高機能材料を用いた道路橋橋脚の耐震設計法に関する研究
研究予算:運営費交付金(道路整備勘定)
研究期間:平 14〜平 18
担当チーム:耐震研究グループ(耐震)
研究担当者:運上茂樹、杉本健、西田秀明
【要旨】
構造合理化やコスト縮減等を目的として、高強度コンクリートや高機能鋼材の採用の検討が進みつつある。し かし、これらを用いた橋梁構造物の地震時の破壊特性や耐力、変形特性等に関する実験データは十分ではないこ とから、早急に耐震設計法の開発が必要とされる。本研究は、道路橋橋脚を対して、高強度コンクリート及び高 強度鋼材を用いた鉄筋コンクリートや鋼製橋脚の破壊特性、耐力、変形性能を明らかにするとともに、これらの 評価式を提案したものである。
キーワード:道路橋橋脚、高強度コンクリート、鋼製橋脚、高機能鋼材、変形性能、評価式
1.はじめに道路橋示方書の性能照査型設計法への移行に伴い、
構造合理化やコスト縮減等を目的に、従来一般に活用 されてこなかった高強度コンクリートや高機能鋼材の 採用の検討が進みつつある。しかし、これらを用いた 橋梁構造物の地震時の破壊特性や耐力、変形特性は、
実験データ等が十分ではないことから、一般的な耐震 設計法として提案されるには至っていない。このよう な背景から、本研究では、都市内高架橋のような標準 的な規模の道路橋橋脚に対して高強度コンクリート及 び高強度鋼材を用いた鉄筋コンクリート(以下、RC)や 鋼製橋脚の破壊特性、耐力、変形性能を明らかにする とともに、これに基づく耐力、変形性能の評価式を提 案することを目的として検討を行ったものである。
2.高強度材料を用いた鉄筋コンクリート橋脚の耐力
及び変形性能の評価に関する検討方法
2.1 検討対象とする材料強度等諸条件の設定
現行の道路橋示方書下部構造編
1)では、下部構造の 使用材料強度の許容応力度として、コンクリート設計 基準強度 30MPa、鉄筋 SD345(引張降伏強度 345MPa)ま でが規定されている。従って、これ以上の強度の材料 を下部構造に用いるためには、別途検討を行い、要求 性能を満足していることを検証する必要がある。この ような検討を行い、道路橋示方書の許容応力度を上回 る材料を道路橋橋脚に適用したものとしては、七色高 架橋
2)3)や鷲見橋
4)などの事例がある。これらの道路橋 は、建設地点の地形的要因による基礎の規模の縮小化 や、橋脚高が高いことによる自重の低減を図ることを
目的として高強度材料が用いられている。この他に高 強度材料を用いる場合としては、高層建築物の柱部材 などがあるが、一般に高軸力作用下で用いられること が多い。一方、都市内高架橋のような標準的な規模の 道路橋橋脚は、軸応力度で 1〜2MPa 程度と低い。高強 度材料を用いて高軸力とすれば、前述の構造物のよう に、一層橋脚や基礎の規模縮小などが図れる可能性が あるが、低軸力下でも鉄筋量の低減や変形性能の向上 が見込めるのであれば高強度材料を用いる利点はある と考えられる。以上を踏まえ、本研究では、現行の標 準的な道路橋橋脚と同程度の軸力作用下で、現行の道 路橋示方書下部構造編で規定されている許容応力度の 2 倍程度の、コンクリート設計基準強度 60MPa、
SD685(引張降伏強度 685MPa)までを検討対象として設 定した。
2.2 正負交番載荷実験に基づく評価方法
高強度材料を用いた RC 橋脚の破壊特性や耐力変形 性能を把握するために、RC 単柱の正負交番載荷実験を 実施した。RC 単柱は柱基部から載荷点までの高さは 3,010mm であり、断面形状(正方形又は円形)、コンク リート及び鉄筋強度の組合せ、鉄筋量(軸方向、横拘束 筋)、軸力をパラメータとして考慮した。実験ケースの 一覧を表−1 に示す。ここで、比較として、過去に実 施した標準的な材料強度を使用した実験の諸元も合わ せて示している。高強度材料を対象とした実験では、
標準的な材料強度である S‑0 供試体の実験における載
荷と同一になるように、基準変位δを 11mm として、こ
の整数倍の変位で各 3 回の正負交番載荷を行った。な
お、C‑1 供試体のみ基準変位は 16mm と異なっている。
以上の条件で計 10 体の正負交番載荷実験を行い、
破壊特性や水平荷重−水平変位関係、履歴吸収エネル ギーなどについて比較検討した。
2.3 地震時保有水平耐力法に基づく評価方法
道路橋示方書耐震設計編
5)では、地震時保有水平耐 力法に基づき曲げ破壊型 RC 橋脚の水平力−水平変位 関係の評価方法が規定されている。この評価方法に基 づいて、コンクリート設計基準強度 60MPa、SD685(引 張鉄筋降伏強度 685MPa)まで適用できるようにするた めに必要な検討を行った。
最初に、基礎的な検討として、道路橋示方書の評価 方法が高強度材料に対しても適用できるものと仮定し、
正負交番載荷実験による水平力−水平変位と比較した。
この結果を基本として、特に終局変位に着目して評価 方法の検討を行った。
地震時保有水平耐力法に基づいて RC 橋脚の水平力
−水平変位を算出する場合、拘束コンクリートや軸方 向鉄筋の応力度−ひずみ関係、終局ひずみや終局判定 位置、塑性ヒンジ長などが評価精度に影響する。しか し、いずれの要因が評価精度に対して支配的かについ ては、 標準的な強度の場合でも明確であるとはいえず、
これらを明らかにするには更なる検証データが必要で ある。このことから、本研究では、比較的検討事例が 多く、拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係に着目 して見直しを行うこととした。
