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政投融資の概要財政投融資の対象事業 ( 株 ) 国際協力銀行 ( 株 ) 国際協力銀行は 資源の安定確保 輸入コスト低減 供給 源多角化などの取組並びに我が国企業の海外投資及びインフラ 需要の旺盛な地域への海外展開支援などのため 出融資や保証 などを行っています 事例 オランダ王国における洋上風力発

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(1)

財政投融資の活用分野

 財政投融資は、中小企業・小規模事業者の資金繰り支援や奨学金の貸与、資源・エネルギーの安定的な確保など、様々な分野や場面 において活用され、我が国の国民生活や経済成長に貢献しています。

中小零細企業

 信用力・担保力などの基盤が弱いことなどから、民間金融機 関のみでは十分な資金供給を行えない中小企業・小規模事業者 を支援するため、財政投融資が活用されています。

 例えば、(株)日本政策金融公庫において、中小企業・小規模 事業者の資金繰り支援や創業・事業再生といった地域活性化に 資する取組などを支援しています。

農林水産業

 農林水産業は、自然条件などによるリスクが大きく、生産サイ クルが長いといった特性があり、民間金融機関のみでは十分な資 金供給を行えないため、財政投融資が活用されています。

 例えば、(株)日本政策金融公庫において、地域の担い手とな る農業者が取り組む経営規模の拡大や6次産業化などを支援し ています。

教育

 学生に対する奨学金事業や、私立学校施設の耐震化整備など に対して財政投融資が活用されています。

 例えば、(独)日本学生支援機構において、進学意欲のある学生 が経済的理由により進学などを断念することがないよう、貸与基 準を満たす奨学金希望者全員に有利子奨学金を貸与しています。

福祉・医療

 少子高齢化への対応や医療体制の強化を図るため、財政投融 資が活用されています。

 例えば、(独)福祉医療機構において、福祉医療サービスの基 盤強化の観点から、社会福祉法人や医療法人などに対して、児 童福祉施設、老人福祉施設及び病院・診療所などの整備を推進 するために必要な資金の貸付けを行っています。

産業・イノベーション

 産業の競争力強化や、産業の活性化に不可欠なイノベーショ ンの創出に必要な事業資金について、財政投融資が活用されて います。

 例えば、(株)日本政策投資銀行において、企業の競争力強化 や地域活性化の観点から、民間金融機関などの資金供給を促進 しつつ、企業の成長に向けた積極的な取組を支援するため、資 本性資金などの成長資金を供給しています。

住宅

 東日本大震災などの災害に対応するため、(独)住宅金融支援 機構の災害復興住宅融資や(独)都市再生機構における災害公 営住宅の整備といった災害復興の事業について、財政投融資が 活用されています。

 また、(独)都市再生機構の賃貸住宅事業においても、老朽化 したUR団地の建替えや集約化などに財政投融資が活用されて います。

社会資本

 空港、高速道路などの社会資本の整備においては、大規模プ ロジェクトであることなどから、財政投融資が活用されています。

 例えば、(独)日本高速道路保有・債務返済機構において、高速 道路の新設、改築などに係る債務の早期の確実な返済などの業 務を行うことにより、高速道路事業の円滑な実施を支援しています。

海外投融資

 資源・エネルギーの安定的な確保や、インフラ分野をはじめと する日本企業の海外事業展開などを推進することによる日本の 産業の国際競争力の維持・向上のため、財政投融資が活用され ています。

 例えば、(株)国際協力銀行において、資源の安定確保・輸入コ スト低減・供給源多角化などの取組並びに我が国企業の海外投 資及びインフラ需要の旺盛な地域への海外展開支援などのため、

出融資や保証などを行っています。

地方公共団体

 地方公共団体が行う事業のうち、災害復旧事業、辺地・過疎対 策事業のように国が責任を持って対応すべき分野や、教育施設、

上下水道など住民生活に密着した社会資本整備を中心として、

財政融資が活用されています。

 また、地方公共団体の資金調達能力は、財政規模や資本市場 へのアクセス可能性により差があり、資金調達能力の低い地方 公共団体について、資金の安定的確保を図る観点からも、財政 融資が活用されています。

