 泳ぎたくなる川
入りたくなる川
水に触れたくなる川
眺めてみたい川
親しみゃすい川
場所が分かりやすい
気軽にいける
危険を感じない
水際まで降りやすい
静かである
歩きやすい
駐車場が多い
トイレが多い
休む場所が多い
公園が多い
遊び場所が多い
堤防が緩やか
遊歩道が多い
人が多い
鳥が多い
魚が多い
昆虫が多い
草が多い
花が多い
木が多い
水量が多い
ゴミが少ない
嫌な匂いがしない
水がきれい
勝納川 の 河州環 境 に対 す る認 識 図13
現状
1レベル改 善後
2レベル改 善後
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
ロ 利 絹する 瞳 利用 しない
河 川環境 改 善 によ る利 用変 化 図14
50 商 学 討 究 第50巻 第4号
② 離 散 的 選 択 モ デ ル の水 辺 利 用 行 動 と環 境 評 価 へ の 適 用
離 散 的 選 択 モ デ ル は,観 察 さ れ た デ ー タ に基 づ い て 消 費 者 や企 業 な ど の意 思 決 定 者 が 選 択 肢 集 合 か ら特 定 の選 択 肢 を選 択 す る確 率 を推 計 す る もの で あ る。
離 散 的 選 択 モ デ ル の基 本 的 前 提 は,意 思 決 定 者 は選 択 肢 集 合 の 中 か ら も っ と も望 ま しい 選 択 肢 を選 択 す る こ とで あ る。 言 い換 え れ ば,意 思 決 定 者 は選 択 肢 集 合 の 中 か ら 自 己 の効 用 を最 大 化 す る選 択 肢 を 選択 す る とい う こ とで あ り,効 用 最 大 化 の 原 理 を仮 定 して,こ の よ う な選 択 行 動 を合 理 的 で あ る と考 え る。 選 択 肢 の 持 つ 効 用 は,そ の選 択 肢 の 持 つ 特 性 と,意 思 決 定 者 の 持 つ 特 性(属 性)に よ っ て 異 な る。 つ ま り,選 択 肢 と意 思 決 定者 の 特 性 に よ り選 択 肢 か ら得 られ る 効 用 が 規 定 さ れ る の で あ る。 意 思 決 定 者 〃が 選 択 可 能 な 選 択 肢 集 合 をJn,Jnの 選 択 肢iか らの 効 用 をUinと す る と,nは 効 用 最 大 化 行 動 に よ り選 択 を行 う の で,ゴ が 選 択 さ れ る とい う こ と は ん に属 す る ゴ以 外 の選 択 肢 ブか ら得 られ る効 用 よ り も ゴの 効 用 の ほ う が 大 き い とい う こ とで あ る。 よ って,
Uin>防"」 ∈ 」。,i≠ ブ
⑪で あ る 。 こ の よ うな 状 況 で は,選 択 肢 ゴの効 用 が 最 大 で あれ ば,そ の 選 択 確 率 は1で あ り,最 大 で な け れ ば0で あ る。 つ ま り,選 択 肢 と意 思 決 定者 の 特 性 が 完 全 に捉 え られ る の で あ れ ば,そ の意 思 決 定 者 の 選 択 行 動 を完 全 に 予 測 す る こ とが 可 能 とな る 。 しか しな が ら,完 全 に 選 択 肢 と意 思 決 定 者 の特 性 を 捉 え る こ とは 不 可 能 で あ り,そ の た め 選 択 行 動 を予 測 す る こ とが 困 難 で あ る と考 え る こ とが 現 実 的 で あ る。 そ こで,観 察 され た 選 択 肢 と意 思 決 定 者 の特 性 か ら効 用 の 一 部 を知 る こ とが で き る と考 え,観 察 され て い な い特 性 に依 存 す る効 用 と,観 察 さ れ た 特 性 に依 存 す る効 用 に 分 け て 考 え る の で あ る。 観 察 され て い る特 性 に よ り規 定 さ れ る 効 用 をVin,観 察 さ れ な い 特 性 に 依 存 す る 部 分 を 選 択 肢 と意 思 決 定 者 の 両 方 の 特 性 を合 わ せ て 未 知 の 効 用 と して ε勿
(確率 項)と す る と,効 用 防πは,
河川 の公 益 的機能 評価 に関 す る考察(3)
5ヱ
Uin=Vin+εin
⑫と表 現 で き る(た だ し,こ こ で は 確 定 項 と確 率 項 の線 形 性 を仮 定 して い る)。
ラ ンダ ム 効 用 理 論(確 率 効 用 理 論)で は,こ の 未 知 の効 用 を あ らわ す 部 分 が 確 率 的 に 変 動 す る と考 え,8inを 確 率 変 数(randomvariable)と 考 え る の で あ る。 これ は効 用 砺 を確 率 変 数 とみ な す こ と に な る 。 この よ う に効 用 が 確 率 的 に変 動 す る と考 え る こ とは,第 一 に,意 思 決 定 者 の 行 動 は必 ず し も常 に合 理 的 選 択 行 動 に厳 密 に従 う と は 限 らず,正 確 な 情 報 が 得 られ た と して も, そ れ に対 す る反 応 が行 動 時 点 で異 な る可 能性 も十 分 あ る と考 え られ る こ と, 第 二 に,情 報 の 不 完 全 性 の 問 題 と して 利 用 可 能 な 選 択 肢 の範 囲 や そ の特 性 に 関 して十 分 な 情 報 が得 られ な い こ と も あ る こ と,第 三 に,選 択 肢 の特 性 や 意 思 決 定 者 の特 性(社 会 経 済 属 性)の 要 因 の 中 に は 測 定 困難 な もの も存 在 す る こ と,な どか ら妥 当 な 考 え方 で あ る。 よっ て 意 思 決 定 者 〃が 選 択 肢 づを 選 択 す る確 率 」㌦ は,
Pin=Pr(乙lin>U7'n,ブ ∈ .1〃,i4・ ブ)
=Pr(Vi
n+εin>巧 κ+εju,ブ ∈Jn,i≠ ブ)(13)
と 表 現 で き る.た だ し,O・{IP、 。・{11・ΣPin‑1で あ る 。
ゴ∈ろ,
