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出版者 法政大学地域研究センター千代田学プロジェクト

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(1)

学 報告書)

著者 田中 充, 山田 元紀, 長野 浩子

出版者 法政大学地域研究センター千代田学プロジェクト

ページ 1‑89

発行年 2007‑03

URL http://hdl.handle.net/10114/11575

(2)

平成 8 1 年 慮 千 代 田 学

報 告 書

CSR 活動とし 'CO) 企業 G

環境教育支援

平成 9 1 年 3 月

法政大学地域研究センター・千代田学プロジェクト

(3)

平成

8 1

年度千代田学-報告書

目 次

はじめに

1

章持続可能な社会のための環境教育 ...•...•....•...••... . •...•...

2

1 環境教育の定義と概念 2

2

環境教育に関する法的枠組みの整備と関連 3 3 企業が学校と連携して行なう環境教育 5

4 第三者機関の存在と必要性 7

2章千代田区立九段中等教育学校事例報告... 51

1 九段中等教育学校での概要 15

2

九段中等教育学校で実施にいたる背景 17

3章千代田区立昌平幼稚園事例報告... 23 1 昌平幼稚園で、実施にいたる背景 23

2

昌平幼稚園での環境教育の概要 24

3

幼稚園での環境教育の課題と展望 27

4章シンポジウム報告「CSR 活動としての企業が行なう環境教育支援j ...... 33 1 平 成81 年度千代田学報告 35

2

基調講演 40

3 九段中等教育学校事例報告 49 4 昌平幼稚園事例報告 56

5

パネルディスカッション 62 6 ご挨拶 81

5章 考 察 と 提 言 ...•...•...••.•.•••..•• . •..•.•...••.•...••.•..••.... 83

1

企業と学校の連携による環境教育の実現に向けての提言 83

2

企業と学校の連携のための第三者機関への提言 85

おわりに............................................................................... 87

資料編

九段中等教育学校関連資料 昌平幼稚園関連資料 シンポジウム関連資料

研究体制

(4)

防じめに

(5)

はじめに

はじめに

近年、現代社会の課題である持続可能な社会の構築や地球温暖化問題などの解決にむけ て、環境教育への期待とその重要性への認識が国内外において高まりつつあるO

ところで、環境教育については、国連による「国連持続可能な開発のための教育の01 年J の採択やわが国の「環境の保全のための意欲の増進および環境教育の推進に関する法律j

の成立により、その位置づけや概念、推進の枠組みなどに関して法的な整備が行なわれて きた。ここでは、環境教育は持続可能な社会の構築の実現のために行うととにあるとして、

その目的も明確にされ、このような環境教育の担い手は多様な主体が行なうものと定めら れている。

平成18 年度千代田学は、環境教育に現代社会の期待が寄せられる背景について、環境問 題の歴史的な経過を通して環境教育の意義を検討するとともに、環境問題の解決のために 行なわれる環境教育の担い手として多様な主体の中から特に企業に着目し、企業がその本 来事業を素材にして学校と連携して行なう環境教育のあり方にについて検討を行なった口

また、その成果を踏まえつつ、千代田区立昌平幼稚園と千代田区立九段中等教育学校に おいて企業と学校が連携した環境教育を実践し、ついで、企業と学校が連携する際に両者 間の調整を行なう第三者機関の必要性と設立のための課題についての検討を行なった。

本報告書は、第 1 章は、持続可能な社会のために環境教育についての調査研究について 述べる。第 2 章、第 3 章は千代田区の公立学校での企業が行なう環境教育の実践事例報告 である。第4章は、平成 19 年3月 16 日に行なったシンポジウムに関する報告であるD 第 5章は、本研究調査に関する考察と提言を行ない、おわりに、では千代田学調査結果のまと めと今後の課題を報告する。なお、本調査研究に関する資料は巻末にまとめて掲載した。

本調査研究は、平成81 年度の千代田区が実施する千代田学の助成を受けて行なったもの である。

(執筆担当者:山田元紀)

(6)

第 1

持続可能移祉会(;) e t ) ; ( ) i t

環境教育

(7)

1章持続可能な社会のための環境教育

第 1章 持続可能な社会のための環境教育

地球サミット以降、先進国を中心に世界の国々で「持続可能な社会の開発J という目標 を掲げて環境問題に取り組んで、いるが、その実現のための一つの方策として環境教育の実 施の重要性が注目されている。とはいえ、環境教育をただ実施すれば持続可能な社会の実 現につながるとは限らない。そのためにはどのような内容の環境教育が行なわれる必要が あるのかが明らかにされなければならない。しかし、環境問題は時代を越えて同一の内容 が問題としてあるのではない。それぞれの時代によって対象となる問題の内容は変化して きたD 環境教育が取り上げる内容はその時代が抱える環境問題と密接な関係にある。

1

節環境教育の定義と概念

1992 年(平成 4 年) 6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで国連環境開発会議(地 球サミット)が開催され、アジェンダ112 が採択されたD アジェンダ12 では、環境教育に ついては「持続的開発に向けた教育の再編成2J として、第36 章《教育、意識啓発、研修 の推進》に、「地球環境問題をはじめとする現在の環境問題を解決するためには、国民や事 業者によって自主的かつ積極的に環境への負荷を低減するための取組が進められ、経済社 会システムを変えていくための働きかけが行われることが不可欠である。国民や事業者の これらの自主的な取組を促進するためには、各主体によって、人と環境との関わりなどに ついての基本的な知識が修得され、その理解が深められ、環境保全のための望ましい行動 がとられるよう、地域、家庭、学校、企業等や豊かな自然といった様々な場を通じ、人々 の生涯にわたり、環境教育、環境学習が進められていくことが求められているJ と提示さ れた。

この定義では環境だけでなく、環境問題に対する関心や人間の活動と環境とのかかわり についての総合的な理解と認識を求め、技能、思考力、判断力、参加、態度などを重視し ているD ここに掲げた「教育、意識啓発及び研修の推進j はアジェンダ 21 の全ての分野 に関連しており、基本的にはトピリシ宣言の精神に則したものとなっている。

1 9 9

7 年(平成9年) 21 月、 84 カ国から 1200 人の専門家を集めて、ギリシャのテサロ ニキで、ギリシャ政府とユネスコ主催による「環境と社会の国際会議J (テサロニキ会議)が 開催され、 「テサロニキ宣言J3 が採択された。この宣言の中では、環境教育の目的は、① 環境問題に関心を持ち、②環境に対する人間の責任と役割を理解し、③環境保全に参加す る態度と環境問題解決のための能力の育成であるとしている。環境教育は単にそれ自体が 目的ではなく、態度や生活スタイルを変化させる手段で、あり、人々に知識やスキルを広め、

