富 松 重 行*1, 米 内山 弥生*2, 浦 西 和 夫*3
Study on Flow Condition around a Guide Vane Set in a Curved Circular Pipe
Shigeyuki TOMIMATSU*4, Yayoi YONAYAMA and Kazuo URANISHI
*4 Research and Development Center, DMW Corporation, 3-27 Miyoshi-cho, Mishima-shi, Shizuoka, 411-8560 Japan
With respect to vibration problems of a guide vane, this vibration phenomenon seems to be generated by the fluid exciting force, which works on the guide vane in unsteady flow field. Thus, in order to understand the vibration mechanism of the guide vane, it is important to reveal unsteady flow field in the curved pipe with the guide vane. In this study, the difference of flow condition between a curved circular pipe and an elbow pipe fitting was inventigated by Computational Fluid Dynamics (CFD) using Reynolds Averaged Navier-Stokes Simulation (RANS) . As a result of this study, there is no big difference between both flow conditions. Moreover, unsteady flow field in the curved circular pipe was investigated by Particle Image Velocimetry (PIV) measurements . This experiment was mainly carried out with focusing on unsteady flow field around the trailing edge of the guide vane. The results show that the vortex street is sometimes generated from the trailing edge of the guide vane.
Key Words : Vortex Street, Guide Vane, Curved Pipe, PIV, CFD
1. 緒 言
曲が り円管内 に案内羽根 を取 り付 けては く離や二次 流れ を抑制すれ ば,流 体損失が低 減できる ことはよく 知 られて いる.こ のよ うな理 由か ら案 内羽根入 り曲が り円管は,ポ ンプ吸込部や吐出 し部 に従来 か ら用 い ら れてきた.し か しなが ら,近 年,ポ ンプの高効率化, 高速 ・小形化の要求が高 くな ってきて お り,従 来 の設 計指針では剛性不足 とな る場合が生 じてきて いる.例 え ば,案 内羽根入 り曲が り管 をポ ンプ吸込部や 吐出 し 部 に用 いた場合,案 内羽根が振動 し,場 合によって は 損傷す るといった事例が報告 されている.こ のよ うな 振動 ・損傷現象 は流体関連振動の一種で,非 定常流れ 場 に設置 された案内羽根 に流体励振力が作用 して,振 動 を発 生 して いると考え られ る.し たが って,こ れ ら
の振動現象の発 生メカニズム を把握す るには,案 内羽 根 に振動 を励起す る非定常流れ場の把握 が必 要 となる.
流体関連振動 を引き起 こす励振源 と して はカルマン
渦が知 られてお り,多 くの研 究が行 われ てきた.し か しなが ら,カ ルマ ン渦のよ うな強い励振源が無 くて も, 水車ステーベー ンの後縁 か ら発生する弱 い渦 が引き金
とな ってベー ンに 自励振動を引き起 こす 場合 があると い うことがMiyagawaら によって実験的に明 らかにされ カルマ ン渦,弱 い渦による 自励振 動,フ ラ ッタ,ラ ン ダム振動の メカニ ズムの違 いが分類されている(1).
曲が り円管内 に取 り付 け られた案内羽根の振 動 ・損 傷事例 はMiyagawaら によって実験的に検証された弱 い渦によ る自励振動が原因であると考 え られる.し か しなが ら,案 内羽根が振動す るよ うな条件下で,羽 根 周 りの流動状態 につ いて定量的に調べた報告はほ とん
どない.
本研 究では,曲 が り円管内に取 り付 けられた案内羽 根周 りお よび後縁の流れ場 につ いて調べて いる.実 験 およびCFD解 析は,実 機立軸ポ ンプ用の案内羽根付き 吐 出 し曲が り管の119ス ケール モデル を用 いて行 った.
ここで,モ デル実験 は実機 と流速一致の条件で行 うて お り,実 機 とモデル の問で レイ ノルズ数相似則が成 り 立 たな いので,CFD解 析 に用いたモデル も1/9ス ケー ルと した.近 年,コ ス ト縮減を 目的として図1に 示す よ うな溶接 構造 の連続 エルボが しば しば用 い られて い る.案 内羽根の損傷事例 として取 り上げ られ る管 の構
* 原 稿 受 付2005年8月24日 .
*1 正 員
,(株)電 業 社 機 械 製 作 所 技 術 研 究 所(〓411‑8560三 島 市 三 好 町3‑27).
