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賃貸借契約の会計的表示

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Academic year: 2022

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(1)1嶋. し. が. き. 賃貸借契約の会計的表示. は. 塩. 原. α. 第二次大戦後︑米国の企業が採用する外部資金調達方法について︑注目すべき二つの傾向がみられる︒その一つは︑ ︵注一︶ 株式資本よりも借入資本を優先する傾向が絶対的となったことである︒SEC︵証券および敢引所委員会︶の資料によ. れぱ︑一九四八年から一九五七年に至る十年問に︑米国の産業会杜が調達した三千三百億ドルのうち︑その四分の三. 以上が︑借入による資金調達方式をとっている︒しかもこのなかには︑市中銀行からの短期・長期の借入は一切含ま れておらない︒. 他方同じ十年間に︑会社資金の重要な源泉として︑従前にはみられなかった形態の資本が出現している︒それは賃 刻 ︵ 貸借︵−§竃︶によって調達された資産を意味し︑ドナルド・ガソトは︑これを﹁賃借資本﹂と名づけている︒従来の. 伝統的な資金調達方法と比較して︑賃借資本がいかに重要であるかを示すための具体的な統計数値は見当らたいが︑. それが︑米国におげる重要な外部資金調達の手段となっていることは︑多くの論者が一様に指摘するところである︒. しかもかかる賃貸借による資金調達方法は︑その利用範囲が急速に拡張されつつあるのが実状である︒従来賃貸借. が主として利用されてきた領域は︑不動産の調達に限られていたが︑今目では︑企業が必要とするほとんどすべての. 固定資産−事務機器から機械・船舶さらには飛行機に至るまで−差賃借することが可能とたっている︒たとえばアメ. 335. 良峰.

(2) 1仏. リカソ航空は︑従来のプロペラ飛行機からジェット飛行機への切替に当って必要とされた彪大な資金需要を満すため. に︑少なくともその一部は︑新型機のジェヅトエソジソを賃借することによって間題を解決したといわれる︒アメリ 到 ︵ カン航空はこれによって︑ジェヅト化計画に必要な資本を︑八千万ドルは軽減しえたとのことである︒. かように現在の米国においては︑賃貸借による資金調達方法が︑多種多様た資金需要の充足に適用されているので. ある︒わが国においても︑最近の新聞や週刊紙上において﹁リース時代﹂近しということで話題を集めており︑本年. ﹁目本リ!ス・イソターナシ亘ナル﹂が設立され︑ようやく賃貸借の重要性. 七月二十五目には︑米国のリース・プラソ・イソターナショナル︵LPI︶との提携のもとに︑銀行・損保・機械・ 電機など有力二十数杜が共同出資して︑. が脚光を浴びるに至っている︒本稿は︑米国におげる賃貸借発展の背景と︑かかる発展によって惹起される会計上の ︵注二︶ 間題点を解説し︑賃貸借の会計的表示に関する二つの見解を紹介せんとするものであ刷︒解説の順序として︑まず最. 初に資金調達方法としての賃貸借の内容を確定し︑次いでかかる種類の賃貸借を発展せしめた諸原因を明らかにし︑. さらに進んでかかる発展によって生起される会計上の間題点を指橋し︑最後にかかる間題点を解決するために施され. るべき改善方法を素描する︒資金調達方法としての賃貸借は︑わが国において従来あまり紹介されたことのたい事項. であり︑この解説に重点を置いた結果︑賃貸借の会計処理をめぐる論争点は︑単なる素描を試みるに止まっている︒. AICPA︵米国公認会計士協会︶会計調査部による会計調査報告書第四号︑﹁財務諾表におげる賃貸借の報告﹂の公. 表を契機として︑賃貸借の会計処理をめぐる論争が一層華々しい折でもあり︑これらについての解説も︑いずれ他目 を期して実行せねぽと考えている︒. ︵注一︶ 米国における借入資本の増大化傾向については︑山桝教授によって詳細な解説が試みられている︒同教授薯﹁アメリカ 財務会計﹂七七頁以下参照o. 336.

