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細菌が多剤に耐性を示す場合、薬剤排出ポンプが関係することがある

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Academic year: 2021

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氏 名 授 与 し た 学 位 専攻分野の名称 学 位 授 与 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文の題目 論 文 審 査 委 員

小﨑 弘貴 博 士 歯 学

博甲第5695号 平成30年3月23日

医歯薬学総合研究科社会環境生命科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

非結核性抗酸菌の薬剤排出能に関する検討

髙柴 正悟 教授 岡元 邦彰 教授 稲葉 裕明 准教授

学位論文内容の要旨

【緒言】

近年、非結核性抗酸菌(non-tuberculous mycobacteria: NTM)による感染症は増加している。非結核性 抗酸菌症(NTM 症)は日和見感染症のように発症することが多いが、多くの抗結核薬に抵抗性を示 すことや、治療に結核症よりも長期間を有することから問題となっている。さらに薬剤耐性株の存在 や、感受性試験の結果と治療効果が相関しない乖離症例が散見されることで、NTM 症の標準治療法 の確立を困難にしている。NTM 症は肺に症状を現すことが多いが、顎顔面領域にも症状を呈するこ とがあり、歯科領域においても無視できない疾患である。ところでNTMが多剤に対して感受性が低 い機構は明らかではない。細菌が多剤に耐性を示す場合、薬剤排出ポンプが関係することがある。そ のため、NTM の薬剤耐性における薬剤の取込み能と排出能の関与を明らかにすることを目的とし、

エチジウムブロマイド(ethidium bromide: EtBr)を用いてNTM臨床分離株の薬剤取込み能と排出能を 評価することを試みた。

【材料・方法】

1. 供試菌株

独立行政法人国立病院機構刀根山病院において肺Mycobacterium avium complex(MAC)症と診断され た患者から分離された、M. avium 9株(OCU855、OCU 867、OCU 873、OCU 881、OCU 889、S1、S2、

S3、S8)とM. intracellulare 1株(OCU 963)の計10株を実験に供した。OCU 855、OCU 867、OCU 873、OCU 881、OCU 889、およびOCU 963は病態が進行型の患者由来で、S1、S2、S3、S8は病態が 安定型の患者由来であった。またM. avium subsp hominissuis(MAH)104株を対照株として用いた。

2. 薬剤取込み実験

供試菌液にEtBrを終濃度5 µg/mLとなるように添加し、その蛍光強度の変化を経時的に測定するこ とで行った。なお、測定開始時における菌数は0.5×107個/mLとなるように調整した。また蛍光測定 の励起波長は510 nm、測定波長は590 nmとした。

3. 薬剤排出実験

はじめに0.5×107個/mLの供試菌液0.8 mLに終濃度5 µg/mLとなるようにEtBrを添加し、4時間曝 露させることによってEtBrを菌体に取り込ませた。その後、遠心分離を行うことにより培地を除き、

(2)

菌体をグルコース溶液(終濃度 0.4%)に再懸濁し、EtBr 非存在下において蛍光強度の変化を経時的 に測定した。なお、励起波長と測定波長は薬剤取込み実験と同じとした。

4. 薬剤取込みと薬剤排出における各タイプの排出ポンプの関与

4種類の薬剤排出ポンプ阻害剤(efflux pump inhibitor; EPI)、Reserpine、Verapamil、Carbonyl cianide m-chlorophenyl hydrazine (CCCP)、およびChlorpromazine (CPZ)を用いて上記の薬剤取込み実験と薬剤 排出実験を行った。EPIの濃度は既報に従った。

5. 統計処理

データの処理には統計ソフトRを使用し、株間のRFU比較及び各株内におけるEPI使用群との比

較にはSteel 法を用いた。進行型と安定型の二群間の比較には、Wilcoxonの順位和検定(マン・ホイ

ットニーのU検定)を行った。どちらの検定においても有意水準は5%とした。

【結果】

1. 薬剤取込み実験

測定開始2時間後において比較したところ、OCU 873、OCU 881、およびOCU 889の3株が、標準株 に対して有意に低いEtBrの集積を示した。

2. 薬剤排出実験

測定開始2時間後において比較したところ、OCU 855とOCU 963株の2株が、標準株に対して有意 に高い排出を示した。一方、OCU 873、OCU 881、およびS2の3株が、標準株に対して有意に低い排 出を示した。

3. EtBrの取込みと排出に関与する薬剤排出ポンプの同定

いずれの EPIも株間で明らかな違いは認められなかった。Reserpine、Verapamil は各株の薬剤取込み と薬剤排出を顕著には変化させなかった。しかし、CCCPは供試菌株の薬剤の排出を顕著に低下させ、

また菌体内における EtBrの量を顕著に増加させた。CPZ は数株に対して薬剤取込みを有意に低下さ せ、排出を有意に亢進させた。

【考察】

各株におけるEtBrの取込みおよび排出動態は株間で異なり、また進行型患者由来株と安定型患者由 来株の間に有意な差はなかった。特徴的な動態を示す株が存在し、薬剤の取込みと排出の結果から、

OCU 873とOCU 881は薬剤の取込み能と排出能の両者が低い株、OCU 855とOCU 963は取込み能は 標準株と変わらないが排出能は顕著に高い株、OCU 889株は排出能は標準株と変わらないが取込み能 は低い株と推測され、いずれも菌体内の薬剤蓄積量が少ないことが示唆された。これらの株はいずれ も進行型の患者由来であるという興味深い結果となった。EPIを使用した実験結果から、MACにおい ては薬剤の菌体内外の輸送に複数の装置が関与していることが示唆された。

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論文審査結果の要旨

参照

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