*2 元:(株)電 業 社 機 械 製 作 所 .
*3正 員
,八 戸 工 業 高 等 専 門 学 校 機 械 工 学 科(〓039‑1192八 戸 市 田 面 木 字 上 野 平16‑1).
E‑mai1:[email protected]
曲が り円管 内に取 り付 け られた案内羽根周 りの流動状 態 2395
造 は,ベ ン ドの み で な く,こ の よ うな 連 続 エ ル ボ の 場 合 も あ る.そ こ で,ReynddsAveragedNavie卜Sめkes Simulation (以下,RANSと 記 す)モ デ ル を用 いたCFD 解 析 で は,曲 が り 円管 の 形 状 の 違 い が 案 内 羽根 周 りの 流 動 状 態 に与 え る影 響 に つ い て調 べ た.CFDに よ る解 析 結 果 の 信 頼 性 の 評 価 を 実 験 結 果 と比 較 して 行 う場 合, 本研 究 で 対 象 とす る弱 い渦 の 発 生 す る 流れ 場 を接 触 式 の 計 測 法 で 計 測 す る と,計 測 器 か ら発 生 す る 乱れ が 流 れ 場 に 著 し く影 響 を与 え る と考 え られ る.そ こで 本報 で は,RANSモ デ ル が 時 間 平 均 乱 流 モ デ ル に基 づ い て い る こ と を 考 慮 して,非 接 触 式 の 速 度 計 測 法 で あ る Particle Image Vdocimetry (以下,PIVと 記 す)に よ り計 測 した 瞬 時 の 速 度 デ ー タ を平 均 して得 た 平 均 速度 分 布 と比 較 検 討 す る こ とに よ り解 析結 果 の信 頼 性 を評 価 した.ま た,流 量 を 変 え て 実 験 を行 い,流 量 の違 いが 流 れ 場 に 対 して 与 え る影 響 を調 べ た.さ らに,案 内羽 根 後 縁 周 りの 拡 大 撮 影 を行 い,PIV計 測 によ り後縁 周
りの非 定 常流 れ 場 の 流 動状 態 を調 べた.
2. お もな記 号 a : 管 内半 径 (=102.4mm) De : デ イー ン数 (=2aU0/v√a/R0) r : 管 中心 か らの距 離 (mm) Rc : 管 中心 軸 の 曲 率 半径 (=170mm) Re : レイ ノル ズ数 (=tgU0/v)
tg : 案 内羽 根 の 板厚 (=3mm) U0 : 入 口平均 流 速
u,v : 各 軸方 向の 速 度成 分 uave,vave : 各軸 方 向 の 平 均速 度 成 分 urms,vrms : 各 軸 方 向 の速 度 変動 成 分
x,y : 座 標 軸
ζ : 渦 度 (=tg/U0(∂v/∂x‑∂u/∂y)) ν : 水 の動 粘 度
3. 解 析 お よ び実験 方法
3.1 CFDに よ る解 析 方 法 図2に 案 内羽 根 入 りベ ン ドのCFD解 析 モ デ ル を示 す.解 析 に は,(株)ソ フ ト ウ ェ ア ク レイ ドル のSCRYU/Tetra for Windows Version 6
を用 い た.解 析 を行 うに あ た って ベ ン ド,連 続 エ ル ボ と もに 曲が り 円管 の 上流 部 に20aの 直 管 を設 け十 分発 達 した 流 れ が 流入 す る よ うに して い る.ま た,下 流 部 に も助 走 管 路 と して8aの 直管 を設 けて いる.こ こで, 本研 究 で 対 象 と す る 案 内 羽根 付 き曲 が り 円管 は,前 述 の よ うに 立 軸 ポ ンプ の 吐 出 し部 に用 い られ る もの をス ケ ー ル ダ ウ ン した もの で,案 内羽 根 は曲 が り 円管 の 流 体 損 失 を 最 も低 減 で き る位 置 よ りも内 周 側 に位 置 して い る(2).図3に 解 析 に使 用 した ベ ン ドの メ ッシ ュモ デ ル を 示 す.メ ッシ ュ モ デ ル は 四 面体 メ ッ シ ュで 構 成 さ れ て お り,全 体 の 要 素 数 は約235万 と した.流 入 条 件 は 流 量 を実 機 の 仕 様 点 の 吐 出 し量(以 下,100%流 量 と表 現 す る)に 相 当す る5.56m3/min(流 速:2.95m/s)で, 流 出 条 件 は 静圧 一 定,壁 面 の 境 界 条 件 は 静止 壁 と した.
