169 (56) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
マス ダ ミチ ピコ増田道彦(昭和2
医学博士 乙1055号 平成元年11月17日 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) Hairy ce111eukemia幹細胞に対する遺伝子組換え型インターフェロンの影響 (主査)教授 滝沢 敬夫 (副査)教授 杉野 信博,今井 康:晴論 文 内 容 の 要 旨
目的 近年の研究で一見同じに見える白血病細胞は,活発 に分裂し分化する白血病心素細胞とそうでない細胞があることがわかってきた.hairy cell leukemia(HCL)
でもそのような白血病意字細胞が存在するか否かを, 培養法で検索することを目的とする.一方遺伝子組換 え型インターフェロンα(rIFN一α)はHCL患者に投 与され,その臨床的効果が認められている.HCLの白 血病性幹細胞に対するrIFN一α,一β,一γの影響を比較検 討し,それによってその有用性を予測することを目的 とした. 方法 HCL患者4人について検討した.患者末梢血をフィ コールコンレイに重層し遠心して単核球を得て,ヒツ ジ赤血球とロゼット形成させTリンパ球を除去し,こ れに10%ウシ胎児血清,20%phytohemagglutinin刺激 Tリンパ球培養上清を加えて,G.8%メチルセルロー スに埋め込み10日間培養し20個以上の細胞集塊をコロ ニー ニしてその数を算定した.その形成されたコ・ ニーを集め,コロニーを構成している細胞の組織化学 およびモノクローナル抗体による細胞表面マーカーの 解析を行った.さらに種々の濃度のrlFNを添加した コロニー形成に与える影響を検討した. 結果 HCL患者で培養細胞数と形成されたコロニー数と の関係を見ると,培養細胞数を増すにつれコロニー数 は増し,それは0点を通るほぼ直線となり,1つの細 胞由来のコロニーと考えられた.4例の患者のコロ ニー狽ヘ培養細胞!05個あたりそれぞれ301,508,593, 1,479個であった.またコロニー構成細胞は酒石酸抵抗 性酸ホスファターゼ染色陽性であり,モノクローナル 抗体による細胞表面マーカーも培養前のHCL細胞と ほぼ似た結果となった.これより形成されたコロニー はHCL幹細胞由来であると考えられた.rlNF一α添加 では4例全例に添加量に応じてコロニー形成は抑制さ れ,301U/ml,3001U/ml,3,0001U/mlが添加時にそれ ぞれ平均34%,82%,91%の抑制率であった.rlFN一β では,301U/ml,3001U/ml,3,0001U/m重添加時にそれ ぞれ平均64%,73%,91%抑制された.しかしrlFN・γ を添加した場合に反応は症例ごとに大きく異なってお り,2例の患者ではrlFN一γの濃度依存性にコロニー 数の抑制がみられたが,他の2例では抑制が認められ なかった. 考察 HCLにも白血病性幹細胞が存在することを示唆す る結果を白血病コロニー法を用いて得た.rlFN・α,お よび・β添加ではHCL白血病コロニー数は濃度依存性 に抑欄されたが,rlFN一γ添加では効果は症例により 異なりコロニー抑制効果が認められる症例と,全く認 められない症例があった.これらからrlFN一βは, rIFN・αと同様に実際に臨床に使用して効果を期待で きると考えられたが,rlFN一γの効果は症例ごとに異 なり臨床効果も一部の症例でしかみられない可能性が あると考えられた. 結語 HCL細胞を培養し白血病性幹細胞由来コロニーの 一771一
170 形成を認めた.このコロニー形成は,rlFN一α,・β添加 では濃度依存性に抑制され,rlFN一γ添加では濃度依 存性に抑制される症例,抑制のみられない症例と症例 ごとに差を認めた.
論 文 審 査 の 要 旨
本論文は,Hairy cell leuke士nia(HCL)幹細胞に対する遺伝子組換え型インターフェロンα,β,γの影響
をリンパ性白血病コロニー法を用いて検討し,インターフェロンα,βは濃度依存性にHCLコロニー形成を 抑制したが,インターフェロンγの効果は一様ではなく,臨床効果もかなり限定されたものになることを示唆
したもので,学術上価値がある.
主論文公表誌
Hairy cell leukemia幹糸田胞に対する遺伝子組換え
型インターフェロンの影響
東京女子医科大学雑誌 第59巻 第7号 848-853頁(平成元年7月25日発行) 副論文公表誌
1)Effect of recombinant GM-CSF and recom- binant G-CSF on colony formation of blast progenitors in acute myeloblastic leukぐmia
(急性骨髄性白血病幹細胞のコロニー形成に 対する遺伝子組換え型GM-CSFおよびG- CSFの影響) Exp Hemato1 17:56-60,1989