(3) 145. する長期賃貸借のうち︑消耗性資産の賃貸借は論議の範囲外におかれる︒前者は深刻な会計上の聞題が生ずる余地が乏しく︑. ︵注二︶ 一般に賃貸借の会計的表示がとり上げられる場合︑契約期間が三年以内の短期賃貸借︑および三年以上の契約期閻を有. 後者は一般的な賃貸借とは明らかに異なった間題点を内包し︑別個にとり上げられるぺき必要があるからである︒本稿におい. ω. 竃葛轟一旨事甲一..肉毫o葦長o︷宗麸露ぎ句−轟昌邑ω冨誌旨彗亘..>o8冒9轟寄8費9蟹目号z9中>目o二〇彗. o彗戸Uo量巨声一︑.昌易一昌ぎ5麸①雲目彗oぎoq一︐.葭胃毒邑宙毒ぎo窒勾睾ざ峯一彗賞9−>肩昌−雷9oLNH. ても︑これらを除いたものについて言及するo. ②. 資金調達方法としての賃貸借. H箏9篶目冨o片O︸>ω.HoΦド. ③ Ω彗戸旨軍一〇1−曽一. 二. いうまでもなく︑賃貸借は契約の一種であり︑契約当事者間において締繕される契約内容ぼ多種多様であるが︑米 リ ︵ 国において行われている賃貸借の典型的な契約条項︵窄oま乱o婁︶は︑左記のごとく要約することがでる︒. 賃貸借期間⁝⁝数時間のものから︑賃借する資産の全見積耐用年数に及ぶものまでがある︒. 賃借期閻満了時の選択権⁝⁝賃借会杜に対する特権の全然認められないものから︑公正市場価値での購入権︑さら. には名目的価格での購入権︑あるいは名目的賃借料での契約更新権の認められるものまで各種ある︒. 賃借料⁝⁝賃借料は多くの場合︑賃貸借期聞を通じて賃貸会杜が︑賃貸資産への投資額と︑公正な報酬額とを回収し. うるように定められる︒支払方法は均等払︑逓増払︑逓減払等の各種がある︒支払額はあらかじめ確定しているのが. 普通であるが︑売上高等の要因に応じて変動するものもある︒この場合にも通常は︑最低支払額が定められている︒. 33?.

(4) o. 338. 固定資産税︑保険料︑維持費等の負担⁝⁝これらの義務を賃貸会杜が負担する場合︑賃借会杜が負担する場合︑あ るいは両者が折半して負担する場合等がある︒. 賃貸会社の︵暖房.ニレペーター等の︶サービス提供義務−::極めて多様た義務を負担するものから︑皆無のものま である︒. 賃借会杜に対する制限規定⁝⁝配当支払に制隈を付したり︑場合によっては︑事後の借入や賃借を制限することが ある︒. 解約規定⁝・−一定の約定金額と損害賠償を支払うことによって解約する権限を認められるものがある︒. 清算の場合の義務−⁝契約によって賃借会杜が将来の支払分を一切負債として負担せねぱならない場合がある︒. 右の諸条項にもみられるように︑賃貸借契約の内容は極めて弾力的であり︑賃貸借に本質的な諸機能を果すべく多. 様な目的に適用されるものである︒したがってわれわれは︑いかなる賃貸借が資金調達機能を果すものであるかを確. o. することに代えて賃借が行われること︒. このような賃貸借の最も純粋な形態は︑左記に列挙するよう在諸条件を充足する契約であり︑. 一般に純粋賃貸借. ◎所有か賃借かの意思決定が︑営業上の間題としてではなく︑財務上の問題として行われ︑その結果︑資産を所有. ◎或る資産の使用権を︑その資産の全耐用年数にわたって賃借会杜へ付与するものでなげればならたい︒. o. ものでたげれぱなら な い ︒. ﹁賃貸借が営業上の間題から離れて︑他の資金調達方法に代るものとして採用される意味で︑財務政策上の間題を形 到 成すること﹂を意味する︒かかる理解によれぱ︑資金調達方法としての賃貸借は︑次のような基本的特質を具備する. 定することが必要である︒ガソトの定義によれぱ︑資金調達方法としての賃貸借︵−塞窒ま竃〇一轟︶という用語は︑. 146.

