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SOFTIC ソフトウェア関連判例の最新動向

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(1)

SOFTIC 16-3

ソフトウェア関連判例の最新動向

-平成 16 年度版-

平成 17 年 3 月

財団法人 ソフトウェア情報センター

SOFTIC

(2)

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

KEIRIN

(3)

財団法人ソフトウェア情報センターでは、設立当初よりコンピュータ・ソフトウェア等 の適切な法的保護問題をフォローするため「ソフトウェア等の権利保護に関する調査研究 委員会」(委員長:三木茂弁護士)を設けています。同委員会はバランスのとれた権利保 護の在り方を探るべく、各国の主要判例を取り上げて分析し、毎年報告してきました。

本報告書は、同委員会が平成16年度に実施した研究の成果物であり、ソフトウェアに関 し、広く著作権全体の問題を取り扱った国内外の判例を取り上げ、その事実及び法律問題、

委員会での検討内容、担当委員の感想等を取りまとめたものであります。

今日のグローバル・デジタル・ネットワーク化の急激な進展に伴い、デジタル・コンテ ンツ等の重要性が増し、その適切な保護が求められております。他方、その利用に関して は文化発展に寄与すべく慎重な検討を要し、権利者と利用者双方の利益を適切に考慮し、

かつ、世界的なコンセンサスを形成していく必要があるものと考えます。

本報告書がかかる情報化時代の法的保護問題の研究の基礎資料として広くご活用いただ ければ幸いです。

最後に、御多忙の中、リーダーシップを発揮していただいた三木委員長をはじめとする 各委員の方々のご尽力に深く感謝いたします。

平成17年3月

財団法人ソフトウェア情報センター

専 務 理 事 山 地 克 郎

(4)

ソフトウェア等の権利保護に関する調査研究委員会、委員一覧

(敬称略、五十音順、平成17年1月)

委員長 三木 茂 弁護士

副委員長 椙山 敬士 弁護士 副委員長 吉田 正夫 弁護士

委員 赤松 耕治 富士通株式会社 委員 上野 達弘 成城大学

委員 蛯原 健治 松下電器産業株式会社 委員 大野 幸夫 新潟大学

委員 岡田 悦嗣 日本アイ・ビー・エム株式会社 委員 小川 憲久 弁護士

委員 小関 知彦 凸版印刷株式会社 委員 佐古 裕 ニフティ株式会社 委員 佐藤 弘隆 日本ユニシス株式会社 委員 菅原 剛 シャープ株式会社 委員 龍村 全 弁護士

委員 筒井 邦恵 株式会社日本総合研究所

委員 平野 高志 マイクロソフトアジアリミッテッド 委員 西田 悟 沖電気工業株式会社 委員 宮下 佳之 弁護士

事務局 江口 裕一

(5)

平成16年度検討事例一覧

事件名等 判決日・裁判所 概要

ノルウェイDeCSS刑事 事件控訴審判決

20031222

Borgarting控訴裁 判所

本事件は、DVD ムービーのコンテンツ・スクランブル・システム(CSS) を回避する プログラムを入手し、ユーザ・インタフェースを開発して

DeCSS プログラムとしてインターネット上に掲示した少年に対する刑

事事件であり、CSSプログラム及び映画コンテンツへの無権限アクセ スの成否が争点となった。第 1審裁判所は、合法的に購入された映

画をDeCSSプログラムで視聴することは合法であるとし、暗号キーの

開示はデータへの未権限アクセスにはあたらないとして無罪とし、控 訴審もこれを支持した。

321Studios加州事件 2004219

合衆国カリフォルニ ア州北部地区連邦 地方裁判所

加州裁判所は、DVDへのアクセスやコピーから保護する特定の措置 を回避するソフトウェアを製造、販売する者の行為が、DMCAの規定 に違反する旨を判断するとともに、当該規定における制限が、当該提 供者の有する憲法第一修正上の権利に抵触する、あるいは、ユーザ のフェアユースの権利に抵触するとの主張を退け、被告のサマリー・

ジャッジメントの申立てを認め、原告ソフトウエアの販売差止めを命じ た。

プリンタ・カートリッジ事 件

E.D. Ky. No. 02-571-KSF

2003227

ケ ン タ ッ キー州 東 部 地 区連 邦地 方 裁 判所

プリンタ用の再生トナー・カートリッジの販売について、当該プリンタ製 造業者である原告が、当該カートリッジの製造・販売元である被告に 対する差止めを裁判所に求めた。判決では、暫定的差止命令が認め られ、被告は、当該トナー・カートリッジ用のSMARTEKマイクロチップ の製造、販売、頒布等を禁じられた。

マイクロラボ事件

平成15年(ワ)第15478号 損害賠償等請求事件

2004630

東京地方裁判所

本件事案では、ソフトウェアの画面表示に係る著作権侵害が争われ た。被告各画面表示はそれぞれ原告各画面表示の複製物又は翻案 物か、原告の被った損害額はいくらかが、争点であったが、「原告各 画面表示」に係る創作性がいずれも否定されたため、後者について の判断はなされていない。

グ ロ ッ ク スター控訴審 判決

2004819

合衆国第 9 巡回区控 訴裁判所

ナップスターとは異なる仕組みのP2Pソフトゥエアであるグロックスター について、著作権侵害が問われた事件の控訴審である。原判決で は、寄与侵害及び代位侵害に基づくサマリー・ジャッジメントの申立て は認められなかった。本件でも、原判決を維持し、控訴請求を棄却し た。

(6)

目 次

判例研究報告

1. ノルウェイDeCSS刑事事件控訴審判決.……..………..………. 1

2. 321Studios加州事件……….……….…….. 12

3. プリンタ・カートリッジ事件……….……….. 23

4. マイクロラボ事件……….………..………..……… 52

5. グロックスター控訴審判決………..……….. 56

(7)

判例研究報告

(8)

1. ノルウェイDeCSS刑事事件控訴審判決

【裁判所、及び判決日】

オスロ第1審裁判所 2003年1月7日判決(無罪)

Borgarting控訴裁判所 2003年12月22日判決(控訴棄却)

本事件は,DVDムービーのコンテンツ・スクランブリング・システム(CSS)を回避するプログ ラムを入手し,ユーザ・インタフェースを開発してDeCSSプログラムとしてインターネット 上に掲示した少年に対する刑事事件であり,CSSプログラム及び映画コンテンツへの無権限 アクセスの成否が争点となった。第1審裁判所は,合法的に購入された映画をDeCSSプログ ラムで視聴することは合法であるとし,暗号キーの開示はデータへの未権限アクセスにはあ たらないとして無罪とし,控訴審もこれを支持した。判決の要約は以下の通りである。(なお, 要約は,原語:ノルウェイ語をオスロ大学ヨン・ビン教授が英訳したもの及び(財)デジタルコ ンテンツ協会の日本語訳によっている。)

Ⅰ<事実の概容>

1 CSSはDVD上に記憶されたデジタル情報を保護するために暗号化を用いた技術的保護 手段である。CSSが導入されたため,DVDディスクの購入者は暗号化されたDVD映画の暗 号を解読することができる装置が必要であり,この装置は,ハードウェアで,テレビに接続し て映画を再生するDVDプレイヤーか,ソフトウェアでPCにインストールされ,PC上でDVD ディスクを読み取るコンピュータ・プログラムのいずれかである。PCでは,DVDディスク はDVDドライブに挿入され,データ・バスによってコンピュータ・プログラム形式のDVD プレイヤーと通信する。

