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応用力学論文集Vol.12 (2009 年 8 月) 土木学会

不飽和土のコラプス挙動のモデル化

Model for Collapsing Behavior of Unsaturated Soil

下川大介*・荒木功平**・肥山浩樹***・酒匂一成****・北村良介***** Daisuke Shimokawa, Kohei Araki, Hiroki Hiyama, Kazunari Sako and Ryosuke Kitamura

*正会員 工修 川崎地質(株)(元鹿児島大学大学院)(〒108-8337 東京都 港区 三田 2-11-15) **正会員 工博 (株)ダイヤコンサルタント(〒331-8638 さいたま市北区吉野町 2-272-3) ***農博 鹿児島大学農学部准教授(〒890-0065 鹿児島市郡元 1-21-24) ****正会員 工博 立命館大学グローバル・イノベーション研究機構(〒525-8577 草津市野路東 1-1-1) *****正会員 工博 鹿児島大学大学院理工学研究科教授(〒890-0065 鹿児島県鹿児島市郡元 1-21-40)

The one-dimensional compression test on Shirasu (volcanic soil) and residual soil was carried out to investigate the collapsing behavior of unsaturated soils. Then the numerical simulation was performed by using KITA-CS model which was proposed Araki & Kitamura. The simulation results were compared with those obtained from soil test and discussed. It is found that KITA-CS model is promising to predict the collapsing behavior of unsaturated soil.

Key Words: collapse, unsaturated soil, numerical model

キーワード:コラプス,不飽和土,数値力学モデル 1.はじめに 不飽和土に特徴的な力学挙動の一つとして水浸沈下 (コラプス)が挙げられる。不飽和土の有効応力の定義, 現場での地盤沈下等と関連し,不飽和土のコラプス現象 の解析,予測に関する研究が行われてきている1),2),3),4) 水浸沈下(コラプス)という巨視的な現象は土粒子の不 連続な挙動(落ち込み)の総和と見なすことができる。 一方,北村ら5)は,最近20 年余に行ってきた不飽和土の 力学挙動に関する実験的・理論的研究の成果を取りまと め,不飽和土質力学の体系化を目 指した試みを行っている。荒木・ 酒匂・北村6),7)は,不飽和土の圧 縮・せん断挙動に関するモデル化 を提案している(KITA-CS モデ ル)。酒匂・北村8)は不飽和土の保 水・透水挙動に関するモデルを提 案している(KITA-SAKO モデル)。 本論文では,霧島市溝辺町のし らす,鹿児島県大島郡喜界町の赤 土を試料とし,圧縮過程で含水比 を急激に変化させる一次元圧縮試 験(水浸沈下試験)を行い,北村 らが提案している数値力学モデル の一つである KITA-CS モデルの 妥当性を検討している。そして, 北村らが提案している数値力学モ デルの一つである KITA-CS モデルをコラプス現象の解 析に適用し,物理的意味の明確なパラメータ(落ち込み 率)を用いてコラプス現象を表現できることを明らかに している。 2.北村らの数値力学モデル 図-1 は,不飽和土質力学の体系化を目指した北村モ デルの構成を示している 5)。本論文では,図に示された KITA-CS モデルを適用することによって不飽和土の一 変形問題 KITA-CSモデル 熱問題 KITA-MIYAモデル 締固め問題 KITA-ARAモデル 保水・透水問題 KITA-SAKOモデル 応力~ひずみ関係, 水浸沈下, 吸水膨張 土中の温度分布, 蒸発散 残留飽和度, 擬似飽和度 の決定 水分特性曲線, 飽和・不飽和透水係数 ~飽和度(含水比,体積 含水率,サクション)関係 強度問題 KITA-YAMAモデル 見掛けの粘着成分 ~サクション(含水 比,体積含水率, 飽和度)関係 不飽和土質力学の体系化 地圏シミュレータ 図-1 北村モデルの構成 応用力学論文集 Vol.12, pp.525-532  (2009 年 8 月) 土木学会

(2)

