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背 任 罪 の 解 繹 的 考 察

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(1)背任罪の解繹的考察. 犯. 教授 第五節. 江 意 事務塵理の認識. 第顧節 事務虚理者. 醐. 事務の性質内容. 閲. 任務違背の認識 認識の内容. 二. 認識の程度. 第六節. 容盤の相違. 信任關係違背の國一. 機. 財産的損害の認識. ︵一︶. 三. ︵コ︶. 二 弛人の事務. ︵一︶信任關係の存左. 菖 事務塵理の根糠 ︵ご︶ 信任關係の程度. 一. 領得意思の有無. 委託物横領罪との關係. 背任行 爲 の 性 質. 二. 四 動. 剛. 背任の判定基準. 第二節背任行爲 二. 三. 第量節 財産上の損害. 師. 蓋. 詐欺罪との關係. 委託財産と被害財産との圃ご性の有無 法條競合. 財産上の危瞼. 第七節. 一二. 四. 黄 我. 二滑極的損害 罠. 被害財 産 の 範 圏. 背任罪の解繹的考察. 第四節 背任の目的︵動機︶. 四. 財産及び損害の概念. 家. 男.

(2) 背任罪の解繹的考察. 一ゴ一. 本稿はさきに早稻田法學第二+一巻︵昭和十八年︶において﹁背任罪の硯究﹂と題しで糞表したもの﹄綾稿である︒論題の名目 を攣へたのは新騰裁をもって再焚足する本誌の編輯上の都合によるものである︒. 前稿においでは背任罪の比較法制史的考察と本質的考察とを嚢表した︒ひきつΨき解繹的考察に從事し︑やがて獲表の段取にま. で進捗しでゐたのであるが︑職局苛烈の折柄で途ひに嚢表の機會を失ひ今日に至つた︒終戦後のわが國は軍國主義や國家主義の歴. 迫から解放きれで︑民主主義を基調とする丈化國家の建設に希望と光明とを見出してゐるのであり︑したがつていまや思想上の大. ものであるから︑職時中の観究成果ではあるが︑そのま﹄絡職後の今日κおいて嚢表することにした︒. きむ韓換が要求されっ﹄あるのであるが︑本稿はもともと軍國主義や國家主義の影響から離れて︑背任罪の法理的考察に專念した. 第一節事務虚理者. 刑法第二百四十七條によれぱ︑背任罪は﹁他人ノ爲メ其事務ヲ庭理スル者﹂がこれを犯し得る︒從つて背任罪は事務. 庭理者といふ身分ある者を行爲の主騰とするところのいはゆる﹁身分犯﹂︵oΩ自智鉱呂ぎ︶の一つである︒では如何なろ. 事務の庭理者であることを要するか︒まづ虎理すべき事務の性質内容が明かにされねばならない︒つぎに︑右の事務は. 他人の事務であることを要するから︑他人の事務とは何かといふことも明かにされねばならない︒さらに︑他人の事務. 事務の性質内容. を如何なる原因によつて庭理するか︑すなはち事務庭理の義務叉ぱ椹限込明かにされる必要がある︒. 回. ︵一︶ 現行刑法第二百四十七條は庭理すべき事務の性質内容について︑少くとも形式上は何らの制限をも設けてゐな. い︒從つて事務は財産的事務であることは必要でないと解すべきである︵誰一︶︒例へば︑辮護士が身分上の争に關する.

(3) 事件を依頼された場合︵註ヨ︑或ぼ繋師が治療を依頼された場合ハ垂こなどにおいても︑その任務︑に背き依頼者に財産 上の損害を加へたとぎは︑これを背任罪として虚罰すべきである︒. この黙はドイッ遡法の解繹と異置︒ドイッの通説鼓に判例は背任罪が財産犯であることを理由に︑毯第二百六十六條. の解繹として財産管理の事務たることを要すとし︑また︻九コニ年以來の改正草案及ぴ一九三三年の改正による新第二 百六十六條はいづれも財産的事務を要件どしてゐるのである︵註四︶︒. わが國においても少数であるが︑財産的事務にかぎるとの説がおる︵註五︶︒しかしその理虫は明かでない︒もしその. 理由が︑背任罪は財産犯であるといふ黙にあス︑ならば︑未だ十分な理由とはいひ難い︒何となれば︑背任罪が財産犯た. る性質は︑その構成要件として﹁本人に財産上の損害を加へる﹂こどを必要としてゐる︐勲において︑十分にこれを有す. るものとみられ得るからである︵註六︶︒尤も︑すでに蓮べたやうに︵註七︶︑背任罪を以つて委託物横領罪と同一類型な. りと観念し︑爾者を統︸的に理解しようとするときぱ︑庭理すべき事務を財産的事務に限定することは理由がある︒け. だし︑かく解することにょつで︑背任罪は信任關係に基き他人の財産上の利釜を管理する揚合に成立し︑委託物横領罪. は信任關係に基き他人の財物を管理する場合に成立する︑となし得るからである︒だが︑爾者を統︸的に理解しこれを. 同一類型の犯罪とするためには︑ドィッ刑法第二百六十六條と同様に﹂さらに︑委託財産と被害財産との同︸性を必要. とし︑なほ︑委託物横領罪を從來の通設の如く領得罪の一つとして観念する以上︑背任罪も領得罪とし︑行爲者に領得. の意思あることを要件とせねばならぬであらう︒しかしながら︑これは︑背任罪の成立範園を蝕りにも狭儘ならしめる. ものであるぱかりでなく︑現行刑法第二百四十七條の解繹として到底成立ち得ない見解である︒. な謄︸設においては︑庭理すべき事務は財産的事務たることを要せぬが︑少くとも財産的利害關係を有するものであ. 一三. ることを要すとし︵註八︶︑或は︑財産に影響を與へる事務であることを要すとしてゐるが︵註九﹀︑しかし︑背任罪が本 背任罪の解繹的考察.

(4) 背任罪の解繹鵜考察. ゴ四. 人に財産上の損害を加へることを要件としてゐる以上︑このことぱ當然のことであつて︑庭理すべぎ事務の性質を決定. するためには無用の説明であるといはねぱならない︒いひかへれば︑この黙は背任行爲と財産上の損害との問におげる 因果關係の問題にほかならぬのである︒. ︵謹国︶牧野賃﹁日本刑法﹂下巻四一二頁︑小野氏﹁刑法講義﹂五九六頁︑木村氏﹁刑法各論﹂工会頁︑宮本氏﹁刑法大綱﹂ヨ. 九二頁︑瀧川氏﹁刑法各論﹂一四一頁Q︵謎二︶ドイッ刑法においてはb感く讐涛簿一目︵第三五六條︶に該當する︒︵註竃︶宮本. 氏前掲︒︵置四︶拙稿﹁背任罪の研究﹂五一頁以下参照︒︵謳五︶泉二氏﹁刑法大要﹂六三一頁︑厩瀬氏﹁刑法大意﹂三九六頁︒︵設. 庭理すべぎ事務は法律行爲をなす事務︑例へば代理行爲叉は委任に因る行爲であることも必要でない︵註一︶︒. 六︶拙稿﹁背任罪の擁究﹂五九頁以下滲照︒︵謡七︶拙稿﹁背任罪の研究﹂六二頁参照︒︵騒八︶宮本氏前掲︒︵註九︶瀧川氏前掲︒︑. ︵こ︶. 事實行爲たる事務︑例へば請負に因る仕事の完成︑・或は準委任︵民六五六條︶に因る事務も︑こ玉にいふ事務たり得るの. である︒尤も︑すでに述べたやうに︑背任罪の本質を代理椹濫用読にょつて理解する立場においては︑庭理すべを事務. は法律行爲をなす事務に限ることになる︒何となれば︑代理ば法律行爲に限るからである︵註二︶︒. 右の如く︑庭理すべぎ事務は法律行爲をなす事務に限らぬとすれば︑他人の命により軍なる機械的勢務に從事する雇. 人や使者も︑背任罪の主鰹たり得るであらうか︒すでに述べたやうに︑ドイッの學読拉に判例は新第二百六十六條の解. 繹として︑軍に機械的勢務に從事する者は委託物横領罪の主騰たり得るが背任罪の主騰たり得すとし︵垂二︶︑わが國に. 影いても瀧川敏授は背任罪の主瞠たり得べぎ者は包括的事務を庭理すべき義務ある者又は包括的櫨限を與へられて事務. を虞理する者に限る︑他人の命令に基ぎ個々の勢務に服する者は含まれてない︑としてをられる︵註四︶︒. おもふに︑箪なる機械的勢務に從事する者といへども︑自己の管理に厩する他入の財産を︑不法領得の意思を以つて. 領得したときは︑これを背任罪として庭理すべきであることは疑ない︒何となれば︑か玉る者がその保管に属する他人.