3. 財政投融資の活用分野・対象事業

Ⅰ財政投融資の概要

(2)

産業投資

資本性劣後ローン

(呼び水効果)

財政融資

民間金融機関 融資

小規模事業者中小企業

国 日本政策

金融公庫

財政投融資の対象事業

(株)国際協力銀行

 (株)国際協力銀行は、資源の安定確保・輸入コスト低減・供給 源多角化などの取組並びに我が国企業の海外投資及びインフラ 需要の旺盛な地域への海外展開支援などのため、出融資や保証 などを行っています。

 平成28年度予算においては、事業規模2兆600億円に対し、

その財源として財政融資4,670億円、産業投資330億円、政府 保証8,000億円を予定しています。

事 例 オランダ王国における洋上風力発電 プロジェクト(平成27年度承諾案件)

 欧州では、持続的環境価値を生み出す再生可能エネルギー電 源の導入が進んでおり、中でも新しい分野の一つであり特に大 規模な開発が可能な洋上風力発電の開発が積極的に推進され ています。こうした中、(株)国際協力銀行は、日本企業が出資す るオランダ王国Clusius C.V.との間で約 244 百万ユーロ限度 のプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結しました。こ れは、同国ルフタダウネン洋上風力発電所を運営し、20年間に わたって売電する事業に対して、(株)国際協力銀行が長期資金 を融資するものです。

 本プロジェクトへの(株)国際協力銀行の支援は、平成25年4 月に創設した「海外展開支援融資ファシリティ」の一環としてな

されるものであると共に、平成28年5月に改訂された「インフラ システム輸出戦略」といった日本政府の政策にも合致するもの であり、日本企業の国際競争力の維持・向上に貢献するものです。

(株)日本政策金融公庫(国民一般向け業務・中小企業者向け業務)

 (株)日本政策金融公庫(国民・中小)は、一般の金融機関が行 う金融を補完することを旨としつつ、国民一般及び中小企業者 の資金調達を支援するための金融の機能などを担っています。

 平成28年度予算においては、事業規模4兆9,874億円に対し、

その財源として財政融資3兆450億円、産業投資440億円、政 府保証1,850億円を予定しています。

事 例 ベンチャー企業への資本性劣後ローンの活用

 清涼飲料製造業に長年携わった社長が独立して、創業したベン チャー企業が、他社との差別化を図るために、新たな生産・販売 方式を導入するにあたって、新工場の建設資金が必要となりました。

 同企業は、創業後間もないため、財務面の充実が求められる ところ、金融機関が借り手の財務状況などを判断するに当たって、

負債ではなく、資本とみなすことができる資本性劣後ローンを 融資することにより、事業拡大と財務体質強化に併せて取り組ん だ結果、民間金融機関からの融資の「呼び水」となって資金調達 の円滑化に貢献しました。

(株)国際協力銀行/ルフタダウネン洋上風力発電事業/洋上風車/

オランダ王国ノルドバイク市沖合

事業スキーム

Ⅰ財政投融資の概要

(3)

(兆円) (万人)

(年度)

7 6 5 4 3 2 1 0

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

貸与残高 無利子 貸与残高 有利子 貸与人員 無利子 貸与人員 有利子

平成16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

貸 付 対 象

❶新事業型: 新たな事業を開始する方、異業種・異分野へ進出す る方、海外に展開する方、事業承継する方

※親族以外の事業者の方なども含みます

❷再 生 型: 事業再建に取り組む方 貸付限度額 3億円

貸 付 期 間 5年1ヶ月、7年、10年、15年(満期一括償還)

貸 付 金 利 業績連動型利払い(対象・期間・業績に応じて0.40%〜5.95%)

そ の 他 無担保・無保証

※国民一般向け業務でも、資本性劣後ローンを提供しています。

貸付限度額:4,000万円

貸 付 期 間:5年1ヶ月以上15年以内(満期一括償還)

貸 付 金 利: 業績連動型利払い

(対象・期間・業績に応じて0.90%〜6.50%)

(独)日本学生支援機構

 (独)日本学生支援機構は、教育の機会均等の理念のもと、意 欲と能力のある学生が、自らの意志と責任において大学などで 学ぶことができるよう、国の重要な教育事業として奨学金貸与 事業(下記参考1を参照)を行っています。