初期状態を入力 応力変化を与える 接点角の連続的な変化を評価 接点角の不連続な変化を評価 仕事量を入力 可逆な変化を評価 不可逆な変化を評価 弾性エネルギーの入力 マルコフ過程の適用 ひずみ 図-2 KITA-CS モデルのフローチャート 次元圧縮過程での水浸沈下挙動をシミュレートし,土質 試験結果との比較・検討を行っている。 2.1 KITA-CS モデル KITA-CS モデルでは,粒子接点での接平面の法線が直 交座標軸となす角をβ1,β2,β3とし,(β1,β2,β3) を接点角と定義し,確率変数としている(但し,独立な 確率変数は(β1,β2))6),7) 図-2 に KITA-CS モデルのフローチャートを示す。 KITA-CS モデルでは,圧縮・せん断過程で生じる巨視的 な変形は土粒子レベルで考えた時,土粒子接点での接点 角の変化(連続的な挙動)と粒子接点の消滅・発生をイ ンテグレート(Integrate)したものと考えている。すなわ ち,粒状体になされた仕事量を土粒子レベルでの接点角 の変化と接点の消滅・発生に必要なエネルギー(仕事量) の総和に等しいとすることによって,応力の変化(粒状 体になされた仕事量)からひずみが誘導され,応力~ひ ずみ関係が得られる。接点の消滅・発生は,次節で説明 する落ち込み率によって評価する。 (1) エネルギー曲面 KITA-CS モデルでは,粒状体の圧縮・せん断挙動を解 析するために粒状体になされた単位体積当りの仕事 W (エネルギー)を物理量として用いている。式(1),(2) は圧縮過程,せん断過程における仕事量 W~合応力m2+τoct2 ) 関係を表したものである。

(

2 2

)

10 10 log log W =ac +dc⋅ σmoct (1)

(

2 2

)

10 10 log log W =as +ds

σ

m +

τ

oct (2) log10W log10We log10 ( σm2 + τoct2 ) as ase ac ace 1 1 1 1 dse ds dc dce compression process shear process 図-3 エネルギー曲面 図-4 落ち込み率~仕事量関係 図-4 は,等方圧縮を含む応力比一定圧縮では,応力 比に依存せず,傾きが一定(dc)となる直線となり,せ ん断へ移行すると傾きの異なる(ds)直線へと移行する ことを示している。圧縮・せん断繰返し載荷過程では傾 きがそれぞれ dce, dseなる直線上をたどる。これらの4 つ の傾きがエネルギー曲面を規定するパラメータとなる。 これらのパラメータは,たとえば,等方圧縮・側圧一定 圧縮せん断試験より得られる圧縮・せん断過程での応力 〜ひずみ関係の初期接線勾配,粒状体になされた仕事量 から求められる。言い換えれば,これらのパラメータを 求めるためには等方圧縮・側圧一定圧縮せん断試験を少 なくとも1 回行わなければならない。 (2) 落ち込み率 一般の粒状体は形状,大きさの不規則な粒子の集合体 であり,変形過程において粒子接点が消滅・発生する現 象(北村はこのような現象を落ち込み,割り込みと称し ている)が複雑に絡み合って,巨視的に計測が可能な体 積変化となって表れると考えられる。北村らはこのよう な粒子の不連続な運動を評価するため,落ち込み率 Ri を導入し,圧縮過程では落ち込み率 Riと単位体積あたり の仕事量 W の間に式(3),式(4)に示すような関係がある ことを実験的に明らかにした8)。 0 W W C S 1 i R

(3)

0 < W < W0のとき,

R

i

=

S

(

W

0

W

)