高強度材料まで適用できる拘束コンクリートの応 力度−ひずみ関係のモデルには、土木研究所耐震チー ムが実施した共同研究(以下、共同研究)
6)や、建設省 総合技術開発プロジェクト(以下、NewRC)
7)、中澤ら
8)
、秋山ら
9)などがあり、いずれも RC 柱の一軸圧縮試 験を基に提案している。本研究では、このうち、共同 研究及び NewRC のモデルを基本とした検討を行った。
共同研究では、一辺 500mm の正方形及び直径 500mm
の円形断面を有し、試験区間高さが 1,000mm で、コン クリート設計基準強度が 30MPa 又は 60MPa、横拘束筋 に SD785(引張降伏強度 785MPa)を用いた RC 柱計 10 体 に対する一軸圧縮試験を行った。 この実験結果を基に、
道路橋示方書耐震設計編の拘束コンクリートの応力度
−ひずみ関係を提案した際と同様の分析を行い、応力 度−ひずみ関係式を提案した。道路橋示方書の式と異 なる点は、最大応力度σ
ccとその時のひずみε
ccを算定 する際の断面補正係数α、βであり、その値は表−2 の通りである。
NewRC のモデルは式(1)のとおりであり、コンクリー ト設計基準強度 30〜120MPa、横拘束筋に高強度鋼材を 用いた場合も含めて適用可能である。
( )
( )
22
2 1
1 DX X A
X D AX
cB c
c
+
− +
−
= + σ
σ
(1)
ここで、
( )
( )
>
− +
≤
−
= +
=
=
=
=
−
=
−
=
=
= +
=
5 . 1 5
. 1 20 35 . 3
5 . 1 1
7 . 4 1
, ,
5 . 2 11
'' 1
09 . 2 2
1 0 . 1
8 . 0
2
K K
K K
E K A X
d k s C k d
D k k s
o co
p cB c cB
c co c co
c
s c s
c c
c
cB c
cB c B c p
hy h p cB c
正方形断面
円形断面
正方形断面 円形断面
ε ε
σ σ σ
ε ε
ε κ
σ σ σ
µ σ
σ κρ σ σ
表−1 高強度 RC 橋脚実験供試体諸元
単位(N/mm2)
試験体名 S-0 S-1 S-2 S-3 S-4 S-5 C-0 C-1 C-2 C-3 C-4 C-5
断面形状 矩形600mm×600mm 円形φ600mm
コンクリート 設計強度 27 60 60 60 60 60 27 60 60 60 60 60
強度 SD295 USD685 USD685 USD685 USD685 USD685 SD295 USD685 USD685 USD685 USD685 USD685 軸方向鉄筋 配筋 D13*28本 D13*28本 D13*42本 D13*28本 D13*28本 D13*28本 D13*22本 D13*22本 D13*22本 D13*22本 D13*22本 D13*22本
鉄筋比(%) 0.99 0.99 1.48 0.99 0.99 0.99 0.99 0.99 0.99 0.99 0.99 0.99 強度 SD295 SD295 SD295 USD685 USD685 USD685 SD295 USD685 SD295 USD685 SD295 USD685 配筋 D6・ctc75 D6・ctc75 D6・ctc75 D6・ctc75 D6・ctc50 D6・ctc40 D6・ctc75 D6・ctc75 D6・ctc75 D6・ctc100 D6・ctc75 D6・ctc40
横拘束筋 中間帯鉄筋 無し 無し 無し 無し 有り 有り 無し 無し 無し 無し 無し 無し
有効長 520 520 520 520 260 200 520 520 520 520 520 520
体積比(%) 0.32 0.32 0.32 0.32 0.97 1.58 0.32 0.32 0.32 0.24 0.32 0.61
実験時軸応力 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0 1.0
構 造 諸 元
表−2 断面補正係数の比較
矩形断面 円形断面 矩形断面 円形断面 α 0.20 1.00 0.09 0.37 β 0.40 1.00 0.06 0.57
道路橋示方書
耐震設計編 共同研究
( )
( ) ( )
( )
=
×
−
=
=
− + +
=
=
×
×
=
×
=
−
−
帯筋 正方形鋼管
、安山岩、軽量骨材)
低弾性(石英片岩 高弾性(石炭岩)
一般
1.6 4 . 2
10 71 . 1 50
. 1
23 1 9
. 0
2 . 1
0 . 1
24 10 100 1
. 4
10 93
. 0
2 2 4
3 / 1
3 4 / 1
γ
β α
σ γ
σ β α
γ σ
σ ε
B c B
c B c c
B c o
K D
k k E
σ
c、ε
c: コンクリートの軸方向応力及びひずみ
cσ
B: コンクリートのシリンダー強度 σ
p: プレーンコンクリートの強度
cσ
cB、ε
co: 拘束コンクリートの強度及び強度時
のひずみ
d’’
: 横補強筋の公称直径(鋼管の場合、管厚)
C
、
s: 横補強筋の有効横支持長さ(鋼管の場 合、内幅)および間隔
σ
hy、ρ
h: 横補強筋の降伏点応力および体積比
(ただし直線型補強筋の場合、σ
hy≦700MPa)
この式は、応力度−ひずみ関係を応力の上昇域から 下降域まで一つの連続関数で表している点が特徴であ る。
以上、2 つの拘束コンクリートの応力度−ひずみ関 係を用いた場合の水平力−水平変位関係を求め、実験 結果と比較した。
3.高強度材料を用いた鉄筋コンクリート橋脚の耐力
及び変形性能の評価に関する検討結果
3
.
