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○ 論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

別紙1

論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 甲 ・乙 2897 小川 綾野

審査担当者

主査 教授 槇 宏太郎 副査 教授 井上 富雄

副査 准教授 船津 敬弘

(論文審査の要旨)

学位論文「Effectiveness of a Mouth Rinsing Function Test for Evaluating the Oral Function of Children」について,上記の主査 1 名,副査 2 名が個別に審査を行った.

【目的】近年,噛まない・丸呑みのような幼児の 食行動の問題が増加しており,これらは口腔機 能に関連している可能性が高い.しかし現在,幼児の口腔機能を簡便に評価する方法は確立し ていない.そこで当部門では,ぶくぶくうがいを 5 段階に分けた「ぶくぶくテスト」を考案した.

本研究では,「ぶくぶくテスト」が幼児の口腔機能評価として有用であるか検討し ,さらにその 関連因子について調査を行った.

【方法】対象は,保育園に通う幼児 182 名(男児 98 名,女児 84 名,3-6 歳)とした.保護者へのア ンケートから生育歴,食事の心配事等を調査した .調査項目は,口腔内診査,「ぶくぶくテスト」, 咬合力,咬筋厚・長,舌圧測定とした.

【結果】ぶくぶくテストの結果 ,スコア別の年齢中央値は ,スコア 3:45 か月(範囲:41-54 か 月),スコア 4:57 か月(範囲:51-59 か月),スコア 5:71 か月(範囲:64-76 か月)であり, 年齢と「ぶくぶくテスト」スコアは有意に相関していた( p<0.01).また、アンケートより「左 右非対称に動かせない群」は「左右非対称に動かせる群」に比べて「よく噛んでいない」と答 えた保護者が有意に多く(p<0.05),「食事で困っていることがある」と答えた保護者が多い 傾向にあった(n.s.).咬合力・咬筋厚・咬筋長測定の結果,増齢と共に,咬合力は増加傾向, 咬筋厚は一定,咬筋長は増加した.しかし,これらは「ぶくぶくテスト」スコアとは有意な相関 はみられなかった.

【考察】「ぶくぶくテスト」スコアは増齢と共に上がることから,「ぶくぶくテスト」は幼児の 口腔機能評価として使用できる可能性が示唆された.また,食事に心配事のある児はスコアが 低い傾向にあった.そのため,年齢に比してスコアが低い児に対して ,早期から適切な支援を行 うことで,近年増加している食行動の問題解決に繋がる可能性が考えられた .さらに,「ぶくぶ くテスト」スコアと咬合力,咬筋厚・長は関連していないことから ,幼児の口腔機能評価の際に は,咬合力のような筋力だけでなく,「ぶくぶくテスト」のような巧緻性の評価も行う必要があ ると考えた.

(主査が記載)

(2)

本論 文の審査に あたり多く の質問があ り,その一 部と回答を 以下に示す . 船津 敬弘委員の 質問とそれ に対する回 答

スコ ア 3,スコ ア4,スコア 5そ れぞれで比 較した場 合なにか違 いはある か.

スコア 3,4,5それぞれで比較した場合,年齢に有意な差がみられた.さらに,よく噛む・よく噛 まないについてはスコア3-4,3-5間に有意な差がみられたが,スコア4-5間には有意な差はみら れなかった.また、食事で困っていることがあるか,という質問については,スコア 3,4,5それぞ れで比較しても有意な差はみられなかった.

井上 富雄委員の 質問とそれ に対する回 答 5段階 の評価はどの ように して決めた か.

ぶくぶくテストの5段階評価は,乳幼児の摂食機能発達に基づいて決めている.乳幼児は水分 摂取機能の発達により,上下唇を閉じ,水分摂取を行う.これはぶくぶくテストのスコア 2に相 応している,離乳中期では,離乳食を舌で押しつぶすため,口唇・舌・頬は左右対称に動くように なる.これは,スコア 3に相応している.そして,離乳後期に,離乳食を歯ですり潰すため,口唇・

舌・頬は左右非対称に動くようになる.これは,スコア 4,5に相応している.このように,ぶくぶ くテストスコアは,乳幼児の摂食機能発達に基づいて決めている.

槇宏 太郎委員の 質問とそれ に対する回 答

1. ぶくぶくテ ストは,日常 生活でうが いを行って いる影響は ないのか. ぶくぶくテストは,日常生活でのうがい習慣の影響があると考えられる.

本研究では家庭での歯磨きやうがい経験の調査を行っていない.従って,家庭でのうがい練 習によって獲得された機能が,スコアにどのように影響しているかは明らかになっていない.

今後,家庭でのうがい経験についても調査を行い,検討することで,家庭での教育の重要性が明

らかになると考えられる. 2. なぜ咬合力 を測定したか.

本研究では,ぶくぶくテストで評価す る口腔機能の巧緻性と咬合力で評価する筋力との関連 を調査するため,咬合力測定を行った.

本研究の結果,巧緻性と筋力は関連していないことが示唆された.食物を咀嚼する時,歯で食 物を押しつぶすだけでなく,頬・舌の協調運動によって食物を歯列に運び,食物が唾液と混ざる よう動かしていく必要がある.このような頬・舌の協調運動(巧緻性)は,咬合力とは関連して いないと考えられた.従って,噛まない・丸呑み等,食事で困っていることがある時,ぶくぶくテ ストで評価する巧緻性と咬合力で評価する筋力の両者が,平均から逸脱していないかをみる必 要があると考えられた.

これらの試問に対する回答は,適切かつ明解であった.また,槇宏太郎委員は主査の立場から,両 副査の質問に対する回答の妥当性を確認した.以上の審査結果から,本論文を博士(歯学)の学 位授与に値するものと判定した.

(主査が記載)

参照

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