• 検索結果がありません。

大規模電力系統の故障計算手法に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大規模電力系統の故障計算手法に関する研究"

Copied!
56
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

大規模電力系統の故障計算手法に関する研究

田中, 和幸

https://doi.org/10.11501/3117292

出版情報:Kyushu University, 1996, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

3

. 任意の多点故障計算手法の開発

本章では、 故障が一つのみの単純故障に関する基本式を記述した前章(2.16)式を用いて 故障が任意のM地点で同時に発生する場合の、 すなわち任意の多点故障に対する求解手法 を述べる。 なお、 ここで任意の地点と言うのは故障位置がノードに限らず、 ブランチ上の 任意の地点を含むことを指す。

さて、 前章の(2.16)式は4種類の故障種別の全てを表現した統一式となっているため、

この式に基づく多点故障解が定式化できれば、 その結果が同時に任意の故障種別に対する 解を表すことになる。 以下、 その定式化の方法について述べる。

なお議論の簡単化のため、 次節以下では当面、 故障位置はノードに限るものとし、 また 並行送電線での零相電流による回線開影響もとりあえず無視して記述する。 これらについ ては定式化の基本的方法の記述の後、 それぞれ4節および5節で詳述する。

3.

1多点故障の基本方程式

故障が一つのみの単純故障に関する基本式を記述した前節(2.16)式を用いて、 同時故障 数がMの場合の一般的な場合における、 あるひとつの地点tでの故障計算の基本式を次ヱ のように導くことができる。 なお、 以下では簡単のため故障点kはじ2,3 ---- Mの連番を とるものとする。

( U t(1) =-LXt�1) .Wk(1)+Sl Ut - - tA〉 WK (3.1)

o Xt�n) k点故障について図2.8の計算を行ったときのt点での値。 すなわち、

もしt点故障が地絡あるいは短絡の場合はt点電位、 SrC故障の場合は t点(SrC間)の電位差、 また遮断の場合はt点通過電流値。

この (3.1)式について補足すると、 故障がM地点で同時に発生する場合、 故障時のt点、の 状態量U t(n)はt点のみならずM点全てのWk(n)の値に依存することは明らかである。 た とえばt点と2点で同時に地絡故障が生じた場合にt点に現れる電圧Ul を考えると、 こ の電圧は2点の故障電流にも当然依存する。 すなわち、 多点故障時の状態U t(n)を表すた めには、 他の地点でのWk(n)による影響を考慮に入れることが不可欠となる。 こうした影 響分を数式的に表現したものが、 (3.1)式右辺の-L X t� n) W k ( n) (k学t) に関する

項である。

この (3.1)式をt=1 ,2,3 ---- Mの全ての故障点についてまとめて表すと、 次の多元連立 式を得る。

( U =-X(}W〈}

U(1)= -X(1)\町(1) + S (3.2)

-41-

(3)

oU、W、 S :それぞれ (3.1)式の変数を要素に持つM次元ベクトル変数

oX:要素Xl kからなる(Mx M )の定数 行列

この式は全体としてMx3次元の連立方程式を構成している。 一方、未知変数はW(n)とU (n)(n=O, 1 ,2) の計MX6個であり、このままでは解を求めることはできない。

しかし求解にあたっては、この (3.2)式に対して(2.17)式で記述される各故障点での故 障相数制約式が加わる。 これらの指定は、全体としてW川とU川に関するMX3個の制約 式となる。 よって、 結果としてMx6個の未知変数の数と同数の連立式が構成でき、 理論 上、未知変数を求めることができることが分かる。

なお、これらの未知変数WとUのうちで故障分布の計算に必要となる変数は、単純故障 の場合の(2.18)式に見られるようにベクトルWである。 指定された故障が発生したときの ノードiの電圧、およびブランチjの電流は、いったんMx3個のW(叫が求まれば、これ らを(2.18)式を一般化して表した次式に代入することにより得ることができる。

(i=-1Zii}WK〈) V

i (1) = - L: Z i�

1)

W

k

(1) + E

i

(3.3a) 1 �ー-1YJ〉WK〈} C .:i(l) =- �

Y .:i�1) Wk(l) + F

j

(3.3b)

なお、この式中のZ

i�n)とY

Jn〉について改めて述べると、これらは単なるZ行列要素で はない。 これらは、それぞれ故障kについて 図 2.8の計算によって得られるノードi電 とブランチj電流であることに注意されたい。

3.2故障数に制約のない計算法

上述のように (3.2)式の基本式に対し、それぞれの故障点kについて(2.17)式で記述さ れる制約が加わる。 したがって、故障計算で残された問題は、これらの式からW(n)を解と する定式化を図る手順があるのみである。

W(n)の定式化を行うには、指定された故障数に対応した(2.17)式の制約式を(3.2)式に 代入すれば済む。 しかしながら、(2.17)式は3つの異なる式で 構成されているため、直接 的な代入を 行うとすれば、故障相数の組合せ数だけの定式化が必要となる。 この数は、 第

1.1節で述べたようにMの増加に伴い級数的に増えるため、得策とはいえない。

そこで以下では、(2.17)式を構成する3つの式を単にひとつの形式で表現し直すことに より、故障相数による分類が不要なW川の新しい定式化方法について述べる。 なお、(2.1

7)式では故障は基準相、すなわち1線故障ではa相、 2線故障ではb c相故障が前提であ り、 本節でも以下これに準じる。 非基準相の扱いについては次節で論じる。

新しい方法では、(2.17)式の元の変数Uk とWk に対応する新しい変数U�とW�を導 入し、これを用いてまず各々の故障条件式を同 一形式で表現する。

このことを具体的に示すと、たとえば故障点kが1線故障の場合は (2.17a)式でU�(n)

ワ白AHτ

(4)

三Uk(n)およびW�(n)三Wk(n)として

( UL{O}+UY)+UγZ) 0

W�(O) =W�(I) =W�(Z)三W�

と表す。 ここに便宜上、 W�三W�(n)(n=O, 1,2) と置いた。

(3.4a)

また2線故障の場合には、 (2.17b)式でu � (n)三W k(n)およびw�(n)三U k(n)として次 式を得る。

( UL(O}+UL(I}+UL(Z}=O W�(O) =W�(l) =W�(Z)三W�

更に、 3線故障の場合は(2.17c)式でU�(n)三Uk<n)として

(3.4b)

U�(1)=o (U�(O)=U�(Z)=O) (3.4c)

と表す。 すると、 これらU�とW�を要素に持つベクトル変数U'とW'の関係は、 単に 次のようなひとつの形で表すことができる。

(

U'{O}+U'{l}+U (幻=

0

W'(O) =W'(1) =W'(Z)三W'

なお上式を表現する際、(3.4c)式は特別なケースとして含めることとする。

(3.5)

一方、 新しい変数U'およびW'を導入したことにより、 (3.2)式の基本式もまた新し い変数で表現する必要がある。 すなわち

( U {}=-x {〉W〈〉

U'

(1)

= - X'

(1)

W' (1) + S ' (3.6)

となる。 ここに、 行列X'とベクトルs 'は、 それぞれ元の行列XとベクトルSに対して 2線故障に関する変数を入れ換え(掃き出し) たものに相当している。 なお(3.6)式の各 式の次元はたとえ対象系統が大規模であっても単にMであり、 したがって変数の入れ換え のための労力はほとんど問題にならない。

さて、 これら(3.5)および(3.6)式を連立してW'を求める手JI慎は簡単であり、 説明は 不要であろう。 すなわち

W' = D' ・ s ' (3.7)

o

D' :

(

X '

(0)

+ X ' (1)

+

X ' (Z) )- 1から成る(Mx

M)の正方行列、 ただしkが線 間短絡の場合には零相分を加えず、 また3線故障の場合には更に逆相分を 加えない

無論、 最終的には(3.3)式に代入すべき元のベクトノレWを求める必要がある。 (3.7)式 で求まるW'の要素は、 k点が2線故障のときにのみW�学Wk である。 よって2線政障 の場合のみ、 W'を(3.6)式に逆代入してU�を、 すなわちWk を求める。