(5) の財物を横領した・場合は︑横領罪として庭罰されること玉の比較上︑財物以外の財産を不法領得した揚合ぱ背任罪とし. て庭罰されねばならぬかちである︒ごれに封し︑か〜る者が自己の管理に属する本人の財物その他の財産を不法に鍛棄. した揚合に︑これを背任罪に問ひ得るか否かについてば疑が生する︒例へば故意に庭園を荒慶させた園丁︑故意に主人. の馬を逸走させた駁者︑故意に藝術品を毅損した博物館の看守︑或ぼ故意に主人の家具を殿損した女中などを︑背任罪. として腱罰し得ろであらうか︒すでに述べたやうに︑背任罪の本質につき構限濫用読を主張する者は︑背信説によれば これらの者をも背任罪に問ふこと玉なり不當である︑と非難してゐるのである︵註五︶︒. ところで︑この非難に封し木村教授は﹁我が刑法上はこれらの事例は背任罪に該當しないこと謂ふまでもない﹂とさ. れてゐる︵註六︶︒だが︑木村致授は果してこれらの事例が︑背任罪の如何なる構成要件を歓くものとして︑背任罪に該. 當しないとされるのであらうか︒これらの者といへども播義誠實の原則により他入のためその事務︵物の保管︶をなす. 者であり︑その保管に係はる物を殿損するのは︑その任務に背き本人に財産上の損害を加へたことになる︒從つて︸鷹. は背任罪の威立が認めらるべきではなからうか︒但し︑これらの事例が委託物横領罪叉は殿棄罪との法條競合となり︑ 委託物横領罪叉は鍛棄罪として庭罰されるか否かは別論である︒. 宮本博士は﹁横領罪又は殿棄罪と背任罪とは理論上それぞれ相共に廣義の横領罪又は殿棄罪を成すものである︒從つ. て同一行爲が同時に前者の何れかと後者との二個の罪名に鯛れる場合忙於ては︑法條競合︵主從關係︶として前者の規. 定ぱ後者の規定の適用を排除する﹂とされ︑﹁他人の財産管理者が悪意をもつて適當な管理を爲さすして財産を朽敗せし. めるが如を場合は︑これを背任罪と見る読もあるが︑予は不作爲による財物の殿棄と解する︒即ち右に述べた主從關係. の場合であつて︑この場合は刑の輕重によるのではない﹂とされてゐる︵註七︶︒結局︑宮本博士の説によれば︑前記の. 一藍. 事例は一慮背任罪を成立せしめるが︑殿棄罪との法條競合により殿棄罪として庭罰されるわけである︒しかし私は︑殿 背任罪 の 解 繹 的 考 察.

(6) 背任罪の解繹的考察. 二六. 本博士の説によれば︑財物に關する殿棄的背任ぱ殿棄罪となり︑財物以外の財産に關する殿棄的背任ぱ背任罪となるの. 棄的背任を殿棄罪として庭罰することは︑信任關係違背の黙を可罰性の外におく黙において賛威し難いのみでなく︑宮. であるが︑これは爾者の問において刑の均衡を失する結果となり︑要當を欲くものどいはざるを得ない︒. これを要するに︑軍なる機械的勢務に從事する者でも︑本人との間に信任關係が認められる以上は︑その背任行爲は. 背任罪を構成するものと解すべきである︒これを背任罪とすることに躊躇を感するのは︑背任罪なる犯罪概念が比較的. に新しいものであるため︑我々の常識的観念が十分これに馴染んでをちないことと︑從來︑箪なる機械的勢務に從事す. る者は本人との信任關係が薄いと考へられ︑從つて︑か﹄る者が本人の財産を殿棄した場合にわいて︑財産殿棄の瓢が. 強く意識され︑背信の黙が殆んど閑却されてゐたこと玉によるのである︒しかし今や︑か玉る者についても信任關係違 背の黙が張調されねばならね時と考へる︵註八︶︒. 下塗照︒︵註囚︶瀧川氏﹁民商﹂一五頁︑岡氏﹁刑法各論﹂H四一頁︒︵註五︶拙稿﹁背任罪の班究﹂三八頁参照︒︵謡六y木村氏. ︵謡国︶牧野氏﹁日本刑法﹂下巻四紬二頁︒︵謹瓢︶拙稿﹁背任罪の研究﹂四四頁以下参照︒︵註三︶拙稿﹁背任罪の硯究﹂六五頁以. ﹁志林﹂八頁︒︵謹七︶宮本氏﹁刑法太綱﹂三九六頁三九七頁︒︵説八︶私は從來︑横領罪の成立に領得の意思を要するものとし︑他. 人より委託きれて自己の占有する物を駁棄する⑳は殿棄罪であるとしたが︵拙著﹁別法講義篇各論三四〇頁︶︑こ義に説を改めりQ︒. 闘闘他人の事務. 庭理する事務ぱ﹁他人の﹂事務であることを要する︒たとへ﹁他人の爲め﹂に事務を虞理しても︑その事.務が﹁他入. の﹂事務と認められないかぎり背任罪ぱ成立し得ない︒從つて︑例へば浩費貸借契約に基く金銭債務の履行や費買契約. に基く債務の履行などの如く︑他人の事務と認められないもの玉不履行は背任罪を構成しない︵註一︶︒また他入のため. 或る物品を捲保に供し自己がそれを保管してゐる揚合でも︑該物品の保管につぎ他人の事務を庭理するといふ開係が認.

(7) められないかぎり︑捲保提供者が該物品を庭分又ぱ殺棄する行爲は︑毅棄罪︵二六ご條︶となり得るとしても背任罪とは なり得ないのである︒この黙について次ぎの如き判例がある︵註二︶︒. 原判決判示中甲が乙より金参百圓を借受けたる麗之が辮濟を確保する爲め︑同時に當時甲所有の牝牛七頭を費渡. 捲保として乙に提供し︑右牛は實際叩に於て之を所有し居るも乙の爲に占有飼育し︑期目に至り右債務の履行を爲. さ穿る場合にぱ右牛の所有灌を同人に移韓して之を引渡す可き契約を結び︑依然甲の手許に該牛を保管飼育中︑金. 策に窮したるより︑前叙約旨に因る任務に背蓉之を他に費却し以て自己に利釜を得んど圖り︑内二頭を丙に費渡し. 乙に封する債務の捲保を減少して同人に財産上の損害を輿へたることを認定し︑之を刑法第二百四十七條の背任罪. に問擬せり︒然れども右判示の中乙の爲めに占有飼育しとあるも︑所謂乙の爲めとはv飼育する本人が乙にして甲. はこれに代り飼育することを意味するや︑將甲は自己の所有物として飼育するものなれば︑飼育する本人は甲なれ. ども飼育の利釜が乙に蹄することを意味するや明瞭ならす︒若し其の意義にして前者なりとせぱ甲は他人の爲めに. 事務を庭理したるものなれども︑後者なりとせば反鍔の論決を生す可く︑從つて飼育の黙に於けると同じく占有の. 黙にも同様の意義不明瞭なるに蹄し︑結局原判決の判示事實によ砂てぱ直に刑法第二百四十七條を適用するを得す︒. がたいところである︵拙稿七五頁参照︶︒︵誰轟︶大列大正三年十月十二縛︵法律新聞九七四號壬ニニ頁︶︒なぼ本事案とほ穿同一の. ︵騒剛︶宮本博士は金鐘債務の不履行が背任罪とならぬ理由を︑行爲の通常性なる可罰類型阻却原因に求めてをられるが︑賛成し. 事案に封しつぎの如き判例がある﹃刑法第二百四+七條に於ける背任罪の主髄は法律の規定によると約旨に依るとを問はず他人の. 務を塵理すべき任務あることを認識するに足るべき事・實理由の明示なくんばあるべからず原鋼決には﹁.・:物品は依然甲に於て斯. 爲め其事務を虚理する者なることを要するものなれぱ背任の行爲ありとして同條に問擬するには鋼丈上必ず犯入が他人の爲め其事. 二七. 有し且つ乙の爲め其澹保物として保管し居ηたる塵﹂と掲げ甲が木件物品を乙の爲め保管し居ηたる旨到示したれど喝︑原鋼決に 依れぱ本件物品は依然甲の翫有に麗し甲が乙の爲め之を搭保に供せし事實あるに過ぎず而して斯有者たる甲が乙の爲め之を推保に. 背任罪 の 解 繹 的 考 察.