1 21r 世紀に持続可能な開発を実現させることを目指す地球規模の行動計画」

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(8)

1章持続可能な社会のための環境教育

持続可能性に向けて変化するための備えを与えるものと述べられている。そして、環境教 育が持続可能性のための教育としても扱われてきたことから

J

環境と持続可能性のための 教育J と呼ばれた。また、環境教育に関する一連の国際会議での勧告や行動計画について 明記し、国連環境開発会議以降の主要な国連会議で議論され、高められてきた教育と公衆 の意識啓発(cilbuP Awareness )にかかわる価値や行動計画を踏まえ、教育全体を持続可 能性に向けて再構築していくための諸原則が掲げられた。

一方環境教育の概念については、最初に1970 年(昭和45 年)のアメリカの環境教育法 で「理解させるプロセスJ と定義された。しかし、その後数度にわたる国際会議を通して、

環境問題への世界的で深刻な危機感から、環境教育は問題の理解を促すだけではなく、「問 題への積極的な関心j を持つことから「行動に結びつく人材」を育成し「持続可能な社会 の実現を目指すj ものとして定義されるようになった。

今日では、多くの環境問題は一時的あるいは過渡的な問題ではないとの認識のもとに、

国連を中心に世界が関心を寄せて問題解決を目指ざそうとしているD しかし、その解決は 政治的、経済的あるいは社会的な対応、や環境の保全に関する技術的革新だけで可能となる ものではない。むしろ、人間のあり方そのものと深くかかわる問題であるがゆえに、環境 問題の根本である人間の意識と行動に対してアプローチする教育に大きな期待が寄せられ る。このように環境問題の解決のための環境教育への期待が、ベオグラード、 トピリシの 環境教育の国際会議を支えていた考えであり、そうした視点は今日でも受け継がれ、環境 教育を実施する上での中核をなす概念になっている。

2

節環境教育に関する法的枠組みの整備と課題 21 環境教育と環境基本法

第1節でみたように、環境教育の領域において、国連をはじめとする国際機関の果たし てきた役割は極めて重要である。今日、環境教育の開発と実践が国際機関の定めた定義や 概念に沿って、世界の多くの国々において推進されている口このように、環境教育が人類 共通の重要な課題として自覚されるのは、環境問題の解決の基本的な契機として環境教育 の充実が重要だという認識4による。わが国でも 1993 年(平成5年) 11 月に環境基本法が 成立し、第 25 条の「環境の保全に関する教育、学習等j には、 「国は、環境の保全に関 する教育及び学習の振興並びに環境の保全に関する広報活動の充実により、事業者及び国 民が環境の保全についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全に関する活動 を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとするj と規定されて し、る。

環境基本法は、環境教育・環境学習について国の責務をあきらかにした。しかし、理念 の段階にとどまり具体性に欠けるきらいがあるが、環境教育を法律条文で規定した点は高 く評価される。これにより環境政策分野においてはじめて環境教育が制度として制定され たD また、環境基本法に基づき、 2000 年(平成21 年) 21 月に閣議決定された環境基本計 画5には、環境教育・環境学習について、表2のように提示されている口

4 市川昭午編[8119 ]『学校教育と環境教育』 p157 、教育開発研究所

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. 3

(9)

1章持続可能な社会のための環境教育

表2 環境基本計画における環境教育・学習の内容

環 境 基 本 計 画 第2部第2節持続可能な社会の構築に向けた環境政策 (

3 )環境教育・環境学習 6

環境教育・環境学習は、各主体の環境に対する共通の理解を深め、意識を向上させ、問題解決能力を 育成し、各主体の取組の基礎と動機を形成することにより、各主体の行動への環境配慮の織り込みを促 進するものです。このような観点から、環境教育・環境学習は、一般的で基礎的なものから専門的なも のまでを、各主体の行動の特性を踏まえて効果的に、広く国民を対象として実施します。特に、環境保 全のための取組に重要な役割を担う者や次世代を担う年齢層については、環境教育・環境学習の必要性 が高く、その実施の効果も大きいと考えられることから、重点的な実施を図ります。

また、環境教育・環境学習の内容については、従来から行われている環境汚染や自然保護の枠にとど まらず、消費、エネルギー、食、住、人口、歴史、文化などの多岐にわたる要素を含めた持続可能な社 会実現のためのものへと幅を広げるとともに、知識蓄積型ではない、「体験を通じて、自ら考え、調べ、

学び、そして行動するj という過程を重視した環境教育・環境学習への拡大を推進していきます。

さらに、国民一人一人を中心に位置付けて、地域の行政が学校、民間団体、事業者などのパートナーシ ップによる連携の下で環境教育・環境学習のための施策を展開できるよう、国は、環境教育・環境学習の 基盤となる施策を推進します。

(出典:環境省HP) 環境基本計画における環境教育の考え方には、環境基本法の理念を踏まえ、国際機関の さまざまな環境教育の定義が取り込まれた。一方、推進法では、知識の取得や理解にとど まらず、自らの責任ある行動をもって持続可能な社会づくりに主体的に参画できる人材を 育成することを目指す、と定義している70 すなわち、推進法では、環境基本計画の考え方 からさらに一歩進めて、環境教育においては自ら行動できる人材の育成が重要だとし、受 動的ではなく主体的な参画を求めている。

こうした国の環境教育の理念に沿って実現された先進的事例として、わが国ではじめて

「環境学習都市宣言8」を行った西宮市(兵庫県)をあげることができる。この宣言では、

環境教育の定義を「私たちのくらしは自然に支えられており、その自然をどう利用してき たかを考え、環境に対する理解を深めて自然・歴史や文化・産業・伝統といった地域資源 を活用しながら、地域や地球環境との望ましい関係、を築いていくために学びあうものであ るJ と掲げ、国の環境基本計画に規定されている環境教育・環境学習の理念を汲み取りつ つ、地域の特性を重視して作成されている。特に注目するのは、環境教育を「学びあうj

行為としている点である。すなわち、環境教育においては、従来の教育のあり方のように 知っている者から知らない者へ伝えるといったヒエラルヒー構造を脱却し、両者が共に学 びあうとし、う対等の関係、において行なうという姿勢を示したものである。