 近年、大学への進学率の上昇などにより奨学金の貸与人員は 増加傾向となっていましたが、足下では少子化などの影響により やや減少傾向となっています(下記参考2を参照)。

 財政融資は、(独)日本学生支援機構に対して、奨学金貸与事

業のうち有利子奨学金の貸与を行うために必要な資金を融資し ています(無利子奨学金は一般会計からの貸付金により事業を 実施)。

 平成28年度においては、貸与基準を満たす有利子奨学金を 希望する全員に貸与するため、必要な事業規模として7,686億 円(84.4万人)を確保するとともに、平成28年度財政投融資計 画に財政融資7,944億円を計上しています。

参考1 奨学金貸与事業

 (独)日本学生支援機構が行う奨学金貸与事業は、大学院・大 学・短期大学・高等専門学校などの学生を対象として、「無利子 奨学金」及び「有利子奨学金」の貸与を行っています。

 奨学金には貸与を受けられる基準が設けられており、有利子 奨学金と比べて無利子奨学金の方がより厳しいものとなってい ます(例:平成28年8月現在、有利子奨学金の学力基準は「平

均以上の成績」や「学修意欲のあるもの」などであるのに対して、

無利子奨学金の学力基準は「高校成績が3.5以上」となっている)。

 財政融資から(独)日本学生支援機構への融資は、有利子奨 学金の貸与利率が卒業時に決定(在学中は無利子)するため、(独)

日本学生支援機構の金利リスクを軽減する観点から、貸与利率 の決定が集中する3月に一括して実施しています。

参考2 奨学金貸与事業の年度別貸与人員及び貸与残高の推移

貸付条件など(中小企業者向け業務の例)

実績

平成26年度:1,001件、639億円 平成27年度:1,076件、639億円

Ⅰ財政投融資の概要

(4)

地方債

公 的 資 金 財政融資資金など 地方公共団体金融機構資金 民間等資金 市場公募資金

銀行等引受資金

地方公共団体

 地方公共団体が社会資本の整備などを実施するにあたり、民 間金融機関では供給困難な長期・低利の資金を供給するため、

財政融資資金により地方債(下記参考1を参照)の引受けを行っ ています。

 地方公共団体向け財政融資は、災害復旧事業など国が責任を 持って対応すべき分野や上下水道など住民生活に密着した社会

資本整備などにおいて重要な役割を担っています。

 平成28年度地方債計画における地方公共団体向け財政融 資は、地方公共団体の資金調達能力や資金使途を勘案しつつ、

円滑な資金調達に貢献する観点から、総額で2兆8,335億円(対 前年度当初計画比▲13.3%)を計上しています。

参考1 地方債

 地方債は、地方公共団体が資金を調達するために負担する債 務であり、翌会計年度以降に返済されるものをいいます。地方 債は原則として、公営企業の経費や建設事業費の財源を調達す る場合など、地方財政法第5条に掲げられる場合において発行 できることとなっています。

 地方債は、大きく分けて、公的資金(財政融資資金など及び地 方公共団体金融機構資金(下記参考2を参照))または民間等資 金(市場公募資金及び銀行等引受資金)によって引き受けられ ます。このうち、財政融資資金において引き受ける分については、

地方公共団体向けの財政融資として財政投融資計画に計上され

ます。

 地方債による資金調達については、地方公共団体の自律的な 財政運営を促す観点から、民間等資金によることが基本とされ ており、財政投融資改革以降、地方公共団体の資金調達能力と 資金使途に着目した重点化を推進したことにより、財政融資資金 の引受割合は低下し、一方、市場公募資金などの民間等資金の 割合は上昇しました(「地方債の市場化」)。

参考2 地方公共団体金融機構資金

 地方公共団体金融機構資金は、地方公共団体金融機構が債 券発行により調達した資金を原資とするものをいいます。地方 公共団体金融機構は、全都道府県・市町村からの出資により設

立され、地方公共団体に対し、長期かつ低利の資金を融通して います。

仙台市/病院事業(新仙台市立病院建設事業)/仙台市立病院/宮城県仙台市 (株)海外需要開拓支援機構/SAS ENIS(日本特産品のショーケース事業)/

フランス・パリ(写真提供:Takeshi MIYAMOTO)