(8) 背任罪の解経的考察. 二八. 供したる事實ありとで之然爲め直ちに甲に保管の任務髭ずべを理由なければ甲に保管の任務ありとするには其任務の生じたる事由. 實の引渡に代へで占有の改定に依ロ甲をして代理占有を爲きしめたるか等の貼に封し具禮的事實理由の説明なかるべからず︒然る. 部も費渡櫓保︵信任喪買︶の如き法律行爲ありで︑乙が現實物品の引渡を受けたる止之を甲に寄託者くは賃貸したるか或は乙が現. に原鋼決が其任務の生じたる事由に封し何等説明する所なく漫然甲が本件物品を保管し居ψたる旨判示し甲を背任罪に問擬したる. は郎ち理由不備の不法あるものとす﹄大判大正四年六月十日︵法律新聞一〇二五號三八八頁︶︒この到例は前掲の判例と異り︑原判. る事實が判示きれてゐる以上︑その保管は信義誠實の観念によ砂︑乙に封する保管義務に基くことが當然に判示きれでゐると見る. 決において推保物保管義務の鋼示なき鮎を論難してゐるのであるが︑しかし甲がその所有物を乙の爲め櫓保に供し且つ保管しでゐ. が鋼示きれでゐない貼を論難すべきである︒. べきであるから︑右の論難は當を得てゐない︒むしろ本件の原判決に封しては前掲判例・と同檬に︑﹁他人の事務﹂の塵理といふこと. ところで︑こ玉で困難な問題は他入の事務とは何かといふことである︒すなはち︑他人の事務と自己の事務とを湿別. する標準如何は︑民法學においても古來ほとんど絶望的難問とされてゐるほど︑容易に解決し難いものなのである︵誰. 一︶︒それで結局は︑杜會通念によつて決定するほかはないのであるが︑大鵤の標準としては︑その事務が﹁主として他. 人の計算に軸いて﹂なされる場合は︑これを他人の事務と参て差支ないであらう︒もしその事務が主として他人の計算. においてなされるならば︑同時にそれが自己の利釜となる場合でも︑その事務は他人の事務である︒またその事務が他. 人の名義においてなされるか自已の名義においてなされるかを問ばない︒從つて問屋業者叉は蓮邊業者の如ぎは他人の. 事務を庭理するものである︒︑蓮邊業者についてぱ判例がある︒すなはち︑卜蓮邊業者の背任事件において上告人は﹁蓮邊. 業者が蓮邊貨物を受取︑保管︑引渡 をなすの行爲ば︑該貨物の蓮搬を爲すと等しく蓮邊業者自身の業務の範圏内に属. し︑決して他人の事務を慮理する行爲に非ず︒唯だ蓮邊品の滅失︑殿損等の揚合に於て其損害を賠償するの責任あるの. み﹂と主張したのに封し︑判決は︑運邊業者は他入の事務を麗理する者である︑と判示してゐるのである︵註二︶︒. ︵睡掴︶中村萬吉氏﹁債擢法概論﹂四〇三頁︒︵謡=︶大判明治四四年四月一コ日刑録一七輯六一=一頁︒.

(9) 信任開係の存在. 三事務礎理の根蝶 ︵一︶. 行爲者が他入の事務を庭理するについては︑その根嫁がなければならぬ︒では如何なる根携. を必要とするか︒この黙についてぱ背任罪の本質に關し︑灌限濫用説︵特に代輝樺濫用読︶をとるか︑事務庭理説をと. るが又は背信読をキるかによつて︑多少の相違がある︒もし槽限濫用説をとるならば︑他入の事務を庭理すべぎ椹限は. 法令又は法律行爲によるか︑少くとも慣習による以外には獲生しないのであるから︑事務庭理の根擦もまたこれらの場. 合にかぎられることになる︒特に代理権濫用説をとるときぱ代理権を授與すべぎ法令又は法律行爲のみが事務庭理の根. 嫁たり得ろ︒また事務庭理読にしたがへば事務庭理の義務ば民法上の義務にかぎられろから︑ごれまた事務麗理の根櫨. は法令︑法律行爲又は少くとも慣習若くは事務管理以外にはあり得ない︒これに反し背信説にしたがふならば︑背任罪. の本質ば信義誠實の観念に基く信圧關系の違背r存するのであるから︑いやしくも信義誠實の観念上事務麗理についで. 信任關係が存するかぎり︑刑法第二百四十七條にいはゆる﹁他人の爲め其の事務を庭理する者﹂であつて︑事務庭琿の. 根蝶は必らすしも法令叉は法律行爲である必要はなく︑事務管理により他kの事務を塵理すろ者又は償習によつて事務 を庭理する者を嘗然に含むのである︒判例は慣習による事務庭理者を認め︑曰く︵註一︶︑. 刑法第二百四十七條の犯罪に付きてぱ必すしも法令に依りて其職務椹限の定まれる公務員若くけ私法上に於ける. 各種の法定代理人の如 きもの玉みに阪らすして契約上は勿論慣習に依りて苛も他人の爲めに其の事務を慮理する者 ぱ皆之が主髄たり得べきことは疑なき所なり︒. また判例は事務管理によつて他入の事務を麗理する者を含むとし︑曰く︵註∋︑. 刑法第二百四十七條に於ては他人の爲め其事務を庭理する者云々と規定し︑地人の事務を庭輝するに至鉱たる源. 碑ん. 因の如何を限知ぜざるを以て︑毫も之を法令叉は契約に因り他人の爲め其事務を慮理する者のみを指稽すと解すべ 背任罪の解繹的考察.

(10) 背任罪の 解 繹 的 考 察. 三〇. き理由あることなく︑却て義務なくして他人の爲め其事務管理を爲す者をも包含する趣旨なること明自なり︒. 前述の如く︑事務庭理の根嫁に信義誠實の観念による信任關係にあるとすれば︑いはゆる二重抵當における抵當権設. 定者は背任罪に問はるべきである︒けだし二重抵當の場合において︑抵當権設定者は第一次抵當礎者に鍔し民法上は一. 番抵當癖設定の登記をなす義務なく︵抵當権者の請求なき以上︶︑また契約上もこの義務ありとなし難いけれども︑信義. 誠實の観念上は第一次抵當擢者をして一番抵當惟者たらしめる信任關係があるとみられるからである鴨註三︶︒. なほ︑前述の如き信任關係は本人との閲に存する客観的關係であるから︑それは必らすしも本人との直接的交拶によ. つて生する必要はなく︑間接的に生することもあり︑また業務の性質上當然に生することもある︒例へぱ︑蓮逡業者叉. は貨物取扱業者が︑貨物引換讃所持人に鋳する關係がこれである︒この黙rつき判例は︑荷物取扱店は貨物引換誰所持. 人に艶し蓮邊人と同一態様において︑事務を塵理すべき責に任するものである︑としながら︑その理由として︑﹁背任罪. に所謂他人の爲に其の事務を庭碧する者とは︑猫り委任︑雇傭等當事者間の信任關係に基く事務庭理に止まらす︑或ば. 法規に依り或は契約に依り信任關係なき他入の爲に其の事務を庭理すべき場合をも包含すと解するを正當とす﹂として. ゐろ︵註四︶︒しかし信任關係なき場合は事務虚理の義務もないはすであるから︑判例の理由づけね適當でないといはね ぱならぬ︒. ︵註口︶大鋼大正三年四月一〇日刑録二〇輯四九八頁以下︒本事案は登記事務の一部に從事する匿裁判所雇に關するものである︒. 前述の如く事務塵理の根嫁は本人との信任關係にあるのであるが︑この信任關係の程度に何. 一月一二日粥集一七巻八六一頁以下︒︵謹寓︶二重抵當が詐欺罪を構成するや否やについては後述︒︵謡四︶大判昭和三年五月一日. ︵謡二︶大到大正三年九月二二日刑録二〇輯=ハニO頁以下︒本事案は収入役代理に關するものである︒同趣旨︑大剣昭和一三年 珊集第七巻⁝一四頁Q. ︵二︶ 信任關係の程度.

(11) らかの制限が必要であらうか︒.いひかへれば背任罪を構威し得べき信任關係に一定の限界を必要とするかぴ事務慮理読. ば民法上の事務庭鯉︑義務を以つてこの限界とするのであるが︑穫限濫用説もこの限界づけを企圖するものと見ることが. できる︒けだし︑︑植限の濫用は許谷されたる継限行使の範園を鍮越することであつて︑許答の根底にぱ本入との信任關. 係が存在するからである︒いひかへれば︑襟限濫用説においても本人との信任關係を前提とせねばならぬのであるが︑. 患らに一定の権限を有して信任關係に立つ者のみを背任罪の主艦とするところに︑この説の意圖があるともみられるの. である︒なほ︑すでに蓮べたやうに︑ドイツの學説拉に判例は背信読に立ちながらも︑背任罪を構域し得べき財 圧管理. 義務は固有且つ本質的なものであることを要すとし︑信任關係の程度に一定の限界を設けてゐるハ註一︶︒宮本博士も背 信説の立揚において或る制限をつけてをられる︵註∋︒. かやうに︑北肖鶴罪を構成し得べき信任關係に一定の限界づけをしようとする説も少くないのやあるが︑しかし︑事務. 麗理説叉は穣限濫翔論の如ぎ限募づけは︑可罰的背任の少からざる部分を見逃すことになつて妥當を練く︵註三話ま. た︑歴イッの最近における墨説拉に制例が主張する制限は︑改正後の刑法が背任罪の刑を横領罪の刑よりも重くしたこ. とに蘇因するのであるから︑この主張を直ちにわが刑法の解縄にもつてくることはできない︒さらに宮本博士の説は金. 銭債務などの履行を他人の事務庭理と解した結果であつて︑これを他人の事務庭理にあらすと解すれば︑これを信任關. 擦の舗限とする必要ばないのである︑結局︑わが刑法の解繹としては︑委託物横領罪との比較上︑委託物横領罪を成立. せしむるに足るべを信任關係は︑背任罪を成立せしむるに足るものであるとすべきである︒. では︑この錨に關するわが國の判例はどうであらうか︑制例は前述の如く事務虞理義務の根嫁を可威り廣汎に認めて. ゐる黙から推レて︑特に限界づけをしてゐるとは思はれないが︑一感判例が櫨限濫用読をとつてゐるか否かを槍討して. 三一. みよう︒草野判事は﹁我大審院の判例は︑近時は権限濫用説に傾いてゐるやうに思はれる﹂といはれ︑大審院の判例に 背任罪の解繹的考察.

