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日大生産工(院)      ○石 田 哲 也  日大生産工       朝比奈  敏  勝   

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Academic year: 2021

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(1)

TIG およびプラズマ溶接法による AZ31 マグネシウム合金継手の  機械的性質に及ぼすシールドガスの影響 

日大生産工(院)      ○石 田 哲 也  日大生産工       朝比奈  敏  勝   

1.緒 言 

マグネシウムは主に携帯情報機器などの部 品に用いられており, その需要は増加の傾向に ある.マグネシウム合金の溶接には TIG 溶接 法が多用されている.鉄鋼材料の TIG 溶接で は通常使用されているアルゴン単体のシー ルドガス中にヘリウムや水素を添加するこ とにより,アークの集中を高めて溶込みを深 くし,著しく溶接の高速化が可能となるとの 報告がある 1) .また,TIG 溶接と同様に非消 耗電極を使用したプラズマ溶接法は,ピンチ 効果によって TIG 溶接に比較して深溶込みが 得られ, 高能率溶接法として自動車産業を中心 に実用化されている溶接方法である. 著者らは すでにマグネシウム合金の TIG 溶接について,

継手の機械的性質, 溶接性に及ぼすパルス周波 数およびシールドガスの影響を報告した 2〜4) . 

本研究では,AZ31 マグネシウム合金の TIG およびプラズマ溶接のシールドガスをヘリウ ムガスで溶接し, シールドガスが継手の機械的 性質に及ぼす影響を通常使用されるアルゴン ガス継手と比較検討した. さらに溶接方法が異 なった場合, シールドガスの種類が継手の機械 的性質に及ぼす影響も検討した.なお,シール ドガスの影響に関する検討はサーフェイスガ スについてであり, バックシールドガスおよび プラズマガスはアルゴンガス 100%とした. 

2.供試材および実験方法 

供試材には,市販の板厚 4.0mm の AZ31 マグ ネシウム合金(以後 AZ31 と称す)を幅 70mm,長 さ 200mm に機械加工し, 溶接直前にエメリーペ ーパーで接合部を研磨後, ブタノンにて脱脂洗 浄して実験に供した.供試材の機械的性質を

Table 1 に示す. 

溶接はそれぞれ最大出力電流300A, インバー タ制御のTIG溶接機およびプラズマ溶接機を使 用し,圧延方向に対して直角にルート間隔なし のI型突合せ溶接を行った.TIGおよびプラズマ 溶接条件をTable 2およびTable 3に示す.なお,

溶接に使用したシールドガスはアルゴンガス,

ヘリウムガスともに100%とした(以後TIG‑Ar,

HeおよびPlasma‑Ar,Heと称す). 

得られた継手の外観観察,組織観察,硬さ試 験,引張試験および衝撃試験をいずれも室温で 行った.なお,引張試験はJIS 13B 号試験片(溶 融凝固部をゲージ中央)を使用した.衝撃試験 はクォータサイズのVノッチ(溶融凝固部およ び熱影響部)試験片とした.

Table 1 Mechanical properties of base metal.

Tensile

strength Elongation Impact value Hardness

(MPa) (%) (kJ/m 2 ) (HV 0.1)

244 18.2 75.4 56.7 Table 2 TIG welding conditions.

Shielding gas He , Ar

Welding current I (A) 110~190

Welding speed V (mm/min) 400

Surface G S ( l /min) 20 Shielding gas

flow rate Backing G B ( l /min) 1 (Ar)

Arc length L A (mm)  1.5

Electrode diameter D E (mm)  3.2 Table 3 Plasma welding conditions.

Shielding gas He , Ar

Welding current I (A) 90~140

Welding speed V (mm/min) 400

Plasma gas flow rate G P ( l /min)  1.5 (Ar) Surface G S ( l /min) 20 Shielding gas

flow rate Backing G B ( l /min) 5 (Ar)

Stand off L S (mm) 1.5

Insert chip diameter D I (mm)

 

3.2

Effects of Shielding Gas on Mechanical Properties of AZ31 Magnesium Alloy Welded by TIG and Plasma Welding Process.

Tetsuya ISIHIDA and Toshikatsu ASAHINA

 

(2)

3.実験結果および考察 

各溶接方法でシールドガスの種類と溶接電 流をそれぞれ変化させ溶接を行った結果, 得ら れた溶接条件範囲を Fig.1 に示す.完全溶込み を得るために必要な溶接電流は, TIG‑Ar継手で は170〜190A,TIG‑He継手は110〜140Aとなり,

Plasma‑Ar継手は120〜140A,Plasma‑He継手は 90〜130Aとなった.これよりTIG溶接およびプ ラズマ溶接でシールドガスにヘリウムガスを 用いることにより, 溶接範囲が広範囲となり安 定した溶接が可能となるものと考える. さらに 溶接電流の抑制が可能となった. これはヘリウ ムガスの電気伝導率がアルゴンガスに比較し 低いため,アークが緊縮したためと考える 5) . しかしながら,TIG溶接法に比較しプラズマ溶 接法は, ヘリウムガスによった溶接電流を低下 させる効果が少ない. 

