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復興の今と今後

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Academic year: 2021

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- 4 - 1.いま何が問題になっているか

復興問題が社会の関心を集めるようにな ったのは、1991 年に発生した雲仙・普賢岳 噴火災害からと思われる。このときなぜ復 興が問題になったかというと、この災害で は被災地内の宅地、農地、道路、鉄道、河川 などが被災、個々の復旧・復興よりも面的復 興の基本方針が問われたからである。この ためそれまでの災害では計画されなかった 集落再建のための総合的な復興計画の策定 が必要となった。この災害の後国内では、

1993 年に北海道南西沖地震、1995 年に阪神・

淡路大震災、2004 年に新潟県中越地震が発 生、そのたびに復興が大きな課題として注 目を浴びるようなった。2~3 年前までは被 災した住宅の再建問題が復興を検討すると きの最大の課題であったが、現在は被災者 生活再建支援法の改正によって住宅再建に もお金が出るようになり、この問題はひと まず決着したといえる。残された課題はい ろいろあるが、とりわけ大きな課題は被災 地の産業の再生である。地域経済を支えて いる産業が復活しなければ被災者は職を求 めて被災地から流出し、人口の減少は被災 地の復興をいっそう遅滞させることになる。

2007 年の能登半島地震ではこのような事態 の回避を目的として被災した地場産業を守 るために復興基金が創設された。

一方、山間地では基幹産業である農地の 再生が問題になっている。その原因は限界 集落の再建問題である。どの限界集落も子 供の姿はまったく見えず、後継者が不在な ことから農業は衰退の一途をたどっている。

つまり被災地にまったくといいほど再生力 がないのである。このため被災後は離農者 が相次ぎ、このことが地域の衰退ひいては 国土荒廃の原因ともなっている。このよう な課題の解決を模索するため 2008 年に日本 災害復興学会が発足した。

2.復興の定義

我が国には、災害対策のための法律とし て 1961 年に制定された「災害対策基本法」

がある。しかしこの法律は主に災害の予防 や応急対策を定めていることから制度の中 に「復旧」という言葉は出てくるが「復興」

という文字を見つけることはできない。こ のため各自治体で策定している「地域防災 計画書 J にも「復旧・復興」という章はあ

●巻頭随想

復興の今と今後

(社)減災・復興支援機構理事長

木 村 拓 郎

((株)社会安全研究所顧問)

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- 5 - るもののその内容はさまざまである。

広辞苑によると復興は「ふたたび盛んに なること」と書いてあるが、ではどのような 状態になったら復興が達成できたといえる のか、その辺はまったく曖昧である。このた め復興学会では現在「復興とは」という委員 会を立ち上げ、ある程度共通の理念や認識 ができないかどうかの模索を始めた。しか し、学会として今後一定程度の結論が出せ るかどうかはまったく未定である。

3.生活復興

被災者の生活再建の第一歩を支援する制 度が「災害救助法」である。この法律は 1947 年にできた制度で、その特色は被災直後の 応急的な生活の確保を目的として食事や応 急仮設住宅などの現物を直接被災者に提供 することにある。1995 年の阪神・淡路大震 災では、地震から 1 週間後には被災地内の 店舗が徐々に営業を再開したが、避難所で お弁当が無償で配られているためにお店の 商品が売れないという事態が発生した。こ のため被災地の復興を危惧した住民から食 券や金券を発行して被災地の復興が進むよ うにして欲しいという要望が出されたが、

この提案は法の趣旨に反するとして実現し なかった。その結果、被災者個人への現物救 済に固執すればするほど被災地の復興は遅 れることとなった。今はこの法律ができた ころと違い商品は豊富でしかも流通システ ムも整っていることから被災地の商業の再 開はかなり早くなっている。今後は現物の 支給にこだわらず被災地の復興も考慮した

柔軟な支援方法が求められる。

次に被災者の生活再建の大きなよりどこ ろとなっている法律が「被災者生活再建支 援法」である。以前は禁止されていたが 2007 年の法改正によって住宅の再建にも支援金 が活用できるようになったことが制度の評 価をたいへん高めている。このように被災 者の生活再建を支援する制度は着実に充実 してきているが、未解決の課題がある。それ は長期避難者への支援である。火山災害な どでは仕事を失った上に避難生活が長期化 することが多い。このため生計が成り立た ないことから生活再建は困難を極め、中に は古里での生活復興を断念する人も出てい る。今後の大きな課題といえる。

4.地域復興

今や復興は、個人から地域にテーマが移 行しつつある。いま、大災害に見舞われたと き自治体に最も求められることは、長年住 みなれた土地で被災者が生活を再開できる 環境を整えてあげることである。そこで問 題になるのが、すでに述べたように産業の 再生が大きなキーワードになる。この産業 を再生させるための方策としては、まず再 建資金を確保することが何よりも不可欠で ある。具体的には、これまで既に実施されて きた復興基金の創設が有効と思われるし、

また復興交付金のような制度の新設も検討 されるべきである。

再建資金の次は、被災地の再生を助ける サポート体制の確立である。ほとんどの被 災者は、初めて災害を体験することから生

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- 6 - 活再建の方法が分からないのが実情である。

また高齢者の多い地域では、被災後に減少 した世帯数でどのように地域を再生させれ ば良いのかということについて戸惑ってい るのが実態である。このような課題に対処 するために新潟県中越地震では「復興支援 員」の制度が創設され、大きな成果を上げて いる。今後の災害復興を考えた場合、新潟で 培われたノウハウは恒久的なシステムとし

て残すべきであり、さらにはこれらのノウ ハウが新潟県以外の被災地にも活かせるよ うにすべきである。

今や地域復興に向けた研究や手法は、確 実に成長してきている。その一方で課題も 明らかになってきた。これらの課題に対す る解決策が見えてきたときに我が国の将来 像も明確になるような気がする。

参照

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