(12) 背任界の解繹的考察. 三二. おける背任罪と横領罪との匿別に言及され︑﹁横領罪を背任罪の﹁種と解し︑其の自己の占有する他人の物に闊する場合. が横領罪であろと爲すものと︑假令自己の占有する他人の物に關する場合でも︑自己に領得する意思又ぱ自己の計算に. おいて爲さ穿るとき︑換言すれば︑他人に領得する意思又は本人の計算に於て爲すときは︑背任罪であると解するもの. とがある︒蓋し︑後者は櫨限濫用読に依るものであり︑前者は背信説にょるものであらう﹂と読いてをられる︵註四︶︒. しかし判例が後者の場合を背任罪としたのは︑艦領罪には領得の意思が必要であるとの見地に立つため︑領得の意思な. き場合はこれを背任罪とせざるを得ないからであり︑また他人に領得せしめる場合について爾罪を適當に隔別せんとす. るためである︒從つて右の判例を以つて擢限濫用読とみるのぱ妥當でない︒わが國の制例は背信説であるか否かは別と して︑少くとも嘆限濫用説でないとみるべきであらう︒ 判例は職務彬限なき登記所雇員の背任罪を認め︑曰く︵註五︶︑ ぴ. ぴ. ゑ. 官磨に於ける雇員ぱ其の雇員たる身分に附著ぜる何等の職務槽限なしと難︑概括的に或る種類の事務若は随時個. 個の事務に從事することを官吏より命ぜられ其の事務に從事するは︑即其の任務に外ならす︒從て匿裁判所の官吏. を補助すろ爲登記事務の一部に從事する場合に於ては︑其の命ぜられたる事務の庭邸は其の者の任務なりとす︒ また︑蓮邊業者の雇人に錫し背任罪を認め︑曰く︵註六︶︑. 刑法笛二百四十七條に所謂他入の事務を庭理する者とぱ︑勉ぬ固有の灌限を以て其の庭理を爲す者のみならす︑ 其の者の補助機關として直接其の庭理に闊する事務を澹當する者をも包含す︒. 僅限濫用説によれば僅限沿滅後は背任罪の主騰たり得ないわけである魁判例は欝任後その事務引綴前の取締役は背 任罪の主髄た妙得るものとしてゐる︒曰く︵註七︶︑. 取締役ぼ辮任後と雛事務の引緩を了せざる間其の事務を庭理すべき任務を有するものとす︒.

(13) 前掲のほか︑背任罪の主騰たるには猫立の催限を有する必要なしとの判例ぱつぎの如くである︒曰く︵註八︶︑. 背任罪の成立にぱ必すしも行爲者が自己軍猫の意思を以て其事務を左右するの権限ある事務に關し背任行爲あり たることを必要とせす︒. 刑注左馳︸百四十七條に所謂他人の爲其の事務を庭理するものとは︑他人の事務を取扱ふ者を汎構し︑必すしも猫. 背任行爲の性質. 第二節背. 任行爲. 集八五八頁︒︵誰八︶大判友正四年二旦δ日刑鍮納二輯一三〇頁︒︵謹九︶大鋼大正二一年三旦コ日刑集二釜西七頁︒. 一一年一〇月九日刑集一巻五四五頁︒同趣旨︑大弾昭和六年一月二七目評論二〇巻刑二七頁︒︵譜七︶大鋼大正一三年二月五日刑. 照︒︵置四︶岩波法律學榊典四巻一二七六頁︑一コ七七頁︒︵註五︶大判大正三年四月一〇臼刑録二〇輯四九八頁︒︵謡六︶大判大並. ︵謡一︶拙稿﹁背任罪の砺究﹂六五頁以下参照︒︵謡瓢︶拙稿﹁背任罪の砺究﹂七五頁参照︒︵謹罠V拙稿﹁背任罪の研究﹂四六頁参. 立して其の事務を裁臨庭分する檀限を有するものなることを要せす︵註九︶︒. 帽. 背任罪の構域要件たる行爲は﹁任務一一背キタル行爲﹂である︒その如何なる行爲が任務に背きたろものであるかは︑. 背任罪の本質に開する學設の如何にょつて多少の相違がある︒もし棺限濫用説をとるならぱ︑椹限楡越の行爲すなはち. ﹁法律的可能の範園内における法律的許容の腺越﹂たろ行爲の為が背任行爲となり︑特に代理雄濫用読に從ふときは︑. 背任行爲は法律行爲たる行爲に限られ︑事實行爲は背仔罪を構成し得ないし︑不作爲による背任罪を認めるととに理論. 上の困難がある︵謹一︶︒また︑事務庭罫説をとるならば︑背任行爲ぱ必らすしも雄限喩越の行爲叉は法律行爲である必. ⁝ご. 要はないが︑少くとも民法上の事務庭理義務に違反する肴爲であることを必要とする︵藝ご︒これに反し︑背任罪の本 背任罪の解繹的考察.

(14) 背任罪の解繹的考察. 三四. 質を背信読によつて理解するならば︑いやしくも信義誠實の観念に違背する事務虎理は︑すべて背任行爲となり︑︑穰限. 瞼越行爲たること又は法律行爲たることの必要はなく︑事實行爲によつても不作爲によつても背任罪を威立せしめ得る し︑またそれは必らすしも民法上の義務違反の場合に限られない︵註三︶︒. わが國の判例は背信読の見地に立ち事實行爲による背任罪を認めてゐる︒すなはち︑費掛代金を受取るべき任務を有. する者が商品の返戻ありたる旨虚儒の事實を帳簿に記載するのは背任行爲である︵註四︶︒また不作爲の背任罪も認めて. ゐる︒すなはち︑銀行の金銭貸付拉に取立事務の罐當者が貸付元利金の取立を放漫にした場合︵註五︶︑或は官廃の工事 監督者が工事の監督を不當に寛大にした場合︵註六︶などがこれである︒. ︵註聞︶拙稿﹁背任罪の研究﹂四二頁以下滲照︒︵課=︶拙稿﹁背任罪の研究﹂三九頁以下参照︒︵謎竃︶拙稿﹁背任罪の研究﹂三. 八頁以下滲照︒︵置四︶大判大正三年六月コ○日刑録一一〇輯一三コご頁以下︒︵誰丑︶大判大正一五年九月麟ヨ日刑集五巻四二頁以. 下︒︵謡六︶大鋼明治四五年五月六日刑録一八輯五七〇頁以下︒. 二 背任の判定基準. 他入の事務を庭理する者が事務麗理に關してなした具歎的行爲が︑背任的行爲であるか否かは︑その庭理すべき串務. の性質内容との關係において制噺さるべきものであるから︑その判断にあたつては先づ以つて雷該事務庭理の性質︑内容. を定めたところの︑怯令︑法律行爲又は慣習等が究明されねばならねこと勿論である︒例へば︑後見入の事務庭理が背. 任となるか否かは後見入制度に關する民法の規定により事務の性質内容を明かにした上でなければ決定できぬし︑會肚. の取締役がなした業務執行が背任となるか否かは︑會杜法における取締役の業務執行に關する規定︑完款その他會肚の. 業務内容を考察して決定せねばならぬ︒また︑受任者の背任行爲に關しては︑委任契約の内容が最も酢要な判断の材料 となる︒.

(15) そして︑塵理すべぎ事豫の株質内容に照し或る倉鶯が背任であるか再かぱ帯ブ該行爲がコ通常の業務執行﹂︵つ急三ぢ線−. 一熱盗讐薯零ゴ鱗鐘寧碁夷︶ の範圏染.挽睨してゐろか否かで決定されろ︒シュヴィンゲ及ジーペルトは曰く︻︑問題とな. つてゐるところの行爲が通常の業務執行の範園を逸腕してゐる場合においてのみ︑刑法第二百六十六條の意味における. 義務進背が存在する﹂と︵註一︶︒ゆだし︑一方において︑常該事務の庭輝者として通常なすべきことをなさ穿ξとぎば. その任務に背いたといはざるを得癒いし︑池方において︑當該事務の庭理として通常なすところの行爲をなした以L. ぱ︑たとへその行爲により本人に損害を加へたとしても︑ぞの損害は當該事務の性質E豫期されてゐるものといふべ. く︑從つてその行爲を任務違背とはなし得ないから喚︑あネヰいはゆる﹁胃険的取引﹂︵霞許罐皇島養︶ぱこの標準に該. の範園は當該. 當するかぎり背任ではない︵註こ︒特に庭理すべぎ事務が投機的性質を帯びてゐる揚合例へば投費或は株式費買の場合. に︑この標準に該営することが多いであらう︒但し︑﹁許されたる胃瞼的取引﹂︵&葛算Φ家涛o鷺書轡3. 事務の性質内容によつて相違があること勿論である︒例へば金融業においては冒瞼的取引がむしろ常態と見られるが︑. 後見人が被後見人の財産を管理し︑又ぱ夫が妻の財産を管理する場合には︑原則として冒険的取引は許されざるものと. 見られる︵註三︶︒また︑或ろ胃瞼的取引が麗理すべき事務の性質内容に犠鰯するときは︑勿論その胃瞼的取引は許され ない︒. この瓢で問題となるのは︑貨物引換誰附運途の貨物を引換詮と引換へすに荷受人に引渡す行爲である︒か玉る取引は. 殆んど商慣習として︑いはゆる﹁保謹波﹂叉は﹁椴波﹂の特約でなされることが多いのであるが︑たとへ荷受人との間. にか玉ろ特約があるにもせよ︑引換讃と引換へ肇に貨物を引渡すことは︑後日において荷受人よ9引換澄を取得し得ざ. る危瞼が多分にあろ︒從つてこれは胃瞼的取引の一つと見られ得る︒ところで元來貨物引換謹なるものは荷受人の代金. 三五. 支梯を確保するためのものであり︑それ故商法第五百八十四條は引換詮と引換にあらざれぱ貨物を引波し得ざる旨を規 背任罪の解繹的考察.

