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:ロボット制御のプログラミング学習と

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Academic year: 2021

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(1)

プログラミング学習についての一考察 プログラミング学習についての一考察 プログラミング学習についての一考察 プログラミング学習についての一考察

:ロボット制御のプログラミング学習と

:ロボット制御のプログラミング学習と

:ロボット制御のプログラミング学習と

:ロボット制御のプログラミング学習と

ソフトウエア作りのプログラミング学習を比較して ソフトウエア作りのプログラミング学習を比較して ソフトウエア作りのプログラミング学習を比較して ソフトウエア作りのプログラミング学習を比較して

**

紅林 秀治 兼宗 進

**

静岡県立島田工業高校 一橋大学総合情報処理センター

〒427-8547 島田市阿知ヶ谷201

**

kurezo@vcs.wbs.ne.jp kanemune@cc.hit-u.ac.jp

概要 概要 概要 概要

自立型ロボットのプログラミング学習と簡単なゲーム作りを課題としたプログラミング学習の両方 を終えた中学生に 「楽しさ」と「難しさ」と「コンピュータに関する興味」を比較するアンケート、 を行った。その結果を学力調査テストの結果と比較することで、学習が得意な生徒とそうでない生徒 にとってプログラミング学習への感じ方が異なることがわかった。また、結果の分析により、二つの 授業の違いや、プログラミング学習が、普通教科の学習が得意な生徒と不得手な生徒で取り組みに差 がでる理由もわかった。その結果を踏まえ、ロボット制御の学習とプログラミングの学習をつなげた 学習が有効であることを提案する。

1 はじめに 1 1 はじめに はじめに 1 はじめに

「 」 、

技術・家庭科 情報とコンピュータ 領域で コンピュータプログラムを作る授業を実践して きた。プログラムを作る学習(以後プログラミ ング学習と言う)は、学習する生徒に、コンピ ュータソフトウエアの仕組みやコンピュータの 動作原理など学習する目的で導入している。プ ログラミング学習の導入には、二つの考え方が ある。制御ロボットを導入して、プログラムを 機械の動作と関連させて学習するプログラミン グ学習と、ソフトウエア作りを基本としてプロ グラムを作るプログラミング学習である。筆者 らは、自立型ロボットの学習教材の開発に関わ り、制御のプログラミング学習を中心に実践し てきた[1 [2 。また、制御プログラミング] ] 学習の効果は、今までの実践報告の中で述べて きた[3 。]

Comparison between robot control programming and application programming in a junior high , Shuji Kurebayasi*, Susumu Kanemune**

school

Shimada Technical High School*, Hitotsubashi (

) University**

中学生は、制御プログラミングの学習に意欲的 に取り組む一方、コンピュータゲームなどにも 関心が高く、ソフトウエア作りのプログラミン グにも興味を持つ生徒が多い。

ところが、ソフトウエア作りのプログラミン グの授業を行ってみた結果、製作するプログラ ムの課題が難しくなるにつれて、熱心に取り組 む生徒とそうでない生徒の差が出ててきた。そ して、その差は、普通教科において学習が不得 手な者と得意な者との間に関連があるように感 じられた。これは、ロボット制御の授業では顕 著に感じられないことであった。

プログラミング学習は普通教科学習の得手、

不得手により、ロボットの制御の学習に興味を 持つか、ゲーム作りのようなプログラミング学 習に興味を持つか、別れるのではないかと考え た。本稿では、同じ生徒集団にドリトルによる ロボット制御のプログラミング学習とゲーム作 りのプログラミング学習をを行い、アンケート を5教科の成績と比較した結果を報告する。

2 ドリトルと制御プログラミング 2 2 ドリトルと制御プログラミング ドリトルと制御プログラミング 2 ドリトルと制御プログラミング

。 ドリトルは教育用プログラミング言語である

(2)

