8 しがだい 生涯学習教育研究センターは、「学内共同教育研究施設として、生涯学習に関する教育及び研究を行うと ともに、よりよい生涯学習社会の実現に資すること」を目的にして、1994年に石山地区に設立されました。
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研究・教育活動の二つの柱
センターは、生涯学習の発展に寄与するために、主に二つの柱にそって研究・教育活動を展開してきまし た。一つは、教育・研究成果の地域への還元であり、二つめは、地域を基盤とした学習機会の整備・拡充で す。 1.教育・研究成果の地域への還元 教育・研究成果の還元ということで重視してきたのは、公開講座の多様化の試みです。法人化後設置さ れた滋賀大学公開講座部会と協力して、「従来型」の公開講座だけでなく、「地域巡回型」講座や「公開授 業」の開設をすすめてきました。 「地域巡回講座」とは、大学が近くにない地域へ出かけていって実施する講座です。 1997年から実施してきました(表1)。いずれも、町教育委員会と共催で開催したものです。将来的に はほとんどの自治体(大学が近くにない地域)で実施することをめざしています。滋賀大学の附属センター
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生涯学習教育研究センター
特集 2
生涯学習教育研究センター
梅 田
修
(生涯学習教育研究センター副センター長) 表1 地域巡回講座実施状況 実施年月 実施町村 地域巡回講座のテーマ 1997年5月 高 月 町 日朝交流と雨森方洲 1998年5∼8月 五個荘町 近江商人の歴史と伝統を探る 1999年5∼7月 新 旭 町 いじめ・登校拒否と教育 2000年11∼12月 湖 北 町 浅井三代と小谷城 2001年10月 び わ 町 今、子どもの世界に何が起こっているのか 2002年5∼6月 永源寺町 みんなで学ぼうパソコン教室 2003年6月 愛知川町 学校五日制と子どもの教育 2004年7∼8月 多 賀 町 今、子どもの世界はどうなっているのか 2005年5∼7月 安 土 町 現代社会とストレス解消9 しがだい 「公開授業」とは、大学の正規の授業を公開講 座として公開するもので、国立大学としては滋賀 大学が最初に実施した(1997年度)制度です。 2004年度には、市民の方にいっそう参加しやす い制度にしようということで、受講料も改訂され ました(半期一コマ6,000円)。「公開授業」では、 市民と学生が同じ教室で学ぶことによって、お互 いの交流が深まるなど授業の活性化にもつながっ ています。2004年度の実施状況は表2の通りです。 2.地域を基盤とした学習機会の整備・拡充 県や地域の教育委員会と連携して、地域住民 への多様な学習機会の提供とそのための研究に 取り組んできました。 ア.「淡 おう 海 み 生涯カレッジ」 「淡海生涯カレッジ」とは、公民館・高校・生涯学習センター・大学が連携して、体系的な学習の保障 をめざした市民のための学習システムです。カレッジの最初は、公民館での「問題発見講座」です。この 講座の目的は、身近な環境問題を学ぶ中で、環境についての問題意識を高めることです。続いて、高校や 生涯学習センターでの「実験・実習講座」です。ここ では、琵琶湖上での水質調査や実験や実習を中心とし た学習がおこなわれます。最後に、大学での「理論学 習講座」です。ここでは、大学教員による講義と学習 者によるグループ研究がおこなわれます。学習者は、 三つの講座(ほぼ半年間)を通じて、環境に対する意 識、環境に関わる経験、環境についての知識をバラン スよく学んでいくことになります(写真は、2005年1 月のグループ発表会)。 「淡海生涯カレッジ」は、1996年度に大津市で最初 に開設され、2005年度では滋賀県下4校(大津校、彦 根校、長浜校、草津校)で開設されています。体系的 な環境学習などの機会を市民に提供するシステムとしていっそうの充実が求められています。 