132 (5) 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ア ジマ トヨ コ安島豊子(昭和2
博士(医学) 二二214号平成4年12月18日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
肝細胞癌の性状,経過および予後からみたPIVKA・IIの臨床的意義
(主査)教授 小幡 裕(副査)教授羽生富士夫,笠島、武
論文 内 容 の 要 旨
目的 肝細胞癌(HCC)の腫瘍マーカーであるPIVKA-II は,HCCで高率に陽性を示し,高い特異性が認められ ている.しかし,PIVKA-IIとHCCの経過,特に予後 との関係に関する知見は極めて少ない.そこで今回HCC患者においてPIVKA-IIおよびAFPを測定し,
HCCの性状,経過そして予後との関係を検討した. 対象および方法1987年1月から1988年1月の問に受診したHCC患
者54例(男42,女12例)を対象とした.診断時の平均 年齢は60.6±8.1歳であった.血漿PIVKA・IIの測定 はエイテストモノP-IIキットによるEIA法を用い, 0、1AU/m1以上を陽性とした.また同一検体にて血清 AFP値を測定し200ng/ml以上を陽性とした. PIVKA-II, AFP値を陽性,陰性に分けた場合と, その組み合わせ4群に分類した場合,さらに個々の腫 瘍マーカー値と,HCCの性状,経過および予後との関 連について,統計学的解析を,SAS(Statistical Analy- sis System)を用いて行った. 結果および考察 (1)HCC発見時のPIVKA-II陽性群(n=24)と陰 性群(nこ30)における累積生存率は400日後にはそれ ぞれ37.5,80.0%,1,200日後には12。5,40.0%とな り,明らかに陽性群は予後不良であった.また, PIVKA-II値は生存日数と有意に負の相関を示し,平均生存日数でみるとPIVKA-II陽性群が469。0±
474.9日,陰性群が930.0±539.2日であった.HCC経 過観察中に肝内転移が発見された時点のPIVKA-II 値も予後と相関を示した.以上より,PIVKA-IIは HCC患者における予後の良い指標になり得ることが 判明した. 一方,AFP値は生存日数と相関はなく,累積生存率 もAFP陽性群(n=18)と陰性群(n=36)の間に有意 差を認めなかった.(2)PIVKAJI値とHCCの性状および予後との関
係については,まずPIVKA・II値とHCC腫瘍占拠率
に有意な相関が認められ,またPIVKA-II産生HCC
で腫瘍径と生存日数の間に負の相関が認められた.さ らにHCCが被膜形成を示さない場合,および門脈浸 潤を有する場合には,PIVKA-IIの陽性率が有意に高 くなった. 被膜形成がない場合,門脈腫瘍塞栓がある場合,あ るいは肝内転移のある場合は,それぞれそうでない場 合と比較し有意に予後が不良であった.また,それぞ れ,それらに加えてPIVKA-II陽性症例である場合 は,陰性症例に対して有意に平均生存日数が短かった.予後を考える際,PIVKA-II値とともにHCCの性
状も総合して考えることが重要である. (3)PIVKA-II陽性群, AFP陽性群においては手術 後再発までの期間は陰性群に比較し短い傾向がみられ たが,有意差は認められなかった, 結論 肝細胞癌症例において,PIVKA-IIは診断法として のみでなく,経過,予後の予測にも役立ち,臨床的に 有意義な情報をもたらすものとみなされる. 一766一133