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語研『使える・話せる・ロシア語単語』中澤英彦 ISBN978-4-87615-166-0(ためし読みPDFあり)

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【本書の音声について】

本書には著者が用意した音声があります(2015 年 4 月 15 日現在)。

必要な方はhttp://www.goken-net.co.jp/catalog/card.html?isbn=978-4-87615-166-0をご覧 ください。(※音声の作成と提供は著者が行っております。弊社ではお問い合わせにはお答え できませんので,予めご了承ください)

(4)

❖  は じ め に

「これは困った」,「思うように学習が進まない」,つまり,飛 躍的に実力をつけたいとき,役に立つのが本書です。

ことばは文法と単語からできています。そのうち文法は特殊 な専門家を目指す人以外はさほど必要なく,単語は生きた文の 中で覚えるのが最も効果的です。使える文を

500

覚えれば,コ ミュニケーションに不自由しない,語学の達人は口々にそう言 います。

本書にはおよそ

700

の例文がありますが,例文には,構文や 表現のミニマム・エッセンスがすべて含まれています。

単語といえば,L.N. トルストイらの文豪は

2

万から

2

5,000

の語を駆使したそうですが,統計学的には,日常生活に

は約

2,000

の語彙があればこと足りるそうです。

本書は,日常生活に必要な約

2,300

語を収録しています。ロ シア文部省が選定した,留学に際しての必須単語〔ТРКИ〕の ほとんども含まれており,これで特殊な専門家以外には十分の はずです。

ロシアは今,めざましい経済発展を遂げています。豊富な資 源と広大な領土もあり,今後の無限の可能性に世界は注目して います。日本でも,経財界を中心に関心が一段と高まりつつあ ります。本書がこの新時代にふさわしい語彙集となれば幸いで す。

終わりに,ロシア語を校閲してくださった

O.

ザブランナ様 に記して感謝いたします。

 2007 年

12

著者

(5)

4

 も く じ 

はじめに 3

本書の構成と使い方 6

第1章 ロシア語の基本

1 文字 8

2 読み方の規則 10 3 ロシア語の基本 13 4 人称代名詞 16

5 名詞 17

6 格変化 19

7 所有形容詞〔所有代名詞〕20 8 形容詞〔長語尾形〕 21 9 形容詞〔短語尾形〕 23 10 比較級と最上級 25

11 動詞 29

12 数詞と名詞の結合法 35

13 語形成 36

付表 37

第2章 日本語から引くロシア語 1 尋ねることば 46 2 つなぎのことば 48 3 人やものをさすことば 50 4 自分のことを話す 52 5 0から19までの数 54 6 20から5000までの数 56 7 大きな数と順序数詞① 58 8 順序数詞②とそのほか 60

9 単位① 62

10 単位② 64

11 週と曜日 66 12 時刻と朝昼晩 68 13 月と季節 70

14 時の表現① 72 15 時の表現② 74 16 位置と方向① 76 17 位置と方向② 78 18 天気と気候 80 19 自然現象と天体 82

20 地理 84

21 身近な虫や動物 86 22 さまざまな動物 88 23 身近な植物 90

24 家族 92

25 親戚や身近な人々 94 26 誕生から青春まで 96 27 恋愛と結婚 98 28 中年から老年へ 100

29 人体① 102

30 人体② 104

31 さまざまな症状 106 32 病気とけが 108

33 病院で 110

34 薬など 112

35 感情を表す① 114 36 感情を表す② 116 37 感情を表す③ 118 38 性格のいろいろ 120 39 外見・容貌 122 40 状態を表すことば① 124 41 状態を表すことば② 126 42 状態を表すことば③ 128 43 大切な動詞類① 130 44 大切な動詞類② 132 45 大切な動詞類③ 134 46 大切な動詞類④ 136

(6)

47 大切な動詞類⑤ 138 48 移動と状態を表す動詞 140 49 一日の生活 142 50 ことばを学ぶ 144 51 高等学校まで 146 52 大学生活 148 53 学業と文具 150 54 さまざまな職業 152

55 職場で 154

56 住まいと建物① 156 57 住まいと建物② 158 58 調度品など 160 59 家庭の電化製品 162 60 調理用具 164 61 料理する 166 62 調味料と味 168

63 魚類 170

64 肉類 172

65 野菜 174

66 果物 176

67 レストランで 178 68 食堂・カフェなどで 180 69 ジュース・アルコールなど 182 70 身支度をする 184 71 美容院・理容院 186 72 服装・ファッション① 188 73 服装・ファッション② 190 74 アクセサリー 192 75 繊維・革製品など 194

76 色彩 196

77 街に出る 198 78 買い物① 200 79 買い物② 202 80 商店など 204

81 銀行 206

82 郵便局 208

83 インターネットとコンピュータ 210 84 お客を招待する 212

85 電話 214

86 さまざまな掲示 216 87 地下鉄・鉄道 218 88 都市交通 220 89 タクシーなどの乗り物 222

90 空港で 224

91 飛行機と船 226

92 ホテル 228

93 事故とトラブル 230 94 テレビとラジオ 232 95 新聞と雑誌 234

96 芸術① 236

97 芸術② 238

98 芸術③ 240

99 趣味と娯楽 242 100 スポーツ ① 244 101 スポーツ② 246 102 国と政治① 248 103 国と政治② 250 104 貿易・経済 252

105 資源 254

106 宗教 256

107 歴史・遺跡 258

第3章 あいさつと大切な表現

「はい」と「いいえ」 262 初対面のとき 263 出会ったとき 264 別れるとき 265

お祝い 266

お詫びとお礼 266

その他 267

索引 268

(7)

6

❖  本 書 の 構 成 と 使 い 方

本書は以下の

3

部構成となっています。

【第

1

章 ロシア語の基本】

この章では,ロシア語の発音と文法の基本について解説して あります。

【第

2

章 日本語から引くロシア語】

この章では,日本語を手がかりに目的のロシア語を覚えてい きます。左ページではロシア語,右ページではそのロシア語を 使った例文が紹介されています。例文は日常会話でよく使われ る表現,作文に応用できる表現を中心に紹介しました。

例文には発音の参考にカタカナルビが付いていますが,でき るだけ実際の音に触れるようにしてください。

【第

3

章 あいさつと大切な表現】

この章では,覚えておきたいあいさつや大切な表現を取り上 げました。

■記号

男 男性名詞 男・複 男性名詞複数形

女 女性名詞 女・複 女性名詞複数形

中 中性名詞 中・複 中性名詞複数形

集 集合名詞 複 名詞の複数形

集数 集合数詞 男・不 男性名詞不変化 完・無 完了体無し 女・不 女性名詞不変化 不完・無 不完了体無し 中・不 中性名詞不変化 完・不完 完了体・不完了体同形 属 属格

定 定動詞 与 与格

不定 不定動詞 対格

*

и

変化動詞 具格

述 非[無]人称述語 前置詞格

(8)
(9)

8

1 文字

文字 簡易翻字法 名称 解説

1 А а a アー [ア]の音

2 Б б b ベー バ行の子音[b]