(16) 背任罪の解繹的考察. 三六. 定するものであつて︑蓮邊人の保讃渡又は恨渡は︑たとへそれが慣習であるにもせよ︑貨物引換讃附蓮逸といふ專務庭. 理の性質内容に抵鰯七︑その任務に背いた行爲であるといはざるを得ない︒尤も︑か玉る行爲も背任罪の他の要件を歓. くため︑特に犯意を無くために背任罪を構成しないこともあり得るが︑それは別論に属する︒ 判例も保謹波又は假︑波を以つて背狂であるとし︑日く︵註四︶︑. 貨物引換詮は之と引換に貨物引波を爲すべき旨を表示したる流逓讃券なれば︑其の所持人たる癒利者は之と引換. に非ざれば貨︑物の引波を求むることを得ざると同時に︑蓮邊業者も亦之と引換に非ざれば蓮邊貨物の引渡を爲すを. 得ざるものなること︑貨物引換讃の性質に照し疑を容れざる所にして商法第三百四十四條︵奮︶の趣旨叉弦に存する. こと本院判例の是認ナる所なり︵大正六年︵︵れ︶︶第四二號向年三月三日宣告判決参照︶︒蓋し所謂荷爲替なるものは. 蓮邊貨︑物の荷主が荷受人を支螂人としたる爲替手形を振出し︑該手形の受取人より手形金額を受取り︑荷受入たる. 手彪の支那人が爲替金の支沸を爲さ穿る揚合の推保として︑蓮逡貨物を費却し其の費得金を以て辮濟に充當するの. 伽利を債催者に交付するに因りて成立するものにして︑其の捲保は動産質の性質を有するものなれば︑荷爲替附貨. 物蓮邊の揚合に於て運逡業者が其の事賀を知りながら︑貨物引換融と引換に非すして他人に蓮逡貨物の引渡を爲す. ときは︑・貨物引換讃上に樺利を有する者は不測の損害を蒙るの虞なしとせざるを以て︑商法第三百四十四條ぱ貨物. 引換謙を作成したる揚合にありては︑蓮邊人は貨物引換誼と引換に非ざれぱ.蓮邊品の引渡を爲さマろ櫨利を有す. ると同時に議務を負ふ旨を親定し︑貨物運邊取引の圓瀟なる嚢達を企薗したるものと解せざるべからす・.:貨物引. 換謹貨物に付運逸取扱人と荷受人との蘭に於ては︑後日引換詮の交付を爲す約旨の下に︑引換讃と引換に非すして. 貨物の引波を爲し︑後日引換誰の授喪を爲す所謂假り渡の契約又は慣行あり︑本件被告人等は其の特約叉は慣習に ゆ 依嫁したるものなりとの事質は原判決の認元せざる厩のみならす︑縦しや本件被告入等の行爲が其の特約の下に行.

(17) はれたるものとして其の契約當事者を拘東するの奴力ありとするも︑之が爲に犯罪の成立を妨ぐべきものに非ざる なり︒. この制例は荷爲替附貨物引換謹の場合に關すろものであるが︑しかし荷爲替附であるか否かは背任罪の威立に影響は. ない︵註五︶︒また︑たとへ貨物引換謹が法律上の或る要幹を鉦くために無敷な場合であつても︑その引換讃と引換へす. に貨物を引波すのは背任である︒けだし︑たとへ貨物引換誰が無敷であるとしても︑これを殺行せしめた當事者の意思. は︑それと引換でなければ貨物の引渡を禁する黙にあるのであり︑信義誠實の観念王蓮逡人叉は蓮邊取扱人は右謹券と. 引換に貨物を引渡すべき義務があるといひ得るからである︒この黙に關し判例は曰く︵註六︶︑. 貨物引換謹が其の蓮邊債の記獄を歓くを以て無数に郎すろも︑右は貨物蓮逡入が貨物引換謹の呈示を受けたる場. 合に於て貨物の引渡を拒絶し得る理由と爲るに過ぎす︒之が爲に貨物蓮邊人が荷爲替附の取扱を委託せられたろ場. 合に於て︑貨物引換讃の交付を侯つて荷受人に封して貨物を引渡すべぎ任務を冤かとべきに非ざれば︑貨物引換讃. の憂付なくして荷受人に貨物を引渡し荷邊人に財産上の損害を生ぜしめたるときは︑荷邊人の委託に反し取引の通 念たる信義誠質の原期に違背すろ所爲にして︑云々︒. Q︒愈・︵誰二︶木村氏﹁法志﹂二二頁︑同氏﹁刑法各論﹂一六二頁︑のo︸髪甘器蛮①9詳¢㌫ご一這げ巨︸ ︵誰闘︶警げ≦首碧−酪筈①旨uo. ¢覇・︵謁四︶大判昭和七年一一月二四日刑集. ψむ9從來ドイッの通説においては︑冒瞼的取引が背任罪を構成せ緯理由を專ら犯意の黙から説明した︒しかし最近においては︑. 一一巷一七〇六頁以下︒岡趣旨︑大正六年三月三日刑録一三斡一四八頁以下︑大甥大正二年一〇月九肩刑集一巷五四五頁︑大判. 蓮法性及び構成要件該當・性の問題として取扱つてゐる︒︵謡鎧︶鶉げ葱轟9藍Φ幕詳. 昭和六年一月二七日評論二〇巻コ七頁︑大判昭和六年七月二二旦評論二〇巻コ七五頁Qなぼ︑保謹渡と背任罪に關する丈嶽として. 三七. 論二〇巻刑二七頁︒︵註六︶大鋼大正ニニ年四月一日刑集三巻二七二頁︒なぼ︑離荷談券を嚢行すべきに貨物引換鐙を襲行し且つ. は︑大濱信泉氏﹁商行爲法要論﹂四四一頁︑小町谷操三氏﹁海商法要義﹂中巻二七コ頁以下︒︵謹五︶大剣昭和六年一月二七日評. 背任罪の解繹的考察.

(18) 背任罪の 解 繹 的 考 察. 八四頁︒. 三八. その記載要件を妖いた場合につき同趣旨︑大判昭和三年七月一六日評論一八巻刑一五頁︒大凋昭和四年一〇月二三日評諭一九審荊. 前述の如く︑事務庭理者の行爲が背任であるか否かぱ︑當該事務の性質内容を定めてゐろところの法令︑法律行爲叉. は慣習等む検討し︑常該行爲が営該事務の性質内容に照し︑通常の業務執行の範園を逸睨してゐるか否かによつて制索.. され乙のであろが︑背任行爲の本質は信義誠實の観念に反する黙にあるのであるから︑たとへ法令の明文或は法律行爲. の丈言に違反することがないとしても︑信義誠實の観念に反するときは背孫と認むべきである︒例へば︑後見人として. 被後見入の螢業を管理経螢する者が︑これと競業するが如きぱ︑信義誠費の観念に反するが故に背任であろ註嚇︶︒ま. た右とは反封に︑たとへ法令の明丈叉は法律行爲の丈言に違反する行爲でも︑覧にそれのみを以つて背任ど断するのは 早計である︒さらにその行爲が信義誠實の観念に反するか否かが槍討されねばなら歳い︒. この鮎で一慮問題となり得るのは︑取締役が會肚となすいぱゆる自己取引である︒郎ち︑取締役が監査役の承認を得. すして自己又は第三者︐のために會肚と取引をなすことは︑商法第二百六十五條により禁じられてゐるところであるが︑. もしか玉る取引により會枇に財産上の損害を加へたときは︑これを背任罪に問ひ得るか否か︒制例は︑禽耐の取締役が. 自己の経螢する事業の資金融通のため︑監査役の承認を得すして自ら會肚の代理入となり︑自已のために會祉から金員 を借用した行爲を︑商法第二百六十五條に反するとの理由で背任罪とした噂曰く︵註ヨ︑. 民法第百八條には何人と錐も債務の履行を除く外同﹃の法律行爲に付き其相手方の代理人と爲ることを得ざろ旨. を規定し︑叉商法第百七十六條︵奮︶には︑取締役は監査役の承認を得たるときに限り自己の爲めに會肚と取引を爲. すことを得ぺく︑此場合に於てぼ其取引に付き例外として其相手方たる會杜の代理入と爲ることを得べき旨を親定. す︒蓋し同一入解同叫の法律行爲に付ぎ其相手方の代理と爲ることを得るものとすれば︑利害の打算ヒ相手方の利−.