1正負交番載荷実験の結果
各供試体の損傷状況の進展を表−3、水平荷重−水 平変位関係として S‑3 供試体の場合の例を図−1、 さら に水平荷重−水平変位関係の包絡線(各載荷ステップ 1 波目の正側と負側の最大変位時の平均から算出)の 表− 3 実験における主要イベント発生状況
(1) 正方形断面
軸方向鉄筋 2本破断 4本破断 5本破断 2本破断 13本破断 12本破断
帯鉄筋 − 1本フックはずれ − 1本フックはずれ 1本フックはずれ −
供試体名 S-0 S-1 S-2 S-3 S-4 S-5
軸方向鉄筋降伏 1δ-1 3δ-1 4δ-1 3δ-1 3δ-1 4δ-1 最大荷重Pmaxの発生
(正負平均) 4δ-1 6δ-1 6δ-2 6δ-1 6δ-1 7δ-1
かぶりコンクリートの剥落 10δ 9δ 11δ 9δ 10δ 11δ
(軸方向鉄筋が確認出来た時)
最大変位時の荷重が 11δ-1 11δ-1
初めてPmaxの80%以下となる 12δ-2 10δ-3 11δ-3 12δ-2
10δ 11δ 12δ
載荷ステップ
終局変位と定義する 10δ 10δ 12δ
12δ-3 12δ-3 13δ-1 実験終了時の
鉄筋破断状況等
最終の載荷 12δ-3 12δ-1 13δ-3
(2)円形断面
軸方向鉄筋 10本破断 8本破断 6本破断 9本破断 4本破断 7本破断
帯鉄筋 1本破断 − − − − −
供試体名 C-0 C-1 C-2 C-3 C-4 C-5
軸方向鉄筋降伏 1δ-1 4δ-1 4δ-1 4δ-1 4δ-1 4δ-1 最大荷重Pmaxの発生
(正負平均) 2δ-1 6δ-1 6δ-1 6δ-1 6δ-1 7δ-1
かぶりコンクリートの剥落 7δ 11δ 10δ 11δ 11δ 11δ
(軸方向鉄筋が確認出来た時)
最大変位時の荷重が
8δ-1 12δ-2
初めてPmaxの80%以下となる 11δ-1 12δ-1 11δ-3 13δ-2
11δ 11δ 13δ
載荷ステップ
終局変位と定義する 7δ 12δ 10δ
12δ-3 12δ-1 14δ-1 実験終了時の
鉄筋破断状況等
最終の載荷 10δ-3 13δ-1 12δ-1
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400
-200 -100 0 100 200
水平変位δ(mm)
水平荷重P(kN)
図−1 水平荷重−水平変位関係(S−3 供試体)
比較を図−2 にそれぞれ示す。ここで、表−3 における 終局変位は、nδ(n は載荷ステップ)の 1 波目の荷重が 最大荷重の 80%を下回る場合は(n‑1)δ、nδの 2 波目 以降の加振で最初に 80%を下回る場合は nδとして定 義したものである。高強度材料を用いた実験では、い ずれも曲げ破壊型の損傷形態となり、3〜4δで軸方向 鉄筋の降伏、6〜7δで最大荷重となり、その後、9〜11 δで軸方向鉄筋が見える程度までかぶりコンクリート の剥落が生じ、11〜13δで最大荷重の 80%程度まで荷 重が低下した。かぶりコンクリートの剥落までは最大 荷重程度の荷重を保持しているが、それ以降は急激に 荷重低下し、多くの軸方向鉄筋が破断するケースも多 かった。この要因としては、軸方向鉄筋の伸び性能が 標準的な強度の場合に比べて小さいことが考えられる。
変形特性に着目すると、帯鉄筋量が多い場合や、横 拘束筋に高強度鉄筋を用いた円形断面の場合は、各イ ベントが発生する載荷ステップが大きくなっているが その差はあまり大きくない。しかし、正方形断面の場 合は、横拘束鉄筋に高強度材料を用いても標準的な強 度の場合とほぼ同じであり変形性能の向上は見られな かった。これらの結果から、本研究で対象としている
材料強度や軸力等の条件の範囲では、横拘束筋に高強 度鉄筋を用いても変形性能の向上はほとんど期待でき ないといえる。
累積履歴吸収エネルギーの比較を図−3 に示す。い ずれも終局変位付近までほぼ同様となっている。標準 的な強度の場合(S‑0 及び C‑0)と比べると、正方形断 面の場合は、高強度材料を用いた場合の累積履歴吸収 エネルギーが若干小さくなっているが、円形の場合は ほぼ同様である。しかし、等価減衰及び等価剛性で評 価すると、高強度材料を用いた場合は標準的な強度の 場合より水平荷重が大きくなっていることから、等価 減衰は小さく、逆に等価剛性は大きくなる結果となっ た。
3.2 地震時保有水平耐力法に基づく鉄筋コンクリー
ト橋脚の評価方法の検討結果
高強度材料に対する道路橋示方書の評価法の適用 性について前述の実験による水平力−水平変位と比較 した結果を表−4 に示す。なお、後述の異なる拘束コ ンクリートの応力度−ひずみ関係を用いた場合(提案 式を含む)の比較を合わせて示している。 実験において 最大荷重付近から荷重低下が顕著になるまでの水平力
0 50 100 150 200 250 300 350 400
0 50 100 150 200
水平変位δ(mm)
水平荷重P(kN)
S-0 S-1 S-2 S-3 S-4 S-5
0 50 100 150 200 250
0 50 100 150 200
水平変位δ(mm)
水平荷重P(kN)
C-0 C-1 C-2 C-3 C-4 C-5
(1)正方形断面 (2)円形断面
図−2 正負交番載荷実験により得られた水平荷重−水平変位関係の包絡線の比較
0 100 200 300 400 500 600 700
0 50 100 150 200
水平変位(mm)
累積吸収エネルギー(kJ
C-0 C-1 C-2 C-3 C-4 C-5
0 100 200 300 400 500 600 700
0 50 100 150 200
水平変位(mm)
累積吸収エネルギー(kJ
S-0 S-1 S-2 S-3 S-4 S-5
(1)正方形断面 (2)円形断面
図−3 累積履歴吸収エネルギーの比較
は、いずれも実験と計算値はほぼ一致している。しか し、終局変位は、正方形断面の場合、実験値より計算 値の方が、横拘束筋量が多い場合は大きく、逆に少な い場合は小さく評価している。また、円形断面の場合 はいずれの供試体に対しても実験値より計算値が小さ く評価されている。円形断面の場合は、標準強度でも 終局変位を小さめに評価することが指摘されており
