• 検索結果がありません。

登校拒否児の終夜睡眠におけるREM期の周期性について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "登校拒否児の終夜睡眠におけるREM期の周期性について"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原 著 〔東女医大誌 第57巻 第10号頁1!72∼1177昭和62年10月〕

発校拒否児の終夜睡眠におけるREM期の周期性について

東京女子医科大学第二病院 小児科 ウメヅ リヨウジ オオタニ トモコ クサカワ サンジ

梅津 亮二・大谷 智子・草川 三治

(受付 昭和62年6月19日)

Periodicity of REM Sleep during the Night in School Refusals

Ryoji UMEZU, T①moko OTANI and Sanji KUSAKAWA

Department Pediatrics(Director:Prof. Sanji KUSAKAWA) Tokyo Women’s Medical College Daini Hospita1

We performed electroencephalography during the night in 26 children who refuse to go to school and 5 normal controls, and evaluated periodlcity of REM sleep. REM sleep was designated as l and NREM sleep as O, and a time series was produced to obtain a binary autocorrelogram and the autocorrelation coefHcient.

In the controls, there were 5∼6 REM periods, and the autocorrelogram showed a pattern with good periodicity of REM periods and showed a pattern with poor periodicity in many school refusals. r

In autocorreation, the maximal correlation coef丑cient, which is associated with periodicity of REM sleep, were compared between the two groups. No signi丘cant difference was observed in the mean correlation coe伍cient between all the children who refuse to go to school and the controls. However, children who missed all days(complete absence)before admission to hospital showed a significantly lower mean coe缶cient than those who attended school at least one day

(partial absence)and the controls,

緒 言 わが国において,登校拒否(school refusals) が問題にされ始めたのは,そう古い事ではなく, 1960年前後といわれているが,現代社会の複雑化 に呼応するかの如く,その数は増大しつつある. 原因は様々な角度から分析されているが,著者ら は一貫して,体質的な要因の追求を行って来た. 登校拒否児は,その始まりとして,朝の起床時間 が遅くなり,就寝時間が遅くなるといった,睡眠・ 覚醒のリズムに乱れを生じてくることを特徴とし ている.また,さらに夜間の途中覚醒が多くて, 浅眠感を伴うことも少くない.すなわち,睡眠構 造にも変化を来しているものと推測される.そこ で,著者らは,登校拒否児に対して,終夜睡眠脳 波を行い,REM睡眠,徐波睡眠(睡眠III期+IV 期)が少いことや,途中覚醒が多いことなどを指 摘した1)2).今回はこのうち,終夜睡眠における REM睡眠の周期に限定して検討を加えた. 対象および方法 対象は登校拒否を主症状として当科に入院し精 査をした26例で,男児8例,女児18例と女児が多 い.年齢は9歳(小学校4年生)より,16歳(高 校生)までで,平均年齢は12歳8カ,月である(表 1).病態を整理するために,米国精神医学会より 提唱されているDSM−III(Diagnostic and Statis− tical Manual of Mental Disorders, Third Edi− tion)分類によって,疾患カテゴリー別にみると,

幼小児期または思春期に発症する障害に相当する

(2)

