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(1)

調

____________________________________ シカゴ

●メキシコ自動車産業視察ミッションに参加して(その1)

自動車メーカーによるメキシコへの投資が相次ぐ中、自動車部品メーカーによるメキシコ への新規進出や既存工場での生産の拡大、新工場の設立も続いている。完成車、部品ともに 米国向けが大きく、各メーカーはメキシコを対米輸出向け生産拠点と位置づけている一方で、 メキシコが各国と締結する自由貿易協定(FTA)や自動車分野の通商協定を活用した新た な動きも見られる。こうしたメキシコの自動車産業の実態及びこれを取り巻く情勢の変化を 視察するジェトロ主催のメキシコ自動車産業視察ミッションが4月下旬に実施された。本ミ ッションに参加して得られた知見を中心に2回にわたり報告する。

1.メキシコ概況

メキシコの基本事情は、外務省ホームページによれば次の通りである。 人口:1億310万人(2005年10月) 面積:197万平方キロメートル(日本の5.3倍) 首都:メキシコ・シティ 民族:ヨーロッパ系と先住民の混血60%、先住民30%、ヨーロッパ系(スペイン系等)9%、 その他1% 言語:スペイン語 宗教:カトリック(約9割) 図1 メキシコミッションが訪問した州 B aja C alifo rnia B aja C alifor nia S ur Sonora Chihuahua Durango Coahuila S in aloa Zacatecas Nuevo León Tamaulipas San Luis Potosí Nayarit Jalisco Guanajuato Colima Puebla Quer étaro Hidalgo Guerrero Edo México Morelos V erac ruz Tlaxcala Michoacán Oaxaca Chiapas Yucatán Quintana Roo Tabasco Campeche D.F. ケレタロ州 メキシコ州 ヌエボ・レオン州 メキシコ・シティー B aja C alifo rnia B aja C alifor nia S ur Sonora Chihuahua Durango Coahuila S in aloa Zacatecas Nuevo León Tamaulipas San Luis Potosí Nayarit Jalisco Guanajuato Colima Puebla Quer étaro Hidalgo Guerrero Edo México Morelos V erac ruz Tlaxcala Michoacán Oaxaca Chiapas Yucatán Quintana Roo Tabasco Campeche D.F. ケレタロ州 メキシコ州 ヌエボ・レオン州 メキシコ・シティー

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1.1 経済概況1 インフレ上昇率は、中銀が目標としていた3%±1%に収まり、為替も安定している。カ ルデロン政権1年目となる2007年の成果は、将来の財政対策としての税制改革と公務員年金 改革を議会と協議して成し遂げたことである。2007年(1~9月)の実質GDP成長率を産 業分野別に見ると、製造業は停滞したが、通信・運輸・倉庫業や金融・保険・不動産などの サービスが好調に推移し、景気の原動力になった。需要面からGDPを見ると、景気の牽引 役は民間消費だった一方、財・サービスの輸出が輸入の伸びほど伸びず、GDPの押し下げ 要因となった。 表1 主要マクロ経済指標 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 GDP成長率 0.8 1.4 4.2 2.8 4.8 3.0 国民1人当たり名目GDP(億ドル) 6,433.6 6,244.4 6,585.6 7,297.6 7,593.5 8,432.8 インフレ(CPI)上昇率(%) 5.70 3.98 5.19 3.33 4.05 3.76 CETES28日物金利年末(%) 6.88 6.06 8.50 8.71 7.02 7.43 為替レート年平均(ペソ/ドル) 9.6714 10.7913 11.2871 10.8895 10.9006 10.9284 株価指数年末 6,127.09 8,795.28 12,917.88 17,802.71 26,448.32 29,536.83 外貨準備ネット残高年末 (百万ドル) 47,984 57,435 61,496 68,669 67,680 77,991 公的対外債務(百万ドル) (グロス) 78,818.1 79,023.5 79,225.8 71,674.5 54,766.3 56,241.7 (ネット) 71,528.1 73,625.6 75,713.1 65,722.5 47,247.2 35,891.3 (注)2007年のGDPは、経済政策一般基準の実績推定値より。公的対外債務は07年11月現在。 (出所)INEGI(国立統計・地理・情報庁)、IMF、大統領教書付属書、中銀、財務省より メキシコ日本商工会議所作成。 表2 産業分野別GDP(前年同期比) 2006年通年 2007年1~9月 伸び率(%) 伸び率(%) シェア(%) GDP 4.8 3.0 100.0 農牧林業・水産 4.8 3.0 4.8 興業 2.2 0.4 1.2 製造業 4.7 0.7 17.8 建設業 6.9 1.9 4.0 電気・ガス・水道 5.0 3.5 1.7 商業・レストラン・ホテル 3.7 2.3 19.5 運輸・倉庫・通信 9.1 8.1 13.4 金融・保険・不動産 5.4 4.9 16.8 社会・個人サービス 2.8 2.0 16.7 (出所)財務省、INEGI発表値(07年11月16日付) 1 本項は、メキシコ日本商工会議所調査統計委員会2007年度年報を参照。