10)、 C‑0 供試体でもそれが見て取れる。以上の結果より、
道路橋示方書の評価法を単純に高強度材料にまで適用
した場合、特に変形性能の評価が適切に行うことがで きない可能性があるといえる。
次に、拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係に共 同研究及び NewRC の提案式を用い、地震時保有水平耐 力法に基づいて RC 橋脚の水平力−水平変位を算出し た場合の結果の例を図−4 に示す。ここで、終局時の ひずみは、簡便化するために、道路橋示方書耐震設計 編の拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係における タイプ II 地震動に対する場合と同様、最大応力時の
表−4 拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係の評価に用いる断面補正係数と下降勾配の上限値(1)
正方形断面(2)
円形断面 供試体 モデル実験 152 108
道示 137 (0.90) 55 (0.50) NewRC 137 (1.00) 82 (0.76)
実験 242 108
道示 233 (0.96) 51 (0.48) 共同研究 231 (0.96) 48 (0.44) NewRC 238 (0.98) 86 (0.80) 提案式 237 (0.98) 76 (0.71)
実験 336 130
道示 319 (0.95) 46 (0.35) 共同研究 317 (0.94) 43 (0.33) NewRC 327 (0.97) 72 (0.55) 提案式 325 (0.97) 64 (0.49)
実験 251 108
道示 247 (0.98) 67 (0.62) 共同研究 245 (0.98) 57 (0.53) NewRC 249 (0.99) 90 (0.84) 提案式 249 (0.99) 87 (0.80)
実験 254 122
道示 251 (0.99) 122 (1.00) 共同研究 250 (0.98) 95 (0.78) NewRC 250 (0.98) 112 (0.92) 提案式 250 (0.98) 95 (0.78)
実験 265 131
道示 254 (0.96) 176 (1.35) 共同研究 253 (0.96) 127 (0.97) NewRC 254 (0.96) 140 (1.07) 提案式 253 (0.96) 126 (0.96) S-0
S-1
S-2
S-3
S-4
S-5
最大荷重(kN) 終局変位(mm) 供試体 モデル
実験 103 113
道示 99 (0.96) 54 (0.48) NewRC 97 (0.94) 97 (0.85)
実験 179 128
道示 178 (1.00) 68 (0.53) 共同研究 175 (0.98) 58 (0.45) NewRC 176 (0.98) 114 (0.89) 提案式 178 (0.99) 70 (0.55)
実験 176 108
道示 174 (0.99) 51 (0.47) 共同研究 172 (0.98) 47 (0.44) NewRC 175 (1.00) 87 (0.80) 提案式 177 (1.00) 64 (0.60)
実験 186 118
道示 181 (0.97) 59 (0.50) 共同研究 178 (0.96) 52 (0.44) NewRC 180 (0.97) 98 (0.82) 提案式 182 (0.98) 67 (0.56)
実験 197 120
道示 196 (1.00) 47 (0.39) 共同研究 194 (0.98) 43 (0.36) NewRC 198 (1.00) 78 (0.65) 提案式 200 (1.01) 61 (0.51)
実験 183 145
道示 186 (1.02) 99 (0.68) 共同研究 184 (1.00) 77 (0.53) NewRC 184 (1.01) 171 (1.18) 提案式 184 (1.01) 89 (0.62) C-0
C-1
C-2
C-3
最大荷重(kN) 終局変位(mm)
C-4
C-5
※1 道示:道路橋示方書耐震設計編 ※2()は実験値に対する計算値の比
0 50 100 150 200 250 300
0 50 100 150 200
水平変位(mm)
水平力(kN)
S-1 共同研究 NewRC 提案式
0 20 40 60 80
0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 ひずみε
応力σ(MPa)
道示 共同研究 NewRC
図−4 異なる拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係を 図−5 拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係 用いた場合の水平力−水平変位の比較の比較例 (S−1供試体)
(S−1供試体)
80%にまで応力が低下した時のひずみと仮定した。
実験と各拘束コンクリートのモデルを用いて計算 した最大荷重及び終局変位の比較を表−4 に示す。最 大荷重についてはいずれも同程度である。 終局変位は、
ばらつきがあるが、実験値と比べて、全般的に、NewRC の式を用いた場合は比較的実験値に近く、共同研究の 式を用いた場合はそれより小さく評価している。
この要因を分析するために、各拘束コンクリートの 応力度−ひずみ関係モデルの比較を行った例を図−5 に示す。最も特徴的な違いとしては、NewRC のモデル では最大応力以降の下降域の勾配が他のモデルより総 じて小さいことがある。このため、終局ひずみを最大 応力時の 80%まで応力が低下した時のひずみと一律に 定義した場合、下降勾配が小さいほど終局変位を大き めに評価することとなる。従って、終局変位の推定精 度を向上させるためには、下降勾配を見直すことが有 効と考えられる。
道路橋示方書や共同研究における下降勾配 E
desは、
拘束コンクリートの一軸圧縮試験に基づき式(2)によ り求めている。
sy s
ck
Edes
σ ρ
σ2 2 .