+

C

(3) W > W0のとき,

R

i

=

C

(一定) (4) 図-4 は式(3),式(4)の関係を模式的に示したものである。 式(3),式(4)には 2 つのパラメータ W0,S,C が含まれ る。これらのパラメータは上述のエネルギー曲面を規定 するパラメータを求めるための三軸試験データによって 決めることができる。また,諸戸のエントロピー9)を導 入することによって三軸試験データより合理的にこれら のパラメータを求める試みを行っている7)。 (3) メニスカスによる粒子間力 不飽和粒状体の内部では,土粒子間にある空気と水の 境界にメニスカスが形成される。そして,間隙水圧 uw が間隙空気圧 uaより小さくなっている。 不飽和状態にある土粒子間には,図-5(a)に示すよう に接平面上の半径r’の円周部分に表面張力Tsが働いてお り,斜線部分に,サクション su が働いている。そのとき の合力を Fiとする。 (a) 土粒子とメニスカスによる接平面 (b) 土粒子とメニスカスの幾何学的関係 図-5 土粒子とメニスカス u s i rT r s F =2π ' +π '2 (5) 土粒子 (粒径 D) により形成されるメニスカスは図- 5(b)なる幾何学的関係から,メニスカスの曲率半径 r を 用いて r’ が求まる。

(

r D

) (

D

)

r r'= + /2 2 − /2 2 − (6) また,r は式(7)により定義されることから,Fiは式(8) により求めることができる。 u s

s

T

r

=

2

/

(7)

(

)

u u s s u s s i s D s T T D s T T F=2 ⋅π 2 + < >− 2 2 + < > (8) ここに,<D>は平均粒径を表しており,球形の粒子を 平均的な粒子径と考えられる。 (4) 一次元圧縮過程への適用 図-6 は,KITA-CS を一次元圧縮過程に適用した時の 計算手順を示したフローチャートである。軸圧を増加さ せ,側方ひずみが計算される。次に側方ひずみがゼロと なるように側圧を繰り返し変化させる。軸圧を変化させ るごとにこの過程を繰返すと圧縮曲線が得られる。 2.2 KITA-SAKO モデル10) コラプス現象は,水浸によって不飽和土のサクション が低下することによって生じるものと考えられる。 KITA-SAKO モデルはサクションと含水比の関係を定量 的に評価できるモデルであり,ここではKITA-SAKO モ デルを適用する。 KITA-SAKO モデルでは,間隙部分を管径 D,傾きθ の円管に,土粒子実質部分を円管以外の不透水部分に分 け,力学的および確率論的考察を加えることによって, 間隙比 e,含水比 w,サクション su,不飽和・飽和透水 係数 k が次式のように算出される。

∫ ∫

∞ − − ⋅ ⋅ = 0 2 2 ) ( ) ( π π P D P

θ

d

θ

dD V V V e d c p e p (9)

∫ ∫

− − ⋅ ⋅ = d c d p e p s w P D P d dD V V V w 0 2 2 ) ( ) ( π π

θ

θ

ρ

ρ

(10) d T h s s c w u

α

γ

⋅ =4⋅ ⋅cos = (11) r 2 / D 粒子 空気 ' r メニスカス ' r s Tメニスカス s T 空気 u s i F 接平面

(4)

初期状態を入力 鉛直応力変化を与える 接点角の連続的な変化を評価 接点角の不連続な変化を評価 不可逆な 変化を評価 マルコフ過程の適用 仕事量 を入力 接点数の変化率 可逆な変化を 評価 弾性エネルギーの入力 ひずみ(鉛直ひずみ、側方ひずみ) 側方ひずみはゼロか? 所定の応力状態に達したか? 終了 側圧を変化 yes no no yes 初期状態を入力 鉛直応力変化を与える 接点角の連続的な変化を評価 接点角の不連続な変化を評価 不可逆な 変化を評価 マルコフ過程の適用 仕事量 を入力 接点数の変化率 可逆な変化を 評価 弾性エネルギーの入力 ひずみ(鉛直ひずみ、側方ひずみ) 側方ひずみはゼロか? 所定の応力状態に達したか? 終了 側圧を変化 側方ひずみはゼロか? 所定の応力状態に達したか? 終了 側圧を変化 yes no no yes 図-6 一次元圧縮のフローチャート