こ こで,水 辺 利 用 へ の 適 用 を考 え る と,住 民 は 現 状 の 河 川 環 境 を評 価 し最 も望 ま しい(効 用 を最 大 化 す る)河 川 環 境 を選 択 し利 用 す る と考 え られ る。
こ の と き一 般 的 に は,同 一 河 川 につ い て 環 境 の異 な る 複 数 の水 辺 が 存 在 し, そ の 中 か ら個 人 に と っ て最 適 な場 所 を 選 択 す る と考 え られ るが,本 研 究 で は 対 象 河 川 にお い て 現 状 で この よ う な場 所 の 選 択 が 困 難 で あ る こ とか ら住 民 が 河 川 環 境 を評 価 し水 辺 を 「利 用 す る」 と 「利 用 しな い 」 を選 択 す る と仮 定 す る 。 そ こで,水 辺 の 特 性 お よび 個 入 的属 性 デ ー タを 観 察 可 能 な特 性 と し て水 辺 利 用 の 選 択 行 動 を捉 え る こ と と し,住 民 個 人 の河 川 環 境 に対 す る 主 観 的 評 価 が水 辺 特 性 を規 定 し水 辺 利 用 行 動 に大 き く影 響 を 及 ぼ す と考 え た 。そ こ で,
52商 学 討 究 第50巻 第4号
水 辺 の 特 性 変 数 ベ ク トル(主 観 的 評 価 デ ー タ)をQin,個 人 属 性 ベ ク トル を Zn,Bを 未 知 パ ラ メ ー タベ ク トル と して 間接 効 用 関 数 を
Vin=!(Qin,Zn,B) αの
と し,水 辺 を 「利 用 す る(i=1)」 と 「利 用 し な い(i=2)」 と す る二 項 選 択 問 題 と して確 率 変 数 にIIDの ガ ンベ ル分 布 を 仮 定 す る と㈲ 式 の 二 項 ロ ジ ッ ト モ デ ル が 与 え られ る 。 また,簡 単 化 の た め こ こで は効 用 関 数 は線 形 を仮 定 し た 。
Pln‑ ,xp(exp(Vin)Vln)+exp(V2n)⑮
P2n=1‑Pln ⑯
モ デ ル の推 定 に使 用 した 主 観 的評 価 デ ー タは,ア ンケ ー ト調 査 で 得 られ た 29の 水 辺 の 認 識 ・評 価 項 目 につ い て の 回 答 で あ る。 これ らは順 序 尺 度 で あ る が(良 い,や や 良 い,ふ つ う,や や 悪 い,悪 い)=(5,4,3,2,1)と して 間 隔 尺 度 とみ な して使 用 した 。 そ の 結 果 を表7に 示 す 。
モ デ ル1で は,個 人 属 性 と して河 川 まで の所 要 時 問 を使 用 し,水 辺 の特 性 変 数 と して29項 目の 主 観 的 評 価 デ ー タ をす べ て使 用 した が,パ ラ メー タ の符 号 条 件 が 論 理 的 に説 明 で き な い項 目 とt値 が小 さ く利 用 行 動 に影 響 を与 え な い 要 因 とみ な され る項 目が 河 川 環 境 の構 成 要 素 に 関 して 多 くみ られ る。 こ の こ と よ り,主 観 的 評 価 デ ー タ に は誤 差 が 多 く含 ま れ る と考 え られ,利 用 行 動 と主 観 的 評 価 が 必 ず し も整 合 的 で は な い こ とが 分 か る。 モ デ ル2お よ び モ デ ル3は モ デ ル1よ り符 号 条 件 が 論 理 的 で は な く もの とt値 が 小 さい も の を 除 外 し た モ デ ル で あ る 。 再 現 精 度(的 中率)は や や 上 昇 し,ρ2は モ デ ル1に 比 べ 低 くな っ て い るが0.2〜0.4で も十分 高 い 適 合 度 を もつ こ とか ら こ こ で は モ デ ル3を 最 適 な モ デ ル と した 。 また モ デ ル4は,総 合 的 な評 価 を表 す 集 約 変 数 と して 集 約 指 標 を取 り入 れ た モ デ ル で あ る。 具 体 的 に は対 象 と な る主 観 的 評 価 デ ー タ が(や や 悪 い,悪 い)=(2,1)と な る 変 数 の 反 応 数 を用 い た。
河川 の公 益 的機能 評価 に関 す る考 察(3) 53 した が って,こ の 変 数 は不 満 度 を表 現 す る こ とに な るが 推 定 結 果 で は 再 現 精 度 お よ びt値 の 改 善 が 見 られ る もの の パ ラ メ ー タの 符 号 条 件 が 正 で あ り論 理 的 に説 明 が で きな い も の とな った 。
ま た,モ デ ル3の 推 定 結 果 を用 い て 河 川 環 境 に対 す る主 観 的評 価 水 準 に よ り利 用 行 動 の変 化 を求 め る と図15の よ う に な る。 全 体 的 な 印象 と も考 え られ る 「親 しみ や す さ」 の 向上 に よ り利 用 行 動 が 大 き く変 化 す る こ と,お よ び1
レベ ル の 改 善 で は 変 化 が 小 さい が2レ ベ ル の 改 善 に よ り大 き く利 用 行 動 が 増 加 す る こ とが分 か る。
次 に,こ の推 定 結 果 を用 い た 水 辺 特 性 の 変 化(=主 観 的 評 価 水 準 の 変 化) に伴 な う便 益 計 測 を試 み る 。 こ こ で水 辺 利 用 に伴 う時 間費 用 に つ い て は,ア ンケ ー ト調 査 か ら得 られ た所 得 額 と河 川 ま で の所 要 時 間 お よび 利 用 回数(最 頻 値 と してす べ て 同 一 値 と し た)に 基 づ き,往 復 の 移 動 時 間 と利 用 回数 よ り 移 動 の 時 間 費用 を使 用 した 。 便 益 評 価 は水 辺 特 性 変 化 前 後 の効 用 差 と して⑰ 式 で 求 め られ る(i萩 原 他(1998),Hanemann(1984))。
す べて2Up
(水のきれいさ+休む場所+親しみやすさ)2up
(水のきれいさ+休む場所)2叩
水のきれいさ2up
すべ て1Up
