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引張軸力を受けるコンクリート充填鋼管部材の曲げ耐力に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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引張軸力を受けるコンクリート充填鋼管部材の曲げ耐力に関する研究

大谷 梨菜 1 . はじめに  コンクリート充填鋼管(CFT)柱部材が曲げを受けると、 曲 げ圧縮側では、 塑性域において圧潰した充填コンクリー トの体積膨張を鋼管が拘束し、 一方曲げ引張側では、 鋼管が弾塑性域それぞれのポアソン比に従って横方向へ 収縮するのを充填コンクリートが拘束する相互拘束効果が 生じる。 これにより CFT 部材の曲げ耐力は、 鋼管とコン クリートそれぞれの耐力の累加強度で算出した耐力よりも 上昇することが実験等で確認されている。 一方で日本建 築学会 「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針(2008)」 (以後 CFT 指針と呼ぶ)では、 引張軸力と曲げを受ける短 柱の終局曲げ耐力を、 円形断面では曲げ引張側におい ても鋼管の周方向応力が圧縮側と等しいとして拘束効果 を考慮して算定し、 角形断面では拘束効果を考慮しない で算定することになっている。 しかし、 文献 1 で実施さ れた中心引張実験では、 角形断面、 円形断面ともにCFT 部材の中心引張耐力は中空鋼管のそれよりも上昇してお り、 これは拘束効果によるものと考えられる。 そこで本研 究は、 比較的曲げ引張側の拘束効果の影響が大きくな D)を乗じて無次元化した B(D)の関係を示す。 M と  の 算出方法については文献 2 を参照されたい。 断面形状 に関わらず、 CFT、 中空鋼管ともに大変形時においても 耐力低下は認められないが、 降伏後の曲げ耐力は中空 鋼管ではほぼ一定であるのに対し、 CFT では緩やかに 上昇している。  終局曲げ耐力の実験値と計算値を表 1 および図 2 に示 す。 計算値は、 CFT 指針の短柱の算定式(コンクリート強 度低減係数cru=1.0)に則って算出し、 実験値は、 ひずみ 硬化に起因する耐力上昇が曲げ耐力に大きく影響するの を避けるため、 各試験体について引張縁の鋼管表面の 図 1.M-B( D) 関係 ( b ) 円形断面試験体 -2000 -1500 -1000 -500 00 40 80 120 160 CFT計算値 中空鋼管計算値 CFT実験値 中空鋼管実験値 軸力( k N ) 曲げモーメント(kNm) -2000 -1500 -1000 -500 00 40 80 120 160 CFT計算値 中空鋼管計算値 CFT実験値 中空鋼管実験値 軸 力 (k N ) 曲げモーメント(kNm) 図 2 . 終局 曲 げ耐 力 の 計算 値 と実 験 値 の比 較 ( a ) 角形断面試験体 ( b ) 円形断面試験体 ると考えられる引張軸力を受ける部材について、 まず は高層建築物の柱に用いられるような厚肉の幅(径)厚 比の試験体に対して等曲げ実験を行い、 その拘束効 果による耐力上昇を確認する。 次いで、 その他の幅 (径)厚比の試験体の等曲げ実験を実施する前に、 実 験計画に資する情報を得ることを目的として、 引張軸 力下における曲げ耐力に関する既往の実験的研究の 結果について、 調査 ・ 分析を行うものである。 2 . 一 定 引 張 軸 力 下 に お け る 等 曲 げ 実 験 概 要  試験体一覧を表 1 に示す。 実験変数は断面形状 (角形 ・ 円形)とコンクリート充填の有無で、 円形断面 では引張軸力比も変数としている。 鋼管には残留応 力除去焼鈍(625℃で 1 時間保持した後に徐冷)を鉄骨 製作後に施している。 加力は単調載荷を行った。 試 験体形状 ・ 寸法、 測定方法、 載荷装置などの実験 概要については文献 2 を参照されたい。  図 1 に、 軸力やせん断力による付加曲げモーメン トを考慮した試験体材軸中央の曲げモーメント M と、 試験体測定区間内の平均曲率  に試験体の幅 B(径 表 1 . 試験体一 覧 1)sy:鋼管の降伏強度、cB:コンクリートの圧縮強度 2)コンクリートの粗骨材の最大粒径は 13mm、 スランプフローは 63cm。 