ベ ン ド内 の 流 れ をCFD解 析 す る 場 合,乱 流 モデ ル と して 標 準k‑ε モデ ル を用 い た場 合 の 解 析 結 果 は 実験 計測 結 果 と あ ま り一致 しな い と い う報 告 が あ る(3).こ のた め,ベ ン ド内 流 れ 場 の 解 析 を 行 うに あ た っ て,須 藤 らの レイ ノル ズ 応 力 モ デ ル(3),青 山 らの 代 数 応 力 モ デ ル を併 用 したk.ε モ デ ノ岬,杉 山 らの乱 流 モ デ ル と し て 対 流,拡 散 項 を代 数 式 で 置 き換 え た 代 数応 力 モデ ル (5)等が 提 案 され て い る .こ れ らの モデル が提案 された 理 由の 一 つ と して,標 準k‑6モ デ ル を用 い て解 析 した
Fig. 1 Elbow pipe fitting geometry Fig. 2 Computational model
場 合,は く離 領域 の解 析 精 度 が 良好 で な い こ とが あ げ られ る.そ こで解 析 を 行 うに あた って,実 験 結 果 と解 析 結 果 を 比 較 す る こ とに よ り,乱 流 モデ ル の選 定 を行
った.ま た,式 の離 散 化 に は有 限体 積 法 を用 い た.
CFD解 析 は,ベ ン ドと連 続 エ ル ボ の形 状 の違 いが 案 内 羽 根 周 りの 流 動 状 態 に どの よ うな影 響 を及 ぼす か に つ いて 調 べ る こ と を 目的 と して行 っ た.ベ ン ドと連 続 エ ル ボ の 管 中 心 軸 の 局 率 半 径 は と も に 同 じで,デ ィー
ン数 傍 は5.1×105で あ る.
3.2 実 験 装 置 お よび 方 法 図4に 実 験装 置 の 全体 図 を示 す.実 験 は 試 験 部,ポ ンプ,バ ル ブ,電 磁 流 量 計, タ ン クか らな る大 き さが25×42mの 回流 型 循 環水 槽
を用 いて 行 った.実 験 に用 いた 作 動 流体 は水 で,試 験 ル ー プ を反 時 計 回 り方 向,す な わ ち 図 中 の 矢 印 の方 向 に流 れ る.こ の 試 験 ル ー プ を用 い る こ とに よ りベ ン ド 入 口で 十 分 発 達 した 管 内 流 れ にな る こ とは 別 途 計測 し て 確 認 済 みで ある.
図5に ア ク リル 製 の 案 内羽 根 入 りベ ン ドのテ ス トセ ク シ ョ ンお よびPIV計 測 シ ス テム の 概 略 を示 す.こ の ベ ン ドを低 ひ ず み で 撮 影 す るた め に,試 験 部 は ベ ン ド
の外 側 に水 槽 を設 けた 二 重 構造 とな って い る.
実 験 で は,試 験 部側 面 よ り照 明 と してNdYAGレ ー
る.レ ー ザ シー ト光 の 厚 さ は2mmで,使 用 した カ メ ラ レ ンズ はNikon AF Nikkor 50mm F1.4DでF{直 を14に 設 定 した.さ らに,レ ー ザ 光 によ る 反 射 の影 響 を低 減 す るた め に,カ メ ラ レ ンズ にバ ン ドパ ス フ ィル タ(中 心 波 長:532mm, 半値 幅:10mm)を 取 り付 けて 撮 影 を 行 った.カ メ ラ と レー ザ の 同期 は シ ン ク ロナ イ ザ に よ って 行 い,撮 影 した 画 像 はデ ィ ジタ ル デ ー タ と して パ ソ コ ン 内 に取 り付 けた フ レー ム グ ラバ を介 して ハ ー ド デ ィ ス ク 内 に保 存 され る.ベ ン ド内 全 体 の 撮 影 は,入
口直管 部,曲 が り部,出 口直 管部 の3個 所 に分 けて 行 い,そ れぞ れ の較正 値 は0.22mm/pixel, 0.29mm/pixel, 0.21mm/pixelで あ り,2画 像 間の パ ル ス 間隔 は トレー サ 粒 子 の移 動 量 に あわ せ て145μs〜315μsの 問 で変 化 させ た.ま た,案 内 羽 根 後縁 周 りの拡 大 撮 影 で は,較 正 値 は0.13mm/pixelで,2画 像 間 のパ ル ス 間 隔 は90μs〜140 μsの間で 変化 させ た.