(水のきれいさ琳 む場所+親しみやすさ)1up
(水 のき れ いさ+休 む 場 所)1up
水 の きれ い さtup
現 状
0%tO%20%309640%50%60×70%80撃690%1009t
■ 利 用 する 国 利 用 しな い
図15評 価水 準 の変化 に よ る利 用行 動の変 化
Ii
灘難麟 灘 懸 烈
IlI
鰹験 ミ 竹
灘
llllll 1
購'鐡 羅 灘 撚 灘 灘灘 欝麟簿1纒懸購 講講灘 融 黙識 嚇
圃 購 灘懸 灘 澱 譲 灘 翻 懸睡"写
}灘醗灘 茸 繊 購,
illll11
・灘 潔 蕪獺'灘 繋難 燃 雛雛 灘 、§灘 ㈱ 懸 袴
聴聾璽
̲.齢 旨、鱒鵬灘 騰 懸難 織 雛懇灘灘灘 縫憲灘灘 離雛譲雛灘灘繍 1[【Illll
灘灘 轡懸 購譲灘雛囎難灘1隷灘 難灘灘灘灘 驚螺繍 趨灘懸灘
1[1111111 1111}llIl 騨
一一 1}lil[}Il
54 商 学 討 究 第5。巻 第4号 表7パ ラメ ータの 推定 結果
Variable
モ デ ル1モ デ ル2モ デ ル3モ デ ル4
Parametert‑ratioParametert‑ratioParametert‑ratioParametert‑ratio
Constant 所 要 時 間 水 が きれ い 嫌 な匂 いが しな い
ゴ ミが 少 ない 水 量 が多 い 木 が 多 い 花 が 多 い 草 が 多 い 昆 虫 が多 い 魚 が 多 い 鳥 が 多い 入 が 多 い 遊 歩 道が 多 い 堤 防 が緩 や か 遊 び場 所 が 多 い 公 園 が多 い 休 む場 所 が 多 い
トイ レが 多 い 駐車 場 が 多 い 歩 きや す い 静 か であ る 水 際 まで 降 りや す い 危 険 を感 じな い 気軽 にい け る 場所 が 分 か りや す い 親 しみや す い川 眺 め てみ た い川 水 に触 れ た くな る川 入 りた くな る川 泳 ぎた くなる川 集約 指 標
469776937214418423796823662958991321040121・06661121・282・98・54・・.・・・・⁝0・・・・・⁝0⁝0・・‑・︒11101001010一〇1000110000一〇〇︻11一一︻[一一一一一一一一︻一
7416152473561182857538149316986607880801020000981008080918085140・2004001100・722460・01046・1345・・1・・・・・・・⁝6・・・⁝0・・⁝2・⁝100100001000︻0102200100013321一一一一[一︻[一一一︻一一︻
一7.198‑3。19
‑0 .002‑O.95
0.3710.67
‑0 .001‑0.16
0.0060.27
一〇.544‑O.54
0.6090.65 0.3050.32
0‑0.04 0.0030.01
0.2540.37 0.0040.28
0。7491.43 0.6071
‑0 .044‑O.05
‑0 .684‑0.69
一6.672‑3.74‑15.527
‑0 .001‑O.46‑0.001
0.4531.010.921
0.1920.27 0.0430.05
一2.98
‑0 ,63
1.76
1.0151.39
0.290.48
0.9022.661.3613.04
0.2391.89
ρ2(*)的 中 率
0.50 91.30%
0.27 91.30%
O.20 92.20%
0。27 93.20%
(*)ρ2:McFaddenの 決 定 係 数
河 川 の公益 的機 能評 価 に関す る考 察(3) 55
CV‑一 一k‑{in[Σ ・xp(胃)]‑1n[Σ ・xp(巧)]}
こ こ で,Bは 所 得 の 限 界 効 用,V'は 変 化 後 の 効 用 水 準 で あ る。
⑳
CV値 の 推 定 結 果 は,水 辺 特 性 の1レ ベ ル 上 昇 で は平 均3,441円/人 ・年(=
C71),2レ ベ ル の 上 昇 で は 平 均6,573円/人 ・年(=CV2)と な り, DB‑CVMのWTP中 央 値 と 比 較 す る と,CV1<WTP<CV2と な る。
CVMで は,河 川 環 境 の水 準 変 化 が 不 明 瞭 な た め 回 答 者 の 主 観 的 評 価 水 準 の 変 化 が 個 々人 で 異 な り,結 果 的 に 中 間 的 な値 とな っ た と解 釈 で き る。 ま た, CV2は,2㎞ 圏 内 の サ ン プ ル に 基 づ くWTP中 央 値 に ほ ぼ 等 しい こ と と も合 わ せ て 考 え る と,CV1を 下 限 値,CV2を 上 限 値 と して み る こ とが 適 当 で あ ろ う。
本 研 究 で は,時 間価 値 と して 賃 金 単 価 の考 え 方 を用 い たが,こ の こ とは水 辺 利 用 の機 会 費 用 を労 働 の 価 値 と して 考 え て い る た め 年 金 生 活 者 や 子 供 な ど の 所 得 の な い 人 々 の 時 間価 値 と して は 適 当 で は な い6)が,世 帯 単 位 と して考 え る こ とで 便 益 の ひ とつ の 目安 と な る 。、また,CVMの 結 果 との 比 較 で は, CVMで は 勝 納 川 再 生 事 業 に よ り河 川 環 境 の どの よ う な要 素 が,ど の 程 度 改 善 さ れ る か は明 確 で な く,支 払 い 意 志 額 と環 境 改 善 水 準 との 関係 が 明 示 的 に 示 さ れ な い7)。 本研 究 で 適 用 した 離 散 的 選 択 モ デ ル に基 づ く評 価 方 法 で は, 複 数 の事 業 代 替 案 に対 す る受 益 者 の 選 好 に基 づ い た 評 価 が 可 能 で あ る。 こ の こ とは複 数 の 代 替 案 の 相 対 的 な優 劣 を比 較 評 価 で き る た め単 独 の 計 画 案 の便 益 評 価 に 適用 す る よ りも事 業 計 画 に 有 用 な計 画 情 報 が 得 られ る 。