簡単な日本語の命令によって小学生でもプログ ラミング学習ができるように設計されている。

また、日本にある教育用ソフトの中で唯一の オブジェクト指向の言語である。オブジェクト 指向の言語についての詳細は省くが、現在のコ ンピュータソフトウエアはオブジェクト指向言 語で作られているため、最新のプログラミング

、 。

言語として 学習教材に取り上げる価値は高い 今回はドリトルを利用してロボット制御の授 業とゲーム作りの授業を行った。

2.1 ロボット制御の授業 2.1 2.1 ロボット制御の授業 ロボット制御の授業 2.1 ロボット制御の授業

ロボット制御の学習では、図1の基板を搭載 した自動車タイプのロボットに赤外線インター

図1 使用した制御基盤

フェースを使ってプログラムを転送し、ロボッ トを命令通り動かす授業を行った。基盤にはメ モリとI/Oを内蔵したCPUが搭載されてい る。生徒は一人1台ずつロボットを自作し、そ のロボットを使って制御のプログラミングを学 習した。

表1 授業のカリキュラム(ロボット制御)

時間 内容

1 ロボットへのプログラム転送 2 迷路をぬけるプログラム1 3 センサースイッチを使ったプログ

ラム

4 サブルーチンプログラム 5 繰り返し命令 プログラム 6〜8 迷路をぬけるプログラム2

表1はロボット制御の授業カリキュラムであ る。生徒には、簡単な迷路を与え、スタート地 点からゴール地点まで移動するプログラムを課 題とした。図2は授業で扱ったロボット制御の プログラム例である。転送するプログラムは、

シリアルポートオブジェクト ロボ次郎 に 転「 」 「

」 。

送命令 というメソッドとして定義されている このプログラムには2つのサブルーチンが含ま れる。

図3と図4は、生徒が作った自立型ロボット と生徒が課題を実行している様子である。

ロボ次郎=シリアルポート!作る。

ロボ次郎=シリアルポート!作る。ロボ次郎=シリアルポート!作る。

ロボ次郎=シリアルポート!作る。

ロボ次郎 転送命令=「!はじめロボット ロボ次郎 転送命令=「!はじめロボットロボ次郎 転送命令=「!はじめロボット ロボ次郎 転送命令=「!はじめロボット: スイッチスタート 1 前進 1 後退 スイッチスタートスイッチスタート 11 前進前進 11 後退後退 スイッチスタート 1 前進 1 後退 前進・入力で停止 うごけさぶ1 前進・入力で停止前進・入力で停止 うごけさぶ1うごけさぶ1 前進・入力で停止 うごけさぶ1 前進・入力で停止 うごけさぶ2 前進・入力で停止前進・入力で停止 うごけさぶ2うごけさぶ2 前進・入力で停止 うごけさぶ2 おわりロボット

おわりロボットおわりロボット おわりロボット はじめさぶ1 はじめさぶ1はじめさぶ1 はじめさぶ1

10 後退 5 右前 5 左後 1010 後退後退 55 右前右前 55 左後左後 10 後退 5 右前 5 左後 おわりさぶ

おわりさぶおわりさぶ おわりさぶ はじめさぶ2 はじめさぶ2はじめさぶ2 はじめさぶ2

10 後退 5 左前 5 右後 1010 後退後退 55 左前左前 55 右後右後 10 後退 5 左前 5 右後 おわりさぶ 。

おわりさぶ 。おわりさぶ 。 おわりさぶ 。」」」」

ロボ次郎! ひらけごま。

ロボ次郎!ロボ次郎! ひらけごま。ひらけごま。

ロボ次郎! "COM1"ひらけごま。

ロボ次郎!転送命令 うごけ。

ロボ次郎!転送命令ロボ次郎!転送命令 うごけ。うごけ。

ロボ次郎!転送命令 うごけ。

ロボ次郎!とじろごま。

ロボ次郎!とじろごま。ロボ次郎!とじろごま。

ロボ次郎!とじろごま。

図2 ロボットを動かすプログラム例

図3 生徒が自作したロボット

(3)