継手のビード外観をFig.2に示す.全継手に 割れおよびピット等の溶接欠陥は観察されな かった. 全継手の表ビードは良好な形状が得ら れたが, 溶接部裏面にR溝を設けなかったプラ ズマ溶接継手の裏ビード形状はTIG溶接継手に 比較し,凹凸が多く認められた. 

ビード幅の測定結果を Fig.3 に示す.表ビー ド幅はTIG溶接継手で10mm以上となったが,プ ラズマ溶接継手は10mm未満であった.TIG溶接 継手の裏ビード幅はシールドガスの種類によ らず5mm前後であったが, プラズマ溶接継手は3

〜6mmであった. プラズマ溶接継手はTIG溶接継 手に比較して表裏のビード幅の差が小さい傾 向を示した. これは両溶接法のビード形成法の 相違によるものと考える. 

継手の横断面マクロ組織をFig.4に示す.TIG 溶接継手にはアンダーフィルはほとんど観察 されず, アンダーカットおよびブローホール等 も観察されなかった. プラズマ溶接継手も同様 にアンダーカットおよびブローホール等は観 察されなかったが, 裏ビードが凹となる部分も あった.これはTIG溶接の場合と異なり,溶接 部の裏面にR溝を設けなかったために凝固収

100 110 120 130 140 150 160 170 180 190

Kind of shielding gas

W e ld in g c u rr e n t / A

Ar He

W e ld in g c u rre n t / A

Kind of shielding gas

Ar He

80 90 100 110 120 130 140 150

: Good

△ : Partially lack of penetration

× : Bad (Burn through) Penetration

× : Bad ( Weld metal crack ) Surface

Cruck

(a) TIG welding

Penetration Surface

: Good

△ : Partially lack of penetration

× : Bad (Burn through)

× : Bad ( Luck of heat input ) (b) Plasma welding

 

Fig.1 Effects of gas and welding current on bead appearances.

 

Fig.2 Bead appearances of welded joint. 

0 3 6 9 12

15 : Surface bead

: Penetration bead

Bead w id th / m m

100%Ar 100%He

19 0A 180A 170

A

11 0A 120A 13 0A

140 A

100A 110A 140A 90A

130 A

120A 12 0A

130 A

100%Ar 100%He

TIG welding Plasma welding

Fig.3 Relation between welding conditions and

bead width. 

(3)

縮の影響が表れたものと考える 6) .また,プラ ズマガスの吹返しも一因であると推察する.

TIG溶接継手ではシールドガスの種類によって 溶込み形状が異なり, TIG‑Ar継手は外に膨らむ 形状であり, TIG‑He継手は裏ビード近傍でくび れた形状を呈した. これはTIG‑He継手の板厚方 向への溶込みが増大したことを示すと考える.

プラズマ溶接継手の溶込み形状はガスの変化 による差異は認められなかった. 以上の結果よ り,プラズマ溶接はTIG溶接に比較してシール ドガスによったアークの集中が溶込み形状に 及ぼす影響は顕著ではない. これはプラズマ溶 接がキーホール溶接であり, プラズマガスによ って板厚方向の溶込みを得ているため, シール ドガスによる影響は軽微であったと推察する.  

各種継手の溶融凝固部および熱影響部のミ クロ組織をFig.5に示す.溶融凝固部および熱 影響部の組織は全継手とも結晶粒径に差異は 認められたが, シールドガスの種類および溶接 法に関係なく類似の様相を呈した. 結晶粒径は 溶融凝固部が40〜50µm前後,熱影響部では 40µm前後となり,母材の21.5µmに比較して粗 大化する傾向を示した. 

継手横断面板厚中央の硬さ測定結果を Fig.6 に示す. 全ての継手の溶融凝固部が軟化する傾 向を示し, 溶込み形状による軟化域に差異が認 められた. 母材の組織が圧延組織であるのに対 して,溶融凝固部の組織が鋳造組織である.こ れにより溶接部が軟化したものと推察する 7) . また溶融凝固部の結晶粒径が母材に比較して,

粗大化していることも軟化要因の一つである と考える. 

引張試験結果をFig.7に示す.全継手とも引 張強さの継手効率は約90%以上を示した.伸び は母材の35〜77%となった. TIG溶接継手の伸び はHe継手がAr継手に比較して約16%向上し,プ ラズマ溶接継手も同様の傾向であり,約47%向 上した. これよりシールドガスにヘリウムガス を用いることは伸びの改善に有効であると考 える.さらにいずれのガスでもTIG溶接継手に

TIG 100%Ar

I=180A

2mm TIG

100%He I=120A

Plasma 100%Ar I=130A

Plasma 100%He

I=110A

Fig.4 Macrostructures of welded joint.