3 В в v ヴェー 上の歯尖が下唇に軽く触れる[ヴ/v]

の音

4 Г г g ゲー ガ行の子音

5 Д д d デー ダ行の子音[d]

6 Е е je ィエー [ィエ]という音 7 É ë jo ィヨー [ィヨ]という音

8 Ж ж ž/zh ジェー 舌を引き,そり舌気味にして声を出 す[ジ]の音

9 З з z ゼー アザミの[ザ/za]の最初にくる子音[z]

10 И и i イー 平仮名の「い」と形も音もほぼ同じ

11 Й й j ィー [ヤ][ユ]の最初にくる子音[j]

12 К к k カー カ行の子音[k]

13 Л л l エール 英語のLに近い音

14 М м m エーム マ行の子音[m]

15 Н н n エーヌ ナ行の子音[n]

16 О о o オー 唇を思い切り丸め突き出して発音す

る[オ]

17 П п p ペー パ行の子音[p]

18 Р р r エール 巻き舌のアール,べランメイ調のラ 行の子音[r]

19 С с s エース サ行の子音[s]

20 Т т t テー タ行の子音[t]

21 У у u ウー 唇を丸めて,口笛を吹くように突き

出して出す[u]

22 Ф ф f エーフ вの無声子音 23 Х х x/kh ハー 喉の奥で出す[フ]の音 24 Ц ц c/ts ツェー [ツ]の子音[ts]

25 Ч ч č/ch チェー 舌を引き舌先を歯茎,口蓋前部に密 着させて出す[チ]

26 Ш ш š/sh シャー

ж

の無声子音

27 Щ щ シャー 「しちゃった」を速く,ぞんざいに言

う[シシャ]

(10)

28 Ъ 記号。音をもたない

29 Ы ы y ゥイー 舌を奥に引き,唇を横にして[イ]と

発音する

30 Ь ь ' 記号。音をもたない

31 Э э e エー [エ]の音

32 Ю ю ju/iu ユー 舌を緊張気味にして出す[ユ]

33 Я я ja/ia ヤー 舌を緊張気味にして出す[ヤ]

Éёは入門書類以外ではЕеとつづられ,発音がеёのどちらなのかは,

単語ごとに覚える。なおÉ,ёには通常アクセントがあり,アクセントの印

「´」は付けない。

ロシア[キリール]文字はギリシャ文字を基にした表音文字である。

上の名称で音引き(ー)や「

エー

」を取った部分が文字の発音になる。

ただし, Ее [

ィエー

]と Ээ の[

エー

]は読みがそのまま発音を示す。

文字と発音のずれがある場合は,次項「2 読み方の規則」に出してある。

ローマ字とほぼ同形同音の文字: Аа , Оо , Кк , Мм , Тт

ローマ字と同形異音の文字: Вв[v] , Ее[je] , Нн[n] , Сс[s] , Уу[u]

と記号 Ьь['] 。

1.母音字

母音を表す文字:

А а Ы ы У у Э э О о

アー ゥイー ウー エー オー

子音

[ j]

+母音を表す文字〔Ии[i][イー]もここに含める〕:

Я я И и Ю ю Е е Ё ё

ヤー イー ィウー ィエー ィヨー 2.子音字

唇音: П п Б б М м Ф ф В в

歯音: Т т Д д С с З з

そ の 他: Н н Л л Ш ш Ж ж Ц ц Ч ч Щ щ Р р К к Г г Х х Й й

3.記号

Ъъ Ьь

(11)

10

2 読み方の規則

1.アクセント

アクセントは,音の高低ではなく強弱による。アクセントのある母 音はない母音より強く,はっきり,長く発音する。アクセントの位置は,

単語ごとに定まっている。

①アクセントのない о は а と同じに発音する。借用語には [o] のま まのものがある。

Москвá 「モスクワ」 рáдио 「ラジオ」〔借用語〕

マスクヴァー ラーヂオ

зáмок[zamak] 「城」― замóк[zamоk] 「錠」

ザーマク ザモーク

②母音はアクセントの位置から離れるほどあいまいに発音される。

ただし決して省かれない。

менº

[ミニュー]

「メニュー」の е は厳密には[

]の音色のある[

]。

本書ではこのような場合は[

]とカナを振る。

2.子音の有声化・無声化

1)

有声子音字と無声子音字の対応関係

有声子音と無声子音の対応 有声子音と無声子音の対応がないもの

分類 I II III

有声 б в г д ж з й л м н р なし 無声 п ф к т ш с なし х ц ч щ 2)

位置によって発音が変わる場合― ①語末が有声子音字のとき,②子

音が連続するときに,有声子音字,無声子音字は下のように発音される。

位置,文字の組み合わせ 発音される音 例 -[] 内は発音通りの綴り

①語末の有声子音字 対応の無声子音 гид[гит]

ガイド

②有声子音字 + 無声子音字 無声子音+無声子音 вóдка[вотка]

ウオッカ

無声子音字 + 有声子音字 有声子音+有声子音 экзáмен[эгзамен]

試験

(12)

前置詞+名詞のように,一続きに読まれる場合もこの規則で読む。

в теáтр 「劇場へ」 с брáтом 「兄弟と」

フチアートル ズブラータム

* II 類の有声子音字は語末でも無声音にならず,直前の無声子音字を有声音にしない。

теáтр「劇場」 три「3」 спорт「スポーツ」

チアートル トリー スポールト

☆例外 

в

は直前の無声子音字を有声に変えない:Москвá「モスクワ」

3.記号

ъ

ь

ъ と ь は子音字+母音字とを分けて発音することを示す。 ь は分け るだけでなく,前の子音を[

]の口の構えで発音することも表す。

сéмя 「種子」— семь¿ 「家族」

シェーミャ シミ・ヤー

*記号ъとьは 2-2) を考えるとき,ないものと考える。

дождь「雨」 прóсьба「お願い」

ドーシチ プロージ・バ 4. 軟音と硬音

ロシア語では[

]の音色の有無は語の意味や変化の型を決める重要 な区別である。

a)[イ

/ i ; j ]の音色のない音を慣習的に硬音

b)

この音色のある音を軟音。軟音は

50

音の「い,き,し…」の列の 発音に近い。発音記号では ['] で軟子音を表す。

a) брат[brat] 「兄弟」

b)

брать[brat'] 「取る」

ブラート ブラーチ

1)

母音字—文字自体が硬音字と軟音字に分かれ,かつ対応する。

硬軟の別 上下にある母音字を対応の母音字という 硬母音字 А [á] Ы [ɨ] У [U] Э [é] О [ó]

軟母音字 Я [ já] И [I] Ю[ jU] Е [ jé] Ë [ jó]

2)

子音字—子音字は下の場合に軟音となる。

①軟音記号 ь が続くとき: альбóм

[アリ・ボーム]

「アルバム」

②軟母音字が続くとき: д¿дя

[ヂャーヂャ]

「おじ」, кремль

[クリェームリ]

「城塞」

①②以外は硬子音として発音される。

(13)

12

ÿгол 「角

(かど)

