Q 上アーベル p 拡大における 岩澤不変量について
濱田 路子
平成15年1月31日
目次
1 序文 2
1.1 予備知識 . . . . 2
1.2 主定理1.2.1 . . . . 2
2 Zp 拡大における岩澤理論 5 2.1 岩澤の定理 . . . . 5
2.2 Zp[[T]] 加群の構造 . . . . 7
2.3 岩澤の定理の証明 . . . . 13
3 主定理 1.2.1 の証明の準備 21 3.1 Tate Cohomology . . . . 21
3.2 類体論1 . . . . 23
3.3 類体論2 . . . . 25
3.4 定理3.35について . . . . 36
4 主定理 1.2.1 の証明 45 4.1 1st Step . . . . 45
4.2 2nd Step . . . . 47
4.3 主定理1.2.1の例 . . . . 57
1 序文
1959 年, 岩澤健吉によって証明された岩澤の定理はとても美しい定理で, そこに出 てくる岩澤不変量が0 になるかどうかということは, 今までにもよく研究されてき たことである. 特に, ある体 K に対して, K∞/K が円分 Zp 拡大のときの岩澤不変 量については, µ = 0 予想と呼ばれる予想がある. K/Q がアーベル拡大のときは, Ferrero-Washingtonによって, µ= 0 となることが証明されている.
本修士論文は G.Yamamotoの 2000 年の論文 [?] について細かい証明を補い, まと めたものである. 主定理 1.2.1 に関する細かい証明を補うために, [?],[?],[?],[?] 等の 論文を参照した. 主定理 1.2.1 は, Q 上アーベル p拡大となるような体k の岩澤不変 量がすべて 0になるような必要十分条件を求めるものである. ここで,Q 上アーベル p拡大とは,対応するGalois群の位数がp巾のアーベル群になるような拡大のことで
ある. 主定理1.2.1 を証明する際に非常に重要な定理3.35については[?]に詳しいこ
とが載っている. この章では,本論文の主定理1.2.1 を紹介する.
1.1 予備知識
次の二つの定義は,主定理 1.2.1を紹介するために必要な記号の定義であり, その性 質については,後で紹介することにする.
定義 1.1 (種の体) k の種の体 kG とは, Q 上アーベル拡大になるようなk の最大の 不分岐アーベル拡大のことである.
つまり, 種の体 kG は Q のアーベル拡大と k を合成したものとして考えることが できる. 次に, p巾剰余記号を定義するが,これは主定理 1.2.1 における岩澤不変量が すべて 0になるような必要十分条件を書き出す時に使われる.
定義 1.2 (p 巾剰余記号) p, b ∈ Z+, a ∈ Z, (a, p) = 1 のとき, xp ≡ a (mod b) が解 を持つならば, a はmodulob の p 巾剰余であるという. このとき, a が modulob の p 巾剰余記号であるという記号を,
³a b
´
p
= 1
と書く. a が modulob の p 巾剰余でないときは
³a b
´
p の値は 1 ではないとする. 実 際に, ζp を 1の原始 p乗根とするとき,
³a b
´
p の値は, ある整数 r に対して, ζpr とな る. しかし, 今回は, p 巾剰余であるかそうでないかが問題になるため, 少し曖昧では あるが, p 巾剰余記号の定義は以上のようにする.
1.2 主定理 1.2.1
この節では, 前節で定義した種の体や p 巾剰余記号を用いて本論文の主定理1.2.1 を紹介する.
主定理 1.2.1 (G.Yamamoto(2000)) p を奇素数, k∞/k を円分 Zp 拡大とする. k を Q 上アーベル p 拡大とし, 互いに異なる p1,· · · , pt に対して, k の conductor を mk =pap1· · ·pt とする. ここで, p1,· · · , pt は k/Q で分岐する素数である.
もし,
λp(k) =µp(k) = νp(k) = 0 (1.3)
ならば, t ≤2. 逆に, t≤2 を仮定するとき,
•t = 0 ならば, (1.3) を満たす.
•t = 1 ならば, (1.3) を満たすための必要十分条件はkG ⊆k∞ であり,
³p p1
´
p 6= 1 または p1 6≡1 (mod p2) (1.4)
である.