もともと、環境問題の解決には統一的な解が存在しないD ということは、環境教育にお いて教えることの範囲とは、情報提供などにとどまり、本来は各自がそれぞれ解をみつけ て行動することが求められている。西宮市の宣言はそのことを踏まえて環境教育のあり方 まで定義に盛り込んでいる点で高く評価される。

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(10)

1章持続可能な社会のための環境教育

西宮市の取り組みに関しては、環境教育のコーディネイターとして地域社会で確たる地 歩を固めつつ、優れた活動を行なっている「NPO 法人子ども環境支援協会」(以下LEAF

という)が存在している。LEAF は、西宮市行政の呼びかけに地域社会の多様な主体が応 じて設立されたものであり、その背景には環境都市宣言の中に掲げられている行動憲章の 参画と協働の理念をうけて実現にむすびついたと推察される。

3節企業が学校と連携して行なう環境教育

DESD や推進法では、持続可能な社会の実現に向けて行なう環境教育には、多様な主体がか かわることが重要だとしている。千代田区内には上場企業の本社が300 社も立地し、 ISO 認証 取得の事業所が 180 あまりも存在している。そこで本研究では、そのような目的で行なわれる 環境教育の多様な担い手の中から、それらの企業に注目した。企業は、確かに多様な主体の一 つであるが、現代社会においては経済的、環境的にはもとより、強力な社会的影響力を持つ存 在である。本章では、そのような企業が環境教育の有力な担い手として注目される こつの理由 について検討する。

3

・1 企業が環境教育を担う二つの理由

① 経済行為を課題にする企業の環境教育

第 1 は 1977 年のトビリシ宣言9にも取り上げられているように、本来環境教育は人間と自 然とのかかわりに関するものと人間と企業が行う経済行為とのかかわりに関する二つの領域に ついて行うことが持続可能な社会の実現のために必要で、ある 。

人間環境は、企業の経済行為に支えられて成り立つ一方で、それらの企業の経済行為は、自 然環境から資源を調達し、生産、流通、消費、廃棄そして再利用という全工程を通して、自然 環境に直接的にあるいは間接的に負荷を及ぼしている 。 ()1

経済行為により発生する 環境負荷の削減を図ってい る企業は、そのための技術や 知識と情報、あるいは社内で 実施する環境教育に関する ノウハウなどを豊富に所有 している。

これらは、人間と企業が行 なう経済活動とのかかわり に関する環境教育において、

環境教育の素材として活用 できる有効な資源となる。

人間環境は企業の経済行

図1、企業の経済行為と持続可能な社会の関係

環境負荷の軽減=企業の環境経営

持続可能な社会の構築

筆者作成:2006

9 1977 年のトピリシ宣言の中に、「環境教育は自然環境と人工環境とが深く相互依存しているとい う事 実を求めるJ、と述べ られている 。

. 5

(11)

1章持続可能な社会のための環境教育

為により支えられているが、一方ではその企業の経済行為が持続可能性を脅かすことにもつな がっている。

このような、人々の生活を潤し豊かにする企業の経済行為のさまざまな側面は、企業関係者 以外からはみえにくい部分で、あり、詳細な実態は一般には知られていない。

すなわち、人間と企業が行なう経済行為とのかかわりに関する環境教育を企業が学校で行な うことにより、企業と子ども(次世代の消費者)の両者が、企業の経済行為が引き起こす環境 負荷を削減するという人類に共通の解決すべき課題を共有し、課題の解決を実現するために行 動できる人材の育成が持続可能な社会の実現を可能にする。こうした領域の環境教育をリアル に行なえる主体は企業をおいて他には存在しない。ここに、企業が人間と企業が行なう経済行 為とのかかわりに関する環境教育を担うことにより環境教育が豊富化される可能性がうまれる。

② 社会貢献として行なう企業の環境教育

2 に、現代社会から企業に対して様々な領域の社会貢献への期待が寄せられている。とり わけ、環境教育もふくめて次世代の育成にかかわる教育分野への貢献は社会性のあるものとの 認識が企業と社会の双方に広まっている。法政大学地域研究センターが平成61 年度に行なった 調査においても、千代田区内に立地する数社の企業が環境教育支援に対する意欲を示している

ことにおいてもそれをあらわすものと認識することができるD

企業経営に関して社会的責任を初めて提起したのは、 1956 年(昭和31 年)の経済同友会10で 決議された「経営者の社会的責任の自覚と実践j である。その後、経済同友会は、高度経済成 長とともに発生し深刻化した産業公害への社会からの抗議運動に対処するため、 1972 年(昭和 47 年)に発表した「企業と社会の相互信頼を求めてj の中で、企業の社会的責任を企業と社会 の問題とし、利益の社会還元は社会の発展にとって必要だと主張した。

1980 年代には、わが国の企業が抱える課題の一つに経営の国際化があった。特に、在米日系 企業は社会貢献(フイランソロブィー:Philanthropy )を通して現地化を推進する必要に迫ら れ、その結果として、日本社会にも企業活動の一環として社会貢献が導入された。

また、 1990 年(平成2年)には、当時の経済団体連合会11 に「社会貢献推進委員会j が設置 され、経常利益の

1%

以上を社会貢献に役立てることを目的とした「

1%

クラブj が発足した。

その後の 1992 年(平成4年)に「社会貢献白書J12 が出版されたc 1990 年代の不況時には、

企業の社会貢献や企業メセナは低調となったが、企業活動への社会貢献の導入は、企業の社会 的責任とし、う概念を確立する重要な契機となった。

2000 年代に入ると、わが国でも企業経営に関して社会性としづ概念が頻繁に登場してきた。

2001 年(平成13 年)に環境経営格付機構13 が設立された。また、社会的責任投資(I)SR 41が 導入され、企業に対して環境問題等の社会的な問題への配慮、がさらに強く求められるようにな った。

10 .w.ro.iakuyod /tuoba/pj 6002( 01 )61

1

1 平成41 200(2 )年に日本経営者団体連盟と統合して日本経済団体連合会となる

1

2 経済団体連合会編

1

3 NPO 法人環境経営学会fdp.21215002/fdpa/tad/jp.irms.www//:ptth )10170/6002(

1

4 laicoS Relbisnop ttmenvesIn ,の略

(12)