上述の新しい定式化の特徴を述べると、 その最も大なるものは多点故障の求解に至る一 連の計算が(3.5)---(3.7)式のみにより行い得るという点である。 すなわち、 従来手法で は故障種別と故障相の組合せからなる極めて多数の求解式を準備する必要があるが、 本手

(5)

法では単に1つの式により行い得る。

あとひとつの注目すべき特徴は、 本手法ではMの数の上限制約がないという点である。

すなわち、 本手法では故障点数Nに依存して単に方程式の次元が増減するのみであり、 求 解手順そのものは変わらないため、 理論的にはMの制約はない。 強いてMの制約をいえば 実際の計算機プログラミングの際にMの上限をどれほどの値に設定するかによる。

3.3非基準相故障の場合の計算法

以上の記述では、 故障は基準相(1線故障ではa相、 2線故障ではb c相故障) に限る ものとしていた。 故障計算では、 もし故障がひとつだけの単純故障であれば基準相故障の みを考えていれば十分である。 何故ならば、 単純故障ではa相故障であれb相故障であれ 正相分諸量は変わらなし1からである。 しかしながら、 多点故障の場合はこのことが成立せ ず、 したがって故障が基準相ではない場合の、 いわゆる非基準相故障の場合に対する対応 が欠かせない。

従来、 故障が非基準相の場合には次のような処理方法が採られてきた26

-30)。

いま、 故 障制約がどのような考え方で導かれたかを見てみると、 たとえば変数Wk(n)については

(1.

7 )式の変換行列Tを用いた次式による。

Wa Wk(O)

(3.8)

1 1 1 W k(O)

Wb I =T-1・I W k(1) 1 a2 a I・IW k (1) W c ) l W k (Z)) l 1 a a2) l W k (Z)

この式でa-b-c座標での故障条件を対称分変数で表現することにより、 たとえばa相故障 であれば(2.17a)式の制約式が得られたのである。 したがって(2.17a)式が満たされるよ うに対称分回路を図3.1(a)のように接続して計算すれば、 解が求まる。 従来手法では、 こ うした回路接続の概念により求解が図 られてきたといってよい。

では、 非基準相故障の場合、 図3.1(a)の接続関係は従来手法ではどのように変化するで あろうか。 たとえばb相故障の場合、 この(3.8)式による制約式はW

k(O) = aZW k(l) = a

W k(Z)となる。 すると、 この関係からは図3.1(a)のような回路接続は直接には表現できな

唖HE

wk b〈n}

(a) 基準相故障 (b)非基準相故障 図3.1非基準相故障の従来の計算法

aq AH1

(6)

いことは自明である。 そこでいま、 Wk(o)に代わる新しい変数Wkb{n}を導入し、 これを用 いた次の関係式(し1わゆるb相基準の座標変換式) を考える。

Wa 1 a a2 w b〈O}

Wb 1 1 1 w

k

b{I} (3.9)

W c ) l 1 a2 a) l W k

b (2)

すると、 このWk b〈n〉を用いればb相故障の場合であっても形式上、 a相故障と同じ形の条 件式を得ることができる。 ただし、 実際の計算は(3.8)式に基づくので、 上記2つの式カ らWk(O)とWkb〈n}との関係を導くと

W k b

(0)

ì ( W k

( 0)

Wkb(1) 1- I a2Wk(1)

W k

b (2)

) l

a

W

k ( 2)

(3.10)

となる。 すなわち、 b相故障では故障制約と対称分回路とを結合する際に、 この(3.10)�

で表される変数変換が必要となる。 この関係を図示すれば図3.1(b)のようになる。 図中の 変圧器記号は、 電圧、 電流を共にaもしくはa2だけ移相させる機能を持つ。 この移相器の 右側の回路がWk b{n}基準、 左側がWk(O)基準の回路である。

以上はb相基準の場合であったが、 c相基準の場合には移相器のaとa2を入れ換えるこ とにより計算することができる。 このように、 従来手法では計算回路を図3.1(b)のような 構成としておくことで、 非基準相故障にも対応できるようにしている。

しかし、 故障数Mが上例のようにひとつではなくて複数の場合、 対称分回路の直後的な 接続を通して解を求めることは至難となる。 すなわち、 図3.1(b)のような回路間の変数関 係は実際には何らかの形で数式化することが必要となるが、 その際に(3.9)式のような中 間変数がMに比例して増えることから、 求解が煩雑となることは避けられない。

そこで(3.8)式に戻って改めて非基準相故障の場合の計算を考える。 そもそも非基準相 故障の求解のために対称分回路の接続という概念が不可欠という訳ではない。 故障計算を 行う方法として、 これまで図3.1 のような表現の計算回路が引用されてきたのは、 結果と して対称分回路の簡単な接続により故障解を求めることができるという対称座標法の利点 を簡明に示しうるからに他ならない。 ただし、 このように言えるのは故障がひとつだけの 場合に限るのは上記のとおりである。

(3.9)式で述べたことから、 非基準相故障の場合に(2.17)式の故障条件式に変更が及よ ことが分かる。 したがって、 その変更関係を既述の基準相故障の計算手順の中に効率的に 織り込むことができれば、 非基準相の問題は解決する。 そこで以下では非基準相故障の場 合の処理について、 このような直接的な考えに基づく、 より簡易な新しい方法について述 べる。

(2.17)式の制約条件は、 前節で述べたように統一的に(3.4)式で表されるので、 非基準 相故障であっても(3.比)式を対象に考えればよい。 そこで、 この(3.4)式でたとえばk点 故障相が基準相から1つだけずれる場合、 すなわち1線故障ではb相、 2線故障ではca 相故障の場合の故障条件式を(3.8)式に基づき直接的に表現すれば次式となる。

にυ

dH1

(7)

(

UL{O}+刊(1) + a U�(Z)

- 0

W�(O) =a2W�(1) - a W�(Z)

この 式における変数関係は、次式でも変わらない。

(

aUL{川L(1}+刊(幻=

0

a W�(O) =W�(1) =a2W�(Z)三W�

(3.11a)

同様に、 故障相が2つず、れる場合 (

1

L故障ではc相、 2L故障ではa b相)には(3.8) 式から次式となる。

(

刊(0) + U�(1) + a U�(日

a2W�(0) =W�(I) = a W�(Z)三W�

(3.11b)

これから 、 故障 が非基準相の場合には(3.6)式に対してこの(3.11 )式を直接適用す ればよ い。 すな わち、 本方法では非基準相故障 の場合に(3.9)式 のような0-1-2座標軸の変換は

行わない。

この(3.11)式で特記すべきは、 非基準相の場合にも正相分変数には一切の変更を要しな い点である。 この特徴が、 後述するように非基準相の場合の計算を容易にする。

ただし 、(3.11 )式では零相および逆相の変数にそれぞれ aやa2の係数 が掛かっているた め、 (3.6)式を(3.7)式に代入する際に(3.6)式右辺の係数行列である X'(0)とX'(Z) の 一部の要素値を変更する 必要 がある (X'(0)と X' (z)自身は変更不要であることに注意を 要 する ) 0 (3.6)式におけるこの変更内容を、たとえば k点故障相が1つずれている場合 にX'川について示すと

X-(O} ik

a U � (0) -- a X' kj 0) 一 a X' k� 0) - W�(O) k

a2 X' i� 0)

--- a

X' k�O)一一 X'k�O)

- a W�(O) (3.12a)

のように、 k行ならびにk列 の要素にそれぞれ係数を掛ける操作が必要となる。 同様に、

XぺZ)について も示すと

x'〈Z} ik

a2u�(Z) - - - a 2 X' k � z)

---a

2 X' k � Z)ー W�(Z)

a X' i�Z)