CSS暗号化されたDVDディスクには,約400の中から選択された,いわゆるプレイ・キー で暗号化されたディスク・キーが含まれている。DVDプレイヤーには,DVD映画を暗号解 読された形で再生するために,少なくともこれらのプレイ・キーの1つが含まれていなけれ ばならない。従ってDVDプレイヤーの製作者は,暗号化されたDVD映画を再生することが 可能なDVDプレイヤーを生産するために,少なくともプレイ・キーの1つを入手しなければ ならない

CSSは,階層化されたコードまたはキーの形式の,複数の保護形式から構成される。タイト ル・キーは,映画そのものの暗号化に用いられる。タイトル・キーは,ディスク・キーによっ て暗号化されている。ディスク・キーは,約400種の中から選択されたプレイ・キーで暗号

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化される。プレイ・キーへのアクセスを有するDVDプレイヤーは,ディスク・キーの復号が 可能であり,これを用いてタイトル・キーが復号され,ディスクのコンテンツが復号されて 視聴可能となる。

DVDプレイヤーの生産を希望する者は,このキーのライセンスを要求し,1つまたは複数 のプレイ・キーへのアクセス権を入手することができる。ライセンスは,DVD CCAが管理 する。DVD CCA(DVD Copy Control Association Inc.)は1999年にMPA(米国映画協会)の 主導で発足した映画の海賊コピー防止規制の枠組みを推進する団体である。ライセンス入 手の条件は,ライセンス取得者がプレイ・キーに関する守秘義務を守り,DVDプレイヤーの 購入者がプレイ・キーを取り出すことが不可能な形でDVDプレイヤーを生産することであ る。

Linuxはオープンソース・ソフトウェアであるため,DVD CCAの要求を満たせず,1999年 時点ではLinux上で利用可能なDVDプレーヤーは存在しなかった。

CSSには認証機能も含まれており,これによって,CSSで保護されたDVD映画の再生

を,DVD CCAからライセンスを受けて生産されたプレイヤーのみに限定する。認証と

は,DVDディスクを載せたDVDドライブとプレイヤーが互いに受け入れ合い,DVDプレイ ヤーがDVDディスクのコンテンツへのアクセス権を付与されることを意味する。CSSには, ゾーン・コントロール機能も含まれている。世界は異なるゾーンに分割され,米国はゾーン 1であり,ヨーロッパとアジアの一部はゾーン2である。DVDディスクには,そのディスクが 購入されるゾーンについての情報が含まれており,そのディスクは同一のゾーンで購入され たDVDプレイヤーでしか再生できない。

2 J.L.Johansen(1983年生,行為時17歳)は,1999年にLinux上でDVD映画の再生をしたい と考えた。Johansenはインターネット上のチャット・チャンネルPCDVDの1999年秋の管 理運営者であった。

1999年9月22日頃,Johansenはmdxという人物を介して,the nomadが有していたCSS上 の暗号解読アルゴリズムのためのプログラム・コードを伝達された。それは

CSS_scramble.cppという名前のプログラムで,the nomadがXingというDVDプレイヤー (ソフトウェア)をリバース・エンジニアリングすることによって,CSSに対する暗号解読ア ルゴリズムを発見したものであった。Johansenがthe nomadから受領した暗号解読アルゴ リズムのプログラム・コードには,少なくとも1つのプレイ・キーが組み込まれていた。

Johansenはさらに,CSSの認証アルゴリズムのためのプログラム・コードを,インターネッ ト上のメーリングリストLivid(Linux Video)から入手した。CSSの認証アルゴリズム用プロ グラム・コードを発見したのは,Derek Fawcusという名の人物であった。

Johansenは,が認証アルゴリズムのプログラム・コードと暗号解読アルゴリズムのプロ

グラム・コードを組み合わせて,GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を追加し, コンピュータ・プログラムDeCSSを開発した。ユーザ・インタフェースは,コンピュータ・

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プログラムMicrosoft Windows 上で動作するプログラム用に設計された。DeCSSを使用す ると,暗号化された映画の暗号解読されたコピーが作成され,これをコンピュータのハード ディスク上に記憶することができる。Johansenはこれを映画「マトリックス」でテストした。

ハードディスクにダウンロードしたのは映画の約2.5%-200メガバイトであった。DeCSS は改良され,様々なバージョンで提供されている。最新バージョンは1999年11月9日に掲示 されたもので,Windows 98,Windows 2000上で動作する。

Johansenは,1999年10月6日,インターネット上の自分のホームページに,リンクを公開し たか,またはプログラムを直接入手できるよう手配した。その際,Johansenは誤ってソース・

コードをアップロードした。Johansenは,ソース・コードをインターネット上に公開した後 すぐにこれを取り下げた。その理由は,DVD CCAがXingのキーを引き揚げることによって DeCSSが機能しなくなることを避けたいからであった。

1999年10月9日頃,Brian Demskyという人物がDeCSSをダウンロードし,約400種のプレ イ・キーを特定するプログラムを作成して,Johansenに送信した。JohansenはDemskyか ら受領したプレイ・キーをthe nomadに伝達した。その目的は,DVD CCAがプレイ・キー のいずれかを引き揚げることによって,DeCSSが使用不能となることを避けるためであっ た。

DeCSSのソース・コードは1999年10月25日,Livid上で公開された。送り手は匿名であっ た。Johansenはこの時点ではDeCSSのソース・コードを公開していなかった。しかし Johansenは,ソース・コードが公開されたため,後に自分もインターネット上でソース・コ ードを公開した。

3 2000年1月4日、米国映画協会(MPA,米国の大手映画会社7社から構成されている)お

よびDVD Copy Control Association Inc(DVD CCA)は,Johansenが刑法143条2項に違反 しているとして告訴した。

告訴内容は, Johansenが1999年9月から2000年1月24日の間に,DVD映画技術保護システ ムであるコンテンツ・スクランブリング・システム(CSS)を解除することに協力し,CSS に組み込まれた秘密アルゴリズムおよびプレイ・キーの知識に基づき,Windows用プログ ラムDeCSSを開発し,インターネットを通して数回にわたり,異なるバージョンでDeCSSを 配布した。それにより,JohansenはCSSのシークレット・キー・ストレージに不正にアクセ スした。さらにJohansenは,DVD映画のコピー防止保護を解除し,自己および他者が保護を 解除された状態でDVDディスクを使用できるようにして,権利者に損害を与えた,というも のである。

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Ⅱ<罰条>

145.Any person who unlawfully opens a letter or other closed document or in a similar manner gains access to its contents, or who breaks into another person's locked

repository shall be liable to fines or imprisonment for a term not exceeding six months.

The same penalty shall apply to any person who by breaking a protective device or in a similar way unlawfully obtains access to data or software which are stored or transferred by electronic or other technical means.

If damage is caused by the acquisition or use of such unauthorized knowledge, or if the felony is committed for the purpose of obtaining for any person an unlawful gain, imprisonment for a term not exceeding two years may be imposed.

Accomplices shall be liable to the same penalty.

A public prosecution will only be instituted when the public interest so requires.