1章 持 続 可 能 な 社 会 の た め の 環 境 教 育

2003 年(平成51 年) 3月に、経済同友会は「第51 回企業白書j を発表した。この中で、

企業の社会的責任とは、経済・環境・社会のあらゆる側面において社会ニーズの変化をいち早 く価値創造へと結びつけ、企業の持続的な発展を図る投資と位置づけている。経済同友会が定 義している社会的責任とは、社会的責任を果たすということ以上に未来志向的であり創造的で ある。つまり義務から貢献や責任そして創造へと企業の社会的責任についての概念そのものが 進化しつつあることが読み取れる。

しかし、環境格付け機構が行なう環境性評価の対象項目の中に環境教育への支援活動はまだ 視野に入っていない。けれども、企業が参画する環境教育の実践事例15 でも多くの企業は社会 や学校を対象としてさまざまな環境教育支援を実践している。このことからみれば、今日の企 業が行なう社会貢献の一環としての環境教育は定着しつつあるといえる。

以上のことから、学校において企業が担い手となって、人間と企業が行う経済行為とのかか わりに関する環境教育を行なうことと、現代社会からの要請を受けて行なう社会貢献の一環と

しての次世代の育成というこつの理由において、経済・環境・社会の三つの要素を備えた持続 可能な社会の実現が可能となる。

第4節 第三者機関の存在と必要性

本節では、企業と学校が連携して環境教育を行なっている最も優れた事例として NPO 法人 こども環境活動支援協会(以下 LEAF16 という)を取り上げて、第三者機関の存在と必要性に ついて検討を行なう。

西宮市では9219 年(平成4年)より、子どもたちの自主的な環境活動を支援するために「2001 年・地球ウォッチングクラブ・にしのみや(EWC) J を始めた。また、 1998 年(平成01 年) からは、市立小学校の全生徒にエコカードを配布し、地域・学校・家庭をつなぐ環境活動シス テムを市民・事業者・行政の連携のもとに展開している170

そしてLEAF は、西宮市が推進する環境政策の推進のために、 1998 年(平成01 年)に西宮 市が市民や企業関係者に呼びかけを行い、行政が支援する中に任意団体として発足した。その 後、活動が軌道に乗りはじめたのを契機に、 2002 年(平成 14 年)にNPO 法人として兵庫県 から認証を受けた。

筆者は、西宮市の職員として長年にわたり市の環境行政に携わり、特に、 LEAF の発足時か らNPO 化の過程おけるキーマンである O 氏に対して、 2006 年(平成81 年) 11 月24 日に、

西宮市のLEAF の事務所にてヒアリングを行ない参考とした。そして、企業や市民としてLEAF の活動に参加したもう一方のキーマンである、 K 社Y 氏には、 2006 年(平成81 年) 21 月6

日に、 D 社N 氏には、 2006 年(平成81 年) 21 月14 日にヒアリングを実施して資料の補足を 行なった。

なお、本節ではLEAF が行なうさまざまな活動のなかから、 LEAF が調整役を担うことで実

1

5 環境省HP (GEIC )参照

1

6 LEAF : Learning and lacigolocE seitivitcA Foundation rof nreCdlih の略称 1

7 西宮市「平成16 年度環境省委託事業J『小学校6年間の環境学習プログラム実践に閲する評価事業・実施報告書Jpl

. 7

(13)

1章持続可能な社会のための環境教育

現している企業と学校で行なう企業プロジェクト「企業ができるこどもたちへの環境学習支援 事業18 J (以下支援事業という)に着目して、 LEAF と企業のそれぞれが果たしている役割につ いて検討する。

4 -

1 企業と学校の連携に果たす第三者機関としてのLEAF の役割

① 企業と学校の連携を進める LEAF

LEAF は、企業と学校との連携の調整を行ない、学校における企業が行なう環境教育の実施 を目的のーっとしている。 LEAF が企業と共に学校で行なう環境教育の理念、は、持続可能な社 会・経済の実現のために、企業人を社会の教育者として「企業とともに持続可能な社会に向け た教育J を推進するためのプロジェクトと位置づけている。そして、教えることが最も深い学 びにつながるという考え方を基本に、地球環境の保全に取り組む企業のポリシーや活動内容を 社員が学校の授業の中で語り、「生きる力を育む教育j への支援を行うとともに、子どもと企業 の社員が相互に学び合うことのできるシステムづくりを行っている。そして、 LEAF は多くの 関係主体問の調整役として、企業の社員が学校現場で子どもの教育者としての体験学習を支援 できるしくみづくりを担っている。こうした理念のもとにLEAF は、任意団体として発足した 時から企業会員とともに子どもに対する環境教育の推進を活動の大きな柱と位置づけ、具体化 にむけた取り組みを進めてきた019

そもそも、 LEAF は、企業との連携で生まれ、自然環境や環境問題にかかわることを目的に して形成された組織であり、企業とともに学校で環境教育を行なうのは一つの必然で、あった。

西宮市内に立地する、大手企業や町工場など規模の大小や業種に区別なく参加した多くの企業

2

0 が、地域社会において循環型の産業構造を考えるというテーマのもとに学習プログラムを作 り、市内の学校で環境教育を実施してきた。 LEAF は、大人が子どもに教えるということだけ ではなく、教える側の企業の大人が子どもとかかわる中から多くの学びがうまれることが、企 業にも有益であるとしてきた。こうしたLEAF の考え方は、 2003 年(平成 15 12 月に、

西宮市が行なった「環境学習都市宣言21j に環境学習のあり方として「学びあうことJ として 反映されている。

企業が単独で、学校と協力関係を作りたいと願っても実際には多くの困難が伴う。西宮市にお いて、そうした障害を克服して企業と学校が連携できたのは、 LEAF が窓口となり複数の企業 を取りまとめ、企業と学校などの主体問の調整を果たしてきたことによる。そして、複数の企 業が同時に学校にかかわることにより、子どもは地域社会の様々な産業の循環や生活とのつな がりを理解することができた。このようにして、 LEAF が調整機能を果たすことにより、企業 と学校の聞に潜在する障害を乗り越えられて、企業が学校と連携して行なう環境教育が実現で きたのである。

1

8 向上

1

9 NPO 法人こども環境活動支援協会[2/1006 ]『企業ができるこどもたちへの環境学習支援よ p8

20 現在では80 社が会員企業となっている。(2006 21 月時点)

2

1 西宮市は「環境学習J をまちづくりの基本理念に、市民・事業者・行政などさまざまな主体の参画と 協働により持続可能なまちづく利を展開していくととを内外に表明するため、全国初の「環境学習都市 宣言」を2003 年(平成51 21 月に行なった。(西宮市長談:LEAF 冊子、 p15 )