---a2

X' kJ Z)一一 X'k�Z) -

a2w�(Z) (3. 12b)

PO SH-

(8)

となる。 以上を整理すると、 k点故障相が1つだけずれる場合、 (3.7)式右辺のD' の計 算にあたって

(

X {叩ついてはそのk行要素をa倍、 k安功列服|リ懐l康要素をd X' (ω2幻〉についてはそのk行要素をa2イ倍音、 k列要素をa倍 のように変更する必要がある。

これらの操作を施したD' を用いて、 非基準相故障を含むベクトル解W' は(3.7)式か ら計算できる。 ここで特筆すべきは、(3.11 )式から正相分変数は一切変更する必要がない ので(3.6)式のs ' もまた変更不要ということである。

(3.7)式の計算結果WÍ<は、 正相分についてはWÍ<そのものである。 零相分および逆相 分については、 (3.11a)式からWk(O) =a2WkおよびWk(Z) = a Wkとして簡単に求める

ことができる。

もし故障相が2つずれる場合には、 上記の操作手順で係数aをa2に、 どをaに変更する だけでよい。

以上、 故障が非基準相の場合の新しい計算法を述べた。 本方法は、 既述の基準相故障計 算手順に対して(3.12)式で示したようなごく簡単な変更操作を要するのみであり、 したが って非基準相故障の場合であっても計算労力はほとんど増大しない。

故障計算では、 次節以降で述べる零相回線開影響やブランチ上での計算も必要になるが、

多点故障の基本的方法は本節までで言い尽くされている52-53)。 そこで、 図3.2に示す概 略フローに基づき、 故障計算の具体的な計算手順を示しておく。 以下の手順は、 第4---5 章で述べる各プログラムの主要部分となる。

ステップo (図3.2のB3--.,B5に対応)

指定された故障数Mのそれぞれの故障点kについて、 図2.8に基づいてノードベクトル

Z

i�n)とブランチベクトルY JF〉を計算する。 すると、 これらの値から(3.2)式の係数行 列X(n)が構成できる。 このX(n)から(3.6)式のX' (n) が計算でき、 これから更に(3.7)式 の行列D' が構成できる。 これらの値は全て記憶しておく。

ステップ1 (B6)

(1.

1 )式により故障が存在しない状態での系統計算を行い、 ノード電圧Ei とブランチ 電流Fjを得る。 これらの値から(3.7)式右辺のベクトルs ' が設定できる。

ステップ2(B7)

(3.7)式からW' を計算し、 更に(3.7)式の下方で示した手順により原変数であるWを 求める。

ステップ3 (87)

上記で求まったWを(3.3)式に代入して故障時の系統状態を、 すなわち各ノードの電圧

V

i (川やブランチ電流C j( n) を得る。

もし単なる故障計算(第4章に対応)であれば、 ステップlに戻る。 過渡安定度解析計 算(第5章に対応)であれば、 次に進む。

ヴIAH1

(9)

T:時間カウント

81

84

故障種別ごとのZ、 Y ベクトル計算(図2.8)

各対称分回路のX'を計 算し、0'を求める

87

(3.7)式のW'=D'S' を計算し、 w,こ変換

した値を(3.3)式に 代入し、故障時の電 圧・電流分布を得る

B8 :---

i発電機の運動方程式jゃ〔過渡安定度解析の場合〕

iなどの系統動揺計算!

89

dT:計算刻み時間

図3.2故障計算の概略フロー

oo aq

(10)

ステップ4

(88)

上記で求まったV i (n)あるし、はc /n)を用いて、 発電機を主とする系統の動特性を計算 する(この部分は本論文の対象外)。

ステップ5

(89)

時間をひとつだけ進める。 その時点が故障条件が変化する時間の場合にはステップOに 戻り、 そうでない場合にはステップ1に戻る。

前章(1.17)式の下方では、 故障時の系統分布を得るために系統計算を2回続けて行う必 要があることを述べた。 この計算部分は、 上記フローではステップ1とステップ3に相当 する。 しかしステップ3の計算は、 故障前の状態に対して故障による状態変化分を重ねる という単なる代入計算に過ぎない。 これを分かりやすく言えば、 故障による状態変化は線 形であり、 したがって故障に係わる基本ベクトルさえ保存しておきさえすれば状態変化分 は容易に計算できることを意味する。 すなわち、 故障計算の同一時間断面において系統計 算を2回繰り返す必要はなく、 上記ステップ1で述べたように単に故障前系統計算を1I口

だけ行えばよい。

また、 過渡安定度解析計算の場合、 上記ステップ5で述べたように、 時系列的に同一故 障が継続している聞は(3.7)式右辺の係数行列D' の値は変わらないので、 刻み時間ごと にこの行列の値を更新する必要はない(ステップOに戻る必要はなし\)0 D' は故障条件 が変化した時点でのみ一回だけ計算し、 故障が継続する間だけ保存しておけばよい。 この ことは、 故障計算に係わる新たな計算負担は僅かで済むことを意味している。

3.4零相回線開影響の効率的計算法

同一鉄塔に複数の送電線が架設されているような並行多回線送電線では、 不平衡故障発 生時に流れる零相電流に起因する回線問影響(他回線からの電磁誘導)を考慮することが 必要となる。

この計算法としてこれまで提案されている代表的な方法には、 次の2つがある。

①二相回路法

②ノード・ ブランチ追加法

このうち、 前者は2回線並行送電線における故障計算方法としては最も一般的なもので ある24-25)。 この方法では、 故障区間を零相の第1回路と第2回路との2つの回路で構成 して計算するものであり、 系統構成上の一定の条件が整えば計算が容易という利点を持つ。

ここで言う一定の条件とは、 送電ルートが2回線でかっその両端ノードが共通ということ を指す。 したがって、 系統内にたとえば3回線以上のルート、 あるいはπやT分岐ブラン チが1つでも存在すれば、 本方法は用をなさない。 また、 次節で述べるように故障点、がブ

ランチ上の場合には故障ノードの追加が欠かせないという欠点を持つ。

この方法は本来、 簡単な系統モデルに対しては効力を持つが、 一般的な大規模モデルへ の適用を考えた場合、 回路インピーダンスの異なる第1と第2の2つの計算回路を必要と する点ひとつで見ても、 効率的な方法とは言えない。

nU 84・

(11)

一方、 後者の方法は送電ルート内の電気的関係が等価となるような計算回路を構成して 計算を行うものである。 この方法では、 原理的に上の二相回路法で記述したような計算上 の制約はないが、 しかし次のように煩雑な手順を必要とする。

このことを図3.3の2回線ブランチを例に示すと、 まず同図で以下が成立する。

(

ムVpq=Xpq 1 pq+xm 1

s r

ムVsr=Xsr Isr+Xm Ipq

(3.13)

この式で、 右辺第2項が正相や逆相分にない成分であり、 すな わち他回線の零相 分電流に伴って自回線の当該区間に発生する 電磁誘導電圧を表している。 ちなみに、 もし故障点がブランチ 上の場合には、 当然のように上式での他回線電流1 p qやしrは 各々の区間で同一ではないため、 対応する複数の区分電流ごと

スD明"'---①ご スジペ下一-a

図3.3零相回線間影響 に考える必要がある。

さて、 上式でI1

=XpqXsr-Xm

2 として左右の変数を入れ換えれば

( I p q 1 = ( xpq Xm ) ( ムVpq )

Isr} lXm Xsr) lムVs r )

1 ( Xsr -Xm ì (ムVp q ì II l-xm XPq) lムV 5 r )

この式で、 たとえば1 p qに着目すれば

1 pq=Xsr/I1・ムVpq-Xm /I1・ムV s r

=Xsr/II・ムVpq-Xm /II・ (ムVp

sームVp r)

