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塩化ナトリウムの潮解性による保水挙動に関する基礎的実験

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Academic year: 2022

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(1)

塩化ナトリウムの潮解性による保水挙動に関する基礎的実験

山口大学大学院 学生会員○北村浩太郎 山口大学大学院 学生会員 永田 隆弥 日鉄住金エンジニアリング 正会員 立花 周作 山口大学大学院 正会員 麻生 稔彦

1.はじめに

耐候性鋼橋梁の長寿命化を実現するには,腐食環境の 解明が必要不可欠である.実橋における腐食には,漏水,

結露,雨水,塩分の潮解性による水分の供給が必要であ る.本研究では実橋が濡れる要因の内,塩分の潮解性に 着目し,塩分量および温湿度環境による保水挙動を明ら かにすることを目的とする.そのために本研究では温湿 度環境を制御し,ガラス上と耐候性鋼材上での保水挙動 を検討する.

2.実験概要

塩分の潮解性による保水挙動を明らかとするために,

塩化ナトリウムを用いた検討を行う.塩化ナトリウムを のせたシャーレを小型環境試験器内に設置する.本研究 では単位面積当たりの塩分量が

11.83mg/m²

23.66 mg/m²

47.32 mg/m², 118.3 mg/m², 236.6 mg/m², 946.3 mg/m², 2366

mg/m²

となるように塩化ナトリウムを供給した.実験開

始後,シャーレ全体の質量を測定し,測定値より水分量 を算出する.実験は湿度

75%以上の環境での吸水挙動お

よび,湿度

75%

以下での乾燥挙動を観察する.表-1に器 内環境の設定パターンを示す.パターン

3

では吸水量を パターン

2

より少なくすることで,吸水量による比較を 行う.なおパターン

5

では耐候性鋼材上に塩化ナトリウ ムをのせ,実験を行った.

3.実験結果

図-1にパターン

1

およびパターン

2

における吸水量の 変化を示す.図-1よりパターン

1

において塩分量が多い ほど吸水量が多くなっていることがわかる.パターン

2

においてもパターン

1

と同様に塩分量が多いほど吸水量 が多くなっているため,同湿度における塩化ナトリウム の吸水量は塩分量により異なることが明らかとなった.

図-1よりそれぞれの塩分量において吸水量はパターン

2

で大きくなっており,同量の塩化ナトリウムでの吸水量 は湿度に依存することが明らかとなった.

キーワード 耐候性鋼材,腐食,潮解性

連絡先 〒755-8611 山口県宇部市常盤台

2-16-1

山口大学工学部社会建設工学科

TEL 0836-85-9323

表-1 器内環境の設定パターン

図-1 パターン

1

およびパターン

2

における水分量の変化

図-2 パターン

2

およびパターン

3

における乾燥挙動

図-3 パターン

4

における吸水挙動 パターン1

40℃-80% → 40℃-70%

パターン2

40℃-95% → 40℃-70%

パターン3

40℃-95% → 40℃-70%

パターン4

40℃-95% → 40℃-70% (3回繰り返し)

パターン5

40℃-95% → 40℃-70% (4回繰り返し) → 80℃-40%

0.0 0.4 0.8 1.2 1.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

水分量(ml)

経過時間(h)

パターン1 118.3mg/m² パターン1 236.6mg/m² パターン1 2366mg/m² パターン2 118.3mg/m² パターン2 236.6mg/m² パターン2 2366mg/m²

40℃-95% 40℃-70%

40℃-70%

40℃-80%

2366mg/m

2

y = -0.132ln(x) + 0.4384 R² = 0.925

236.6mg/m

2

y = -0.017ln(x) + 0.0396 R² = 0.9845 118.3mg/m

2

y = -0.01ln(x) + 0.0165 R² = 0.9755 946.3mg/m

2

y = -0.045ln(x) + 0.1632 R² = 0.8998

0.0 0.4 0.8 1.2 1.6

0 2 4 6 8 10 12 14 16

水分量(ml)

湿度70%に変更後の経過時間(h)

パターン2 2366mg/m² 1時間毎 パターン2 2366mg/m² 3時間毎 パターン3 2366mg/m² 1時間毎 パターン3 2366mg/m² 2時間毎 パターン3 2366mg/m² 3時間毎 パターン2 946.3mg/m² 1時間毎 パターン2 236.6mg/m² 1時間毎 パターン2 236.6mg/m² 3時間毎 パターン3 236.6mg/m² 1時間毎 パターン3 236.6mg/m² 2時間毎 パターン3 236.6mg/m² 3時間毎 パターン2 118.3mg/m² 1時間毎 パターン3 118.3mg/m² 1時間毎 パターン3 118.3mg/m² 2時間毎 パターン3 118.3mg/m² 3時間毎

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

水分量(ml)

湿度95%に変更後の経過時間(h)