(14)

1章持続可能な社会のための環境教育

LEAF の設立趣旨22によると、こうした活動は良き企業市民として、学校の「総合的な学習 の時間j への CSR 活動と位置づけられ、企業の教育支援は子どもの「生きるカの育成j のた めの外部資源の導入となる。そして、学校側の外部資源に対するニーズと、企業市民としての CSR 活動を行ないたいという企業のシーズ》ミ結びつき、学校教育という公共の場を通して、地 域社会の形成に資するのが、 LEAF の支援事業の大きなねらいとなっている 。0 氏は23 、こう した活動を順調に推移させ実現させるためには、企業、学校、行政あるいは地域社会の関係主 体間の置かれている状況を、こうした目的に沿って時間をかけながら熟成させる過程が必要で ある、と述べている 。

L K位、の課題と展望~企業が行なう環境教育の社会化~

LEAF が、企業とともに学校で行なう環境教育の支援活動の中には、キャリア教育の実践も 視野に入れている。この点は藤42jlJ も指摘しているように、経済行為で社会を支えている企業 が学校で授業を行なうのは、子どもがさまざまな企業で働く多様な大人に出会える絶好の機会 であり、格好の場になる 。そして、現実の社会は多様な企業によって支えられていることを、

子どもたちは実感的に学び、社会で働く多様な人々の生き方や価値観を発見し、子どもは大人 の働く姿を目の当たりにして社会のさまざまな側面を学ぶことができる 。大人が学校に出向く ことにより、子どもはそれぞれの人生にとって幅の広い多様な選択が可能となり、当初の選択 を変更するといったことが起こることも想定できる 。 さらにこのような機会の設定は、学校関 係者が企業活動や社会についての認識を新たにする好機となる 。また、企業と学校が連携する 場は、企業にとっては社会貢献の実現であり、地域社会に新たな連帯感がうまれるという意義25

をそこにみることができる。そのようなことを「環境学習都市宣言j を行なった西宮市では、

LEAF が企業とともに実施している次世代の育成のための環境学習支援プロジェクトとして

「子どもたちの生活と学習をつなぎj、「企業と学校をつなくつという、地域に根ざした環境教 育活動が実際に運営されている 。

現在はどこの団体にも所属せずに自由な立場で、西宮市に限らずさまざまな環境学習支援活 動を各地で、行なっているO 26 LEAF の活動も含めて、西宮市の環境政策全体に関する今 後の課題と展望について「LEAF も西宮市も、長い時間をかけて多様な手順を踏んできた結果 としてここまで到達できた。企業開の連携や行政との連携、あるいは学校との連携が一朝一夕 にできあがるものではないが、一つのモデルが完成したといえる。今後の展望は、西宮市の環 境まちづくりの方針として、エココミュニティ会議を中学校区を基本単位としてつくることに ある。そして、中学校区内に立地する企業が、校区内の学校を支援する新たな仕組みづくりを 推進することであり、 LEAF の新たな役割は全国各地に同様の活動を拡げることにあるj と述 べている 。

わが国が定めた推進法は、環境教育を行なう上で多様な主体がかかわることとしているが、

LEAF が企業とともに学校で行なう持続可能な社会の構築のための環境教育の実践活動は、こ の推進法の精神に沿ったものといえる 。

22 LEAF HP から転記したものをこの節の末尾に記載しである。

23 平成81 11 24 日の筆者のヒアリングに答えて。

2

4 法政大学地域研究センター[2006 ]『企業の環境教育支援活動に関する調査研究』 p42

2s KY D N 氏も、藤川と同様の指摘を行なっていることがヒアリングから伺えた。

26 2006 年(平成81 11 24 日にLEAF の事務所での、ヒアリングの内容である。

. 9

(15)

1章持続可能な社会のための環境教育

そして、企業が学校と連携して環境教育を行なう意味について、 0 氏は「支援活動のねらい は、会社が努力している環境への取り組みの考え方や技術の社会化にある。企業が行なう環境 教育の社会化の方法が学校教育への参画であり、企業は社会の教育者27 になるべきであるJ と 述べている。さらに「企業の経済行為は、企業自身のためだけではなく、社会全体に有益なこ

とであり、それを外部に発信しなければ各種の取り組みは企業の内部に留まる。その取り組み を引き出す努力がLEAF の果たす役割である。社会に対して発言することで、自らの社会的責 任を背負っていくということも企業にとって大切な行為である。企業と社会との聞にパイプを 作って、お互いに適度な緊張関係を形成しておくことが肝要であるj と述べている。地域社会 の主体問におけるこの適度な緊張関係を構築するのも LEAF のような第三者機関が担う役割

となる。

③ 企業の側からみたLEAF の活動

LEAF とともに学校と連携して環境教育活動を支えている企業は、LEAF の果たした役割と、

企業が環境教育に参画することをどのように捉えているかを、 二つの事例から検討する。

筆者は、 O 氏とともにLEAF の設立とその後の活動に関してのキーマンである、大手アルコ ール飲料企業K 社のY 氏と、地場産業の中小企業のD 社のA 氏にヒアリングを行なったc

K 社の事例》

2 年間のボランティア休業制度を利用して、西宮市の進める子どもに向けた環境教育事業の 事務局民営化を支援してきた。 NPO の設立に立会ったあとで東京勤務になった。当初は企業 人としてではなく、個人的な関心事として個人でできる震災復興支援として西宮市の呼びかけ に賛同して活動に加わった。 しかし、企業人として日ごろから意識していた、企業と市民の接 点の構築の必要性が企業内部でも徐々に鮮明となってきた。現在は東京本社に勤務しているが、

神戸市に立地する製造工場では、来場者を対象とした環境コミュニケーションの企画運営や来 場者対応のためのスタップ研修などの業務をLEAF に委託している 。

LEAF のNPO 法人化に立ちあうことで、思いを形にする過程を学ぶことができた。とうし た経験は企業で働く際にも活かせる機会があることを知った。企業と地域社会の接点で両社を つなぐ機能としてN p O への期待は大きく、反対に企業が NPO の支援を受けないで単独で地 域社会に入り込むことの難しさを実感した。単発の連携事業ならばたやすいのかもしれないが、