=Xsr/II・ムVpq-Xm /日 ・ムVps+Xm /日 ・ムVp r であり、 この式はまた次のようにも表すことができる。

1 pq=Xsr/I1・ムVpq-Xm /I1・ムVsq+Xm /II・ ムVrq 同様に1 s rに着目すれば次式を得る。

1 sr=Xpq/I1・ムVsr-Xm /I1・ムVsp+Xm /

I1・ムVs q

(3. 16a)

=xpq/II・ムVsr-Xm /日 ・ムVpr+Xm /II・ムVqr (3.16b)

したがって、 これら(3. 15 )式と(3.16 )式の関係を図示して概略図3.4(a)の等価回路を得る。

同図の点線で示すブランチが新たに追加すべきブランチである。 この等価回路から分かる

(3. 14)

(3.15a)

(3.15b)

ように、 この方法では一見して計算の煩雑さが免れない。 更に述べれば、 このノード・ブ ランチ追加法ではたとえば故障点がブランチ上である場合、 その等価回路は同図(b) に示 すように更に複雑になる。

蛇足になるが、 たとえばZ行列ベースの文献26ではこのノード・ブランチ追加法により 零相回線開影響を詳細に模擬している。 こうした計算がZ行列ベースで行われた背景は、

Z行列の持つ特徴による。 すなわち、 第1章でも述べたがZ行列はその要素にゼロを含ま ない完全密行列であり、 したがって仮に図3.4のようにブランチが増えてもその要素値に 変更を要するのみであり、 全体の計算労力にはほとんど関係しないからである。 ただし、

これも述べたように完全密のZ行列ベースでは大規模系統モデルの計算は困難である。 一

nu にd

(12)

方、 Y行列ベースでこのような計算を行うことは極めて非効率となる。 すなわち、 ブラン チを追加すればするほどY行列の優れた特徴である疎性が損なわれるからである。 適切な ノード間でダミーのブランチを追加することにより、 疎性の悪化が改善できるという主己 の提案も行われているが、 そのために増える計算労力等を考えると、 実用性の薄い窮余の 一策と言えなくもなし、39)

以上、 従来手法の概要を述べたが、 いずれの方法も正相あるいは逆相回路とは異なる構 造の零相回路を計算する必要があるという点での欠点が残る。 より複雑な構造の回路の必 要性は、 必要メモリーや総合演算性等で現行の長所を著しく阻害する。 たとえば、 これま で多くの場合、 安定度解析などで簡略的に正相回路と同じ構造の零相回路が用いられてき

たのは、 このことと無縁ではない。

そこで、 本節では上述の欠点を含まない零相回線間影響の新しい計算法を述べる刊)

(注)

---

:追加ブランチ、 +:追加ノード

:cv今、 k 今、①ご

n/Xm

活字?のご

(b)ブランチ上故障の場合 (a)ノード故障の場合 (kと2の2地点)

図3.4ノード・ ブランチ追加法

前節までに、 各対称分回路のY行列要素を一切変更することなく多点故障 を計算できる基 本的手法を述べた。 この手法の特徴を活かすには、 新しい計算法においても零相分回路の 構造が他と同じであり、 かっ変更計算を一切行わず、に済む効率的な方法が必須となる。

前節までに述べた故障計算法では、 故障点をkとするとき、 図2.8に示すように故障種 別が地絡の場合には各対称分回路のkに単位電流源を注入したときの、 またブランチ遮断 の場合はkに単位電圧源を挿入したときのノードiの電圧ベクトルZik(i=1,2, 一一)お よびブランチjの電流ベクトルYjk(j=1,2,--一)が基本となる。 そこで零相回線問影響 を考慮する場合、 この影響を反映したベクトルZi h Y jkが計算で、きさえすれば、 以降の 処理は既述の方法に何ら変更を要しないで済む。 すなわち、 零

相回線開影響の計算は、 零相回線間影響を反映したZi k 、 Yj k の計算を行うことに等しい。

したがって以下、 零相回路を対象にこれらベクトルの計算法 を述べる。 いま、 図3.5に示すようなn回線(n孟2)からな る送電ルートを考える。 取りあえず故障点はこの送電ルートの 外部とする。 この図でブランチiの零相自己インピーダンスを X i 0 、 並行ブランチjとの零相回線開インピーダンスをXi j

-51-

(注)X i j= X j i

X 10

ト�

X

20 :X 12

ト�

\X2n

:Xln

X nO

卜�

図3.5多回線並行送電線

(13)

ブランチを流れる電流を 1 i とし、その時の両端ノード聞の電位差をムV1 とすれば、こ れらの聞には次の関係が成立する。

ムVi

=xioI i +�(CijIJ

(3.17)

ここに、 右辺のZでj

=F

iであることは無論である。 上式はi =1 ,2一一 ,nについて成立 し、行列形式で全体表示すれば次式となる。

ムV

=

X

1 (3.18)

oX:対角要素 (i,i)がX ;0、 非対角要素 (i,j)要素がX i Jであるような(nxn)の 大きさの正方対称行列

o 1 :ブランチ電流 1 i を要素とするn次元ベクトル

。ムV:ブランチiの両端ノード電位差ムV; を要素とするn次元ベクトル この関係はまた次の形式でも表せる。

(3.19)

I=Y ・ムV

ここに、Y三X--1である。

そこでいま、図3.5で両端ノードが全て共通と仮定する。 この条件下では全てのブラ ンチの電位差ムVjが等しくなる。 これをムVo として上式のi行を取り出すと

1 ;

-エ,y

; j・ムVj

=Yi ・ムVo (3.20)

と書ける。 この式から、もし両端ノードが各々全て共通であるようなブランチについては、

零相回路のブランチiのアドミタンスとしてこのYi を用いることにより、 当該ルートに ついては回線間影響を厳密に模擬した電圧・電流ベクトルを得ることができる。

次に、ブランチの両端ノードが共通ではない場合を考える。 この場合、もし上記の手順 をそのまま用いるとすれば、 どのような誤差が出るであろうか。 ブランチiについてこれ を見ると、いま誤差をUi とすれば(3.17)、(3.20)式から次式が成立する。

U i = X i 0 1 ; + �=(C i

j

1 j - X i ・ 1 ; (3.21)

ここに、 Xi 三1/y i とした。 この式でいま、誤差分であるUi の見方を変え、これを図 3.6に示すような補正電圧源として扱うことを考える。 その結果、最終的に全てのブラン チで次式が満たされるような補正電圧源Ui が設定できたとしよう。

I U

1

[V] X

1

U; +Xi ・ 1 ; = X

i

0 1

I

+ f� (C

i

j 1

j

( iニ1,2 -- --- n)

ト→-E"ölf'

i

(3.22) I 1

!

I U

2

[V] X':2 \

この式の左辺は図3.6から明らかなようにムVi そのものであ

判 ト→�

り、このとき上式は(3.17)式に等しい。 すなわち、 その時に得

I

1 2 ;

られている電圧・電流分布は同ルートの回線問影響を忠実に反映したものに等しい。

ー判川

そこで、残る問題は補正電圧源Ui をいかに求めるかという ことになる。 図3.6から容易に推察されるように、Ui はルー

ト内の全てのブランチに設定する必要があり、 その結果得られ

図3.6回線開影響の 新しい計算法

- 52

(14)

る電流分布は変化する。したがって、(3.22)式を満たすUi を1回の計算で得ることはで きず、収数計算が必要となる。 以下、 その手順を述べる。

上述の問題は、(3.22)式を変形した次式でfi

=

0となるUi を求める問題に等しい。

fi =Ui + X

i

1

i

-X

i 0

1

i

- � (C

i j

1 j (3お)

この式を行列形式で表示すれば、次式となる。

f=U-A ・ I (3.24)

oA:対角要素 (i,i)がX iO-

X

i 、 非対角要素 (i,j)要素がX ì jである(nxn)の 大きさの正方対称行列

ここで、この式の右辺をテイラー展開して次式を得る。

fo +δU-A ・ δ1 = 0 (3.25)

