<研究ノート>破産管財人の履行選択の効果 : ドイツ判例を契機として
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(2) 42. Ⅰ. 194. 横浜経営研究. Ⅰ. 第甜巻. 第. 3. 号 (1990). 管財人が履行を 選択するときに ,譲渡されていた請求 権 に基づいて譲受人が 契約相手方から 履行を受けるの か,それとも 破産管財人が 履行を受けるのかという 問 題を扱ったものであ る. 本 判例の結論としては ,譲受 人は破産開始の 時点で破産者が 有していたところの 権 利を獲得するのであ るが,その「本来の 履行請求権. 渡を理由に債務の 支払いを請求し 破産開始後の 引き 渡しについて 110144.22マルクを回収した・ 被告は被 告で,家具の引き渡しに対して 1251038.78マルクを回 収した.原告は1981 年 12月 7 日,被告に対して 回収し た 金額を原告に 支払うように 求めたが,被告は,売買. は破産開始によって 消滅するのであ り,破産管財人が 履行を選択した 結果有するに 至った『履行請求権 」は [ 本来の履行請求 樹 が再生した (wieder entstehen) もので,譲受人の 有する『本来の 履行請求権 と破産 管財人の有する『履行請求権 ] とは同一のものではな. 代金債権 が破産開始後に 生じたものであ り, また家具 の引き渡しもまだであ るとの理由でこれを 拒絶した. 1982 年の 5 月 か 6 月頃 に破産財団の 不足が明らかと なり,破産裁判所ならびに 破産者の各債権 者に知らさ れた.原告は,被告からの訴えによって ,譲渡禁止が. 」. 」. く. ,. したがって履行を 選択した破産管財人のみが 自ら. 破産者のなすべき 履行をし,契約相手方から 履行を受 けることができると 判 示したものであ る. 本稿では, まず 本 判決の位置付けを 行い, また, い くつかのドイツの 判例の考察も 行 い たい. その後,. ド. イッ 法 との違いを念頭に 入れつつ, 本 判決の日本法に. 与える示唆について 述べる.その際には履行選択の 場 面とともに履行拒絶 ことにしたい. (契約解除 ) の場面をも考慮する. 原告は, F 会社の顧客に , 1981 年 2 月 17 日の債権 譲. あ った債権 についての債権 譲渡に関連して ,譲渡後に 回収した 178107,02マルクについて 返還請求権 が存在 することを認めたが ,破産開始後に引き渡しを受けた 顧客に対する 債権 を被告が回収してしまったことから 生じる損害賠償請求権 と相殺して, さらにその他の 顧 客への債権 を理由に 269124.70マルクの支払いを 一部 請求の反訴として 求めた (第一訴訟 ). 地方裁判所 (Landeericht:LG) は,破産管財人の訴えを棄却し 反訴を認容する 判決を下したが , 上級地方裁判所. (Oberlandesgericht: OLG). t U︶. ,. B. m ・ BG Hberg ︵ -m. 28 Ⅰ 02 /88(. 5. 搬,窩 ㎎ x. 1 一 NJ W988. Hは. 鵬札. 2. 山 事実関係 原告 (被 上告人 ) は貯蓄銀行 (Sparka,,") であ る・ 家具の製造,販売を 業としている F 会社は,原告から 多額の信用供与を 受けていた. F 会社に対する 原告の 現在及び将来の 債権 を担保するため , 1981年. 2 月 19 日,. A から V の ィ ニシャルを持っ 顧客に対する 現在及び将. 来の債権 を F 会社から原告に 債権 譲渡が行われたに の債権 譲渡の詳細については 不明であ る ). 1981 年 lU 月 2 日, F 会社の財産に 対して破産手続が 開始され,被告が破産管財人に 選任された.被告は債 権 者集会の同意を 得て, F 会社の事業,すなわち 家具 の製造,販売を「清算の 範囲内で」継続することにな った.そこで,被告は破産手続開始双に 締結されてい た契約の履行をなした.それは 既に完成していた 家具 の引き渡しのみならず ,製作中の家具を 完成させて 引 き 渡す形で , 個々の顧客の 注文に応じて 行われた・ま た,それらの家具に対して 担保権 を有していた 者 (他 の銀行,運送業者) に対しては,担保権 を消滅させる ために債務を 弁済していた.. は,本件の原告 (第一訴 訟では被告・ 反訴原告 ) であ る銀行が K059 条 1 項, 4 項に よ り財団債権 者として破産管財人に 対して 265121,70マルクの支払いを 求める請求権 を有するこ とを判決し確定した. その後,支払命令 (Mahnb. 。. ・. scheid) によって,原告は被告・破産管財人に 対して 個人的な責任として 920900 マルクのうち 60000 マルク を請求した. (第二訴訟 : 本件訴訟 ). これは,被告が,. 原告に帰属すべき 請求権 を不足した破産財団に. 回 qR し. てしまったことを 理由としている. 第一審で, LG は請求を棄却したが , OLG. は,被. 告が破産管財人として 負っている義務に 違反したこと によって原告に 生じた損害の 賠償を求める 請求は原因 において正当であ るとして,請求の 額について第一審 に差し戻した.被告の 上告に基づいて ,連邦通常裁判 所 (Bundesgerichtshof:BGH)は, OLG の判決を破 棄するとともに ,控訴棄却の判決を言い渡した. (2) 判決理由. BGH は,控訴審の判決を以下のようにとりまとめ ている. 「原告は,破産開始の時点で,破産者から 有効に売 買代金債権 を譲り受けた 者であ る, これは破産開始双.