継続して連携体制を維持するためには、両者の利害が調整されなければ長続きはしにくい。地 域社会で様々な主体が協働するためにはNPO の機能強化が必要である。

例えば、地域の学校から環境教育の依頼があり、良かれと考えて応対したことが、かえっ て生徒たちゃ学校に不快感を残す恐れがある。廃棄物処理の実態を見学いただくと、汚い 臭い側面をご覧いただくことになるが、なぜそうしたものが見学として必要で、生徒たち はその見学を受けて何を考えなければならなし、かが明確でなければ、生徒たちが企業に抱 くイメージはマイナスなものとなる危険性がある。つまり環境教育を推進するうえでの明 確な考え方のもとに作成されたカリキュラムの準備と、それを正確に伝えられる授業を準 備するととが学校の環境教育にかかわる上で重要だと考えている。企業が学校の環境教育

2

7 「企業ができるこどもたちへの環境学習支援事業J の理念の実現を意味している。

(16)

1章持続可能な社会のための環境教育

の担い手となるためには、このような事前準備と学校関係者に対して企業が行なう環境教 育の全体像を明示し、企業と学校の役割分担を事前に明確にする必要がある。学校側がそ の調整を行っていただければいいのかもしれないが、学校側も様々な制約もあり、実際に はそうした事前相談が行われることは少ない。したがって、当社は学校と連携して環境教 育を実現する際に両者間の調整を担う NPO などの第三者機関の存在が必要と考える。そ して、当社の環境教育に関する理念を理解し、当社が行なう学校で、の環境教育について学 校側の意向もくみ取り、両者の連携のための調整機能を備えたサポート体制が望まれる。

地域にそうした組織体が整備されることが、当社が学校と連携して環境教育を実施するう えで望んでいることである。

D 社の事例》

D 社は、 1974 年(昭和49 年)に産業廃棄物処理業として事業を開始した。資本金7000 万円、従業員数48 名加で、兵庫県西宮市に本社を置き 2000 年(平成12 年)に18014001 を認証取得している。

D 社のような産業廃棄物処理業者が地域で仕事を行なうには地域社会に支持される必要 がある。もともと、廃棄物処理企業は地域社会が受け入れにくい業種であり理解されにく い事業体である。しかし、当社が地域社会で支持され認知されるための方策が見当たらな かった。そうした時に、西宮市から LEAF の立ち上げ参画の呼びかけがあり、直ちに参加 することを決めた。 LEAF は企業を中心に据えた活動で、あったが、当初は個人という立場 で参加した。しかし、 LEAF での活動を継続する中で当社の社会貢献活動を地域社会が認 知することとなり、地域社会が当社を受け入れてくれるとしづ経験を通して社員も LEAF の活動への理解を示し、今日では全社一体となってLEAF の活動を社会貢献と位置づけて 支援を行なっている。

企業が主体的に活動できる場をLEAF が提供してくれることにより 企業は地域社会で 他の主体とともに協働して社会貢献活動を実現できる口こうしたことを企業が単体で行な うのは不可能に近い。このような活動に参画する企業としては、最小限のコストで最大の 効果が生み出されている、と実感している。企業会員はLEAF の資源であり、双方が協働 する利点は大きい。当社が全面的に協力するのは、 LEAF が所有する社会貢献モデ、ルや広 報モデルなどのノウハウが便利で使いやすし、からであり、 LEAF は地場の企業にとっては 欠かせない存在となっている。

学校での環境教育に関して言えば、 LEAF と教員との関係、ができたことにより、これま で、行なってきた出前授業に不満を持っていた大手企業も、 LEAF との協働により満足ので きる環境教育の授業ができたと感謝している。企業規模の大小に関係なく、学校との連携 については調整機関が必要である。

このように、 LEAF の活動は地域社会の多様な資源、を連携させ調整して、大きな成果を地 域社会にもたらすことのできた成功事例の代表的な一つで、あるといえる白

以上、両氏に行なったヒアリングから得られ情報を整理すると、学校の環境教育を行な う企業には規模の大小や業種に関係なく、地域社会と企業が接点を構築するには単独では

28 いずれも、 2006 年(平成81 21 月現在の実績である . 11

(17)

1章持続可能な社会のための環境教育

困難が伴うがLEAF が企業と地域を仲介することによって、地域社会は企業を受け入れる ことが可能になる。このように、企業が社会貢献活動を行なうにあたり、地域に密着して いる NPO 法人などの活用が必要となるc 特に、企業が学校で環境教育を実現したいとし ても、実際には多くの障害に阻まれる可能性もあり、たとえ実現できても企業が目指そう

とした環境教育ができるとし寸保障は無い。

LEAF は、企業に対して社会貢献の場を提供することにより、企業は学校での環境教育 支援活動が可能となり、企業にとっては社会貢献活動の実現となる。つまり、企業はLEAF の支援を受けながら、学校での環境教育支援活動を通して地域社会との接点を作りだすこ

とができる。 LEAF の活動は、地域社会の構成主体聞の連携を促進し、企業が学校で環境 教育を行なうことを通して、地域社会に連帯感を生みだすことに貢献しているといえる。

④ LEAF の活動の評価

2002 年(平成41 年)度に西宮市が実施した環境省委託事業は、 2000 年(平成21 年)より 西宮市立平木小学校をモデ、ル校とし保護者・教員・NPO (LEAF )などの連携と協働により進 めてきた体験的環境学習を体系的に整理して、 6 年間を1単位としたカリキュラムにまとめる とともに、子どもの環境学習を支援するシステムのあり方についての検証が目的であった。

次に、 2004 年(平成61 年)度に西宮市は、環境省委託事業に関する実施報告書29 (以下報 告書という)を作成して、その中で、モデ、ル校の取り組みが効果的な体験的環境学習を実施でき ているかの評価を行なった。

報告書のデータをもとにして、企業を対象としたアンケート調査とインタピ、ューの結果の中 からLEAF の活動に関する評価だけと取り上げて報告する。

1)報告書のアンケート結果(企業として参加してよかったこと)

アンケート調査結果(アンケート回収率 20 (回収) /37 (参加者数) =54%) 表 1 企業として参加してよかったこと付回答の選択数:)2

項 目 *回答 % 回答/回収(20

社会の仕組みを子どもたちに伝える事ができた 2 6 0.01

自社のPR ができた 3 9 0.51

働く大人の姿を子どもたちに見せることができた 6 81 0.03

他社とのつながりがもてた 4 12 0.02

新たなビジネスチャンスが得られた

。 。

0.0

自社の環境保全の取り組みを子どもたちに伝えることができた 5 51 0.52

多様な主体と連携して環境保全活動に取り組むことができた 11 34 0.55

その他 2 6 0.01

33 100

- - - - - - - - - - - - -

(出典:「平成 16 年度環境省委託事業J 『小学校 6 年間の環境学習プログラム実践に関する評価事業』、 p41)

