• 検索結果がありません。

今後の高等学校における部活動の在り方に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "今後の高等学校における部活動の在り方に関する研究"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

今後の高等学校における部活動の在り方に関する研究 人間教育専攻 現代教育課題総合コース 藤川 晋吾 1 .問題の所在 日本の高校では,多くの生徒が部活動に加 入している。部活動は学校教育の一環として 位置付けられ,学校の管理下で,学校の教員 の指導のもと,多くの参加者が学校内で日常 的にスポーツ・文化活動を行なっている。 一方海外では日本の部活動のようなシス テムがなくても,高校生が学校内外で指導者 のもとスポーツ・文化活動を享受する場が確 立されている国もある。 部活動は多くの高校生が参加しているた め,将来役立つ教育となるよう,今後の部活 動の在り方の選択肢を提示する必要がある。 これまでも,中学校における部活動の在り 方についての研究はあるものの,公平・公正 な立場で高校の部活動の在り方について選 択肢を示す研究は不+分である。 また,様々な政策に対する提言の研究は存 在するものの,問題を解消する方策について の学術的な研究は不足している。 2 .研究の目的と方法 (1 )研究の目的 部活動は生徒のスポーツ・文化活動を支え る大きな役割を担ってきたが, このままの状 況で維持していくには限界が来ている。 そのため本研究では, 日本の部活動につい て様々な観点から見直し,海外の事例にも学 びながら,日本の部活動を公平,公正な立場 で客観的に考察し,今後の高等学校における 部活動の在り方についての選択肢を提示す ることを目的とする。 (2 )研究の方法 ①先行研究調査 ②ドイツ柔道連盟関係者に対するインタビ ュー調査 ③海外在住者や,海外出身で日本に在住また は在住経験のある人物への質問紙調査 指導教員 藤村 裕一 3 .先行研究に見る我が国と諸外国の部活 動の国際比較 (1 )我が国の学習指導要領における部活動 の位置づけの変遷 「クラブ活動」と「部活動」が併存した時 期に,教育課程外の活動であるにもかかわら ず生徒は全員参加,教員も全員参加の風潮を 作りあげてしまったことと,「部活動代替措 置」という教育課程外の部活動に参加させる ことにより教育課程内のクラブ活動を履修 したことにするという曖味な措置が,今日に おける部活動の位置づけの曖味さの原因で あろう。 2009年の学習指導要領改訂により部活動 は総則で「自主的, 自発的な参加」「学校教育 のー環」,「教育課程との関連が図られるもの」 として再び記載されている。 平成29年度版高等学校学習指導要領では, 前回同様,教育課程外の部活動は教育課程と の関連が図られるよう留意すべきものとし て「学校教育の一環」であると明確に位置づ けられた。 (2 )高等学校現場の実態に見る「部活動の 目的 スポーツ庁が2018年に発表した「平成29年 度運動部活等に関する実態調査」では,高校 生が部活動に所属している最大の目的は「大 会・コンクールで良い成績を収める」であっ た。多くの部活動が大会での好成績を残すた めに活動を行い,部活動に参加するモチベー ションになっている。 (3 )海外におけるスポーツ・文化活動の特 徴 海外では,青少年の日常的な活動スポーツ 活動を保証する場はドイツが典型的である ようにスポーツクラブが一般的である。また アメリカを代表するように海外にも学校に スポーツクラブが存在する。しかしそれらは

(2)

参加者数や,規模は小さくまた位置づけにお いても教育活動の一環とされる日本とは異 なる。 学校を中心にスポーツ活動を行う国は,日 本を含むアジアにも存在するが,地域のクラ ブが未発達なためである。中澤(2014)は「青 少年スポーツの中心が学校の運動部活動に あり,かつ,その規模が大きい日本は国際的 に珍しい国」と述べている。 4 .各国のスポーツ活動の現状や部活動に対 する評価 (1 )インタビュー調査 ドイツ柔道連盟関係者に「日本の部活動の 印象は」との質問に対し,「強制的に参加させ られているように見える。」 と答えた。 しかし, 日本の部活動に大きな成果を感じ ているようであった。 (2 )質問紙調査 19 か国から65 名回答があり,放課後の スポーツ活動が「学校中心型」以外の国に, 日本の部活動をどう思うかを質間したとこ ろ,肯定的な意見では,「生徒がスキルを身に つけ,お互いに友情を育むのに役立つ。」など の意見があり,学内で他者と共に友情を育み ながらスポーツ活動を行う良い機会ととら えていた。また否定的な意見では,「コーチは スポーツの専門家である必要がある。」など の意見があり,長時間の活動や,指導者の専 門性に対し,部活動が,教員側,生徒側双方に 弊害を与えているという意見があった。 5 .観点別に見た部活動の功罪 現行の部活動を下記の4 つの観点から検 証をおこなった。 ・生徒の実感 ・スポーツ・文化活動享受 ・生徒指導 ・指導者である教員に勤務状況 6 .スポーツ・文化活動における多様な選択 肢 これまでの専攻研究調査や現在の日本の 状況などから,持続可能で,生徒を伸ばすた めの選択肢について,3 つの選択肢を提示し, それぞれについての考察を行った。 ①従来の部活動(部活動の継承) 指導者:教員・部活動指導員 施設:学校 ②学校施設開放型スポーツ活動方式 (社会教育への移行) 指導者:教員外 施設:学校 ③地域のスポーツクラブ等 指導者:教員外 施設:学校外 (1)スポーツ・文化活動享受という観点 生徒は,地域や学校で外部指導者が確保で き,継続的に指導を受けられた場合,ハイレ ベルな技術指導を受けられる可能性がある。 しかし,地域のスポーツクラブに完全移行し た場合は,経済的な格差により機会に差が生 じてくる。 (2)教員の負担の観点 社会教育へ完全に移行できるならば,部活 動指導の時間がなくなるため,負担は軽減さ れる。 (3)国から指導者に対する費用負担の観点 学校施設開放型スポーツ活動方式ならば, 教員外の指導者を配置することにより多額 の費用が必要になってくる。 (4 )保護者の経済的負担の観点 現行では,活動場所や指導者への費用が発 生しないが,地域のスポーツクラブ等に移行 した場合,活動場所や指導者への費用が発生 し負担が大きくなる。 今後の部活動の在り方については,部活動 だけを取り上げて,改革するのではなく,教 育観や学校観,学校文化(教員,保護者の意 識)をかえないとますます疲弊していくであ ろ つ。 教員や現場の努力だけでは限界があり,社 会教育へすぐには移行できない現状や,予算 をかけない限り部活動は大きく変わらない という事が明らかとなった。 7 .今後の課題 政策的関与が絶対的に必要であり,その取 組みについて今後も研究を続けていくこと が今後の課題である。 - 62 -

参照

関連したドキュメント

  「教育とは,発達しつつある個人のなかに  主観的な文化を展開させようとする文化活動

 本研究所は、いくつかの出版活動を行っている。「Publications of RIMS」

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

「職業指導(キャリアガイダンス)」を適切に大学の教育活動に位置づける

関西学院大学には、スポーツ系、文化系のさまざまな課

さらに体育・スポーツ政策の研究と実践に寄与 することを目的として、研究者を中心に運営され る日本体育・ スポーツ政策学会は、2007 年 12 月

小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児

グローバル化がさらに加速する昨今、英語教育は大きな転換期を迎えています。2020 年度 より、小学校 3