(3) 破産管財人の 履行選択の効果. (坂田. 宏). (195) 43. の 契約に基づいている.それゆえ ,被告・破産管財人 による契約の 履行は原告の 有する債権 の満期を到来せ しむる効果のみをもつ. したがって,被告はその 債権 を回収した金額で ,原告に損害を与ええ, K082 条に. 対して,ヘンケルは反対をしているが 9,, しかし RGZ 63.361 との関係では , むしろ, RGZ l1,49 とは 異なり,破産管財人の 履行の選択によって 売買代金請 求権 が破産手続における 価値を超える 価値を与えられ. よって原因において 損害賠償債務を 負、 うのであ る.. た場合にのみ ,破産管財人に不当利得返還請求権 が生. つまり, もし被告が F 会社の事業を 暫定的に引き 継 いでいなかったとすると ,原告はF 会社に対する 引換 給付判決を得られるに 過ぎなかったはずであ る.譲渡. じるとしているのであ る 10,. この見解から 控訴裁判 所はその結論を 導き出しているとする. しかし その 法的前提を採るにせ. よ. ,被告が破産開始後に 履行した. された債権 の経済的な価値は ,売買代金と商品の製作,. 家具の製造。 引き渡しが財団に 利益を与えたことが. 引き渡しに要した 費用との差額であ る. 原則として,. 事者の主張から , また財団の不足を 生じていたという. 被告が破産管財人として 契約の履行を 選択し本来破 産者が負っている 反対給付を財団から 支出したとして も,譲受人は 第三者として 利得できるのであ るから, 自らに別除的満足を 求める権 利があ ることを主張して いた原告の主張は 入れられるべきであ る」. しかし BGH は,控訴裁判所の事実認定と原告の 主張からは,逆に K0 82 条に基づく損害賠償請求権. 事情などから ,控訴裁判所の下した判決には 疑問があ. は 原告に帰属しないとする. ものであ る. その意味で, 当初から有効に 譲渡されて. ①まず,事実認定として , 1981 年 2 月 19 日に行われ. た 債権 譲渡を有効としている. ( しかし控訴裁判所が. 詳しい理由付けをなしていないことから , この債権 譲 渡の有効,性については 疑問がな い わけではない.. また,. 将来の請求権 の範囲についても 問題はあ ろう. 筆. 者 ). ②ここで,それまでの支配的見解 (通説 ) が示され る .それは, RGZ l1.49 に よ るものであ るが,破産管 財人が破産者の 破産開始双に 締結した双方 未 履行契約 を K017 条にしたがって 履行した場合には ,契約相 手方は売買代金債権 の支払いを,売買代金債権 を破産 開始双に差し 押さえていた 差押質権 者,あるいは破産 開始双になされた 担保的債権 譲渡の譲受人に 対してな さなければならないとする.つまり ,破産管財人は売 買代金債権 を財団の中へ 取り込むことは 許されず, む しろ差押質権 者あ るいは担保的譲受人の 別除権 を売買 代金債権 について認めることになる. しかし. 判決は, 上告理由も引用している RGZ. 11,136の事件をも持ち 出している, これは,後の 破産 者 (売主 ) が契約相手方 (買主 ) に対して, まだ引き 渡していない 商品の売買代金についで ,破産者 (売 主 ) の計算で第姉者に 支払うべきことを 指図していた 場合に, K0 17条によって商品を 引き渡した破産管財 人に契約相手方から 売買代金を回収できるとしたもの であ り, RGZ l1.49 とは結論を異にしていた・ これに. 当. るというのであ る. ③ BGH. は, それだけではなく ,. とりわけ破産法上. の考慮から, RGZ l1.49 判決以来支配的であ った見解 にはしたが. ぅ. わけにはいかない ,. と. 判断している・. 「将来の売買代金債権 の譲渡は,特定性の 要求を満. たしている限り ,契約の時点からその 債権 は譲受人の いた将来の請求権 が破産開始後に 発生した (entstehen) 場合には,譲受人は, KO I5条によって,代 金を得ることはできない (BGH NJW l955, 544). KO l5 条を双方 未 履行双務契約の 場合 (KO 17条 ) に 首尾一貫して 適用するとすれば ,支配的な見解とは 異 なり,以下のようになる・すなわち ,債権譲渡は後の 破産者とその 契約相手方との 間で破産開始双に 契約さ れたものであ り,かつ,契約が 双方とも木履行の 状態 にあ った場合であ っても,譲受人はただ ,破産者が破 産開始の時点で 有したであ ろう権 利を有するにすぎな いのであ る.. a) 破産開始双に 締結された契約が 双方 未 履行の状 態にあ るとき,本来の 履行請求権 は破産開始とともに 消滅するれvecfa Ⅱ en). つまり,破産管財人が契約の 履行を拒絶するか.あ るいは何ら選択をしないために 拒絶をしたとみなされる 場合には, もはや契約相手方 に 請求できないのであ る・ したがって,破産開始によ って,破産者と 契約相手方との 間にあ る法律関係は 変 更を受ける.破産管財人が 履行を選択しない 限り・ 双 務的な債務関係は。 庁務的な,不履行による 損害賠償 請求権 (K026 条 ) が契約相手方に 破産債権 として存 在するに過ぎなくなる. また,破産管財人の 履行請求 権 も消滅する. したがって,本件のような 譲受人もま た,何ら請求権を持たないものであ. る・. b) ただ。 K0 17 条に基づいて 破産開始双に 締結さ.
(4) 44 (196). 横浜経営研究. 第Ⅲ巻. れた双務契約を 履行するという 破産管財人の 意思表示 のみが,破産者の契約相手方の 請求権 を財団債権 (KO59 条 1 項 2 号 ) とすることができるのであ って, 契約相手方からの 反対給付を求めるところの ,. しかし. 既に消滅している 請求権 を再び発生させることができ るのであ る.破産管財人が履行を選択して 初めて契約 相手方の同時履行の 抗弁権 眠法 320 条, 321条 ) も登 場する余地が 生じる. しかし もし消滅した 双務契約 に基づく履行請求権 が破産管財人の 意思表示によって のみ再生しうるものであ るとすれば,契約相手方から 給付を求める 請求権 が,破産債権者全員の満足に 供す. 第 3 号 (1990). 破産手続が開始し 破産管財人が 履行を選択した 場合 に,破産者の有していた請求権 を回収できるのはその 請求権 を譲り受けた 者か,破産管財人であ るか, とぃ ぅ 問題について ,破産管財人に回 x する権 限があ ると 判 示したものであ る 11).これは,リーディンバケー 叫. ス となった判例と 異なる判断をしたものであ ると自ら 明言している.ただ, この事案については ,いくつか. の特異点があ るのであ り,注意を要するが ,その点は 後に述べるとして ,. まず, リーディンバケースの 判決. 及び 本 判決が参照しているライヒ. 最高裁判所. (Reichseericht:RG) の判決を見てみよう. べき財団に帰属すべきことは 当然であ る.. c) この見解は KO l5 条, 17 条の意義と目的からも 肯定される. KO. l5 条は財団を構成する 諸利益,破産 管財人が破産開始後に 取得した諸権 利を第三者の 梱取. から守るために 規定されたものであ り,それによって 財団を減らさず 平等な破産債権 者全員の満足を 得さし めることができる.破産開始双に 担保として債権 を譲. (ァ) RG の 二 判決 ① RGZ. I1, 49 判決. 後の破産者 L は小作権 の売買等により 契約相手方か 857000 マルクを得ることになっていた. しかし L の 債権 者であ る H が, この 57000 マルクの債権 を差し. 押さえた 12).その後,破産手続が開始し破産管財. を , 自らの負う給付は 履行するが,権利は破産債権 で. 人はこの小作権 売買契約を履行しようとしたが ,契約 相手方はこの 金額を供託した. この供託金のうえの 正 当な権 利をめぐって H 傾告 ) と 破産管財人 (被告 ). とどまることによる 不都合から保護することにあ る.. の間に訴訟が 起こった. このこと自体はここで 述べた見解と 何ら反しないもの. 17 条の目的からすると ,破 産管財人が履行を 選択したにもかかわらず ,再び発生. 本件の問題は ,破産管財人が双方 未 履行の双務契約 の履行を選択する 場合に,契約相手方の負 う 反対給付 は 無条件に財団 (破産管財人 ) に対して請求できるの か,あるいは契約が 被った内容的変更にれは 差押え. した反対給付の 請求権 が破産者からの 譲受人に帰属す. を受けたことからくる 差押質権 の発生を意味する. るというのでは , その目的は無に 帰するであ ろう」・. 破産管財人をも 拘束するのか ,換言すれば, H に別除. 渡されていた 譲受人を保護することは・. この原則に反. することになる. また, K017 条の意味は契約相手方. であ る. しかし・破産管財人に 履行をするかしないか の 選択権 限を与えた K0. この ょ うに,破産債権 者全体の共同の 満足のために. ). が. 的満足が与えられるべきであ るかどうか, という問題. あ る財団を守るためにいずれの 規定も存在するのであ. であ る. そして, RG はこれを原告に 有利に判断した. り,上述した 解釈と合致するというのであ る・ ④そこで結論として ,原告には破産開始とともに 消 滅する売買代金債権 が帰属しその 請求権 には別除権. 「破産の開始は ,当該双務契約を無効とはしないので あ り,履行選択の 場合には破産開始時に 未 履行であ っ た部分について 請求できる.そして,破産者が受けた 権 利の制限は破産管財人にも 及ぶのであ る」・ この ょ う にして RG は,原告に別除的満足を与えた控訴裁 判所の判決を 支持した,. はないということになり ,. したがって,被告は 顧客に. 対する債権 を回ⅡX することによって 原告に対して 負う とされる破産法上の 義務に違反することはあ りえない のであ る. こうして BGH は,控訴裁判所の判決を破 棄し控訴棄却の 判決を言い渡したのであ. る・. (3) 判決の位置付け 本判決は , 後の破産者が 契約相手方との 間に双務契. 約を締結して ,その後,破産開始双に 破産者の有する 請求権 を第三者に譲渡したとき ,双方未 履行の状態で. ② RGZ. Ⅰ. 1,. Ⅰ. 36 判決. 農場主 M (後の破産者 ) は被告会社との 間で,てん さいの供給契約を 締結した,その後, M は被告会社に 以下のような 指図をなした 13).それは,てんさいの 売買代金を将来の 分も合わせて , M の計算で, M の債. 権 者であ る第三者に支払うようにとの 内容であ った..