アンケート調査結果(表 1)から、企業として参加してよかったこと、に対する回答は、さ

29 西宮市「平成61 年度環境省委託事業J 『小学校6年間の環境学習プログラム実践に関する評価事業』

(18)

1章持続可能な社会のための環境教育

まざまな主体と連携して環境保全活動に取り組むことができた、への回答が 11 件(34% )と 複数回答全体の約 1/3 を占め、回収企業数20 社の内では 55% となり、多くの企業はプロジ

ェクトに参加することを高く評価していることが読みとれる。次に、働く大人の姿を子どもた ちに見せることができた、への回答は6件 (18% )あり、回収企業数20 社の内では30% とな り、このプロジェクトがキャリア教育にも通じることを示している。自社の環境保全の活動を 子どもたちに伝えることができた、への回答が5 件(15% )あり、回収企業数20 社の内の 4 社に 1社(25% )の割合に相当する。これは、企業が行なう環境保全活動が高く評価されたこ とに対しての企業の満足度として読みとることができる。反対に、新たなピ、ジネスチャンスが 得られた、への回答がゼロで、自社のPR ができた、への回答が 3 件(9% )となり、回収企業 数20 社の内の 15% となり、いずれも低い数字を示している。このことから、企業は社会貢献 活動とビジネスを区別して考えていることが伺える。また、社会のしくみを子どもたちに伝え ることができた、への回答は2 件(6% )で、回収企業数20 社の内の 10% と少ない。この数 字の意味は、プロジェクトへの参加企業が行なった環境教育に何らかの限界があったことを示 す結果だとも受け取れる。

アンケート調査の結果から、企業として社会貢献活動の実現ができたことへの満足感と、と のプロジェクトをピ、ジネスチャンスとは認識せずに、あくまでも社会貢献と位置づけ、地域社 会との接点を見出そうとして参加している企業の姿勢が読み取れる。

2)く学校・地域・企業が連携して子どもたちの学習活動を進めていくこと>へのインタピ ューの回答のうち、内容が重要とおもわれるものを列記する。

(良いところ)

・子どもたちにとっては、色々な角度からさまざまなことを学べ、大人たちも色々な事を吸 収できる。

-産廃業の当社は子どもたちと直接かかわりの無い業種だが、企業が連携することで当社の 役割が見出され、サポートに携われた。

-子どもたちが両親以外の大人たち(企業人)を自にする機会ができてよかった。

-家庭からの参加は、子どもたちの教育がどのような人によって行なわれているのかを知る ことができ、安心感がある0

・地域が協力することで、自分たちの住むまちを知る事ができ、再発見もあったとおもう。

それが誇りにつながればと願う。

(課題)

a)企業間の連携に関するもの(企業の自己評価)

-活動への参加は時期・回数・仕事量で決まってくると思うが、最大限連携して進めたい気 持ちがある。

b)他主体との連携に関するもの(企業の自己及び他者への評価)

-打ち合わせにPTA にも参加してもらい、要望意見などを聞く機会があればよかった0

・家庭でもっと環境について話し合い、環境に優しい行動を取る必要性を感じた。

c)プロジェクト全体に関すること

. 10 年続けるためには段階的な仕組みづくりとその転用が大切であり、連携のためのアイデ アをもっと出し合う事や異業種交流も必要である。

. 13

(19)

1章持続可能な社会のための環境教育

-学校・家庭・地域・企業内のネットワークの確立が必要であるD

-学校間のばらつきが無いように、モデ、ル校のような学習の機会を定期的に設ける0

.より多くの人がかかわれる場づくりが一番大切である。

-大人たちの連携・協力といった雰囲気が子どもたちに与える影響は大きいのではないか0

.継続してゆくために企業側にも営業的な利益が無いと会社に対して説得するのが難しくな る。

・企業にとって環境保全活動ということがそれぞれの企業人にとって基本的な素養であり、

そのことが企業を評価していく大切な要素になる社会的な仕組みが必要である。

以下にインタピ、ューの内容について分析検討を行なう。

(良いところ)からは、地域社会の連帯感の創出、と総括するととができる。企業が学校で環 境教育を実現する過程で、地域社会の関係主体が地域へ眼差しを向けはじめたことが伺える。

(課題)からは、三つの要素に分けて質問が設けられているが、プロジェクト推進のための目 的だけではなく、地域社会の主体間のネットワークの構築が課題として挙げられている。

学校への環境教育の実施が、家庭にも大きな影響を及ぼす可能性が読みとれ、学校での環境 教育の実施が、家庭における環境意識の深まりへの波及という副次的効果が期待される。子 どもと大人の世代間の事離の解消も視野に入ってきていることも、プロジェクトが豊かな地 域性を持っていることが読みとれる。

(プロジェクト全体に関すること)からは、環境保全活動は企業人の素養、と捉えている点は 注目に値する。反面、利益を挙げられない場合に、企業は撤退することも明らかとなった。

アンケート調査とインタピューから抽出できる共通の課題は、主体問の連携のあり方と地域 社会内でのネットワ←クの構築と長期計画の三つを、 LEAF の課題として挙げられているが、

このことは、筆者のヒアリングの中でのO 氏の指摘するところと共通していることが伺えた。

(執筆担当者:山田元紀)

(20)

第 2 章

千代田区立九段中等教育学校

事例報告

(21)

2章千代田区立九段中等教育学校事例報告

2

章 千 代 田 区 立 九 段 中 等 教 育 学 校 事 例 報 告

平成 18 年度の千代田学では、法政大学地域研究センターは課題のひとつとして、

区内公立学校において企業と連携して行なう環境教育の実践事例の実施があり、平成 1

8 年度において 2件の実践事例を行った。本章では、第一の事例である千代田区立九 段中等教育学校について報告する。

第 1節 九段中等教育学校での概要

千代田区立九段中等教育学校での環境教育の実施の概要は次のとおりである。

授業のねらい

地球環境問題が深刻化する中で、都心である千代田区もヒートアイランド問題や地 球温暖化、問題ごみ問題などを抱えている。この様な問題を踏まえ、平成 12 年 3 月 に制定された千代田区環境配慮指針では、望ましい環境像の実現に向けて、 .1 自然 とのふれあいのある都市、 .2 潤いのある快適な都市、 .3 環境負荷の小さい循環型の 都市、 .4 次世代に豊かな環境を引き継ぐ都市という環境目標をあげている。こうし た環境目標を達成するためには、経済性や機能性だけなく環境に配慮したまちづくり