今 回 の 実 験 で の 作 動 流体 は 水 で あ り,使 用 した ト レ ー サ は 平 均 粒 径80μmの ナ イ ロ ン粒 子(密 度:1.02 g/cm3)で 粒 子 の 流れ に対 す る追 従 性は 良好 で あ った.
撮 影 した 画 像 を別 途 確 認 した と ころ,光 の 散 乱 に よ り トレーサ は,ベ ン ド全体 の撮 影 で は2〜3pixels程 度, 案 内 羽根 後縁 の 拡 大撮影 で は3〜4pixels程 度 に写 って
いた.し た が って,PIV解 析 にお け るサ ブ ピ クセ ル 解 析 時 の ピー ク ロ ッキ ン グの 影 響 は 低 減 で き て い る と考 え られ る(6).
解 析 に使 用 したPIVは 直接 相 互 相 関 法 に基 づ くも の で,サ ブ ピ クセ ル 解 析 時 の ピー ク 値 の探 索 に は ガ ウ ス 分 布 を 用 いた.ま た,解 析 時 の相 関領 域 の 大 き さ は31
×31pixelsと した.統 計量 の算 出 には600枚 の 粒 子画 像 (300セ ッ トの 速 度 デ ー タ)を 用 いた.こ こで,本 計 測 にお け る 速 度 に 対 す る不 確 か さは 約4%と 推 定 され
る.
Fig. 3 Computational mesh
Fig. 4 Experimental apparatus Fig. 5 PIV measurement system
曲が り円管 内に取 り付 けられた案内羽根周 りの流動状態 2397
表1に 実験条件を示す.通 常,ポ ンプの性能 は80%
〜120%流 量程度で保証され る.そ こで,本 実験もこの 範囲内で条件を設定することとした.条 件(b)が100%流 量に相 当し,条 件(a),(c)が80%流 量,120%流 量 にそれ ぞれ相 当する.
なお,今 後 案内羽根 を基準 に管内周側 を案内羽根腹 面側,外 周側 を背面側 と表す.
4. 結果および 考察
4.1 管形状の違 いが流動状態 に及ぼす影響 図6に CFD解 析よ り得た速度分布 とPIV計 測よ り得た速度分
布を示す.図 中の横軸 においてr/2a=‑0.5は管内周壁の 位置 を,r/2a=0.5は管外周壁の位置をそれぞれ 表す.縦
軸は各軸方 向の平均速度成 分を入 口平均流速で割 った 無次元値を表す.図(a)は案内羽根 前縁か ら1/2a上 流の 位置の速度分布 を,図(b)は案 内羽根後縁か ら1/2a下 流 の位置の速度分布 をそれぞ れ表す.k‑ε モデルの解 析
結果 とRealizable k‑εモ デル の 解 析結 果 を比 較 す る と, 図(a)に示 した 案 内 羽根 前 縁 か ら1/2a上 流 の位 置 の 速 度 分 布 にそ の差 は見 られ な い.し か しなが ら,図(b)に 示 した 案 内 羽根 後縁 か ら1/2a下 流 の位 置 の 速 度分 布 で は, r/2a=0.5の付 近 で,PIV計 測 結 果 とRealizable k‑εモ デル
の解 析 結 果が 示 すvave/U0が0よ り小 さ くな って い る の に対 して,k一 εモ デ ル の 結 果 は0よ り大 き くな っ て い る.す な わ ち,k一 εモ デ ル で は は く離 領 域 を捉 え る こ とが で きて いな い の に対 して,Realizable k‑ε モ デ ル で は は く離 領 域 を捉 え る こ とが で き て いる こ とが わ か る.