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1.2 貿易概況2 メキシコ中央銀行によると、2006年の輸出は前年比16.7%増の2,499億9,720万ドル、輸入 は同15.5%増の2,561億3,040万ドルとなっている。 輸出については、全体の8割を占める製造業において、自動車・同部品、電気・電子機器 がともに20%前後の増加となった。液晶・プラズマなどのフラットパネル型テレビが電気・ 電気機器の輸出を大きく押し上げた。主要国・地域別に見ると、8割強を占める米国が前年 比15.4%増となった。原油、フラットパネル型テレビ、乗用車の輸出増加が寄与した。コロ ンビア、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、チリなどの南米諸国も好調だった。アルゼ ンチン、ブラジルへの自動車輸出は、メキシコ-メルコスール(南米南部共同市場)自動車 協定の効果も寄与し、大きく拡大した。 輸入については、電気・電子機器や自動車の輸出が好調だったため、その部品・原材料の 輸入や、機械・設備などの資本財の輸入も増加した。主要国・地域別に見ると、最大の輸入 相手国である米国の伸びが10.0%にとどまり、対米輸入シェアも前年の53.4%から50.9%に 縮小した。一方、対前年比38.1%増となった中国が、AV機器向けモジュール部品、コンピ ュータ及び同ユニット部品、携帯電話、集積回路などを主たる牽引役として、シェアを拡大 した。 表3 メキシコの主要品目別輸出入 (単位:10億ドル、%) 輸出 輸入 05 年 06 年 05 年 06 年 金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率 輸出総額 214.2 250.0 100.0 16.7 輸入総額 221.9 256.1 100.0 15.5 農林業 4.9 5.6 2.2 13.5 鉱業 18.1 21.7 8.5 19.9 牧畜・水産業 1.1 1.2 0.5 16.6 農林業 6.0 6.9 2.7 15.5 鉱業 33.1 10.3 16.1 22.0 製造業 197.4 227.1 88.7 15.1 製造業 175.2 202.8 81.1 15.8 (うちマキドーラ) 74.9 86.3 33.7 15.2 (うちマキドーラ) 97.4 111.8 44.7 14.8 繊維・アパレル・皮革 10.7 10.6 4.1 -1.0 自動車 45.8 53.1 21.2 16.0 (うちマキドーラ) 5.2 4.7 1.8 -9.6 (うちマキドーラ) 14.2 15.3 6.1 7.7 金属製品機械機器 118.1 136.9 53.5 15.9 電気・電子機器 46.5 56.3 22.5 21.1 (うちマキドーラ) 50.4 60.2 23.5 19.4 (うちマキドーラ) 41.1 50.1 20.1 22.1 自動車・同部品 27.8 31.1 12.2 12.7 カラーテレビ 10.2 16.3 6.5 59.6 (うちマキドーラ) 2.6 3.4 1.3 28.9 (うちマキドーラ) 5.9 11.4 4.6 93.4 産業用機械機器 32.7 36.3 14.2 11.0 (うちマキドーラ) 10.9 11.0 4.3 1.0 電気・電子機器 47.7 55.9 21.8 17.4 (うちマキドーラ) 33.3 39.8 15.5 19.6 (注)2006年は暫定値。マキドーラは、当該産業における保税加工プログラムの輸出入。 (出所)中銀 2 本項は、ジェトロ貿易投資白書(2007年度版)を参照。