3)N= 作用引張軸力 ,  N0=sy×sAで定めた中空鋼管の引張耐力   (sA :鋼管の断面積) 0 20 40 60 80 100 120 140 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 CFT (N/N0=0.25) CFT (N/N0=0.50) 中空鋼管 (N/N0=0.25) 曲 げ モ ー メ ン ト M (k N m ) D(%) ▼終局曲げ 耐力時 0 20 40 60 80 100 120 140 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 CFT (N/N0=0.25) 中空鋼管 (N/N0=0.25) 曲 げ モ ー メ ン ト M (k N m ) (%) ▼終局曲げ 耐力時 幅B, 径D(mm) ×板厚t(mm) sy (N/mm²) 充填の 有無 cB (N/mm²) 実験値 (kNm) 計算値 (kNm) RC19-25 有 87.9 0.25 121 109 RV19-25 無 ― 0.25 103 105 CC26-25 0.25 121 128 CC26-50 0.5 91 97 CV26-25 無 ― 0.25 99 109 88.9 175×8.55 (B/t=20) 321 216.3×7.46 (D/t=29) 364 有 試験 体名 鋼管 コンクリート 引張 軸力比 (N/N0) 終局曲げ耐力 ( a ) 角形断面試験体

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55-2 軸方向ひずみ(算出方法は文献 2 を参照されたい。)が、 引張試験で得られたひずみ硬化開始ひずみ( 角形では 1.2%、 円形では 2.0%)に達した時の試験体材軸中央の 曲げモーメント(図 1 中の▼印の点の M)としている。 角 形断面では、 CFT の曲げ耐力実験値は中空鋼管のそれ よりも高く、 その上昇率は約 20% である。 一方、 計算値 の上昇率は約 4% にすぎない。 また、 各試験体の実験 値を計算値と比較すると、 CFT では実験値が 10% 程度 大きくなっているのに対し、 中空鋼管では実験値が 2% 程度小さくなっている。 以上のことより、 角形断面 CFT で は、 引張軸力下において CFT 指針の曲げ耐力の計算値 からの耐力の増加が認められ、 その原因は拘束効果に よるものと考えられる。 一方円形断面では、 引張軸力比 が 0.25 である CFT の曲げ耐力実験値は中空鋼管のそれ よりも 20% 程度高く、 これは計算値における耐力の上昇 率とほぼ同じである。 また、 CFT 試験体の実験値を計算 値と比較すると、 CC26-25 で 5%、 CC26-50 で 6% 程度実 験値の方が小さくなっているが、 中空鋼管の実験値も計 算値を 10% 程度下回っていることを考慮すると、 円形断 面 CFT においては拘束効果による曲げ耐力の上昇が確 認できたと考えられる。 3 . 引 張 軸 力 下 の 曲 げ 耐 力 に 関 す る 既 往 の 実 験 的 研 究 の 調 査 と 分 析 3 . 1 調査方法と範囲  前述した等曲げ実験結果より、 円形断面の曲げ耐力実 験値が計算値を下回る理由が不明であることから、 他の 研究例においても計算値の耐力を発揮できない場合があ るかどうかを含め、 今後の実験計画に資する情報を得る ことを目的として、 既往の引張軸力下の曲げ耐力に関す る実験的研究の調査を行った。 一定引張軸力下の実験 的研究は調査範囲においては存在していなかったため、 引張軸力を含む変動軸力下の曲げせん断実験を対象とし て、 1998 年~ 2011 年の日本建築学会構造系論文集3),4) および日本建築学会大会学術講演梗概集5),6)より、 角形 断面 7 体、 円形断面 8 体の合計 15 体の試験体を収集し た。 ただし 2 軸曲げが作用する試験体は分析の対象から 除外した。 なお、 すべての試験体は正負交番の繰返し 載荷を受けるもので、 鋼管には残留応力除去焼鈍が施さ れていない。 対象とする試験体一覧を表 3 に示す。 3 . 2 曲げ耐 力の評 価方 法  本研究では、 曲げ耐力の実験値を計算値と比較するこ とで検討を行う。 計算値clMuは、 前述した CFT 指針の 短柱の算定式に則り算出する。 また実験値は、 軸力に よる付加曲げモーメントを考慮し、 部材角が 2.0% 以内に 生じた最大曲げモーメントとしている。 ここで、 曲げせん 断実験では、 加力スタブの拘束により、 実際の危険断 面位置が材中央側に移動する(材端の曲げ耐力が上昇す る)ことが考えられるため、 部材端部から部材せいの 1/2 だ け材軸中央寄りの位置を想定危険断面位置とし、 この想 定危険断面位置における実験値exMu’ と、 材端における 実験値exMuの両方を用いて評価を行う。 なお、 対象とす る試験体のせん断スパン比は 2.5 ~ 3 であり、 想定危険 断面位置がexMu’ の大きさに与える影響は、 各試験体で 大きくは異ならないと考えられる。 