さ らに,Realizable k‑εモ デ ル を 用 い た解 析 結果 とPIV 計測 結 果 と で は,速 度 の無 次 元 値 に 差 が 見 られ る が, 速 度 分 布 の グ ラ フが 示 す 傾 向 を捉 え る こ とは で き て い
る.ま た,k‑ε モ デ ル,Realizable k‑εモ デ ル 以 外 に も 数 種 の 乱 流 モ デ ル を 用 い て 解 析 を 試 行 し た が, Realizable k‑εモ デ ル によ り解 析 した 結 果 が 最 も良好 で
あ った.そ こで,解 析 はRealizable k‑εモ デ ル を用 いて 行 った.
図7はPIV計 測 お よ びCFD解 析 によ って得 られ たベ ン ド,連 続 エル ボ の管 中央 断 面 にお け る平 均 速 度 分 布 図 を表 す.各 平 均 速 度分 布 図 は,100%流 量 の 場 合 の結 果 で あ る.
(a) 1/2a upstream from leading edge of guide vane
(b) 1/2a mm downstream from trailing edge of guide vane Ta.le 1 Experimental conditions
Fig. 6 Experimental and computational results of mean velocity distributions (Bend)
が画像 に写 りこんだ影響および被写界深度が原 因で案 内羽根 と円管の接合部に ピン トが合わず に画像 に写 り
こんだ影響で計測できなか った領域 である.前 述 のよ うに,こ の図は別々に計測 した入 口直管部,曲 が り円 管部,出 口直管部の平均速度分布 図を組 み合わせて作 成 したものである.
入 口直管部の主流方 向の速度分布 は 図6(a)にも示 され るよ うに曲が り円管部に近づ くに したが ってわず か に管内周側 に偏 った分布 をとる ことがわ かる.こ の 主流方向の速度分布がわずかに管 内周側 に偏 る傾向 は, 案内羽根が無 い場合のベ ン ド内流れ 場にお ける入 口直 管部の主流方向速度分布の傾向 と類似 している(7).
曲が り円管部では,案 内羽根 背面近傍お よび管内周 壁近傍で速度が速 くなっている ことがわか る.さ らに, 案内羽根背面側近傍の領域のほ うが,管 内周壁近傍の 領域よ りも速度が速い傾向を示 して いる.ま た,曲 が り円管部外周側に向か うにつれて流速 は遅 くな ること がわかる.
出 口直管部では,案 内羽根 背面側 か らの流れは減速 しなが ら直管部外周側 に向か う.こ れ に対 して,案 内 羽根腹面側か らの流れはほ とんど直管部内周壁 に沿 っ て流れ る.こ の結果,案 内羽根後方 に黄緑色で示 され た放射状の速度領域が形成される ことがわか る.さ ら に,図6(b)に も示 されるよ うに直管部内周壁近傍 には
く離領域が形成され ることがわかる.
図7(b)にCFD解 析によって求めたベ ン ド内の平均速 度分布 の解析結果 を示す.入 口直管部ではPIVに よる 計測結果ほ ど顕著 ではないが,主 流方向速度成分 はわ ずかに管内周側 に偏る ことがわかった.
曲が り円管部 では,案 内羽根背面近傍の領域および 管内周壁近傍 に速度の速い領域が形成 され ることがわ かる.こ の速度の速い領域 の形成位置 は実験結果 とほ ぼ同 じであったが そ の値 は実験結果 と異な り,案 内 羽根 背面側 近傍 の領域 の速度 と管内周壁近傍の領域の 速度はほぼ同じであった.
出 口直管部で は,図6(b)に も示すよ うに管内周壁近 傍 にはく離領域が形成 されてお り,そ の位置はPIV計 測 結果か ら求めた平均速度分布 とほぼ同じで ある.し か しなが ら,は く離領域の大き さはPIV計 測結果よ り
もわずかに小さい ことがわ かる.ま た,案 内羽根腹面 側 を通ってきた流れが管内周壁 とほぼ平行 に流れ る傾 向は,PIV計 測結果の傾向 とほぼ同 じである.し か し なが ら,案 内羽根 背面側 を通ってきた流れ は,PIV計
(b)に示すベ ン ドの場合 と比較 すると,曲 が り円管部で は管形状 の違いに関わ らず案内羽根背面近傍 に速度の 速い領域が形成される ことがわかる.ま た,同 様 に管 内周壁近傍に も,案 内羽根 背面近傍 の領域 ほどで はな いが,速 度の速い領域が形成され る ことがわか る.さ
らに,こ れ ら速度の速い領域 の形成位 置は管形状の違 いに関わ らずほぼ同じである.
