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表面含浸材が劣化した構造物の耐久性に与える効果の検証

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Academic year: 2021

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Ⅴ− 24 第38回土木学会関東支部技術研究発表会

キーワード コンクリート,表面含浸材,中性化,塩害

連絡先 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学 Tel:03-5859-8356 E-mail:[email protected]

表面含浸材が劣化した構造物の耐久性に与える効果の検証

芝浦工業大学 学生会員 ○石川 巧 芝浦工業大学院 学生会員 松崎 晋一朗 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史

1.背景

土木構造物はコンクリートの打ち放しが多く,塩 化物イオンや CO 2 ガス等による耐久性の低下が問題 視されている.そのような構造物の耐久性を向上さ せる手法の 1 つとして,表面含浸工法が提案されて いる.これはコンクリート表面に含浸材を塗布する ことでコンクリート表層部を改質し,比較的簡単に 劣化因子の侵入を抑制することができる手法である.

しかし,表面含浸材は基本的に新設構造物への適用 が事実上限定されており,既設構造物への適用に関 する研究は十分に行われていない.そこで本研究で は,事前にある程度劣化したコンクリートに表面含 浸材を塗布し,その後の劣化進行挙動に着目して検 討した.

2.実験概要

2-1 使用含浸材および配合・養生条件

本実験では,撥水層を形成するシラン系,脆弱部 を固化するけい酸リチウム系,表層を緻密化するけ い酸ナトリウム系の 3 種類の表面含浸材を使用した.

なおこの 3 種類と比較するため,無機系被覆工法と してセメントペースト(W/C=40%)も使用した.

供試体作製に際し,配合は表-1 のように水セメン ト比 60%の角柱供試体(10×10×10cm)とし,打設 1 日後に脱型し, 6 日間実験室にて暴露し気中養生し た.養生終了後,供試体側面にエポキシ樹脂を塗布 し 2 面開放とした.なお,含浸材塗布については開 放面の片面とし,塗布なしの面と劣化深さを比較し た.

エポキシ樹脂塗布後の工程を,①事前劣化,②含 浸材塗布,③事後劣化の 3 段階にわけ,①と③の工 程では中性化促進試験または塩水浸漬試験を行った.

そして表-2 のように組み合わせて,新設構造物を模 擬した供試体と,既設構造物を模擬した供試体を作 製した.

表-1 コンクリートの示方配合

表-2 試験概要

2-2 中性化促進試験

中性化促進試験については,JIS A 1153 を参考 に,温度 20℃,湿度 60%,CO 2 濃度 5%の環境とし た.また中性化深さの測定は, JIS A 1152 に基づいた.

2-3 塩水浸漬試験

塩水浸漬試験については,塩分濃度 3%,温度 20℃

の塩水に浸漬した供試体を材齢経過後に割裂し,割 裂面に硝酸銀水溶液を噴霧した.深さの測定は 2-2 と同様に行った.

なお試験材齢は劣化作用期間を同一として,中性 化・塩害ともに新設は 6 週と 17 週,既設は 9 週と 20 週とした.

3.実験結果

3-1 新設への表面含浸材の適用効果

試験結果を図-1(中性化)と図-2(塩害)に示す.

中性化については,劣化 6 週では大きな違いは見ら れないが,劣化 13 週以降すべての含浸材が塗布なし に比べて中性化の抑制効果が見られた.塩害につい ては,シラン系が最も抑制効果が高い傾向を示した.

これは,撥水層の影響で,塩水が浸透しなかったた めと考えられる.浸漬 17 週では塩化物イオンの侵入 が見られなかった.リチウム系とナトリウム系につ いても塗布なしに比べて抑制効果が見られ,ペース

新設塩害 新設中性化

③塩害

② ③中性化

含 浸 材

既設塩害

既設中性化 ①中性化

含 浸

①塩害 材 ③塩害

③中性化 気中

7日 養生

事前劣化 事後劣化

材齢 水セメント比 細骨材率 空気量 単位量 (k g/m

3

)

W / C ( %) s/ a ( %) Ai r ( %) W N BF S S G

6 0 47 4 .5 1 72 28 7 0

83 3 9 98

287

(2)

Ⅴ− 24 第38回土木学会関東支部技術研究発表会

ト被覆については浸漬 17 週で塗布なしとほぼ同じ値 になった.

