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新 製 品 ・ 新 技 術

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KOBE STEEL ENGINEERING REPORTS

/Vol. 53 No. 3(Dec. 2003)

新 製 品 ・ 新 技 術

 当社は,AIP 装置(ARC ION PLATING SYSTEM),UBMS 装 置(UNBALANCED  MAGNETRON  SPUTTERING  SYSTEM)

などの真空成膜装置を製造・販売しており,さらに近年 AIP と UBMS の機能を併せ持つ複合装置を開発,上市していた。今 回は本複合装置に改良を加え,世界に先駆けてαアルミナ皮膜 の形成技術の開発に成功した。

 アルミナは切削工具・摺動部品などに PVD 法,CVD 法を用 いて被覆され,耐酸化性・耐熱性皮膜として最適の材料であり,

特にコランダム構造をもったアルミナ(αアルミナ)は高温で も熱的に安定な構造を維持するため,耐熱性向上に適してい る。しかしαアルミナ皮膜形成に一般的に用いられる CVD 法 では 1 000℃ 以上の高温でアルミナを形成するために,基材の材 質によっては軟化・変形を起こすものが多く,使用できる材種,

基材が限られる問題があった。そこで我々は PVD 法の一つで ある反応性スパッタリング法を用いて,より低温でαアルミナ 皮膜形成することを試みた。

 本開発には,当社 AIP-S40 複合装置を用いた(写真 1)。装置 は真空炉内に AIP カソード(ターゲットサイズφ100mm)6 面 とスパッタリングカソード(ターゲットサイズ 127×508mm)

2 面を合わせ持ち,AIP にて硬質皮膜を,スパッタリングにてア ルミナ皮膜を同一装置内にて形成できる複合装置である(図

1)。処理空間はφ130×H400mm× 6 軸で生産規模の装置であ

り,またテーブル中央部分にはセンタヒータ,装置側面には壁 面ヒータを有し,基材温度 750℃ を達成できる高温対応モデル である。

 アルミナ成膜は放電電圧制御とオプティカルエミッションフ ィードバックを組合わせ,放電状態を遷移モードに制御して行 うため,0.5〜1.0μm/h の高い成膜レートが得られる。また CrN 硬質皮膜,さらに近年切削工具などに耐磨耗性向上のため に成膜される TiAlN 硬質皮膜をアルミナの下地層として用い,

合わせて成膜プロセスを最適化することによりアルミナ皮膜の α結晶化を促進することで,700〜750℃ の温度域でαアルミナ 形成が可能である。

 図 2に CrN 皮膜上,TiAlN 皮膜上に基材温度 750℃ にて成膜 したアルミナ皮膜の薄膜 XRD 分析結果を示す。この図から分 かるように,アルミナ皮膜からの回折ピークはα型結晶のみで あり,従来この温度域では形成が難しかったαアルミナを形成 できていることが分かる。

 また写真 2に CrN 皮膜上のαアルミナ皮膜表面の電子顕微鏡 写真を示す。このように皮膜表面は 1μm 程度の大きなαアル ミナのグレインが密集していることが分かる。

 以上のように生産規模の AIP + UBMS 複合装置を用いて,比 較的低温で高い成膜レートでαアルミナ形成に成功している。

本技術によってこれまで使用できなかった材種,工具,部品な どにもαアルミナ皮膜を適応できると考えられる。

PVD 法によるαアルミナ皮膜形成技術

小原利光・玉垣 浩

機械カンパニー 産業機械センター 高機能商品部

問合わせ先:機械カンパニー 産業機械センター 高機能商品部 PVD室 小原利光 TEL:

(0794)45−7866 FAX:(0794)45−7787

      E-mail:[email protected]

写真 1 装置外観図(AIP-S40 複合装置)

基材  基材テーブル 

遊星回転軸  熱電対  AIPカソード 

壁面ヒータ 

センターヒータ  スパッタリング 

カソード 

図 1  真空炉内概略図(上から見た図)

:αアルミナ, 

TiAlN皮膜上アルミナ 

CrN皮膜上アルミナ 

20 30 40 50

2θ(゜) 

60 70 80

:CrN

Intensity

図 2  CrN,TiAlN 皮膜上に成膜したアルミナ皮膜の

  薄膜 XRD 分析チャート(基材温度 750℃)

3 μm

写真 2 αアルミナ表面の電子顕微鏡写真

    (CrN 皮膜上,基材温度 750℃)

参照

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