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表4 メキシコの主要国・地域別輸出入 (単位:100万ドル、%) 輸出 輸入 2005年 2006年 2005年 2006年 金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率 米国 183,563 211,871 84.7 15.4 118,547 130,383 50.9 10.0 カナダ 4,234 5,176 2.1 22.2 6,169 7,376 2.9 19.6 ブラジル 890 1,147 0.5 28.9 5,214 5,558 2.2 6.6 コロンビア 1,548 2,132 0.9 37.7 675 744 0.3 10.2 チリ 668 905 0.4 3.5 1,754 2,470 1.0 40.8 ベネズエラ 1,289 1,783 0.7 38.3 783 980 0.4 25.2 中国 1,136 1,688 0.7 48.6 17,696 24,438 9.5 38.1 韓国 250 464 0.2 85.6 6,566 10,676 4.2 62.6 日本 1,470 1,594 0.6 8.4 13,078 15,295 6.0 17.0 マレーシア 54 100 0.0 85.2 3,658 4,474 1.7 22.3 シンガポール 327 254 0.1 △ 22.3 2,226 1,955 0.8 △ 12.2 タイ 98 118 0.0 20.4 1,558 1,784 0.7 14.5 台湾 200 441 0.2 120.5 4,066 4,974 1.9 22.3 EU25 9,144 11,009 4.4 20.4 25,982 29,012 11.3 11.7 ドイツ 2,289 2,973 1.2 29.9 8,670 9,437 3.7 8.8 スペイン 2,954 3,270 1.3 10.7 3,325 3,638 1.4 9.4 フランス 373 556 0.2 49.1 2,565 2,662 1.0 3.8 イタリア 195 267 0.1 36.9 3,498 4,109 1.6 17.5 英国 1,188 925 0.4 △ 22.1 1,866 2,140 0.8 14.7 合計(その他含む) 214,233 249,997 100.0 16.7 221,820 256,130 100.0 15.5 (注)2006年は暫定値。 (出所)中銀 1.3 メキシコのFTA網3 (1)FTA締結状況 メキシコは、1994年のNAFTA締結を皮切りにFTAを積極的に推進し、北米、中南米 9カ国、EU、日本など44カ国と12協定を結んでいる。この他、ペルー、韓国などとの交渉 が進んでいる。 しかしながら、産業界を中心にこれ以上のFTAは不要との考え方が広まっている。FT Aにより輸入超過となったケースがあることや、輸出の大半が米国向けという状況に変化が ないことなど、FTA活用が不十分という認識があり、新たなFTAよりも国内産業育成策 を充実させて競争力を強化すべきとの声が強い。 3 本項は、メキシコ日本商工会議所調査統計委員会 2007 年度年報を参照。