図4 課題を実行する生徒

2.2 ソフトウエア作りの授業 2.2 2.2 ソフトウエア作りの授業 ソフトウエア作りの授業 2.2 ソフトウエア作りの授業

ドリトルを使ったソフトウエア作りの授業で は、サンプルプログラムを例に、タートルオブ ジェクトを動かしたり、ボタンオブジェクトや オブジェクト同士の衝突検知を行うプログラム などを学習した後、簡単なシューティングゲー ムを作ることを課題とした。表2は、授業カリ キュラムである。図5は、生徒が参考にしたシ ューティングゲームプログラムである。

図6と図7に実行画面と生徒の様子を示す。

表2 カリキュラム(ソフトウエア作り)

時間 内容

1 オブジェクトの変身 2 タイマープログラム 3 ボタンオブジェクト 4 衝突検知のプログラム 5 点数を表示するプログラム 6〜8 ゲーム作り

表示欄=フィールド! 作る 200 表示欄=フィールド!表示欄=フィールド! 作る作る 200200 表示欄=フィールド! 作る 200

−200 位置 80 40 大きさ。

−200−200 位置位置 8080 4040 大きさ。大きさ。

−200 位置 80 40 大きさ。

カメゾウ=タートル! 作る。

カメゾウ=タートル!カメゾウ=タートル! 作る。作る。

カメゾウ=タートル! 作る。

カメゾウ:長方形=「|x y|「 x)

カメゾウ:長方形=「|xカメゾウ:長方形=「|x y|「 x)y|「 x)

カメゾウ:長方形=「|x y|「 x)(((( 歩く 90 右回り (y) 歩く 90 歩く歩く 9090 右回り右回り (y)(y) 歩く歩く 9090 歩く 90 右回り (y) 歩く 90 右回り」! 2回 繰り返す 。

右回り」!右回り」! 2回2回 繰り返す繰り返す 。。 右回り」! 2回 繰り返す。。。。」」」」。 カメゾウ! 10 200 長方形 カメゾウ!カメゾウ! 1010 200200 長方形長方形 カメゾウ! 10 200 長方形 図形にする 300 300 移動する 図形にする図形にする 300300 300300 移動する移動する 図形にする 300 300 移動する

赤) 塗る。

赤)赤) 塗る。塗る。

赤) 塗る。

カメゾウ! 10 200 長方形 カメゾウ!カメゾウ! 1010 200200 長方形長方形 カメゾウ! 10 200 長方形 図形にする −300 300 移動する 図形にする図形にする −300−300 300300 移動する移動する 図形にする −300 300 移動する 赤) 塗る。

赤)赤) 塗る。塗る。

赤) 塗る。

カメゾウ! ペンなし −200 200 カメゾウ!カメゾウ! ペンなしペンなし −200−200 200200 カメゾウ! ペンなし −200 200 移動する。

移動する。移動する。

移動する。

カメゾウ:衝突=「!180度 右回り 。 カメゾウ:衝突=「!180度カメゾウ:衝突=「!180度 右回り 。右回り 。 カメゾウ:衝突=「!180度 右回り 。」」」」

カメゾウ! 変身する。

カメゾウ!カメゾウ! 変身する。変身する。

カメゾウ! tonbo.gif 変身する。

時間1=タイマー! 作る。

時間1=タイマー!時間1=タイマー! 作る。作る。

時間1=タイマー! 作る。

時間1! 秒 間隔 秒 時間。

時間1!時間1! 秒秒 間隔間隔 秒秒 時間。時間。

時間1! 0.01秒 間隔 30秒 時間。

時間1!「カメゾウ! 1 歩く 」実行。

時間1!「カメゾウ!時間1!「カメゾウ! 11 歩く 」実行。歩く 」実行。

時間1!「カメゾウ! 1 歩く 」実行。。。。。 カメ子=タートル! 作る。

カメ子=タートル!カメ子=タートル! 作る。作る。

カメ子=タートル! 作る。

カメ子! ペンなし 位置。

カメ子!カメ子! ペンなしペンなし 位置。位置。

カメ子! ペンなし 0 -200 位置。

カメ子! 90 左回り。

カメ子!カメ子! 9090 左回り。左回り。

カメ子! 90 左回り。

カメ子:衝突=「カメ子!