∫ ∫

− + ⋅ ⋅ ⋅ = d c d h w w P D P d dD D D D k 0 2 2 3 ) ( ) ( ) tan sin ( 128 sin π π μπ γ θ θ θ θ θ (12) ここに,Vp:円管の体積,Dh:素体積高さ, Ve:素体積全体の体積, Pd(D):管径 D の確率密度関数, Pc(θ):円管の傾きθの確率密度関数, hc:圧力水頭,Ts:表面張力, α:毛細管と水の接触角, μw:水の粘性係数, γw:水の単位体積重量, d:間隙水を保持する円管の最大管径。 3.水浸沈下挙動への適用 3.1 実験試料 実験に用いた試料は,奄美諸島の喜界島で採取した赤 土と霧島市溝辺町で採取したしらすである。表-1 に赤 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 102 しらす 赤土 通 過 質 量 百分率 [ %] 粒径 [mm] 図-7 粒径加積曲線 10-1 100 101 102 103 104 105 106 0 5 10 15 20 25 30 35 40 有川シラス 赤土 サ クション( kPa) 含水比(%) 土の物理特性,表-2 にしらすの物理特性,図-7 に粒度 試験から得られた粒径加積曲線,図-8 に赤土の締め固 め試験の結果を示す。物理試験より,赤土は高液性限界 シルト,しらすは砂礫質細粒土に分類される。 3.2 水分特性曲線 図-9 は,KITA-SAKO モデル10)を用いて計算した赤土 としらすの水分特性曲線の計算結果である。表-3 に計 図-8 赤土の締固め曲線 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 2.1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 含水比W(%) 乾燥 密度 ρ d (g /c m 3) 島尻マージ ゼロ空気間隙曲線 多項式 (島尻マー ジ) ρ ρdmaxdmax Wopt Wopt 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 2.1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 含水比W(%) 乾燥 密度 ρ d (g /c m 3) 島尻マージ ゼロ空気間隙曲線 多項式 (島尻マー ジ) ρ ρdmaxdmax Wopt Wopt 赤土 ゼロ空気間隙曲線 含水比 w [%] 乾燥 密度 ρ d [ g/c m 3] 表-1 赤土の物理特性 試料 赤土 土粒子密度 ρs [g/cm3] 2.72 塑性限界 [%] 31.7 液性限界 [%] 62.8 塑性指数 [%] 31.1 透水係数 [cm/sec] 1.66×10-3 表-2 しらすの物理特性 試料 しらす 土粒子密度 ρs [g/cm3] 2.451 自然含水比 [%] 20.2 湿潤密度 ρt [g/cm3] 1.19 乾燥密度 ρd [g/cm3] 1.00 図-9 水分特性曲線 含水比 [%] サク ション [k Pa ] しらす 赤土

(5)

