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Academic year: 2021

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超高温水クロマトグラフィーにおけるアミノ酸の保持挙動

日大生産工

(

)

 ○鈴木 悠介 日大生産工    渋川 雅美

【緒言】

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は,現 在最も多用されている分離分析法の一つであ る。移動相として用いる水-有機溶媒混合物の 組成比を変えることによって溶出力を容易に 調節し,分離を最適化できることが大きな利 点として挙げられ,現在タンパク質やペプチ ドの分離・精製にも汎用されている。しかし,

HPLCの移動相として用いられる有機溶媒は,

環境に負荷を与えるばかりでなく人体にも影 響を及ぼすことが懸念されている。一方,当 研究室では有機溶媒の代替物として高温・高 圧状態の水,いわゆる 超高温水 を移動相 とした HPLCである超高温水クロマトグラフ ィー(Superheated Water Chromatography;SWC) に関する研究を行い,SWCHPLCの代替技 術になり得ることを示した1)

本研究は SWC による生体高分子の分離分 析を目的とした。従来,タンパク質は高温条 件下では変性し,アミノ酸も一部は分解する ことが知られている。しかし近年,小林らは アミノ酸が高温・高圧条件下においても比較 的安定に存在することを示した 2)。同様にタ ンパク質も比較的耐熱性を有していることが 明らかとなった 3)。そこで本研究ではまず,

SWC におけるアミノ酸の保持挙動に及ぼす pHや溶質などSWC溶離条件の影響を検討す

ることとした。

【実験】

本研究において使用した SWC システムを Fig.1に示す。

溶離液には0.01M NaCl, NaClO4溶液および 所定のpHに調整した各種緩衝液を用いた。試 料化合物はIO3

-, Br-, NO3

-, SCN-, I-および20

類の L-α-アミノ酸を用いた。カラムオーブン

はガスクロマトグラフ用のものを用い,内部に プレヒートコイルおよびポリスチレン-ジビニ ルベンゼン(PSDVB)ゲルを充てんしたカラム

(HAMILTON 製 PRP-1)を設置した。温度は

40℃に設定した。検出はフォトダイオードアレ イ検出器を用いて行った。

【結果および考察】

1. 溶離電解質効果法による移動相体積(Vm)の 測定

HPLC において分離条件の最適化などを目 的として研究を行う場合,正しい Vm値の決定

Retention Behavior of Amino Acids in Superheated Water Chromatography Yusuke SUZUKI and Masami SHIBUKAWA

waste

Fig.1 Schematic diagram of SWC system

1:eluent,2:degasser,3:pump,4:injector,5:oven,6:preheating coil,7:column,

8:cooling unit,9:photo-diode array detector,10:back pressure regulator 1

1

22

3 3

4 4

6 6

77 5 5

88 9

9 10

10 waste

Fig.1 Schematic diagram of SWC system

1:eluent,2:degasser,3:pump,4:injector,5:oven,6:preheating coil,7:column,

8:cooling unit,9:photo-diode array detector,10:back pressure regulator 1

1

22

3 3

4 4

6 6

77 5 5

88 9

9 10

10

(2)

が必要不可欠となる。この値なくして分離度や 保持係数などといった重要な保持パラメータ ーを算出することはできない。これまでに当研 究室では,HPLCおいてイオンの保持に及ぼす 溶離電解質の効果を利用した方法 4)で移動相 体積を測定し,正しい Vm値を得ることに成 功している5)。この方法によればVm値は①式 によって求められる。

…①

ここでVAYXは溶離電解質を YX としたときの イオン A の保持体積である。①式に基づいて 得られたVm値をTable 1に示す。いずれのプロ ーブイオンの組み合わせについても良く一致 Vm値が得られた。そこで,この値を用いて② 式によりアミノ酸の保持係数(k)を求めた。

      …②

ここで VRは得られた個々のアミノ酸の保持体 積である。

2. アミノ酸の保持挙動

一般に HPLC のカラム充填剤にはオクタデ シルシリカ(ODS)が用いられる。しかし,これ までの研究でODSは超高温水に対する耐久性 が乏しいことが明らかとなっている6)。そこで