カメ子:衝突=「カメ子!カメ子:衝突=「カメ子!

カメ子:衝突=「カメ子! niwa.gif 変身する。表示欄 ((表示欄 読む) ) 変身する。表示欄変身する。表示欄 ((表示欄 読む)((表示欄 読む) )) 変身する。表示欄! ((表示欄 読む)! + 1) 書く 。

書く書く 。。 書く。。。。」」」」。

ボタン1=ボタン! 作る。

ボタン1=ボタン!ボタン1=ボタン! 作る。作る。

ボタン1=ボタン! jump 作る。

ボタン1! −200 −200 位置。

ボタン1!ボタン1! −200−200 −200−200 位置。位置。

ボタン1! −200 −200 位置。

時間2=タイマー! 作る。

時間2=タイマー!時間2=タイマー! 作る。作る。

時間2=タイマー! 作る。

時間2! 秒 間隔 1秒 時間。

時間2!時間2! 秒秒 間隔間隔 1秒1秒 時間。時間。

時間2! 0.01秒 間隔 1秒 時間。

ボタン1:動作=「時間2!「カメ子!

ボタン1:動作=「時間2!「カメ子!ボタン1:動作=「時間2!「カメ子!

ボタン1:動作=「時間2!「カメ子!

10 歩く 」実行 。 1010 歩く 」実行歩く 」実行 。。 10 歩く 」実行。。。。 。。。。」」」」。

ボタン2=ボタン! 戻る 作る ボタン2=ボタン!ボタン2=ボタン! 戻る戻る 作る作る ボタン2=ボタン! 戻る 作る

−200 −250 位置。

−200−200 −250−250 位置。位置。

−200 −250 位置。

0 -200 ボタン2:動作=「カメ子!

ボタン2:動作=「カメ子!ボタン2:動作=「カメ子!

ボタン2:動作=「カメ子!

位置 変身する 。

位置位置 変身する変身する 。。 位置 ayumi.gif 変身する。。。。」」」」。

図5 ドリトルの命令

図6 プログラムの実行画面

(4)

図7 ゲームプログラム作りにに取り組む生徒

プログラムでは、ボタンを押したときに実行 される衝突メソッドなどを定義している。トン ボとカメの姿をしたタートルオブジェクトは2 つのタイマーにより非同期に実行が行われる。