(5) 破産管財 ッ、の 履行選択の効果. (坂田. 宏). (197)@45 RGZ. 被告は指図証書に「引き 受けをした」と 記載していた. 決は小作権 の売買で, 一回限りの契約であ. その後, M について破産が 開始し破産管財人 (原 告 ) は,てんさいの供給契約の履行を 選択した.破産 管財人はてんさいの 供給を続けたが ,被告は売買代金 を破産財団に 支払うことは 拒絶した.それは,売買代. 1], 136 判決は農作物の 供給契約であ るが,契約相手 方は一人であ る. RGZ63, 361 判決は,個人が請け負. 金は M の指図によって 第三者に支払われるべきもので. 律 関係であ り, このように見てくると , 本 判決は複数. あ るからという 理由であ った. RG は,第一審,第二審と 同様,被告は破産財団に 売買代金を支払うべきであ ると 判 示した. それは,指 図とその受領とが・ 売買代金債権 について何ら 効力を 有しないからであ るとする. なぜなら,指図は 受取人 に満足を与える 形でなされてはいるが ,その指図は債 権 が発生している 段階に至っていたときに 初めて効力. の将来にまでわたる 法律関係であ ることに特徴を 見い. 49 判決では差押債権 者であ り, RGZ63,. を有するのであ る. M と被告とが契約の 続行を断俳す. は担保的債権 譲渡で得た譲受人であ る. その意味で ,. る・. った建築請負契約であ る. 本 判決は家具の 供給契約で. あ るが,複数の顧客に対する 現在及び将来にわたる 法. だせよ. う. '。 ).. 次に,第二者の利害関係についてみると , RGZ. ll,. 361 判決では. 差押命令とともに 移付命令を受けた 債権 者であ る・ ま た, RGZ ll. 136 判決では,破産者の指図によって 支 払いを受けるべきものであ る. これに対し本判決で. るならば指図は 無に帰すのであ る. そこで破産法上こ. 本 判決は譲受人に 関する判決としては 初めてのものと. れを考えるに ,契約の破産管財人の 履行によって 初め. 思われる.. て生じる債権 を M が指図することはできないのであ る として,破産財団に 支払うよう被告に 命じたのであ る ③ RGZ63,. 361 判決. 大工 W は, B の建物建築を 請け負った・. B は報酬を. 最後に,紛争の態様としては , RGZ. l1, 49 判決で. は差押債権 者と破産管財人が 契約相手方の 供託した供 託金の う えの権 利を争い・ RGZ ll. 136 判決では破産 管財人と契約相手方の 争いであ る. RGZ 63, 361 判決 では破産管財人が 差押債権 者に対して不当利得返還請. 銀行に供託した.被告は , W に対する債権 を理由とし. 求をなしている.. て,供託金のうえに 差押え,移付命令を 受けた・その. 産管財人の個人的. 後, W は破産に陥り ,破産管財人が契約の履行を 選択. 求められている.既に 財団は不足状態にあ って,譲受. し 建築を他の大工を 頼んで成し遂げた・. 人 が実質的に満足を 得るためには 破産管財人の 責任を. この報酬の. これに対し本判決が 譲受人から破. (personlich) 責任 (K082 条 ) が. 返還を求めて 破産管財人 (原告 ) が訴訟を提起した. RG はこれを不当利得として 認めた. これは, 本来, 被告は当該債権 から満足を得るためには 同時履行の抗. 追及するしかな い のであ る. むしろ,二判決の 紛争の. 弁権 を処理しなければならないが , これを処理したの. OLG で譲受人が財団債権 者として請求権 を有するこ とが確定している. この意味で, 本 判決は特殊な 事例. は 全債権 者のためにあ. る破産財団の 出費で破産管財人 が建築請負契約を 履行したからであ る. したがって, 被告は彼の請求権 の改善が財団という 第三者からなさ. れておれば利得があ る.そして,そのように 財団から 費用が支出されることについて 被告に何ら請求権 が存. レベルと同じ 視点から見ると , 本 判決の前に行われた 第一訴訟の結果が 重要であ ろうか. 第一訴訟では ,. といえなくもない. しかしながら ,結論において本 判決は, RGZ l1.49 判決が差押債権 者に別除的満足を 認めて,支配的見解 となっていたのに 対して, その前提を採らないとした. 在しないことから ,法律上の原因も 存しないとされる. 占において重要な 判決であ る.確かに,同じ 年に出さ. のであ る.. れた RGZ. (ィ ) 二 判決から見た 本判決の位置付け. ll.136 判決は破産管財人の 請求権 を認めて いるが,指図という 法律関係が事案を 特殊なものにし ており "', しかも破産管財人と 契約相手方との 間の. これら三つの 判決と本判決とは ,それぞれに契約の. 紛争という点で ,. 類型,第三者の利害関係,紛争の態様などにおいて 差 があ り一概に評価しがたい 面があ るが,一応の評価を. 試みてみよう. まず, 係争中の法律関係であ るが, RGZ. もし破産管財人と 指図を受けた 第三. 者との紛争であ ったとすれば 別の結論も十分に 可能で あ. ったといえることからも ,若干・結論的にRGZ ll,. 49 に反対するものであ るかは疑問であ った. また, l1, 49 判. RGZ. 63, 361 判決は , 確かに破産管財人と 差押債権 者.