出 口直管部 では,ベ ン ド,連 続 エル ボいずれの場合 も管内周壁近傍に青色で示される低速領域が形成 され てお り,そ の位置はほぼ同 じであるが,大 きさは連続 エルボの場合のほ うが大きい.ま た,い ずれ の場合 も 案内羽根後縁部か ら下流方向にかけて黄緑色で示 され た放射状の速度領域が形成 される ことがわかる.
図8にCFD解 析 によ り得 られたボン ドと連続エルボ の速度分布を示す.図 中の横軸が示す距離 の無次元値 および縦軸が示す速度の無次元値は図6の 場合 と同様 である.図(a)は案内羽根 前縁か ら1/2a上 流の位置 を, 図(b)は 案内羽根後縁 か ら1/2a下 流の位置の速度分布 を それぞれ表す.図(a)よ り入 口部 では,ベ ン ド,連 続エ ルボ とい う形状の違いに関わ らず,速 度分布 は同じよ うな形 となっている.ま た,図(b)に示す ように出口部 ではは く離領域の大きさに違 いが見 られ るが 速度分 布の特徴は似たよ うなものとな って いる.し たが って, 速度分布の特徴は管形状 の違 いに関わ らず,ほ ぼ同じ であることがわか る.
4.2 案内羽根後縁周 りの流動状態 図9にPIVに よ り計測 した瞬時の速度デ ータか ら求めた案内羽根後縁 周 りの管 中央 断面にお ける平均速度分布図 を示す.図 中の黒色 の外 形線 は管 中央 断面にお ける案内羽根 と管 壁 の位 置を表す.ま た,そ の周 りの 白色領域 は,レ ン ズの焦 点を管 中央 断面に合わせて いるので,管 壁に固 定 された案内羽根端面が焦 点のボケた状態でPIV計 測 用画像 に写 りこんだため にできた計測不能領域 を示す.
後述 の図10,図11に も同様の計測不能領域がある.
図9よ り,い ずれの流量の場合 も出 口直管部内周壁 近傍お よび案 内羽根後縁 付近か ら下流 にか けて青色で 示され る低速領域が見 られ る.
また,図10にPIVに よ り計測 した瞬時の速度データ か ら求めた案 内羽根後縁周 りの管 中央断面にお ける速 度変 動分布 図を示す.図 よ り,い ずれの流量の場合 も 出 口直管部 の内周壁近傍お よび案内羽根後縁 付近か ら 下流にかけて速度変動の大き い領域が形成されてお り,
この領域 は図9に 示 した平均速 度分布図の高せん断領
曲 が り円 管 内 に取 り付 け られ た 案 内 羽 根 周 りの 流 動状 態 2399
(a) Experiment (Bend)
(b) Calculation (Bend) (c) Calculation (Elbow pipe fitting)
(a) 1/2a upstream from leading edge of guide vane (b) 1/2a downstream from trailing edge of guide vane
(a) 80%Q
(b) l00%Q
(c) 120%Q域 と形成位置が ほぼ一致する.特 に,案 内羽根後 縁付 近の腹面側で は速度変動の値が最も大き くなる ことが わか る.
したが って,平 均速度分布,速 度変動分布 の結果よ り,実 験 を行 った流量の範囲内では,案 内羽根 後縁 周 りの流動状態 はあま り変わ らないことがわかる.
図11にPIV計 測 によ り得 られ た案 内 羽根 後 縁 周 りの 瞬 時 の 速 度 ベ ク トル お よ び 渦 度 分 布 を示 す,こ れ は 100%流 量 の条 件 で 行 っ た実 験 よ り算 出 した 結 果 で あ る.
各 図 の時 間 は,任 意 の 時 間t=0sを 基準 と した経 過 時 間 を表す.