3-2 既設への表面含浸材の適用効果

事前劣化(10.17cm)した供試体の劣化期間と中性 化深さの関係を図 -3 に示す.それぞれ大きな値の差 はでなかったが, 9 週~20 週の劣化速度に着目する と,表面含浸材を塗布した供試体は塗布なしとペー スト被覆した供試体に比べて比較的に劣化速度を抑 制することができた.

事前劣化(14.17cm)した供試体の劣化期間と塩分 浸透深さの関係を図-4 に示す.塗布の有無による差 はあまり見られなかった.そこで,含浸材の浸透深 さを検証するため,事後劣化 17 週後のシラン系を塗 布した供試体で撥水層試験をしたところ,撥水層が 確認できなかった.つまり,コンクリート内部に存 在する水分が含浸材の浸透を阻害し,所定の塗布量 を満たせなかったことが考えられる.

3-3 含浸材性能評価

劣化 17 週の時点で,含浸材塗布なしの劣化深さに 対する抑制率をまとめたものを表 -3 ,表 -4 に示す.

シラン系,リチウム系の 2 種類については中性化,

塩害ともに新設シリーズでより高い抑制率を発揮し た.ナトリウム系については中性化,塩害の両方で 新設と既設が同等の抑制率を発揮し,ペースト被覆 については全体的に低い値であった. 「表面含浸工法 設計施工指針(案)」より,本研究で使用した含浸材の 性能評価を行ったところ,中性化ではナトリウム系 が新設,既設の両方で A グレードに適合し,塩害で はシラン系の新設で A グレードに適合した.

4.まとめ

1. 表面含浸材は,新設に対しては塩害・中性化とも に抑制効果がみられた.しかし,既設に対しては,

中性化に対してはある程度の抑制が可能であるが,

塩害に対しては効果が得られなかった.

2. 既設構造物への適用に対し,表層が乾燥状態でも 内部に水分が存在するコンクリートについては検 討が必要であると考えられる.今後,このような 条件下での含浸材の適用方法と含浸材の浸透深さ を判断する手法が求められる.

3. シラン系,リチウム系は新設で大きな抑制効果を 発揮し,ナトリウム系,ペースト被覆では新設,

既設で同等の抑制効果を発揮することができる.

図-1 新設・中性化促進試験

図-2 新設・塩水浸漬試験

図-3 既設・中性化促進試験

図-4 既設・塩水浸漬試験

表-3 中性化に対する含浸材性能評価

表-4 塩害に対する含浸材性能評価

シラン系 リチウム系 ナトリウム系 ペースト被覆 塗布なし

0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

中 性 化 深 さ ( m m )

劣化期間(週)

0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

塩 分 浸 透 深 さ ( m m )

劣化期間(週)

0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

中 性 化 深 さ ( m m )

劣化期間(週)

0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

塩 分 浸 透 深 さ ( m m )

劣化期間(週)

Aグレード Bグレード Cグレード

(mm) 塗布なし

23.56 新設

抑制率

シラン系 リチウム系 ナトリウム系 19.08

19%

18.91 20%

14.79 37%

19.19 19%

ペースト被覆

14.87 37%

20.10 15%

既設 抑制率

21.86 7%

24.98 -6%

23.00

(mm) シラン系 リチウム系 ナトリウム系 ペースト被覆 塗布なし

19.14 22.23

抑制率

100% 27% 17% 3%

17.88 19.59

抑制率

31% -1% 22% 15%

既設

15.77 23.32

新設

0.00 16.89

参照

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