=11
(2) ここで、
σ
ck:コンクリートの設計基準強度(MPa) ρ
s:横拘束筋体積比
σ
sy:横拘束筋の降伏点(MPa)
一方、NewRC モデルでは、このような直線の下降勾 配は無いことから、最大応力時と、最大応力時の 80%
まで低下した点を結んだものを下降勾配と定義した。
正方形断面の場合の下降勾配とσ
ck2/ρ
sσ
syの関係 を図−6 に示す。ここで、NewRC モデルの場合は、コン
クリート強度を 24〜60MPa、横拘束筋強度を 295〜
685MPa、横拘束筋体積比を 0.34〜1.8%とパラメトリッ クに変化させた場合の関係を示している。
正方形断面の場合は、σ
ck2/ρ
sσ
syが 500 程度までで は、いずれも同程度の下降勾配となっているが、それ 以上では NewRC モデルの下降勾配が他より小さくなっ ている。また、NewRC モデルの下降勾配の分布をみる と、下降勾配にはコンクリートの材料強度に応じて上 限値があるように見て取れる。円形断面の場合は、コ ンクリート強度による差は少ないが、下降勾配は NewRC モデルの場合が正方形と同様の小さい傾向があ る。これらの結果から、σ
ck2/ρ
sσ
syが大きくなる、つ まりコンクリート強度が大きい場合や、横拘束筋体積 比或いは横拘束筋の降伏強度が小さい場合については 下降勾配に上限値を設けるのが適切であると考えられ る。下降勾配の上限値は、一軸圧縮試験データに基づ いて設定するのが適切と考えられるが、ここでは、
NewRC モデルに対する下降勾配のパラメトリック解析 をもとに定めた。下降勾配の上限値は、共同研究のモ デルを用いて評価した場合に横拘束筋体積比が 1%の 前後で終局変位評価の精度に差が生じたことも考慮し、
コンクリートの設計基準強度が 60MPa の場合は 8,000MPa、50MPa の場合は 6,000MPa、40MPa の場合は 4,000MPa 程度としてそれぞれ設定した。
以上より、コンクリートの設計基準強度が 40MPa 以 上 60MPa 以下の拘束コンクリートの応力度−ひずみ関 係は、現行の道路橋示方書耐震設計編の式のうち、断 面補正係数及び下降勾配の上限値を表−5 とすること で評価できると考えられる。この応力度−ひずみ関係 を用いて水平力‑水平変位関係を求めた結果を表−4 に示す。提案式を用いた場合の終局変位は、NewRC モ
0 5000 10000 15000 20000 25000 30000
0 1000 2000 3000 4000 5000 σck2/ρs・σsy
Edes(MPa)
道示・共同研究 NewRC
σck=60 σck=50 σck=40 σck=30
図−6 拘束コンクリートの下降勾配 E
desと σ
ck2/ρsσ
syの関係(正方形断面)
表−5 拘束コンクリートの応力度−ひずみ関係の評価に用 いる断面補正係数と下降勾配の上限値
(1)
断面補正係数矩形断面 円形断面 矩形断面 円形断面 α 0.20 1.00 0.10 0.40 β 0.40 1.00 0.05 0.60
道路橋示方書
耐震設計編 提案式
(2)
下降勾配の上限値コンクリート設計 Edesの上限値 基準強度(MPa) (MPa)
40 4000
50 6000
60 8000
デルを用いた場合より小さめの評価となっているが、
横拘束筋量が多い場合でも実験における終局変位より 小さめの評価をしており、実務設計への適用の観点か らは適切な評価ができるものになっているといえる。
なお、横拘束筋量が多い実験では、実験の終局変位 を過ぎると急激に損傷の進展と荷重低下が生じた。こ の要因としては、拘束が大きいほど損傷領域が局所化 し、発生ひずみも大きくなること、高強度鉄筋は伸び 性能に乏しいことがあげられる。このうち、後者につ いては、NewRC において行われた SD685 鉄筋の引張圧 縮繰返し試験(基準ひずみが 2%である変位漸増 1 回繰 返し載荷)でひずみが 6%で破断しているが
7)、この値 は地震時保有水平耐力法の計算上の軸方向鉄筋に生じ るひずみと近くなっている。このことから、実務設計 上の配慮としては、終局変位の評価精度とは別に、急 激な損傷の進展と荷重低下を防止する観点から、軸方 向鉄筋ひずみや、横拘束筋体積比に上限を設けること が良いと考えられる。具体的にどの程度が望ましいか は十分に示すことはできないが、本研究の実験対象範 囲から、横拘束筋体積比で 1.5%程度、軸方向鉄筋ひず みで 4〜6%程度と考えられる。
4.高強度鋼材を用いた鋼製橋脚の耐力・変形性能
に関する検討
4.1 検討対象とする材料強度
近年の製鉄・製鋼技術の進展により、構造合理化や 建設コスト縮減を目的として、降伏強度や引張強度の みならず、破壊靭性、溶接性、耐候性に優れた橋梁用 高性能鋼材(BHS500, BHS700)が開発されており、それ ら鋼材をプレートガーター橋の主桁に適用した場合、
大きなコストメリットがあることが示されている
11)。 これらの鋼材を道路橋橋脚に適用することにより、断 面のコンパクト化・軽量化が図られ、コスト縮減につ ながる可能性があると考えられるが、道路橋示方書に おける鋼製橋脚の耐震設計に必要な地震時終局状態に 関する規定は、現時点では非調質鋼(SS400,SM490, SM490Y)に限られており、 道路橋橋脚に高張力鋼材を適 用する場合は、鋼製橋脚の弾塑性挙動を適切に表現で き、実験結果との比較により解析手法や解析モデルの 精度が確認された解析結果に基づいて許容変位等を設 定する必要がある。
この様な背景から、本研究では高張力鋼材(SM570, HT780, HT950)を用いた鋼製橋脚の耐震設計法の開発 を目的として、高張力鋼材を用いた矩形橋脚の載荷実 験を実施し解析モデルの検証を行うとともに、検証さ
れた解析モデルを用いて高張力鋼材を用いた矩形およ び円形断面橋脚の変形性能や耐荷力性能に関する解析 的検討を実施した。
4.2 高張力鋼材の応力−ひずみ関係の設定
鋼製橋脚の耐震性能、特に終局状態の変形性能を評 価するために数値解析による検討が行われているが、
解析により鋼製橋脚の耐荷力や変形性能を評価する場 合は、材料の応力−ひずみ関係を適切に設定する必要 がある。普通鋼材の鋼製橋脚の耐震性能に関する解析 的な検討では、1%のひずみ硬化を有するバイリニア応 力−ひずみ関係と移動硬化則を用いる場合が多い。し かし、高強度鋼材の場合には、ひずみ硬化の度合いを 示す応力−ひずみ曲線の二次勾配が普通鋼材と比較し て小さくなり、1%のひずみ硬化を有する応力−ひずみ 関係を用いた解析では耐荷力及び終局変位等を大きめ に評価する可能性がある。