6)ま た,余 暇 活 動 の 価 値 と し て も妥 当 で は な い か も し れ な い 。 人 々 が 余 暇 時 間 と引 き替 え に どの よ う な 活 動 を選 択 す る の か,余 暇 時 間 と の 代 替 が 可 能 で あ る か な ど, 人 々 の 余 暇 活 動 の 機 会 費 用 に つ い て も個 々 人 に よ り異 な る と考 え られ る た め,そ の 計 測 ・評 価 方 法 が 課 題 で あ る。
7)こ の 観 点 か ら は コ ン ジ ョ イ ン ト分 析 の 方 が プ ロ フ ァ イ ル と し て 事 業 内 容 や 環 境 改 善 内 容 が 明 示 的 に な る の で 有 効 で あ る と考 え ら れ る。
56 商 学 討 究 第50巻 第4号
4.水 辺 環 境 の 認 識構 造 分 析
離 散 的 選 択 モ デ ル で は,河 川 環 境 に対 す る主 観 的評 価 デ ー タ を個 々 に独 立 変 数 と し て取 り扱 っ た が,パ ラ メ ー タ推 定 結 果 か ら個 別 の 環 境 要 素 に対 す る認 識 が 利 用 行 動 に 影響 して い る と考 え る よ り も,河 川 環 境 に 対 す る総 体 的 な 認 識 ・ 評 価 が 利 用 行 動 に 大 き く影 響 を及 ぼ して い る と考 え る こ とが 適 当 で あ る と考 え
られ る。 つ ま り,個 別 の 環 境 要 素 に対 す る 認 識 が 総 体 的 な 評 価 に結 び つ い て い る と考 え られ,1つ の 仮 説 と して 河 川 環 境 構 成 要 素 に対 す る認 識 が 全 体 と して あ るい は い くつ か の 要 素 グ ル ー プ と して感 覚 的 評 価 指 標 に 対 す る認 識 に 影 響 を 及 ぼ す と い う原 因 一結 果 の 因 果 関 係 が 存 在 す る と考 え られ るの で あ る 。さ らに, 被 験 者 が か な らず し も原 因 一結 果 の 関係 か ら認 識 して い る と は限 らず,個 人 が もつ 河 川 環 境(あ るい は水 辺)に 対 す る理 想 像(構 成 概 念)が 基 礎 とな り河 川 環 境 の 特 性 を認 識 ・評 価 して い る と も考 え られ る。 つ ま り,直 接 観 察 で き な い 構 成 概 念 が 河 川 環 境 の 認 識 ・評価 に影 響 を 及 ぼ して い る 因 果 関 係 の存 在 も考 え
られ るの で あ る 。 以 上 の仮 設 を図 式 的 に表 現 し た もの が 図16で あ る。
そ こで,上 述 の 仮 説 に 基 づ き観 察 され る多 くの 現 象 を表 す 変 数 の 背 後 に潜 み, そ れ ら に影 響 を 与 え る(あ る い は 影 響 を受 け る)要 因 で あ り直 接 観 察 で き な い 仮 説 的 な 変 数 と して 潜 在 変 数(latentvariable)を 導 入 して 観 測 変 数 との 問 の 因果 関 係 を分 析 す る共 分 散 構 造 分 析 を適 用 し,水 辺 環 境 の 認 識 構 造 を考 察 す る 。
理想的な河川像 (構成概念)
図16河 川利 用行 動 と環境 評価 意識 との 因果 関係 に関 す る仮 設
河 川 の公益 的機 能評 価 に関す る考 察(3) 57 (1)潜 在 変 数 の 抽 出
共 分 散 構 造 分 析 の 目的 は① 適 切 な 潜 在 変 数 を設 定 す る こ と,② 設 定 さ れ た潜 在 変 数 の妥 当 性 と潜 在 変 数 問 の 因 果 関 係 を検 証 す る こ とで あ る(豊 田他,1992)。
しか しな が ら,潜 在 変 数 に 関す る何 らか の仮 説 が 設 定 で き ない よ う な場 合 に は, どの よ う な潜 在 変 数 を設 定 す る こ とが 適 切 で あ る か を検 討 す る必 要 が あ る。 観 測 変 数 と して 河 川 環 境 の 認 識 ・評 価 デ ー タ を使 用 して ケ ン ドー ル の 順 位 相 関係 数 に よ り観 測 変 数 間 の相 関 関 係 を分 析 し た とこ ろ,ほ と ん どの観 測 変 数 問 で相 関 関 係 が 観 察 され,特 に感 覚 的 評 価 指標 間の 相 関,感 覚 的 評 価 指 標 と施 設 的 要 素 との 問 の相 関 が 強 い傾 向 が 見 られ た 。 こ の こ と よ り観 測 変 数 の 背 後 に潜 む 少 数 の 潜 在 変 数 が 観 測 変 数 に影 響 を与 え て い る た め 観 測 変 数 間 の 相 関 関 係 が 生 じ て い る と考 え られ る。
そ こで,観 測 変 数(主 観 的 評 価 デ ー タ)を 使 用 して 因 子 分 析 を行 い 因子(潜 在 変 数)の 抽 出 を行 う。 因 子 分 析 で は,分 析 結 果(因 子)の 解 釈 が 容 易 に な る