刑法145条2項: 電子的またはその他の技術的手法によって記憶または通信されるデー タ又はソフトウェアの保護を解除する,あるいは類似の方法でこれに権限なくアクセスした 場合(には,罰金又は6月以内の禁錮に処す)。

第4項:(かかる不正な情報の取得によって損害を与えた場合,あるいは不法な利 益を得ることを目的としてかかる重罪に協力した場合には2年以下の懲役とし,:3項)共犯 者は同罪とする。

Ⅲ<第1審判示>

1 刑法145条2項の解釈

刑法145条は,元々親書開披罪の規定である。この文言における重要な要素は「権限なく」

である。未権限のアクセスという問題は,ある者がコンピューター上のデータへのアクセス を許可されているか否かという問題に関連付けられなければならず,その者がどのようにし てアクセスしたかという問題に関連付けられるものではない。したがって,製作者側が想定 した方法と異なる方法でデータにアクセスしたが,想定した方法ではデータへのアクセスを 許可されている者には,同規定を適用しないものと解釈する。これはまた,保護を解除するこ と,または類似の方法でアクセスが行われた場合にも,適用できなければならない。

2 映画へのアクセス

合法的に生産されたDVD映画を購入した者は,映画を見る権限を有する。海賊版コピーの 所有者は,映画を見る合法的な権利を有しない。当法廷はDeCSSを使用することによってユ ーザーは暗号が解除された形式での映画へクセスできるという事実に着目する。コピーが

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作成されたということ自体は刑法145条に違反しないので決定的ではない。したがって,問 題はJohansenが違法に生産されたDVD映画のためにDeCSSを使用し,よってJohansenが 不正なアクセスを行ったかどうかという点である。JohansenはDeCSSを『マトリックス』

および『フィフス・エレメント』という映画に使用したが,これらの映画はそれぞれオスロ とラルビクにある店で合法的に購入した。Johansenが違法に入手した映画のためにDeCSS を使用したとは立証されていない。したがって,Johansen自身によるDeCSSの使用につい ては,刑法145条2項に関してJohansenを有罪と判断し得ない。

次に,Johansenが,他者による刑法145条2項違反のDVD映画への不正アクセスへの協力 について有罪であるか否か検討する。刑法145条4項によると,協力も犯罪となるからである。

先ず,違法に入手されたDVD映画のために何者かがDeCSSを使用したということは立証さ れていない。したがって,Johansenは既遂の不正アクセスの協力について有罪にはなりえな い。

それでは,Johansenは未遂状況での協力について有罪となり得るであろうか。すなわち, 他者によるDVD映画への未権限アクセスを可能とする道具を作製および公開したことによ って,協力の罪で有罪となり得るか否かである。いかなる種類の物品も犯罪行為の手段とし て用いることは可能である。また,一定の種類の物品はそのような形で使用される可能性を 有している。しかし,刑事責任は通常,生産者および販売者については除外されるという点に おいては完全な意見の一致が存在する。物品が合法的な目的にも使用される限り,他者への 販売によって協力の罪における刑事責任を誘発する可能性がある場合にも刑事責任は問わ れない。つまり,合法的な目的を有する物品の取引は犯罪行為への協力として罰せられない, ということである。それは製品の配布についても同様である。そこで問題は,DeCSSの合法 的な利用が可能であるか否かという点に帰着する。当法廷は,合法的に入手されたDVD映画 を見るためのDeCSSの使用は刑法145条2項に違反しないと判断する。また,私的使用のため の,合法的に入手されたDVD映画のコピーの作成は,刑法145条2項に違反しない(著作権法 12条:私的使用目的の複製)。したがって,DeCSSは,ライセンス許可を受けた装置を有して いない者が,DVD映画のコピーを作成すること,及びDVD映画を視聴することに使用するこ とができる。これは合法的であると考えられる。よって,DeCSSは合法的にも違法的にも使 用可能であると判断する。また,JohansenによるDeCSSの開発およびそのインターネット 上での公開の目的に関しては一定の結論を下すことは困難である。プログラムの開発およ び公開についてのJohansenの目的が,DVD映画の違法なコピー作成および配布に貢献する ことであったと,合理的な疑いを超えて立証されたとは認められない。よって,Johansenを 映画へのアクセスに関して刑法145条2項に違反する協力の罪で有罪とすることはできない。

プログラムが悪用される可能性があるとJohansenが認識していたとしても同様である。

3 プレイ・キーへのアクセス

Johansenがプレイ・キーに関して145条2項の違反として有罪になるためには,この点に

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おいても保護を解除するまたは類似の行為によりプレイ・キーへの不正なアクセスが行わ れていなければならない。そしてその前提として,情報が実際にアクセスから保護されてい ることおよび,その目的が未許可のアクセスに対する保護であることが必要となる。保護の 強度は問題ではないと。他方,アクセスを困難とするような状況は,その目的が未許可のアク セスに対する保護でない場合,刑法145条2項に関する保護とみなされない。

the nomadはXingのプレイヤーにリバース・エンジニアリングを行った後,CSSの暗号 解読アルゴリズムのためのプログラム・コードを作成した。そこで先ず,リバース・エンジ ニアリングが刑法145条2項の違反となるか否か検討する。リバース・エンジニアリングと は,既存のコンピューター・システムにおけるデータおよびプロセスの解読を行うことがで きるプロセスである。その目的は,既存のコンピューター・プログラムから内容,構造,およ びデータ・フローを取り出し,この情報を,さらなる分析およびドキュメンテーションのた めに必要な形式で表示することである。リバース・エンジニアリングの手法は,先ずマニュ アルおよび説明書を読むことで,更にプログラムを実行して観察することである。この2つ の方法が刑法145条2項の違反とならないことは明らかである。次に,個々の機械命令上の情 報,より高度な抽象概念上の記述形式における機能,およびこのプログラムが何を達成でき るかを記述するアルゴリズム上のこれらの機能の場所を取り出すために,プログラムを読み, 理解する。そのためにはバイナリー・コードのプログラムを逆アセンブルしなければなら ない。更に,逆アセンブルによるアセンブリー・コードを高度なコンピューター言語に変換 するデコンパイルが必要である。ところで,コンピューター・プログラムをオブジェクト・

コード形式で配布する目的は,プログラムの作成者がソース・コードを保護したいためであ るという主張が立証されたとは判断できない。目的はむしろオブジェクト・コードでのプ ログラムがコンピューターによって容易に実行できるからであろう。従って,the nomadに よるリバース・エンジニアリングは刑法145条2項の違反にはならないと結論する。

the nomadからJohansenに伝達されたプログラム・コードには,少なくとも1つのCSSの プレイ・キーが含まれていた。そこで,このプレイ・キーが刑法145条2項の意味において保 護されていたか否かが問題となる。Johansenは,Xingのプレイヤーがプレイ・キーの保護 措置を取っていなかったと説明し,Xingのプレイヤーにおけるキーの保護に関連してはそ の他に証拠がない。したがって,Xingのプレイヤーにおけるプレイ・キーに関して保護を解 除するまたはその他の行為はなかったと結論する。その他のプレイ・キーに関して は,Demskyがコンピューターを用いて可能性のあるプレイ・キーを推測することが可能な プログラムを開発した。プログラムの基盤はXingのキーが位置するDeCSSの暗号解読アル ゴリズムである。この手順自体は保護を解除する,または少なくとも「類似の方法」という 文言に含まれるが,この保護を解除したからといってデータへのアクセスを提供したことに はならない。実行者がデータへの不正なアクセスをなさない場合,保護を解除すること自体 には刑法145条2項は適用されない。前記の通り,違法に生産または取得されたものではない 映画に対してDeCSSを利用することは,刑法145条2項への違反にならないからである。協力