このため、材質 SM570 を用いた鋼製橋脚の実験結果
12)
を対象に、弾塑性有限変位解析により高強度鋼材の 応力−ひずみ関係が解析結果に与える影響について検 討を行い、高張力鋼材の解析において適用すべき応力
−ひずみ関係について検討を行った。弾塑性有限変位 解析は、材料非線形性と幾何学的非線形性をともに考 慮した複合非線形解析とし、 橋脚天端に鉛直圧縮力 (一 定)を作用させた状態で漸増水平変位を与えた。解析 モデルは、局部座屈を再現するため基部付近にはシェ ル要素を用い、 それより上部には Timoshenko はり要素 を用いた。
表−6 に解析結果と実験結果の比較を示す。最大荷 重は、ひずみ硬化の差による影響は小さく、何れの解 析値も実験値とほぼ一致したが、 最大荷重時の変位は、
完全弾塑性型の応力−ひずみ関係を用いた解析値が1 割程度小さくなり、実験値は両者の中間に位置した。
なお、表−6 中の実験による最大荷重時の変位は、
弾塑性有限変位解析による初期剛性と実験初期剛性の 違いを考慮して、実験で得られた降伏時の変位と解析 で計算した降伏変位の差により補正している
13)。一般 的に高張力鋼材は、強度が上がるにつれて降伏比が高 くなり、応力−ひずみ曲線の 2 次勾配が小さくなるこ
表−6 解析結果と実験結果の比較(SM570)
最大荷重 Pu (kN)
1068 65.65
(補正前: 73)
1%ひずみ 解析結果 1142 70.16
硬化 実験との比 1.069 1.069
完全 解析結果 1115 61.41
弾塑性 実験との比 1.044 0.935 最大荷重時の 変位δu (mm) 実験
とから、以下の弾塑性有限変位解析では完全弾塑性型 の応力−ひずみ関係を適用することとした。
4.3 載荷実験および再現解析
解析結果に基づいて許容変位等の鋼製橋脚の弾塑 性挙動を表す諸数値を定める場合は、実験結果との比 較により、適用する解析手法や解析モデルを検証する 必要がある。ここでは、高強度鋼材を用いた矩形断面 鋼製橋脚について正負交番載荷実験を実施するととも に、再現解析を実施し解析手法や解析モデルの検証を 行った。
実験供試体の諸元及び断面図をそれぞれ表−7、図
−7 に示す。実験は、供試体を反力壁に固定し、降伏 軸力の 15%(=1,618kN、公称降伏値 685N/mm
2より算出)
程 度 の 軸 力 を 作 用 さ せ た 状 態 で 供 試 体 基 部 から 1500mm の位置に水平荷重を正負交番載荷した。なお水 平変位は、文献
12)に示される手法と同様に、実験供試 体基部の回転・水平移動の影響を取り除いた形で算出 している。
表−7 実験供試体諸元
断面外形寸法 400×400 mm
縦リブ寸法 50×8 mm
ウェブ・フランジ厚 8 mm
ダイヤフラム間隔 250 mm
載荷点高さ 1500 mm
幅厚比パラメータRF※ 0.302 幅厚比パラメータRR※ 0.513 幅厚比パラメータRRIB※ 0.587
※ 公称降伏値より算出
図−7 供試体断面図
図−8 荷重−変位包絡線
表−8 最大荷重および最大変位
①ファイバーモデル 最大荷重Pu(kN)
実験結果 1304.7 40.9 (43.6) 解析結果 1120.9
解析/実験 0.86
②シェルモデル
最大荷重Pu(kN)
実験結果 1304.7 41.6 (43.6) 解析結果 1202.8
解析/実験 0.92
より、実験と解析の初期剛性の違いを取り除いた 形で補正している。( )内は補正前変位。
Pu時変位(mm)
34.4 0.83 Pu時変位(mm)
29.0 0.71
実験結果のPu時変位は、文献12)に示される手法に
図−9 圧縮フランジ基部付近水平方向ひずみ分布図
図−10 圧縮フランジ中央高さ方向ひずみ分布図
再現解析では、シェル要素モデル及びファイバー要 素モデルを用いて弾塑性有限変位解析(繰り返し及び 単調載荷)を行った。なお、ファイバー要素モデルに はせん断変形を考慮できる Timoshenko 梁を用いてい る。解析は材料非線形性と幾何学的非線形性を共に考 慮した複合非線形解析とし、前述
4.2の検討結果を踏 まえて、 応力‑ひずみ関係は材料試験結果により設定し た完全弾塑性型とした。
荷重‑変位関係の包絡線を図−8、最大荷重、最大荷 重時変位の比較を表−8 に示す。なお解析結果の包絡 線は、これまでの解析的な検討により最大荷重までの 範囲であれば繰返し載荷による局部座屈等の影響は小 さいことが分かっており
14)、単調載荷による結果とし ている。これより、ファイバーモデルによる解析が 14%
程度、シェルモデルによる解析結果が 8%程度、実験結 果の最大荷重を小さく評価することが分かった。 また、
シェルモデルによる解析結果がファイバーモデルによ る解析結果を 7%程度上回る結果となった。これは、フ ァイバーモデルが一軸応力(軸方向)に基づき降伏の 判定を行っているのに対し、シェルモデルが二軸応力 状態を考慮した von Mises の降伏条件に基づいた判定 をしていることの差と考えられる。
図−9、図−10 にシェルモデルの解析結果である圧 縮フランジ基部付近(基部より約 20mm の位置、水平方 向)及び圧縮フランジ中央(高さ方向)の軸ひずみ分 布を示す。いずれの方向においても、シェルモデルに
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400
0 10 20 30 40 50 60
水平変位(mm)
水平荷重(kN)
解析結果(シェルモデル)
解析結果(ファイバーモデル)
実験結果
※各■は最大荷重点を示す。
‑30,000
‑25,000
‑20,000
‑15,000
‑10,000
‑5,000 0
‑250 ‑200 ‑150 ‑100 ‑50 0 50 100 150 200 250 ひずみゲージ位置(中心からの距離) (mm)
ひずみ(μ)
1δE‑実験 2δE‑実験 3δE‑実験 4δE‑実験
1δA‑解析 2δA‑解析 3δA‑解析 4δA‑解析
0 100 200 300 400
‑20,000 ‑15,000 ‑10,000 ‑5,000 0
ひずみ (μ)
供試体高 H(mm)