Ⅰ財政投融資の概要

(5)

COLUMN

日本経済の課題と財政投融資の果たす役割

持続的成長を支える重要な要素のひとつが中長期的な視点に立った投資。企業の生産性向上、イノベーション創出に向けて、規制緩和やコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組むとともに、

官民の適切な役割分担の下、中長期のリスクマネーや成長資金の供給拡大が必要。

民間金融だけでは十分にリスクテイクできない分野において、財政投融資を含む政府が行う投融資活動(公的金融機能)に対する期待が生じてきている。財政投融資は、自助努力の促進に よる事業の効率的な実施や受益者負担の実現を通じて租税負担の抑制を図るという特徴を発揮しつつ、中長期的な視点から、かつ、民間金融を補完しながら、資金面からの成長制約を解消 する役割を果たす。

※ 財政投融資は金融的手法の政策スキームであり、財政融資は償還確実性の確保、リスクマネーを供給する産業投資は適切なポートフォリオマネージメントによる全体としての毀損回避が前提。

ガバナンスの向上

貸し手として(新たにコベナンツの活用を図り、外部ガバナンスを高める)

出資者として(官民ファンドガイドラインに基づき、出資者としてのガバナンスを確保)

チェック機能の充実(実地監査・スポット監査、地方公共団体の財務状況把握の充実・活用)

ディスクロージャーの充実

政策コスト分析の充実(時系列の把握・公表、対象分野毎の集計を新たに行う)

使途別分類表の見直し(「産業・イノベーション」、「海外投融資等」を新たに分類)

資金調達の在り方

財投債・財融FB(発行額の平準化、デュレーション/マチュリティ・ギャップの極小化)

政府保証債・政府保証外債(既往の資産・負債を管理するものについては引き続き過渡的・限 定的に付与。成長戦略などに応じ、外貨貸付や大規模プロジェクトなどに係る審査基準を明確化)

財投機関債(ディスクロージャーや事業運営の効率化といった効果と調達コストを勘案)

財投特会の財務の健全性確保

ALMの高度化(金利スワップ及び買入消却を補完的手法として引き続き実施)

積立金(財投特会の財務の健全性確保のため、復興の進捗や財政事情を勘案しつつ、

継続的に積み立てる必要。その際、積立金の必要水準の引下げの可能性を検討)

貸付金の証券化(貸付金残高圧縮の進展などを踏まえ、基本的に実施しない方針)

財政投融資の役割

官民の適切な役割分担 平時における公的金融機能

❶民間金融市場の補完(情報の非対称性、不完全競争、外部経済効果など)

❷民間では担えないリスクの負担 ❸民間資金の誘発効果 危機時における公的金融機能 ◦ 量的補完(平時への移行時に縮小)

財政融資と産業投資の役割分担

財政融資:超長期資金を含めた「負債性ファイナンス」

産業投資:エクイティ性資金を含めた「資本性ファイナンス」

財政融資と産業投資を組み合わせたハイブリッドな資金供給の手法を検討

(➡事業の成長性を重視する資金供給に重点をシフト)

官民の適切なリスク分担

民間企業のモラルハザードを防止しつつ、公的部門は、基礎的技術の不確実性、進出先 国のリスクなどを分担し、適度な支援を行う

財政投融資の対象として今後期待される分野

官民の適切な役割分担の下、6分野に対する中長期のリスクマネーや成長資金の供給拡大

❶産業競争力強化(DBJ/JBIC/日本公庫/JOGMEC など)

❷イノベーション創出(産業革新機構/農水機構/DBJ/日本公庫 など)

❸インフラ輸出(JBIC/JICA/インフラ輸出機構 など)

❹中堅・中小企業の海外展開(日本公庫/商工中金/クールジャパン機構 など)

❺インフラ投資(UR 都市機構/民都機構/PFI推進機構/DBJ など)

❻地域活性化(日本公庫/農水機構/UR/地公体 など)