また、 曲げモーメントの みで評価する従来の曲げ耐力比(exMu/clMu)は、 実験値 のばらつきにより、 軸力比が大きい場合には大きく値が 変動するため、 曲げモーメントと軸力のベクトルの大きさ の比(以後耐力比(図 3 に示すexCu/clCu)と呼ぶ)についても 併せて評価を行う。  部材端部における曲げ耐力比、 耐力比と軸力比の関 表 3 . 分析 対 象 の試 験 体 一覧3 ) - 6 ) 試験体名 断面 形状(mm)B,D t (mm) B/t D/t sy (N/mm²) cB (N/mm²) N (kN) R' (%) exMu (kNm) clMu (kNm) exMu clMu exMu' clMu' exCu clCu exCu' clCu' 1.5 259 216 1.20 1.00 1.04 0.98 -1.5 -302 -262 1.15 0.96 1.11 0.96 1.0 163 189 0.86 0.72 0.94 0.89 -1.5 -226 -188 1.20 1.00 1.15 1.00 2.0 217 183 1.19 0.99 1.03 0.97 -2.0 -280 -291 0.96 0.80 0.96 0.84 1.5 146 162 0.90 0.75 0.95 0.91 -1.5 -210 -220 0.96 0.80 0.96 0.84 1.0 195 430 0.45 0.36 0.79 0.76 -1.5 -364 -239 1.52 1.22 1.23 1.07 1.0 176 439 0.40 0.32 0.78 0.76 -1.8 -360 -251 1.43 1.15 1.18 1.03 1.0 231 480 0.48 0.39 0.84 0.81 -2.0 -403 -329 1.23 0.98 1.10 0.97 2.0 201 274 0.73 0.61 0.99 0.91 -2.0 -316 -244 1.29 1.08 1.26 1.08 1.5 153 195 0.79 0.66 0.91 0.86 -2.0 -185 -137 1.35 1.13 1.28 1.11 2.0 173 154 1.12 0.94 1.04 0.95 -2.0 -147 -173 0.85 0.71 0.88 0.77 2.0 110 95 1.16 0.96 1.08 0.98 -1.5 -82 -90 0.91 0.76 0.93 0.81 2.0 429 518 0.83 0.67 0.92 0.85 -2.0 -568 -446 1.27 1.03 1.21 1.02 2.0 185 169 1.09 0.91 1.10 0.91 -2.0 -154 -137 1.12 0.94 1.10 0.95 2.0 135 129 1.05 0.87 1.05 0.88 -2.0 -96 -89 1.08 0.90 1.06 0.93 2.0 131 120 1.10 0.91 1.09 0.92 -2.0 -88 -81 1.08 0.90 1.06 0.93 106 CF209-20 216 7.7 28 391 38 0.2N0~ -0.3sN0 CF206-20 5.4 40 393 34 0.3N0~ -0.4sN0 CF204-20 4.5 48 427 30 33 771 P8 300 11.7 26 447 SC6-A-9-V*1 円形 241 9.0 27 482 92 0.7N0~ -0.3sN0 SC6-C-9-V*2 4.5 53 504 SC8-A-9-V*2 161 9.1 18 820 94 SC8-C-9-V*1 159 4.8 167 0.7N0~ -0.5sN0 ♯3 480 ♯4 12.0 21 483 6.7 27 824 ♯1 250 9.0 28 456 SR6-A-9-V*1 角形 210 8.8 24 537 92 0.7N0~ -0.3sN0 SR6-C-9-V*2 212 6.0 36 540 SR8-A-9-V*2 178 9.5 19 825 95 SR8-C-9-V*1 180 図 3 . 曲げ 耐力 の評 価方 法 1 )*1: 部材角が 2 % より小さいサイクルの途中に鋼管溶接部に破断   が生じることによって引張軸力側の曲げ耐力が決定した試験体 2 )*2: 最大耐力発揮後に鋼管溶接部に破断が生じた試験体 3)sy: 鋼材引張試験により得られた降伏強度   *1*2syは 0.2% オフセット法により求めた値 4)               sA,cA:鋼管の断面積およびコンクリートの断面積 5)R’ : 曲げ耐力発揮時の部材角(正:圧縮軸力側、 負:引張軸力側) A A N N N0s 0c 0syscBc 耐力比exCu/clCu =OA/OB A=(exMu,exN) B=(clMu,clN) OA=exCu   = √ (exMu2+exN2) OB=clCu   = √ (clMu2+clN2) 軸 力 ( k N ) 曲げモーメント (kNm) o A CFT 指針による計算値 B ●: 実験値 ○: 計算値