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の問題に関しては,映画に関連する前記の議論の通りである。DVDディスク上の情報に対す る無許可のアクセスを取得するために他者がプレイ・キーを利用する可能性に関し て,Johansenは未遂状況での協力で有罪にはならない。

よって,Johansenは無罪である。

*******

裁判長 Irene Sogn(判事補)

専門家共同裁判官 Terje Knudsen(上級技術者) Stein Marthinsen(大学講師)

Ⅳ<控訴審判示>

1 (前提となる判断)

海賊版のコピーは映画産業および音楽産業の双方にとって大きな問題である。台湾にお ける海賊版の生産能力は年間で18億枚 という天文学的な数字であると報告されている。し かし,インターネット上の映画のコピーは,1999年の時点では余り実用的ではなかった。デー タ転送のスピードが充分でなく,ISDN接続で圧縮しない1本の長編映画全部を転送するに は,約12日間必要であった。ブロードバンドは一般に利用が不可能であった。長編映画は最 大で8ギガバイトの記憶容量が必要であり、これは当時のPCが提供できる容量を超えてい た。DVDの焼付け装置の値段は1999年の時点で約20,000ノルウェー・クローネ(約2,500米 ドル) で,コピーに使用するDVDの容量は1本の映画全体には不十分である上,購入が難しか った。CDのコピーはこれよりも単純で費用も安かったが,映画を記憶させるにはCDが3~4 枚必要であり,品質もオリジナルよりも劣るものであった。価格においても品質においても, コピーは深刻な脅威ではなかった。控訴裁判所は,DVD CCAシステム外のプレイヤーを開 発した主要な目的はコピーではなかったという見解を支持する。

OSのLinuxに基づくプログラムの製作者は,オープン・ソース・コードの原則に基づき 業務を行っており,第三者にプログラムの構造を公開している。1999年には,このOS上で利 用できるDVDプレイヤーはなく,そのオープン・ソース・コード主義が理由でDVD CCAか らのライセンスは得られなかった。Johansenが開発したプログラム,すなわちユーザー・イ ンターフェース(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)は,the nomadの暗号解読 アルゴリズムとDerek Fawcusの認証パッケージから構成されている。Johansenが,プログ ラムを開発した目的はLinuxのプレイヤーに役立てるためであったと認定する。また,プロ グラムがマイクロソフトのWindows上で動作するよう提供されている理由は,当時,Linux 用のファイル・フォーマットUDFがサポートされていなかったためであると認める。

2 (刑法145条2項の解釈)

(1) 最初の問題は「データ」の解釈である。控訴裁判所は,本件においてこの言葉が映画およ びコンテンツ・スクランブリング・システムの双方を意味すると解釈する。

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(2) 次の問題は,「権限なく」の解釈である。Johansenは自己のDVD映画のすべてを常に購 入しており,これらを再生する権利を有する。映画を再生するためには,暗号は解除されなけ ればならない。ただし,製作者の意図は,暗号化された形式の映画はその再生後も元のままで なければならないというものだが,プログラムDeCSSは,映画を暗号が解除された形でハー ドディスク上に記憶させる。記憶された映画は,たとえばDVDまたはCDに焼き付けるなど して複製することができるが,暗号化によって防止しようとしているのはまさにこのことで ある。控訴裁判所はJohansenが後に映画を再生する目的で自己のハードディスク上に記憶 させたのではないと判断しているが,再生の可能性に加え,この可能性を獲得することが違 法であるかどうかを判断しなければならない。データへのアクセスの入手が違法とみなさ れる場合145条が適用される。DeCSSを使用する場合は常に,ユーザーのハードディスクに 記憶された映画を暗号化されたデータの保護されない形式に複製することを意味する。し かし,DeCSSの使用を合法とする根拠の1つに複製を認める著作権法12条がある。長編映画 はひっかき傷や切り目,ひびなどが入りやすいメディアに記憶されるが,本や雑誌は品質を 損なうことなく何度も読むことができる。控訴裁判所は,DVDが損傷しやすいものであるた め,購入者は,たとえば特に保存したいと考える映画など,コピーを作成することを認められ るべきであるという意見を支持する。DeCSSを利用することが,映画製作会社との競争の面 で,DVDの違法な複製が行われる大きな危険性を表しているとは思われない。本件において の問題は刑法の評価の一部としての著作権法12条の解釈であり,控訴裁判所の見解によれ ば,かかる法的背景においては,規定の文言の無条件な形に重要性を付与すべきである。

(3) 更に,映画はコピーの禁止を条件に販売されているためDeCSSの使用はやはり違法で あるか否かということを検討する。コピーの禁止は,著作権法12条に比較すると消費者の権 利を制限するだろう。同条は商業的利用でない場合,私用における出版物の複製を認めてい る。現行法では一般に著作権法が認める使用を限定する一方的な条件を認めていない。こ れは特に,大量市場向け商品として生産される保護された作品に組み込まれた条件に関連性 がある。私的な条件が有効であるためには,これが契約条件として一般に受け入れられなけ ればならない。もしもこの条件がカバーの上の「DVD」のラベルから明らかであるとして も,当裁判所は,この条件が契約条件として消費者に受け入れられているとは考えられない。

(4) 次の問題は,このような暗号解読プログラムが違法に取得されたかどうかということ である。これが立証されるならば,それによってデータへの違法なアクセスが行われたかど うかを判断しなければならない。著作権法4条の規定は,著作権者は他者が新規かつ独自の 作品となる形で保有者の作品を使用することを拒否できないというものである。著作権法 39条iは,独自に開発されたプログラムとその他のプログラムの間での機能的な相互作用に 必要な情報を利用できるようにする条件であり,かつ,その情報がそれ以前には利用が容易 でなかった場合,コンピューター・コードの複製および形式の変換を認めており,行為は,元 のプログラムのうち機能的相互作用を確立するために必要な部分に限定される。控訴裁判

所はthe nomadが行ったことはアルゴリズムおよびプレイ・キーのリバース・エンジニア

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リングであったと認定する。XingプレイヤーおよびFawcusの承認コードから入手した情報 を用い,the nomadは新しいプログラムを作成し,DVDとの機能的相互作用を確立した。開発 されたプログラムは,元のプログラムにそれほど一致したところはなく,従って元のプログ ラムに対する著作権は侵害されていない。Johansenは1999年11月4日まで,the nomadが Xingプレイヤーの合法的なコピーを所有していなかった可能性についての情報を持ってい なかった。また,プレイ・キーへのアクセスそのものが違法かどうかという問題について は,DVDに記憶されたこの部分があらゆる保護を受けるべきだと認めることはできない。違 法とみなされる行為は,映画にアクセスすることに関連しなければならない。Johansenはた だthe nomadのコードのキーが一定の映画について作動するかどうかを調べただけである。

したがって,JohansenがDeCSSのユーザー・インターフェースをプログラムしたとき,the nomadによるリバース・エンジニアリングまたはデコンパイルが違法であるという認識は 持ち合わせていなかったという事実に基づき,データへのアクセスが違法とは解釈されない と結論する。