(19) 盆を侵害する虞なしとせざるぱ明自なるを以て︑立法者は民事及ぴ商事に關し瞬蝿としてば同一法律行爲に付き其. 相手方の代理人と爲ることを禁止し︑商事に關し取締役が監査役の承認を得て自己の爲めに會肚と取引を爲す場合. に限り其除外例を認めたるものと解し得べし︒然らば會肚の支配入が自己の爲めに會阯と取引を爲すに陰し自ら會. 祉の相手方と爲り︑又は會杜の取締役が監査役の承認を得すして自已の爲めに會耐と取引を爲し︑且其取引に關し. 自ら會肚の相手方と爲りたる行爲ば︑之を前叙規定の立法趣旨に鑑み會批の利釜に重要なる影響を及ぼすものなる. こと論を倹たざるを以て會杜の支配人又ぱ取締役の任務を誠實に途行したるものと云ふ可からざるは明白なりとす. おもふに商法第二百六十五條は同第二百六十四條に規定する取締役の競業避止義務と同じく︑取締役が會肚と取引を. なす場合に爾者の利害衝突を避けしめ︑會肚の利釜を擁護する趣旨であるから︑會祉と利害衝突を生する虞なき法律行. 爲例へば會肚に封する債務履行叉は購與については︑監査役の承認を得る必要はなく︑た穿會駐と利害衝︷︑犬する法律行. 爲例へば會批との費寅契約叉は沿賞貸借などについて監査役の承認を必要とし︑その承認なくしてなした法律行爲を無. 敷とするものにほかならない︒そこで︑か玉る本條の立法趣旨から観察するならぱ︑會耽と利害衝突すべぎ怯律行爲を. 監査役の承認を得すしてなすのば︑法律ヒ無数であゐこと勿論であるが︑しかしこのことを以つて直ちに取締役の行爲. を背任行爲であると断氏するわけにはゆかね︒取締役の行爲ガ背任行爲であるか否かを決定蓼ためには︑さらに︑當. 該法律行爲をなすことが取締役としての任務を誠實に途行したものであるか否かを考︑祭せねばならない︒いひかへれ. ば︑取締役の行爲が背任行爲と認められるのは︑信義誠實の観念に反した黙にあるのであつて︑監査役の承認を得ざり. し黙は背任行爲を認むべき一つの材料ではあるが︑その全部ではないのである︒前記判例⑳事實においてぱ︑取締役が. 會杜となした取引は金銭の借用たる溝費貸借であつて︑それは專ら取締役の利釜のためになされたものである難と︑そ. 三九. の取引について監査役の承認を得ざりし黙とが綜合的に観察されて︑はじめて取締役の行爲が背任行爲と認められるの 背任罪の解纒的轡察.

(20) 背任罪の解輝的考察一 である︵註三︶︒. 四〇. 商法第二百六十五條と背任行爲との關係を右のやうに理解するならば︑たとへ監査役の承認を得てなした取引であづ. ても︑その取引をなすことが信ぎ誠實の観念に反するならば︑これを背任行爲と認むべきである︒例へば取締役が債務. 辮濟の見込なきに拘らす監査役の承認を得て會耐より金銭を借用すろが如きこれである︒か玉る行爲は︑銀行の取締役. が回牧の見込なき者に放漫なる貸付をなすのと同︷であつて︑監査役の承認を得たるや否やは︑背任罪の域立に關係な. 財産及び損害の概念. 第三節財産上の損害. 四巻四コ五頁︒︵謡四︶大判大正一四年二月二五日刑集四巻九五頁以下参照︒. に︑其の給付したる金鎮に相當する質産の減少を來し︑期律上同額の損害を盤ずるものとす一と︒大判大正一四年六月一九日刑集. 受ありたる場合に︑其の消費貸借が無敷なるときは︑嘗事者一方は相手方に金鋒を給付したることの封憤を取得することなきが故. 赴に封し如何なる財産上の損害を加へたことになるか︒判例はこれを説明し曰く﹁當事者間に消費貸借を爲す意思を以て金鏡の授. ︵謡漏︶Go魯≦﹃αq¢あ8冨匡 む e︒駐.︵置二︶大判大正五年九月一九日刑鎌二は輯コニ八0頁以下︒︵設三︶かxる背任行爲により曾. きものである︵註四︶︒. 一. 刑法第二百四十七條にいはゆる﹁財産上の損害﹂とは財産的儂値の減少を意味する︒ところで︑財産とは金銭を以つ. て表示されたところの経濟的償値︵註唇器ξ窪8富づ.︵5のことであるから︑財産を組成し得るものぱ所有擢その他の. 物擢︑債権叉は無艦財産権の如き︑いはゆる法律上の財産植ばかりでなく︑櫨利として表象し難いものでも︑いやしく. も経濟的憤値が認められるものであれば足りる︒いひかへれば背任罪における財産の概念は︑財物ぼ勿論のこと︑刑法.

(21) 第二萄三十六條二項にいはゆる﹁財産上の利釜﹂をも包含する︒そして他面において財産上の損害すなはち財産的憤値. の減少は︑法律的判漸︵鰍霞蓉蓉ぎ勲面詳φ身認︶によつて穿はなく経濟的評疲︵証さ繋一多哺島魯①罵9<震言轟︶によつて. 決定されねばならない︒何となれば︑たとへ法律的には罐利として存在しても︑その實行が不能な場合ぱその経濟的綾. 値は皆無であり︑また灌利の費行が困難なる事情が附随すれば︑その経濟的憤値ぼ減少するからである︒この駄はやが. て述べるやうに︑如何なる場合に沿極的損害ありとずるか︑また財産上の危険は財産上の損害なりや否やの問題を解決 するについて︑特に重要性を有する︒. 悶脚潜極的損害. 財産上の損害とは﹁財産上の疲値の減少﹂であつて.それは︑いはゆる積極的損害のみならす清極的損害をも含むの. である︵註一︶︒ところで︑積極的損害ぱ既存財産の減少であるから︑特に読明するほどのこともないが︑溶極的損害は. 銑存財産の檜加妨害︑いひがへれば︑將來牧得し得べが9し財産的利益の喪失であるから︑その﹁失はれたろ利得﹂ ハΦ暮撃諺霧電Ω身ぎεとは何を指すか穿問題となる︒. ドイッ刑法の解繹においては︑背任罪に關する第二百六ふ⊥ハ條のいばゆる﹁損害﹂︵累饗騨&︶は詐欺罪に關する第二. 百六十三條のいはゆる﹁財産上0損隼ど︵<窪5鷺⇒器9覧①巳と同一意鵡︑織なりとされ︑損害の意義は主として詐欺罪に. おいて説明されるのであるが︑清極灼損害の意義についてぱ二つの見解がある︒その一説は︑將來牧得し得べかりし財. 産の喪失︑いひかへれば﹁失はれたろ利得﹂の概念を狡義に解し︑法律上の請求禮が︑浄在する利得にかぎるとするもの. 從來の通説であり曾って聯邦裁判所の判例となつてゐたものである︒ドラーハイムば目く﹁浦極的損害の形式に海. 背任罪の解繹的考察. 四一. ンクは輩純なる見込︵期待︶は財滝とならぬ︐例へぱ︑或る債樺煮が他の債構者の欺岡によつて︑債務者から捲保を取. ける損害は︑利得に勤し法維的に基礎づけられた講求鑓が銃に存在する場合においてのみ仔在し得る﹂と︵註ヨ︒フラ. 廼、.

(22) 背任罪の解繹的考察. .四ゴ. 得する可能性を失つた場合に︑詐欺舞の威立なしとしvまた﹁希望的利得︵①旨o塗霞¢9舌皆︶はそれの取得につき法. 律上基礎づけられたところの講求椹が存在せざるかぎ9︑軍なる期待︵国屠眉︒巨きs︶に過ぎぬ﹂︑例へば自.構相綾人が. 某の品行につぎ︑欺岡により︑被相績人をして某に與へんとした遺産を自己に與へるやうに信ぜしめた揚合も︑詐欺罪. にならぬとしてゐる︵註三︶︒なほ︑リスト︑シユミットも﹁法律上の請求擢が.仔在せす︑箪に事實上期待さるべきとこ. ろの利得は︑財産上の損害とならぬ﹂としてゐる︵註理︒要するにこの説は︑利得に勤する箪純なる見込叉ぱ希望の喪. 失は︑財産上の損害なる概念から除外さるべきものなりとし︑その擁界標として﹁法律上の講求擢の春在﹂を要求する のである︒. これに封し他の一誘は︑浩極的損害の似念を籏張し︑利得が蓋撚的に︵・三£づ︐筈屋魯β島9ざ5期待されてゐる揚. 合に︑その喪失を以つて貼産上の損害と解するのであつて︑現行ドイッ民法の施行後︑聯邦裁判所が採用するところで. ある︵註五︶︒吐判例に曰く﹁民法施行前においてぱ︑聯邦裁判所の判例は︑利釜の牧得につき法律上基礎づけられた請求. 権が存在するか︑又は︑もし欺岡なかりせば被欺問者において無邉作に且つ確實に︵魯塁語箒話の盲自︼三廿毎魯霧冨5︑. 利谷を牧得し得べか9し事實上の開係が存在せる場合にかぎり︑失はれたる利得の奪取として財産上の損害を認めた︒し. しかし今や民法施行後においては︑第二百五十二條に從ひ︑事物の通常の経過叉は特別の事情殊になされたる該備及ぴ. 豫防手段にょり蓋然的に期待され得るところのものは︑失はれたる利得として認めらるべきである﹂と︵註六︶︒また他. の判例に曰くも軍に一般的な且つ不確定な 見込又は軍純なる希望が財産上の利釜とならぬことは︑判例において硲旋し. てゐるところであるが︑しかし︑もし見込又は希望の不威就が刑法第二百六十三條のいはゆる財産上の損害として評債. さるべきものであるならば︑それは財産的憤値を形威する︒それ故に︑他画において︑法律上基礎づけられた請求権が. 癌在することは必らすしも必要でないのであつて︑財産的憤値の塘加が蓋然的に期待さるべき事情が存在すれば十分な.