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55-3 係を図 4 に示す。 なお、 圧縮軸力側を正側、 引張軸力 側を負側に示し、 前述した等曲げ実験の結果を併せて 示している。 また、 図中の印を曲げ耐力発揮時の部材 角 R’ 別に分けて示しており、 等曲げ実験結果の R’ は、 塑性化領域を材端より柱せいの部分とし、 その部分の曲 率を曲げ耐力時の曲率で一定と、 その他の部分を剛体と して算定した。 等曲げ実験の R’ は、 角形断面で 1.2% とやや小さくなっているが 、 曲げせん断実験と同程度 の部材角で曲げ耐力を発揮していると言える。 図より曲 げモーメントのみで比較すると、 軸力比が大きい場合に 曲げ耐力比が大きくばらつくが、 曲げモーメントと軸力の ベクトルの大きさで比較すると、 軸力比によるばらつきの 大きさはそれほど異ならないと考えられる。 よって次節よ り、 耐力比を用いて検討を行うこととする。 3 . 3 引張軸 力側の 耐力 比  引張軸力側の材端と想定危険断面位置における耐力比 とcN0/sN0の関係を図 5 に示す。cN0/sN0は、 コンクリート の軸耐力(cN0=cB×cA ここで、cB:コンクリートの圧縮強 度、cA:コンクリートの断面積)と鋼管の軸耐力(sN0=sy× sA ここで、sy:鋼管の降伏強度、sA:鋼管の断面積)の比 である。 また白抜きで示しているのは、 部材角が 2.0% に達する前に鋼管溶接部が破断することによって曲げ耐 力が決定した試験体(表 3 中の*1)であり、 sy別に印を分 けて示している。 等曲げ実験と既往の曲げせん断実験を 比較すると、 等曲げ実験の耐力比は、 両断面とも、 材 端においてはやや小さくなっていると考えられるが、 想定 危険断面位置においては比較的対応が良いと言える。  また、 図 5 より両断面とも 780N/mm2級の鋼管を用いた 試験体(図 5 中の▲、 △)の耐力比が小さくなっていること が分かる。 これは鋼管溶接部に破断が生じた影響とも考 えられるが、 R’ は 1.5% ~ 2.0% であるにも関わらず、 想 定危険断面位置の耐力比が 0.8 程度であることから、 高 強度鋼管は降伏ひずみが大きくなるため、 2% 程度の部 材角では全塑性耐力を発揮できないことを示唆している。  ここでは、 材端と想定危険断面位置の両方において耐 力比を評価しているが、 実際の危険断面位置は両者の 間に存在すると考えられ、 高強度鋼管を用いた試験体を 除外すると、 両断面で実験値は計算値の耐力をほぼ発 揮できており、 引張軸力下の曲げ耐力についても CFT指 針の曲げ耐力算定式で概ね評価できると考えられる。 ま た角形断面の曲げ耐力は、 等曲げ実験では拘束効果に よると考えられる耐力上昇が確認できたが、 既往の曲げ せん断実験の耐力比に、 円形断面と比較して大きな差 異がみられないことから、 拘束効果による耐力上昇は明 確には認められないと言える。 しかしながら、 本研究で 対象としている試験体数は少なく、 今後より多くの試験体 を用いて、 曲げ引張側の拘束効果については検証する 必要があると考える。  次に、 材端の耐力比とcN0/sN0の関係を、 B/t(D/t)、cB 別に印を分けて図 6 に示す。 図より、 耐力比とcN0/sN0に は相関関係があると考えられ、cN0/sN0が大きい試験体 ほど耐力比は大きくなっていると言える。 また、cN0/sN0は B/t(D/t)、cB、syの複合パラメーターである。 そこで、 各 因子による影響をみるにあたり、 B/t(D/t)別に印を分けた 図 5 . 耐力 比 - 軸耐 力比 関係 図 4 . 材端 の曲 げ 耐力 比 、耐力 比 - 軸力 比関 係 ※白抜き : 部材角が 2 % に達する前に鋼管溶接部が破断すること         によって曲げ耐力が決定した試験体。 ※exMu/clMuが 1.3 を上回る試験体が角形で 2 体、 円形で 1 体   存在し、 0.7 を下回る試験体が角形で 3 体存在している。 