3 評価実験 3 3 評価実験 評価実験 3 評価実験

アンケートは12月にゲームプログラム作り の最後の授業で実施した。対象は3年生131 名である。

アンケートの内容は、1から4までの選択肢

、「 ( ) 」 を選ぶ形式で行い とても 大変 ○○である

「どちらかといえば○○である」という内容に して、生徒の考えをはっきり導くため「どちら ともいえない」という項目を入れずにおいた。

図8は、アンケートの内容である。答は、すべ て番号で答えるようにした。

①ロボットを動かすプログラムは

①ロボットを動かすプログラムは①ロボットを動かすプログラムは

①ロボットを動かすプログラムは 1大変簡単である

2どちらかと言えば簡単である 3どちらかと言えば難しい 4大変難しい

②ロボットを動かすプログラムは

②ロボットを動かすプログラムは②ロボットを動かすプログラムは

②ロボットを動かすプログラムは 1とても楽しい

2どちらかと言えば楽しい 3どちらかと言えば楽しくない 4とっても楽しくない

③ドリトルのプログラムは

③ドリトルのプログラムは③ドリトルのプログラムは

③ドリトルのプログラムは 1大変簡単である

2どちらかと言えば簡単である 3どちらかと言えば難しい 4大変難しい

④ドリトルのプログラムは

④ドリトルのプログラムは④ドリトルのプログラムは

④ドリトルのプログラムは

1とても楽しい

2どちらかと言えば楽しい 3どちらかと言えば楽しくない 4とっても楽しくない

⑤ロボットのプログラムとドリトルの

⑤ロボットのプログラムとドリトルの⑤ロボットのプログラムとドリトルの

⑤ロボットのプログラムとドリトルの プログラムを比べて

プログラムを比べてプログラムを比べて プログラムを比べて 1ロボットの方が楽しい

2どちらかと言えばロボットの方が楽しい 3どちらかと言えばドリトルの方が楽しい 4ドリトルの方が楽しい

⑥ロボットのプログラムとドリトルの

⑥ロボットのプログラムとドリトルの⑥ロボットのプログラムとドリトルの

⑥ロボットのプログラムとドリトルの プログラムを比べて

プログラムを比べてプログラムを比べて プログラムを比べて 1ロボットの方が難しい

2どちらかと言えばロボットの方が難しい 3どちらかと言えばドリトルの方が難しい 4ドリトルの方が難しい

⑦コンピュータに興味が持てた学習は

⑦コンピュータに興味が持てた学習は⑦コンピュータに興味が持てた学習は

⑦コンピュータに興味が持てた学習は 1ロボットのプログラムの授業

2どちらかと言えばロボットのプログラム の授業

3どちらかと言えばドリトルのプログラム の授業

4ドリトルのプログラムの授業

図8 アンケートの内容

アンケートの結果を分析するにあたり、生徒の 学習状況により答え方がどのように異なるのか を調べることにした。生徒の5教科における学 習の得手、不得手を、9月と12月実施した学 力調査テスト(国語 社会、数学、理科 英語 各教科50点問題)結果の合計により分類し てみた。9月に行われたテストは中学1年生と 2年生で学習した内容から出題され、12月に 行われたテストは中学1年生から3年生の2学 期までに学習した内容が出題される。出題範囲 が広いことから、普段から学習が得意とされる 生徒と、そうでない生徒では、点数に大きな開 きとなって表れてくる。そのため、両テストの 合計点を学習の得手不得手の指標にした。

学力調査テストの点数の分布を表3と図9に 示す。

(5)

表3 点数の度数分布表

点数 人数

451~500 2

401~450 14

292.75 351~400 25 平均

標準偏差 σ 301~350 28

94.58 251~300 22 σ=

201~250 19 151~200 12

101~150 7

0~100 5

図9 テスト結果の分布

次に、学力調査テストの成績とアンケートの 結果の関係を分析した。最初に生徒の数をおお よそ3つのグループにに分割するために、35 1点以上の生徒41名をA群 251点〜35 0点までの50名をB群 250点以下の44 名をC群とした。表4に、アンケート結果の集

、 。

計と A群〜C群のグループごとの集計を示す

図10 ドリトルは楽しい?

テスト点分布

2 14

25 28

22 19

12

7 5

0 5 10 15 20 25 30

451~500 401~450

351~400 301~350

251~300 201~250

151~200 101~150

0~100 点数

人数

④ドリトルのプログラムは

27 25

13 13

18

21

1 7 5

0 0 2

0%

20%

40%

60%

80%

100%

A群 B群 C群

1とても楽しい 2どちらかといえば楽しい 3どちらかといえば楽しくない 4とっても楽しくない

表4よりA群とC群で差がはっきり出たアン ケート項目④の結果をグラフ化したのが図10 である。

表4 アンケート結果

図10からも明らかなようにABCそれぞれ の群において「ドリトルがとても楽しい」と答 えている生徒の割合がABC群の順に下がって いる。また、項目⑥についてABC群ごとまと めたグラフが図11である。