よ う に因 子 の 回 転 を行 うが,一 般 的 に はバ リマ ッ クス 回 転 が よ く使 用 さ れ る 。 バ リマ ッ ク ス 回 転 で 得 られ る解 は直 交 解 で あ り因 子(潜 在 変 数)問 に相 関 が な い もの と して 導 出 さ れ る 。 しか し,観 測 変 数 と潜 在 変 数 を用 い て 因 果 関係 を分 析 す る に は 因 子 ど う しが 無 相 関 で あ る と考 え る よ りは 因子 間 の 相 関 を前 提 と し た ほ うが 適 切 で あ る た め,因 子 問 の相 関 を仮 定 して 導 出 さ れ る斜 交 解 を求 め ら れ る斜 交 プ ロ マ ッ ク ス 回転 を適 用 した 。 ケ ン ドー ル の 順 位 相 関係 数 に よ る観 測 変 数 間 の 相 関 関 係 が み られ なか っ た7変 数 を 除外 した22変 数 を使 用 した結 果 が 表8で あ る。 分析 モ デ ル1で は,固 有 値1以 上 の 成 分 が5つ 得 られ た。 累積 寄 与 率 は70.5%で あ るが,因 子1の み で 約41%を 占 め る。 各 因子 につ い て解 釈 を 行 う と,因 子1は 河 川 敷 の 施 設 的要 素 と強 い 関係 を もつ こ とか ら 「河 川 敷 で の 活 動 の しや す さ」 と解 釈 で き る。 因子2は 感 覚 的 評価 指 標 の 中 で 身 近 な水 辺 と して の 指 標 と強 い 関 係 が 見 られ る こ とか ら 「水 辺 の 親 近 感 」 と解 釈 で きる 。 因 子3は 環 境 的 要 素,施 設 的 要 素 心 象 イ メー ジ指 標 が 絡 み 合 っ て お りや や複 雑 で あ る が水 辺 へ の 接 近 の しや す さ と 自然 が 豊 か な状 態 を表 す もの と関 係 が 強 い こ とか ら 「豊 か な 水 辺 の雰 囲 気 」 と解 釈 で き る。 因 子4は 親 水 活 動 を イ メ ー ジす
58 商 学 討 究 第50巻 第4号
表8 斜 交 プロマ ックス回転 によ る因子分 析結 果
因子パ ターン行列 因子パターン行列
因子 分析モデル1
12345
因子 分析モデル2
共通性123 共通性
「
公園が多い 1,032 0,017‑0,042‑0,205‑0,039 α868公 園 が 多 い 0,968 一〇.195‑0.005 0,795 休む場所 が多い 0,920 軌094‑0,091α064」0,027 α848休 む場所が多い 0,860 0,065‑0,025 0,791
トイ レが 多い 0,893 一〇.082‑0.1100.0900.009 0.704遊 び 場 所 が 多 い 0,848 0.047‑0.OU 0,757
遊び場所が多い 0,821 0.110G,G87‑ObO53‑0,043 0.800ト イ レが 多 い 0.8ig 一〇、1270,083
■
0,607 駐車場が多い 0,516 一〇.032 0.1560.Ol209163 α470遊 歩道が多い 0,725 0,032‑0,058 α537 親 しみやすい川 一〇.047 0,847 一〔LO270 .038‑0LO87 0.650駐 車 場 が 多 い 0,679 一〇.0550,139 0,471 眺めてみたい川 0,023 0,836 一〇。1140.146‑0.068 0.726人 が 多 い 0,601 0,009‑0,022 0,363 気軽にいける 0,054 0,674 0,220‑0.1390,020 0.593水 際 まで 降 りや す い 0,548 0,309‑0,142 0,522 水に触れたくな る川 一〇.003 0,589 一〇.098 0.4380,048 0・783歩 きや す い 0,446 0,31正 0,027 0,438 堤防が緩やか 一〇.10i 0,020 0,744 0,094‑0,220 α487水 に触れたくなる川 一〇,086 0,925 0,056 0,825
人が多い 0,227‑0,023 0,591 一〇,081‑0,025 α503入 りた くな る川 0,011 0,848 一〇。007 0,723
歩 きやすい 0.0540,052 0,533 0.ll60,144 q532眺 め て み た い川 一〇.056 0,8且6 0,013 0,633 遊歩道が多い 0,396‑0,201 0,513 0.0290,032 0.600親 しみ や す い川 一〇,073 0,725 0,003 0.48量
危険を感 じない 一〇.0760.485 0,435 一〇.2940.179 α520'泳 ぎた くな る川 0,174 0,715 一〇,Ol5 0,652
魚が多い 0.1050,134 0,401 0.168一 α012 0.440水 が きれ い 0,039 0,085 0,890 0,869
水際まで降りやすい 0,325‑0,124 0,383 0,273‑0,072 0.541嫌 な 匂 い が しない 一〇.009‑0,026 0,755 0,555
木が多い 0.0830,099 0,299 0,170‑0,074 α260累 積寄与率% 43,660.06878
花が多い 0.1520,208 0,265 0,088 0,087 α382固 有 値 6.9822.6141,414
入 りたくなる川 一〇.0340.045 0,007 0,910 0,053 α888因 子相関行列
泳 ぎたくなる川 一〇.0090.0060。205 0,761 0,022 q779因 子 艮23
嫌な匂いがしない 一〇.051‑0.105‑0.069 一〇.Ol4 0,977 q829童 且.0000.4760,150
水がきれい 0.0640,075‑0.1410,143 0,724 0.6222 .0.4761.0000,358
層累積寄与率
% 41.0253.3960.3465.66了0.50 3 0.1500.3581,000
固有値 9.0252.7221.5291.1711.064
' 因 子 相 関 行列
「
因子 12345 因子パターン行列
1 1.0000.3610.678α4410.237 分析モデル4因 子
2 0.3611.0000.526095820.437 123 共通性
3 0.6780曾5261.000(L468〔L308 公園が多い 0,965 一〇,143‑0,025 0,829
4 0.44玉0・5820・4681.0000.292休 む 場 所 が 多い 0,868 0,111‑0,051 0,831
5 0.2370.4370.308α2921.000 遊び場所が多い 0,838 0,088‑0,044 0,759
トイ レが多い 0,837 一〇.0860.060 0,663
因子パ ターン行列 遊歩道が多い 0,653 O,065‑0,045 0,45?