(6) 46 (198). 第Ⅲ 巻. 横浜経営研究. との間の訴訟で 破産管財人を 勝たしめているが , その. 請求は不当利得に 基づく請求権 であ って,一旦は第三. 者が利得することを 認めているようであ る・その意味 で, RGZ. l1, 49 に否定的見解を 採ったけれども , ま. だ完全に否定し 去ったわけではなかったといえよう. では, 本 判決はどのような 論法で破産管財人を 勝た しているのだろうか.その 背後にあ る議論はどのよう. 第. 3. 号 (1990). BGH は,双方未 履行の双務契約は ,破産開始によっ て変更を被り ,契約相手方の有する履行請求権 も,破 産管財人が破産者のなり 代わって有する 履行請求権 も, いずれも破産開始の 時点で消滅するとした、 8), そし て,破産管財人が K0 17条に基づいてなす 履行の選 択 のみが契約相手方の 請求権 を財団債権 として支払っ. てもよいようにしまた 契約相手方が 負う反対給付を. に判決の結論に 影響しているのであ ろうか.以下で,. 求める破産管財人の. その点について 考察してみよう.. stehen) させるものであ るとする・. (ゥ ). 本 判決の破産法的評価. (i) 本 判決の立場 本判決はこれらの 考慮に加えて ,「とりわけ破産法 上の考慮から , RGZ ll. mg 判決以来支配的であ った 見解には従えない」としている.. まず,前提として ,本件のように後の破産者が 顧客 (契約相手方 ) らに対する将来の 売買代金の債権 を担 保として譲受人に 譲渡したような 場合について ,その 債権 譲渡は一定の 特定性の要件を 充たしておれば , 譲 愛人はその将来の 請求権 を債権 譲渡契約のときから 有 することになるとしている 16). しかし有効に 譲渡. された将来の 請求権 が [破産開始後に 至って初めて 発 生した (entstehen)」とすると,譲受人はKOl5 条に より売買代金請求権 を得られないというのであ る・ こ こで RGH は, BGH NJW l955. 544 判決を引用して いる. この事案では ,ある株式会社が 信用供与を受け. 請求権 を再び発生. (㎡ ed 。rent.. そ う すると譲受人の 有する権 利は,破産者が破産 開 始の時点で有したであ ろう権 利であ るから,破産開始 によって消滅した 履行請求権 であ ることになる・ 破産 管財人が履行を 請求することによって ,財団債権に格 上げされる契約相手方の 請求権 と破産者の有していた (現在は破産管財人と 譲受人との間で 争われていると ころの ) 請求権 は「再び発生して」 対 時し同時履行 の関係に立つ. しかし これは破産管財人の 意思表示 に係っているのだから , この請求権 は破産債権 者の満. 足に帰すべく ,結果的に破産管財人の 勝訴となるので あ る.. この ょう な解釈は, KOl5 条, 17 条の意義と目的か らも支持されるとして , BGH は経済的側面からの 考 察をしている.その中で特に注目される 点は,破産債 権 者全員の利益のため. 破産財団を充実し. 本件の譲受. 人のような第姉者にできるだけ 財団から支出をしない. その会社が破産に 陥り,破産管財人は,土地売買契約. という基本的な 姿勢であ る. しかも, これは双方 未履 行双務契約の 契約相手方といえども 本来は破産債権 者 の一人であ り, また本件の譲受人もまた 破産債権 者の. から生じていた 売買代金債権 に目をつけたが ,. 一人であ るという基本的な 発想があ る よう に思われる. るために,将来の 債権 を担保のために 譲渡していたが , これは. 既に担保のため 債権 譲渡がなされており , この譲受人. と破産管財人との 間の紛争が生じたのであ る. BGH は,債権債務関係及び 請求権 の発生を何段階かに 分け て考えている よう であ り,7), その結果,有効に譲渡 された将来の 請求権 であ っても,破産開始後に 至って. 法 上の効果であ り, もう一つは破産手続の 開始が双方. 初めて発生するものもあ るとして,当該債権 譲渡から. 木履行双務契約にどういう 影響を与えるか ,換言すれ. 譲受人が得られる 利益は破産債権 者 ( 与 破産財団 与 破. ば二つの 対侍 する履行請求権 の運命がどうなるのか ,. 産管財人 ) に対しては無効なものであ ると判断してい. という問題であ る.. る. この論理を貫けば , K017. ㈹. 本 判決においては ,二つの論点があるものと思われ る.一つは ,将来の請求権の債権 譲渡した場合の 破産. 条の適用があ る場面で. は ,支配的見解とは反対に,譲受人は単に破産者が 破 産開始の時点で 有していたであ ろう権 利を有するにす ぎなくなるのであ る. では,破産者が破産開始の時点で 有していたであ う権 利とは一体どのようなものであ. ろ. ろうが. ここで. 検討. まず,将来の請求権 の債権 譲渡については , 本 判決 は. BGHNJWl955.. 544 判決を引用して ,将来の請求. 権 の債権 譲渡は有効になされても ,破産開始後に至っ て初めてその 請求権 が発生するものであ るならば,債 権 譲渡から譲受人が 得られる利益は 破産債権 者に対し ては無効なものであ るとの原則を 導き出している・. へ.
(7) 破産管財人の 履行選択の効果 ンケルも同様の 原則を認めており ,支配的な見解であ ろう、9,. この背景には 債権 債務関係の成立とそこか ら生じる請求権 の発生とを区別する 考え方があ るよう. (坂田. 宏). (199 47 Ⅰ. 契約を履行する 意思のないことを 知らせる「単なる 通 知 (bloBeMtteilung) 」に過ぎないとする ?.2.,. したが って,履行請求権は消滅することはない 23)2。 '. ただ,. しかし破産法的な 意味でいうと , これ. その履行請求権 は破産開始によって ,破産手続以覚の. は将来の請求権 をもって債権 譲渡の対象とした 場合に. 方法によっては 満足を得ない 状態にあ る, その意味で,. に思われる.. は , たとえその譲渡が 一定の特定性を 備えており,契. この有力説も 支配的見解と 実質上は異ならない 結果を. 約としては成立したとしても , KO. 導いている 2".. l5 条の適用の結果,. その譲受人に 債権 は帰属せず,当該請求権 は破産財団. この ょう な学説状況において , 本 判決は「破産開始. に帰属することになる.つまり 破産財団の充実こそが ,. まさに狙われている 解釈、ということになろ. う. .. もし. この原則が単純に 本件に当てはめられていたとすると. ,. と同時に」「破産管財人,契約相手方双方の 履行請求 権 は消滅する (wegfallen)」,そして「破産管財人の 履行の選択によって 履行請求権 は再び発生するが , そ. この論理を貫きさえすれば 同様の結論が 得られたので. の履行請求権 は従前のものとは 異なり,譲受人に帰属. はないだろうか.その 意味で, 本 判決は債権 譲渡の対. することはない」という 注目すべき判断を 下している. 象が将来の請求権 であ ったことから 当然に導かれるで. 履行請求権 の消滅は支配的見解が 述べてきたところに. あ ろう結論を言っているに 過ぎない可能性があ る.. よっているものと 思われるが,支配的見解と 異なり, それは破産管財人の 選択の時点からではなく ,破産開 始の時点からであ るとする. そして, その根拠とする ところは, BGH の同じ部の判決, BGHZ l03, 249 (250?) 判決であ る. この BGHZ l03, 249 (250?) 判決の事案はおおよ. しかし単純に 双方 未 履行双務契約の 場面に適用が あ るかは, そう簡単には 答え切れない 問題であ る. な ぜなら,破産者が破産開始の時点で 自らのなすべき 給. 付を履行していないのであ り, その点で契約相手方は 単なる破産債権 者ではない. この意味で BGH が問題 を K0 17 条の問題にしているのは 正当であ ろう. そ. そ以下のとおりであ る. 後の破産者 (売主 ) と契約相. れは,第二の問題,つまり 履行請求権 の運命の問題と. 手方 (買主 ) との間に 6 個のローラ一の 製造 引 渡契約. なるのであ る.. があ った. ところが双方 未 履行のうちに 破産手続が開. さて,従来の支配的見解は ,破産管財人には選択権 という形成権 が K0. 17 条によって与えられており. ,. 破産管財人が 履行を選択したときには 破産財団との 間 で契約関係は 続き,最終的には,破産管財人は直接債. 始して,破産管財人 (原告 ) は契約相手方. (被告 ) に. 対して, 当初合意していた 契約条項を変更したい 旨の. 通知があ った.被告はこれに 同意した. このような事 案で RGH は,現在ある契約は当初の 契約とは異なる. 権 を行使して破産財団を 充実し契約相手方は 財団債 権 者として債権 全額の満足を 得ることになり ,逆に破. 新たな契約であ るとして,破産管財人に 有利な判決を. 産 管財人が履行の 拒絶を選択したとき. (破産管財人が. ている. 「破産管財人はテレタイプで 当該契約の履行. 選択を怠り,契約相手方からの 催告を受けてからも 選 択を行わず・ K0 17 条 2 項によって履行拒絶が 擬制さ れたときも含んでいる ) は,契約相手方の履行請求権 は 消滅し損害賠償請求権 になり (K0 26 条 2 文 ).. を拒絶したのであ り,破産管財人が 選択を怠ったかど. 破産管財人の 履行請求権 もまた同様に 消滅するとして いた 20). しかし その選択をなさなの 間は, schwebend な 状態にあ るとするだけで ,破産管財人,. 下した. その際・. こういうふうに 述べて理由付けをし. うかは問題にならない. それゆえ, この債務関係から. 生じる双務的な. (二つの破産管財人と. 契約相手方と の ) 履行請求権 は消滅したままであ り (e,loschenge. blieben), 再生はしないのであ る (nichtwiederaufgelebt)」,6,. この判決が「破産開始の 時点」で双方の 履行請求権. 契約相手方それぞれの 履行請求権 がどうなるかに つい. が消滅しているという 前提を採っていることは 明らか. ては詳しく述べたものは 見当たらない 21).. であ る. しかし事案は ,破産管財人は既に選択をし ている (履行拒絶 ) 事例であ る. しかも,判決の 引用 している BGH l987, 1702 (1703) の事案もまた 履行. これに対して 近時の有力説は ,. とくに履行拒絶につ. いて破産管財人の 形成権 として構成することをやめて ,. 履行拒絶は,破産手続の開始により破産法上の 通常の 効果を契約相手方に 知らせ,かっ・ 破産管財人は 当該. 拒絶の選択をした 後の問題であ り, その 判 赤も, また そこで示す確立した 判例も,選択後には履行請求権 は.