(5) 147. ︶ ⑬ ︵富二g窒︶あるいは解約不能賃貸借︵目o昌竃8豪匡①一塞竃︶と称される︒. ①賃貸借期間が賃借資産の全耐用年数に及ぶこと︒. ②賃借会社は︑賃貸借期聞満了時において︑当該資産を名目的な価格で購入しうるか︑あるいは名目的な賃借料 で契約を更新しうること︒. ③契約が解約不能であること︒ ④賃借料が︑当該資産への投資額の償還および利子の支払に充分であること︒. ⑤固定資産税︑保険料︑維持費等を賃借会杜が支払うこと︒. 竃Lo−−−.. これらの諸条件が変化する程度に応じて︑その賃貸借が資金調達機能を果す度合が変動することとなる︒ 注ω呂着員量創. 賃貸借発展の理由. 旨溝員旨葦 一 P 戸 彗 邑 O 彗 戸 ま 鼻 一 P − 轟 .. ②3員ま與1らL§ ③. 三. 近年︑米国において︑資金調達のために︑賃貸借たる方法を採択する傾向が顕薯となってきた事実はすでに指橋L. たところであるが︑これは一体いかなる理由にもとづくものであろうか︒従来賃貸借にょる資金調達は︑長期借入の. ごとき伝統的な資金調達方法と比較して︑二分の一バーセソトから一パーセソトの範囲内で︑利予が割高であるとい. う欠陥が指摘されてきている︒賃貸借による資金調達が割高となるのは︑バソシルおよびアソソニーによれぱ︑①金. 融筋が負担する損失の危険が多大であること︑②管理運営上の費用が少なからぬこと︑③賃貸借によって得られる. 339.

(6) 諸利点を勘案して︑賃借会社が意識的に高い賃借料を受入れること︑④杜債等に比較して市場性が乏しいこと等に原 幻 因があるといわれる︒︵しかしかかる欠陥にもかかわらず︑賃貸借は資金調達のための有利な手段とLて企業家を魅了. る減価償却よりも早期の償却を可能とする減価償却方法が認められるに至ってからは︑この面での利点は実効性を失. る︒しかし一九五四牢の内国歳入法︵冒冨昌巴寮く盲亮oo宗︶によって︑従来主として探用されてきた直練湊によ. 却期問と賃貸借期間とでは︑後考の方が短いのが普通であるから︑加速償却の場合におけるのと同様の効果が得られ. 次に税務上の利点として︑損金計上が早期に行われ︑その結果課税の蒔期が引延ぱされる点が指摘される︒滅価償. り︑損金計上額の総額は両者同一となる︒単に損金計上の時期が早いか遅いかの相違があるにすぎたい︒. 支出額が同一であり︑一定期間経遇後に拍いて残存価値がまったくなくなづてしまうとすれぼ︑税率に変化がない限. 資金調達方法よりも費用が少たくてすむことを意味するものではない︒賃借の場合と︑資産を所有する場合とで現金. 計上額は︑賃貸借の場合の方が多大であるから税務上有利であるといわれる︒しかしこの事実は︑賃貸借が伝統的な. 合︑残存価額と土地の価額は除外されるから︑減価償却費の累計額は資産の総額よりも少なくなる︒したがって損金. て借入れた資金をもって購入した資産については︑減価償却費のみが損金に認められる︒減価僕却費を計上する場. 常賃借会社は︑賃貸借期聞にわたって資産の原価総額を損金に認められる︒しかるに︑伝統的な資金調達方法によっ. 営業費と考えられており︑全額が損金に認められることから︑競務上次のような利点が生ずると考えられている︒通. 賃貸借が有する利点として︑税務上のそれが主張される場合が多い︒すたわち現行の税法下にあっては︑賃借料は. るに至ってから未だ目が浅く︑その実質的内容が充分究明されるには至っておらたいのが現状である︒︶. ずしも見解が一致しておらず︑また︑企業家の側におげる誤解に由来するものも数多い︒賃貸借が資金調達方法として重要視され. してきている︒その理由のいくつかを以下に検討してみよう︒︵もっとも賃貸借が有する利点については︑論者によって必. ㎎. 34c.