本研究ではカラム充填剤としてPSDVBゲルを 使用した。

pH 6.0 のリン酸緩衝液を移動相として用い

たときに得られた保持係数をFig.2に示す。大 部分のアミノ酸の保持係数は 0 であることか ら,アミノ酸はほとんどカラムに保持されず溶 出していることがわかる。これはアミノ酸が溶 液中においてイオンとして存在しているため,

非極性固定相との親和性が小さいためである。

一方,トリプトファン,フェニルアラニン,チ ロシンについては保持体積がVm値より大きな 値を示した。これは,これらのアミノ酸が側鎖 にフェニル基を有しているため,固定相である

PSDVB との疎水性相互作用により保持されて

いるためと考えられる。

【参考文献】

1) 中島良司,鎗田孝,渋川雅美,分析化学,

52(2003)305.

2)K.Kobayashi,et.al.,Bull.chem.Soc.Jpn.,76(2003) 1171.

3)高野淑識,丸茂克美,枝澤野衣,小林憲正,

内海真生,浦辺徹郎,第65回分析化学討論会 講演要旨集, P2035(2004)282.

4)M.Shibukawa,N.Ohta,Chromatographia,25(198 8)288.

5)高澤裕司,渋川雅美,日本分析化学会第 52

年回講演要旨集, 1B34(2003)41.

6)T.Yarita, et.ai., Anal.Sci., 19(2003)269-272

YX B WZ A WZ B YX A

YX B WZ A WZ B YX A

m V V V V

V V V V V

+

=

m m R

V V k V

=

0 1 2 3 4

Fig.2 Retention factors of obtained in the system where phosphate buffer (pH6.0) was used as the mobile phase

GlyA laV

al L

euIle MetPhe Trp Pro Ser Thr T yrC

ys A snG

ln A spG

lu A rg L

ys H G is

lyA laV

al L

euIle MetPhe Trp Pro Ser Thr Ty r

Cys A snG

ln A spG

lu A rg L

ys H is 0

1 2 3 4

Fig.2 Retention factors of obtained in the system where phosphate buffer (pH6.0) was used as the mobile phase

GlyA laV

al L

euIle MetPhe Trp Pro Ser Thr Ty r

Cys A snG

ln A spG

lu A rg L

ys H G is

lyA laV

al L

euIle MetPhe Trp Pro Ser Thr Ty r

Cys A snG

ln A spG

lu A rg L

ys H is

Combination

A/B VA

NaCl VB

NaCl VA

NaClO

4 VB

NaClO

4 Vm

IO3

- / Br- 3.90 3.87 3.87 3.81 3.93

IO3 - / NO3

- 3.90 3.89 3.87 3.83 3.92

IO3

- / I- 3.90 3.88 3.87 3.85 4.03

IO3

- / SCN- 3.90 3.94 3.87 3.92 3.99

Br- / NO3

- 3.87 3.89 3.81 3.83 3.99

Br- / I- 3.87 3.88 3.81 3.85 3.89

Br- / SCN- 3.87 3.94 3.81 3.92 3.96 NO3

- / I- 3.89 3.88 3.83 3.85 3.87

NO3

- / SCN- 3.89 3.94 3.83 3.92 3.96

I- / SCN- 3.88 3.94 3.85 3.92 4.00

Retention volume (ml) Table1 Mobile phase volume in SWC system

Average: 3.95±0.05 (ml) Combination

A/B VA

NaCl VB

NaCl VA

NaClO

4 VB

NaClO

4 Vm

IO3

- / Br- 3.90 3.87 3.87 3.81 3.93

IO3 - / NO3

- 3.90 3.89 3.87 3.83 3.92

IO3

- / I- 3.90 3.88 3.87 3.85 4.03

IO3

- / SCN- 3.90 3.94 3.87 3.92 3.99

Br- / NO3

- 3.87 3.89 3.81 3.83 3.99

Br- / I- 3.87 3.88 3.81 3.85 3.89

Br- / SCN- 3.87 3.94 3.81 3.92 3.96 NO3

- / I- 3.89 3.88 3.83 3.85 3.87

NO3

- / SCN- 3.89 3.94 3.83 3.92 3.96

I- / SCN- 3.88 3.94 3.85 3.92 4.00

Retention volume (ml) Table1 Mobile phase volume in SWC system

Average: 3.95±0.05 (ml)

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