中学校における若手教師の授業力育成に関する研究:―模擬授業を活用した授業研究モデルの構築―
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(2) 321模擬授業の目標設定と評価方法. ンすることの必要性に気づいたという発言があ. 模擬授業の目標設定と評価方法については,. った。また,K先生はA先生の模擬授業につい. 事後検討会の後,社会科および数学科の模擬授. てのF先生の発言から,より良い授業について. 業参加者で協議をし,目標については授業者が. 思考する中で,自身の授業についても省察する. 課題としていることを自身で決定するのが良い. ことにつながったと述べている。. という意見に集約された。また,評価について. 332教学科における模擬授業. は,チェックリストを用いて点数化するのでは. 数学科部会での授業者Yは,一昨年,初任者. なく,授業者が自己の目標と照らして自己評価. として本校に赴任し,3年目を迎えた女性教師. をする方法をとることとした。. である。模擬授業には教職経験17年の男性教師. 322模擬授業の実施時間の検討. Nと本年度新採用の2名が参加した。授業者Y. 模擬授業の実施時間については,模擬授業実. は,模擬授業を通して,グループでの話し合い. 施後の聞き取り調査では, 「思った以上に多く. が活発に行える課題であるかを検討したいと考. のことが検討できたので10分間でよい」という. えていた。模擬授業後のインタビューで,生徒. 意見がほぼ全員の参加者から聞かれた。また,. が納得して課題に取り組めるような提示の仕方. 実施する時間帯については,教務担当者とも協. の必要性に気づいたことがわかる発言があった。. 議し,時間割作成段階から同じ教科の担当者が 共通して使える空き時間を設定するなど,工夫. 4.研究の成果と今後の課題. が必要となる。. 研究の結果は以下の2点に集約される。第一. 33若手教師を対象とした研究実践. に実際の授業の前段階として模擬授業を位置づ. 第5章では,第4章で構想した授業研究モデル. け日常的に実施することで,授業についての省. を取り入れた若手教師を対象とした研究実践の. 察の機会が増え,授業改善への意欲が増したこ. 概要と方法について論述し,模擬授業および事. とを確認した。. 後検討会参加者の発話を質的に分析し,考察し. 第二に,模擬授業に参加した授業者以外の教. ている。. 師は,授業者が課題としていることをともに考. 3.3.1国語科における模擬授業. える過程で,他の教師の授業観を知り,より良. 国語科部会での授業者Aは,教職経験年数2年. い授業を模索する中で自身の授業についても省. (本校では1年目)の女性教師である。模擬授業. 察することにつながった。. には,教職経験25年日の女性教師Fと7年目の. 今後の課題は,播磨東地区の中学校において. 男性教師Kの2名が生徒役で参加した。授業者. 模擬授業を取り入れた校内研修を実施し,その. Aは,発間が適切かどうかの検討を目的として. 有効性を検証するとともに,調査で得られた知. 模擬授業を行った。授業後の検討会でのF先生. 見に基づいて,模擬授業を活用した授業研究モ. やK先生の発言から,自らの実践を「省察」し,. デルの修正案を提案することである。. 課題としていた発問そのものを改善するだけで はなく,授業の申で何を目標とし生徒にどんな. 修学指導教員 増澤康男 溝邊和成. 力をつけたいかを念頭に置いて,授業をデザイ. 指導教員 溝邊和成. 一33一.
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