という視点も重要となる口

一方、住環境や生活の質を求める中で、地域の個性を生かしたまちづくりが求めら れているD 住民が主体となり地域独自のルールづくりも各地で行われている。本来、

まちづくりは行政だけでなく住民、企業、学校、商店などさまざまな主体の関わりが 重要で、その中には子どもたちも重要な主体となりうる。

そこで九段中等教育学校で行なう授業では、千代田区の環境問題について生徒が理 解するとともに、千代田区のまちづくりを行っている三菱地所の取り組みや市民団 体・学生の活動の紹介を通して、生徒が環境に配慮したまちづくりについて考えてい くことを目的とする。さらにキャリア教育の観点から、千代田区の環境問題を解決し ようとする人々の努力にも興味・関心を持つことができればと考えるD

目指すべき姿

・千代田区の環境問題も地球環境問題につながっていることを理解できるD

.千代田区の環境問題について理解することができる白

-千代田区の環境問題を改善するために、様々な取り組みが行われていることを理

(22)

2章千代田区立九段中等教育学校事例報告

解することができる。特に、環境に配慮したまちづくりを行っていくためには、

多様な主体同士の繋がりや、合意形成の過程が大切なことに気づける。

・今後もまちづくりに関心を持ち、環境に配慮したまちづくりについて考えていく ことがで、きる。

対 象:九段中等教育学校・中学1年生 160 人(4 クラス×40 人:全員)

連携企業:三菱地所株式会社

提携大学:法政大学人間環境学部、社会学部、千葉大学教育学部

コーディネイト:法政大学地域研究センター、 NPO 法人企業教育研究会 授業計画:

授業は7回(2限構成、午後51:31 ~505:1 )構成とする。

授業は、基本的には法政大学の学生が進行役となり九段中等教育学校教員は補佐役、

三菱地所、 ACE 、法政大学人間環境学部・工学部学生、市民団体とのティームティ ーチングで進める。

実施時期:平成 81 年 4月~7月(7回×2時間)

実施場所:千代田区立九段中等教育学校、

法政大学、北の丸スクエアー、千代田区役所

実施内容:テーマは「千代田区におけるまちづくりと環境問題J とし、 7 回行った授 業の内容は以下の通りである。

回 開催期日 授業内容

1 平成 18 年 ① オ リ エ ン テ ー シ ョ ン 0

4 / 2

8 「30 年後の千代田区のまちを考えるJ

② 環 境 問 題 と は な に か

「あなたの生活で、地球に優しいこと、優しくないことは何?J 2 125/0 法政大学ボアソナードタワー26 階のスカイホールで、授業実施

①千代田区の環境問題つてなにがあるの?

生徒が考えてきた「千代田区の環境問題j について関連や分類 を行う。

②千代田区のまちづくりと環境問題

三菱地所作成「まちづくりにおける環境への取り組みJ などを 中心に実際の例をもとに、環境問題への対応を紹介

3 95/10 ① 北 の 丸 ス ク エ ア

三菱地所が開発し建築した最新の環境配慮構造の建造物で平 成 18 年 3 月に竣工した。建物内部の環境配慮施設の見学と 環境マネジメントの解説を受ける。(資料編:参照)

② 千 代 田 区 役 所 の 見 学

外堀に面した千代田区役所の屋上緑化の見学、外堀の水質

. 16

(23)

千代田区立九段中等教育学校事例報告 2

について区役所職員から説明を受ける。

4 026/0 ① 世 界 の ま ち ・ ま ち づ く り に つ い て 紹 介 世界のまちを調べ、班毎に生徒が発表口

②江戸のまち・まちづくりについて紹介 江戸のまちを調べ、班毎に生徒が発表。

5 06 ・16 ①まちづくりシュミレーションゲーム

② 提 案 作 成

6 0/306 ① 市 民 活 動 の 事 例 紹 介

財団法人まちみらい千代田が担当して市民活動の事例紹介 7 /1407 ① 提 案 発 表

② 提 案 発 表 : コ メ ン ト

1 九段プロジェクト主体連携

筆者作成:α2112>6

法政大学地域研究センター

調整機能一一一

千代田区立九段中等教育学校で実施にいたる背景

2005 年(平成 71 年)

24 日に、地域研究センター(以 下、センターという)が主催し た「企業が参画する環境教育に 関する研究会jl で、企業と九段 中等の連携による環境教育の実 験的取り組みを実施することに ついて関係者間で協議を行なっ た。その結果、三菱地所株式会 社(以下、三菱地所という)が 協力する意向を示し、それを千代 田区立九段中等教育学校(以下、

九段中という)が受け入れ、法政大学地域研究センターが関係主体間のコーディネイ トを行なうことなった。したがって、センターは三菱地所と九段中との問の調整機能 を担い、授業開発は千葉大学教育学部藤川大祐助教授が理事長を努める NPO 法人企 業教育研究会(以下、 ACE という)が担当することになったD

2006 年(平成 81 年) 2月に、センターが中心となって、授業計画に関する検討会 議を立ち上げ、環境教育の授業に関する企画作成2についての検討を開始した。

九段中等・環境教育

1 0 月 第2節

1 2005 年(平成71 年)度の千代田区内の小学校の環境教育についての調査研究についての中間 報告と千葉大学教育学部藤川大祐助教授に、「企業と連携した授業実践の成果と課題についてj

の講演を依頼して行なった。

九段プロジェクトの流れについては資料編[資料1]に収載した。

2

表 3 ・ 7 ( 人 ) 1  (わかりやすかった) 8  2  (普通) 5  3  (わかりにくかった) 。 未回答 6  合 計 19  間 . 6 パネルディスカッション 図 3 ・ 6 間5 パネルデイスカッション1(わかりやすかった)21% 国1( わかりやす・かった)2 (普通)設問::;~~;=?'b<=:lJ':Ic:朱I~:j  '-(fJ~~t;;) |・合計 表 3 ・ 8 ( 人 ) ①企業と学校の連携で行う環境教育 9  ②企業の CSR 活動としての環境教育 8  ③企
表 3 ・ 2 1 ( 人 ) ①活用すべき 16 ②活用すべきではない 。 ③わからない 2  未回答 I  合計 19 表 3 ・ 3 1 <理由> ①活用すべき 問

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