(23) のである﹂と︵註七︶︒. ︵誰じ泉ご氏﹁刑法大要﹂六三三頁︑宮本氏﹁刑法大綱﹂三九五頁︑小野氏﹁刑法講義﹂五九八頁︑木村氏﹁刑法各論﹂ニハ三. o抄︵一聾四︶ピぴ碁あoげ目峯ヴ¢蜜oo︒︵謡 頁︑齊藤氏﹁刑法各論講義﹂四六九頁︒︵岬誕=︶O霊げ巴巳u堕湛こQ●︵誰=闘︶蜀量ロ﹃砕紹Q. 竃︶閑Q禦り鍵鳩o◎︸一〇岱a︸¢o ︒お二講ψお一久誰六︶菊O望吐博¢δ嘗︵謡七︶園Q幹窃悟oQ藁箪︐. わが國においては木村敏授が第一読を麦持せられ︑曰く﹁潰極的損害の範團は︑軍に櫨利として請求するを得べかり. し利盆の塘加妨害といふことに限定さるべきであると思ふ﹂とせられ︵註ご︒泉二博士は第二説を支持せらる︑もの玉. 如く︑目く﹁権利として講求するζとを得べき利釜叉は物の性質に從ひ自然震生すべき利釜の塘加を妨げたる場合にお. いても亦損害を仔するものと解せらる﹂とせられてゐる︵註葺︒.判例は浩極的損害を認め﹁財産上の損害が積極的損害. 鄙翫存財産の減少たると浩極的損害部就存財塵の塘蜘妨害たるとを協別せざること多言を要せナ﹂としてゐるが︵註三︶︑. しかし溌極的損害を決冗すべき標準については何ら言朋するところがない︒尤も判例は︑銀行の金鐘貸付拉びに取立箏. 務の捲當者が︑貸付元利金の取立を放漫にした揚合において︑回牧すべぎ元本の蓮韓によ9銀行の得べか9し利息は︑晴 財産王の損害に計上さるべぎものとしてゐる︒判例に曰く︵註四︶︑. 銀行の常務取締役として金銭の貸付其の他﹃般銀宥業務を庭郵する者は︑其の行金を適當に蓮韓して利殖を計る. べぎ任務を有すちこと勿論なるを以て︑資力及信用の乏しき者に封し無捲保にて行金を貸付くるに於ては画牧不能. と爲9銀行に財軽上の損害を生すべきことを認識しながら︑右任務に背き其の者の利釜を圏り無捲保にて金銭の貸. 付を爲し︑元利回牧不能に終りたるときは︑其の貸付元本は右背任行爲に因り銀行が現實受けたる損害にして︑其. 四蔦. の利息は元本の蓮韓に函 9銀行の得べか9し利盆の喪失に外ならざるを以て︑元金は勿論利息も亦背任宥爲に基く 損害なりと謂はざるべからす︒ 背任罪の解澤的考察.

(24) 背任罪の解繹的考察 なほ判例は︑右利息の計算は複利方法によるべきものとしてゐろ︒曰く︵註五︶︑. 四四. 其の利息ぱ元本の蓮韓により銀行の得べかりし利盆の喪失に外ならすして︑若し適常なろ貸付に因り該利息を取. 得せんか︑更に之を元本として運転し利殖を爲し得べきを以て︑複利方法に依り算出したる利息全部ぱ元本と等し く背任彩爲に基く損害と謂ふを得べし︒. ︵罐幽︶木村氏﹁法志﹂一七百︒︵謡=︶泉二氏﹁刑法大要﹂六三三頁︒︵註窺︶大判大正二年九月二七日刑集﹃一谷四八三頁︒︵駐. 四︶大判昭和九年六月二九呂刑集五巻四三〇頁︒︵註置︶大判大正一一年六月二九日刑集ご二巻九〇一頁︒同趣旨︑大鋼大正一一 年前鵜︒. おもふに︑如何なろ範園において沿糎的損害なるものを認むべぎかの問題は︑結局︑現今における経濟的取引の概念. 上︑如何たる開係において將來牧得し得べき財壷的利釜を︑將來の財産として評債し得るかの問題に蹄着すろのであ. る︒そこで︑もし第一読のやうに︑法律ヒの請求灌が存在するところの利得のみを將來財産と解するときは︑將來財産. の繊念が專ら澄律開係の将内に限局され︑智際の経濟的取引ヒの概念と一致しないばかりでなく︑これによつて積極的. 損害に封すろ沿極的損宰なろ概念を定立すろのは郵意味に絡るであらう︒何となれば︑或る財産的利盆に封し法律上の. 請求擢が現存する場合は︑その請求灌の賢行が可能なるかぎり︑それは將來財産といふよりは寧ろ既存財産として評憤. され得るのであ9︑從つて︑か玉る利得の喪失は銑存財産の檜加妨害すなはち浩極的損害として穿はなく︑むしろ翫存. 財産の減少すなはち積極的損害として評憤さろべぎだからである︒このことば︑現今の経濟的取引において財産Lの債. 灌が財歳の重要部分を占め︑しかもそれは將來財兇として穿はなく既存財虐と己て評憤されてゐることを考へ合はすれ. ば︑さらに明瞭となるであらう︒なほ︑第︸説によれば︑マイヤーも疑問硯してゐるやうに︵註一︶︑例へば︑他人の財. 産を管郵し蓮鴬に牧釜すべき義務を負ふ者が︑故意にその巽務履行を怠つて無牧釜のま玉財旋を放置した揚合におい.

(25) て︑これを背任罪に問ひ得ないことになる︒けだしこの場合において︑本人は第三者に封し法律上何らの請求構をも有. しないからである︒しかし︑か玉る場合に影いては︑當該事務の性質上︑管理財産から適當の牧釜があるべきことは︑. 蓋然的に期待されてゐるところであり︑その牧釜なきことは本人にとり財産上の損害として評慣されて然るべきである︒. さて︑かやうに観察するならば︑將來財産の概念を第︻説の如く法律上の講求灌が存在する利得に限定するのは︑正し くないといふことになるのである︒. だが他面において︑利得に鋤する不確實なる見込叉ば軍純なる希望を︑將來財産と見るのも正しくない︒將來財産と. 見られ得るためには︑少くとも︑管理に鵬する財産自騰の性質又ぱ管理事務の性質により経濟的取引の観念上︑利得が. 蓋然的に期待されてゐることが必要である︒結局︑第二説を以つて正しい見解とすべきである︒そしてこの見地に立つ. ならば︑わが國の前掲判例が是認されるであらう︒けだし︑銀行はその業務の性質上︑金銭を蓮韓して適當の牧釜をな. すべきものであり︑金鏡の貸付があれば︑利息の牧得が蓋然的に期待されてゐるのである︒從つて︑元本が回牧不能と. なったときぱ︑未牧得の利息も銀行の損害といひ得るからである︒またこの揚合に︑利息の計算を複利方法によってな. すごとも︑銀行業において通常採用するところであるから︑この黙の前掲判例も正當である︵註∈︒. ところで︑第一読を主張する者は第二読に勤し次の如ぎ非難を向けてゐる︒すなはち︑第二読は民法における損害賠. 償の範園に關する標準を︑直ちに刑法に影ける損害概念の標準とするもので︑正しくない︑と︒フランクは﹁失はれた. る利得﹂に關する民法第二百五十二條の規定は︑箪に民法上の損害賠償の範園に關する特別規定に過ぎないとし︑曰く. ﹁利得の喪失を如何なる範園まで財産上の損害とするかの問題は︑利得が財産に属するや否や拉びに何時それは財産に. なるかの問題とは︑ 別個に取扱ばるべぎである﹂と︵註ε︒また木村教授は曰く﹁惟ふに︑刑法上の概念構成は刑法上. 四五. の目的に從つて爲さるべきであつ.て︑民法上の概念とは當然匪別されねばならぬ︒民法上の損害賠償といふ軍に個入間 背任罪の解繹的考察.

