争点6について,Z は次のように主張した。破産者 A2会社及び破産者 A1会 社は遅くとも平成26年8月15日までには支払停止に陥っているから,同月26日に 行われた本件 Y 会社裏書譲渡1∼6は支払停止後の行為に当たる。そして,約 束手形が既存債務の「支払に代えて」授受される場合の法的性質は代物弁済であ って既存債務を消滅させる行為である。破産者 A2会社ないし破産者 A1会社の Y 会社に対する売掛債権は債権額のとおりの価値を有していたのに,本件約束手 形1∼6は破産者 A2会社及び破産者 A1会社の支払停止により実質的な価値が 著しく下落していた。それゆえに,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6が「支払に代え て」授受されたものであった場合,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6に係る破産者 A 2会社ないし破産者 A1会社の行為は破産債権者を害する行為に当たる。したが って,仮に本件 Y 会社裏書譲渡1∼6が「支払に代えて」授受されたものであ ったとしても,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6は詐害行為に当たり,Z による否認(破 産法160条1項2号)によって本件 Y 会社裏書譲渡1∼6はその効力を失った。 Y 会社は,支払停止とは債務者が資力欠乏のために債務の支払を継続的一般的 にすることができないと考えてその旨を明示的又は黙示的に外部に表示する行為 をいうとされているとする。しかし,そのような表示行為は破産者 A2会社及び 破産者 A1会社から Y 会社に対して一切されておらず,自らが振り出した約束 手形の回収によってその約束手形の額面額の約束手形金支払債務の消滅がもたら されるのであって額面額相当の経済的利益が生じているのである。そのため,本 件 Y 会社裏書譲渡1∼6が上記両社の破産債権者を害する行為に当たるという ことはできないと主張した。
争点7につき,Y 会社は仮に破産者 A2会社及び破産者 A1会社が支払停止の 状態にあり,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6が上記両社の破産債権者を害するもの であったとしても,Y 会社が本件 Y 会社裏書譲渡1∼6をした際に Y 会社が上 記両社による支払停止があったと認識すべき客観的状況にはないとする。Y 会社 は上記両社による支払停止を知らなかったし,また,Y 会社は本件 Y 会社裏書譲 渡1∼6が上記両社の破産債権者を害するものであることも知らなかったと述べ た。
供述をしていること,以上の事情に照らせば,本件 Y 会社裏書譲渡3∼5は, 代物弁済として,支払に代えて裏書譲渡されたものと認められる」 ! 争点6について 「本件各証拠によっても,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6がされた当時,Y 会社に 債務の支払能力に問題があったとは認められず,したがって,破産者 A2会社な いし破産者 A1会社の Y 会社に対する売掛債権は債権額のとおりの価値を有し ていたということができる。他方,本件約束手形1∼6は破産者 A2会社及び破 産者 A1会社の支払停止により実質的な価値が著しく下落していたということが できる。 したがって,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6は,価値の低い本件約束手形1∼6 をもって売掛債権の代物弁済をするものとして,本件 Y 会社裏書譲渡1∼6に 係る破産者 A2会社ないし破産者 A1会社の行為は,破産債権者を害する行為に 当たる」 " 争点7について