TIG 100%Ar

I=180A

TIG 100%He

I=120A

Plasma 100%Ar I=130A

Plasma 100%He

I=110A

F.Z. HAZ

Fig.5 Microstructures of welded joint.

40 50 60 70 80

0 5 10 15 20

10 5 15 20

H a rdness / H V 0.1

Distance from weld center / mm

: 100%Ar I=130A

: 100%He I=110A Plasma welding

B.M.

40 50 60 70

80 TIG welding : 100%Ar

I=180A : 100%He I=120A

B.M.

40 50 60 70 80

0 5 10 15 20

10 5 15 20

H a rdness / H V 0.1

Distance from weld center / mm

: 100%Ar I=130A

: 100%He I=110A Plasma welding

B.M.

40 50 60 70

80 TIG welding : 100%Ar

I=180A : 100%He I=120A

B.M.

Fig.6 Hardness distributions of welded joint.

(4)

比較しプラズマ溶接継手の伸びが高いため,

AZ31溶接継手はプラズマ溶接を用いることに よって伸びの低下が抑制可能であると考える.  

衝撃試験結果を Fig.8 に示す.熱影響部に切 欠きを付した試験片の衝撃値は, 母材と同程度 もしくはそれ以下の値となった. 溶融凝固部に 切欠きを付した試験片の衝撃値は,Plasma‑He 継手のみ溶接電流の増加に伴い低下したが, そ れ以外の継手は増加する傾向を示した. 全ての 継手は母材に比較して高い値を示した. これよ りシールドガスの種類および溶接法が,AZ31 溶接継手の衝撃値に及ぼす影響は明瞭には認 められなかった. 

溶融凝固部に切欠きを付した試験片の衝撃 試験より得られた荷重−変位曲線の一例を

Fig.9 に示す.全ての継手で母材に比較して,

最高荷重点は高く, その到達変位は同等の値で あった.TIGおよびPlasma溶接継手とも衝撃特 性にシールドガスの種類によった明瞭な差異 は認められなかった. また溶接法によった差異 も明瞭でなかった. 

Fig.9 の荷重−変位曲線より求めたき裂発 生エネルギー(Ei),き裂伝播エネルギー(Ep) および全吸収エネルギー(Et)を Fig.10 に示す.

TIG 溶接継手ではき裂発生エネルギーに比較 し,き裂伝播エネルギーの値が高く,シールド ガスの変化の影響は認められなかった. しかし,

Plasma 溶接継手では, Plasma‑Ar 継手のき裂発 生エネルギーに比較し, き裂伝播エネルギーの 値が高くなっていたのに対し,Plasma‑He 継手 はき裂発生エネルギーとき裂伝播エネルギー の値が同等であった. 

本研究は,機械工学科実習工場の芦野辰美先生にご 指導を頂いた.特記して謝意を表す. 

参考文献

1)佐藤:溶接技術(2005)6,132‑139. 

2)朝比奈,時末:軽金属,45(1995)2,70‑75. 

3)石田,朝比奈:日本機械学会九州支部講演論文集,

(2006),167‑168. 

4)石田,朝比奈:第 79 集溶接学会全国大会講演概要,

(2006),136‑137. 

5)田中:第 79 集溶接学会全国大会講演概要,(2006),

F24‑25. 

6)青地,藤井,安田:軽金属溶接,42(2004),3,14‑20. 

7)金子,朝比奈,菅又,西川,高田:日本金属学会 誌,64(2000)12,1239‑1244. 

0 50 100 150 200 250

0 5 10 15 20 : Tensile strength : Elongation

Tens ile s tr eng th / M P a E long at ion / %

100%Ar 19 100%He B.M.

0A 180

A 17 0A

11 0A 12 0A

130 A

140 A

100 A

110 A 90 A 14 0A 130

A 120

A

12 0A 130

A

100%Ar 100%He TIG welding Plasma welding

Fig.7 Results of tensile test.

0 20 40 60 80 100 120

: Notch located on F.Z.

: Notch located on HAZ

Im p a ct va lu e / kJ ・ m -2

100%Ar 19 100%He B.M.

18 0A 0A 17 0A

11 0A 12 0A

13 0A 14 0A

10 0A 11 0A 90 A 14 0A 13 0A 12 0A

12 0A 13 0A

100%Ar 100%He

TIG welding Plasma welding

Fig.8 Results of Charpy impact test.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

Deflection / mm

L oad / kN

TIG - Ar , I=180A TIG - He , 120A

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0.7 Plasma - Ar , 130A Plasma - He , 110A

0 1 2 3 4 5 6 7

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0.7 B.M.

0 1 2 3 4 5 6 7

Ei Ep

Et=Ei+Ep

Fig.9 Load-deflection curves by Charpy impact test.

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

: Ei : Ep : Et

B.M.

A b s o rbed energy / J

180A 120A 130A 110A

100%Ar 100%He 100%Ar 100%He TIG welding Plasma welding

Fig.10 Absorbed energy of welded joints and

base metal.(Notch located on F.Z.)

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