九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
バイオ炭の施用が土壌の理化学性、養分吸収、水利 用効率と作物生産に及ぼす影響
アナンダ, ミシュラ
https://doi.org/10.15017/4060225
出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
氏 名 : アナンダ ミシュラ (Anand Mishra)
論文題名 : Effects of biochar on physico-chemical properties of soil, nutrient uptakes, water use efficiency, and crop production
(バイオ炭の施用が土壌の理化学性、養分吸収、水利用効率と作物生産に 及ぼす影響)
区 分 :甲
論 文 内 容 の 要 旨
世界の人口は2050年末までに90億人に達すると予想され、そのために我々は食料供給を現在よ りも50%以上増加させる必要がある。しかし過放牧、森林破壊、工業化、汚染などの活動による土 壌有機物を損失し、土壌劣化を引き起こしている。土壌への有機物施用は、土壌の理化学性と作物 生産能力を改善し、気候変動の適応策の1つとも見なされてきた。しかし、有機物はすぐに土中で 分解するために、バイオ炭のように土中で容易に分解しない、安定した土壌改良材を施用する必要 がある。バイオ炭は本質的に多孔質であり、大きな比表面積を有し、土壌の水分保持能力を高め、
作物の生産を高めるとされており、炭素貯留においても有望な素材とみなされている。
そこで本研究の目的は、バイオ炭の施用の効果を土壌と作物収量についてポット試験で解明する ものである。特に、1)土壌理化学性とコメの生産に対するもみ殻(RH)ともみ殻炭(RHB)の施 用効果、2)コメの使用後,同じ土壌でコマツナを用い、乾物収量(DMY)、養分吸収、農業効率(AE)、
および回復効率(RE)に対するRHとRHBの残留効果、および3)畑作条件下で、灌漑条件と竹 炭等の施用が土壌の理化学的特性、ダイズ収量、養分吸収率、および水利用効率(WUE)に及ぼす 効果の解明である。
その結果、RHおよびRHBの適用により、土壌の多孔性とpHは大幅に増加したが、かさ密度は 減少した。 重量比2%のRHBの適用により、米の穀物収量とDMYがそれぞれ38.7%と27.3%増 加した。ただし、2%RHはこれらの値を対象区と比較して有意に増加しなかった。
前述に連続したコマツナの栽培試験では、2%RHB 施用区は、対照区および 2%RH 施用区と比 較して、DMYは各々27.2%および 19.3%有意に増加した。 2%RHBは、養分吸収率、AE、およ びREを制御したものより顕著に増加した。一方、2%RHは対象区と比較して、有意に増加しなか った。
更に畑作土について、重量比3%のBB(竹炭)散布ポットにおいて、土壌の有効水分量は顕著に 増加し、かさ密度は91.4%減少した。 I1B2(100%FC、3%BB,FC;圃場容水量)は、I1B0(100% FC、バイオチャーなし)と比較してダイズの地上バイオマス収量(AGBY)を14.0%増加させた。
一方、I3B2(60%FCと3%BB)は、I3B0(60%FCバイオチャーなし)と比較して AGBYを8.2% 増加させた。 I1B2のリン酸(P)およびカリウム(K)の吸収は、I1B0と比較して有意に増加し た。 Kの取り込みは、I1B0と比較して I1B2で32.0%増加した。つまりバイオ炭の施用は、土壌 の理化学的特性を改善し、3%BB の施用はダイズの AGBYと WUE を大幅に増加させると結論付 けた。