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表5 メキシコのFTA締結状況 協定 締結相手国 発行年月 NAFTA 米国、カナダ 1994年1月 G3 コロンビア、(ベネズエラ:2006年11月脱退) 1995年1月 コスタリカ コスタリカ 1995年1月 ボリビア ボリビア 1995年1月 ニカラグア ニカラグア 1998年7月 チリ チリ 1999年8月 イスラエル イスラエル 2000年7月 ドイツ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、 スペイン、フィンランド、フランス、ギリシャ、 オランダ、アイルランド、イタリア、ルクセンブ ルグ、ポルトガル、英国、スウェーデン、 2000年7月 キプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラ トビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロ バキア、スロベニア 2004年5月 EU ブルガリア、ルーマニア 2007年1月 グアテマラ、エルサルバドル 2001年3月 中米北部 ホンジュラス 2001年6月 EFTA アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシ ュタイン 2001年7月 ウルグアイ ウルグアイ 2004年7月 日墨経済連携協定 日本 2005年4月 (出所)メキシコ経済省 (2)日墨EPA発効後の動向 2005年度のメキシコの対日輸入は、前年度比24.1%増となり、メキシコの全世界からの輸 入伸び率(14.1%)を大きく上回った。2006年度も同13.1%増となり、世界平均(12.8%) を上回っている。対日輸出も、2005年度に15.8%増、2006年度に9.8%増となり、全世界から の輸入伸び率(順に13.5%増、9.5%増)を上回っている。資源価格高騰などの要因もあるが、 日墨EPAが貿易拡大の一因であると考えられる。 自動車における日墨EPA効果は顕著であり、日本自動車工業会によれば、2006年度の日 本製完成車の対メキシコ輸出が対前年度比23.6%増の10万529台となり、10万台を突破した。 日墨EPAが新たな関税割当を設けたことにより、メキシコ現地生産を行っていない日本企 業にメキシコ市場参入の道が開かれ、日系自動車メーカー8社の国内販売は、2.6%増の37 万5,975台となり、国内販売シェア34.2%を占めるに至った。 また、関税が即時撤廃された品目においても、日墨EPA効果が目立ち、フォークリフト、 NCひざ形フライス盤、半自動NCタレット旋盤など2~10割増となっており、産業機械類 の輸入が増加している。ステアリング部品、サスペンション部品などの自動車部品、オート バイなどの輸入も増加している。

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図2 日本-メキシコ貿易額の推移 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 年度 百万ド ル メキシコ→日本 日本→メキシコ (出所)財務省貿易統計(通関ベース)、メキシコ経済省通関統計よりジェトロ作成 対メキシコ投資については、2007年に、ハンドル部品、アルミダイキャスト、排ガス浄化 用特殊セラミックスなどの製造業分野で投資が行われ、また、EPA活用も視野に入れた工 作機械の販売法人設立などの投資事例が見られた。投資拡大が顕著な自動車産業においては、 完成車生産を行う日産、ホンダ、トヨタの3社の拡張投資が相次いで発表されたほか、日系 自動車部品メーカーの投資も増加した。これらの投資の多くは、北米における生産拠点とし てのメキシコの重要性を踏まえたものであるが、日墨EPAの締結がメキシコにおける事業 の法的安定性を高め、将来的な対日関税撤廃やビジネス環境改善に対する期待も相まって、 投資家に対して心理的な効果を与えていると見られている。 1.4 メキシコの税務・会計制度 阿達謙一会計士(PwCメキシコシティー事務所) メキシコには、現在、公認会計士8千人、会計士補1万2千人の計約2万人が登録されて いる。 メキシコには、財務諸表監査、税務監査がそれぞれ法定または任意であり、前年度につい て収入約3,047万ペス以上、総資産約6,094万ペソ以上、社員300名以上のいずれかを満たす場 合には、法定税務監査が必要となる。この他、IMSS(社会保険)監査があり、社員300 名以上の場合には法定監査となるほか、州税監査もある。 メキシコの会計制度は、国際会計基準への整合を図る方向で改正が進んでいる。2008年改 正により、3年間で26%以上のインフレがあった場合には、インフレ会計を行う必要がある。 税金には、企業単一税(IETU)、付加価値税(IVA)、所得税(ISR)、現金預金課 税(IDE)などがある。IETUの税率は、2008年は16.5%であるが、2009年17.0%、2010 年17.5%と引き上げられる。IETUは、現金ベースの収入から現金ベースでの支払い額が 控除されて、課税ベースとなる、すなわち、利益ではなくキャッシュベースでの課税となる のが特徴であり、税額が明確に決まる。IVAも同様にキャッシュベースでの課税となり、 税率は最大15%である。IVAは28%、IDEは、2008年7月から導入されるもので、2% の税率である。