(7) 149. っているo. 到 この他にも︑税務上考えられるいくつかの利点が主張されているが︑いずれの場合においても︑内国歳入局による. 譲税額の決定が︑賃貸借の表面的事象でなく︑実質的内容を勘案して行われている結果︑資産を賃借するぺきか︑そ. れとも借入による資金をもって資産を購入するべきか︑を決定する場合の重大なポイソトとは認め難い︒ガソトやマ. イヤーズも指摘するごとく︑賃貸借による資金調達が︑税務上種々なる利点を有すると考えたのは︑企業家の錯覚で. あり︑税務当局が︑賃貸借契約の実質的内容を検討して課税態度を決定する限り︑伝統的な資金調達方法によって借 訓 入れた資金をもって資産を購入する揚合と何ら異なるところは存在しないのである︒ 勾 ︵ かかる税務上の利点の他にも︑賃貸借による資金調達方法が重視されるべき様々な要因が指摘されているが︑現段. 階において比較的異論の少ないと考えられるのは︑資金調達方法それ自体にかかわる利点である︒かかる種類の利点. として︑通常の資金調達方法をもってしては必要額を調達しえない場合︑賃貸借によってそれが補われるという事実. を捲橋することができる︒借入による資金調達︑が︑最も費用のかからない方法であることは広く知られているところ. であるが︑借入による方法は︑債権者との契約や行政機関の規制によって︑一定額以上の資金調達が不可能となる揚. 合がある︒かかる制限の適用外にある賃貸借が資金調達の手段として適用される場合が多い︒しかしこれは︑賃貸借. による資金調達方法の重要性がさほど意識されておらない現段階にのみあてはまることであり︑将来その実質的意義 副 が再認識された場合︑果してかかる利点を将来ともに主張しうるか否かは極めて疑間である︒. 一方すでに述べたように︑賃貸借は利子については割高な資金調達方法であるが︑杜債発行費等の借入契約締結時. の費用と比較した場合には︑契約締結のための費用が低廉であり︑同時にまた︑契約更改時に要する費用が割安であ ることも賃貸借を発展させた一因と考えられている︒. 341.

(8) 342. 伝統的な資金調達方法による場合には︑資産の代金全額を借入れることは一般に困難であるが︑賃貸借による場合. には︑その代金全額を調達することが可能であるという点もまた︑賃貸借が伝統的な資金調達方法に優位する方法で. あるとして企業家の関心を集めてきたところである︒もっとも資金の貸付が︑担保資産の価値を重視して行われる場. 彗O勾3o箒戸>津ぎξ一..弓ぎヨ轟;邑Oo冒昌目冒津く−8雰算5竈ぎ堕︑葭彗竃三︸易一篶窒 opoo甲oo㊤.. op旨㌣Hcoρ. oIoo⑫二與目邑o国目戸旨a.一〇p冨?−Nぺ一. o国目F亭崖. ② 竃旨鶉二σざ. ω. ③ 昌濤嘉一旨巨. 家まOき20き冒 げ 亭 − ︺ 窒 O 昌 σ 睾 墨 箪 暑 ﹂ ミ ー H 墨 1. 注ωく彗o芦嚢oぎ邑句. の間題を考察する こ と に し よ う ︒. 刻な間題を生起するに至った︒財務諸表への表示間題が真剣に論議されることとなったのである︒以下項を改めてこ. ところとなった事実もまた認められねぼならない︒しかし賃貸借の発展は︑やがて賃借会杜の利害関係者にとって深. を利用した面も否定しえないが︑賃貸借それ自体に内在する利点の故に︑有利な手段として企業家の好んで採択する. かくして賃貸借による資金調達の発展は︑或る場合には企業家の錯覚により︑また或る場合には会計的表示の不傭. して比較した場合には小額となる︒. 実にもかかわらず︑支払方法︑契約期問当初の現金支出額︑同じく税金支払額および或る種の費用の立替等を基準と. る資産の購入と比較して多額となる︒しかるに賃貸借におげる現金支出額の現在価値︵召霧彗↓く巴冨︶は︑かかる事. 利子が高率であると同時に︑調達可能な金額がヨリ多額であることから︑現金支出の総額は︑伝統的な資金調達によ. この他︑賃貸借が採用される主要な要因として︑現金支出額の比較考量があげられる︒一般に賃貸借においては︑. 合はとにかく︑それが借入側の一般的な信用度を基準とする場合︑常にそうであるとは認め難いかも知れない︒. 150.