AA

AA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 2

22

2 2222 1111 14141414 14141414 5555 19191919 272727 2127 212121 6666 7777 13131313

A A A

A BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 19

19 19

19 27272727 11111111 20202020 222222 2622 262626 2222 1111 3333 0000 0000 0000

A A A

A BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 1

11

1 6666 1111 14141414 11111111 7777 21212121 2222 252222 252525 5555 11111111 8888

A A A

A BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 27

27 27

27 25252525 13131313 13131313 1818 211818 212121 1111 7777 5555 0000 0000 2222

A A A

A BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 6

66

6 11111111 9999 6666 16161616 8888 16161616 14141414 15151515 13131313 9999 8888

AA

AA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 12

12 12

12 8888 7777 10101010 11111111 9999 12121212 23232323 13131313 7777 8888 11111111

AA

AA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC AAAA BBBB CCCC 777

7 10101010 12121212 8888 10101010 8888 12121212 20202020 13131313 14141414 10101010 8888 5

55

5 33333333 67676767 36363636

①ロボットの授業は簡単?

①ロボットの授業は簡単?

①ロボットの授業は簡単?

①ロボットの授業は簡単?

②ロボットを動かすプログラムは楽しい?

②ロボットを動かすプログラムは楽しい?

②ロボットを動かすプログラムは楽しい?

②ロボットを動かすプログラムは楽しい?

1とても楽しい 1とても楽しい 1とても楽しい

1とても楽しい 2222 3333 4とても楽しくない4とても楽しくない4とても楽しくない4とても楽しくない

1大変簡単 1大変簡単 1大変簡単

1大変簡単 2222 3333 4大変難しい4大変難しい4大変難しい4大変難しい

57 57 57

57 68686868 6666 0000

③ドリトルのプログラムは簡単?

③ドリトルのプログラムは簡単?

③ドリトルのプログラムは簡単?

③ドリトルのプログラムは簡単?

1大変簡単 1大変簡単 1大変簡単

1大変簡単 2222 3333 4大変難しい4大変難しい4大変難しい4大変難しい

④ドリトルのプログラムは楽しい?

④ドリトルのプログラムは楽しい?④ドリトルのプログラムは楽しい?

④ドリトルのプログラムは楽しい?

8 88

8 32323232 68686868 24242424

1とても楽しい 1とても楽しい 1とても楽しい

1とても楽しい 2222 3333 4とても楽しくない4とても楽しくない4とても楽しくない4とても楽しくない

6565

6565 52525252 13131313 2222

⑤ロボットとドリトルどちらが楽しい?

⑤ロボットとドリトルどちらが楽しい?⑤ロボットとドリトルどちらが楽しい?

⑤ロボットとドリトルどちらが楽しい?

1ロボット 1ロボット 1ロボット

1ロボット 2222 3333 4ドリトル4ドリトル4ドリトル4ドリトル 2626

2626 30303030 45454545 30303030

⑥ロボットドリトルどちらが難しい?

⑥ロボットドリトルどちらが難しい?⑥ロボットドリトルどちらが難しい?

⑥ロボットドリトルどちらが難しい?

1ロボット 1ロボット 1ロボット

1ロボット 2222 3333 4ドリトル4ドリトル4ドリトル4ドリトル 2727

2727 30303030 48484848 26262626

⑦コンピュータに関心を持ったのは?

⑦コンピュータに関心を持ったのは?⑦コンピュータに関心を持ったのは?

⑦コンピュータに関心を持ったのは?

1ロボット 1ロボット 1ロボット

1ロボット 2222 3333 4ドリトル4ドリトル4ドリトル4ドリトル 29

29 29

29 26262626 45454545 32323232

(6)

図11 ロボットとドリトルどっちが難しい?