分析モデル3因 子 駐車場が多い 0,641 一〇.014 0,126 0,444
123 共通性 水に触れたくなる川 一〇.064 0,933 0,028 0,844
層
公園が多い 0,963 一〇.147‑0.020 0,823 眺めてみたい川 一〇.048 0,841 一〇.021 0,662
休む場所が多い 0,857 aHO‑0.046 q812入 りた くな る川 0,043 0,819 0,004 0,707
遊び場所が多い 0,834 0.08置 一〇.OI6 q754親 しみ や す い川 一〇.062 0,729 一〇.Ol玉 0,491
トイ レカ多い 0,816 一〇.0820.065 0.633泳 ぎ た く な る川 0,186 0,684 0,001 0,612
遊歩道力多い 0,694 0,053‑0,060 0.503水 が き れ い 0,037 0,092 0,831 0,773
駐車場力多い 0,663 一〇。0240.123 0,466 嫌な匂いがしない 一〇.015‑0.069 0,831 0,648
人が多し 0,585 0,039 一〇.041 0,356 .累積寄与率
% 44,363,574.1
水に触れたくな る川 一〇.057 0,931 0,035 0,851 固有値 5,762.4921,386
眺めてみたい川 一〇.036 0,838 一〇,025 0,662 因子相関行列
入 りたくなる川 0,032 0,823 0,004 0,704 因子 123
親 しみやす い川 一〇,060 0,729 一〇.Ol6 0,489 蓋 1.0000.4300,167
泳 ぎたくなる川 0,177 0,685 0,003 0.6072 0.4301.0000,385
嫌な匂いがしない 一〇.021 一〇.074 0,843 0,664 3 0.1670.3851,000
水がきれい 0.0280,100 0,818 0,753
■累積寄与率%
固有値
43♂261,871.7
6.0552.5931,386 因子パ ターン行列
'
因 子 相 関 行列 分析モデル5因 子
因子 123 123 共通性
1 1.0000,4300,165 公園が多い 0,964 一〇.1060.007 0,872
2 0.4301.0000.386休 む 場所 が 多い 0,880 0,093‑0,036 0,827
3 0.1650。3861,000 遊び場所 が多い 0,847 0.081‑0,036 0,761
トイ レが 多 い 0,800 一〇.062 0,061 0,626
眺めてみたい川 一〇.038 0,904 一〇.046 0,763 入 りたくなる川 0,030 0,840 α042 0,755 水がきれ い 0,023 0,116 0,827 0,786 嫌な匂いがしない 一〇.Ol7‑0.095 0,818 0,610
累 積寄与率% 46.77(L984.6 脚
固有値 3,7391.9291,100
因子相関行列
因子 123
1 1.0000.3440,158 2 0。3441.0000,418 3 0.董580.4181,000
.
河川 の公 益的機 能 評価 に関 す る考察(3) 59 る こ とか ら 「親 水 性 」 と解 釈 で き,因 子5は 「水 の清 浄 さ」 と解 釈 で き る。 ま た 因 子 間 の 相 関 は 因 子1と 因子3と の 間 で や や 強 い 相 関(0.678)が 見 られ,
も っ と も弱 い 相 関 が 因 子1と 因 子5の 関 係(0.237)で あ る が 無 相 関 で あ る と は判 断 しが た い 。 そ こで,で きる だ け少 数 の 因 子 か ら観 測 変 数 が 影 響 を 受 け る よ う な単 純 構 造 を探 る た め 共 通 性 の 低 い変 数 を除 外 して 因 子 数 を少 な く した モ デ ル を構 築 した 結 果 が モ デ ル2〜5で あ る 。 そ の 結 果,す べ て の モ デ ル で 固 有 値1以 上 の 成 分 が3つ 得 られ た。 各 因 子 に つ い て 解 釈 を行 う と,因 子1は 「河 川 敷 で の活 動 の しや す さ」と解 釈 で き,因 子2は 「水 辺 の 親 近 感 」,因子3は 「水 の 清 浄 さ」 と解 釈 で きる 。 因 子 間 の 相 関 は,す べ て の分 析 モ デ ル に お い て 因 子 1と 因子3の 相 関 が 低 く,モ デ ル2〜4で は 因 子1と 因子2の 相 関が もっ と も 強 く,モ デ ル5で は 因 子2と 因子3の 相 関 が 最 大 とな っ て い る。 そ こ で,因 果 モ デ ル で は 、 因 子 分 析 モ デ ル4を 基 本 に分 析 モ デ ル5も 考慮 しつ つ こ の3つ の 因 子 を構 成 概 念 で あ る潜 在 変 数 と して 取 り上 げ,因 子 問 の相 関 関 係 を参 考 に し て 因 果 モ デ ル を作 成 す る 。
(2)因 果 モ デ ル の 作 成
因 子 分 析 で は 因子 間 の 因 果 の 方 向 に 関す る 情 報 は得 られ ない た め,因 子 問の 相 関 の 強 さ と因 子 の 意 味 か ら因子 間 の 因果 の 方 向 を仮 定 して 因 果 モ デ ル を構 築 す る。