ÿголь 「石炭,木炭」

ウーガル ウーガリ

лук 「たまねぎ」

люк 「マンホール」

ルーク リューク

ныть 「うずく」

нить 「糸」

ヌィーチ ニーチ

☆例外 硬音字(ж,ш,ц)と軟音字(ч,щ,й)の場合

常に硬音を表す文字〔ж,ш,ц〕と軟音を表す文字〔ч,щ,й〕がある。

①ж,ш : ч,щにьが付いても発音は変わらない。йにはьは付かない。

ключ「鍵」 ночь「夜」

クリューチ ノーチ

борщ「ボルシチ」 пóмощь「援助,助け」

ボールッシ ポーマッシ

②ж,ш,цは硬音で,直後の軟母音字〔и,е,ë〕は対応の硬音ы,э,оと して発音される。

жŒтель「住民」 желÿдок「胃」

ジーチェリ ジルーダク

стажëр「研修員」 цемéнт「セメント」

スタジョール ツェミェーント

③ч,щ,йの発音は[イ/j]の口の構えになるので軟子音。硬母音字が直続 しても変わらない。

чат「チャット」 щи「シシー〔料理〕」

チャート シシー

йóгÿрт「ヨーグルト」 чай「紅茶」

ィヨグールト チャーィ

本書では発音の例外もルビで示す:тéннис「テニス」 бог「神」

テーニス ボーフ

( )

(14)

3 ロシア語の基本

だれにとっても最も心和む表現「私はあなたを愛しています」の英 語

I love you.

と,ロシア語 Я люблº теб¿.

[ヤー リュブリュー チビャー]

を見よう。

英語の場合,「あなた」を意味する

you

は,ご存じのとおり,you,

your,you

と化けるが,love の後では最後の形

you

が選ばれる。な

ぜだろうか。それは,語と語の間には相性があり,語は自分と相性の よい形としか結び付かないからだ。love と相性がいいのは目的格

you,

それで

you

が選ばれたのだ。「私」の形「I,my,me」も同様で

love

と相性がいいのは主格「I」。こうして,ようやく

I love you.

とささや けるようになる。

ロシア語の場合も同様である。やはり親戚同士!  люблº 「私が愛 している」と相性のよい主格 я ,対格 теб¿ という形が選ばれる。ただし,

ロシア語は,化け方が半端でなく,ご覧のように

6

つもある。

I

love

you 主格 Я

люблº

ты 主格

my your 所有格 мен¿ теб¿ 属格

me you. 目的格 мне тебé 与格

мен¿ теб¿. 対格

мной тобóй 具格

мне тебé 前置詞格

このように日本語の「私」とは異なり,ロシア語の я は一つの形で はなく,多くの形〔 я , мен¿ , мне , мен¿ , мной , мне 〕の束にな っており,その束の中から,必要に応じて相性のよい形がスカウトさ れる。スカウトの際の基準が次ページに見る性,数,格なのである。

「単語がお化けのように変化し,幽霊のようにとらえどころがない」。

たしかにそうかもしれない。しかし,何十万もの語がてんでんばらば

らに化けては収拾がつかない。人間のことばである以上,必ず覚えや

すいような細工があるはず。それが変化の型というものである。しか

もありがたいことに,スラヴ語の中で最も規則性が高いのがロシア語

である。基本的な型と眠気防止のためのショック(かな?),つまり例

外を覚えさえすればこと足りる。

(15)

14

このようにロシア語では語の相性と化け方(型)が重要になる。本 書では,相性は「+属」のように記号「+」の後に示し,型は付表で 示している。

日本語 英語 ロシア語

「君の新しい本」

your new book тво¿ нóвая кнŒга

トヴァヤー ノーヴァヤ クニーガ

「君の新しい手紙」

your new letter твоё нóвое письмó

トヴァヨー ノーヴァエ ピ・シモー

日本語や英語で「本」を「手紙」に変えても他の部分は変わらない。

ロシア語では「君の」「新しい」を表す語が名詞と相性のよい形に変わ る。つまり, книга 「本」〔女性,単数,主格〕が письмó 「手紙」〔中性,

単数,主格〕に変わると,「本」「手紙」を飾ることば〔形容詞,所有 形容詞,順序数詞〕も名詞の性,数,格に合わせていっせいに変わる。

この一致した団体行動こそが意味のまとまりを示すのである。

日本語 君の 新しい 本 手紙

英語 your new book letter

主格 тво¿ твоё нóвая нóвое кнŒга письмó

属格 твоéй твоегó нóвой нóвого кнŒги письмá

与格 твоéй твоемÿ нóвой нóвому кнŒге письмÿ

対格 твоº твоё нóвую нóвое кнŒгу письмó

具格 твоéй твоŒм нóвой нóвым кнŒгой письмóм

前置詞格 твоéй твоём нóвой нóвом кнŒге письмé

解説 女性形 中性形 女性形 中性形 女性名詞 中性名詞

これがロシア語の仕組みである。〔詳しくは拙著『初めて学ぶロシア 語』(株)語研を見られたい〕

では,これから,変化表を軸にロシア語文法のエッセンスを記そう。

(16)

品詞 чáсти рéчи には,名詞 Œмя существŒтельное ,形容詞 Œмя прилагáтельное ,数詞 Œмя числŒтельное ,代名詞 местоимéние , 動詞 глагóл ,副詞 нарéчие ,前置詞 предлóг ,接続詞 соºз ,小詞

частŒца ,間投詞 междомéтие の

10

品詞がある。このうち,名詞,

形容詞,数詞,代名詞,動詞を中心に概説しよう。

(17)

16

4 人称代名詞

人称代名詞は人称と数により,下の

6

つの場合に分かれる。

人称/数 単数形 複数形

1 人称 я[ヤー] 私 мы[ムィー] 私たち

2 人称 ты[ティー]君 вы[ヴィー] あなた,あなた方,君達

3人称 男性 он[オーン] 彼,それ 彼ら

онŒ[アニー]彼女ら それら 女性 онá[アナー] 彼女,それ

中性 онó[アノー] それ

遠慮が必要な一人の相手には複数形の вы が用いられる〔敬称の

Вы 〕。この敬称の Вы は大文字で始められる傾向があり,本書でもと きに大文字にしてある。

正書法

語形変化の際に覚えておきたいのが,正書法の規則である。

г , к , х , ж , ч , ш , щ の直後には ы , я , ю を書かず,かわりにそ れぞれ и , а , у を書く。

ы я ю

↓ ↓ ↓

и а у

(18)

5 名詞

1.性

род

[ロート]

名詞は文法的に三分され,男性,女性,中性と呼ばれる。性の区別 は名詞単数主格の語末の綴りによる。この区別は,名詞の変化の型や さらに名詞にかかる形容詞などの形を決定する。

なお,男性,女性の人を表す名詞は,綴りとは関係なく男性,女性 になる。

男性名詞 пáпа

[パーパ]

「パパ」 д¿дя

[ヂャーヂャ]