Fig. 7 Mean velocity vectors and contours (100%Q)
Fig. 8 Computational results of mean velocity distributions (Bend and elbow pipe fitting)
Fig. 9 Mean velocity vectors and contours around trailing edge of guide vane (PIV)
(a) 80%Q (b) 100%Q (c) 120%Q
図 よ り,t=0sの 時,負 の渦 度 分布 を持 つ領 域 が 案 内 羽根 後縁 腹 面 側 か ら下 流方 向 に線 状 に伸 びて い る こ と がわ か る.t=0.25s, t=0.5sの 時,こ の領 域 は多 少 分 裂 した 形 とな り,FO.75sの 時 は,図 中の 丸 印 の領 域 に , 案内 羽 根 後 縁 か ら下流 方 向 にか けて 渦 列 が 形 成 され て い る.さ らに,F1.Osの 時 は再 び 線 状 の 領域 が 下流 方 向 に伸 び て い る.こ こで,こ の 負 の渦 度 分布 を持 つ 領 域 の発 生位 置 は,図10で 示 した 案 内羽 根 後縁 付 近の 腹
面側 に見 られ た 速 度 変 動 の 値 が 最 も大 き くな る 位 置 と ほ ぼ一致 す る.
これ ら,案 内 羽根 後 縁 か ら形 成 され る 負 の渦 度 分 布 の 領域 はせ ん 断 層 か らの渦 の 放 出 と考 え られ る.←0.75 sの 時 の よ う に,せ ん 断 層 か ら放 出 さ れ た 渦 が 下 流 に 進 む に した が っ て渦 列 を 形 成 す る場 合 が あ るが,常 に 形 成 され るわ け で は な い こと か ら,こ の 渦 列 は 不 安 定 で弱 い もの で あ る と考 え られ る。
Fig. 10 Velocity fluctuation contours around trailing edge of guide vane (PIV)
Fig. 11 Instantaneous velocity vectors and voracity contours around trailing edge of guide vane (100%Q) (PIV)
曲が り円管内に取 り付 けられた案内羽根周 りの流動状態 2401
5. 結 論
本研究で は,PIV計 測およびRANSモ デルに基づい たCH)解 析 を行って曲が り円管内に取 り付け られた案 内羽根周 りの流動状態 について調べた.以 下 に主な結 論を示す.
1. 案内 羽根入 りベ ン ド内 流れ場のPIV計 測結 果 と Realizable k‑εモデルを使 ったCFD解 析結果 は,は
く離領域の大きさな どに若干の違いが見 られた.
2. 案内羽根入 りベン ド,連 続エルボ をRealizable k‑ε モデル を用いて解 析 した結果,出 口直管部 内周側 に形成 されるは く離領域の大きさに違 いが見 られ た.
3. 案内 羽根後縁 周 りを拡 大撮影 した画 像 を用 いて PIV計 測 を行 った結果,羽 根後縁腹 面側 よ りせ ん 断層か らの渦 の放 出によるものと考 え られ る渦列 が形成される ことがわ かった.こ の渦列 は常 に形 成されるわけではない ことか ら,不 安定で弱 いも のであると考 えられる.
4. 羽根後縁 腹面側 の渦 の放 出位 置で速度変動 の値が 最 も大き くなった.
謝 辞
CFD解 析 を行 うにあたって(株)ソフ トウェアク レイ ドルの糸数佳子氏 にご指導 いただきま した.こ こに記 して謝意 を表 します.
文 献
(1) Miyagawa, K. Kawata, Y. and Iwasaki, Y., Study on the Vibration Mechanism of Hydraulic Turbine Stay Vanes, Proceedings of The 7th Asian International Conference on Fluid Machinery, (2003-10), #40026.
(2) The Japan Society of Mechanical Engineers ed., JSME Data Book: Hydraulic Losses in Pipes and Ducts, (1979), p. 81, The Japan Society of Mechanical Engineers.
(3) Sudou, K. and Takami, T., Numerical Analysis of Turbulent Flow in a Curved Circular Pipe by a Reynolds Stress Model, Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers, Series B, Vol. 54, No.506 (1988), pp. 33-39.
(4) Aoyama, Y. et al., Numerical Analysis of Turbulent Flow in a Curved Tube by a Combination of the k-s Model and the Algebraic Turbulent Stress Model, Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers, Series B, Vol. 56, No.528 (1990), pp. 156- 164.
(5) Sugiyama, H. et al., Numerical Analysis of Three- Dimensional Turbulent Flow in a 90° Bent Tube by Algebraic Reynolds Stress Model, Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers, Series B, Vol. 63, No.610 (1997), pp. 36-43.
(6) The Visualization Society of Japan ed., Handbook of Particle Image Velocimetry, (2002), p. 73, Morikita Shuppan Co., Ltd.
(7) Sugiyama, H., Flow in Curved Pipes, Nagare, Vol. 22, No. 1, (2003), pp. 41-50.