算に用いた入力パラメータを示す。水の表面張力 Tsと粘 性係数μwは理科年表より得られる Ts = 73.48×10-3 N/m, μw = 1.138×10-3 Pa・s を用いた。また,分割数を 360, 円管の傾きθの確率密度関数の最低高さをζc = 0.159 とした。水分特性曲線の計算においては,実測値とのフ ィッティングを行っている。本論文では,この計算結果 を用いて,圧縮試験の供試体を作製するときの含水比を 決定した。 3.3 実験装置 図-10 に赤土の実験に用いた実験装置である不飽和 土用一面せん断試験装置の概略図を示す。本試験装置で は,間隙空気圧と間隙水圧を変化させることにより,サ クションを制御することができる。サクションは間隙空 気圧用レギュレータ及び間隙水圧用レギュレータを調整 することにより制御を行った。しらすの水浸沈下試験は 標準圧密試験装置を用いており,サクションの制御はし ていない。 3.4 実験手順 赤土は自然乾燥させ,乾燥試料をロートを介してモー ルドに入れて作製した。作製中に粘土分が浮遊するよう なことはなかった。供試体の寸法は直径60 mm,高さ 35 mm である。赤土の水浸沈下試験では,1.3 kPa(初期水 浸土),32 kPa,89 kPa で水浸を行った。 初期水浸土では,供試体をセットした後,間隙水圧用 のレギュレータにより供試体に水圧をかけ水浸させ,圧 縮圧力の増分比をおよそ1,各段階での載荷時間は 1 時 間とした。途中水浸土では,初期水浸土と同様に供試体 をセットした後,不飽和状態で圧縮し,所定の圧縮圧力 表-3 間隙モデルに用いるパラメータ 100.0 2.000 95.9 0.850 87.3 0.425 79.7 0.250 67.6 0.106 66.7 0.075 57.5 0.047 55.0 0.330 46.5 0.022 41.4 0.013 38.8 0.009 35.9 0.006 28.7 0.003 23.9 0.001 赤土 水分特性曲線データ数 通過質量百分率 [%] 粒径 [mm] 2.72 73.48×10-3 1.138×10-3 1.55 14 12 試料 土粒子の密度 [g/cm3] 水の表面張力 [N/m] (水温15℃) 水の粘性係数 [Pa・s] (水温15℃) 間隙比 粒径加積曲線データ数 に達したところで水浸させた。圧縮圧力の増分比,載荷 時間は初期水浸土と同じ条件で行った。 しらすは,自然乾燥させた後,2 mm ふるいを通過し たものを用いている。供試体作成は含水比20%に調整し, 乾燥密度が1.00 g/cm3になるように突固めて作製してい る。しらすの水浸沈下試験では,初期水浸土の他に39.2, 314, 1260 kPa で水浸した。初期水浸土は 9.8kPa の圧力で 供試体と加圧板を密着させ,圧縮圧力の増分比を 1,各 載荷段階の載荷時間を24 時間としている。また,その他 の途中水浸土は初期水浸土と同様に供試体をセットし, 不飽和状態で圧縮し,所定の載荷圧になったところで水 浸させた。ただし,載荷時間は1 時間とした。 3.5 実験結果・考察 図-11,図-12 は,赤土の圧縮試験結果を示している。 図中の三角のプロットが初期段階で水浸を行った試験の 圧縮曲線,丸いプロットが不飽和状態で圧縮し,89 kPa で水浸を行った試験の圧縮曲線,ひし形のプロットが不 飽和状態の圧縮曲線になる。図-13,図-14 にしらすの 圧縮試験結果を示す。しらすは39.2 kPa,314 kPa,1260 kPa で水浸を行った。また,図-15 に沈下量~圧縮圧力 関係を示す。試験結果より,以下のことがわかる。 ① 不飽和土の圧縮曲線は初期水浸土の圧縮曲線より上 方に位置している。 ② 不飽和状態の供試体を水浸させるとコラプスを生じ る。 ③ 水浸後の圧縮曲線は初期水浸土の圧縮曲線に近づく。 ④ 赤土に比べてしらすのコラプスによる沈下量(間隙 比の変化量)が小さい。 不飽和土ではメニスカスによる粒子間力が作用しており, 粒子間のせん断に対する摩擦抵抗力が生じている。 また,初期水浸土の飽和度はほぼ 100%であり,メニ スカスによる粒子間力がほとんど無い状態であるため, 間 隙 水 圧 計 セラミックディスク付きペデスタル せん断荷重計 DCサーボモータ せん断箱 垂直荷重計 横圧計 間隙空気圧用レギュレータ 垂直圧レギュレータ 平衡圧レギュレータ コ ン プ レ ッ サ ー 間隙水圧用レギュレータ 体 積 変 化 計 垂直変位計 せん断変位計 ポーラスストーン付き加圧板 供試体 図-10 実験装置の概略図