•t = 2ならば, (1.3)を満たすための必要十分条件はkG⊆k∞ であり, (i, j) = (1,2) または (2,1)に対して,
³p pi
´
p 6= 1,
³pi
pj
´
p 6= 1, pj 6≡1 (mod p2), (1.5)
であり,
³pjpx pi
´
p
= 1,
³ppiy pj
´
p
= 1, pipjz ≡1 (mod p2), xyz6=−1∈Fp
(1.6)
なる x, y, z ∈Fp が存在することである.
注 1.7 k/Q で分岐する素数 p1,· · · , pt に対して, k のconductor を, mk =pap1· · ·pt
としているが, これは次のことから言える.
証明 k は Q 上アーベル拡大なので, Kronecker-Weber の定理より, k はある円分 体に含まれる. これをk⊆Q(ζnk), nk =pap1b1· · ·ptbt とする.
今,Q(ζmk)⊆Q(ζnk) が成り立ち,
Gal(Q(ζnk)/Q) = Γ Gal(Q(ζnk)/Q(ζmk)) =H
Gal(Q(ζnk)/k) =N とすると,
Γ'(Z/paZ)×× Yt i=1
(Z/pibiZ)×
H ' {1} × Yt i=1
(Z/pibi−1Z)
となる. ここで,H から Γ への単射が存在し, ΓからGal(k/Q) = Γ/N への自然な写 像が存在する. φ : Γ→ Γ/N とすると, Γ/N は位数が p巾の群であり, 各 pi は p と は異なる素数である. つまり,N の元はKerφ に入る. すなわち, H はN の部分群に なり, H は k に自明に作用することがわかる. したがって, conductorとして,最小の 値である mk をとり,k ⊆Q(ζmk) とする.
さらに, [?] の命題 13.2.9より,Q(ζmk)の整数環 D に対して, piD= (P1· · ·Pg)pi−1
と書くことができる. ここで, Pi は次数 f の互いに異なる Dの素数,f g =φ(mk) ,f は pif ≡1 (mod mk) を満たす最小の正の整数である.
今,pi は k/Qで分岐するので, 分岐指数は少なくともp では割れることになる. し たがって, pi ≡1 (mod p)となることも言える. ¤
この主定理を使うことによって, 一般には岩澤不変量を計算することが難しかった としても, 条件を満たすかどうかを調べることによって, 不変量が 0 になるかどうか がわかることになる.
謝辞
末筆ではありますが, 本修士論文を書き終えるまで, 2 年間セミナー等で親切に御 指導下さった雪江明彦先生, 類体論に関して御指導下さった高橋豊文先生, そして, こ の2年間同じセミナーの仲間であった小林優司氏, 永田雄一氏に深く感謝の意を表し ます.
2 Zp 拡大における岩澤理論
この節では, Zp 拡大における岩澤理論を紹介する. この節の内容については [?] の 13節に詳しいことが載っている. 主定理1.2.1において, Q上アーベル p拡大での岩 澤不変量について考えるのだが, この岩澤不変量とは次に紹介する岩澤の定理に出て くるものである.
2.1 岩澤の定理
これから紹介する岩澤の定理 (Iwasawa(1959)) はとても有名なものである. 岩澤の 定理は, ある体K に対して, K の Zp 拡大と呼ばれる拡大を考え, この拡大について 考えられるものである. まずは, K の Zp 拡大を定義する.
定義 2.1 ( Zp 拡大) K∞/K が Zp 拡大であるとは, Gal(K∞/K)'Zp
が成り立つことである.
このとき,
K =K0 ⊆K1 ⊆ · · · ⊆Kn⊆ · · · ⊆K∞ = [
n≥0
Kn
であり, Gal(Kn/K)'Z/pnZ となる体の列を考えると,
Gal(K∞/K) = lim←−Gal(Kn/K) = lim←−Z/pnZ=Zp
となり,K∞ は K の Zp 拡大となる. したがって, K のZp 拡大 とは以上のような体 の列を考えたときにできる拡大と考えることができる.