ただし、展開項は1次までで打ち切った。一方、 上式のδUとδIの間で次が成立する。

δI=K ・ δU (3.26)

o K: (i,j)要素が、図3.6でブランチiにのみ単位電圧源を挿入したときにブラ ンチjに流れる電流Kìjであるような(nxn)の大きさの正方行列

この式のKは一種の感度行列である。 その要素の求解法については本節末尾で注釈する。

この(3.26)式を(3.25)式に代入して次式を得る。

δU = (A K - E ) -

1

f

0

(3. 27)

ここにEは単位行列を表す。この式右辺の逆行 列は収飲計算のためのいわゆるヤコビアンに相 当する。(3.27)式におけるUの更新計算U=U +δUと図3.6の計算を|δUI<εとなるま で交互に繰り返すことにより、 適正な補正電圧 源Uを得ることができる。図3.7に概略フロー を示す。

次に、故障点が当該ブランチ上にある場合を 考える。これは、図3.8(a)に示すように、代表 的にブランチ1の送端ノードからaの位置での 地絡故障を想定したとき、(3.17)式をし、かに変 更すべきかを考えることに等しい。なお、次節 で改めて述べるが、図3.8(a)の計算は等価的に

同図(b) で行うことができる。

故障点、がブランチi =1上の場合には、(3.17) 式のムVl の式の右辺第1項が異なってくる。

この右辺第1項をムVl とし、これを図3.8(a) に示す諸量を用いて記述すると

向ぺU「D

多回線ブランチにU 加えて図2.8の計算

図3.7回線開影響計算の概略フロー

(15)

ムVl

=aXl 11 + bXl (1 + 11)

=X, (1, + b)

=Xl ・l'

1

(3.28a)

となる。 また、他線路のムVi では(3.17)式の右辺第2項の中のX 1 i

1

,が異なってくる。

この値をムV'i とし、 同様にこれを記述すると、次式となる。

ムV'i =

a

X 1 i

1

1

+ b

X 1 i

(1 + 1

1 )

=Xli

(11 + b)

= Xl i ・l' 1 (3.28b)

この(3.28)式中の電流l' 1 は、その等価計算である図3.8(b)の電流そのもに等しし、。 すな わち、等価計算である図3.8(b)の諸量を用いることにすれば、中間点故障であっても一連 の計算手順は一切変えなくて済む。

以上、多回線送電線の回線問影響の効率的計算法を述べた。 本手法の特徴は、単に計算 回路に一切の変更を必要としないばかりではない。 本手順で求まるZik' Yjkは既に回線 間影響が反映された値となるので、Zi kやYj kの計算に用いたブランチ電圧源変数Uは以 降の計算には不要、すなわち記憶しておく必要がない。 これらのことは、回線 開影響を考

そーい川-H川

I Ul

�HI- → -"lnf' !ヘ

b [A] . I b+ 1 1 = l'

1

a [A]

H叫併 i

(a)故障点への電流源注入 (b) 回線開影響の等価計算 図3.8 送電線内故障の場合の回線開影響の計算法

慮する場合でも以降の計算に何ら変更を必要としないという大きな利点があることを意味 している。

本方法を具体化する上での要点のひとつは、(3.26)式の感度行列Kの求解である。 一般 に、行列Kの全ての要素を求めるにはn回の回路網計算を要し、効率的とは言えない。 し かしながら、 「疎Z行列要素の効率的な計算法J (付録2.参照)を用いれば、その対角要 素のみは次のように簡単に計算することができる。

K

i

i = [ ( Z s s - 2 Z s r + Z r r ) / X

ì

- 1 ] / X i ( i

=

1

2 - - - - - n) ( 3 . 29 )

ここに、 sとrはブランチiの送端および受端ノード、Zi jは零相回路のZ行列要素であ り、これらは上記計算法により一括して得ることができる。

同様にKij(i*j)も得ることができるが、ただ当該ルートの送受端ノードが各々共通で ない場合には、Kijの計算に必要なZ行列要素が上記計算法では算出できない。 そこで次 章以下で述べる実際の計算機プログラムでは、簡単に算出できないKiJ についてはOと設 定して計算効率の悪化を図ることとした。 無論、このことにより収敏性が若干悪くなるの

(16)

は避けられない。

3.5ブランチ中間点故障の効率的計算法

故障位置に関しては、 これまで多くの場合に故障位置はノードに限られていた。 無論、

これは物理的には必ずしも母線故障を意味するものでなく、 むしろ送電線の母線端での故 障と位置付けられることが多い。 しかし、 当然のように実際の故障が母線端で多く発生し ている訳ではなく、 ブランチ上の何処かという場合が一般的である。

では、 何故これまでノード故障が多用されてきたかといえば、 現象面からはたとえば安 定度解析では同じブランチ上の故障であれば一般にノード端故障が最も厳しい解になるた め、 ノード端故障で検討しておきさえすればブランチ上故障は不要、 という実務に沿った 考え方がひとつにある。 一方、 計算面から言えば、 故障計算では故障点電圧や電流などの 状態量が必要となるが、 ブランチ故障に対してはこれらが直接に得られないという困難さ があったことが大きい。 したがって既存の方法では、 計算データ作成時に当該ブランチを 分割して故障点に対応する架空のノードを追加するという煩雑な作業が必要であった。

加えて、 ブランチ上故障が不平衡地絡故障の場合、 前節で述べたように既存の方法では 零相回線開影響を反映するために更に複雑な等価回路が必要であったことがあり、 ブラン チ中間点故障が嫌われてきたもうひとつの理由がここにある。

以上、 故障位置に関する従来の考え方や計算法について述べたが、 それらをまとめると これまでブランチ中間点故障を行う有効な計算法が提供され得なかったことが根本的な理

由と考えられる。

そこで以下では、 前節までの効率解法に基づきブランチ上の任意の地点での故障計算法 について述べる49) 。 前節までの解法に基づくということは、 ブランチ中間点故障につい てもノードを一切追加しないで、 すなわち前節同様に計算回路は常に元のままで計算する ということを意味する。

さて、 ブランチ中間点故障とノード故障とを比較すると、 両者の相違は前者の場合に故 障点について図2.8のZとYベクトルが直接計算できないという点だけであり、 その他の 手順は一切変わらない。 そこで以下では、 ブランチ中間点を故障点とするZとYベクトル 要素の計算方法を述べる。

いま、 図3.9に示すような対称分回路を考える。 同図で、 上のルートはブランチp-qを 1号線、 ブランチs-rをn号回線とする並行n回線ルートとし、 また下のブランチc-dも 別の多回線ルートの一部にあるとする。 無論、 それぞれのルートにおける各回線聞の零相 相互影響を前提とする。

さて、 図3.9で故障点kがn回線ルート内にある場合を考える。 以下では、 議論を簡単 にするため故障点、を1号回線上とし、 その位置は当該ブランチの送端ノードsからaの距 離(a+b=l)にあるものとする。 このとき、 i =kを含む任意の地点iについての故障ベクト ル要素Zi kを求めるのがここでの目的である。 無論、 iはブランチ上でもあり得る。 もし Z i kを得れば、 これにより電流ベクトルYi kは容易に計算できる。

Fhd にd

(17)

この計算は、 具体的には図3.9の故障点kに単位電流1 [A]を注入したときに任意の地 点iに現れる電圧 Zi k [V]を求める問題となる。 iが取りう る地点としては、 図3.9に①

~⑥で示す6ケースが 考えられる。 以下、 各ケースごとの算定式を順次導く。

なお、 以下では零相分回路を対象に記述するが、 正相と逆相分回路については 計 算結果 で回線開インピーダンスを省略すればよい。 また、 零相回路であっても並行回線でなけれ

ば同様に回線開インピーダンスを無視すればよい。

まずiがノード上である①の場合を考える。 いま、 仮にkに単位電流1 [A]を注入でき たと見なし、 このとき任意のノード iに現れる電圧をZi kとする。 このZi kは、 移相器を

