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高 IgE 症候群の移行支援ガイドの作成

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金

難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)

分担研究報告書

高 IgE 症候群の移行支援ガイドの作成

研究分担者 高田 英俊 筑波大学医学医療系小児科

A.研究目的

高IgE症候群は、乳児期早期から始まる難治 性湿疹、反復性ブドウ球菌感染症(皮膚、肺、

関節、軟部組織等)、カンジダ症によって特徴 づけられ、高 IgE 血症を示す疾患である。

International Union of Immunological Societies

(IUIS)20191 では、高 IgE 症候群には、① STAT3欠損症、② IL-6受容体欠損症、③ IL-6 signal transducer(IL6ST)欠損症、④ ZNF341欠 損症、⑤ ERBIN欠損症、⑥ Loeys-Dietz症候 群(TGFBR欠損症)、⑦ Comel-Netherton症候 群、⑧ PGM3欠損症、⑨ CARD11欠損症の9 疾患が含まれている。しかし、STAT3欠損症が ほとんどを占め、他の疾患は極めてまれである と考えられる。

このような背景から、今回作成した移行期支 援ガイドは、STAT3欠損症を中心に作成した。

STAT3欠損症は、適切な感染管理等によって、

長期生存が可能である疾患であり、移行期の診 療およびその後の成人期の管理は重要な課題 である。また、この疾患は易感染性以外に、難 治性の皮疹、特有の顔貌、乳歯脱落遅延による 歯列不正、病的骨折、骨粗鬆症、関節の過伸展 などがみられ、成人後も適切な治療・管理が必 要である。長期的にできるだけ高いQOLを維 持できるよう、実際の診療に即した具体的な治 療・管理方法に重点をおいて作成した。

B.研究方法

高 IgE 症候群の多くは小児期に診断され、成 人期にまで達することが多いが、なかには成人 期まで診断されないこともある。2019 年の IUIS 分類によると高IgE症候群には9つの疾

患が含まれているが、ほとんどがSTAT3欠損 症であることから、STAT3 欠損症を中心とし て、その多彩な臨床像に長期的に対応できる形 で記載し、スムーズに成人診療科への移行が可 能であるように表を作成してわかりやすく工 夫した。

(倫理面への配慮)

該当する事項はない。

C.研究結果

高IgE症候群のほとんどを占める、STAT3欠 損症を中心に移行支援ガイドを作成した。

STAT3 欠損症は常染色体優性遺伝形式をとる

こと、STAT3 の機能が低下することにより、

種々の細胞内シグナル伝達の障害がおこり、こ の疾患の病態が形成されることを述べ、特にブ ドウ球菌や真菌に易感染性を呈することを記 載した。小児期における一般的な診療で、特有 の顔貌のほか、病的骨折や骨粗鬆症、関節の過 伸展、乳歯の脱落遅延など、骨・軟部組織・歯 牙の異常がみられることを述べ、個々の臨床症 状への対応が必要であることに注目できるよ うな内容にした。診断に関しては、アメリカ国 立衛生研究所(NIH)で考案された、臨床症状 を基にしたスコアリング方式について記載し た。治療に関しては、感染予防としてST合剤 や抗真菌剤を使用する事が多いこと、造血幹細 胞移植の適応は慎重に考える必要があること を記載した。

成人期以降も継続すべき診療(長期フォロー アップ計画等を含む)として、感染症を起こす 頻度が高いことから、感染症科あるいは血液内 科が主体として診療を継続することが望まし 研究要旨

高IgE症候群は、適切な感染予防対策によって成人期に達する。成人診療科への移行に 際して注意すべき点を中心に移行支援ガイドを作成した。高IgE症候群は稀な疾患であり、

臨床像を十分に把握し、免疫学的な病態を基盤とした、迅速診断・スクリーニング検査、

遺伝子検査を組み合わせて診断する事が重要である。感染症の管理を適切に行う事で成人 期においても QOL を高く保つことが可能であり、その具体的な方法を含めて移行支援ガ イドを作成した。

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83 いと記載した。これに関連して、どのような診 療科で、どのような問題を診療していくのかと いう事をわかりやすく表にまとめた(表 1)。

成人期の課題として、成人期は長期的な疾患の 経過から、さまざまな問題を抱えることになる ので、きめ細やかな対応を要する点を挙げてい る。ST合剤は、妊娠中は中断する必要があり、

また妊娠中に重症感染症を起こさないよう、産 婦人科との連携が重要である点についても記 載した。

D.考察

高IgE症候群は稀な疾患であり、臨床像を十 分に把握し、免疫学的な病態を基盤とした、迅 速診断・スクリーニング検査、遺伝子検査を組 み合わせて診断することが重要である。臨床像 および合併症が多彩であるため、重症度を適切 に把握して治療・管理方針を決定していくこと も重要である。感染症の管理を適切に行う事で 成人期においてもQOLを高く保つことが可能 であり、移行期医療は重要な課題である。

今回の診療ガイドラインが患者のQOL向上 に寄与する事が期待できると考えている。

E.結論

この疾患が早期に適切に正しく診断され、適 切に治療・管理され、QOLをできるだけ高く維 持できるように、多くの医師に参照していただ きたい。

F.研究発表 1. 論文発表

なし

2. 学会発表 なし

G.知的財産権の出願・登録状況

1. 特許取得

なし。

2. 実用新案登録 なし。

3. その他

なし。

参照

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