特に,任意の数体 K は少なくとも一つの Zp 拡大を持つことがわかっていて, この 拡大は K の円分Zp 拡大と呼ばれるものである. K の円分 Zp 拡大とは,
K =K0 ⊆K1 ⊆ · · · ⊆Kn =K ·Qn⊆ · · · ⊆K∞= [
n≥0
Kn
となる体の列で, ただし, Qn は Q(ζpn+1) の Q 上 pn 次の部分体である. このとき, Gal(K∞/K) = Gal(K·Q∞/K) = Gal(Q∞/K∪Q∞)'Zp
が成り立つことから, K∞ は K の Zp 拡大となる.
ただし,ある n に対して,Qn ⊆K となる場合も考えられる. このときは,番号が少 しずれてしまう可能性があって,
K =K0 ⊆K1 =K·Qn+1 ⊆ · · · ⊆K∞ となるが, Qn+1 =Q10 と置き換えて考えると良い.
次に,岩澤の定理を紹介する.
定理 2.2 (Iwasawa(1959)) K∞/K を Zp 拡大とし, pen を h(Kn) を割る最大の p 巾の数とするとき, 正の整数 λ, µ, 整数 ν が存在して, 十分大きな n に対して
en =λn+µpn+ν が成り立つ. ただし, h(Kn) は Kn の類数のことである.
この λ, µ, ν が岩澤不変量と呼ばれるもので, 十分大きな n に対してただ一つ決ま る値である. さらに,pen とは, Kn のイデアル類群の pシロー部分群の位数である.
本修士論文では,Q 上アーベルp拡大となるような体 k に対して円分Zp 拡大を考 え, そこで岩澤不変量を考えるのだが,岩澤の定理の証明の概要は一般のZp 拡大につ いて述べる.
2.2 Zp[[T]] 加群の構造
岩澤の定理を証明する際に,形式的巾級数環Zp[[T]]上の加群の構造を使うため, こ こでは少し説明を与えるが,Zp[[T]] の性質等については [?] の 7節と 13 節に詳しく 載っている. Λ =Zp[[T]] とおく. 特に, この Λ はネーター環である. まずは, Λ の中 の多項式について次の定義をする.
定義 2.3 (distinguished 多項式) P(T) ∈ Λ が distinguished であるというのは, P(T) が
P(T) = Tn+an−1Tn−1+· · ·+a0 と書けて, さらに, p|ai (0≤i≤n−1) が成り立つことである.
P(T) は p2 | a0 であってもかまわないため, Eisenstein 多項式ではないが, p2 - a0
ならば, Eisenstein 多項式と同じ条件を満たす.
また,この distinguishedな多項式 P(T)を使って, 次の補題が成り立つ.
命題 2.4 任意の f(T) ∈ Λ に対して, g(T) ∈ Λ , distinguished な多項式 P(T), deg(r(T))<deg(P(T)) なる r(T)∈Zp[T] を使って,
f(T) =g(T)P(T) +r(T) と一意に書くことができる.
この補題を使うことによって, Λ は一意分解整域となることが言える. この補題の 証明は [?] の命題7.2 に載っている.
定理 2.5 (Weierstrass p-adic Preparation Theorem) 任意の 0 6= f ∈ Λ に対して,
f(T) = pµP(T)U(T) (0 < µ∈Z, P(T) : distinguished, U(T)∈Λ×) と書くことができる.
この定理の証明は [?]の定理 7.3に載っている.
Λ のイデアルについて考えることにする. 次の四つの補題は, 後で紹介する擬同型 に関する定理 2.13 を使って, 有限生成 Λ 加群を直和分解したときに現れる直和因子 の位数を計算するときに使われる.
補題 2.6 f, g∈Λ が互いに素なとき, イデアル (f, g) は Λ において有限指数となる.
すなわち, [Λ : (f, g)]<+∞ となる.
この補題の証明は, [?] の補題 13.7 に載っている.
補題 2.7 f, g∈Λ が互いに素なとき, 次の二つが成り立つ.
(1) 自然な写像 Λ/(f g)→Λ/(f)⊕Λ/(g) は単射で, cokernel は有限となる.
(2) Λ/(f)⊕Λ/(g)→Λ/(f g) なる cokernel が有限の写像が存在する.