(5) 最後に,Johansenが,他者によるプログラムDeCSSの使用に貢献したまたは貢献しよ うと試みたことで処罰されるべきか否か,という問題を検討する。控訴裁判所は,第一審裁判 所と同様に,DVD映画を違法に取得するために誰かがDeCSSを使用したという証拠を提示 されていないと認定する。Johansenを,プログラムの使用への貢献によって有罪とすること はできない。

また,プログラムを公開することによって,他者が暗号を解除されたDVD映画に違法にア クセスするのに貢献しようとした罪で有罪とされるべきか否か検討する。DeCSSをインタ ーネット上に提供したJohansenの目的はLinux用のプレイヤーの開発に貢献するためだっ たと認定する。Johansenはプログラムが悪用される可能性があることは認識していたに違 いない。しかし,配布およびコピーは,前記のとおり,1999年の時点においては実用的ではな かった。さらに,Johansenは海賊版のコピーに賛成していなかったと認める。よっ て,JohansenがインターネットでDeCSSを利用できるようにしたことによって,映画の他者 による海賊版コピーに貢献したという証拠が提示されているとは判断し得ない。プログラ ムが悪用される可能性があるという事実は,この判断を無効にするものではない。

以上の理由で,控訴は棄却される。

***********

裁判長 Wenche Skjaggestad(控訴裁判所判事) Endre Stavang(臨時控訴裁判所判事) Hjamlar Austbo(特別控訴裁判所判事)

非法律家裁判官:Bente Brunvatne(会社社長) Morten Midtun(板金工) Dag Asheim(シニア・コンサルタント) Martion Gilje Jaatun(大学教授)

<検討>

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□ CSSの仕組み(推測)

DVD ドライブ CSSプレーヤ

出力 Master Key

プレイ・キー ディスク・キー

タイトル・キー コンテンツ

復号 認証

DeCSSはCSSプレーヤに代替するものであるため,認証なくしてはDVDドライブとの間で アクセス権を与えられない。アクセス権がないとプレイ・キーを 読み込むことができな い。

□ 事件当時,ノルウェイには米国のDMCAに相当する法律はなく,著作権法等で技術的保 護手段の迂回解除を禁止する規定はなかった。ノルウェイはEU非加盟であり,EUの情報社 会における著作権指令の拘束を受けない。また,ベルヌ条約加盟国であるがWTCは批准して いない。なお現在は,立法予定があるとのことである。

そのため,本件は刑事事件として扱う以外なかったものと思われる。しかし,刑法145条は本 来が親書開披罪の規定であるため,本件のような場合を想定していなかったのではないかと 考えられる。

□ 本判決のアプローチで特徴的な点は,映画の正規のDVDを保有するものは,いかなる方 法によろうとも映画を見る権利を有するとして,DeCSSによる視聴,私的複製は合法である とすることを基本としている点である。そして,合法的な利用をすることができるDeCSSを 提供するだけでは違法行為に加担したことにはならないとする。また,正規購入ソフトにつ いてリバースエンジニアリグを正面から捉えて合法とし,オブジェクト・コードはプログラ ム保護のための技術的手段にあたらないとする。

(18)

□ 本判決は,刑法の構成要件の解釈を厳密に行い,いくつかの争点で「疑わしきは被告人の 有利に」という解釈をとっている。ただし,事件の時点におけるインターネットやDVDの技 術的進歩状況が判決内容に大きな影響を与えており,現時点で同様の事件が発生した場合に 同様の判決となりうるかは疑問である。

(弁護士 小川 憲久)

(19)

2. 321Studios加州事件

■事件名:321 STUDIOS v. METRO GOLDWYN MAYER STUDIOS, INC., et. al、

■裁判所:合衆国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所/2004年2月19日

■当事者:

原告:321 STUDIOS LLC

(=DVDの複製のためのソフトウェアやインストラクションの販売業者)

被告:METRO GOLDWYN MAYER STUDIOS, INC.他

(=殆どが MPAAのメンバーであり、映画の著作権者であるとともに、著作物を 含んだDVDの製造、販売等を行っている者)

■概要:DVD へのアクセスやコピーから保護する特定の措置を回避するソフトウェア を製造、販売する者の行為が、DMCA の規定に違反する旨を判断するとともに、当該 規定における制限が、当該提供者の有する憲法第一修正上の権利に抵触する、あるいは、

ユーザのフェアユースの権利に抵触するとの主張を退けたもの。

■ 裁判の形式:本件ソフトウェアの使用が許されないとする被告の事実審理省略判決

(summary judgment) の申立てを認め(下記I参照)、本件ソフトウェアの7日以 内の販売差止命令(下記II参照)を発した。

■ 事実関係及び当事者の請求

(1) 2001年8月に原告は、DVD Copy Plus、および2002年11月にDVD-X COPY(以下合 わせて本件ソフトウェアという)の販売を開始した。

DVD Copy Plusは、DVDのバックアップ・コピーの作成方法を説明する電子ガイド、2種類 の無料で公開されているソフトウェア、およびドイツの会社からライセンスを受けたCDへのデータ 書き込みを行なうアプリケーションPowerCDRで構成されている。DVD Copy Plusは、CSSでエンコ ードされているかどうかにかかわらず、オリジナルのDVDからビデオ・コンテンツをコピーする。

このソフトウェアは、DVDの同一の複製物を作成するものではなく、DVD上のビデオ・コンテンツ の一部について、記録可能なCDへのコピーを可能にするものである。

DVD-X COPYは、その使用にあたって、データの読み取りおよびブランクのDVDメディア

への書き込みの可能なDVDドライブを必要とするものであり、オリジナルのDVD上のデータを読み 取ってデコードした後に、このデータを用いて、DVDのバックアップ・コピーを作成することがで

削除: 2004.6.15 赤松

(20)

きる。DVDドライブで読み取り、DVD-X COPYソフトウェアで解読したデータは、DVDのバックア ップ・コピーが作成されるまで、コンピューター上(RAM もしくはハード・ディスクのいずれか)

に保存される。バックアップ・コピーが作成されると、オリジナルDVDからの保管データは、自動 的に削除される。DVDCSSでエンコードされている場合、DVD-X COPYは、CSS『プレーヤー・キ ー』を用いてデータにアクセスする。また、DVD-X COPYは、DVDデータをデコードするアルゴリズ ムを実行する公知のコンピューター・コードを搭載している。DVD-X COPYは、オリジナルDVDの 暗号化に影響を与えない。

(2) 原告の請求(2002年4月22日)の概要

<第一請求>

以下の内容の宣言的判決(declaratory judgment)を求める

① 本件ソフトウェアの販売に関する活動がDMCAの規定に違反しないこと、また は(or)、

② (i) 当該規定が他の著作権法の規定に照らして無効であり、

(ii) 連邦議会が合衆国憲法第 1編第 8 節において列挙された権限を越えて

いるため、かかる規定は無効であり、

(iii) 当該規定が憲法に反してあいまいであり、もしくは

(iv) 当該条項が合衆国憲法第1修正に違反している、こと。

<第二請求>

以下のいずれかを理由として、本件ソフトウェアの販売が著作権法に違反しない旨 の宣言的判決を求める。

(i) 本件ソフトウェアが、実質的に非侵害用途を有していること

(ii) 本件ソフトウェアの使用がフェアユースを構成すること、ないし(and/or)

(iii) 著作権法の規定が、本件ソフトウェアの流通を禁止するものと解釈すれば、合

衆国憲法第1修正に違反することになること

(3)被告の主張の概要

本件ソフトウェアは、DVDへのアクセスやコピーを効果的にコントロールするContents Scramble System (“CSS”)を迂回することを主な目的として設計されたソフトウェアであ り、原告の行為は、DMCAの規定に明確に違反する。

■ 主な争点と裁判所の判断

(21)

I.