まず,各 因子 の 意 味 か ら因 果 関 係 を 考 え る と,因 子1「 活 動 の しや す さ」, 因 子2「 水 辺 の 親 近 感 」,因 子3「 水 の 清 浄 さ」 の 意 味 か ら きれ い な水 の 存 在 が水 辺 利 用 を促 し結 果 と して 景 観 や 親 水 活 動 を 楽 しむ イ メ ー ジ に帰 着 す る と考
え られ る こ とか ら,因 子3→ 因子2と い う因 果 関 係 が 想 定 で き る。
また,河 川 敷 で の 余 暇 活 動 が 水 辺 の 親 近 感 に結 び つ くと考 え られ る こ とか ら, 因 子1→ 因子2と い う因 果 関 係 が 想 定 で きる 。 次 に,因 子1と 因子3の 因 果 関 係 は水 の きれ い さ が 河 川 敷 で の活 動 を発 生 させ る と考 え られ るが,因 子 問 相 関 が 弱 い こ とか ら 因果 関 係 を仮 定 しな い こ とが 妥 当 と思 わ れ る。 以 上 の 因 果 想 定 か ら 因果 モ デ ル1を 構 築 した。
60 商 学 討 究 第50巻 第4号
と こ ろで,因 子1と 因 子2の 相 関 は モ デ ル2〜4で は 因 子2と 因 子3の 相 関 よ り も強 く,モ デ ル5で は そ の 逆 で あ る 。 この こ とを 因 果 の 方 向性 に関 連 させ て考 え る と 「活 動 の しや す さ 」 と 「水 の清 浄 さ」 は 「水 辺 の 親 近 感 」 を介 して 相 互 に 影 響 を受 け て い る と も考 え られ る。 そ こで,因 子2と 因子1,因 子2と
因子3の 因 果 関 係 を双 方 向 と仮 定 した 因果 モ デ ル2を 設 定 し,さ ら に水 辺 近 く で の活 動 が 水 質 に対 す る関 心 を 強 め,水 質改 善 行 動 に結 び つ く場 合 も考 え られ る た め 因 子1と 因子3の 間 に も双 方 向 の 因 果 関 係 を仮 定 した 因 果 モ デ ル3を 設 定 して モ デ ル の 比 較 を行 う こ と と した 。 図17に は3つ の 因 果 モ デ ル の 因 子 間 の 連 鎖 を示 す 。
活 動 のしやすさ 因 子1(ξ1)
水 の 清浄さ 因子3(ξ3)
水 辺の親 近感 因 子2(η2)
因 果モデ ル1
活 動 の しやす さ 因子1(η1)
水の 清浄 さ 因子3(η3)
水 辺の親 近感 因 子2(η2)
活動 の しやす さ 因 子1(η1)
水 の清浄 さ 因子3(η3)
水 辺の親 近感 因 子2(η2)
因果モデ ル3
因 果モデ ル2
図17因 果 モ デ ル
ま た,潜 在 変 数 と観 測 変 数 問 の 関 係 で あ る が,因 子 分 析 で は潜 在 変 数(因 子) が 観 測 変 数 に影 響 を 及 ば す こ とが 想 定 され て い る た め,潜 在 変 数 → 観 測 変 数 と い う 因 果 関 係 が 想 定 され て い る 。 ま た,観 測 変 数 は潜 在 変 数 と の 因 果 関 係 だ け で は説 明 で き な い 変 動 を もつ こ とか ら,こ の 要 因 と して 誤 差 変 数 を モ デ ル に導 入 す る 。
河 川 の公益 的機 能評 価 に関す る考 察(3) 61 (3)認 識 構 造 モ デ ル の推 定
作 成 した 因 果 モ デ ル は,共 分 散 構 造 モ デ ル の 下 位 モ デ ル で 多 重 指 標 モ デ ル (Multipleindicatormode1)と 呼 ば れ る も の で あ る 。 こ れ ら3つ の モ デ ル の 場 合,測 定 方 程 式 と構 造 方 程 式 は 以 下 の よ う に な る。 因 果 モ デ ル1は 測 定 一構
造 方 程 式 モ デ ル,因 果 モ デ ル2と3は 測 定 方 程 式 モ デ ル で あ る。
こ こ で,ζ:潜 在 変 数(外 生 変 数),η:潜 在 変 数(内 生 変 数),κ:観 測 変 数(Xl:水 が きれ い,κ2:嫌 な 匂 い が し な い,κ3:遊 歩 道 が 多 い,κ4:遊 び 場 所 が 多 い,X5:公 園 が 多 い,X6:休 む 場 所 が 多 い,X7:ト イ レが 多 い,X8:駐
車 場 が 多 い,Xg:親 しみ や す い ハLXIO:眺 め て み た い 川,Xl1:水 に 触 れ た く な る川,κ12:入 りた く な る川,X13:泳 ぎた くな る川),λ:未 知 パ ラ メー タ(測 定 方 程 式 の外 生 変 数 か らの 因 果 係 数),κ:未 知 パ ラ メ ー タ(測 定 方 程 式 の 内 生 変 数 か らの 因 果 係 数),γ:未 知 パ ラ メ ー タ(構 造 方 程 式 の外 生 変 数 か らの 因 果 係 数),e:観 測 変 数 の 誤 差 変 数,ζ:潜 在 変 数 の誤 差 変 数 で あ る 。
● 因果 モ デ ル1
① 測 定 方 程 式
κ1=λ 董 ζ3+θ1 X,・ λ塁ζ,+e2
② 構 造 方 程 式 η2=γIX1+γ3×3+ζ2
κ3=λ §ζ1+e3 κ4=;し 珪ζ1+e4
×5=λ1ζ 、+es X6=λ1ζ,+e6
×7=Mζ 、+e7 κ8=λ ヨiζ1+es
Xg=κ 碁η2+eg
X、。=κ そ。 η2+e、 。
X、 、・.κ そ、η2+e1、
X、2=κ 釜2η2+e、2
X、3=κ 釜3η2+e、3
⑯
㈲
● 因 果 モ デ ル2お よ び3
① 測 定 方 程 式 X、=κ 至η3+e、