産業投資の在り方

産業投資の役割

短中期の民間投資に対し、収益が上がるまで長期に耐えうる資金。資本性資金を呼び水 として供給し、民間金融による資金供給(レバレッジ)を誘発する質的補完

「投資収益の論理」と「政策目的の論理」の重複領域(ストライクゾーン)で運営 産業投資のリスク管理

個別の案件でのリスクテイクと全体での元本確保のバランスをとるポートフォリオマネー ジメントにより、毀損を回避し、一定の利益を確保

時限組織である官民ファンドはフェーズ(投資期間、回収期間)毎に対応 産投出資と産投貸付の役割・特徴

エクイティファイナンス(産投出資)に加え、メザニンファイナンス(確定利付の財政融資 では対応困難)に産投貸付を特例的・限定的に活用

地方公共団体向け財政融資の在り方

資金調達能力の差を踏まえた資金供給、資金使途に着目した重点化

➡臨時財政対策債は、財政融資資金としては抑制的な関与にとどめる 公共施設の更新投資への柔軟な対応、財政融資資金の償還年限延長を検討

➡その際、公共施設の横断的管理を促す

 財政投融資改革以降、財政投融資計画の規模は減少傾向にあり ましたが、近年の財政投融資計画においては、平成20年9月のい わゆるリーマン・ショックや平成23年3月の東日本大震災からの復 興など、我が国の経済社会情勢を受けた資金需要に対し積極的に 対応するとともに、民間投資を活性化させるため、官民ファンドを通 じて長期リスクマネーを呼び水として供給することを強化しています。

 そこで、平成26年2月から6回にわたり財政制度等審議会財政 投融資分科会が開催され、内外の経済・金融情勢の変化などを踏 まえて政府が行う投融資活動の在り方と、それを適切に運営してい

くために、官民の役割分担・リスク分担、貸し手又は出資者としての ガバナンスについて検討されました。8分野(❶財政投融資の役割、

❷財政投融資の対象として今後期待される分野、❸産業投資の在 り方、❹地方公共団体向け財政融資の在り方、❺資金調達の在り 方、❻ディスクロージャーの充実、❼ガバナンスの向上、❽財投特 会の財務の健全性確保)における課題と今後の在り方について議 論が行われ、「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」がと りまとめられました。

「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」のポイント

「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」

Ⅰ財政投融資の概要

(6)

COLUMN

アメリカ カナダ イギリス ドイツ フランス 日本

政府による信用供与を

一元的にまとめたもの 連邦信用計画 なし なし なし なし 財政投融資計画

政府貸出残高

(2014会計年度末) 32,990億ドル

〈396兆円〉 917億カナダドル

〈9兆円〉 1,970億ポンド

〈36兆円〉 1,944億ユーロ

〈27兆円〉 1,228億ユーロ

〈17兆円〉 120兆円

対象機関

中小企業 中小企業庁(SBA) 事業開発銀行(BDC) British Business Bank(BBB)

復興金融公庫(KfW)

中小企業銀行 Bpifrance (株)日本政策金融公庫

(国民一般向け業務)

(中小企業者向け業務)

住宅

ファニーメイ

(FNMA)、

フレディマック

(FHLMC)、

連邦住宅貸付銀行

(FHLB)

住宅公社(CMHC) KfW民間顧客銀行 預金供託公庫(CDC)(独)住宅金融支援機構

貿易・海外援助 輸出入銀行(EXIM) 輸出開発公社(EDC) 輸出信用保証庁

(UKEF)

KfW開発銀行、

KfWIPEX銀行、

ドイツ投資開発会社

(DEG)、

ユーラー・ヘルメス

フランス開発庁

(AFD)、

フランス貿易保険会社

(COFACE)

(株)日本政策金融公庫、

(株)国際協力銀行、

(独)国際協力機構

政策金融機関の貸出残高

(2014会計年度末) 59,350億ドル

〈712兆円〉 3,086億カナダドル

〈30兆円〉 2,566億ユーロ

〈35兆円〉 1,909億ユーロ

〈26兆円〉 155兆円

(参考)

国内非金融部門負債残高

(2014会計年度末)