1δE‑実験 2δE‑実験 3δE‑実験 4δE‑実験
1δA‑解析 2δA‑解析 3δA‑解析 4δA‑解析
ダ イ ヤ フ ラ ム (H=250mm)
よる解析により実験結果が概ね再現できるものと考え られる。
4.4 高張力鋼材を用いた鋼製橋脚の耐力・変形性能
高張力鋼材を用いた矩形及び円形断面橋脚の変形 性能と耐荷力性能を把握することを目的として、シェ ル要素を用いた解析モデルによる弾塑性有限変位解析 を実施し、座屈パラメータと耐荷力、終局変位および 平均ひずみの関係について検討を行った。解析モデル は 4.3 の再現解析により検証された解析モデルを使 用するが、初期不整(残留応力、初期たわみ)につい ては考慮しない。
4.4.1 矩形断面
解析対象橋脚は、正負交番載荷試験供試体
12)を参考 に、弾性座屈を防ぐとともに充分なじん性を付与する ために、以下の座屈パラメータを満足させることとし た。
R
R=0.5 程度、 R
rib<0.7 、γ l/ γ
req>1
橋脚の材質および断面形状は、設定した幅厚比パラ メータ R
F3 種類(0.3, 0.4, 0.5)と材質 3 種類(SM570, HT780, HT950)を組み合わせた 9 ケースとした。表−9 に橋脚断面の諸元、表−10 に橋脚断面の座屈パラメー タを示す。解析ケース数は、前述の 9 断面と軸力比
(N/N
y)2 種類(10%、20%)を組み合わせた 18 ケース とした。
耐荷力と幅厚比パラメータの関係を図−11、塑性率
と幅厚比パラメータの関係を図−12 に示す。いずれも 幅厚比パラメータの増加に伴い小さくなる傾向がある。
軸力比が与える影響については、耐荷力では最大で 8%
程度と小さいが、塑性率では最大で 22%程度と耐荷力 と比較して大きくなった。
最大荷重時の橋脚基部付近圧縮フランジの高さ方 向の平均ひずみ分布を図−13 に示す。平均ひずみε
a、εa2
の定義は文献
14)と同様である。平均ひずみ(ε
a2)の 分布は、高さ方向に滑らかに変化するのに対し、平均 ひずみ(ε
a)の分布は、塔基部から 1 つ目のダイヤフ ラム間に集中し、強度が高い鋼材ほどひずみが局所化 する傾向がみられた。最大ひずみが生じた箇所より上 方のひずみは急速に低減し、材質による差は小さくな っている。また、軸力比による影響については、軸力 比が大きいほど平均ひずみ(ε
a, εa2)の値が大きくなっ た。
終局ひずみと幅厚比パラメータの関係を図− 14 に 示す。普通鋼材の鋼製橋脚( N/N
y=10% 〜 15% )の終局 ひずみと幅厚比パラメータの関係については、1つの 回帰式で与えられていた
15)が、高強度鋼材の場合には 軸力比 10% と 20% における終局ひずみに若干差が見受 けられるため、それぞれに対して下記のとおり終局ひ ずみ評価式を提案した。任意の軸力比に対しては、軸
力比 10%と 20%の終局ひずみの値を線形補間
16)するこ
とした。
表−9 矩形断面橋脚の諸元
(寸法単位:mm)断面 材質 断面幅
B 板厚
t 補剛板の パネル数
補剛材 寸法
ダイヤフラ ム間隔 a
断面積 A(cm2)
断面二次 モーメント I(cm4) SM570 900 11 5 80×13 500 557.56 681,922 HT780 900 12 5 80×16 450 631.04 764,530 RF=0.3
HT950 900 13 5 85×19 450 719.64 859,163 SM570 900 11 5 75×11 550 523.16 648,755 HT780 900 12 5 75×13 500 582.24 717,363 RF=0.4
HT950 900 13 5 75×14 450 629.24 773,437 SM570 900 11 5 65×10 550 495.16 622,489 HT780 900 12 5 70×12 550 560.64 696,921 RF=0.5
HT950 900 13 5 70×13 500 606.84 752,385
表−10 矩形断面橋脚の座屈パラメータ
断面 材質 幅厚比 RF
幅厚比 RR Rrib
細長比 λ
剛比 γl/γl*
剛比 γl/γl,req
降伏応力 σy(MPa) SM570 0.324 0.481 0.551 0.336 2.246 4.187 624 HT780 0.319 0.501 0.509 0.382 2.525 5.150 807 RF=0.3
HT950 0.316 0.510 0.502 0.426 2.659 5.789 980 SM570 0.409 0.481 0.611 0.334 1.392 2.594 624 HT780 0.412 0.501 0.588 0.381 1.501 3.058 807 RF=0.4
HT950 0.409 0.510 0.602 0.420 1.58 3.467 980 SM570 0.511 0.481 0.582 0.331 0.881 1.645 624 HT780 0.508 0.501 0.594 0.379 0.971 1.974 807 RF=0.5
HT950 0.509 0.510 0.605 0.418 1.005 2.194 980
1 1.1 1.2 1.3 1.4
0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55
幅厚比パラメータ RF 無次元化した耐荷力 Pu/Py
○:SM570, N/Ny=10% ●:SM570, N/Ny=20%
◇:HT780, N/Ny=10% ◆:HT780, N/Ny=20%
□:HT950, N/Ny=10% ■:HT950, N/Ny=20%
図−11 耐荷力と幅厚比パラメータの関係
1 1.5 2 2.5 3
0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55
幅厚比パラメータ RF
塑性率 δu/δy
○:SM570, N/Ny=10% ●:SM570, N/Ny=20%
◇:HT780, N/Ny=10% ◆:HT780, N/Ny=20%
□:HT950, N/Ny=10% ■:HT950, N/Ny=20%
図−12 塑性率と幅厚比パラメータの関係
0 100 200 300 400 500 600 700 800
0 1 2 3 4 5 6
