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さいたま市の授業づくりについて
~「 『よい授業』4つの因子」に基づく授業の展開~
指導1課
1 はじめに
さいたま市立小・中・特別支援学校では、よ りよい授業を求めて、研究授業や研究発表会等 を通して教員同士が学び合い、実践を積み重ね てきた。しかしながら、「よい授業」とはどうい うものなのかについては、各教員の経験や感覚 に頼った研究や指導が進められていたという現 状があった。そこで、教育委員会では、「よい授業」
を「子どもたちの意欲を高め、学力を付ける授業」
ととらえ、平成27年度に統計的な手法を用い て分析を行った。
2 「よい授業」の調査・研究について
まず初めに、学校の主役である児童生徒と、
直接指導に当たる教員等から得た様々な意見を 整理・分析し、子どもたちの意欲を高め、学力 を付ける「よい授業」の要素と考えられる項目を、
アンケート調査の項目として設定した。
次に、これらの項目を用いて児童生徒へアン ケート調査を行った結果、「子どもたちが望む授 業」について、4つの因子を抽出することがで きた。
さらに、この4つの因子が、学力とどの程度 関係しているのかをみるために、市内全ての学 校の児童生徒を対象としたアンケート調査を行 い、その結果と学力調査の結果を統計的な手法 によるクロス集計処理を行うことで、子どもた ちが望み、かつ学力と関係がある項目を明らか にした。こうして、子どもたちの意欲を高め、
学力を付ける「よい授業」の要素を確定した。
3 「よい授業」4つの因子について
明らかになった「子どもたちの意欲を高め、
学力を付ける『よい授業』4つの因子」は、以 下のとおりである。
①「授業マネジメント」
授業規律にかかわる項目など、よい授業を 実現するための前提条件となる項目群
②「基礎アップ」
基礎的・基本的な学習内容の定着のための 指導にかかわる項目群
③「授業スキル」
授業の際に教師が行う様々な指導上の工夫 にかかわる項目群
教育さいたま30号 33
④「アクティブ・ラーニング」
授業における児童生徒の主体的・能動的・
協働的な学習活動にかかわる項目群
4 4つの因子に基づく授業づくり について
子どもたちの意欲を高め、学力を付ける「よ い授業」の4つの因子
をどのように授業に生 かしていけばよいのか、
それを具体的に示した 冊子が「新・さいたま 市の授業づくり」であ る。冊子は全教科、「ス タンダード編」と「資
料編」で構成されている。「スタンダード編」では、
ある1時間の授業等を例に、具体的な展開例等 を示した。さらに、各学習過程において、どの 因子をどのように活用しているのか、ポイント を吹き出しで解説している。「資料編」では、授 業の一場面等を大きく取り上げ、授業に生かせ る資料を掲載するなど、より具体的な4因子の 活用例を示した。
教員は、この冊子を活用し、4因子を生かし た授業になるよう計画を立て、授業を実施して いる。また、この冊子には、小・中学校全教科 分を掲載しているので、教員は小・中一貫教育 の視点で授業の組立てを考えることもできる。
教育委員会の指導主事等による学校訪問や各研 修会においては、この4因子を生かした授業が できているかという視点を加え、指導・助言を 行っている。これにより、市内各校において、
4因子を生かした授業が展開できるようにして いく。
5 「『よい授業』集計システム」
について
教育委員会では、「新・さいたま市の授業づく り」の発行・配付と併せて「『よい授業』集計シ
ステム」を開発し、全校の校務用コンピュータ に配信した。これは「よい授業」の4因子を生 かした授業ができているかを教員自身が分析で きるシステムである。各校の教員がシステムを 活用する流れは次のようになる。
① 児童生徒を対象に、4因子にかかわるアンケー ト調査を行う。
② アンケート調査の結果を入力シートに入力す る。
③ 入力と同時に「結果シート」に自動的にその 授業の傾向がグラフやコメントで示される。
(下図)
④ 分析結果から自分の授業の改善点を見付ける。
例えば、目標値に対して因子②「基礎アップ」
の値が低ければ、授業の終盤に学習内容を確認 する時間を設定することで、授業改善を図るこ とができる。
6 今後について
平成28年度からこのシステムを活用した全 校調査を実施し、4因子に基づく授業づくりを 促進している。「よい授業」の実施状況について、
経年で比較することにより、傾向を把握し今後 の施策に生かしていく予定である。
7 おわりに
客観的な裏付けに基づく「よい授業」の展開 と「『よい授業』集計システム」による不断の見 直し・改善により、教員の一層の授業力向上を 図り、児童生徒の更なる学力の向上を目指して いく。