含まない一般の電力系統の回路では “相反の定理" により Zk iに 等しい。 Zk iは、 iに単 位電流を注入したときにk点に現れる電圧値を意味する。 このときのk点電圧は、 ブラ ン チp-q を流れる電流とp-q間電位差との閣の線形関係から、 回線開影響の有無とは無関係 に、 次式のようにp-qノード 電位差(Zsi-Zri)の距離による比例配分によって記述で きる。

Zki =Zri+ (Zsi-ZrJ b=bZSi+aZri すなわち次式を得る。

Zik =bZis+aZir

(3.30)

この式は、 Zi kの値は図3.10に示すように故障点kの送端ノードにb [A]、 受端ノードに a [A]を注入したときのノード iの電圧として 得られることを意味している。

次に、 iがk とは別の送電ルートc-d上にあるような②の場合を考える。 このとき、 i

ぐ一一a一一Þ <E-. b ._-う

1 [A]

�IとL1

③ ④

⑤ k \⑥ 1

n → "

X

1

n

ぐ.a'.-ー〉 ぐ一. b'一一》

① ②

: X' m

図3.9任意の地点iのZi k

二①xケJ10ごjE ei XpQ ;Xm

(a)ブランチ 上の故障 (b)等価計算方法

図3.10 ブランチ中間点故障の計算方法

ρ0

「hu

(18)

の電圧Zi kは上式の導出手順と同様の考えに基づき、回線間影響X'm の有無とは関係なく 次式によって記述できる。

Zik=Zdk+ (Zck-Zdk) b'

=b' Zck+a' Zdk (3.31)

以上(3.30)、(3.31)式の右辺にはいずれもXm が含まれない。 すなわち、iが完全に故障 ブランチ外の場合、Zi kの計算には回線間インピーダンスは関係しないことが分かる。

次に、iがn回線ルート内ではあるが故障ブランチには含まれない場合を考えるが、議 論を簡単にするため代表的にn号ブランチs-r上のノードsからa'の地点にある場合を考 える。 後述の便のため、n号ブランチs-rで成立する式を計算しておくと、(3.17)式を参 考にして

ZSk-Zrk=xnoln +Xln[all ナ b(1 + 1 1 )] + 主 主 j n 1

j

=

X nO 1

n

+ b X 1 n + り j

n

1 j (3.32)

を得る。 さて、いまiの地点a'が図3.9の③のようにa'豆aの場合、ZI k はノードsの電 圧Zs kからブランチs-rのa'区間の電圧降下を差し引いたものとなるので

Z

i

k = Z

s

k - a ' ( X nO 1 n + 計 j n 1 j )

この(3.33)式右辺第2項に(3.32)式を代入して次式を得る。

Z i k = Z s k -a ' ( Z

s

k -Z

r

k -b X 1 n)

=b' Z sk+a' Z rk+a' b X 1

n

すなわち、既知のZ要素から計算できることが分かる。

(3.33)

(3.34)

一方、iの地点a'が④のようにa'孟aの場合には、Zi kはノードrの電圧Zr k に対して ブランチs-rのb'区間の電位差を加えたものとなるので

Z

i

k = Z

r

k + b ' ( X nO 1

n

+計jnlj +Xln)

この(3.35)式右辺第2項に(3.32)式を代入して次式を得る。

Z

i

k = Z

r

k + b ' ( Z

s

k -Z

r

k + a X 1

n

)

=b' Zsk+a' Z rk+ ab' Xl"

(3.35)

(3.36)

最後に、iがkと同じ送電線上にあり、ノードpからa'の地点にある場合を考える。 後 の便利のため、ブランチp-qで成立する式を計算しておくと

Z P k - Z

q

k = X 10 (b + 1 1 ) + 山 1 j 1 j (3.37)

いま、iの地点a'が図3.9 の⑤のようにa'壬aの場合、Zi kはノードpの電圧Zp kからブ ランチp-qのa'区間の電圧降下を差しヲ|いたものとなるので

Zik=ZPk-a'(x10I1 + 山 1 j 1

j

)

この(3.38)式右辺第2項に(3.37)式を代入して次式を得る。

Z ík=Zpk- a'(ZPk-Zqk-b X10)

=b' Z Pk+a' Z qk+a' b X 10

(3.38)

(3.39)

一方、iの地点a'が⑥のようにa'孟aの場合、ZI kはノードqの電圧Zq kに対してブラ ンチp-qのb'区間の電位差を加えたものとなるので

Zik=ZPk+b'[X10(1+Il) + 山 1 j 1

J

J

-57-

(3.40)

(19)

この(3.40)式右辺第2項に(3.37)式を代入して次式を得る。

Z

i

k = Z q k + b '( Z

p k

- Z q k + a X

10

)

ニb'Z pk+a' Zqk+ ab' Xl0 (3.41)

以上 (3.39)、(3.41)式から、iが故障点と同じブランチの場合にも、Zi kの計算には回線 間インピーダンスは関係しないことが分かる。

以上、 iがどのような地点であっても、 そのZi kは既知であるノードのZ要素等で記述 できることが分かった。 結果をまとめて表3.1に示す 。 なお、同表では故障ブランチは多 回線ルート内の任意の地点として記述している。

以上、 ブランチ中間点故障の計算法を述べた。 結果をまとめると、 ブランチ中間点故障 の場合、これまでのノード端故障の記述と異なる点は故障点kでのベクトルを得るための 単位電流源計算のみであり、 その計算は回線開影響の有無には無関係に図3. 9のように両 端ノードに分割して行うことができる。 この計算労力は図2.8で示したノード端故障と同 等である。 無論、中間点故障の場合には当該ブランチ内の電圧 ・電流分布は別途に計算す る必要があるが、これに掛かる計算負担はわずかに過ぎない。

表3. 1故障点kがブランチ中間点の場合のZi kの計算式 i の 位 置

Z i k

の 計 算 式

iが故障kの存在する

|

①iがノード Zik=bZis+aZir 送電ル ートの外の場合

|

②iがブランチ上 Zik=b' Zck+a' Zdk

iとkが同じ送電ルー トに属する場合

(1) iがkとは異なるブランチ上にある場合 Z i k' =b' Z

s

k +a' Z r kとして

③iの位置a'豆a . Zik=Zik' +a'bXik

④iの位置a'孟a Z i k

=

Z i k' + a b' X i k ただしXi k ブランチ相互インピーダンス

(2) iがkと同一ブランチ上にある場合 Z i k ' =b' Z p k + a' Z q kとして

⑤iの位置a'三五a . Zik=Zik' +a'bXkO

⑥iの位置a'孟a Zik=Zik' +ab'xko ただしXkO ブランチ自己インピーダンス

(注) kの位置は送端ノードからa、受端ノード、からb0 (a + b =1) iの位置は送端ノードからa'、受端ノードからげ。 (a'+b'=l)

oo ro

(20)

3.6零相分や逆相分電源を考慮する場合の計算法

以上の記述では、 故障発生前であれ故障継続中であれ、 系統の外部から系統に流 れ込む 電源 (ここでは発電機や負荷などを総称 してこのように呼ぶ)は正相分のみであるとして 扱っていた (図1.8参照)。

しかし、 もし図3.11に示すように正相分に加え逆相分あるいは零相分電源についても、

考慮できれば、 たとえば次のような計算を効率的に行うことが可能となる。

まず、 過渡安定度解析における系統動揺時の周波数変化に伴う線路インピーダンスの変 化を簡便に模擬できることになる。

安定度解析では周波数は時間とともに、 しかも地点ごとに変わる。 し たがって、 厳密に 言えば図3.12(a)に示すようなπ型表示で表される線路インピーダンスの値もまた、 基木 的に変える必要がある。 しかしながらこれを行うには、 現状では安定度解析の各時間断面 で逐一計算回路 の変更計算(y行列の再計算)が必要であり、 これによる計算効率の大幅 な低下が避けられない。 そこで、 一般には止むを得ず基準周波数での固定値が用いられて いる。 しかし、 図3.12(b)に示すように線路インピーダンスの基準周波数からの偏差分を

