教員養成大学学生の算数・数学の授業実践力に関する研究
教科・領域教育専攻 自然系コース(数学) 山 本 啓 介
1.はじめに
近年2 学力向上が学校教育において大きな 課題となっている。学力を向上させるために は,指導者である教員の授業実践カを高める ことが重要である。
教員の授業実践カを高める方法として,現 職教員の授業実践カを高めることと,教員養 成大学の学生の授業実践力を高めることが 考えられる。しかし,数学教育の分野におい て,学生の授業実践カをどのように高めるか を報告した研究はほとんどなしL
本研究では,学生の授業実践カを向上させ るために,学生が行う棋倒受業を分析し,学 生の授業実践の特徴を明らかにする。
2.研究方法
研究対象は,教員養成大学に所属しー平成21 年に主免教育実習事前指導(算数・数学)の授業
を履修した17人の大学生・大朝実生である。 1 人の学生が模擬授業を行い,残りの 16人の 学生と授業担当の大学教員 1人の計 17人は 学習者役を行う。模擬授業を行う単元は,小 学校第6学年「比例J又は量中学校第3学年 f関数y=ax2Jである。学生は1時間分の学 習指導案を作成し,そのうちの 10分程度の 模擬授業を行う。実施期間は平成21年5月, 6月である。これまでに,多くの学生の模擬授 業を観察し,学生の学習者理解,学習指導案 の位置づけの理解,模擬授業の意義の理解が 足りていないと感じるのは次の点で、あったo
指導教員 秋 田 美 代
授業は学習者理解に応じて事指導者が学習 者の知識理解度などを総合的に瞬時に判断 し,授業を展開しなければならな川しかし,
学生は授業経験が少なく,学習者理解が十分 でない可能性が高い。それゆえ,事前に授業 を構成していても,学習者を導くことができ ず,その構成通りに授業を展開することがで きない可能性が高し、。
指導者は模擬授業の指導目標を設定してい るが,必ずしも予定通りの指導目標まで進ま ないこともある。学習者の知的好奇心カ涼Ij激 されたのであれば,予定されていた授業展開 にこだわらず,臨機応変に授業を展開するこ とが大切である。しかし,授業経験が少ない 学生は,臨機応変に授業を展開できない可能 性が高し、それゆえ,学習者の理解を伴わな い独越句な授業を展開する可能性が高川
模擬授業は本来,指導者の授業実践力の向 上と評価をするために行うものであり,指導 者の力量によって授業展開が大きく変わる 時間を模擬授業として行うべきである。しか
し,学生は模擬授業の意義が瑚卒で、きていな い可能性が高い。それゆえ,指導者の力量が あまり影響を及ぼさなし、授業場面を選択し てしまう可能性が高い。
したがって,模擬授業の傾向の検証の毎掠 として,次の①,②,③を設定した。
①学習者理解の未熟さによる指導者が意図 しなbせ受業展開
﹁ ︒
門f
つ ム
②学習者の理解を伴わない指導者の授業展開
③模擬授業として不適切な授業場面の選択 模擬授業内の 1は指導者が主体の指導者 の発言時間の総和,1Iは学習者が主体の指導 者の発言時間の総和,直は学習者の発言そ括 動の時間の総和書 Nは上記3つのいずれでも ない時間の絵湘とする。 P1'pn,P勘九は,模 擬授業全体の時間をもとにした, 1,
n
, ill, Nを百分率で表したものである。3.検証結果と分析および考察
模樹受業を①ョ②,③の観長から,指導者と 学習者の言動や行動,授業の雰囲気を検証し た結果,①,②,@の傾向がみられた。
①:学習者の気付きを大事にして型気付きを 多く生むような発問をするが,発問が学習 者にとって抽象化過ぎてF授業の展開がう まくできない
②:指導案で予定した通りに授業を展開しよ うとし,学習者の理解が伴わないまま,指 導者が独走的に授業を展開する
③:模擬授業としては不適切な授業場面を選 択する
① は9人で,学習者理解が足りていないため,
学習者にとって理解するのが難しい発問を行い,
学習者は答えられなかった。この場合の対策と して,考える対象を少なくし,問題の本質を考 えやすくすることを提案した。
②は6人で,独越句に授業を展開した。学 習者の発言カり》なく,授業の展開に,学習者 の理解が伴っていないことを,指導者が把握 していない可能性が高
u
、この場合の対策と して,指導者は,学習者が授業の主役という ことを念現に,学習者の観察を入念に行うこ とを提案した。③ は3人で,指導者として授業を展開しなか
ったo 学習者の活動が授業全体のかなりの割 合であり,活動中も支援や指導を行っていな い。授業全体を指導案からイメージし,授業 の特に重要なポイントとなる場面を考える ことを提案した。
①,②,③と判断したグループとそうで ないグループに分け, P,JPn,P勘Pwを比べた。
①では2 グループ間の違いによる大きな差 は見られなかった。そこから,①と判断され た場合は,発言の種類や時間を変えるのでは なく,学習者の理解度や発達段階に応じた発 言の質を高めることを提案した。
②では,独創枕授業展開と判断されたグ ループの方が, PIは約 26%高かった。そこ から, P1が高い傾向があると分かったoそこ から,②と判断された場合は,指導者主体の 発言時間を減らし,より学習者を主体とする 発言時間を増やすことを提案した。
③では,不適切な場面選択と判断されたグ ループ。の方が,Pmは約 30%高いことから,
p置が高し、傾向があると分かったo そこから,
③と判断された場合は,模擬授業の意義を確 認することを提案した。
4.おわりに
本研究では,教員養成大学学生の接関受業を 通して,学生の行う模擬授業の内容の傾向と,
模擬授業内の時間割合を抽出した。傾向として,
学習者理解不足,独越句な授業展開,不適切な 場面選択の3つが分かり,それぞれの傾向で個 別の授業実践カを向上させる方法の提案を行っ た。その3つ傾向にあてはまると判断されたグ ノ1r‑ープとF そうで、ないグノレープ関の授業時間内 の時間割合を比べ,その違いから授業実践カを 向上させる方法を提案した。
にUウi
ワ ム