「おじさん」

末尾の綴り

例 三人称代名詞

硬音 軟音

男性名詞 -子音 -й, -ь кит[キート]「鯨」

музéй[ムゼーィ]「博物館」

день[ヂェーニ]「日」

он 彼,それ

女性名詞 -а -я, -ь вŒза[ヴィーザ]「ビザ」

идéя[イヂェーヤ]「考え」

ночь[ノーチ]「夜」

он-á 彼女,それ

中性名詞 -о -е, -мя слóво[スローヴァ]「単語」

мóре[モーリェ]「海」

Œмя[イーミャ]「名前」

он-ó それ

*-мяに終わる中性名詞は10 個。врéмя[ヴリェーミャ]「時間」,знáмя[ズナーミャ]

「旗印」など。

*ьに終わる名詞には男性名詞と女性名詞がある。これは個別に覚える。

цель[ツェーリ]「目的」

☆例外も少数ある。性の表記にご注意:кóфе[コーフェ]「コーヒー」 2.複数形

複数形の作り方は,名詞の性と語末の硬音・軟音の別に定まっている。

アクセントが変化するものがある: кит

[キート]

→ кит-§

[キティー]

「鯨」

硬音 単数 複数 軟音 単数 複数 男性名詞 →ы кит → кит-§ -й/-ь→-и музéй→музé-и

день →дн-и

女性名詞 -а→-ы вŒза → вŒз-ы -я/-ь→-и Тáня →Тáн-и

中性名詞 -о→-а слóво → слов-á -е →-я мóре →мор-¿

*пáпаやд¿дяなどの男性名詞は,-а,-яに終わる女性名詞と同じ変化をする。

(19)

18

☆ 1. 男性名詞には例外的に複数形-á,男性名詞,中性名詞では-ьяとなるも のがある。

гóрод→городá 男「都市」 лес→лесá 男「森林」

ゴーラト ガラダー リェース リサー

лист→лŒтья 男「葉」 друг→друзь¿ 男「友達」

リースト リースチ・ヤ ドルーク ドルジ・ヤー

дéрево→дерéвья 中「木」 перó→пéрья 中「羽,ペン」

ヂーリヴァ ヂリェーヴィ・ヤ ピロー ピェーリ・ヤ

2. 母音о,еに終わる借用語などには変化しないものがある。本書ではそれ を男・不 女・不 中・不と記す:

интервьº 中・不「インタビュー」 метрó 中・不「地下鉄」

インテルヴィ・ユー ミトロー

(20)

6 格変化

ロシア語には単数形,複数形でそれぞれ

6

つの格がある。格変化の 型は,性と単数主格の語末が硬音か軟音かによって定まる。基本は硬 変化型と軟変化型の

2

つである。

1.名詞

1)

硬変化型

単数主格末尾が主に硬音に終わる硬変化型では,末尾を下表でハイ フンの右側のように変える。

男 くじら 中 単語 女 ママ 主な意味 文中の主な役割 格 語幹 - 語尾 語幹 - 語尾 語幹 - 語尾

主格 кит слóв-о мáм-а が 主語

属格 кит-á слóв-а мáм-ы の 属性,帰属

与格 кит-ÿ слóв-у мáм-е に 受益・被害者

対格 кит-á слóв-о мáм-у を 直接目的語

具格 кит-óм слóв-ом мáм-ой によって 道具,手段

前置詞格 кит-é слóв-е мáм-е 前置詞による

2)

軟変化型

末尾を対応の軟母音字に変える〔軟変化については付表

1-1)と1-2)

参照〕。

2.代名詞・所有形容詞・形容詞・数詞

それぞれ付表

3,6

4

2

9,5

を参照のこと。

(21)

20

7 所有形容詞〔所有代名詞〕

名詞が性と数で形を変えるので,それを修飾する所有形容詞も

4

つ の形をとる。

意味 私の あなたの 彼の

それの 彼女の それの

彼らの 彼女らの それらの

だれの

〔疑問詞〕

単数形

男性形 мó-й

モーィ ваш

ヴァーシュ

егó

ィエヴォー

еë

ィエヨー

их

イーフ

чей

チェーィ 女性形 мо-¿

マヤー

вáш-а

ヴァーシャ

егó

ィエヴォー

еë

ィエヨー

их

イーフ

чья

チ・ヤー 中性形 мо-ё

マヨー

вáш-е

ヴァーシェ

егó

ィエヴォー

еë

ィエヨー

их

イーフ

чьë

チ・ヨー 複

形 3 性同じ мо-Œ

マイー

вáш-и

ヴァーシ

егó

ィエヴォー

еë

ィエヨー

их

イーフ

чьи

チ・イー 同じ変化型の語

тво-й

トヴォーィ

сво-й

スヴォーィ

наш

ナーシュ 3人称は例外的に不変化

(22)

8 形容詞 〔長語尾形〕

1.典型

形容詞には固有の性はなく,関係する名詞の性〔男性,女性,中性〕

と数〔単数,複数〕に応じて

4

通りに変わる。代表は男性単数主格形 で辞書の見出しになる。変化の型は,語尾の母音の音により,硬変化 型と軟変化型の

2

つの典型に分かれる。

なお長語尾形の形容詞にはアクセントの移動はない:

нóвый

[ノーヴイ] послéдний[パスリェードニィ]

硬変化 軟変化 つながる名詞の例

単数形

男性形 нóв-ый послéдн-ий дом/автóбус「家」/「バス」

ドーム アフトーブス

女性形 нóв-ая послéдн-яя студéнтка「女子学生」

ストゥヂェーントカ 中性形 нóв-ое послéдн-ее слóво「単語」

スローヴァ 複

形 3 性同じ нóв-ые послéдн-ие автóбусы/словá

アフトーブスィ スラヴァー

意味 新しい 最後の

1)

述語としての用法:主語の性,数と一致

Дом нóвый. 「家は新しい」 МашŒна нóвая. 「車は新しい」

ドーム ノーヴイ マシーナ ノーヴァヤ

2)

修飾語としての用法:名詞の性,数,格と一致し,ふつう名詞の前に 置かれる。

нóвый дом 「新しい家」 нóвая машŒна 「新車」

ノーヴイ ドーム ノーヴァヤ マシーナ

*形容詞が名詞扱いされて性をもっても,変化はあくまで形容詞型。本書では このような形容詞のみ名詞と同じように性を示している。

учёный「学者」男 гóрький「苦い」→「作家名」男 ウチョーヌイ ゴーリ・キイ

(23)

22 2. 非典型

1)

語幹が г , к , х に終わるもの〔本来は硬変化型〕と ж , ч , ш , щ

に終わるもの〔本来は軟変化型〕は,正書法の規則により,語尾が 典型とは一部ずれる。これを混合変化という。〔変化形は付表

2-2)〕。

япóнский 「日本の」 америкáнский 「アメリカの」

イポーンスキィ アミリカーンスキィ

англŒйский 「英国の」 россŒйский 「ロシア連邦の」

アングリースキィ ラッシースキィ

францÿзский 「フランスの」 испáнский 「スペインの」

フランツースキィ イスパーンスキィ

италь¿нский 「イタリアの」 корéйский 「韓国・朝鮮の」

イタリ・ヤーンスキィ カリェーィスキィ

немéцкий 「ドイツの」 швéдский 「スウェーデンの」

ニミェーツキィ シュヴェーツキィ

москóвский 「モスクワの」 сибŒрский 「シベリアの」

マスコーフスキィ シビールスキィ

европéйский 「ヨーロッパの」 жестóкий 「残酷な」

イヴラピェーィスキィ ジェストーキィ

Насто¿щая япóнская кÿхня óчень хорóшая.