A. DMCA迂回禁止条項に基づく原告の責任

(1) CSSは、1201条の適用を受ける技術的措置か?

○ 被告の主張:CSSは、DMCAの下で保護される著作物へのアクセスを効果的に コントロールする技術(1201(a)(2)条参照)であるとともに、DMCAにおける著作権者 の権利を効果的に保護する技術(1201(b)(1)条参照)である。また、適切なCSSキーが ない場合、CSSによりDVDへのアクセスが妨げられ、ライセンスを受けたDVDプ レーヤーだけが、DVDを再生するために合法的にCSSキーにアクセスできる。

● 原告の主張:CSSアクセス・キーは広くインターネット上で入手可能であるため、

CSSがDVDの効果的なコントロールもしくは保護となるかどうかは疑問である。

◎ 裁判所の判断:制定法自体が「本編における著作権者の権利を効果的に保護する」

とは、「その通常の動作の過程において、本編における著作権者の権利行使の防止、

制限 、 もし く はその他の限定がなされる場合」を意味するものと定義している

(1201(b)(2)(B)条)。CSSがDVDへのアクセスを効果的にコントロールし、かつ著

作権者の権利を効果的に保護する技術的措置であることは、先の裁判所にとって明 白であったように、当裁判所にとっても明白である。

(2) 本件ソフトウェアの利用は、1201条の技術的措置の迂回に該当するか。

○ 被告の主張:原告の本件ソフトウェアは、(i)CSSを「迂回することを主たる目 的として設計もしくは製造された」ものであり、(ii)CSSを「迂回すること以外 にはごく限られた商業的に重要な目的もしくは用途しか有さない」ものであり、

(iii)原告が CSSの迂回用に販売しているものである。また、本件ソフトウェア

は、1201条の免責規定のいずれの適用も受けず、ユーザによる本件ソフトウェ アの合法的な利用は、1201条における(原告の)責任とは無関係である。

● 原告の主張:

(i) 被告が「原告のDVD Copy Codeはユーザーがすでに購入したオリジナ ルDVDに対して作用するのであり、アクセス権を備えていることに疑 いがない」という点を看過している。

(ii) CSSがコピーではなくDVDへのアクセスのみをコントロールするもの

であることから、CSSの迂回が第1201 (b)条ではなく、第1201(a)条にお

(22)

いて問題となる。

(iii) 仮に1201 (b)条が適用されるとしても、DVD Copy Codeの主たる意図さ れた用途が著作権者の権利をなんら侵害しないため、DVD Copy Codeは、

同条に違反しない。

(iv) CSSの解読手段をディスク所有者に提供することが第1201(a)(2)条における

「迂回」を構成するとすれば、DVDプレーヤーはすべて CSSの解読手段 を提供しているので、すべての DVD プレーヤー・メーカーが同条に違反 することになる。

(v) DVD の私的バックアップ・コピーが著作権法においてフェアユースとし

て明示的に認められており、原告の本件ソフトウェアの主たる意図した用 途が合法的なフェアユースであるので、1201(b)条に違反しない。

(3) 原告の行為は1201 (a)(2)条に違反するか?

○ 被告の主張:原告の本件ソフトウェアが、(i) DVDへのアクセスを効果的にコン トロールする技術的措置であるCSSの迂回を目的として設計されており、(ii)CSSの 迂回以外の商業的に重要な目的もしくは用途がごく限定されており、また(iii)CSSの 迂回用に販売されていることから、明らかに第1201 (a)(2)条に違反する。

●原告の主張①:定義上「迂回」は著作権者の許可を得ずに(without the authority of)なさ れるものであるから、1201 (a)(2)条に違反することはあり得ない。DMCAは、第1201

(a)(3)(A)条で「技術的措置を迂回する」とは、著作権者の許可なく、スクランブルを

かけた著作物のスクランブルを解除すること、暗号化された著作物を解読すること、

または他の方法で技術的措置を回避すること、バイパスすること、除去すること、

解除すること、もしくは阻害すること」と規定していることから、当該製品がオリ ジナルのDVDに対してのみ作用するものであり、DVDの購入者はCSSをバイパス するための著作権者の許可を得ているので、著作権者の許可を備えている。

◎ 裁判所の判断:1201(a)(3)(A)条は、著作権者の許可を得てDVDを「視聴(view)」し ようとする人ではなく、暗号化されたDVDを著作権者の許可を得て「解読(decrypt)」

しようとする人を免責するものであることから、原告の主張は同条の解釈を誤って おり、DVDの購入によりCSSを解読するための著作権者の許可が購入者に与えられ たことにはならない。

(23)

●原告の主張②:ソフトウェアが第1201(a)(2)条に違反する場合、DVDプレーヤーもす べてCSSを解読するので、すべてのDVDプレーヤーも違反することになる。

◎裁判所の判断:ライセンスを受けたDVDプレーヤーは、CSSを解読するキーの交付 を受けており、その代わりに暗号化されたDVDのコピーの厳格な禁止に従わなけれ ばならない。原告のソフトウェアはかかるライセンスを受けておらず、したがって著 作権者の許可を得ているとはいえない。以上から、原告による「「著作権者の許可な く」の文言により、同社製品が第1201 (a)(2)条に基づく責任を免れる」という主張は 退けられる。

(4) 原告の行為は、1201 (b)(1)条に違反するか?

●原告の主張①:CSSがDVDへのアクセスのみをコントロールし、DVDのコピーをコ ントロールもしくは防止するものではないため、コピー・コントロール措置ではなく、

1201 (b)(1)条の適用を受けない。

◎裁判所の判断:原告は、同条を誤解し、また CSS の目的を誤って記述している。同 条は、著作権者の権利を効果的に保護する技術的措置によって与えられる保護を迂回 する技術の不正な取引を規制している。確かに、CSSは暗号化されたDVDへのアク セスをコントロールするものであるが、暗号化されたDVDのコピーはこれにアクセ スして初めて可能になるので、このようなアクセス・コントロールは、かかる DVD のコピーをコントロールすることを目的としているといえる。CSSがコピー・コント ロール・システムであることは明らかであるため、第1201 (b)(1)条を適用する。

● 原告の主張②:1201(b)(1)条が適用されるとしても、本件ソフトウェアに関する以下 の理由により、その主たる意図した用途が著作権者の権利をなんら侵害するもので はないので、当該ソフトウェアは同条に違反しない。

(i) その用途の多くは、CSS へのアクセスに関与するものではないため、

DMCAと何らの関係をもつものではなく、

(ii) パブリックドメインに属するDVDのコピー作成に関係するので、著作

権侵害にかかわるものではなく、

(iii) 著作権で保護される素材のフェアユース(に利用されるもの)であり、

もしくは、

(iv) ユーザがすでに購入した映画の単一の保存用バックアップ・コピーの

(24)