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メニスカスによる粒子間力が働かず,せん断に対する 摩擦抵抗力が小さくなる。よって,不飽和土は飽和土に 比べ変形しにくく,圧縮曲線は初期水浸土の上方に位置 している。不飽和土を水浸させることによりメニスカス による粒子間力がなくなり,せん断に対する摩擦抵抗力 が減少するためコラプスが生じる。 しらすの水浸による沈下量が赤土に比べて小さい理由 として,赤土の実験ではサクションを制御しサクション 一定の条件で圧縮試験を行っているが,しらすではサク ションの制御できない標準圧密試験装置を用いて試験を 行っていることが考えられる。すなわち,標準圧密試験 装置を用いた試験では圧縮段階が進むにつれて飽和度が 大きくなり,水浸時の粒子間力の減少量が小さく,沈下 量が小さくなっていることが考えられる。 3.6 KITA-CS モデルの適用 本節では,室内土質実験により得られた赤土およびし らすの水浸沈下の挙動に対して2.1 節で述べた KITA-CS モデルの適用を試みる。 (1) エネルギー曲面の算定 上述した実験結果より算出した赤土としらすのエネル ギー曲面を図-16 に示す。今回の実験では,せん断過程 を行わず圧縮過程のみを行っているため,エネルギー曲 面は図のように1 本の直線となっている。図より,赤土 では ac = -1.16,dc =1.05,しらすでは,ac = -1.64,dc= 1.71 と求まる。 (2) 落ち込み率の算定 圧縮過程における落ち込み率と単位体積あたりの仕事 量 W の関係式(式(3),式(4))の妥当性を調べるため, 初期水浸土の圧縮試験より得られた曲線にフィットする ように 落ち込み率を計算した。得られた赤土としらすの 落ち込み率~仕事量関係を図-17,図-18 に示す。これ らの図より,落ち込み率~仕事量関係が図-4 のような関 係にあることがわかる。 (3) メニスカスによる粒子間力の算定 図-11 圧縮試験結果 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 1 10 100 1000 圧縮圧力 pnet(kPa) 間隙 比 e 初期水浸土 不飽和土圧縮曲線 32kPa水浸 89kPa水浸 圧縮圧力 Pnet [kPa] 間隙 比 e 図-12 赤土の体積ひずみ~圧縮圧力関係 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0 100 200 300 400 500 600 700 800 圧縮圧力pnet(kPa) 体積 ひ ず み 初期水浸土 不飽和土 32kPa水浸 89kPa水浸 圧縮圧力 Pnet [kPa] 体積 ひずみ 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 圧縮圧力pnet(kPa) 体積 ひ ず み 初期水浸土 39.2kPa水浸 314kPa水浸 1260kPa水浸 図-14 しらすの体積ひずみ~圧縮圧力関係 体積 ひずみ 圧縮圧力 P [kPa] 図-15 しらすの水浸による間隙比の変化量 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 10 100 1000 10000 圧縮圧力p (kPa) 間隙比 変化量 Δe (× 1 0 -3) 圧縮圧力 P [kPa] 間隙 比変化量⊿ e [ × 10 -3 ] 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1 10 100 1000 10000 圧縮圧力p (kPa) 間隙 比e 初期水浸土 39.2kPa水浸 314kPa水浸 1260kPa水浸 間隙 比 e 圧縮圧力 P [kPa] 図-13 圧縮試験結果(しらす)

(7)

式(8)からsuの変化に対するメニスカスによる粒子間力 Fiの変化を示したものが図-19 である。このとき,平均 粒径はしらすを想定し0.21 mm とした。 図-19 よりメニスカスによる粒子間力 Fiは,su =0.1~ 1000 kPa の範囲で変化しているが,大きく変化している のは su =1~100 kPa の範囲であることがわかる。また, 傾きは su = 10 kPa 付近が最も大きい。同様な傾向が赤土 についても得られているが,ここでは省略する。 (4) 一次元圧縮過程への適用 図-6 の KITA-CS を一次元圧縮過程に適用した時の計 算手順をもとに,赤土としらすの実験結果より求めたパ ラメータを用いて計算を行った。 表-4 は,計算に用いた入力パラメータであり,図- 20,図-21 に計算結果を示す。図中の実線が計算結果, プロットが実験結果となっている。初期水浸土に関して, 計算結果と実験結果はほぼ一致している。また,不飽和 状態の計算は初期水浸土と同じ入力パラメータを用い, 間隙比,サクションのみを変化させて行った。しらすの 不飽和土の圧縮曲線は圧縮圧力が大きくなるにつれてず れが生じている。この理由として,しらすの水浸沈下試 験は標準圧密試験装置を用いており,サクションを制御 表-4 入力パラメータ 試料名 赤土 しらす 初期間隙比 e0 1.5 1.47 サクション [kPa] su 100 0 ac -1.16 -1.64 dc 1.05 1.71 C -5.3×10-3 1.3×10-3 S 1.0×10-3 1.61×10-1 W0 1.0×10-2 1.91×10-3 粒状体になされる仕事量を評価 接点角の消滅・発生を評価 -0.0035 -0.003 -0.0025 -0.002 -0.0015 -0.001 -0.0005 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 仕事量W Rv 初期水浸土 1260kP a水浸 図-18 Rv ~エネルギー関係(しらす) 仕事量W R v log10W = 1.05log10(σm2+τoct2)1/2- 1.16

