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層間光誘起電子移動反応と外部電場効果 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 伊 東    孝

     学 位 論 文 題 名 LB 配向分 子膜系に おける

層間光誘起電子移動反応と外部電場効果 学位論文内容の要旨

   分子配列系における光誘起電子移動反応の研究およびその反応を何らかの外部摂動 によって制御することに関する研究は、光化学反応;を利用した光機能材料の開発や光 化学反応機構の基礎的な理解を得るうえで重要である。とくに電子供与体分子 (D) と受容体分子(心を一定の配向と距離をもって配列させた配向分子膜を用いて、光 誘起電子移動反応の電場効果を調べその機構を明らかにすることは、化学反応と外部 電場との関係を―般的な立場から明らかにするとともに、実際的な光機能性材料の設 計に結びっくので大きな意義がある。この問題はまた、植物の光合成反応中心におけ る超高速・高効率電子移動反応が、種々の色素分子の特定の配列構造の中で起こり、

周囲の蛋白分子から生ずる局所電場に依存していることとの関連を明らかにするうえ でも重要である。

   本研究は、分子間の距離と配向を制御した配向分子膜における光誘起電子移動反応 の 特 性 と そ の 反 応 に 対 す る 電 場 効 果 に つ い て 明 ら か に し た 研 究 で あ る 。    第 1 章は、本論文の序論として、本研究の目的と意義、実験方法の原理と方法、す なわちラングミュア・プ口ジェット(LB )法を用いた分子配向膜の構造と作成方法、

電 場変 調 吸 収お よ び螢 光 ス ペク ト ルの 実 験 方法 と その 原 理 につ いて述 べた。

   第 2 章では、吸収・螢光スベクトルに対する電場効果に関して、他の研究者によっ てこれまでに行われてきた研究を概括し要約するとともに、本研究において観測した 電場変調吸収スペクトルや電場変調螢光スペクトルの解析にあたって考慮したシュタ ルクシフトの基礎的な説明を述べた。

   第 3 章でi ま、電子供与体として働く螢光性色素オキサカルポシアこン (OCC) を脂 肪酸との混合LB 膜として累積したときの,吸収、螢光特性およびその電場効果につ いて述べた。混合 LB 膜中の OCC は、濃度が増すとともに吸収スペクトルが変化し、

高濃度では二量体を形成し、通常の螢光および電場変調螢光スペクトルがいずれも単 量体のものとはまったく異なることが明らかにされた。

   第 4 章で は、 OCC 混合 LB 膜の上に、スベーサーを介して、電子受容体として働く

(2)

ピ オ ロー ゲ ン くVIO) 混 合 膜を 累 積 した 多 層膜 を 作 成し 、 光励 起 さ れた OCC から VIO への眉間電子移動反応とその電場効果について述べた。電場を印加する方向によっ て電子移動反応が促進あるいは抑制されることがわかり、分子配列系では電場により 電子移動反応が制御できることが明らかとなった。

   第 5 章では、 上記のLB 多 層膜にお しゝて、 D 層とA 層の中間に長さの異なる種々の 脂 肪 酸 、 す な わ ち バ ル ミ チ ン 酸 (23 A) , ステ ア リ ン酸 (2sA ) ,ア ラ キ ン酸 ( 27A) , ベ ヘ ン 酸 (29A ) を 挿 入 す る こ と に よ り D − A 眉 間 距 離 を 変 化 さ せ 、 電子移動反応の電場効果に対する距離依存性について述べた。外部電場が反応のポテ ン シャル偉 壁に影響を及ぽしていることが示され、固体膜中の電子移動カ骭トンネ リング桟繍薛によって起こっていることを明らかにした。

   第 6 章では、 OCC 混合LB 膜へ の光照射 において みられる 不可逆的な 光化学変化に ついて述べた。強い光照射の下では吸収および螢光スベクトルに変化が起こり、これ は OCC 二量体か ら単量体 への変化 さらに単 量体の光分解に至る光化学反応であるこ とを明らかにした。

   第7 章では、本研究の総括および結論を述ぺた。本研究の結論として、固体膜中の

光誘起電子移動反応は量子トンネリング機構による反応であり、外部電場は反応ポテ

ンシャル障壁の高さを変える作用をもっていることがわかり、電子移動反応は電場の

向きと大きさによって制御できることが明らかとなった。これは配向分子膜における

光誘起電子移動とその外部電場を利用することにより,光スイッチング等の光機能材

料素子ができることを示唆している。

(3)

学位論文審査の要旨 主査   教授

副査   教授 副査   教授 副査   教授

山崎 市川 小笠原 太田

学 位 論 文 題 名

    巌 恒樹 正明

信廣(電 子科学研究所)