(9) ○彗戸亭鼻一〇1−8.. 四. 賃貸借の表示問題. 周知のように賃貸借それ自体は決して事新しいものではたく︑その淵源は遠く古代に童で遡ることができる︒しか. しかように長い歴史を有する賃貸借が︑第二次大戦後の米国において飛躍的な発展をとげ︑しかも従来におげるのと. は異なった理由によって広範囲に利用されるに至りている︒とりわげそれが︑資金調達を主たる目的として利用され. てきていることに留意せねぱならない︒資金調達方法としての賃貸借発展の重要性が特に間題と恋り始めたのは︑ム. ー・ニヅツによれぱ︑一九四九年六月末目までの事業年度に関するSECの第十六期年次報告書において︑重要な資金. くであるが︑皮肉なことには︑かかる発展を大ならしめた諾利点の多くは︑賃貸猪の伝統的な会計処理から生ずるも. のたのである︒賃貸借の会計処理が︑一定の支払目におげる支払賃借料の記録と︑期間経過分の見越計上のみに隈定. される限り︑それが資金調達のために用いられているという事実は︑賃借会杜が公表する財務講表上に何ら示される. ところがなかった︒これによって諸種の財務比率について有利な数値を招来することが︑企業家にとって大き淀関心. 事であったわけである︒しかしながらやがて︑賃貸借の実質的内容を何ら表示し愈い伝統的杜会計処理方法が多くの 批判を浴びるに至った︒. かかる伝統的な会計処理方法に批判的な論者の一人であるドナルド・ガソトによれぱ︑本来︑資金調逢方法として 到 ︵ の貧貸借は︑左記の点において一般的な借入による資金調達方法と極めて類似しているといわれる︒. 343. ( 5). 調達方法としての売却・借戻し契約︵邑⑦彗〜−塞窒訂集︶の出現と︑それによ一.て提起される会計問題が措橘され ︵ たときからであるといわれる︒資金調達方法としての賃貸借が発展した理由については︑前段において論述Lたごと. 151.

(10) 152. まず第一にかかる賃貸借は︑特に純粋賛貸借についてみた場含︑会社が将来︑一定期間にわたって一違の支払を行. う旨の約定である︒これは︑杜債の発行に伴う利子の支払︑および減債基金の設定と同程度の確定的廣務と考える−﹂. とができる︒第二に純粋賃貸借は︑賃貸会社に対して確定的た返済額を保証すると同時に︑所有権に伴う一切の責任. を免除させる点において︑契約当事老閻の関係が財務的性格を有する︒第三に賃貸会杜は︑投資の担保として︑賃貸 する資産の価値よりも︑会杜の一般的な信用度を重視するものである︒. これらの事実からみて︑資金調達方法としての賃貸借が︑その実質的内容において一般的な借入と殆んど変るとこ. ろがないにもかかわらず︑公表される財務諸表上に︑この事実が何ら表示されないということは︑極めて不当である との主張が行われるに至ったのである︒. いうまでもなく会杜の廣権者は︑その支払能力について大き危関心を有するものであり︑かかる支払能力を判定す. るべく諸種の技法が周いられるが︑伝統的な会計処理に批判的な論老は︑かかる技法の基礎となる各種の財務比率. は︑賃貸借を無視Lては信頼Lうる数値を提供することができないと主張する︒たとえぱ会杜の支払能カのうち︑特. に利子の支払能力の判定に用いられる﹁総利益対利子率﹂︵巨昌①二巨⑦富9塞昌乱︶は︑利子の支払に充当しうる金額. を︑支払うべき利子額をもって除することによって算定されるが︑この比率が高けれぱ高いほど︑利子支払に関する. 会杜の安全性はヨリ強度となる︒いまかりに︑会杜が一部の資産を購入するための借入を行う代りに賃借し︑賃借料. を金融費としてではなく︑営業費として表示するならぱ︑借入の場合と較べて︑利子の支払に充当しうる金額と︑利. 子額それ自体との両者が同一金額だけ少なくなる︒しかしながらこの場合には︑別掲の計算例にもみられるごとく︑ 純利益額には変動がないが︑﹁総利益対利子率﹂は極めて高率となる︒. この他の一般に用いられる各種の財務比率についても︑賃貸借によって調達される資金相当部分だけ︑固定資産な. 344.