この補題の証明は, [?] の補題 13.8 に載っている.
補題 2.8 Λ のイデアルは
0,(P, T),(p),(P(T))(ただし,P(T) : distinguished, 既約)
であり, (P, T) はただ一つの極大イデアルである.
この補題の証明は, [?] の命題 13.9 に載っている.
補題 2.9 f ∈ Λ, f /∈ Λ× のとき, Λ/(f) は無限になる. つまり, [Λ : (f)] は無限で ある.
この補題の証明は [?]の補題 13.10 に載っている.
ここで, Λ 加群 M が M0 に擬同型であるということを定義して, それに関する例 を述べる.
定義 2.10 (擬同型) Λ 加群 M が M0 に擬同型 (M ∼M0) であるとは, M →M0 な る準同型が存在して, kernel,cokernel が有限になることである. したがって, 有限 Λ 加群 A, B に対して,
0→A →M →M0 →B →0 なる完全列が存在することである.
注 2.11 M ∼M0 ならば, M0 ∼M が成り立つということではない.
例 2.12 (p, T)∼Λ は明らかではあるが, Λ∼(p, T) は成り立たたない.
証明 φ : Λ → (p, T) という準同型により, Λ が(p, T) に擬同型になるとする. この とき, φ(1) = f(T) ∈ (p, T) とする. Λ の image は (f) となり, (f) ⊂ (p, T) となる.
ここで, (p, T) は極大イデアルであったから, f 6∈ Λ× となる. つまり, 補題 2.9 より, Λ/(f) は無限指数であり, (p, T)/(f)も無限指数である. すなわち, cokernel が無限に なってしまうことから, Λ∼(p, T)は成り立たたない. ¤
また,補題 2.7を用いて次のことが言える. f, g∈Λ が互いに素なとき, Λ/(f g)∼Λ/(f)⊕Λ/(g),Λ/(f)⊕Λ/(g)∼Λ/(f g) が成り立つ.
ここで,擬同型の概念を使って, 次の定理が成り立つ. これは岩澤の定理を証明する 際に非常に重要なものである.
定理 2.13 (Cohen) M を有限生成 Λ 加群とする. このとき, M ∼Λr⊕³Ms
i=1
Λ/(pki)
´⊕³Mt
j=1
Λ/(fj(T)mj)
´
が成り立つ. ただし, r, s, t, ki, mj ∈Z であり, fj(T)は既約でdistinguishedな多項式 である.
この定理の証明は, [?]の定理 13.12 に載っているが,今回は簡単に説明することに する.
証明の概略 今, M は 生成元u1,· · · , un を持つと仮定する. λi ∈Λ に対して, S=
n
(λ1,· · · , λn)∈Λn¯¯¯ Xn
i=1
λiui = 0 o
とする. S は Λn の部分加群であり, Λ はネーター環なので, このような S は有限生 成である. したがって,
Λm −−−→φ Λn −−−→ M −−−→ 0
が完全列となるような準同型 φ をとることができる. この φ を行列
T =
λ11 · · · λ1n ... ... λm1 · · · λmn
と書くことにする.
この T を基本変形して定理 2.13 が証明できるのだが, 基本変形にはいくつか種類 があるため, ここでその基本変形について述べる.
定義 2.14 (行列の基本変形) 行列 T に対して, 次の六つの基本変形を定義する.
(a) 行同士, 列同士は交換することができる.
(b) ある行のスカラー倍を別の行に加える. また, ある列のスカラー倍を別の列に加 える.
つまり, λ0 =qλ+r のとき,
... ...
λ · · · λ0 · · ·
... ...
→
... ...
λ · · · r · · ·
... ...
と変形する.
(c) λ∈Λ× に対して, ある行, またはある列全体を λ 倍する.
(d) T が行(λ1, pλ2,· · · , pλn) を含むとき, この (λ1, pλ2,· · · , pλn) を(λ1,· · · , λn) と変形し, (λ1, pλ2,· · · , pλn) 以外の行の第一成分のみをp 倍する.
つまり,
T =
α1 α2 · · · αn
... ... ...
λ1 pλ2 · · · pλn
... ... ...