ナスタヤーッシャヤ イポーンスカヤ クーフニャ オーチン ハローシャヤ

「本物の日本料理はとてもすばらしいものです」

2)

語尾にアクセントがある形容詞の男性形と中性形は -óй, -óе となる:

молодóй 「若い」〔付表

2-3)〕

マラドーィ

3) 1),2)

が同時に関係する形容詞,疑問形容詞:

какóй /такóй 「そのような」〔付表

2-4)〕

カコーィ タコーィ

(24)

9 形容詞 〔短語尾形〕

形容詞には,長語尾形のほかに短語尾形がある。短語尾形は,形容 詞の語幹に男性 -ゼロ,女性 -а ,中性 -о ,複数 -ы/-и を付加する。男 性形で語幹の末尾が子音連続になる場合は, -о/-е のどちらか一方を挿 入する。短語尾形には,アクセントの移動するものがある。

短語尾形には格変化がなく名詞を修飾できず,主語を説明する述語 の用法しかない。単数中性形は,主語を用いない文〔非[無]人称文〕

の述語や副詞として非常によく用いられる。

美しい クラシーヴイ 男・単 女・単

-а/-я

中・単

-о/-е

-ы/-и

長語尾形 красŒвый красŒвый красŒва/я красŒво/е красŒвы/е

短語尾形 красŒв красŒв-а красŒв-о красŒв-ы

男・単 女・単 -а 中・単 -о 複 -ы/-и готóвый

ガトーブイ готóв готóва готóво готóвы 準備ができ ている зáнятый

ザーニャテイ зáнят занятá зáнято зáняты

ふさがって いる,

忙しい свобóдный

スヴァボードヌイ свобóден свобóдна свобóдно свобóдны 空いている,

暇な соглáсный

サグラースヌイ соглáсен соглáсна соглáсно соглáсны 一致した,

賛成の извéстный

イズヴェースヌイ извéстен извéстна извéстно извéстны 有名な,

知られた врéдный

ヴリェードヌイ врéден вреднá врéдно врéдны 有害な удóбный

ウドーブヌイ удóбен удóбна удóбно удóбны 都合が良い глубóкий

グルボーキィ глубóк глубокá глубóкó глубóки 深い нŒзкий

ニースキィ нŒзок низкá нŒзко нŒзки 低い

( )

(25)

24 гор¿чий

ガリャーチィ гор¿ч горячá горячó горячŒ 熱い гóрький

ゴーリキィ гóрек горькá гóрько гóрьки 苦い далёкий

ダリョーキ далёк далекá далекó далекŒ 遠い больнóй

パリノーィ бóлен больнá больн§ 病気である спокóйный

スパコーィヌイ спокóен спокóйна спокóйно спокóйны 穏やかな хорóший

ハローシィ хорóш хорошá хорошó хорошŒ 良い

рад рáда рáды うれしい

дóлжен должнá должнó должн§ ~ねばなら

ない

*рад,дóлженは述語としてのみ用いる。

(26)

10 比較級と最上級

形容詞,副詞には今までみた原級以外に比較級と最上級がある。そ れぞれに合成式と単語そのものが変化する単一式の

2

つの型がある。

比較の対象「~よりも」は「 ,чем 」で示す。

級 作り方 意味 文体他

比較級 合成式 бóлее/мéнее+形容詞

原級А,чем Б БよりАな/Аである 文章語的

単一式 ①語幹+-ее形 副詞にも

②語幹+-е形 副詞にも

最上級 合成式

③сáмый+形容詞の原

級長語尾形 一番~な

④ 上 記 ① ② の 比 較 級 +

всегó/ всех 副詞にも

単一式 形容詞の語幹+

-

ейший, -áйший

極めて~な

〔絶対最上級〕 文章語的

1.比較級

1)

合成式

бóлее/мéнее +形容詞原級А, чем Б

形容詞は,関係する名詞に応じて変化する。

Жанр эссé бóлее свобóдный, чем сочинéние.

ジャーンル エッセー ボーリェエ スヴァボードヌイ チェーム サチニェーニエ

「エッセーのジャンルは作文より自由である」

2)

単一式

語幹+ -ее と語幹+ -е の

2

つの型があり,おもに述語,副詞として 用いられる。

①語幹+ -ее 型

形容詞の多くからは,語幹+ -ее の比較級が作られる。

(27)

26

原級 比較級 短語尾女性形

вáжн-ый

ヴァージュヌイ важн-éе важн-á 重要な

вéжлив-ый

ヴェージリヴイ вéжлив-ее вéжлив-а 礼儀正しい

вéрн-ый

ヴェールヌイ верн-éе верн-á 忠実な,間違いない

мŒл-ый

ミールイ мил-éе мил-á かわいい,美しい

тóчн-ый

トーチヌイ точн-éе точн-á 正確な

скóр-ый

スコールイ скор-éе скор-á 急速な,もうじきの

смéл-ый

スメールイ смел-éе смел-á 大胆な

Дéвушка, скорéе, пожáлуйста.

ヂェーヴシュカ スカリェーエ パジャールィスタ

「ウエイトレスさん,早くしてください」

②語幹+ -е 型

特定の形容詞から作られ,形容詞,副詞の比較級は同形。

形容詞原級 比較級 副詞原級

блŒзкий

ブリースキィ 近い блŒже блŒзко

ブリースカ

богáтый

バガーテイ 豊かな богáче богáто

バガータ

большóй

バリショーイ 大きい бóльше

бóльше мнóго

ムノーガ 「多い」

высóкий

ヴィソーキィ 高い в§ше высóкó

ヴィソーカ

дешёвый

ヂェショーヴィ 安い дешéвле дёшево

ヂョーシェヴァ

дорогóй

ダラゴーィ 大切な дорóже дóрого

ドーラガ

( )

(28)

лёгкий

リョーフキィ 軽い лéгче легкó

リフコー

мáлый

マールィ 小さい мéньше

мéньше мáло

マーラ 「少ない」

молодóй

マラドーィ 若い молóже мóлодо

モーラダ

плохóй

プラホーィ 悪い хÿже плóхо

プローハ

пóздний

ポーズニィ 遅い пóзже пóздно

ポーズナ

хорóший

ハローシィ 良い лÿчше хорошó

ハラショー

рáнний

ラーンニィ 早い рáньше рáно

ラーナ

рéдкий

リェートキィ 稀な рéже рéдко

リェートカ

тŒхий

チーヒィ 静かな тŒше тŒхо

チーハ

ÿзкий

ウースキィ 狭い ÿже ÿзко

ウースカ

чáстый

チャースティ 頻繁な чáще чáсто

チャースタ

ширóкий

シローキィ 広い шŒре ширóкó

シラコー

比較級起源の語 стáрший 「年上の」 млáдший 「年下の」

スタールシィ ムラートシィ

лÿчший 「より良い」最も良い в§сший 「最高の」

ルーチシィ ヴィーッシィ

Он говорŒл по-рÿсски лÿчше, чем я.