(11) 153. 75,000. o與目戸ぎa. p旨ω.. 五. らびにそれと関連する負債額が貸借対照表に表示されないこととなり︑これらの. 比率に対して行われる伝統的な判断は︑極めて不確実なものとならざるを得ない︒. ﹁長期賃貸借契約にもとづく大なる金額の確定賃借料︑およびそ. かかる推判を背景として︑AICPA会計手続委員会は︑会計調査公報第三十 八号において︑. の他の︑将来満期目の到来する負廣︑ならびに長期賃貸借契約に関連して生ずる. ことのある債務は︑法人の財務諸表にもとづいて行われる諸種の判断に影響を及. ぼす重要な事実であること︑および︑財務諸表を手掛りとする人々は︑当該賃貸. 借契約が有利なものであると否とを間わず︑かかる賃貸借契約の存在およびこれ 3︶ にもとづく責任の範囲につドて知る権利があること﹂を公式に表明レ ︸﹂れを契. 辻1. ○勺>ω.Ho①H. bL墨. 機として︑貧貸借の会計処理をどのように行うべきかをめぐって︑各般の論議が. 峯︸實硯し一︺巨. たたかわされるに至ったのである︒ 注ω. 賃貸借の表示方法. 辺進訳・﹁会計研究公報・会計用語公報﹂一一七頁︒. ⑧︑>o8冒弐自的穴鶉o胃g彗︷↓o﹃邑昌−ooq汽︸邑一些毒一句一竃−向皇ま〜.︑>昌oユo彗−冨睾暮oo︷. ②. 3 2. 総利益対利子塞. 50,O00 $. $50,000 益 利 純. 25,000. 50,000. 子 利. 賃借の場合 借入の場合. 需 100,COO $. 利子支払に充当しうる 金額(減価償却費お よび賃借料控除後)…・. 賃貸借契約につき︑現金支出額をそれと関係ある期聞の費用として報告し︑将来の支払を行うべき約定は︑会計上. 345. 〔計算例〕.

(12) 346. すべて無視するという伝統的な会計処理の方法が不当であり︑これに対して何らかの改善が施こさーれるべきであると. いう主張に対しては︑殆んど異論がないと考えられている︒しかしかかる改善が︑具体的にはどのように行われるべ. 払額を表示しなげれぱならない︒﹂. 同様に賃貸借契約の具体的内容の表示を提案する調査公報によれぼ︑. いるかぎり︑これを報告しなげればたらたいo. ㈹右の事項は当該取引が発生した年度においてのみならず︑その後の年度においても︑当該金額が重要性をもって. ②当該貧貸借契約に関連して他の重大な責任が発生しまたは傑証がたされている場合にはそれらの事実︒. ωかかる賃貸借契約にもとづいて支払われるべき年々の賃借料の金額およびその支払期閻︑ならびに︑. ﹁ω財務諸表またはその注記に次の事項を表示しなげればならない︒. の他の責任が︑四囲の状況からみて金額の大なるものである場合﹂には︑次のように処理されねばならない︒. ﹁長期賃貸借契約にもとづく賃借料またはそ. にはそれも併せて−1表示しなけれぼならない︒賃借料の支払に条件が付せられている場合には︑最低限の年々の支. 料の金額をその支払期問とともに−当該賃貸借契約に関連して重大な責任が発生し重たは保証がたされている場合. ﹁長期賃貸借契約にもとづく賃借料または貸務の金額が大なる揚合には︑かかる賃貸借契約にもとづく年々の賃借. 1︶ まずSEC財務諸表準則についてみるに︑第三条一八ωにおいて次のように規定してい気. る方法である︒. している方法は︑貧貸借の完全な表示のために︑その契約内容を財務諸表あるいは注記︵自o嚢︶に︑具体的に表示す. 務諸表準則︵宛︒oq冒一頸弐︒目ω.×︶およびAICPA会計手続委員会の会計調査公報第三八号の規制によって最も一般化. きかについては︑必ずしも見解の一致はみられないところである︒最もプリミティブな方法であり︑かつSECの財. 脳.