414,387億ドル

〈4,973兆円〉 84,400億カナダドル

〈819兆円〉 84,168億ポンド

〈1,557兆円〉 86,630億ユーロ

〈1,187兆円〉 125,002億ユーロ

〈1,713兆円〉 3,499兆円

欧米諸国における有償資金の活用の例

諸外国における財政投融資類似制度の概要

(注) 1. 計数は平成27年12月25日財務省告示第400号に規定する外国貨幣換算率に基づいて算出している。

2. 計数は各国の統計資料などの改訂に伴い変動することがある。

3. 「政府貸出残高」については、アメリカは連邦信用計画の融資及び保証の数値、カナダ及びイギリスは中央政府の数値、ドイツ及びフランスは一般政府の数値、日本は財政投融資計画のうち 財政融資の残高の数値を記載している。

4. 「政策金融機関の貸出残高」については、アメリカは政府支援企業(GSEs)の融資及び保証残高の合計額、カナダは事業開発銀行(BDC)、輸出開発公社(EDC)、住宅公社(CMHC)及び農業 公社(FCC)の融資残高の合計額、ドイツは特殊課題銀行(Banken mit Sonderaufgaben)の貸出残高、フランスは預金供託公庫(CDC)及びBpifranceの融資残高の合計額を記載している。

5. 復興金融公庫中小企業銀行(KfW Mittelstandsbank)、復興金融金庫地方自治体及び民間顧客銀行/信用機関(KfW Kommunal-und Privatkundenbank/Kreditinstitute)、復興金 融公庫開発銀行(KfW Entwicklungsbank)、復興金融公庫IPEX銀行(KfW IPEX-Bank)及びドイツ投資開発会社(DEG)は、KfWバンクグループを構成している。

(出典) 「Analytical Perspectives - Budget of the U.S. Government Fiscal Year 2017」( 米国:OMB)、「Z.1 Financial Accounts of the United States Flow of Funds, Balance Sheets, and Integrated Macroeconomic Accounts First Quarter 2015」(米国:Board of Governors of the Federal Reserve System)、「OECD Stat Extracts」(カナダ:

OECD)、各機関Annual Report(カナダ:BDC、EDC、CMHC、FCC)「United Kingdom Economic Accounts, Quarter 4 2014」(英国:Office for National Statistics)、「Financial Accounts for Germany 2009 to 2014」(ドイツ:Deutsche Bundesbank)、「Banking statistics May 2016」(ドイツ:Deutsche Bundesbank)、「Semi Definitive Financial accounts and financial balance sheets Year 2014」(フランス:Banque de France)、「Bpifrance Financement Annual Report 2014」(フランス:Bpifrance)、「Caisse des Dépôts Group PRESS RELEASE Results of Caisse des Dépôts Group for 2014」(フランス:Caisse des Dépôts Group)などにより作成。

1.諸外国における有償資金の活用

 財政政策における有償資金の活用は、我が国に限らず欧米 諸国でも広く用いられています。しかし、それぞれの制度がで きた歴史的経緯や金融市場の状況などが異なるため、その具 体的な仕組みは様々です。

 例えば、融資の財源については、日本では主に財投債の発 行を通じて市場から調達しており、租税は用いない仕組みになっ

ていますが、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランスでは、

租税と国債により調達した資金を組み合わせたものとなって います。

 このように、具体的な仕組みは各国で異なっていますが、政 府の財政政策の手段として、有償資金の活用は重要な役割を 果たしています。

2.諸外国における財政投融資類似制度の事例(米国)

 米国における財政投融資類似制度の事例としては、例え ば、連邦信用計画(Federal Credit Program)や輸出入銀

行(Ex-Im)の輸出支援、米国中小企業庁(SBA)が提供する SBICプログラムが挙げられます。

Ⅰ財政投融資の概要

(7)

COLUMN

1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014E

[単位:10 億ドル]

4,000 25%

20%

15%

10%

5%

0%

3,000

2,000

1,000

0

直接融資 金融危機対応融資

連邦信用計画の対 GDP 比 政府保証

[単位:10億ドル]

(年)

住 宅 教 育 その他

住宅 56%

(1兆9,200億ドル)

教育 31%

(1兆800億ドル)

ビジネス 4%

(1,350億ドル)

インフラ 4%

(1,260億ドル)

国際関係 4%

(1,330億ドル) 農業 1%

(370億ドル)

その他 〜0%

(30億ドル)