オーン ガヴァリール パルースキ ルーチシェ チェーム ヤー

「彼は私よりもロシア語を話すのが上手だった」

( )

(29)

28 2. 最上級

1)

合成式

③ сáмый +形容詞の原級長語尾形

сáмый も形容詞のように性数格の変化をする。

Байкáл сáмое глубóкое óзеро в мŒре.

バィカール サーマエ グルボーカエ オージラ ヴミーリェ

「バイカル湖は世界で一番深い湖です」

④単一式比較級短語尾+ всегó/ всех

[フシヴォー/フシェーフ]

この形は意味上最上級になり,副詞としても用いられる。 всегó

は「何よりも〔 всё の属格〕」, всех は「だれよりも〔 все の属格〕」

を表す。

Здорóвье дорóже всегó в мŒре.

ズダローヴィ・エ ダロージェ フシヴォー ヴミーリェ

「健康がこの世で一番大切だ」

Я говорº по-рÿсски лÿчше всех в грÿппе.

ヤー ガヴァリュー パルースキ ルーチシェ フシェーフ ヴグルーッピ

「私がグループで一番ロシア語を話すのが上手です」

2)

単一式 形容詞の語幹+ -ейший

/

-áйший 絶対最上級

単一式は程度の高さ「ごく~,とても~」を表す。語幹が г , к , х

に終わる形容詞は, г , к , х をそれぞれ ж , ч , ш に変え, -áйший

を付加する。

原級 最上級

нóвый 新しい новéйший

ナヴェーィシィ 最新の

блŒзкий 近い ближáйший

ブリジャーィシィ 最寄の

Где здесь ближáйшая стáнция метрó?

グヂェー ズヂェーシ ブリジャーィシャヤ スターンツィヤ ミトロー

「このへんで最寄の地下鉄の駅はどこですか」

(30)

11 動詞

1.時制

врéмя

[ヴリェーミャ]

動詞には過去形:現在形,未来形があるが英語のような進行形や完 了形はない。

2.アスペクト/体

вид

[ヴィート]

動詞は完了体か不完了体かに必ず属する。完了体は,動作に一区切り をつけ場面進展を想定するときに用い,具体的一回の動作,完了,終了,

結果などの意味を表す。それ以外の意味―動作の有無・種類,一般論,

進行中,反復―を表すときには不完了体を用いる。

完了体は日本語の「してしまう,しちゃう」,不完了体は「している,

何度もする,ふつうする,したことがある」などに近い。基本的な意 味が同じ・近い完了体と不完了体の形は対をなして用いられる。

3.現在形:規則型

現在形は語尾の形から,規則変化型 е 変化と и 変化および変則型〔付

7〕に分かれる。

1)

е 変化動詞は,不定詞から -ть を除き,主語の人称と数に応じて語尾

-ю , -ешь , -ет , -ем , -ете , -ют を付ける。

2)

и 変化動詞は,不定詞から -ть とその前の母音を除き, -ю , -ишь ,

-ит , -им , -ите , -ят を付ける。

動詞の変化形はふつうこの順番に並べる。

不定詞

читá-ть

「読む」

е

変化動詞

単数 語幹 語尾 複数 語幹 語尾

一人称 я -ю мы -ем

二人称 ты читá-ешь вы читá-ете

三人称 он -ет онŒ -ют

(31)

30

不定詞

говорŒ-ть

「話す」

и

変化動詞

単数 語幹 語尾 複数 語幹 語尾

一人称 я -º мы -Œм

ニ人称 ты говор-Œшь вы говор-Œте

三人称 он -Œт они -¿т

本書ではи変化動詞には * を付けてある。

4.現在形:変則型

3)

以下の動詞とそれに接頭辞が付いてできた動詞は同じ変化をする。

①まったくの変則的なもの

есть 「食べる」 дать 「与える」〔付表

8

参照〕

ィエースチ ダーチ

бежáть бегÿ бежŒшь бежŒт бежŒм бежŒте бегÿт 「走る」

ビジャーチ ビグー ビジーシュ ビジート ビジーム ビジーチェ ビグウート

хотéть хочÿ хóчешь хóчет хотŒм хотŒте хот¿т 「欲する」

ハチェーチ ハチュー ホーチェシュ ホーチェト ハチーム ハチーチェ ハチャート

②不定詞と現在語幹にずれがあるもの。

и 変化動詞の現在語幹が б , п , в , ф , м に終わるもの

→ любŒть

*

型の唇音変化

т , д , с , з に終わるもの

→ вŒдеть

*

型の歯音変化

不定詞が овать , авать に終わる е 変化動詞の大半

→それぞれ рисовáть , давáть 型の変化

5.過去形

過去型の形は,不定詞の -ть を除き,単数では男性形 -л ,中性形

-ло ,女性形, -ла ,複数にはどの性も -ли を付ける。過去形は主語の

数と性に応じた形をとる。過去形の型は

1

つしかない。

(32)

主語 читá-ть дéла-ть бы-ть

単数形 男性 он/я/ты читá-л дéла-л бы-л

女性 он-á/я/ты читá-ла дéла-л-а бы-л-á

中性 он-ó читá-ло дéла-л-о б§-л-о

複数形:3 性とも он-Œ/мы/вы читá-ли дéла-л-и б§-л-и

意味 読んでいた,

読んだ

した,

していた

いた,

あった

Он читáл твоº нóвую кнŒгу.

オーン チタール トヴァユー ノーヴユ クニーグゥ

「彼はあなたの新しい本を読みました」

6.未来形 1)

不完了体動詞

① быть 動詞〔英語の

be

動詞にあたる〕の人称変化形がそのまま未 来形になる。

不定詞

бы-ть

主語 単数 語幹 語尾 複数 語幹 語尾

一人称 я -у мы -ем

ニ人称 ты бýд-ешь вы бýд-ете

三人称 он -ет онŒ -ут

②一般動詞の場合 быть の変化形+一般動詞の不定詞

Что вы бÿдете дéлать зáвтра?

シトー ヴィー ブーヂィチェ ヂェーラチ ザーフトラ

「明日何をするつもりですか」

2)

完了体動詞

現在形がそのまま未来の意味を表し,特別な未来形はない。

時制のまとめ

читáть/прочитáть

[チターチ/プラチターチ]「読む」を例に体と時制の関係を示す。

過去形 現在形 未来形

不完了体 читáл читáю бÿду читáть

完了体 прочитáл прочитáю なし

(33)

32

7.移動動詞〔運動の動詞〕

不完了体動詞には対〔定動詞

-

不定動詞〕となって移動を表す動詞 がある。日本語で同じ種類の移動,例えば「歩いて行く」を表す際な どに役割分担をする。定動詞は,一定の行き先に向かう進行中の動き や継起的な移動「~して,次に~をする」をふつう表す。不定動詞は,

反復〔過去形では一往復〕,能力,好みなどを表す。

本書では先に定動詞を,次に不定動詞を並べ,それぞれ

不定

と表す。

гнать

*

гон¿ть

不定

「追い立てる,駆り立てる」

グナーチ ガニャーチ

8.