なお、2005年度は「淡海生涯カレッジ」開設10周年を迎えることから、「淡海生涯カレッジ」10周年記 念誌を発行するとともに、2006年1月28日(土)には記念講演・記念レセプションをおこなう予定にして います。 イ.教育委員会と連携した学習機会(フォーラム)の提供 毎年、滋賀県教育委員会・滋賀県生涯学習推進本部と共催で、フォーラム「生涯学習の現代的課題」を 開催しています。 2003年度は、2004年2月に、今日、核家族化、都市化、少子・高齢化の進展や、地域における地縁的な つながりの希薄化といった社会の変化とも関連して、親の間に子育ての悩みや不安が広がっている状況を ふまえ、現代における子育て支援の課題を検討しようという趣旨から、「どう支える!現代の子育て−親 の成長と生涯学習」というテーマで開催しました。また、2004年度は、2004年12月に、公民館は、これま で身近な学習の場・交流の場として親しまれてきましたが、社会の変化とかかわって、新たな課題への対 応も求められていることから、地域コミュニティにおける生涯学習の拠点施設としての公民館のあり方を 探ろうという趣旨で、「公民館の未来をつくる」というテーマで開催しました。 NO 科 目 名 回数 時期 受講 1 福祉と教育(教育) 13 春 1 2 人間と存在 13 春 1 3 美術の世界 12 春 2 4 福祉と教育(経済) 12 春 3 5 絵画Ⅰ 12 春 1 6 国文学史 13 春 2 7 湖沼環境学習論 13 春 6 8 社会教育計画論 13 春 2 9 教育と社会 13 秋 1
10 Japanese Economy and Business 20 秋 1 11 人間と存在(形而上学) 13 秋 2 12 情報化と社会 13 秋 1 13 琵琶湖学特論 13 秋 14 表2 2004年度滋賀大学「公開授業」実施状況
10 しがだい 毎年、行政関係者・教員・保育士・市民など250人以上の参加があり、時々の生涯学習をめぐる課題を 学習する機会として定着してきています。 ウ.教育委員会と協力した学習機会の開発 センター発足以来、地域の自治体・教育委員会との共同研究を進めてきましたが、近年はいくつかの自 治体に広がってきています。 【近江八幡市との共同研究】 2003年度から、近江八幡市と共同で「官学連携型教育プログラム開発モデル事業」を進めてきまし た。近江八幡市では、市民とのパートナーシップに基づく新しい生涯学習社会づくりに向け、『近江 八幡市生涯学習社会づくり構想』を発行しました(2003年3月)が、この構想に掲げてある政策目標 を具体化するために、「子育て学習支援」と「ふるさと学の確立」に焦点をあてた共同研究を行うこ とになったのです。 2003年度は、子育て学習に関する調査を行い、近江八幡市教育委員会・滋賀大学生涯学習教育研究 センター『近江八幡市民の子育て学習に関する調査』(平成16年3月)という報告書を出しました。 2004年度は、この報告書にもとづいて、子育て支援プログラムが具体化されました。なお、調査の中 から、子育て情報誌の必要性も自覚され、近江八幡市教育委員会のインターンシップ実習生(滋賀県 内大学の学生)による子育てガイドブック(『ハチピースタイル』)も作成されています。 2004年度は、ふるさと学の確立をめざした調査を行い、近江八幡市教育委員会・滋賀大学生涯学習教 育研究センター『近江八幡市民のふるさと学習に関する調査報告書』(平成17年3月)を刊行しました。 2005年度は、この報告書にもとづいて、「ふるさと学」に関する学習プログラムを開発する予定です。 【栗東市との共同研究】 栗東市では、家庭、地域、職場などあらゆる分野で、女性と男性が互いにその人権を尊重しつつ責 任を分かち合い、性別にとらわれることなく、その個性と能力を充分に発揮できる社会の実現をめざ して、平成14年3月に「男女共同参画都市」を宣言し、その施策の推進に取り組んでいます。 そこで2004年度は、施策の具体化の参考とするため、栗東市民を対象にして男女共同参画社会に関 する調査を行い、栗東市・滋賀大学生涯学習教育研究センター『男女共同参画社会づくりに関するア ンケート調査報告書』(平成17年1月)を発刊しました。2005年度は、この報告書をもとに施策の具 体化がはかられる予定です。 【日野町との共同研究】 日野町では、『第四次日野町総合計画』(2001年4月)の中の「人権尊重」の項で、「日野町人権啓 発推進連絡協議会と連携を図り、学校・家庭・地域社会などあらゆる場を通じて人権意識の高揚に努 め(ること)」を掲げています。 そこで、施策の具体化の参考とするために、2004年2月に日野町民を対象に、「人権学習に関する 意識調査」を行いました。2005年度は、この調査結果を分析する予定です(報告書発刊の予定)。