β1 β2 · · · βn
→T0 =
λ1 λ2 · · · λn
pα1 α2 · · · αn
... ... ...
pβ1 β2 · · · βn
と変形する.
(e) T が pk で割れる行と列を持ち, その行と列の丁度重なる成分が pk+1 で割れな いとき, pk で割れる行(pkλ1,· · · , pkλn) を (λ1,· · · , λn) に変形する.
つまり,
T =
α1 · · · pkαj · · · αn
... ... ...
λ1 · · · pkλj · · · λn
... ... ...
β1 · · · pkβj · · · βn
→T0 =
λ1 · · · λj · · · λn pkα1 · · · αj · · · αn
... ... ...
pkβ1 · · · βj · · · βn
と変形する.
(f) T が行(pkλ1,· · · , pkλn) を含み, p - λ となるある λ に対して, (λλ1,· · · , λλn) も S に含まれるとき, つまり, Pn
i=1λλi = 0 を満たすとき, (pkλ1,· · · , pkλn) を (λ1,· · · , λn) に変形する.
つまり,
T =
... ...
pkλ1 · · · pkλn
... ...
→T0 =
... ...
λ1 · · · λn
... ...
と変形する.
有限生成 Λ 加群 M, M0 に対して,
Λm −−−→φ Λn −−−→ M −−−→ 0 Λm −−−→φ0 Λn −−−→ M0 −−−→ 0
が完全列になるような準同型 φ, φ0 がとれて, この φ, φ0 を行列 T, T0 と書くことに する.
もしも, 基本変形の演算(a),· · · ,(f) を使って,T が T0 に変形できるならば,M は M0 に擬同型になることがわかる.
さらに, 定理2.13を説明するために必要な定義を二つ述べる.
定義 2.15 (Weierstrass degree) 任意の f ∈Λ に対して, degw(f) =
( ∞ if µ >0 deg(P(T)) if µ= 0 を f の Weierstrass degree と呼ぶ.
また,M に対して決まる行列 T = (λij)に対して,
deg(k)(T) = Min{degw(λij)|i, j ≥k} とする.
定義 2.16 ( r−1 の normal form) 行列T が
λ11 · · · 0
... . .. ... 0
0 · · · λr−1,r−1
∗ ∗
= Ã
Dr−1 0 A B
! .
のような形をしているとき, T は r−1 のnormal form に入ると言う. ただし, λkk は distinguished であり, 1≤k ≤r−1 に対して, deg(λkk) = degw(λkk) = deg(k)(T) を 満たす.
補題 2.17 B 6= 0 ならば, T は演算 (a),· · ·,(f) を有限回用いて T0 に変形でき, T0 は r の normal form に入り, 初めの r−1 個は R と同じ対角成分を持つ.
この補題の証明は, Claim[?,p.275] に載っている.
これまでの命題や補題を使って, 定理2.13を証明する. 補題2.17より, T は Ã
Dr−1 0 A B
!
の形をしている. このとき, 補題 2.17 と基本変形の演算(a),· · ·,(f) を使って,
λ11 0
. .. ... λrr ...
A 0
と変形できる. 任意の λjj は distinguished であり,j ≥r のとき, deg(λjj) = deg(j)(T)
となるようになるまでT を変形する. ここで,λjj はi6=j のとき, deg(λij)<deg(λjj) となるようにとっても一般性を失わないので,今は λjj を以上の条件を満たすものと する.
ある i6=j に対して, λij 6= 0 を仮定する.
このとき, degw(λjj) は最小であるから, p|λij が成り立つ. したがって,p で割れる (λi1,· · · , λir,0,· · · ,0)を持つ.
そこで, λ=λ11· · ·λrr とすると, 各λjj は distinguished であるため, p-λ となる.
したがって,
³ λ1
pλ11,· · · , λ1
pλrr,0,· · · ,0
´
は, λ1 p
Xλjjuj = 0 を満たすので,S に含まれる.
そこで, 基本変形の演算 (f) を用いて, ある j に対して, p - λij とできる. した がって,
degw(λij)≤deg(λij)<deg(λjj) = deg(j)(T) となり,仮定に矛盾する. よって,A = 0 となることがわかる. ¤