(8) 横浜経営研究. 48 (200). 第 Ⅲ巻. 第 3 号 (1990). 消滅しているとするものであ り,選択のなされていな. 3.. い場合についてまで 踏み込んで い るとは考えられない. 日本法への示唆. Ⅲ. か・それは支配的見解の 立場に立って ,履行拒絶の場. 基本的問題への 示唆 日本法では破産法 59 条, 60 条で双方 未 履行双務契約 についての規定がなされている.そのうち ,破産管財. 今 に双方の履行請求権 が消滅することを 認めた上で ,. 人の履行選択の 場合にはドイッ. 今までグレーゾーンであ った選択がなされるまでの 間,. ているが,履行の拒絶は「契約の 解除」という 制度に. すなわち破産開始の 効果としても 履行請求権 の消滅を. なっている.契約の 解除が選択された 場合, その後の. 説いたものであ ると評価できる.. 清算関係は財団との 間で財団債権 の形でなされる ,つ まり,破産者が一部の履行をしていた 場合には直接 破 屋財団に返還されるべきものであ り, また,契約相手. のであ る. では, 本 判決はどういうふうに 評価できるであ ろう. しかしながら ,破産. 開始の時点から 履行請求権 が消滅すると 考えるのは,. 選択権 を形成権 と捉える支配的見解の 立場と一致しな いことになるであ ろう. むしろ,その点では有力説に. と. 同様の規律がなされ. そもそも有力説では 破産 開. 方が一部の履行をしていた 場合には, それが破産財団 のうちに現存しておれば 契約相手方は 返還の請求がで. 始によっても 履行請求権 は消滅せず,同時履行の 抗弁. き,現存しないときはその 価額にっき財団債権 者とし. 権 も存続するというのが 主張であ る. したがって ,い. て 権 利行使ができるとされている. この規定はドイツ. ずれの説からも 首尾一貫して 出てくる結論ではないと いうことは明らかであ ろう. むしろ,「破産手続の 開 始」によって 契約関係が変更を 被ることを主張したと いう点で,双方 未 履行双務契約の 処理を定めた KO 17 条の解釈に新たな 一石を投じたものとして 興味深い. 法 圏の法制としては 珍しく履行拒絶 (契約解除 ) の場 合に契約相手方に 取戻権 または財団債権 を与えて保護 しょうとするものであ り 28),そのため,財団不足が 生じる際にその 大きな原因になるという 批判もあ る 29).たしかに日本法の 規律では,双方未 履行双務契. 判決であ る 27).. 約は契約によって 目指される「利鞘」の 部分だけが破 産手続に取り 入れられ,契約本体は 破産手続の中に 入. 近いものを感じさせるが ,. 田. 水指. 本 判決が,破産法上,従来扱われてこなかった 問題. を採りあ げ,破産開始によって 双方 未 履行双務契約関 係は変更を受け , 二つの対向する 履行請求権 は消滅す. るという結論を 採ったことは 注目すべきところであ ろ ,. しかしながら ,その点で従来の支配的見解に 追随. ってこない形になるであ ろう. このような日本の 破産法 59 条, 60 条がいかなる 趣旨,. 目的で置かれたのかについては ,福永教授の研究があ るが, 「大別して二種類ないし 三種類に分けることが できる」としている 30). その一 つは ,契約相手方は. 本 判決において 債権 譲渡の対象が 将来の請求権 であ っ. その負担する 債務の完全な 履行を強制し 他方,契約 相手方の持っ 請求権 に対しては破産上の 配当を与える に留 どまることは 双務契約の性質に 惇り ,当事者間の 公平にも反するので ,相手方保護のためにこれらの 規. たところが依然問題の 一角を構成していると 見るべき. 定があ るとする 説 ,. であ ろう・ もし債権 譲渡の対象が 既存の,つまり 既. とともに,破産手続の 終結の迅速化のために 置かれた. に 発生している 請求権 であ った場合にどのような 判決. とする 説 ,. がなされたかは ,なお疑問である・そして, RGZll, 49 判決の原則がその 場合にまで否定されるかも 疑問で. を目的としたという 説であ る.判例は第二あ るいは第 三の説を採っているとする. また,近時の有力説とし て伊藤真教授の 見解にも触れている "). 伊藤教授は 破産法 59 条, 60 条の趣旨を「立法者がこれらの 規定に よって真に意図したものは ,管財人に契約の解除権 を 認めるところにあ る」として,破産財団のためにとく. う. するものともいえない 部分があ り,近時の有力説の 影 響も見て取れなくはない. また,前にも 述べたとおり. あ る・. また,破産管財人の 個人的な責任を 問う訴訟で. あ ったこと,すなわち 第一訴訟との 蛆糟 6 本判決の先 例的価値を疑わしめるものであ る. したがって, 本 判決は,先例的価値は疑わしいが, 破産法上の議論に 一石を投じる 重要な判決であ るとい ぅ. 評価が可能であ る. もう一つは,当事者の 公平を図る. さらに加えて ,破産財団の利益を図ること. に認められた 規定であ るという点を 強調するのであ る. 福永教授の見解は ,破産法59条, 60条の趣旨, 目的 を・契約相手方の 破産債権 が同時履行の 抗弁権 の付着.