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「環境学習支援士」養成プログラム
生涯学習教育研究センターは、「環境学習支援士」養成プログラム企画運営委員会(滋賀大学の関係機関 および滋賀県の関係機関によって構成)と学内企画運営委員会のメンバーとして、「環境学習支援士」養成 プログラムの開発に関わってきました。「環境学習支援士」養成プログラムの詳細については、神部純一 「環境学習支援士の養成」(『しがだい』第21号、平成17年3月)を参照ください。 そして、2005年4月から「環境学習支援士」養成がスタートしました。受講定員は、社会人コース(5名 程度)、現職教員コース(5名程度)、学生コース(20名程度)です。申し込み状況は表3の通りです滋賀大学の附属センター
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11 しがだい 当初、社会人コースの受講希望は多いことが予測されたのですが、現職教員コースの希望が10人あったこ とは予想を超えていました(勤務しながらの学習ですから、かなり困難が伴うので)。うれしい誤算です。 それだけ、期待が大きかったともいえます。3月25日に厳正な抽選の結果、それぞれ5名の方の受講を承認 しました。 学生コース(院生を含む)の希望者も、教育学部環境教育課程の学生を中心に35名ありました。説明会で は、実習の関係から定員を20人に絞らざるを得ないことを話し、その後書いてもらったレポート(テーマ 「あなたは『環境学習支援士』の資格をなぜ取得しようと思ったのですか、できるだけ、具体的に述べてく ださい。」)によって、20名を決めました(写真は、説明会に参加した石山地区の学生・院生です)。 以下は、学生のレポートの一部です。「環境学習支援士」の資格取得に対する学生の動機の一端を知るこ とができます。 ●「環境」という広範なテーマを学ぶに あたって、私は「環境学習支援士」と いう資格が自分の中の一つの指標にな ると思いました。もしこの資格を取る ことができれば、本当に自分の学びた いことを学んだという証明になるので はと考えました。(大学2回生) ●環境教育先進県である、滋賀県の大学 で、この資格を取得することができた ら、地元の福井に帰ったときに、施設 や学校で子どもから老人までいろんな 人とともに環境教育活動を進めていき たいです。地元を環境先進県に近づけ ていきたいと考えています。(大学3回 生) ●私は現在、自然科学系の博物館でサイエンスボランティアとして、科学や自然に関する実験・工作教室 のお手伝いをさせてもらっています。子どもには子どもにわかりやすい説明を、大人にはより詳しく新 しい情報を提供しなければならず、とても大変で自分の未熟さを思い知らされましたが、これからも学 習やいろいろな経験を積んで、様々な場でこういった環境について興味をもって学習してもらえるよう なことができればいいなと考え、その証明ともいえる「環境学習支援士」の資格を取得したいと思いま した。(大学3回生) 表3 申し込み状況 男女 学 年 大学 大学院 女性 男性 2回生 3回生 4回生 1年次 2年次 学生コース 28 7 11 17 1 5 1 男女 年 代 女性 男性 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 社会人コース 3 23 0 1 1 1 6 13 4 現職職員コース 2 8 0 0 2 7 1 0 0