(26) 背任罪の解繹的考察. .. 四六. の利釜の均衡を得せしめるに過ぎざる揚合の標準を以て︑刑法上の犯罪の成立を決定する概念と爲すのは許さるべきで. はない﹂と禽四︶︒私はフランク及び木村教授のこの批制に封し次の黙を疑問としたい︒まづ第一に︑民法上の概念を. 以つて直ちに刑法上の概念とすることは︑をれが無批判的であるかぎり︑確かに正しくないのであるが︑しかし︑爾者の. 概念は當然に麗別され異らなけれ︑ばならぬといふのは︑どうであらうか︒爾者の概念は湿別する必要あるとき圃別すれ. ば足りるのであつて︑故らに匪別せねばならぬものではないであらう︒なるほど︑民法上の損害賠償は個人聞の利釜の. 均衡を得せしめるに過ぎないものであるから︑これを以つて直ちに刑法上の損害概念とした聯邦裁制所の鰻度には非難. さるべきものがあらう︒だが︑ひるがへつて見るに︑個人間の利釜の均衡を目的とする民法上の損害概念は︑経濟的取. 引における損害概念を基底とするのであり︑そして︑この損害概念は刑法上の損害概念の基底たるのであるから︑結局. において民法の損害概念と刑法0それとは一致するのである︒從つて︑たとへ民法と刑法とがそれぞれ固有の目的を有. するとはいへ︑︑損害概念の定立について前者の概念を後者の概念とすることは︑決して不當ではない︒なほ木村致授. は︑爾者の概念は圃別されねばならぬ︑といふ理由の下に︑﹁椹利として請求し得る利釜﹂のみを將來財産と解してをら. れるが︑その積極的な理由づけを何ら示してをられないのは︑理論構威として不十分であるといはねばならね︵註五︶︒. も︑利息は﹁灌利としで請求し得る利盆﹂ではあるまいか︒か﹄る利息⑳喪失をもなぼ財産上の損害に非ずとせぱ︑木村教授は果. ︵謡瞬︶国・冒曙鐸少峯ド︵設二︶木村教授は︑判例が利息の喪失を損害に計上したのを疑問としてをられる︒洞氏﹁刑法各論﹂ 一六四頁謹︒しかし和息附の消費貸借においては・債権者は利息に封する請求権を有するのであるから︑木村教授の立揚よロして. して.如何なる損害を以つて滑極的損害とせられるのであらうか︒︵註筥︶写導貫GD&O︒O■︵謹四︶木村氏﹁法志﹂一六頁︒︵謡五︶. といふ滑極的理由に過ぎぬ︒從つて︑このことから直もに﹁権利として請求し得る利釜に限る﹂といふ結論は導き出され叛い︒も. 民法上の損害概念と刑法上の損害概念とは遜別されねばならぬ︑といふことは︑軍に前者の概念を以つて後者の概念となし得ない︑. し︑民法上の損害賠償は個人問の利釜の均衡が目的であロ︑刑法の目的は肚會の防衛であるとするならぱ︑むしろ︑刑法の損害概.

(27) 三. 念は民法のそれよ郵も廣く解せらるべきではなからうか〇. 財産上の危険. 背任罪は﹁財産上の損害﹂なる結果の嚢生を構成要件とするものであるから︑いはゆる侵害犯であつて危瞼犯ではな. い︒從つて︑判例のいふやうに﹁損害の有無は背任罪の既途未途を匠別すべを當然の標準﹂であつて︵註一︶︑財産に鍔. する輩純な危険の惹起は︑背任罪を既途たらしめ得ないわけである︒ところが︑こ玉に外見的にぱ財産上の危瞼と見ら. れるもので︑内容的には財産上の損害とされねばならぬ揚合がある︒例へぱ財塵上の債務負捲がそれである︒債務はそ. れが現實に履行されるまでは軍なる法律上の義務であつて︑債務の負捲のみでば未だ財産の現實的喪失なく︑從つて財. 塵上の損害なしとも見られ得るが︑しかし︑現代の如き信用経潜の下においては︑債務負捲は債務者の財産減少と見ら. れねばならぬ︒この意味において︑判例が手形の裏書人たる義務負捲を以つて財産上の損害であるとしたのは正︑しい︒ 判例に曰く︵註⁝︑. 刑法第二百四十七條に所謂財産上の損害とぱ︑汎く財産上の債値を減少するを謂ふものなれぱ︑必すしも約束手. 形の裏書人が現實償還義務を履行したるととを要せナ︒軍に裏書人たる義務を負捲せしめたる揚合に於ても︑之に 封し財産上の損害を蜘へたるものと嚢ふを得べし︒. また制例はこれと同趣旨により︑保険會置代理店の事務捲當者が制限以上の保瞼金額を以つて契約を締結したのは︑ 會肚に鋤し財産上の損害を加へたものとしてゐる︒曰く︵垂ご︑. 海上保瞼株式會杜代理店の事務を捲當する者が︑保瞼契約に因り︑會肚の螢業方針として定めたる制限以上の保. 四七. 瞼金額を約し︑會肚をして支沸の危瞼を負捲せしめたるときは︑刑法第二百四十七條に所謂本人に財産上の損害を 加へたるものとす︒ 背任罪の解羅酌毒察.

(28) 背任罪の解程的考察. 四八. 財産上の債務負捲のほか債椹者の擦保喪失や無資力者に鋤する金鐘貸付も︑財産上の損害と見られねばならぬ︒か玉. る場合を軍に法律的に誇贋するならば︑たとへ債灌者が捲保を喪失し或は債務者が無資力であるとしても︑法律上債機. そのものは存在し︑た穿辮濟期において債椹の實行が不能又は困難となるおそれ︑すなはち財産上の危瞼があるに過ぎ. ないともいひ得るであらケ︒しかしこれを経濟的に評憤するならば︑辮濟を受くる見込なき債椹は財産的にぱ無憤値で. あり︑また捲保なき債椹は擦保ある債構よりも財産的憤値が少いことは︑多言を要しないところである︒從つてこれを. 財産上の危瞼といふよりは︑むしろ財産上の損害と見る方が正しい︒判例も︑回牧不能者に封し無携保で金鋭貸付を爲. したときは︑貸付と同時に貸付元本に相當する財産の損害があるとし︵註四︶︑また︑捲保椹の喪失はそれ自膿が財産上. 債椹者が其の債権に付債務者の財産に封し特別捲保罐を有することは夫れ自騰帆の利釜たること論を倹たざるが. の損害であるとしてゐる︒後者につき判例は曰く︵註五︶︑. 故に︑筍くも他入の行爲に因珍其の有する婚保罐を喪失したるの事實あるに於ヤは︑債罐の取立が可能なると否と. に論なく︑之が當然の結果として債椹者は捲保の利釜其者を失ひたるに因りて財産上の損害を蒙りたるものと謂ふ. べきや言を倹たす︒本件に於て原制決が被告人の行爲に因り制示銀行に加へたりと認定したる財産上の損害ば畢寛. 此の趣旨に於ける損害に外ならざること判丈上明白にして::所論は論するに債椹の取立にして可能なる限り捲保. 灌の喪失のみにょりて何等の損害を生するものに非すとする謬れる見解に基き原判決を批難するものに過響すして 採るに足らすρ. 一四年八月三日刑集四巻五〇六頁︒︵註四︶大判大正一五年九月二三日刑集五巻四三〇頁︒同趣旨︑大剣昭和三年七月一四日刑集. ︵睡齢︶大判昭和八年=一月一八日刑集二一巻二三八一頁︒︵謡二︶大判大霊二年四月一七日刑録一九輯五一一頁︒︵註且︶大判大正. 七巷四八0頁︒︵額五︶大判大霊コニ年二月一一日刑集三巷七九三頁︒周趣旨︑大判昭和六年一月ご七日評論二〇巻刑二七頁︒.

(29) さて以上のやうに︑背任罪における財産上の損害なる概念は︑財産の現實的喪失ばかりでなく︑現實的喪失を來すお. それある歌態をも含むものとすれば︑むしろ︑財産上の危瞼と財産上の損害との匠別を撤慶し︑財産上の危瞼は當然に. 財産上の損害であるとすべきであらうか︒この黙に關しドイッにおいては︑フランクは﹁財産上の危険は財産上の損害. である﹂とし︵註一︶︑爾者を同一に取扱つてゐるが︑通説拉びに制例は爾者を圃別し︑﹁財産上の危険︵<窪&σQ曾おΦ騨. ︵註三︶︑弾早野酬一事は撫貫害の外危瞼を. 浮身潟︶は︑その危険により財産が現在その債値を減少せしめられたときにかぎり︑財産上の損害であると解してゐる ︵註二︶︒わが國においては旧沖判事がドイッの桶繋説と同一に兄解麦一蓮べて・をられ■るが. も含む﹂とせられ︵註四︶︑最近の判例も草野判事と同一の立場に立つてゐる︒制例に曰く︵註五︶︑. 刑法第二百四十七條に﹁財産上の損害﹂とあるは凡ての財産的償値の減少を意味し︑蕾に財産的實害を生ぜしめ. たる場合のみならす︑實害襲生の危瞼を生ぜしめたる場合をも指稔するものとす︒本院既往の判例に所謂財産上の. 損害とは︑財産上椹利の實行を不確實ならしむる虞ある歌態を含むものなるが故に︑財産的権利の實行を確實なら. しむべき事實の︑灰立を妨げ︑其の確實性を薄弱ならしむるが如きも︑財産上の損害を加ふるものなり︵昭和八年. ︵︵れ︶︶第コ一西九號同年二一月四日第一刑事部制決︶といへるは︑全く右と同趣旨に出でたるものに外ならす︒然ら. ば︑判示の如く所論組合に於て組合総會の決議を以て組合員に鍋する無捲保貸付最高限度額を金千圓と定め︑且つ. 其の定款には無捲保貸付に付ては組合員二名を保謹人に立てしむることを要する規定あるに拘らす︑右決議及規定. に反し︑被告人某の利釜を計り限度外の貸付を爲したる本件に在りては︑同牧不能の結果を侯つことなく︑既に此. の一事に依りて︑組合に財産上の損害を加へたるものと解すべく︑進んで貸付當時に於ける組合員の資産乃至信用. 欺態如何を顧るの要なぎものとす︒或は現行法上横領罪に付てぱ其の未逡を庭罰せざろに拘らす背任罪に付て其の. 四九. 未途を庭罰せるの律意に徴すれぱ︑背任罪の既途たるには實害の襲生を必要とするが如しと錐も︑爾く解するに於 背係罪の解羅的考察.

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