作成(著作権法上合法とされている)にかかわるものである。

◎裁判所の判断:本件ソフトウェアのユーザによる使用が、合法か違法かは、原告が同 法に違反しているかどうかの判断を左右しない。

(参考①)当地区のWhyte裁判官は、Elcom事件において、以下のように述べている。『連邦議会は、

使用制限を迂回する行為を禁止したのではない。その代わりに、連邦議会は、使用制限による保護の技術 を迂回することを主目的とする装置の不正取引およびマーケティングのみを禁止したのである。連邦議会 は、適法に著作物を取得した人のフェアユースの権利を保護しようと考えたため、迂回行為を禁止しなか ったのである』[Elcom事件(203 F. Supp. 2d at 1120)]

(参考②)Corley事件でも、同様の主張を取り扱い、これを退けている。

[被告]は、第 1201(c)(1)条が『本条の規定は、フェアユースを含めて、本編に基づく権利、救済、

制限、もしくは著作権侵害の主張に対する抗弁になんら影響を与えないものとする』と規定してい るが、著作権のある素材が著作権に関する責任を免れる『フェアユース』に供された場合には、か かる素材を保護する暗号化技術を迂回することが許されるように読めると主張する。当裁判所は、

1201(c)(1)条でかかる解釈が容認されるとは考えない。むしろ、同条は単に、デジタル・ミレニア

ム著作権法(DMCA)が著作権のある素材を保護するデジタルの壁の迂回(および迂回ツールの不 正取引)を適用対象としているが、迂回が行なわれた後のかかる素材の使用には関与しない旨を明 らかにしている。第1201 (c)(1)条は、DMCAで違法とされる方法で情報を取得したからといって、

DMCAがかかる情報の『フェアユース』を禁止するものと解釈されないことを保証している。[Corley 事件(273 F.3d at 443)]

実際、同法を単純に読めば、その禁止が暗号化技術のユーザーにではなく、かかる 技術を迂回する装置の製造、不正取引、および作成に適用されるものであることが 明らかである。技術自体が問題となっているのであって、著作物の用途ではない。

当裁判所は、Corley事件およびElcom事件の両裁判所と同様に、著作物がユーザに より、末端で合法的に使用されることが、ソフトウェア・メーカーの第 1201 (b)(1) 条の規定違反の抗弁にはならないと認定する。

●原告の主張③:本件ソフトウェアは、暗号化を「迂回する」ものではないので、第 1201(b)(2)条に違反しない。本件ソフトウェアは、技術的措置の回避、バイパス、除 去、解除、もしくは他の方法による阻害を行なっておらず、単に承認キーを用いて暗 号を解除するだけである。

削除: 公正使用

(25)

◎裁判所の判断:原告のソフトウェアは、承認されたキーを用いてDVDにアクセスす るが、ライセンスを受けたDVDプレーヤーと異なり、このキーを使用する権限を得て おらず、したがってCSSを回避し、バイパスしているといえる。

以上の理由により、1201(b)(1)条は、原告の本件ソフトウェアに適用される。

(5) 第1201 (a)(2)条および第1201 (b)(1)条に共通の問題

(5-1) 本件ソフトウェアが技術的措置の迂回等を主目的として設計及び製造されたか?

●原告の主張:本件ソフトウェアは、技術的措置の迂回を主目的として(primarily)設計 および製造されたものではなく、ユーザがDVDのすべてもしくは一部のコピーを可 能にするために設計および製造されたものである。CSSの解読能力は、本件ソフトウ ェアの特徴の1つに過ぎない。

○被告の主張:DMCA は、「迂回することを主たる目的として設計または製造された テクノロジー、製品、サービス、装置、コンポーネント、もしくはその一部」を禁 止しているのであって、ソフトウェアの一部が CSS を迂回することを原告が認め ていれば足りる。

◎裁判所の判断:本件ソフトウェアの一部が CSS の迂回のみを目的としていることに は、争いがなく、本件ソフトウェアの当該部分は1201(a)(2)(A)条に違反する。

(5-2)本件ソフトウェアは迂回以外にごく限られた商業的に重要な目的もしくは用途し

か有しないか?

(→本問題については、陪審が判断する事実問題であるため、summary judgmentには適 さない)

(5-3) 本件ソフトウェアは迂回手段であることを知っている者によって販売されている

か?

●原告の主張:CSS の迂回に用いる本件ソフトウェアのマーケティングを行なってい ることを争わないが、同条のマーケティングに関する規定が合衆国憲法第1修正に違 反する。すなわち、当該マーケティングの禁止は同製品の合法的な特性に関する情報 の伝播を禁じるものであり、かかる禁止は合衆国憲法第1修正と調和しない。

◎ 裁判所の判断:合衆国憲法第 1修正は違法な活動に関係する営利的言論(commercial speech that involves illegal activities)を保護するものではなく、当裁判所は、本件ソフト

(26)

ウェアのうちCSS迂回部分が違法であると認定しているため、原告の主張は認めら れない。

<(5)について>

原告は、CSSの迂回に用いるソフトウェアのマーケティングを行なっているので、当裁 判所は、321 StudiosのDVDコピー・ソフトウェアが第1201(a)(2)条および第1201(b)(1) 条のマーケティングに関する規定に違反するものと認定する。

<A.全体について>

原告の本件ソフトウェアは CSS の迂回を主たる目的として設計および製造されたもの であり、CSSの迂回に使用するために一般に販売されていることから、当裁判所は、(原 告の行為は)第1201 (a)(2)条および第1201 (b)(1)条に違反するものと認定する。

B. デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)の合憲性

(1) DMCAは原告の表現の自由を違憲な程度に制限しているか?

● 原告の主張:著作権法の保護対象である著作物について、そのフェアユースの方法 を他人に教えることは、合衆国憲法第1修正に基づく権利であって、それを制限す る DMCAの規定は、違憲である。DMCAは、著作権を保護する技術的措置を迂回 する方法を示すという言論(コード)のみを規制するものであり、その内容(content) に基づいてコンピューター・コードを規制しているといえ、したがって、(その規 制にあたっては)厳格な審査基準(strict scrutiny analysis)が適用される。

◎ 裁判所の判断: DMCAは、それが禁止している技術的措置の機能に言及しており、

禁止されるのは、コンピューター・コードの機能的な要素のみである。DMCA は、

コンピューター・コードに含まれる言論をその内容によって抑圧しているのでは なく、実行した場合のそのコードの動作のみを理由として規制している。

―――――――

(参考③)Corley事件では、被告は、CSSを迂回するためのDeCSSもしくは他のテクノロジーをインタ ーネットのウェブサイト上に掲載することに対する地方裁判所の差止命令に異議を唱えた。Corley事件の

削除: を行い 削除: ので

削除: 本件ソフトウェアが

(27)

裁判所は、以下のように述べている。

[被告側の]主張は、差止命令の掲載に関する規定が対象とするDeCSSに非言論部分と言論部分の 両方があること、また[被告側]に適用した場合のDMCAおよび差止命令の掲載禁止が非言論部分 のみを対象としていることを認識していない。DMCAおよび掲載禁止のいずれも、DeCSSの持つ人 に対する情報伝達機能には関連がなく、かかる機能は、すでに説明した通り、おそらく解読コード の言論部分を構成するものである。DMCAおよび掲載禁止は、コンピューターにCSSの解読を命じ る機能のみを理由として、DeCSSに適用される。かかる機能は、合衆国憲法第1修正の意味の範囲 内の言論ではない。政府は、コンピューターにCSSの解読を命じる機能のみを根拠として、すなわ ち規制対象の言論の内容と無関係に、[被告]に対してDMCAと掲載禁止の両方を適用することを