、 「 」

このグラフからBC群は A群と比べて 3 と「4 (どちらかといえばドリトルの方が難し」 い、ドリトルの方が難しい)と答えている生徒 の割合が多いことがわかる。

以上の結果から、成績別にグループ化したA BC群でアンケートの結果が異なることがわか る。さらに、C群やB群の生徒にとってドリト

、 ルによるプログラミングの学習は楽しいながら ロボットのプログラミングに比べて難しいと感 じてる生徒が多いということが読み取れる。

4 回答と成績の対応に関する分析 4 4 回答と成績の対応に関する分析 回答と成績の対応に関する分析 4 回答と成績の対応に関する分析

アンケートの回答と成績との関係をさらに調 べるために、アンケート⑤〜⑦に関して、回答 ごとの成績の分布を調べてみた。

図12〜図14に、項目⑤から⑦までのアン ケートの回答ごとの成績分布を示す。分布は成

( ) 。

績の中位点と四分位偏差 3点表示 で示した

⑥ロボットのプログラムとドリトルのプログラムを比較して

12 8 7

10

11 9

12 23 13

7 8

11

0%

20%

40%

60%

80%

100%

A群 B群 C群

4ドリトルの方が難しい

3どちらかといえばドリトルの方が難しい 2どちらかといえばロボットの方が難しい 1ロボットの方が難しい

表5 ⑤楽しさの(3点表示)

図12 ⑤楽しさ 3点表示

表6 ⑥難しさ (3点表示)

図13 ⑥難しさ 3点表示

⑤楽しさ (3点表示)

295 287

311

341.5

150 200 250 300 350 400 450

1 2 6

3 0

4 5

3 0

集団の1/4

中央値 集団の3/4

項目 集団の1/4 中央値 集団の3/4 1ロボットの方が難しい26人 388.5 341 268 2どちらかといえばロボット30人 385.5 314.5 242.5 3どちらかといえばドリトル48人 357 310.5 249 4ドリトルの方が難しい26人 358.5 267 236

⑥難しさ

341

314.5 310.5 267

150 200 250 300 350 400 450

1 2 6

3 0

4 8

2 6

集団の1/4 中央値 集団の3/4

項目 集団の1/4中央値 集団の3/4

1ロボットの方が楽しい 26人 342 295 241 2どちらかといえばロボット30人 337.5 287 233 3どちらかといえばドリトル45人 391 311 240 4ドリトルの方が楽しい30人 383.5 341.5 272.5

(7)

表7 ⑦コンピュータに興味(3点表示)

図14 ⑦コンピュータに興味

図12〜図14を見ると、アンケートの回答 と成績に関係があることがわかる。

図12では 「4ドリトルの方が楽しい 「3、 」 どちらかと言えばドリトル」と答えた生徒は成 績がよい(学習が得意である)傾向がある。

図13では、学習の不得手な生徒は「4ドリ トルの方が難しい」と回答する傾向がある。

図14では、成績のよい生徒は「4ドリトル

」 。

のプログラムの授業 に興味を持つ傾向がある 結果として、学習の得意な生徒(成績のよい生 徒)は、ドリトルの授業(ソフトウェア作り)に興 味を持ち、学習の不得手な生徒はロボットの授 業(ロボット制御)に興味を持つ傾向がある。

5 考察 5 5 考察 考察 5 考察

学習が苦手な生徒の中には、キーボードで文 章を打つのにローマ字の読み書きができないた めに、苦手意識を持つ生徒が多い。また、一つ のことを椅子に座ってじっと考えることに苦痛 を感じ、授業に集中できない生徒もいる。しか し、そのような生徒たちでも、ロボットの学習 は興味が持てる題材であり、プログラミング学

項目 集団の1/4中央値 集団の3/4

1ロボットのプログラムの授業29人 353 277 240 2どちらかと言えばロボットの授業26人 373.5 290 207.5 3どちらかと言えばドリトルの授業45人 357 309 246.5 4ドリトルのプログラムの授業32人 385 341.5 271