(9) 破産管財人の 履行選択の効果 したものであ ることを積極的に 評価し,その観点から 再構成するものと りえよ 632).破産手続が 開始して も双務契約関係において 同時履行の抗弁権 が付着する 関係に代わりがないとした 場合,当然,契約相手方保 護のためという 要素は破産法 59 条, 60 条がなくとも 考 慮 されており, したがって, これらの規定が 当事者の 公平を図るためにあ るという考え 方は成立しなくなる のであ る. そして同時履行の 関係にあ る双方木履行双 務契約は,破産法59 条, 60 条がなければ ,破産管財人 からも,契約相手方からも 身動きの取れない 関係とな ってしまう.そこで 破産法 59 条・ 60 条の規定が必要に なるとする (ただし必ずしも ,同時履行の抗弁権 等 を「破産手続中で 処理しうるようにしなければならな い」わけではないとして・. 「破産手続を 迅速に終了さ. せるためというような 単なる手続的な 理由によると 理 解することも 正当でな い 」とする 331¥. そして,破産 管財人の履行の 選択の場合には「破産財団を 実質的に 増大させる途を 開くことを第一の 目的としたもの」と 考えているが ,契約の解除の場合に,伊藤教授が「財 団の実体的な 利益」から出発しているとすれば 問題で あ るとする. それは, 同時履行の関係を 未処理のまま 手続を終了させるのと 契約関係自体を 解除してしまう. (坂田. 宏). (201). 49. れは将来の請求権 を対象とした 債権 譲渡の譲受人との 間で訴訟が生じたからであ ると読み込むことが 可能で あ. るならば, 本 判決はますます 有力説の有利に 働くも. のといわねばならない. しかしながら ,. ドイツにおけ. る議論の中でとりわけ 重きを置かれているのが「破産 財団の充実」であ ることを考えると ,. 日本法とドイツ. 法で立法者の 間にあ るギャップがいかにして 生まれ, また, そのギャップがどのように 解釈に影響している. かを, より明らかにしなければならない、 35l.そして それは, 日本とドイツの 破産法の目的の 異同にも目を 向けさせるものであ ろう 36). (2) 同様の事例への 示唆 日本において , BGH NJW l989, 1282 判決のよう な事例については ,過去判例はない.その 理由として は,破産管財人がこういう 事例について 話し合いで決 着を着けるから 裁判所まで上がってくることはないと. いうことが考えられよう. しかし問題の 多い事例だ けに,破産法上の 論理を明確にする 必要があ るのはい うまでもない. とくに, この種の債権 譲渡は担保的な 意味合いを持つことから ,譲受人が別の破産債権 者で あ るということが 多く,否認権,相殺権との関係で問. のといずれがより 財団の充実に 帰すかについて , 「後. 題 が生じるであ ろう.以下では ,債権譲渡が現在の 債. 者の方が破産財団にとって 常により有利であ るとは 必. 権 についてなされたのか ,将来の債権についてなされ たのかによって 場合を分け, BGH NJW l989, 1282 判決が与える 示唆をも考慮して 論ずることにしたい.. ずしもいえないからであ る」とする. そして結論的に ,. 「契約の解除という 処理方法を形式的に 適用すると, 関係者間に著しい 不公平が生じるような 場合には‥ (中略 ) …,解釈上の 操作によって 具体的妥当性を 図. (ァ) 債権 譲渡が現在の 債権 についてなされた 場合. る努力をなすべき」であ るとして,各論的な 問題につ. まず,現在の債権 について譲渡がなされた 場合を仮. いては後の論文に 譲っているのであ る. って, BGH. NJW. 定しよう. この場合,現在の 債権 は,契約の時点で当. l989, 1282. て, ドイツでいう 支配的見解 (通説 ) と近時の有力説. 該債権 が発生しているものであ ればよく,期限の定め のあ る債権 はもとより,停止条件あ るいは解除条件付 きの債権 であ ってもよい. この場合,後の 破産者と譲受人との 間には何らかの 対価関係が生じており ,多くの場合は譲受人が破産者 に信用を供与している 関係であ ろう. したがって,譲. の間にあ って・ 本 判決が通説を 採りながら,通説の論 理的基盤に触れるような 判決をしたことは ,同時履行. 受人は破産債権 者であ ったのであ り, この債権 譲渡契 約 自体が偏頗行為として 否認される可能性があ る 37,.. の抗弁権 が破産開始後も 消滅しないという 有力説に一. この否認の要件が 該当しない債権 譲渡であ れば, もは. 歩近 づいた可能性を 有しており,それは日本における. や破産手続が 開始しても譲受人は 既に発生している 債 権 の譲渡を正当に 受けたのであ るから,契約相手方か. このような状況にあ. 判決はどのような 示唆を与えるものであ ろうか. 本 判. 決が破産管財人の 履行選択を扱っているにもかかわら ず, それは同時に 破産管財人の 履行拒絶の場合の 論理. 的 構成に深く 係 わっていることは 明らかであ る. そし. 福永教授の議論に 有利に働くものではなかろうか 3。, .. 本 判決が破産開始の 効果として破産管財人,契約相手. ら 債権. 方の履行請求権 が消滅すると 判断しているものの ,. ならないであ ろう.. そ. を取り立てることができるものといわなければ.
(10) 50 (202). 横浜経営研究. 第 3 号 (1990). 第甜巻. この場合に,破産管財人は 契約の履行を 選択しても 当該債権 について権 利を行使することはできないであ ろう・また,その 方が破産財団に 有利であ るのなら問 題はな い ・問題は,破産財団に 不利益だと判断して 破. るからであ って,破産財団に 何ら収益がない (つまり 叫. x 益は譲受人の 側にあ る ) にもかかわらず 契約を継続. することはないとして ,履行の選択を 破産管財人と 契 約相手方との「新たな 契約」と捉える 考え方とも基本. 産管財人が契約の 解除をした場合であ ろう,その場合, 的には一致するものであ る. たとえば,破産者 (破産管財人 ) には 60%, 契約相手 しかしあ えて筆者は反対の 結論を支持する.継続 方には 40% の残された給付があ ったとすると ,破産管 的契約関係を 継続して破産財団の 充実に努めるのであ 財人は 20% 余分な履行をして 譲受人の満足を 計るのは れば,破産管財人は 契約相手方と「新たな 契約」を締 破産財団にとって 不利であ ると考えて契約の 解除をな 結し,従来の契約を解除すれば 済むことであ る.それ した・ 当然,破産財団には 40% の一部給付した 利益が. に,譲受人にⅡx 益を与えるほうが 破産財団に有利にな. 返還され,契約相手方は 60% の一部給付を 譲受人から 返還してもらうことになる.譲受人は 債権 譲渡によっ て消滅したはずの ( または担保が 付いていたはずの ). 6 場合も皆無とはいえない・. 100% の債権 をもって破産手続に 参加するであ ろう.. 破産管財人は ,譲受人に収益をさせてもなお 真に破産 財団に有利であ ると判断した 場合にのみ履行の 請求が でき,その他の場合には契約を 解除すべきであ る 42) (そして「新たな 契約」を締結すればよいのであ る ). これに反した 場合は,破産法164 条 2 項によって責任. 単純計算ではあ るが,余分な 20% を支出して譲受人に. 40% (考えようによっては 100% であ るが ) の満足を 与えることよりも ,契約解除で戻った 40% でもって譲 受人に 10% の配当を与えたほうが 破産財団には 有利に なる・ しかし一部給付の 状態によっては 判断は複雑 にならざるをえないし 譲受人の立場を 一方的に左右 することが許されるのかどうかも 考慮すべきではなか ろうか 38)39). しかも,破産開始の 効果. として履行請求権 が消滅することを 前提としているこ. とに,やはり 異論を感じるからであ. る・. したがって,. を負うべきであ る. じ主]. 1) 参照, 3. 田. 2) 福永有利「破産法第 59 条の目的と破産管財人の 選 (杓. 債権 譲渡が将来の 債権 についてなされた 場合 これは,債権譲渡は契約の 時点で完壁に 成立してい るといえるのであ るが,対象たる 債権 が将来において 発生する (BGH NJW ]989. 1282 判決でいう ent, stehen), つまり現時点では 発生していない 場合であ る・継続的契約関係から 生じる多数の 債権 を,将来命 も 含めて債権 譲渡する場合などが 考えられるが ,もっ. ぱら担保的に 用いられるものであ ろう 40). もちろん, 破産開始双に 債権 として発生していれば , (刀で示した よ う に扱われるであ ろう.. 択権 」,. 『. 北 大法学論集 ], 39/ 5 一 6 上 (1989),. p.1373. p.1406. 3) 最近。 注目された判例としては , 最 Ⅰ ) 判 昭和 62 年 1U同 26 日 民集 41 巻 8 号 1585 頁があ る (なお, 双方 未 履行の状態に 関する議論については 判例も 多い ). 4) オーストリア 法 ,スイス法では ,契約の解除とい う方法が知られている.参照, (注 28). 5) この見解は,これを 形成的な効果として 把握して いる・支配的見解については , Cf.EmstJaeger. Wolf,am HenckeI, Konku,so,dnung, g. Aufl., York, 1980 , 口 eferung 齢 1ト 18, Be ㎡ n/New Anm .S17,N,. 150 ,. 問題は,破産開始の 時点ではまだ 発生しているとは いえない場合であ る・このとき 破産管財人が 契約を解. 6) Wolfgang Ma otzke, Gegense ㎡ge Ven ㎡ge in Konkursund Vergleich,M 廿 nchen, 1985,S.52ff. 7) なお・この転換は 終局的に,つまり 破産手続が 終 了して後も損害賠償請求権 としてのみ行使しうる とされる (Cf.Marotzke,a.a.o.,S.53), 8) 同じ判例の紹介として , JuS 1989, 935 (Karsten Schmidt) があ る. g) Jaeger-HenckeI,a.a.o.,S17.Nr.146 Ⅱ. 除すれば,当該債権 は発生しなかったものとして 問題 なく処理されよう・ しかし破産管財人が 履行を選択 した場合は,破産開始後も 債権 譲渡の対象であ る債権 が発生し続けるのであ る 41). ここで, BGHNJW 1989, 1282 判決の論理を 用いることも 可能であ る.そ. 10) Jaeeer,HenckeI,a.a.o.,S17.Nr.145. の場合,破産開始の 時点では破産配当以上の 何ものを. 1l) NJW に挙げられた 判示 事項は,以下の二つであ. も有していなかったという. 論理であ る・そしてこれは ,. 破産管財人が 履行を選択するのは 破産財団に有利であ. る.. ①破産開始双に 締結されていた 双務契約を履行. Ⅰ. """". """.