『正当化』しようとしている。したがって、この種の規制は、スローガンもしくは言論部分とみな される他の説明をたまたま掲げる鍵があったとしても、独房を解錠する機能を理由に特定の合い鍵 の不正取引を制限する場合のように、内容中立的である。

(参考④) Elcom事件の被告も同様の弁論を行ない、『必ずしもコードの表現面の内容を規制するので はなく、コンピューター・コードの「機能」の面を規制するのは不可能である』と主張した。[Elcom 件(203 F. Supp. 2d at 1128)]Whyte裁判官は、以下のように述べて、この主張を退けた。『しかし、メ ッセージから機能を分離することは、コードのどの部分が著作権で保護されうるか、および同一コードの どのような使用が公正使用として許されるかを判断する場合など、裁判所が他の状況で行なってきたこと とまったく同じである』[同1128-29ページ]同裁判官の結論は、以下の通り。『適用する基準としては、

厳格な審査ではなく、中間の審査が適当である。この基準に基づいて、規制は、自由な表現の抑圧に関係 しない重要もしくは実質的な公的利益が促進される場合、または合衆国憲法第1修正に基づく自由に関す る付随的制限が、かかる公的利益の促進に不可欠な程度に過ぎない場合に是認される』

本件では、原告は、先の裁判所が検討し、退けた法的主張しか提起していない。

――――――――――――

当裁判所は、以前にこの問題を検討した裁判所と同一の結論に達し、DMCA を分析す る基準として中間的審査(intermediate scrutiny)が適切であると判断する。中間的審査に おいて、政府は、「主張されている害悪が、単なる推測的なものではなく、現実のもの であり、当該規制により実際にかかる害悪が直接的かつ著しく緩和されることを示さ」

なければならない。連邦議会は、多大な議論を経て、著作権および知的財産権を保護す るためにはDMCAが必要だと判断したのであって、本件で問題となっている条項につ い て は 、 自 由 な 表 現 の 抑 圧 と は 無 関 係 な 重 要 か つ実 質 的な 公 的利 益 (governmental

interests)を増進するものであり、これに付随して合衆国憲法第 1 修正に基づく自由が

制限されるとしても、それが、かかる利益の増進に不可欠な程度を超えるものではない

(28)

(no greater than essential)場合には、是認されると考えられており、本件においてもそ の限度における制限として、違憲ではないと認定する。

(2) DMCAはユーザーのフェアユースの権利を不当に害してはいないか?

●原告の主張①:ユーザはDVD以外では入手不可能な素材も含め、DVDを非デジタル 手段でコピーできるとしても、このことは、ユーザの第一修正の権利に対して、許さ れない程度に金銭的な負担をかけることになり不当である。

◎裁判所の判断:原告の当該主張は、フェアユースの範囲を誇張(overstatement)しており、

第一修正を誤解(misstatement)している。言論を行いたい発言者の欲求(speaker’s desire to make speech)ではなく、言論の内容(content of speech)を理由に発言者が金銭的負担を 課される場合、かかる金銭的負担によって制定法が違憲とされるのみである。

●原告の主張②:DMCA は、著作権の保護を受けない素材にアクセスする合衆国憲法 第1修正に基づく権利を害している。

◎ 裁判所の判断:著作権で保護されない素材を含む DVD の購入者は、このパブリッ クドメインに属する素材にアクセスすることができることは疑いないが、CSS以外で 暗号化されたDVD(non-CSS encrypted DVD)から、これらの素材にアクセスしたり、あ るいは、非デジタル形式でかかる素材にアクセスしたりコピーをすることができる。

DMCAは、CSS以外で暗号化されているコピーを禁止するものではないので、原告が CSS をバイパスするソフトウェアの部分を除去し、DVD コピーの部分(DVD-copying

portion)のみを販売した場合は、CSS以外で暗号化されているDVDおよび他のパブリ

ックドメインに属する素材をコピーすることを目的として、当該ソフトウェアを使用 するユーザに、当該製品を自由に販売することができる。

●原告の主張③:

本件ソフトウェアの禁止は、重大な公的利益の増進に必要ではない。

◎裁判所の判断:「必要性」は基準ではない。Elcom事件で判示されているように、「中 間的審査」基準においては、政府は、適法な公的利益を達成する最も制限的でない手 段を選択する必要はなく、適法な公的目標を達成するために、言論の保護をある程度 侵害することが許される。対象となる行為に十分重要な公的利益が存在することで、

合衆国憲法第1修正の付随的制限(incidental limitation)が正当化される。本件におい ては、本件ソフトウェアの禁止に関して重要な公的利益が存在するが、この段階で著

(29)

作権侵害のための使用があったことの証拠を提示することは必要とはされない。当裁 判所は、CSSを迂回するテクノロジーの製造、提供等の不正取引の禁止がDVDユー ザの合衆国憲法第1修正に基づく権利に、許されない程度の負担を課するものではな いと判断する。

(3) DMCAは連邦議会の権限の範囲を超えていないか?

●原告の主張①:DMCAは州際通商条項(Commerce Clause)に違反する。

◎ 裁判所の判断:迂回装置の不正利用等の行為は、直接的に州間の通商に影響を与え るので、連邦議会が本法を施行する権限をもっている。

●原告の主張②:知的財産権条項(Intellectual Property Clause)に違反する。

◎ 裁判所の判断:違法な知的財産権侵害行為から著作権者を保護することは、本条項 が有用な学術や科学の進歩のための権限を連邦議会に与えたことと整合し、また、

DMCAの迂回条項は、基本的に知的財産権条項と相容れないものではない。

<Bの結論>

DMCAは、憲法に違反しない。

<Iの結論>

被告は、原告の1201(a)(2)条及び1201(b)(1)条に違反した行為により、事実審理省略判決 を受けることができると判断する。

II. 差止命令

◎裁判所の判断

当裁判所は、1203(b)条で規定する差止命令が適当であると判断する。同条は、「[第 1201条もしくは第1202条]に基づいて提起された訴訟において、裁判所は、侵害を防 止する、もしくは抑制するために相当であるとの判断に従って、暫定的および本案的差 止命令を与えることができる」と規定する。Reimerdes 事件で判示されたように、「か かる救済がなければ将来侵害の生じる可能性が相当程度存在する(reasonable likelihood of

future violations)場合、かつ原告個人が提起した訴訟で、かかる原告にコモン・ロー上充

分な救済がない(the lack of an adequate remedy at law)場合には、差止命令による救済が適当 である」と述べているが、本件においてはこの2つの要素が存在している。したがって、

当裁判所は、本命令の発行より7日後より、原告に対していかなる種類のDVD迂回ソ フトウェアの製造、頒布、もしくは他の不正取引を禁止する。

(30)

※所感:一連のDMCAの関連条項に関する判決の傾向に沿ったものであり、特に問題 ない判断であるといえる。

(富士通株式会社 赤松 耕治)

参照

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② 

原則としてメール等にて,理由を明 記した上で返却いたします。内容を ご確認の上,再申込をお願いいた