圧縮Flg.の終局平均ひずみ (εa/εy)
圧縮Flg.の高さ (mm)
○:SM570, N/Ny=10%
●:SM570, N/Ny=20%
◇:HT780, N/Ny=10%
◆:HT780, N/Ny=20%
□:HT950, N/Ny=10%
■:HT950, N/Ny=20%
ダイヤフラム (SM570)
ダイヤフラム (HT780,HT950)
0 100 200 300 400 500 600 700 800
0 1 2 3 4 5 6
圧縮Flg.の終局平均ひずみ (εa2/εy)
圧縮Flg.の高さ (mm)
○:SM570, N/Ny=10%
●:SM570, N/Ny=20%
◇:HT780, N/Ny=10%
◆:HT780, N/Ny=20%
□:HT950, N/Ny=10%
■:HT950, N/Ny=20%
ダイヤフラム (SM570)
ダイヤフラム (HT780,HT950)
図−13 圧縮フランジの高さと終局平均ひずみ分布の関係 (RF =0.3)
○:N/Ny=10% εa2/εy = ‑2.37RF + 3.64 R=0.93 ●:N/Ny=20% εa2/εy= ‑4.52RF + 4.95 R=0.87
2 2.5 3 3.5 4
0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55
幅厚比パラメータ RF 終局ひずみ εa2/εy
図−14 終局ひずみと幅厚比パラメータの関係
% 10 37
. 2 64 . 3
2 = − =
y F
y
a ε R NN
ε
% 20 52
. 4 95 . 4
2 = − =
y F
y
a ε R NN
ε
4.4.2 円形断面
橋脚の材質および断面形状は、正負交番載荷試験供 試体
12)を参考に、全体座屈の影響が試験供試体と同程 度となるよう細長比パラメータ
0.2<λ<0.5程度とする ため、直径 D=600mm、橋脚高さ h=2m とした。橋脚断面
の諸元は、径厚比パラメータ(Rt)3 種類(0.06, 0.08, 0.10)と材質 3 種類(SM570, HT780, HT950)を組み合 わせた 9 ケースを設定した。表−11 に橋脚断面の諸元 及び座屈パラメータを示す。解析ケース数は、前述の 9 断面と軸力比(N/Ny)2 種類(10%、20%)を組み合わ せた 18 ケースとした。
最大荷重時の橋脚基部付近の高さ方向の終局平均ひ ずみ分布を図−15 に示す。終局平均ひずみε
a、εa2の定 義は文献
17)と同様である。終局平均ひずみε
a2の分布は、
高さ方向の変化が滑らかとなったのに対し、終局平均 ひずみε
aの分布は、塔基部から高さ 300mm 間に集中し、
それより上方のひずみは急速に低減してほぼ一定とな る。円周方向領域の載荷方向に対する角度(α)の違 いによる影響は、αが大きくなるに従い終局平均ひず みは小さくなる傾向にあるが、 高さ 300〜400mm 以高で はαによる差は小さくなっている。このため、終局平 均ひずみを評価する損傷領域はα=0°とする。なお、
軸力比及び鋼材強度による影響は、軸力比が大きい
20%が 10%より、鋼材強度が小さい SM570 が HT950 より
平均ひずみ(ε
a、εa2)が局所的に大きくなったが、全体
的にそれらの影響は小さい。
表− 11 円形断面橋脚の諸元及び座屈パラメータ
直径D 板厚t 断面積A 断面2次 断面2次
(mm) (mm) (cm2) モーメントI(cm4) 半径r(cm)
Rt=0.06 600 25 451.6 186,992 20.3 32.5 0.35 12 0.059
Rt=0.08 600 19 346.8 146,489 20.6 32.1 0.346 15.8 0.079
Rt=0.10 600 15 275.7 118,006 20.7 31.9 0.344 20 0.101
Rt=0.06 600 31 554.1 224,929 20.1 32.8 0.401 9.7 0.061
Rt=0.08 600 24 434.3 180,423 20.4 32.4 0.397 12.5 0.08
Rt=0.10 600 19 346.8 146,489 20.6 32.1 0.394 15.8 0.102
Rt=0.06 600 38 670.9 266,093 19.9 33.2 0.448 7.9 0.06
Rt=0.08 600 29 520.2 212,562 20.2 32.7 0.441 10.3 0.08
Rt=0.10 600 23 416.9 173,782 20.4 32.4 0.437 13 0.102
R/t Rt
SM570
HT780
HT950
材質と断面 L/r λ
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
終局平均ひずみ (εa/εy及びεa2/εy)
基部からの高さ (mm)
○:α=0°, εa
●:α=0°, εa2
◇:α=23°, εa
◆:α=23°, εa2
□:α=45°, εa
■:α=45°, εa2
ΗΤ950 Ν/Νy=20%
Rt=0.10
(αの違いによる影響)
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
終局平均ひずみ (εa/εy)
基部からの高さ (mm)
○:SM570, N/Ny=10%
●:SM570, N/Ny=20%
◇:HT780, N/Ny=10%
◆:HT780, N/Ny=20%
□:HT950, N/Ny=10%
■:HT950, N/Ny=20%
(軸力比・鋼材強度の違いによる影響)
図−15 橋脚高さと終局平均ひずみ分布の関係
4.5 梁モデルとの比較
設計実務への適用とシェル要素による解析との比 較のため、矩形断面橋脚および円形断面橋脚に対して ファイバーモデルのはり要素を用いたプッシュオーバ ー解析を実施した。解析では、せん断変形を考慮でき る Timoshenko はり要素で鋼製橋脚をモデル化し、 シェ ル要素と同様に完全弾塑性型の応力−ひずみ関係を用 いた。載荷方法は、橋脚天端に一定の圧縮力を作用さ せ、水平変位を漸増させた。この際、幾何学的非線形 の影響(P‑δ効果)も考慮した。なお、終局平均ひずみ を評価する損傷領域長 L については、
鄭らの提案式 L=min{0.7B,a}(B:断面幅、a:ダイヤフラム間隔)
18)