⑦コンピュータに興味

277 290 309

341.5

150 200 250 300 350 400

2 9

2 6

4 5

3 2

集団の1/4 中央値 集団の3/4

習としては有効であった。その理由の一つは、

ロボットという実物が動くということが分かり 易さを象徴している。また、活動を伴う学習に なるため、座学が苦手な生徒にとって活動の場 が与えられるため、自然と授業に参加できるよ うになるためである。

ロボット制御のプログラミングでは、ロボッ トが解釈できる命令が少ないことから、プログ ラムで使う命令の種類は限られている。一方、

ソフトウエア作りのプログラミングでは、使う

、 。

命令が ロボットの制御に比べ多くなってくる そのため、マニュアルを自分で読みながら命 令言語を学習することが、必要になってくる。

学習が得意な生徒にとってマニュアルをみなが ら学習を進めていくことは、学習に大きな障害 をもたらすとは考えられないが、学習が不得手 な生徒にとっては苦痛になる。

では、マニュアルが必要ない授業形態に変え ることにより、解決できるかというと、それも

。 、 、

難しい なぜならば プログラミング学習では 生徒のプログラミングにかける期待と作品の要 求レベルが授業を重ねるごとにどんどん上がっ ていくため、40人近い生徒に個別対応しなが ら学習させることが不可能だからである。その ため、自主的に進められる生徒は、自分のペー スでマニュアルを見ながら学習させていかない と授業が成立しなくなる。また、ロボット制御 と異なり、市販されているゲーム機で遊んでい る経験が豊富なために、簡単な画面の動きでは 満足しない生徒が多い。自主的に学習できる生 徒は、解決のための方法を考えたり、マニュア ルを見ながら新しい命令言語の獲得に乗り出す ことができる。しかし、学習が不得手な生徒は 読むことが苦手である生徒が多いため、解決の 方法を人にたよるしかなく、授業中何もしもし ないで過ごす生徒がでてきてしまうという問題 がある。

6 まとめ 6 6 まとめ まとめ 6 まとめ

結論として、以下のことが考えられる。

①プログラミングの授業実践として、ロボット

(8)

制御の授業から始め、プログラミングに興味 を持たせた後、ソフトウエア作りのプログラ ミング学習に移行するのが良い。

②ロボット制御のプログラミング学習ができな い場合は、マニュアルを見ながら自主的に学 習を進められる集団とそうでない集団で指導 方法分けて授業を進める必要がある。

生徒にとって、ドリトルを使ったロボット制 御の授業も、ゲームプログラミングの授業もい ずれも80%の生徒は「楽しい 「どちらかと言」 えば楽しい」と答えている。ロボット制御とソ フトウエア作りという違いはあるが、教材とし てドリトルを扱うこと自体は、生徒にとって良

。 い物であることはアンケートから明らであった

今後もドリトルを使ったプログラミングの指 導方法の研究を発展させていきたいと考えてい る。

本研究で実験授業に協力頂いた、藤枝市立西 益津中学校の教員と生徒のみな様に感謝いたし ます。

参考文献 参考文献 参考文献 参考文献

[ ] 紅林秀治1 . 「ドリトル」で始める情報教育 第4回 ドリトルで制御学習(その1).

NEW教育とコンピュータ, Vol.18, No.4, pp.120-123, 2002.

[ ] 紅林秀治2 . 「ドリトル」で始める情報教育 第5回 ドリトルで制御学習(その2).

NEW教育とコンピュータ, Vol.18, No.5, pp.40-43, 2002.

3 , , , ,

[ ] 紅林秀治 兼宗進 岡田雅美 佐藤和宏 久野靖 画面を飛び出したオブジェクト.

:自立型ロボットを活用した情報教育の提案. 情報処理学会情報教育シンポジウム

SSS2002 ,pp.77-84, 2002.

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