パターン4 47.32mg/m² ① パターン4 47.32mg/m² ② パターン4 47.32mg/m² ③ パターン4 23.66mg/m² 1回目 ① パターン4 23.66mg/m² 1回目 ② パターン4 23.66mg/m² 1回目 ③ パターン4 23.66mg/m² 2回目 ① パターン4 23.66mg/m² 2回目 ② パターン4 23.66mg/m² 2回目 ③ パターン4 11.83mg/m² 1回目 ① パターン4 11.83mg/m² 1回目 ② パターン4 11.83mg/m² 1回目 ③ パターン4 11.83mg/m² 2回目 ① パターン4 11.83mg/m² 2回目 ② パターン4 11.83mg/m² 2回目 ③

Ⅰ-3

- 5 - 

土木学会中国支部第69回研究発表会(平成29年度)

(2)

図-2にパターン

2

およびパターン

3

における乾燥挙動 を示す.図-2よりパターン

2

およびパターン

3

における 塩化ナトリウム

2366mg/m²

の乾燥挙動は対数関数によ り,測定値を近似可能である.塩化ナトリウム

118.3 mg/m², 236.6mg/m²においても対数関数による近似式は測

定値とほぼ一致することから,吸収水分の乾燥時間は,

塩分量が同じ場合,水分量に依存しないことが明らかと なった.

パターン

4

では乾湿を繰り返し,吸水挙動および乾燥 挙動を

3

回観察した.図—3に各塩分量における吸水挙動 を示す.図—3より塩化ナトリウム

47.32mg/m²

において,

毎回の吸水量の差は小さいことがわかる.塩化ナトリウ ム

23.66 mg/m², 11.83mg/m²

においても

3

回の吸水量の差 は小さく,塩化ナトリウムの潮解性は吸収水分が乾燥後 も繰り返し発揮されることが明らかとなった.

パターン

4

における乾燥挙動はパターン

2

およびパタ ーン

3

と同様に対数関数での近似が可能であった.そこ で各パターンの実験値から乾燥挙動は以下の式

(1)

で表現 可能である.

b x a

y  ln( )  (1) a:

係数,

b:

切片,

x:

経過時間

(h)

y:

水分量

(ml)

ここで,各塩分量における式(1)の係数

a

および切片

b

を 表-2に示す.図-4,図-5に塩分量と近似式の係数

a

およ び切片

b

の関係を示す.図-4,図-5より近似式の係数

a

と切片

b

のどちらとも塩分量と比例関係が認められた.

これにより乾燥時間は次式で表現可能である.

) ln(

) 0013 . 0 00005 . 0

( c x

y   

) 0046 . 0 0002 . 0

( 

c (2)

c:塩分量(mg/m²),x:経過時間(h),y:水分量(ml)

図-6に耐候性鋼材上で実験を行ったパターン

5

におけ

る重量の変化を示す.図-6では水分乾燥後の重量は増加しており,一方吸水量は減少していることがわかる.水分 乾燥後の重量の増加は腐食生成物によるものと考えられる.また耐候性鋼材上の腐食生成物が塩化ナトリウムを取 り込んでいるため,乾湿を繰り返すごとに吸水量が減少していると考えられる.このことより耐候性鋼材上での塩 化ナトリウムの潮解性はガラス上とは異なる挙動を示すと考えられる.

4.まとめ

塩化ナトリウムの潮解性による吸水量は塩分量,湿度に依存することが明らかとなった.また,吸収水分の乾燥 時間は塩分量が同じ場合,水分量に依存しないことが明らかとなった.塩化ナトリウムのみの場合において潮解性 は繰り返し発揮されるが,耐候性鋼材上では腐食生成物が生成されるため,ガラス上とは異なる挙動を示すことが 明らかとなった.

表-2 各塩分量における式(1)の係数

a

および切片

b

図-4 塩分量と近似式の係数

a

の関係

図-5 塩分量と近似式の切片

b

の関係

図-6 パターン

5

における重量の変化

塩分量(mg/m²) 係数(a) 切片(b) 塩分量(mg/m²) 係数(a

)

切片(b

) 11.83mg/m² -0.001 0.0001 236.6mg/m² -0.017 0.0396 23.66mg/m² -0.002 0.002 946.3mg/m² -0.045 0.1632 47.32mg/m² -0.005 0.0048 2366mg/m² -0.132 0.4384 118.3mg/m² -0.01 0.0165

y = -0.00005x - 0.0013 R² = 0.9941

-0.14 -0.12 -0.1 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0

1 10 100 1000 10000

係数a

塩分量

(mg/m²)

y = 0.0002x - 0.0046 R² = 0.9994

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

1 10 100 1000 10000

切片b

塩分量(mg/m²)

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55

重量(mg)

経過時間(h) パターン5 47.32mg/m² 温度40℃一定

95% 70% 95% 70% 95% 70% 95% 70% 80℃

-40%

- 6 - 

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