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Academic year: 2021

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福森 雅史 京都外国語大学院 修士課程修了 大阪外国語大学大学院言語社会研究科 言語社会専攻 博士後期課程(3年)

(『英語教師のための効果的語彙指導法 ― 認知言語学的アプローチ ― 』

私の著作活動 シリーズ1 私の著作活動 シリーズ1

1980

年、カリフォルニア大学バークレー校教授ジョージ・レイコフと哲学者マーク・ジョンソンによ

ってMetaphors We Live By (邦訳:渡辺昇一( 1986 )『レトリックと人生』)という一冊の本が出版さ れました。この本によって人間の大脳内に存在する言語メカニズムの解明を目的とする「認知言語学」

という新たな道が切り開かれたのです。

 本書、『英語教師のための効果的語彙指導法 ― 認知言語学的アプローチ ― 』は、認知言語学をはじめ とする様々な研究によってこれまでに解き明かされつつある大脳内の言語メカニズムの一端を実用化す ることで英語表現が持つ種々のイメージを身につけ、英語表現の正しい意味と用法とを効果的に学習・

指導することが主要な目的となっています。

 例えば、日本語表現「重い」に相当するheavyという英語表現。確かにheavy bagと言えば「重いカバン」

の意に相当します。しかしながら、英語表現

heavy

に当たる日本語表現は他にもあります。

Heavy cold

「ひどい風邪」、heavy work「つらい仕事」、heavy rain「激しい雨」…。それでは、英語母語話者の 人たちの頭の中では、heavyという一語の中に「重い/ひどい/つらい/激しい」といった複数の意味用 法が独立して詰め込まれているのでしょうか。そこには何のつながりも存在しないのでしょうか。

 こうした問いに対する「認知言語学」の立場からの答えは「つながりは存在する」です。我々は、カ バンに荷物を詰め込めば重くなり、取り除けば軽くなるといったことを繰り返し体験しています。こう した体験から「容器の中に詰め込まれた内容物の(重)量の多さ」というイメージが獲得され、それを

heavyという語で言語化しているのです。更に、先に挙げたその他の表現もこの同一のイメージで捉える

ことが可能なのです。例えば、heavy coldは「症状の量(=内容物の量)が多い風邪(=容器)」、

heavy work

は「こなすべき量  (=内容物の量)が多い仕事(=容器)」、

heavy rain

は「水の量(=内 容物の量)が多い雨(=容器)」として捉えられるのです。

 こうした考え方を用いれば、「

heavy

=重い/ひどい/つらい/激しい…」のように一つの英語表現に 対して複数の日本語訳を機械的に丸暗記するような状況を改善し、中学校の基礎段階から学習者に正し い概念を理解させることが可能になると考えられます。また、一つの英語表現につき一つのイメージを 覚えればいいのですから、学習者にとっても記憶の負担が軽減されるでしょう。そのため、本書は英語 教師として現在活躍しておられる方や英語教師を志している方が指導のための知識を得るためだけでは なく、英語母語話者が大脳内に持つ言語メカニズムとより近い言語メカニズムを、学習者が独力で獲得し、

語彙を習得するためにも実用的な一冊になるでしょう。

 更に、認知言語学とは、我々の生身の肉体や五感を通して、または自身が属する文化・社会的環境と の相互作用を通して得られる「経験」という根源領域を基盤に、人間が認知的無意識の中で物理的外界 や抽象世界といった目標領域を如何に認識しているかを明らかにすることを目的とした「知の研究」で あると言えることを鑑みると、本書に書かれている考えは英語という一言語のみに当てはまるものでは なく、他の様々な言語にも広く応用することができるものだと言えます。このような点で、英語以外の 言語を学ぶ方にとっても、有益な情報をもたらしてくれる一冊となるのではないでしょうか。

 本書を読んで頂いたことで、何か一つでも得るものがあったと思っていただければ幸いです。

 私たちの「大脳内に存在する言語メカニズムの解明」への道はまだまだ続きます…。

 最後になりましたが、これまで何の言語学に関する知識も持たない私に、認知言語学の基礎から辛抱 強く、また懇切丁寧にご指導して頂き、今回著書の一人として名を連ねる機会を与えて下さった上野義 和教授に、この場をお借りして感謝申し上げます。

ふくもり まさふみ

上野、森山、李、福森共著)

参照

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