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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

コンクリート構造物の塩害およびアルカリシリカ反 応に関わる診断技術の高度化に関する研究

池田, 隆徳

九州大学大学院工学府

https://doi.org/10.15017/21999

出版情報:Kyushu University, 2011, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(別紙様式2)

論 文 要 旨

区 分 甲 氏 名 池 田 隆 徳

論文題名 コンクリート構造物の塩害およびアルカリシリカ反応に関わる診断技 術の高度化に関する研究

論 文 内 容 の 要 旨

我が国の社会基盤構造物において供用開始から50年以上経過したものが増加しており,これらの構 造物に対する維持管理の重要性が高まっている。このような中,構造物の現状を的確に判断できる診 断手法の開発や高精度化が求められている。また,コンクリート構造物の耐久性に関しては,多くの 知見が蓄積されているものの,これまで考慮されていない劣化因子の存在も指摘されている。それら の影響を明らかにすることで,より耐久的な構造物の建設および維持管理が可能となることものと考 えられる。これらの背景より,本研究は,コンクリート構造物の診断技術の高度化を目的とし,コン クリート構造物の塩害およびアルカリシリカ反応(ASR)を対象として,分極曲線による鉄筋腐食診 断,鉄筋周囲の空隙の定量評価,腐食生成物の観察および骨材のASR反応性判定試験法について検討 を行ったものである。

本論文は,第1章から第8章までの8つの章で構成されている。以下に各章の概要を示す。

第1章では,本論文を取りまとめるに至った背景と,研究の目的および本文の構成について述べた。

第2章では,既往の知見を整理し,本研究で取り組むべき課題について述べた。

第3章では,電気化学的手法として現在広く用いられる方法である自然電位法および分極抵抗法に 関する基礎的実験として,コンクリートの水セメント比および塩化物イオン量がこれらの計測値に及 ぼす影響について検討を行った。また,アノード分極曲線の計測結果との相互関係を整理することで,

自然電位,分極抵抗の計測値の解釈に関して考察を行った。その結果,自然電位の測定では,塩化物 イオン濃度などの鉄筋周囲の環境の変化を把握できることが明らかとなった。一方,分極抵抗の測定 では,鉄筋表面の状態を把握する手法として有効であることが明らかとなった。

第4章では,新たな鉄筋腐食の診断手法の提案として,アノード分極曲線測定の実構造部材への適 用を目的として,既存の携帯型の分極抵抗測定器に用いられているセンサーとポテンショスタットを 組み合わせる手法を考案し,その適用性について検討した。室内試験より従来の方法(浸漬法)と新 しい計測方法(接触法)を比較した結果,かぶり厚さが30mm以下であれば従来の方法とほぼ同様の 分極曲線が得られることを示した。また,かぶり厚さが100mmまでは,不動態グレードとしての判定 が適用可能であることを示した。さらに,実構造部材に対する適用として,海底トンネルより採取し た解体床版に対して,接触法を適用した。その結果,アノード分極曲線から推察される腐食状態と実

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際の腐食の状態は一致し,実構造部材に対する分極曲線の測定手法として本研究で提案する手法が適 用可能であることを示した。

第5章では,鉄筋-コンクリート界面に形成される空隙の定量評価のため,X線CTスキャナの適用 を検討した。その結果,鉄筋の代替材料としてアルミニウム製の棒を使用することで,X線CTスキャ ナによる観察が可能であることを示した。また,ブリーディングに起因して形成される空隙の定量評 価のため,アルミ棒の高さ方向の位置,モルタルの水セメント比を変化させた供試体を作製し,空隙 厚さや軸方向に対する空隙の分布の比較を行った。高さ500mmの供試体の上端および下端から30mm の位置に設置したアルミニウム棒の下面の空隙厚さは,上段の場合は2~4mmの厚さの空隙がほぼ一 様の厚みで形成されていたのに対し,下段では,平均的には上段の1/10程度の厚さの空隙であるが,

局所的に数mm厚の粗大な空隙が存在していることが明らかとなった。さらに,空隙体積が,ブリー ディング量と底面からの高さの関数として表されることが明らかとなった。

第6章では,実環境下での鋼材腐食では,腐食生成物が層状の構造を示すことに着目し,層構造が 環境条件の影響を受けていることを確認することを目的とし,観察方法の開発および層の生成に対す る環境条件の影響について検討を行った。その結果,腐食生成物の構造的な特徴の共通点として,肉 眼で確認されるマクロな層の内部は,数μmの薄いミクロな層が重なった構造であることが明らかと なった。さらに,マクロ層とミクロ層の厚さの2つを,層構造の特徴量とし,異なる環境条件より採 取した腐食生成物について比較を行った結果,環境条件の違いによってこれらの値が異なることが明 らかとなり,その違いが気温等の環境条件の相違によるものと考えられた。したがって,腐食生成物 の層構造に対して,腐食進行の履歴が反映されている可能性が示され,本章で提案した腐食生成物観 察が,各種環境における腐食進行の違いを把握に有効であるものと考えられた。

第7章では,遅延膨張性ASRによる劣化の実態を明らかにし,また,骨材の反応性判定試験の適用 範囲について検討を行った。地質条件等から遅延膨張性ASRの疑いがある構造物を選定し,コアの分 析を行った結果,反応性鉱物として隠微晶質石英が同定され,遅延膨張性ASRであることが確認され た。さらに,遅延膨張性ASRに適した反応性判定試験に関する検討として,対象構造物に使用されて いた骨材と岩石学的に同等の骨材を入手し,化学法および各種促進膨張試験を行った。その結果,現 行のJISの化学法,モルタルバー法では,その反応性を検出不可能であったが,ASTM C 1260やセメン トアルカリ量を増加させた改良モルタルバー法で検出可能であった。以上より,岩石学的分析に基づ き反応性判定試験の選出が必要であることを示した。

第8章では,研究成果を総括し,今後の課題について述べ,本論文の結論とした。

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