X2==κ 塁i」3+e2
62 商 学 討 究 第50巻 第4号
X3=κ1η1+e3
κ4=κ1η 、+e4
×5=κ1η 、+es
X6=κ き η1+e6
×7=κ1η1+e7
×8=κ § η、+es
Xg=κ 碁 η2+eg
Xl。 ・,・κ 釜。 η2+e、 。
Xl、=κ 釜、η2+e、1
×12=κ 釜2η2+e、2
X、3=κ そ3η2+e、3 ㈲
上 記 の 測 定 方 程 式 お よ び 構 造 方 程 式 の 未 知 パ ラ メ ー タ を 最 尤 推 定 法 に よ り推 定 し た4)結 果 を 図18の パ ス ・ ダ イ ヤ グ ラ ム お よ び 表9に 示 し て い る 。 共 分 散 構 造 モ デ ル の 分 析 結 果 を 解 釈 す る に は 標 準 化 さ れ た 解 を 用 い る た め パ ス ・ダ イ ヤ グ ラ ム で も標 準 化 係 数 を 示 して い る 。
モ デ ル の 適 合 度 は,モ デ ル3が 最 も よ く適 合 して お り確 率 値 もO.45に 改 善 さ れ て い る 。GFI(Goodness ofFitIndex)とAGFI(Adjusted
GFI)は そ れ ぞ れ,0.954と0.872で あ る 。GFIは0.9以 上 で あ れ ば モ デ
4)推 定 に はEQSVer5.7を 使 用 し た 。
旦
』"61 巨=トn:,,・
陽 ピ1加
『 〆謡
[亟 諜o'5 齢 騨 。。,
匠 鰍
呼
Mode口
〜[]
臥 〆 瓢{ヨ
[i]阪 鍔02T.
匝}鴫 臨、
囲;=
呼
Model2
徊
t,oo
曜極]
[魯!'
Model3
図18因 果 モ デ ル の パ ス ・ダ イ ヤ グ ラ ム
河川 の公 益 的機能 評価 に関す る考察(3) 63 ル は デ ー タ を う ま く説 明 して い る と考 え られ る がAGFIと の 差 が 若 干 見 られ パ ラメ ー タ の安 定 性 に 問題 が あ る。 また,RMR(RootMeansquareResidual
:残 差 平 方 平 均 平 方 根)とRMSEA(RootMeanSquareErrorofApprox‑
imation)は そ れ ぞ れ0.026と0.015で あ り,い ず れ も こ の モ デ ル が 受 容 で き る 値 と な っ て い る。 パ ラ メ ー タ の 検 定 統 計 量 は2つ(Xl水 が きれ い,Xg親 しみ や す い 川)を 除 い て 有 意 で あ る 。 した が っ て,3つ の 因 果 モ デ ル の うち モ デ ル 3が 最 適 なモ デ ル と判 断 で きる 。
そ こで,モ デ ル3に つ い て分 析 結 果 を解 釈 す る と,因 子 分 析 よ り抽 出 し た3 つ の潜 在 変 数(因 子)問 の 関 係 は,そ れ ぞ れ 相 互 に相 関 を示 す こ とが判 明 した。
つ ま り,「 活 動 の しや す さ」 「水 の 清 浄 さ」 「親 近 感 」 は相 互 に影 響 し合 っ て 各 評 価 指 標 を規 定 して い る と考 え られ,潜 在 変 数 間 の相 関 の 強 さ は 因子 間 相 関 の 大 き さ と整 合 して お り,「 活 動 の しや す さ」 と 「親 近 感 」 とパ ス係 数 が も っ と も大 き く(0.49),次 い で 「水 の 清 浄 さ」 と 「親 近 感 」(0.37),「 活 動 の しや す さ」
と 「水 の 清 浄 さ」(0.22)と な って い る 。 つ ま り,活 動 の しや す さが 河 川 水 辺 の 親 近 感 を規 定 す る 度 合 い が 水 質 よ り も強 い こ と を示 して い る。 次 に,各 潜 在 変 数 と観 測 変 数 間 の 規 定 力 の 強 さ(直 接 効 果)に つ い て み る と,「活 動 の しや す さ」
は 「κ6休 む 場 所 が 多 い(0.977)」 と 「κ4遊 び 場 所 が 多 い(0.926)」 に 対 して 強 い 影 響 力 を示 して お り,「 親 近 感 」 は 「κ13泳 ぎ た くな る 川(0.996)」 と 「κll 水 に 触 れ た くな る川(0.849)」 に対 し て 強 い 影 響 力 を示 し て い る 。 つ ま り,河 川 水 辺 の 親 近 感 は 水 と直 接 接 す る活 動 イ メ ー ジ を強 く規 定 して い る 。
以 上 の こ とを ま とめ る と,河 川 空 間 に お け る活 動 の しや す さ と河 川水 の 清 浄 さ が 水 辺 に 対 す る 親 近 感 を生 み 出 し親 水 性 を 認 識 ・評 価 す る と い う構 造 が み ら れ,か つ 潜 在 変 数 が 相 互 に(双 方 向 の)影 響 を及 ぼ す こ とか ら,た と え ば水 辺 の散 策 に よ り河 川 へ の 親 近 感 が 生 ま れ,そ れ が 水 質改 善 行 動 へ と結 び つ き,水 質 改 善 が 親 水 活 動 を誘 発 し さ ら に親 近 感 を増 幅 させ る とい っ た認 識 ・評 価 の フ
ィー ドバ ッ ク に よ り環 境 改 善 意 識 や 水 辺 利 用 行 動 が 行 わ れ て い る と考 え ら れ る。
以 上 の よ うに構 成 概 念 を潜 在 変 数 と して 導 入 し共 分 散 構 造 モ デ ル を推 定 す る