log10W= 1.71log10(σm2+τoct2)1/2 - 1.64

-4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 log10(σm2+τoct2)1/2 log 10 W 赤土(初期水浸土 ) しらす(初期水浸) 線形 (赤土(初期水浸土 )) 線形 (しらす(初期水浸)) 図-16 赤土,しらすのエネルギー曲面 log10(σm2+τoct2)1/2 log 10 W -0.0007 -0.0006 -0.0005 -0.0004 -0.0003 -0.0002 -0.0001 0 0.0001 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 仕事量W Rv 初期水浸土 不飽和 図-17 Rv ~エネルギー関係(赤土) 仕事量W R v 0.00E+00 2.00E-08 4.00E-08 6.00E-08 8.00E-08 1.00E-07 1.20E-07 0.01 0.1 1 10 100 1000 10000 サクション(kPa) メニ スカ ス に よ る 粒子間力  Fi (k N ) メニ スカスによ る粒子 間 力 F i [k N ] サクション [kPa] 図-19 suの変化に対する Fiの変化 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1 10 100 1000 10000 圧縮圧力 p(kPa) 間隙 比 e 解析結果(初期水浸土) 解析結果(不飽和土) 実験結果(初期水浸土) 実験結果(不飽和土) 図-21 計算結果(しらす) 圧縮圧力 P [kPa] 間隙 比 e 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1 10 100 1000 圧縮圧力 p(kPa) 間隙 比 e 計算結果(初期水浸土) 計算結果(不飽和土) 実験結果(初期水浸土) 実験結果(不飽和土) 図-20 計算結果(赤土) 圧縮圧力 P [kPa] 間隙 比 e

(8)

していないことが考えられる。 (5) 水浸沈下の計算 図-22 に圧縮過程の途中で,落ち込み率を急激に変化 させた場合の計算結果を示している。入力パラメータは, 図-20 の一次元圧縮曲線の場合と同様の値を用いた。 今回は,所定の圧縮圧力になったときに,急激に落ち 込み率を増加させた(図-23)。落ち込み率の増加量 は図-23 に示されるコラプス現象を良好に表現するた めに試行錯誤で求めた。 今後,落ち込み率(粒子接点数変化率)と水浸沈下(圧 縮過程の途中でのサクションの変化)を関連させるため の理論的・実験的研究を行い,これらを定量的に評価で きる関係を導出しなければならない。 4.おわりに 本論文では,赤土を用いて不飽和土の圧縮特性に関す る実験を行った。得られた結果は以下の通りである。 ・ 不飽和土の圧縮曲線は,メニスカスによる粒子間力 が働き,飽和土に比べ土粒子間のせん断に対する摩 擦抵抗が大きいため,飽和土の圧縮曲線よりも上方 に位置している。 ・ 一次元圧縮中に水浸させるとコラプスを生じ,水浸 後,載荷圧を増加させると,圧縮曲線は初期水浸土 の圧縮曲線に近づく。 また,KITA-CS モデルを一次元圧縮に適用させ,圧縮 試験結果から入力パラメータを求め,計算を行った。結 果は,以下の通りである。 ・ 赤土,しらすの初期水浸土(サクション0kPa)の圧 縮曲線は実験結果から求めたパラメータを用いるこ とで計算結果は実験値と一致している。しかし,サ クションを変化させた場合の圧縮曲線は圧縮圧力が 大きくなると,実験結果とずれる傾向がある。 ・ KITA-CS モデルでは,不飽和土の水浸沈下挙動を落 込み率によって評価できることが明らかになった。 今後は,コラプス(サクションの変化)と落ち込み 率を結びつけるための理論的・実験的研究を行い, これらを定量的に評価できる関係を導出しなければ ならない。 謝辞:本研究に対して科研費(基盤(A))の援助をいた だいた。ここに謝意を表します。 参考文献

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参照

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