零相電源、fう (通常不要)

l

正相電源

(通常不要)逆相電源ト)

l

み み み

図3.11 電源、を含む対称分回路

(注)ω=2πf

(a)対称分回路の線路インピーダンス (注)ω。:基準周波数に対応

J

ωcv

(b)電流源を用いた補正計算

図3.12 周波数変動による線路インピーダンスの変化

nu FhJU

(21)

電流源として補正計算することができれば、 実質上計算効率を保ったままで線路インピー ダンス変化を考慮することができることになる。

なお、 この周波数変動については、 通常の解析条件では周波数の変動範囲は高々:t

1 Hz

程度であるため、 インピーダンス一定の前提による影響が問題になることは稀と考えられ る。 しかしながら、 たとえば系統分離計算などでは、 分離による需給アンバランスの量に よっては当該系統の周波数が大きく変動する恐れがあり、 考慮すべきと考えられる。

一方、 逆相分あるいは零相分電源が考慮できれば、 いわゆる各相のインピーダンスや負 荷電力の不平衡条件など、 従来、 対称座標法では扱えないとされていた前提条件を対称座 標法の枠内で計算することが可能となる。 たとえば、 各相のインピーダンスが異なる場A を考える。

いま、 (1. 4)式で記述される3相不平衡の送電線定数を(1.7),,-, (1.9)式で行ったと|百 じ手順で0-1-2座標へと変換すると次式を得る。

Voo・ ( Z a a Z a b Z a c

V11・ l=TlZb Z b b Z b c T 1

V 22・ Z C 11 Z c b Z c c Z 00 X 0 1 X 02

X 0 1 Z 11 X 12

, Z 22

X 02 X 12

Z 00

ム1

0

。 Z 11 + 6,. 11

。 。 Z 22

ム1 2

ム1

0 x01I1 +x0212

ム1

1 x01Io +X1212

ム1

2 x02Io +X12I1

(3.42a)

(3.42b)

この式が(1.9)式と異なる点は、 新たに(3.札2b)式が加わっている点である。 もし、 送電 線定数が3相とも同一であれば無論、 この項は出現しないし、 ここに対称座標法の大なる 利点があることは(1 .9)式で記述したとおりである。

さて、 この(3.42)式で各対称分回路の計算を行う際に、 当該ブランチの送端ノードに外 部から-ム1 n (n=0,1,2) の電流源を、 また受端ノードに+ム1 n を設定できれば、 これ は送電線定数の不平衡を考慮した計算に等しい。 無論、 この計算では収数過程を踏むこと が前提となり、 このとき収数性が問題になるが、 本論文ではそこまで踏み込まない。 この ような計算方法については、 通常の系統状態を前提に、 すなわち3相不平衡の潮流計算を 目的として幾つかの手法が提案されている斗7.a8)0 しかし、 以下に述べるように故障をA む一般的な定式化までには至っていない。

さて、 従来の故障計算では、 零相分や逆相分電源を前提とした計算は極めて困難である が、 本手法ではこれまで述べてきた計算手順に若干の追加的操作を施すことでこれらを計

nu nhu

(22)

算することができる。 いま、 既述の(3.6)式に基づき、 零相分や逆相分電源を前提とする 場合の式を表せば次のようになる。

[ =-X 〈}WhS (}

U' (1) = - x'

(1)

W'

(1)

+ S ' (3.43)

この式が(3.6)式と異なる点は 、 右辺に零相分のS' (0)ならびに逆相分のS' (Z)がそれぞ れ加わっている点である。 S' (0)およびS' (Z)は正相分と類似の意味を持つO すなわち、

S ' の各要素が故障前系統計算(1.1 )式の解であるように、 S' (0)およびS' (Z)はそれぞ れ対応する対称分回路による次式の故障前系統計算の解である。

( Y(O} E{O}=I〈O}

y(2)・E(2)= 1 (2) (3.44)

さて、(3.43)式の解W'(n) (三W' ) は 、 これに(3.5)式を代入することにより

W' = D' ・ ( S' + S ' (0) + S ' (2) ) (3.45)

と求まる。 ここにD' は (3.7)式で定義したものに等しい。 したがって、 零相分や逆相分 電源を含めた計算を行いたい場合、 先の(3.7)式の計算式の係数ベクトルS' に対して単 にS' (0) + S ' (Z)を加えるのみで済むことが分かる。

故障が全て基準相の場合はこの(3.45)式そのままで計算できる。 しかし、 非基準相故障 を含む場合には 前節で述べたように、 S' には何ら変更を要しないが、 S' (0)とS' (2)に ついては以下に述べるような変更が必要となる。

たとえばk点故障相が1つずれている場合に(3.12a)式と同じ操作を(3.42)式に対して 行うと次式を得る。

a2 X' i� 0)

a U k (0) -a X'14j O}--XdO〉. aWγ0} | +|a S L{O〉 (3.46a)

すなわち、(3.45)式の計算時にS' (0)に対してそのk要素に係数aを掛ける操作が必要と なる。 同様にS' (2)についても示すと(3.12b)式から

a

X' i�2)

a2

U k(幻

---a2 X'

k

� 2) --- X'

k

2) -

a2Wγ2) I + I a2 S k (2) (3.46b)

のようにS

k

(2)のk要素に係数a2を掛ける操作が必要となる。 以上を整理すると、 k点故 障相が1つだけずれる場合には(3.45)式右辺のS行列の設定時に

(

S {叩ついてはそのk要素をa倍 S ' (2)についてはそのk要素をa2倍

po

(23)

のように変更すればよい。 この操作は、(3.12)式の下方で述べた非基準相故障の場合の操 作と類似している。 したがって、 もし故障相が2つずれる場合には非基準相故障の場合の 操作と同様に、 上記の操作手順で係数aをa2に、 a2をaに変更するだけでよい。

.

(24)

4

. 故障計算プログラムの開発

前章までに述べた計算手法に基づく故障計算プログラムを開発した51) 。 なお、 木プロ グラムは主として保護リレー整定等の支援を念頭に置いたものであるが、 計算内容は系統 故障時の系統状態計算のみであり、 故障に伴う保護リレーの応動などの制御動作は一切考 えていない。

以下、 開発したプログラムの概要を述べるとともに、 系統規模の異なる各種のモデル系 統に対して行った試算結果について記述する。 試算の主な目的は、 2節の単純モデルでは 多地点での同時故障機能の検証、 3節の小規模モデルでは多回線併架送電線に対する故障 計算機能の検証、 4節では大規模モデル系統に対する効率計算機能の検証である。

4.

1プログラム構成と機能の概要

系統で故障が発生すれば、 その影響を受け各々の発電機の状態が変化する。 この変化は、

系統側から見ると図1. 11の電圧Egの絶対値と位相角が時間とともに変化することに相当 する。 しかし、 開発した故障計算プログラムでは、 従来のほとんどのプログラムがそうで あるように、 指定された発電機リアクタンスXgの背後電圧は常に一定として扱う。 すな わち、 故障直後の系統状態のみを計算する。 具体的には次のとおりである。

まえがき図2に示すように、 本プログラムの故障指定データは過渡安定度解析プログラ ム(y法)と同ーのものを用いることとしている。 この故障指定データは時系列データと して設定されるが、 本プログラムではこの故障条件の時系列部分は無視し、 単に故障条件 が変化した時点の系統状態のみを上述の発電機条件の下で計算する。 たとえば多相再開路 で言えば、 本プログラムではまず故障直後の状態を計算し、 次いで故障相遮断時を計算し 最後に線路再投入時の計算を行う。 線路再投入時の系統状態は、 当然ながら初期潮流に等 しくなる。

こうした特徴を利用して、 故障点を変えた多数の計算ケースを一挙に処理することもで きる。

プログラム機能の概要を表4. 1に示す。 同表の計算機能は、 次章で述べるY法過渡安定 度解析プログラムに比べて次が充実している。

断線計算

ブランチ上の任意の点での断線計算ができる。 本計算では単なる断線だけでなく

まえがき図1に示すようなブランチ上の任意の点での断線を伴う地絡や短絡故障も計 算できる。 地絡/短絡位置は断線点の送・受端サイドいずれでも構わない。

回線聞の零相影響計算

Y法プログラムでは2回線併架までが計算可能であるが、 本プログラムでは最大5 口l線までの多回線併架計算が可能である。 また接地送電線からの影響も計算すること ができる。

プログラムの概略フローを図4.