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従業員に対する利益分配制度であるPTUは、利益の10%を従業員に分配するよう所得税 法等で規定されており、社長及び取締役以外で60日以上働いた人が権利を有する。PTU額 が確定した後、各自の就業日数と各自の給与額から分配されるが、非組合員の分配額は組合 員の分配額により制限されることがある。また、離職した元社員にも1年間権利が与えられ ているので、追跡が必要となる。 1.5 労働法と雇用慣行における注意点 野崎智久弁護士(滝本法律事務所) メキシコは、歴史的に大きな所得格差と貧困問題が解決されておらず、所得差から来る階 級意識が根強い。 労働法は、1931年に連邦法として整備されて以来、累次の改正を経てきたが、現在、労働 関係の流動性を著しく阻害し、企業競争力低迷の原因ともなっており、現代化の必要性が指 摘されている。 (1)雇用について 法令上の疑義が生じた場合には、労働者に有利な解釈が適用され、雇用主側に立証責任が ある。労働者の保護が原則である。 外国人の雇用比率は、メキシコ人90%に対して10%までである。ただし、役員は含まない。 雇用契約書がなくとも指揮命令権と服従義務がある場合には、雇用関係が成立していると 見なされる。エージェント契約等を交わす際には留意が必要である。 雇用契約書は、職務の内容を明確化するため、必ず作成署名すべきである。雇用契約は、 原則無期限である。臨時雇用は可能であるが、条件が厳しい。試用期間も原則認められてい ない。 従業員の退職は、自発退職、懲戒解雇、会社都合による解雇の主に3つがある。会社都合 により退職させる場合には不当解雇と見なされ、勤続年数に応じて高額の補償金を支払わな ければならない。具体的には、給与3カ月分及び勤続1年につき20日分が退職補償金となる。 会社に損害を及ぼすような行為は、中堅以上のメキシコ人管理職層に多い。長年勤務し、 信頼していた者から裏切られることが多いので、注意すべきである。 就業時間は、実働時間ではなく使用者の待命下にある時間を指し、1日8時間、週48時間 である。残業は、1日3時間、週3回を超えてはならない。残業代は、週9時間以内で100% 増し、9時間以上で200%増しとなる。 賃金は、肉体労働者は1週間毎、ホワイトカラーは15日毎に支給される。一般最低賃金は、 現在、Aゾーン52.59ペソ、Bゾーン50.96ペソ、Cゾーン49.50ペソであり、専門職は別に規 定がある。また、減給は、労働時間の大幅な短縮等の理由がない限りは困難であり、減給さ れた従業員は、退職補償金を受けて退職する権利を有する。 定年は、法律上も慣習上もなく、会社都合による解雇と同じ退職補償金を支払う。 (2)労働組合について 労働組合は、職種別、企業別、産業別、全国的産業別、多様職種別に分けられ、連合や総 連合を形成することが認められている。組合は、20名以上で結成が可能であり、1企業に20 名いなくても他者の労働者と組合結成することができる。組合は、法人格を有し、様々な権 利行使が可能。非課税団体であるため、組合幹部が私腹を肥やすことに専念していると言わ

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れている。 労働協約は、組合の要求により締結する義務が生じる。労働協約は福利厚生が主体である。 2年ごとに全面改訂し、賃金条項は毎年見直す。 労働争議を避ける対応策として、御用組合の活用が挙げられる。御用組合と会社が結託し て防御のための労働協約を締結する。労働調停仲裁委員会へ労働協約を登録することによっ て、他の組合からの干渉を排除する。但し、過半数の労働者で御用組合の排除が可能である 点に注意が必要である。 また、組合幹部との良好な関係の構築、職場でのコミュニケーションの強化や各種インセ ンティブの活用、有能な労務管理者の採用、外注化や人材派遣会社の活用なども、労働争議 を避ける対応として挙げられる。