R’=2.0% R’=1.5% 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 ex Cu /cl Cu 円 形 sy [N/mm2] ● 391-447 ■ 482, 504 ▲ 771, 820 364(等曲げ) R’=1.5% R’=2.0% 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 e x Cu '/cl Cu ' 角 形 sy [N/mm2] ■ 456-540 ▲ 824, 825 321(等曲げ) R’=2.0% R’=1.5% 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 e x Cu /cl Cu 角 形 sy [N/mm2] ■ 456-540 ▲ 824, 825 321(等曲げ) ( a ) 角形e xCu/c lCu ( c ) 角形e xCu’ /c lCu’ ( b ) 円形e xCu/c lCu ( d ) 円形e xCu’ /c lCu’ R’=2.0% R’=1.5% 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 e x Cu '/cl Cu ' 円 形 sy [N/mm2 ] ● 391-447 ■ 482, 504 ▲ 771, 820 364(等曲げ) ( b ) 円形e xMu/c lMu 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 N/N 0 N/ sN0 ex Mu /cl Mu 円 形 R ’[%] ◆ 2.0   1. 5 2.0(等曲げ)    1.8(等曲げ) ( a ) 角形e xMu/c lMu 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 N/N 0 N/ sN0 e x M u /cl Mu 角 形 R’ [%] ◆ 2.0 ▼ 1.8   1. 5 1.0    1.2(等曲げ) 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 e x Cu /cl Cu N/N 0 N/ sN0 角 形 R’ [%] ◆ 2.0 ▼ 1.8   1. 5 1.0    1.2(等曲げ) ( c ) 角形e xCu/c lCu 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 N/N 0 N/ sN0 e x Cu /cl Cu 円 形 ( d ) 円形e xCu/c lCu R’ [%] ◆ 2.0   1. 5 2.0(等曲げ)    1.8(等曲げ)

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55-4 図では、 印によって耐力比に偏りが生じていないことか ら、 B/t(D/t)が耐力比に及ぼす影響は顕著ではないと考 えられる。 そして、cB別に印を分けた図では、 高強度鋼 管を用いた試験体と等曲げ実験の試験体を除くと、cBが 大きい試験体の耐力比が大きくなっていると言える。 ここ で、 既往の解析的研究7)によれば、 中心引張軸力を受 ける円形 CFT 部材における弾塑性解析を用いたパラメト リックスタディの結果より、 D/t とcBが大きくなるにつれて、 CFT と中空鋼管の軸耐力比が大きくなる傾向があることが 報告されていることから、cN0/sN0が大きくなるにつれて耐 力比は大きくなる傾向があると言える。 そして、 この傾向 は本研究における分析結果と概ね合致していると考えられ る。 また、 今後等曲げ実験を計画する際に、cN0/sN0は 有効なパラメーターになり得ることを示唆している。 3 . 4 圧縮軸 力側と 引張軸 力側の 耐力比 の関係  分析対象の試験体では、 前節より角形断面の引張軸 力下における曲げ耐力は、 拘束効果による耐力上昇が 明確には認められなかった。 この要因として、 圧縮軸力 側で生じた劣化が引張軸力側の耐力比に影響を及ぼして いる可能性もあると考えられるため、 図 7 に材端における 引張軸力側の耐力比と圧縮軸力側の耐力比の関係を、 cN0/sN0、 軸力比別に印を分けて示す。 また図中にcBも 併せて示している。 圧縮軸力側の耐力比に関しては、 cN0/sN0やcB、 圧縮軸力比が大きい試験体で 1 を下回っ ているものが多く、 このような試験体は、 圧縮軸力側で は計算値の耐力を十分に発揮できないことを示唆してい る。 