1連邦信用計画

 連邦信用計画は、連邦政府が、租税・国債を原資として、住 宅、教育、農業、貿易、中小企業などの幅広い分野に対して行 う直接融資及び債務保証を一覧にした計画です。残高は約3 兆ドルで、直接融資と債務保証では、債務保証の占める割合 が3分の2強となっています。産業・分野別の残高割合では、

住宅が56%、教育が31%となっており、この2つで全体の約 9割を占めています。金融危機後には直接融資及び債務保証 ともに残高が急増し、危機収束後も増加ペースが減速してお りません。その中でも住宅・学生ローンの大所が、依然拡大 基調となっています。

連邦信用計画の残高推移

連邦信用計画の産業・分野別残高割合

( 2015 年) 連邦信用計画の

住宅・教育・その他別残高推移

Ⅰ財政投融資の概要

(8)

大統領連邦

議会 SBA

「補助金ゼロ」

プログラム

SBA保証証券 元本+利子

証券購入(資金提供)

所有権分配

(ownership distribution)

資金提供

debentures引受け(資金供給)

debentures発行 元本、利子、手数料支払い

株式取得、債券引受け 債券:元本+利子支払い

株式:所有権 支出金=0

公的市場

SBICs

中小企業

投資家民間

6,000

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

0

2009 2010 2011 2012 2013 2014(年)

(単位:百万ドル)

2輸出入銀行

 輸出入銀行は、1934年に創設され、輸出者に対して金融支 援を行うことにより、米国企業の輸出支援と共に雇用の創出を 図るため、融資に対する保証、保険の付与などを行っています。

 直接の融資先として大企業へ多額の融資を行っていること に対し、主として共和党から批判が挙がり、2015年4月中旬 に議会へ提出された業務再承認のための法律が成立せず、

2015年6月30日をもって業務認可が失効しました。失効中 には、他国の輸出信用機関による顧客切り崩しなどの働き掛 けがあり、国内の工場(雇用400人規模)がカナダに移転した 事例も発生しました。

 2015年12月4日、業務に関する幾つかの改革を盛り込ん だ業務再承認法案が可決され、輸出入銀行の業務が再開され ました。しかしながら、議会の影響は現在も継続し、任期満了・

退任後の役員欠員に関し、人事が承認されず、定足数不足が 恒常化しました。このため、役員会での議決が要件の大型案件

(規模 1,000 万ドル超)は議決不能となり、事実上、小規模案 件以外の案件採択を出来ない状況が続いています。

SBICプログラムの構造 SBICプログラムによる各年度の資金供給 3SBICプログラム

 SBAのSBICプログラム(Small Business Investment Company Program)は1958年に創設された、成長過程に ある中小企業に資本を提供する制度です。これまでの成功事 例としては、Apple, Intel, FedExなどの企業が本プログラム を利用していました。

 SBAが認可する民間投資家がSBIC(中小企業投資会社)を 設立し、これに対し、SBAがDebenture(無担保債券)を引き 受けSBICに資金を供給し、中小企業の成長を支援します(SBA は引き受けた債券をプールしてSBA保証証券として市場で売

却)。SBICは、自ら調達する資金の2倍(又は一定の要件を満 たした場合は3 倍)までSBAより資金調達が可能です(10 年 満期で半年賦が基本)。

 SBAは、民間が資金供給し難い分野への資金供給を促す

“gap filling”を、本制度の目的の1つとしています。このため、

SBICの投資に関し、中小企業以外への投資の制限、米国内以 外への投資の制限、プロジェクトファイナンスの禁止といった 制約を設けています。

可決された法律の主な概要

◦2019年9月30日までの業務の認可、与信上限は毎年1,350億ドル

◦損失準備金として、与信残高の総額の最低5%を保持

◦中小企業向けの承諾額の目標を、20%から25%へ(金額ベース)

◦不正防止の観点から、会計検査院による輸出入銀行の検査を厳格化、

会計検査院が4年ごとに検査結果を議会へ報告

◦定期的にストレステストを行い監視するリスクマネジメント委員会の設置

(注) 平成28年3月に、(1)米国における財政投融資類似制度の動向、(2)米国のベンチャーを巡る現状についての調査を実施しました。調査結果については、財政制度等審議

Ⅰ財政投融資の概要

参照

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