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洪水時の浮遊砂濃度ハイドログラフに関する考察

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Academic year: 2022

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キーワード 浮遊砂濃度,洪水流,土砂生産,非定常平面二次元河床変動解析

連絡先 〒112-8551 東京都文京区春日 1-13-27-31214 中央大学研究開発機構 TEL03-3817-1611

洪水時の浮遊砂濃度ハイドログラフに関する考察

国土交通省近畿地方整備局港湾空港部 正会員 ○飯島 直己 中央大学研究開発機構 フェロー会員 福岡 捷二 国土交通省北海道開発局網走開発建設部 正会員 岡部 博一

1.はじめに

洪水時の浮遊砂濃度ハイドログラフが示す挙動については,未だ不明確な点が多い.長谷川ら 1)は石狩川下流部 を対象に洪水中の濁度観測を行い,様々な洪水流に対し,洪水時の浮遊砂濃度ハイドログラフについて検討してい る.また,黒田ら2)は常呂川においてH14年洪水及びH15年洪水を対象に濁度観測を行っており,海域に流出する 浮遊砂濃度は洪水発生時期により異なるが,10 月の出水では二山の波形を有する観測結果を得ている.これらは,

洪水時の濁度観測を基にした貴重な研究であるが,解析的な検討にまでは至っていない.

写真-1は常呂川における海域への土砂流出状況を示したものである.常呂川 は,上流山地域及び高水敷耕作地からの土砂供給の多い河川である.洪水時に は多量の土砂が海域に流出し,河口沿岸で養殖を行っているホタテ貝に被害を もたらしている 2).本研究では,浮遊砂を考慮した非定常平面二次元河床変動 解析を常呂川下流部に適用し,海域への土砂流出特性の把握を目的とする.

2.検討方法

0.0km~19.0km区間を対象にH18年10月洪水流の解析を行う.解析法は福岡 らの提案する水面形の時間変化を解とする非定常平面二次元解析法を用いる

3),4).上流山地域からの流入土砂量の影響を検討するため,解析上

流端に与える浮遊砂の境界条件を2パターン用意した.解析Case1 では検討領域上流に設けた助走区間で浮遊砂濃度を発達させ,そ の濃度を与えている.解析Case2では,実測値で示される河道の 縦断的な堆積土砂量を再現するように,助走区間内で浮上量を増 大させ求めた濃度を上流端で与えている.

3.解析結果

図-1 に痕跡水位と解析最大水位の縦断分布の比較及び解析水 面形に対する観測水位の比較を示す.図-2に実測流量に対する流 量ハイドログラフの比較と解析 Case1,解析 Case2 の浮遊砂濃度 ハイドログラフを示す.それぞれ,実線が解析 Case1,点線が解 析 Case2,プロッ

トが観測値である.

解析 Case1,解析 Case2 共に観測値 を捉えている.浮 遊砂濃度ハイドロ グラフは上昇期と

下降期にピークを 時間(min)

流量(m3 /s)

図-2 流量の比較と浮遊砂濃度ハイドログラフ

浮遊砂濃度(ppm)

[KP1.5] 解析流量

0 400 800 1200 1600

2000 4000 6000 8000

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 [KP0.2] 浮遊砂濃度 -2

0 2 4 6 8 10 12 14

-2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 縦断距離(km)

標高(m)

10/8 6:00 10/9 18:00

10/8 12:00 10/10 18:00

痕跡水位 左岸 平均河床高 実線:解析Case1

点線:解析Case2 プロット:観測値

図-1 痕跡水位と解析最大水位の縦断分布の比較 及び解析水面形に対する観測水位の比較

0 100 200 300 400 500 600 700

2000 4000 6000 8000

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

時間(min) 流量(m3 /s)

図-3 H14年洪水時の流量及び浮遊砂濃度2)

浮遊砂濃度(ppm)

[KP1.5] 解析流量 [KP0.2] 浮遊砂濃度

写真-1 海域への土砂流出状況 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑413‑

Ⅱ‑207

(2)