ся-

動詞 動詞本体+

-ся/-сь

-ся/-сь は「自分を,自分に」を意味し,動詞本体の意味・意味合い を変えるが,本体の変化型や体は変えない。自動詞や再帰動詞,受動 態として用いられる。

1)

動詞本体末尾の母音の後では -сь ,子音の後では -ся となる。

2)

-ться

,

-тся だけは[

ッツァ

]と発音し,それ以外は文字どおり発音する。

不定詞

учŒться

「学ぶ,習う」

単数 語幹 語尾 複数 語幹 語尾

一人称 я учý -сь мы ÿчим -ся

ニ人称 ты ýчишь-ся вы ÿчите-сь

三人称 он ÿчит -ся онŒ ÿчат -ся

учŒть

完・無

「教える,覚える」→ учŒться

完・無

「学ぶ,習う」

ウチーチ ウチーッツァ

находŒть/найтŒ 「発見する」

ナハヂーチ / ナィチー

находŒться /найтŒсь 「〔場所に〕ある;見つかる」

ナハヂーッツァ / ナィチーシ

(34)

9.動詞の命令法〔命令形〕

ПовелŒтельное наклонéние

命令形=動詞の現在語幹+

-и/-ь

現在語幹=現在三人称複数形

-ют

ут/ят

ат

-й , -и/-ь の選択は,現在語幹の末尾とアクセントによる。相手が

вы のときは -те を添える。

вéрить

*

:повéрить

*[ヴェーリチ/パヴェーリチ]「信じる」

不定詞 三人称複数形 現在語幹末尾 アクセント й,и,ьを付加 1.читá-ть читá-ют 母音に終わる 問題にならない читá-й

チターィ 2-1)говор-Œ-ть говор-¿т

子音に終わる

語尾にある говор-Œ

ガヴァリー 2-2)вéр-и-ть вéр-ят 語幹にある вер-ь

ヴェーリ

10.仮定法

Сослагáтельное наклонéние

(もし仮に~ならば)

仮定法=動詞の過去形+

бы

[ブィ]

仮定法には時制はない。動作の時間は文脈や вчерá

[フチラー]

「きのう」

などの語によって判断する。非現実的な動作や婉曲な希望,願望の表 現となる。

Éсли бы вчерá былá хорóшая погóда, мы поéхали бы

ィエースリ ブィー フチラー ブィラー ハローシャヤ パゴーダ ムィー パィエーハリ ブィー

зá город.

ザーガラト

「もしも昨日晴れだったら,郊外へドライブに行ったのに」

Мне хотéлось бы поговорŒть с вáми.

ムニェー ハチェーラシ ブィー パガヴァリーチ スヴァーミ

「ちょっとお話をしたいのですが」

11.受身の表現

受身文の基本型は

2

つ。

1)主語+

быть

動詞+受動分詞短語尾+具格

時制は быть 動詞が示す。完了した動作の結果・状態を表す場合に

用いられる。

(35)

34

2)主語+不完了体の

ся

動詞+具格

動作の反復,進行中・過程,一般論などの意味を表す。時制は -ся

動詞で表す。動作を行う人は

1),2)

とも具格で表す。

Все билéты прóданы. 「切符売り切れ」〔だから今はない,の意味〕

フシェー ビリェーティ プローダヌィ

Все билéты б§ли прóданы. 「切符は売り切れだった」

フシェー ビリェーティ ブィーリ プローダヌィ

Все билéты бÿдут прóданы. 「切符は売り切れるだろう」

フシェー ビリェーティ ブードゥト プローダヌィ

Слóжные оперáции дéлаются врачáми •той больнŒцы.

スロージヌィエ アピラーツィイ ヂーラユッツア ヴラチャーミ エータイ バリ・ニーッツィ

「難しい手術がこの病院の医師によりなされている」

(36)

12 数詞と名詞の結合法

個数詞と数量詞に連なるとき,名詞は以下のようになる。なお,数 量詞とは数量や計量の単位を表す以下のような単語である。

мнóго 「多,たくさん」, немнóго 「少し」, мáло 「少し」

ムノーガ ニムノーガ マーラ

скóлько 「幾~」, нéсколько 「若干」:

スコーリ・カ ニェースカリ・カ

килогрáмма 「キログラム」, бут§лка 「ボトル」 стакáн 「グラス」

キラグラーマ ブティールカ スタカーン

чáшка 「コップ」

チャーシュカ

1. 1に連なるとき名詞は単数主格

одŒн час 「1 時」 однá иéна 「1 円」

アヂィーン チャース アドナー ィエーナ 2.1以外の数詞に名詞が連なるとき

数詞の末位 名詞の格

2,3,4

単数属格 два часá

ドヴァーチサー

「2 時」

две иéны

ドヴェーィエーヌィ

「2 円」

5~20,0

複数属格 пять часóв

ピャーチ チソーフ

「5 時」

пять иéн

ピャーチ ィエーン

「5 円」

3.数量詞が数を表すとき

 複数属格 мнóго студéнтов 「多数の学生」

ムノーガ ストゥヂェーンタフ 数量詞が量を表すとき

単数属格 мнóго вод§ 「多量の水」

ムノーガ ヴァディー 4.数詞+名詞が主格(1,2,3)以外の場合

数詞も名詞も数,格が一致する。〔付表 9〕

(37)

36

13 語形成

1. 接頭辞+定動詞→完了体

接頭辞+不定動詞→不完了体のまま

このようにできた動詞は移動動詞ではなく別の意味を持つ,新しい 完了体と不完了体の対となる。綴りやアクセントが変わるものもある:

идтŒ は -йти に変わり, éздить は -езжать に変わる。

接頭辞と基本的な意味

в-

[ヴ]

入 вы-

[ヴィ]

外,出

при-

[プリ]

到着 у-

[ウ]

不在

под-

[パト]

接近 от-

[アト]

離脱,分離

про-

[プラ]

区間,通過 пере-

[ピリ]

渡,越

до-

[ダ]

限界点 на-

[ナ]

触,多

входŒть/войтŒ 「入る」 в§йти/выходŒть 「出る」

フハヂーチ/ ヴァイチー ヴィーチ/ ヴィハヂーチ

приходŒть/прийтŒ 「到着する」 уходŒть/уйтŒ 「去る」

プリハヂーチ/ プリィチー ウハヂーチ/ ウィチー

переводŒть/перевестŒ 「翻訳・通訳する」

ピリヴァヂーチ/ ピリヴスチー

2.

по-

[パ]+定動詞,

за-

[ザ]+不定動詞→開始の意味の完了体動詞

пойтŒ 「出発する」 заходŒть 「歩き回り始める」

パィチー ザハヂーチ

3.