2.メキシコ自動車産業

2.1 メキシコ自動車・同部品産業の概況4 経済省によると、自動車産業は2006年にGDPの5.4%、製造業GDPの16.7%、製造業雇 用の13.4%、輸出額の21.4%を占める。2007年の自動車生産台数は、200万台を突破し、過去 最高を記録した。 メキシコで生産を行っているメーカーは、デトロイト3、フォルクスワーゲンと日本の日 産、ホンダ、トヨタの7社である。各社により輸出比率は異なるが、概ね北米向けを中心とし た輸出生産拠点としてメキシコを活用している。完成車の輸出先としては、北米が80.1%を 占め、欧州12.1%、南米5.8%と続く。2007年は米国の景気低迷により、北米向け輸出が4.2% 減少したが、欧州向けが58.5%増、南米向けが72.5%増と大きく伸びている。 図3 自動車の国内販売、国内生産及び輸出の推移 0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 国内販売 国内生産 輸出 (台) 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 07/06 国内販売 977,557 977,914 1,095,796 1,131,768 1,139,718 1,099,866 △ 3.5 国内生産 1,774,370 1,540,565 1,507,175 1,607,376 1,978,771 2,022,241 2.2 輸出 1,311,493 1,170,147 1,094,831 1,186,346 1,536,768 1,613,313 5.0 0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 国内販売 国内生産 輸出 (台) 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 07/06 国内販売 977,557 977,914 1,095,796 1,131,768 1,139,718 1,099,866 △ 3.5 国内生産 1,774,370 1,540,565 1,507,175 1,607,376 1,978,771 2,022,241 2.2 輸出 1,311,493 1,170,147 1,094,831 1,186,346 1,536,768 1,613,313 5.0 (注)大型バス・トラック除く。ただしGMのみ大型トラック(2,794台/2007)含む。 (出所)メキシコ自動車工業会 4 本項は、ジェトロ・メキシコ資料及びメキシコ日本商工会議所調査統計委員会2007年度年報を参照。

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表6 メーカー別自動車生産・販売台数 (単位:台、%) 企業名 輸出 輸入 2005年 2006年 2005年 2006年 金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率 日産 408,439 498,288 24.6 22.0 228,315 214,121 19.5 △ 6.2 GM 502,544 467,667 23.1 △ 6.9 245,090 230,402 20.9 △ 6.0 VW 347,020 409,566 20.3 18.0 159,149 153,836 14.0 △ 3.3 フォード 349,910 304,137 15.0 △ 13.1 186,605 156,613 14.2 △ 16.1 クライスラー 313,387 283,960 14.0 △ 9.4 128446 128541 11.7 0.1 トヨタ 33,209 32,249 1.6 △ 2.9 60,088 66,208 6.0 10.2 ホンダ 24,262 26,374 1.3 8.7 49,102 54,802 5.0 11.6 三菱自動車 0 0 0.0 - 16,751 17,666 1.6 5.5 マツダ 0 0 0.0 - 7,495 16,604 1.5 121.5 スズキ 0 0 0.0 - 4,413 5,700 0.5 29.2 スバル 0 0 0.0 - 308 703 0.1 128.2 いすゞ 0 0 0.0 - 0 171 0.0 -その他 0 0 0.0 - 53,956 54,499 5.0 1.0 日系企業合計 465,910 556,911 27.5 19.5 366,472 375,975 34.2 2.6 合計 1,978,771 2,022,241 100.0 2.2 1,139,718 1,099,866 100.0 △ 3.5 (注)販売は系列ブランドの販売台数を含む。いすゞの販売台数はELF350のみ。 (出所)メキシコ自動車工業会 自動車産業への外国直接投資が盛んであり、フォードは、2007年2月よりメキシコ州にて 中型クラスのトラック生産を新たに開始した。クライスラーは、5億7千万ドルを投資して V-6エンジンの工場をコアウイラ州に新設すると2007年6月に発表した。GMは、2007年 11月コアウイラ州にてハイブリッド車の生産を開始すると発表した。中国の第一汽車集団(F AWグループ)は、2007年11月、ミチョアカン州にて2010年から自動車生産を開始すると発 表した。投資総額は1億5千万ドルを予定しており、この他にも中国メーカー2社の進出計 画が報道されている。