迎え,二山の波形となっている.これは,図-3 に示す黒田らの調査 結果 2)と一致する.図-4 に実測低水路河床変動コンターと解析低水 路河床変動コンターの比較を示す.実測では,洪水後の高水敷測量 が行われている12.0km断面のみ高水敷の河床変動を示している.解

析では,4.0km付近の低水路河床や樹木群内における土砂堆積の傾向,

12.0km 地点における左岸耕作地の浸食が再現されている.しかし,

解析Case1では縦断的な堆積土砂量が少ない.3.6km地点において,

実測値では0.2m程度の堆積が生じているが,解析Case1では0.05m 程度しか生じていない.一方で,解析 Case2 では実測値と同程度の 0.2m程度の堆積が生じており,縦断的な堆積土砂量が多くなってい る.このように,浮遊砂による河道内土砂堆積を検討するには,上 流山地域から流入する土砂量を考慮に入れることが重要であると分 かる.以下では,解析Case2を用いて考察を行う.

図-5 に縦断的な流量及び浮遊砂濃度ハイドログラフの変形を示す.

実線が浮遊砂濃度,点線が流量である.青線が上流域から流入する 浮遊砂濃度,赤線が海へ流出する浮遊砂濃度を示している.上流域 から流入する浮遊砂濃度は単調な波形であるのに対し,流下に伴い 徐々に波形が変形し,海域に流出する浮遊砂濃度は二山の波形とな る.図-6 に粒径別の浮遊砂濃度ハイドログラフを示す.流下に従い

d=0.01mm以下の浮遊砂濃度は増大していくのに対し,d=0.05mm以

上の浮遊砂濃度は低減していくことが分かる.d=0.01mm 以下の浮遊砂は沈降しづらく,流水に乗り素早く流れ出 るため,上昇期に多く流出している.一方,d=0.05mm 以上の浮遊砂は浮上・沈降を繰り返し河床と交換しながら 流れるため,下降期に多く流出している.このことは,流下に伴い浮遊土砂の分級が生じていることを示しており,

その結果,海域に流出する浮遊砂濃度ハイドログラフは二山の波形を形成する.

4.結論

本研究では,常呂川下流部を対象に,浮遊砂濃度ハイドログラフについて考察を行った.その結果,浮遊砂を考 慮した非定常平面二次元河床変動解析より,浮遊砂による河道内土砂堆積を検討するには,上流山地域から流入す る土砂量を考慮に入れる重要性を示した.また,広い粒度構成を持つ常呂川では,洪水中に浮遊土砂の分級が生じ,

海域に流出する浮遊砂濃度は二山の波形となることを示した.

参考文献 1)長谷川ら:年次学術講演会,Ⅱ-244,pp.586-587,1993. 2)黒田ら:河川技術論文集,第10巻,pp.167-172,2004.

3)福岡捷二:森北出版,2005. 4)飯島直己,福岡捷二,岡部博一:水工学論文集,第54巻,pp.745-750,2010.

実測:

Case1:

Case2

4.0km

6.0km 8.0km

10.0km 12.0km

:樹木群繁茂領域

*実測では12.0km断面を除き

高水敷の河床変動量を0として示している

0.6 0.4 0.2 0.1 0.05 -0.05 -0.1 -0.2 -0.4 -0.6 洗掘

堆積 (m)

図-4 実測低水路河床変動コンターと解析河床変動コンターの比較

時間(min) 流量(m3 /s)

図-5 流量及び浮遊砂濃度ハイドログラフの変形

浮遊砂濃度(ppm)

実線:浮遊砂濃度 点線:流量

0 400 800 1200 1600

2000 4000 6000 8000

0 1000 2000 3000 4000 5000 [KP19.4] [KP9.0] [KP1.5]

[KP19.4] [KP9.0] [KP1.5]

時間(min)

図-6 粒径別の浮遊砂濃度ハイドログラフ 点線:d=0.01mm以下の浮遊砂濃度 一点鎖線:d=0.05mm以上の浮遊砂濃度

実線:全浮遊砂濃度

浮遊砂濃度(ppm)

0 1000 2000 3000 4000 5000

2000 4000 6000 8000

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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Ⅱ‑207

参照

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