(13) ㈲さらに︑取引が発生した年度には︑重要茂売却・螢戻し取引について︑その主要事項を表示しなければならな い︒﹂. これら二つの規制に共通する点は︑いずれ・も賃貸借契約において生ずる確定廣務および資産の使用権を︑黛借対照. 表上に負債および資産として表示し︑一方を負債合計額に合算し︑他方を資産合計額に加算することを認めておらな. いことである︒いずれにおいても︑賃貸借契約は︑注記に表示することを原則とし︑貸借対照表自体への表示を行う 副 ︵ 場合には︑摘要の域を出てはならないとされる︒かかる意味において両者は︑注記表示説と呼称することができよ ︐フo. ①企業実体の債務を認識し︑それが発生した期問に勘定および財務講表へ記録し︑それが消滅した期聞に質却すべ きであるという基本原則を侵害する︒. ②注記は︑正当な財務諾表表示に代位するものではない︒注記は必要な場合に︑財務諸表上の項目および金額を補 足し︑説明するために用いられる︒. ③注記における説明的表示は︑財務諾表の読考に不当な負担を要求し︑その評価の困難性によって︑表示を行わな かったのと 同 様 の 績 果 を 招 来 す る ︒. かかる批判から出発して︑貸借対照表表示説が提案する賃貸借の会計処理は次のように行われる︒まず賃貸借契約. が締結された時に賃借料支払義務を負債として記録する︒記録さるべき負債額は︑契約下において支払ラベき賃借料. 3{フ. 注記表示説は︑やがて賃借資産に対する使用権を資産として表示し︑それと関連する将釆の賃借料支払義務を負債 4 として表示することを主張する︑マイヤーズのいわゆる貸借対照表表示説によって批判を受げるに至った︒かかる見 到 解を支持するヘネシーにもとづいて︑その主たる論点を要約して示せぽ左記のごとくである︒. 155.

(14) 156. の総額を︑賛貸借において用いられた利率︑あるいは適当な想定利率をもって割引いた額である︒一方負債に相当す. る金額−これは賛借資産に対する使用権を表わすーを適切な科目名を付して︑資産として帳簿上に記録する︒かかる. 使用権の原価は︑賃貸借期間にわたって償却される︒かくして毎期実際に支払われる賃借料は︑その一部は利子費用 として収益に賦課され︑残額は貸借対照表上の賃借料支払義務の消却に充てられる︒. 一一七−一一八頁︒. 注渡辺進訳. 前揚書. ②. ⁝狂ω︺ 勾顯OO国宿oH戸−o目尿目;..ω向O>ooo冒旨匡冒oq勺﹃里o=oo胆目包−︑﹃ooo庄冒﹃9二↓−一Φ射o自巴︹−Oo昌O與目ぎ﹈ZoミくoユゴーΦ蜆90.N蜆〇一. び. 雪o目目o血ωき﹄oサ目−一一︑.勾ooo﹃象目閑o↓−o芭閉oC巨厨黒ざ目ωo目o元o58旦勺﹃o竈①き︸勾釘プ房−..−o目︹目巴o︷>ooo¢目一顯旨oぎ竃饒Hoチ. す. ③. 岩貧一ラト閉一. ω 旨溝轟しず巨一℃.窪.. む. ⑤ 籟g篶匝睾二雪ε勺ラ仁o−農.. 六. 以上︑極めて概略ながら︑米国において発展した資金調達方法としての賃貸借を展望し︑併せてそれが及ぼすべき. 財務上の諸影響を考察した︒またかかる発展の結果︑会社が公表する財務諾表に︑何らかの方法でこの事実を報告す. べき必要が生ずる事由を明らかにし︑さらに進んで具体的な表示方法について簡単な素描を試みた︒. 従来一般に支持されてきた表示方法は注記表示説であるが︑それが必ずしも必要とされる条件を完全に充足するも. のでないことは︑貸借対照表表示説による批判によって明らかである︒しかし貸管対照表表示説も︑未だ実務への適. 用は殊んど試みられたことがなく︑解決さるべき多くの間頻を包蔵するものと考えられる︒特に︑賛債資産に対する. 348.

(15) 157. 使用権の資産性︑および賃借料支払義務の負債性︑ならびにそれらの償却方法︑割引計算の客観性︑多様な契約内容. を有する賃貸借について︑割引計算が行われるべき賃借料部分の決定︑さらにはSEC準則の改訂を含む現行実務へ. の影響等について︑慎重な考察が行われねばたらない︒同時に童た︑本稿の解説が︑賃借会杜の側についてのみ貧貸. 借をとり上げたことは︑賃貸会杜の側についてのそれを軽視したからではない︒これらについて言及すべき機会はい ずれ与えられるものと考える︒. 349.

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参照

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