(11) 度消滅した請求権 を再び発生せしめるものであ る. 12) ドイツにおいて ,差押債権者は差押質権 を有する 13) ドイツ民法 (BGB) 783 条以下・ 14) この ょう な形の担保的債権 譲渡が認められること については, BGHZ7.365 [367ff.] 二 NJWl953, 21 を参照のこと.. 15) ヘンケルは,判決に 否定的であ. る・. それは「指. 図」という法律関係そのものが 有する性質による. 5 2 4 22 2 3. ②破産管財人によって 履行された契約から 生じる 利益 (Erlos) は財団に帰属すべきであ って,破 産開始双に破産者から 債権 譲渡を受けた 譲受人に 帰属すべきものではない.. 7 62 2. 指図とは,指図人が,金銭,有価証券等,代替物 を第三者に給付すべきことを 被 指図人に指図する 証書を第三者に 交付して行なうものであ り,第三 者 (指図証書受取人 ) は 被 指図人より自己の 名を もって取り立てる 権 限を得, また 被 指図人は指図 人の計算において 指図証書受取人に 給付をなす権 限を有することになる (BGB783 条 ), 被 指図人 が指図を引き 受けたときは (指図証書上に 記載す ることによってこれをなす ), 指図証書受取人に 対して給付義務を 負うことになる. その際, 被 指 図人は指図証書受取人に 対して,引受けの効力に 関する異議,指図の内容または引受けの 内容より 当然生じる異議及び 被 指図人が指図証書受取人に 対して有する 異議のみを対抗することができる (784条 ). そして 被 指図人は,指図証書と引き換 えにのみ給付をなす 義務を負 う (785 条 ).. このような指図の 性格から,引受けがなされた. S17,Nr.146). 「. ‥. ることになるものと 9 、 われる.. 18) BGHZ NJW. l03,249 (250頁の間違いか 一一筆者 ) 二 l988, 1790 を引用している・ この判決につ. いては後述する. 1g) Jaeger.Henckel, a.a.o., Anm.. ㌻ 5, Nr.44, m.w. Nachw. 20)@. Jaeger. , Henckel. ,. a , a , O ,,. Anm. ・. ァ17 ,. Nr. ・. 150;. f もな , ると 持 h 良 ㎞団. 16) BGHZ 7.365 [367ff.] = NJW l953, 21. 17) dem mehraktigen Entstehungstatbestand" 何 幕 かの発生 栗ャ牛] と訳しうるこの 言葉から,発生 (entstehune) には何段階かのステップがあ りう. 方 の 肌 な萌 , ム2 ロ% ン よ. 法n b. 8 2. 指図は給付請求権 を指図証書受取人に 与えるもの であ り,指図人の 破産に際しても 根拠を失うもの ではないということが 導かれる. しかも,不当利 得を用いるへンケルの 理論 (注 42 参照 ) にしたが ったとしても ,不当利得返還請求権は生じない, これは, もはや同時履行の 抗弁権 の付着する関係 ではなく, BGB785 条の関係,つまり 指図証書と 引き換えに給付をする 関係になっていることから 導かれるとしている (Jaeeer-Henckel,a.a.o.,. (203) 51. 宏). 3. 1 2. し あ るいは,履行の請求をするという 破産管財 人の意思表示のみが ,財団からの給付を求める 契 約相手方の請求権 を発生せしめ (KO 59 条 1 項 2 号 ), また,契約相手方に反対給付を求める ,一. (坂田. ,レ 産パ 問 っ ,克 相 産 助関を お N 問K k Ⅰにを存g で ㎏ H し ㎏ Ⅲ 論ょ け ・ 軋㏄ H ら k ,水/産 て Gる も 択 し反 事 を力 始利 はう. 破産管財人の 履行選択の効果.