1

,こ示す。 プログラム容量は、 表4.1に示す系統規模の 下で約1

.8M

Bである。 また、 ステップ数はフォートラン言語で3,000ステップ余に過ぎ

円〈Unnu

(25)

図4.1故障計算プログラムの概略フロー

表4.1故障計算プログラムの計算機能の概要

故 障 計 算 機 能 の 概 要

(a) 故 障 種 類 地絡(G)線開短絡(S)断線(0) SrC短絡(A)

基 線路遮断(0)

本 (b) 同時 故 障 数

1 1

(この数以下で上記故障の同種重複を含む

計 任意の組合せ)

算 (c) 故 障 位 置 線路上の任意の地点を指定可能 (除遮断計算) (d) 系 統 規 模 1500ノード、1800ブランチ、400発電機

零 (e) 多回線併 架 5回線程度までの多併架送電線が計算可能 相 (f) 接地線影 響 停止送電線による影響が計算可能

入 (g) 入力データ まえがき図2の安定度解析システムに合致 出 (h) 計 算 出 力 故障時の系統状態を詳細出力

-64-

(26)

ず、 網羅している計算機能から見れば極めて効率的に構成されていると言えよう。

この図の概略フローの中で、 B4 ---B6のブロックがプログラムの主要部分である。 B Aは、 読み込まれた故障指定カードに基づき、その時点で実際の計算対象となる故障数や 種別を集計するブロックである。 故障指定 データは、 利用の便のため1カードで1つをや 定することとしているため、 集計操作は欠かせない。 この集計操作は、たとえばある1つ のブランチの不平衡遮断の指定はカード1枚で行われるが、実際の計算では当該ブランチ の送受端の2ヵ所での同時遮断指定として設定するとか、またこの時、それ以前の時点で 当該ブランチ上に地絡等の故障が指定されていた場合には、 以降では遮断相は除いた故障 とする必要がある、などを指す。

B5が故障電流ベクトルの計算ブロックであり、前章で述べた計算手法の大半がこの中 に含まれる。 B6が計算出力部分である。 本プログラムの故障計算では、ブランチ上の故 障に対しては直接の状態変数を持たないため、故障点の左右での電流などは個別に算出す る必要があり、この点、に少なからぬ配慮を加えた。

本プログラムの入力データを表札.2に示す。 同表 に示すように、 使用データは大別して 系統構成・需給データとコントロールデータとからなる。 前者のほとんどは図2の解析シ ステム用データに含まれているが、 同表(b)に示すような零相関連データ(正確には31口 線以上の回線相互インピーダンスならびに停止送電線インピーダンスデータ)は包含され ていないので、必要に応じて追加的に読み込むこととしている。

本プログラム用のコントロールデータは、 利用の便のため図2のシステムと共用として いるので、基本的にY法データそのままで実行できる(この場合は表札.2中の無指定デフ ォルト値が用いられる)。 同表(c)の無負荷とは、全ノードの初期電圧を1.0どo 0、す なわち全てのブランチの初期潮流をゼロとして計算することを意味する。 この計算時は 初期電圧維持のための仮想の無効電力源が必要となるが、これはプログラム内で自動的に

表4.2故障計算プログラムの主な入力データ

~

I

(a)系統断面・潮流断面 統

I

(b)零相関連データ

タ 等

コI (c)計算対象需給断面 ンI (d)発電機リアクタンス トI (e)系統電圧レベル ロ|

1

I (f)故障条件 ルI (g)計算出力

言十 算 内 可匂

図2の潮流計算町、o.から直接読み込む(本プログラ ム用に別途データを用意する必要なし)

必要に応じ以下を追加的に読み込む

①「下位系等価インピーダンスJ (Zカード)

②「零相相互インピーダンス、停止送電線インピー ダンスJ (Fカード)

有負荷あるいは無負荷(無指定時は無負荷)

Xd'

,Xd', Xdのいずれか(無指定時はXd" ) 事故前ノード電圧レベル(全ノード一括,(c)で無負 荷を指定時のみ有効)

図2のシステムのデータフォーマットに同じ 図2のシステムのデータフォーマットに同じ

-65-

(27)

付加することとしている。

なお、 Y法との計算結果の比較に関しては、 Y法における最初の故障直後の状態のみが 比較 の対象となる。 正確には、 本プログラムで発電機のXg=Xd' , と選択し、 一方Y法で は全ての発電機のXd" =Xq" かっ全ての負荷を定インピーダンス特性として実行したと きのみ、 故障直後での両者の計算結果が合致する。

4.2単純モデル系統に対する試算例

多点故障計算手法の機能検証を目的として、 図4.2 の単純モデル系統に対する多点故障 の試算例を2ケース示す。 ひとつはブランチ中間点での故障を含む7点同時故障計算であ

り、 もうひとつはブランチの端点における断線/地絡の複合故障の試算である。

本モデル系統では、 図の左側の発電機が 500kV2回線送電線を介して短絡容量2

0

GVA (1/0.05pu)相当の外部系統と連系しているものとした。 また、 送電線定数はTACSR

x

4導 体の標準的な値を用いた。

なお、 各ケースの故障はいずれも本手法の計算機能を例示するためのものに過ぎず、 し たがって実系統での現象とは何ら関係もない。

( 1 )試算ケース1

いま、 本モデルで発電機ノードの位相角θがO度の状態において、 図4.3 に示す7点で の同時故障を、 すなわち4地点でのブランチ遮断、 2地点での地絡故障、 および1地点で の線開短絡故障が同時に発生したときの系統の状態を計算する。 同図の上側に示した数値

(注)1000MVAベースpu値

1.0どe I

S r

I 1.0どO

ac相2LD

500kV x 200krn

1回線値(定格5.5叩)

一:

0.01川52 (Y1=0.1067*2) 零相XO : 0.0872+ jO. 5646 (YO=O. 0420η)

[治FO.0748+jO.305J

図4.2 単純モデル系統

十-.0.3一一一)- �一一一一0.4.---ー 十0.3--ぅ

故障条件

I

ab相2凶

図4.3 7点故障の例

-66-

ac相2印

と相

1

LD

I

ab相2LS-

参照

関連したドキュメント

電気集塵部は,図3‑4おに示すように円筒型の電気集塵装置であり,上部のフランジにより試

題護の象徴でありながら︑その人物に関する詳細はことごとく省か

以上の結果について、キーワード全体の関連 を図に示したのが図8および図9である。図8

前章 / 節からの流れで、計算可能な関数のもつ性質を抽象的に捉えることから始めよう。話を 単純にするために、以下では次のような型のプログラム を考える。 は部分関数 (

本文書の目的は、 Allbirds の製品におけるカーボンフットプリントの計算方法、前提条件、デー タソース、および今後の改善点の概要を提供し、より詳細な情報を共有することです。

手動のレバーを押して津波がどのようにして起きるかを観察 することができます。シミュレーターの前には、 「地図で見る日本

経験からモジュール化には、ポンプの選択が鍵を握ると考えて、フレキシブルに組合せ が可能なポンプの構想を図 4.15

その対策として、図 4.5.3‑1 に示すように、整流器出力と減流回路との間に Zener Diode として、Zener Voltage 100V