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図4 完成車メーカーの工場立地

完成車メーカーの工場立地

Toyota

Tijuana, Baja California Production : Tacoma Pick-up Est: 2002 Toyota

Tijuana, Baja California Production : Tacoma Pick-up Est: 2002

Ford Hermosillo, Sonora

Production : Fusion, Milan Lincoln MKZ Est: 1986 Chihuahua Engine plant Est.: 1983 Cuautitlán, EdoMex

Fiesta Ikon & Trucks Est. 1970 Ford Hermosillo, Sonora

Production : Fusion, Milan Lincoln MKZ Est: 1986 Chihuahua Engine plant Est.: 1983 Cuautitlán, EdoMex

Fiesta Ikon & Trucks Est. 1970

General Motors Ramos Arizpe., Coahuila

Production: Captiva SUV, HHR Chevy (subcompact), Rendesvous Saturn Vue (announced Captiva Hybrid) San Luis Potosi

New Plant for compact cars Silao, Guanajuato

Production: Suburban, Avalanche Cadillac Escalade

Est.: 1994 Toluca, Edo Mex

Engines & Trucks Est 1963 General Motors Ramos Arizpe., Coahuila

Production: Captiva SUV, HHR Chevy (subcompact), Rendesvous Saturn Vue (announced Captiva Hybrid)

San Luis Potosi New Plant for compact cars

Silao, Guanajuato

Production: Suburban, Avalanche Cadillac Escalade

Est.: 1994 Toluca, Edo Mex

Engines & Trucks Est 1963

Nissan Aguascalientes, Ags.

Production: Tiida/Versa, Sentra, Renault Clio, Platina & Engines Est.: 1992 Cuernavaca, Civac

Production: Tiida, Tsuru, Pick-up

Est.: 1966 Nissan Aguascalientes, Ags.

Production: Tiida/Versa, Sentra, Renault Clio, Platina & Engines Est.: 1992 Cuernavaca, Civac

Production: Tiida, Tsuru, Pick-up

Est.: 1966 Honda

El Salto, Jal. (Guadalajara) Production: CR-V (SUV) Est.: 1985 (car mfg. since 1994) Honda

El Salto, Jal. (Guadalajara) Production: CR-V (SUV) Est.: 1985 (car mfg. since 1994) Volkswagen Puebla, Puebla Production: Bora/Jetta, New Beetle, Jetta A4 Est. 1965 Volkswagen

Puebla, Puebla Production: Bora/Jetta, New Beetle, Jetta A4 Est. 1965

Chrysler Ramos Arizpe, Coahuila

Production: Engines Est.: 1982 Derramadero, Coahuila

Production: Pick-up Est.: 1995

New Engine plant (2007) Toluca, Edo Mex.