не

+名詞,形容詞,副詞→対照的な語

погóда 「天気」 → непогóда 「悪天気」

パゴーダ ニパゴーダ

далекó 「遠くに」→ недалекó 「近くに」

ダリコー ニダリコー

(38)

付表

1.名詞

1)男性名詞と中性名詞

男 -ь -й -ий 中性-о -е -ие -мя

机 日 博物館 天才 窓 野原 歌唱 名前

主 стол день музéй гéний окнó пóле пéние Œмя

属 столá дня музéя гéния окнá пóля пéния Œмени

与 столÿ дню музéю гéнию окнÿ пóлю пéнию Œмени

対 стол день музéй гéния окнó пóле пéние Œмя

具 столóм днём музéем гéнием окнóм пóлем пéнием Œменем

前 столé дне музéе гéнии окнé пóле пéнии Œмени

複主 стол§ дни музéи гéнии óкна пол¿ пéния именá

属 столóв дней музéев гéниев óкон полéй пéний имён

与 столáм дням музéям гéниям óкнам пол¿м пéниям именáм

対 стол§ дни музéи гéниев óкна пол¿ пéния именá

具 столáми дн¿ми музéями гéниями óкнами пол¿ми пéниями именáми

前 столáх днях музéях гéниях óкнах пол¿х пéниях именáх

2)女性名詞

女 -а гкхжчшщ-а -я -ь -ия

学校 本 週 夜 軍隊

主 шкóла кнŒга недéля ночь áрмия

属 шкóлы кнŒги недéли нóчи áрмии

与 шкóле кнŒге недéле нóчи áрмии

対 шкóлу кнŒгу недéлю ночь áрмию

具 шкóлой кнŒгой недéлей нóчью áрмией

前 шкóле кнŒге недéле нóчи áрмии

(39)

38

複主 шкóлы кнŒги недéли нóчи áрмии

属 школ книг недéль ночéй áрмий

与 шкóлам кнŒгам недéлям ночáм áрмиям

対 шкóлы кнŒги недéли нóчи áрмии

具 шкóлами кнŒгами недéлями ночáми áрмиями

前 шкóлах кнŒгах недéлях ночáх áрмиях

2.形容詞 1)典型的な形容詞

*「もの」・「こと」を表す名詞を修飾するときは主格と同形になる

主 нóвый/вое нóвая нóвые сŒний/нее сŒняя сŒние

属 нóвого нóвой нóвых сŒнего сŒней сŒних

与 нóвому нóвой нóвым сŒнему сŒней сŒним

対 нóвого/ое* нóвую нóвых/ые* сŒнего/ее* сŒнюю сŒних/ие*

具 нóвым нóвой нóвыми сŒним сŒней сŒними

前 нóвом нóвой нóвых сŒнем сŒней сŒних

2)正書法を適用

語幹

г

к

х

語幹

ж

ч

ш

щ

主 рÿсский/

ое рÿсская рÿсские хорóший/

ее хорóшая хорóшие

属 рÿсского рÿсской рÿсских хорóшего хорóшей хорóших

与 рÿсскому рÿсской рÿсским хорóшему хорóшей хорóшим

対 рÿсского/

ое* рÿсскую рÿсских/ие* хорóшего/

ее* хорóшую хорóших/ие*

具 рÿсским рÿсской рÿсскими хорóшим хорóшей хорóшими

前 рÿсском рÿсской рÿсских хорóшем хорóшей хорóших

(40)

3)語尾にアクセントある形容詞

主 молодóй/óе молодáя молод§е

属 молодóго молодóй молод§х

与 молодóму молодóй молод§м

対 молодóго/óе* молодÿю молод§х/§е*

具 молод§м молодóй молод§ми

前 молодóм молодóй молод§х

4)語幹が

г

к

х /ж

ч

ш

щ

に終わり語尾にアクセントがある形容詞

2),3)が同時に生じる型で,硬変化 / 軟変化とも語尾は同じになる 主 какóй/óе какáя какŒе чужóй/óе чужáя чужŒе

属 какóго какóй какŒх чужóго чужóй чужŒх

与 какóму какóй какŒм чужóму чужóй чужŒх

対 какóго/ое* какÿю какŒх/Œе* чужóго/óе* чужÿю чужŒх/Œе*

具 какŒм какóй какŒми чужŒм чужóй чужŒми

前 какóм какóй какŒх чужóм чужóй чужŒх

3.人称代名詞

私 君 彼,

それ 彼女,

それ 我々 あなた 彼ら 自分 前置詞 一覧

主 я ты он/онó онá мы вы онŒ

属 мен¿ теб¿ егó её нас вас их себ¿ у, для, от, с, из

与 мне тебé емÿ ей нам вам им себé к, по

対 мен¿ теб¿ егó её нас вас их себ¿ в, на, за, про

具 мной тобóй им ей нáми вáми Œми собóй с, над, под, за

前 мне тебé нём ней нас вас них себé в, на, при, по

(41)

40

4.所有形容詞〔所有代名詞〕

私の 我々の 前置詞一覧

主 мой/моё мо¿ моŒ наш/

нáше нáша нáши

属 моегó моéй моŒх нáшего нáшей нáших óколо, прóтив

与 моемÿ моéй моŒм нáшему нáшей нáшим благодар¿

対 моегó*/

моё моº моŒх*/

моŒ нáшего/

нáше* нáшу нáших/

нáши* о, с

具 моŒм моéй моŒми нáшим нáшей нáшими мéжду

前 моём моéй моŒх нáшем нáшей нáших о твой「君の」,свой「自分の」

も同変化 ваш「あなた(方)の」も 同変化

不変化形его「彼の,それの」,её「彼女の,それの」,их「彼らの,彼女らの,それらの」

5. 疑問詞

чей

と順序数詞

трéтий

だれの 第 3 番目の

主 чей/чьё чья чьи трéтий/тье трéтья трéтьи

属 чьегó чьей чьих трéтьего трéтьей трéтьих

与 чьемÿ чьей чьим трéтьему трéтьей трéтьим

対 чьегó/чьё* чью чьих/чьи* трéтьего/тье* трéтью трéтьих/

тьи*

具 чьим чьей чьŒми трéтьим трéтьей трéтьими

前 чьём чьей чьих трéтьем трéтьей трéтьих

(42)

6.指示代名詞

•тот

тот

と疑問詞

кто

что

こ / そ / あの あの / その だれ 何 主 •тот/

•то •та •ти тот/то та те кто что

属 •того •той •тих тогó той тех когó чегó

与 •тому •той •тим томÿ той тем комÿ чемÿ

対 •того*/

•то •ту •тих/

•ти* тогó/

то* ту тех/те* когó что

具 •тим •той •тими тем той тéми кем чем

前 •том •той •тих том той тех ком чём

自身 すべての

主 сам/самó самá сáми весь/всё вся все

属 самогó самóй самŒх всегó всей всех

与 самомÿ самóй самŒм всемÿ всей всем

対 самогó/

самó* самÿ(оё) самŒх/и* всегó/всё* всю всех/все*

具 самŒм самóй самŒми всем всей всéми

前 самóм самóй самŒх всём всей всех

参照

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