    LB 配 向 分 子 膜 系 に お け る 層間光誘起電子移動反応と外部電場効果

  分子配列系における光誘起電子移動反応の研究およびその反応を何らかの外部摂動によっ て制御することに関する研究は、うM匕学反応を利用した光機能材料の開発や光イ匕学反応機繍蒔 の基礎的 な理解 を得るう えで重 要である 。とく に電子供 与体分子(Dと受容体分子(A)を 一定の配向と距離をもって配列させた配向分子膜を用いて、光誘起電子移動反応の電場効果 を調べその機構を明らかにすることは、化学反応と外部電場との関係を―般的な立場から明 らかにするとともに、実際的な光機能´陸材料の設計に結びっくので大きな意義がある。この 問題はまた、植物の光合成反応中心における超高速・高効率電子移動反応が、種々の色素分 子の特定の配列構造の中で起こり、周囲の蛋白分子から生ずる局所電場に依存していること との関連を明らかにするうえでも重要である。

  本研究は、分子間の距離と配向を制御した配向分子膜における光誘起電子移動反応の特陸 とその反応に対する電場効果について明らかにした研究である。配向分子膜としてラングミュ ア・ブ口 ジェッ ト(L B)多層膜を用い、分子膜の両面に金属薄膜電極を蒸着した試料につ いて、電場変調吸収および蛍光スペクトルを測定し、そこに現われるシュタルクシフトの解 析に基づいて電子移動反応の電場効果の特陸を明らかにした。またピコ秒時間分解螢光スペ クトルと減衰曲線の解析によってLB膜中の分子分散状態と会合体形成についても明らかに した。本研究の成果は次のように要約される。

(1) 電子供 与体として働く蛍光陸色素オキサカルボシアニン(OCC)を脂肪酸との混合LB 膜として累積したとき、OCC濃度が増すとともに吸収スベクトルが変化し、高濃度では二量 体が形成され、通常の蛍光および電場変調螢光スペクトルがいずれも単量体のものとはまっ たく異なることが見い出され、二量体では電気双極子モーヌントが著しく増すことを明らか

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(4)

にした。

  (2)OCC混 合LB膜 の 上 に 、 ス ペ ー サ ー を 介 し て 、 電 子 受 容 体 と し て 働 く ピ オ ロ ー ゲ ン (VIO)混 合 膜 を 累 積 し た 多 層 膜 を 作 成 し 、 光 励 起 さ れ たOCCか らVIOへ の 層 間 電 子 移 動 反 応と その 電場 効果 に つい て調 べ、 電場 を 印加 する 方向 に よっ て電 子移 動反 応 が促 進あるいは 抑制 され るこ とが わ かり 、分 子配 列系 で は電 場に より 電 子移 動反 応が 制御 で きる ことを明ら かにした。

  (3) 上 記 のLB多 層 膜 に お い て 、D層 とA層 の 中 間 に 長 さ の 異 な る 種 々の 脂肪 酸、 すな わ ち バ ル ミ チ ン 酸(23 A), ス テ ア リ ン 酸(25 A), ア ラ キ ン 酸(27A) , ベ ヘ ン 酸 (29 A)を 挿 入 す る こ と に よ りD―A眉 間 距 離 を 変 化 さ せ 、 電 子 移 動 反 応 の 電 場 効 果 に 対 する 距離 依存 性に つ いて 調べ 、外 部電 場 が反 応の ポテ ン シャ ル障 壁に 影響 を 及ぽ しているこ とカミ示され、固体膜中の電 子移動カ進書子トンネリング椦繍蒔によって起こっていることを明ら かにした。

  (4)OCC混 合LB膜 へ の 光 照 射 に お い て み られ る不 可 逆的 な光 化学 変 化に つい て調 べ、 強 い 光 照 射 の 下 で は吸 収お よ び螢 光ス ペク ト ルに 変化 が起 こり 、 これ はOCC二 量体 から 単量 体 へ の 変 化 さ ら に 単 量 鉢 の)lesj駻 に 至 る 光 ヒ 学 反 応 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。   本 研究 の結 諭と し て、 固体 膜中 の光 誘 起電 子移 動反 応 は量 子卜 ンネ リン グ 機構 による反応 であ り、 外部 電場 は 反応 ポテ ンシ ャル 障 壁の 高さ を変 え る作 用を もっ てい る こと がわかり、

電子 移動 反応 は電 場 の向 きと 大き さに よ って 制御 でき る こと が明 らか とな っ た。 これは配向 分子 膜に おけ る光 誘 起電 子移 動と その 外 部電 場を 利用 す るこ とに より ,光 ス イッ チング等の 光機能井オ料素子カミできる ことを示している。

  こ れを 要す るに 、 著者 は光 誘起 電子 移 動反 応の 電場 印 加に よる 効果 を明 ら かに し、光物理 化学 およ び光 機能 性 材料 開発 に大 きく 寄 与し た。 よっ て 著者 は北 海道 大学 博 士( 工学)の学 位を授与される資格あるもの と認める。

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