Production: PT Cruiser Journey (2008) Est.: 1968 Chrysler Ramos Arizpe, Coahuila

Production: Engines Est.: 1982 Derramadero, Coahuila

Production: Pick-up Est.: 1995

New Engine plant (2007)

Toluca, Edo Mex. Production: PT Cruiser Journey (2008) Est.: 1968 新規投資計画発表 FAW (第一汽車) Michoacán State Start Production : 2010 新規投資計画発表 FAW (第一汽車) Michoacán State Start Production : 2010 46 7, 6 67 台 28 3, 960 台 32 ,2 49 台 304 ,137 台 49 8, 288 台 26 ,3 74 台 40 9, 566 台 To ta l c ar s p ro d u ced i n 2 007 2, 02 2, 241 B aja C alifor nia B aja C aliforn ia S ur Sonora Chihuahua Durango Coahuila S in aloa Zacatecas Nuevo León Tamaulipas San Luis Potosí Nayarit Jalisco Aguascalientes Guanajuato Querétaro Michoacán Colima Guerrero Puebla Edo México Hidalgo Morelos V era cruz (出所)ジェトロ・メキシコ資料(2008年1月) 図5 トラック・バスメーカーの工場立地

トラック・バス・メーカーの工場立地

International (Trucks)

Escobedo Nuevo León Est.: 1998

International (Trucks)

Escobedo Nuevo León Est.: 1998

Mercedes Benz (Buses) Freightliner (Trucks)

Tianguistenco, Edo Mex Est.: 1971

Mercedes Benz (Buses) Freightliner (Trucks)

Tianguistenco, Edo Mex Est.: 1971

Freightliner (Buses)

García, Nuevo León Est.: 1994

Freightliner (Buses)

García, Nuevo León Est.: 1994 Kenworth Mexicali, B.C. Est.: 1959 Kenworth Mexicali, B.C. Est.: 1959 Scania Querétaro Est.: 1995 Scania Querétaro Est.: 1995 Volvo (Buses)

Tultitlán, Edo Mex Est.: 1998

Volvo (Buses)

Tultitlán, Edo Mex Est.: 1998

GM (Trucks)

Toluca, Edo Mex

GM (Trucks)

Toluca, Edo Mex

Omnibus Integrales (Buses)

Aguascalientes

Omnibus Integrales (Buses)

Aguascalientes MAN (Buses)

Querétaro, Qro. MAN (Buses) Querétaro, Qro. 3 1,0 17* 50 5 9 4 52 9 14 3 14 ,2 24 2, 79 4 32 ,5 45 Ford (Trucks)

Cuautitlán, Edo Mex Est.: 1970

Ford (Trucks)

Cuautitlán, Edo Mex

Est.: 1970 2,92 8 To ta l P roduc tion i n 2 007: 8 6, 342 B aja C alif orn ia B aja C alif orn ia S ur Sonora Chihuahua Durango Coahuila S in aloa Zacatecas Nuevo León Tamaulipas San Luis Potosí Nayarit Jalisco Guanajuato Colima Puebla Querétaro Hidalgo Guerrero Edo México Morelos V era cruz Tlaxcala Michoacán Oaxaca Chiapas Yucatán Quintana Roo Tabasco Campeche VW (Trucks)

Puebla, Edo Mex Est.: 2004

VW (Trucks)

Puebla, Edo Mex

Est.: 2004 1,56 3 * (出所)ジェトロ・メキシコ資料(2008年1月) メキシコ自動車部品工業会によれば、自動車部品メーカーは約1,000社あり、そのうち地場 企業は約3割である。ティア1サプライヤーは、345社あり、ほとんどが外資である。

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自動車部品の生産は、完成車の生産拡大に牽引されて増加している。2007年1~10月の自 動車部品生産額は、前年同期比9.4%増の239.7億ドルとなった。トランスミッション関連、 車体部品、電気系統などの生産が伸びている。 図6 自動車部品生産額の推移 (単位:百万ドル) 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年1-10月 (出所)メキシコ自動車部品工業会 表7 自動車部品の用途別生産額 (単位:百万ドル、%) 2005年 2006年 伸び率 シェア 国内向け生産額 10,366 10,904 5.2 41.7 完成車メーカー向け 7,049 7,524 6.7 28.8 アフターマーケット 3,317 3,380 1.9 12.9 輸出額 13,167 15,217 15.6 58.3 合計 23,533 26,121 11.0 100.0 (出所)メキシコ自動車部品工業会

参照

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