そして、 両断面形状とも圧縮軸力側の耐力比が小さ い試験体で、 引張軸力側の耐力比が大きくなっていると 考えられることから、 圧縮軸力側で生じた劣化が引張軸 力側の耐力比に影響を及ぼしているとは言えないが、 変 参 考 文 献 1)東 井本、 他 : 引張軸力を受けるコンクリート充填鋼管部材の力学性状 に関する実験的研究その1、 その2,日本建築学会大会学術講演梗概集 (東海),2012 2)青木 大谷、 他 : 引張軸力と曲げを受けるコンクリート充填鋼管部材の 力学性状に関する実験的研究その2、 その3,日本建築学会大会学術講 演梗概集(近畿),2014 3)藤本 向井、 他:高強度材料を用いたコンクリート充填鋼管柱の曲げせ ん断性状 , 日本建築学会構造系論文集 ,1998 年 7 月 ,No.509 4)河野 松井、他:繰返し水平力と変動軸力を受けるコンクリート充填円形 鋼管柱の実験的研究,日本建築学会構造系論文集,2001.9,No.547 5)平出 小田島、 他 :高軸力比を作用させたコンクリート充填角形鋼管柱 の構造性能に関する実験的研究,日本建築学会大会学術講演梗概集(東 北),2009 6)難波 加村、 他 : 高強度鋼管を用いた CFT 柱の構造性能確認実験そ の3,日本建築学会大会学術講演梗概集(関東),2011.8 7)東 蜷川:引張軸力を受けるコンクリート充填円形鋼管部材の力学性状 に関する解析的研究,日本建築学会研究報告九州支部,2014 図 7 . 引張 軸 力側 と 圧 縮軸 力 側 の耐 力 比 の関 係 図 6 . 耐力 比 - 軸耐 力比 関係 動軸力下の繰り返し荷重を受けたことが影響し、 引張軸 力側の耐力が十分に発揮されなかった可能性は否定でき ない。 そうであれば、 実際の超高層建築物の側柱のよ うな大きな変動軸力下の繰返し荷重を受けるような柱で は、 角形断面においては、 曲げ引張側の拘束効果によ る曲げ耐力の上昇が起こらないことを示唆している。 4 . まとめ  CFT 部材の一定引張軸力下における等曲げ実験を実 施し、 角形断面、 円形断面ともに拘束効果によると考え られる曲げ耐力の上昇を確認した。 次いで、 引張軸力 下の曲げ耐力に関する既往の実験的研究を調査し、 そ の実験結果を基にして耐力に関する評価を行った。 その 結果、 両断面とも実験値は計算値の耐力をほぼ発揮で きていたが、 角形断面における拘束効果による曲げ耐力 の上昇は認められなかった。 また、 今後の等曲げ実験を 計画する際のパラメーターの 1 つとして、 コンクリートと鋼 管の軸耐力比が有効ではないかと考える。 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 ex Cu /cl Cu cB [N/mm2 ] ■ 92,95 ▲ 167 88(等曲げ) 角 形 材 端 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 ex Cu /cl Cu D/t ● 18 ■ 26-28 ▲ 33,40 ◆ 48,53 29 (等曲げ) 円 形 材 端 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 ex Cu /cl Cu cB [N/mm2] ● 30-38 ■ 92-106 89(等曲げ) 円 形 材 端 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 0.5 1 1.5 2 2.5 cN0/sN0 ex Cu /cl Cu 角 形 材 端 B/t ● 19,21 ■ 24-28 ▲ 36 20 (等曲げ) 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 圧縮軸力側 exCu/clCu 引 張 軸 力 側ex Cu /cl Cu 軸力比(圧縮-引張) ● 0.7-0.5 ■ 0.7-0.3 角 形 材 端 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 圧縮軸力側 exCu/clCu 引 張 軸 力 側e x Cu /cl Cu 軸力比(圧縮-引張) ■ 0.7-0.3 ▲ 0.3-0.4 ◆ 0.2-0.25 円 形 材 端 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 圧縮軸力側 exCu/clCu 引 張 軸 力 側ex Cu /cl Cu cN0/sN0 ● 0.46 ■ 0.69,0.89 ▲ 1.39,1.55 ◆ 2.16,2.28 cB=167[N/mm2] cB=92,95[N/mm2] 角 形 材 端 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 圧縮軸力側 exCu/clCu 引 張 軸 力 側e x Cu /cl Cu cN0/sN0 ● 0.42 ■ 0.61-0.93 ▲ 1.13,1.35 ◆ 2.29 cB=92-106[N/mm2] cB=30-38[N/mm2] cB=92-106[N/mm2] 円 形 材 端

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