(12) 52 (204). 横浜経営研究. 第Ⅲ巻. 銭 化したものとして 取り扱う代わりに 破産者の義 務を履行することができ ,契約相手方の債権 は財 団債権 として取り扱われると 規定している. 日本 法と同じく契約解除は 認めるものの ,契約相手方 が -- 部の給付を履行していた 場合には (いわば劣 後的 ) 破産債権 となる点で取り 扱いを異にするも のであ る・ 文献としては , Hans Fritzsche, Schuldbetreibung Konkurs, Bd. Ⅱ, 2. Au 田 Zurich, 1968; Kurt Amonn, Grundriss des Schuldbetreibungs- und Konkursrechts, 3.Aufl.,. 第 3 号 (1990) に 立つものかどうかは ,やや疑問である (なお,. 宮川如法 (中野貞一郎二道下 徹編 ) 「破産法』 ( 日 本評論社, 1989 年 ) pP.80 ,参照). これに対して ,宮川如法助教授の見解は,従来 の解釈を個別的公平の 実現を目指すものであ ると しむしろ,全体的公平の 観点からの整理が 必要 であ ると説く (宮川、 前掲破産法 J pp.80 づ 2, 「破産法 59条等の基本的理解」,『法学雑言 ま ], 37巻 1 号 (1990.8), pp.40 ,参照),. 33) たとえば,契約相手方も 破産管財人も ( したがっ て他の破産債権 者も ), 破産手続の間はこの 契約 オーストリア 法では破産法 (Konkursordnung: 関係を未処理のまま 残し破産手続終了後に 破産 OKO) 21 条で,ほぼ日本法と同様の規定がなさ 者であ った者と契約相手方との 間で決済するとい れているが,旧法では 日本法と同様契約相手方が う処理方法もあ りうる. もちろん,破産者が 法人 Bern, 1983.. 一部の給付を 履行していた 場合について 取戻権 ,. であ った場合や未処理のまま 残した同時履行の 抗. 財団債権 を認めていたが ,全部履行と一部履行と. 弁付きの破産債権 に免責の効果が 及ぶとした場合 北 大法学論 には問題であ る・参照,福永,双掲『. の間の権 衡がとれないとして , 1914 年の改正の際 にはこれを認めなかったという 経緯があ る (加藤. 正治『 濁逸 破産法」. (第一分冊,. 有 斐閣, 1920 年 ). 140 日本の破産法は 1921 年 (大正 11 年 ) に成 立したものであ るから,明らかに 立法者はオース. p.. ・. トリア法を知りつつそれとは 異なる道を選択した ものというべきであ ろう ). 契約の解除は 双方の. 履行請求権 を将来にわたって 消滅させると 解され C〃 , @ , *@@ L Ⅰ , A , Antonヽntelen, Oster ・. ・. reichischen@ Konkurs , und@ Ausgleichsrechtes , Miinchen/Leipzig , 1915;@ Robert@ Bartsch , Rudolf Heil ,. GrundriB@. des@. Insolvenzrechts. ,. 4.@ Aufl , ,. Wien/Leipzig , 1983;@Richard@Holzhammer. , Oster rCc Ⅱ sches@ Inso enzrechts, 2.AufL , Wi n/New York, 1983. 29) たとえば,平岡建樹 「宣告と請負」,道下登二高 橋欣一『裁判実務大系 6 . 破産訴訟法」 (育 林書 院, 1985 年 ) p. 141, 相澤光江「請負人の 破産と 破産法 59 条の適用の可否」, NBLJ, 391 号 (1987.12), p. 6, 松下淳一「請負人の 破産に対 する破産法 59 条適用の有無」, 「ジュリスト ], 901 号 (1988.2), p. 104, 林田単「建築請負人の 破 産と注文者の 権 利」, 「法学教室」, 90 号 (1988.3), p. 88, など・ ・. Ⅰ. 『. 30) 福永,双掲 [北 大法学論集 J pp.1404. なお,破 産法 59 条, 60 条の沿革についても 詳しく述べられ ているが (pp.1394), 現行破産法の 立法理由に ついては様々な 資料からの明確な 説明が得られな. いとしている (pp.1398). 31) 伊藤 眞 「破産法 J (有 斐閣, 1988 年 ) pp.83. 32) 福永,双掲「北 大法学論集 J p. 1406 円 413. 伊藤教授も破産法」 p.84 で,破産管財人が 履行請求した 場合には「同時履行の 抗弁権 をその まま認めなければならない」とする (伊藤「債務 者更生手続の 研究 J (西神田編集室, 1984 年 ) p.. 438, 参照 ). これが福永教授のいう ,「同時履行 の抗弁権 は,破産の開始によって 当然に消滅する と解すべきでないこと」という 解釈論と同じ 立場. 集 J p. 1407.. 34) 筆者はかつて ,民法における同時履行の抗弁権 と 民事訴訟法における 引換給付判決との 関係につい てドイツに目を 向けて論述したことがあ るが, そ こでドイツにおける 少数 説 として「統一的交換請 求権 謀 (die Lehre vom einheitlichenAustausch.. anspruch)」があ ることを紹介した. (拙著「同時. 履行関係と引換給付判決 し ) 」, [民 商法雑言 ま ], 98 巻 4 号 (1988.7), p. 423, pp. 430 , pp. 435 円 39). その際,「同時履行関係が , ギヴ ・ア ンド・テイク 原則 ド do-ut.des" -Prinzip) に支配 される交換関係 (AuStausch) と把握され, それ ゆえ,給付の 交換 (Synallaema) が双務契約の 中核として考えられている」のであ るが,それは かなり強力な 牽連関係であ るという印象を 抱いた それゆえ筆者は , この強力な牽連関係は ,破産法 のこのような 問題にも影響を 及ぼしてもよいとい う基本的な姿勢から , ドイッにおける 有力説なら. びに福永教授の 見解に,基本的に賛成するもので あ る.. 35) たとえば,斎藤常三郎博士は , 日本の制度を 比較 法的に見た場合に「最良のもの」であ るとしてい る (斎藤常三郎『比較破産法制 (有 斐閣, 1940 年 ), P. 150). 明確な根拠は 示されていないが , 立法者の物の 見方が推し量られよう. 36) なお, 日本法においては 破産開始時における 履行. 請求権 の存否が問題となることはなかったように 思われる. これは,契約解除が選択された場合に いわば「存在している 契約の解除」を 意味するも ので,履行請求権の消滅自体をいう 必要がないた めかもしれない. いずれにしても 本 判決から直接. の示唆を得ることはこの 限りではできないものと 考える. ただし 本 判決と同様の 事例については 後に論じる. 37) 破産法 72 条 2 項.債権譲渡によって 譲受人の有し. ていた債権 (後の破産債権 ) が消滅するような 場 合 (弁済,代物弁済等) のほか,債権譲渡が譲受.
(13) 破産管財人の 履行選択の効果. 人の有するさの 担保のためになされた 場合 (債権 質等 ) の場合にも,否認の 可能性があ る・参照, 谷口安平『倒産処理法 J (第 2 版, 筑摩書房, 1980年 ), p.251, p,258, 伊藤,前掲『破産法』 pp.. pp.. いものと思われる. ドイツのように 差押債権 者に 差押質権 が与えられることは , 日本ではないので あ る. 39 Ⅰ類似した事例に ,代理受領,振込指定がある・ 代 理 受領について 述べると・あ る建設会社が 国から の注文を受けてビルの 建設をする請負契約を 締結 すると同時に ,銀行から資金を調達するために ,. 銀行との間で 国から支払われる 請負報酬を銀行の 口座に振り込ませる 契約をも締結した. この二つ の契約がいずれも 双方 未 履行の状態で 建設会社に どのようにな. 宏). (205) 53. が重なる事例であ るので興味深い. さらに, 一部 の請負報酬について 国が銀行の口座に 支払ってい た場合には,相殺権 とも絡んで複雑な 問題が生じ る可能性があ る・参照,伊藤『破産法 J Pp. 197,. 284.. 38) ちなみに, この第三者が 差押債権 者であ った場合。 破産者に対する 強制執行が失効するため (破産法 70 条 1 項. 16 条参照Ⅰ, ここでいう問題は 生じな. 対する破産手続が 始まった場合に ,. (坂田. 260.. 40 Ⅰその場合。 41. Ⅰ. ドイッでいう 「特定性要件」が 日本で どうなるかは 問題であ ろう. もちろん,その 継続的契約か 債権 譲渡契約に破産 を終了原因にしてあ れば問題はな い ,. 4%. ヘンケルはこういう 場合に, - 旦,譲受人に帰属 した収益を不当利得返還請求として 取り返すこと を認める よう であ る. そして,破産財団から 支出. されるコストが 差押質権 者の有している 破産配当 の価値を超える 場合に限って 不当利得になるとい う (Jaeger-Henckel, a.a.o., AAnm. S17, Nr.14 ⑤ Cf. RGZ63, 361ff.). しかし, なぜ一印譲受人に. 帰属した収益を 不当利得で取り 返せるのか,破産 財団の支出するコストとはいかなるものかが や 不明確であ る 2 3 に思われる. るかは問題であ ろう.二つの双方 未 履行双務契約. ,. や. 一 以上一. ( さかたひろし. 横浜国立大学経営学部助教授. コ.
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