表1 症例の概要 症例 ヤ号 症 例 性別 年齢 DSM−IIIによる診断分類 登校情況(入院前1ヵ月) K。M. r.Y. g.M. s.Y. t.R. x.T. P.M. x.M. m.K. FFFMMMFMF 14 P3 P2 I0 行為障害 @ 〃 @ 〃 s安障害一分離不安 @ 〃 s安障害一回避障害 @ 〃 s安障害一過剰不安 ェ裂病質 幼小児期 ワたは v春期に ュ症する 瘧Q 全休 ュ10日 P0∼20日 P0∼20日 P0∼20日 S休 S休 P0∼20日 S休 0.T. P.T. l.S. l.K. P.A. r.H. `.K. g.Y. s.N. b.T。 O.H. FFFFFMMFMFF 14 P2 P4 P3 P1 P3 P1 P0 P3 P3 P4 身体化障害 @ 〃 @ 〃 ]換性障害 @ 〃 S因性癒痛障害 @ 〃 @ 〃 @ 〃 @ 〃 S気症 身体表現 ォ障害 全休 PG∼20日 P0∼20日 S休 S休 S休 P0∼20日 P0∼20日 ュ10日 ュ10日 P0∼20日 T.K. P.A. v.M. P.K。 j.T, s.N, FFMFFF 12 P0 P6 P3 P4 P2 行為障害を伴う @ 〃 d事の停滞を伴う ミきこきりを伴う @ 〃 @ 〃 適応障害 10∼20円 ュ10日 S休 S休 S休 P0∼20日 ものが9例,身体表現性障害が11例,適応障害と 思われるものが6例である.また,入院前1ヵ月の 登校情況は全休が11人,登校日数が10日以内のも の4・例,10日∼20日置ものが11・例であった. これに対して,何の症状もなく,健康なボラン ティアの中学2年生から高校1年生の男児5例を 正常対照群とした. 終夜脳波は入院早期に行い,緊張をほぐすため に,2夜連続して記録し,第2夜のREM睡眠につ いて検討を行った. また,終夜睡眠におけるREM期の出現の周期 性については,Globusの方法3)により, REM期

一Non REM期(NREMと略記)の二値自己相関

関数を用いた.これはREM期に1,NREM期に

0の値を与え,この二値による時系列を作製し, パーソナル・コンピュータを用いて,次に示す計 算式によって自己相関図を描かせた.一般にκピか r々= れ ん Σ(Zf 甥1)(κガ+ゼ施) ガ罵1

亙厩

ただし, カ ゑ 溺1=(ΣZf)/(励) f=1 れ 彫2=(Σz∂/(。一々) ガ=二十1 れ ゑ S、=Σ(Z一勉2)2 f=1 れ S、=Σ(Zご}隅2)2 ガ=々十1 らκ。までの時系列データを々だけずらした場合 の自己相関関数は次式によって求められる. こうして得られたr。,r、, r2・…・・r。は一1から1 までの値をとり得るのである.もし,仮にREM期

から次のREM期までの時間を90分,1回の

REM期の長さが40分という規則的なREM期を

(3)

0 1

1L駈且耀L臨_

0 60 120 300 600 一1 60 120 300 図1 REM−NREM自己相関図 600 4回繰返したとする自己相関図は図1のように表 現され,周期130分で極めて相関性の高いヒ.一クが 得られることになる. 結 果

1.対照群5例の終夜睡眠におけるREM期の

出現の様子とその自己相関図を図2に示す.これ

によるとREM回数は5回ないし6回と多く,比

較的,規則的にREM期の出現がみられている. control Iの例では周期が70分のところに相関係 数0.25を示すピークがあるが,周期155分のところ には0.55を示す高いピークが見られ,より周期性 が強いことを示す.同様にcontrol IIの例では160 分の周期で相関係数0.64,control Vの例では110 分で0.48の高いピークがみられる.これに対して, control IIIおよびIVでは,最大ピークはそれぞれ, 400分,340分に存在するが,余りに周期が長いも のは,REM期の周期性を表わす指標として適当 でないので棄却される. 次に登校拒否児の代表例について,REM期の 出現の様子と自己相関図を図3に示す.上段の case 12および16はREM期も規則的に出現し,自 己相関図でも良好な周期性がみられる.中段の case 17ではREM期は3回しか出現していない が,間隔がほぼ等しいことや1つのREM期が長 いために自己相関図のパターンも比較的良い.逆 にcase 19では5回もREM期が出現しているに もかかわらず,出現の間隔が一定していないと, 自己相関図でも良好なパターンを示さない.さら に下段case 7ではREM回数も少く,出現も不規 則であり,通常のREMの周期性を表わす周期で は90分のところで0.17を示すピークを持つのみで あった.また,case 24では2回REM期が出現し ているが,入眠から1回目のREM期までと,1回

目と2回目のREM期の間隔がほぼ等しいため

に,200分野周期で0.56と高いピークを示すが,こ れも通常のREM周期とは考えられなかった. 2.自己相関関数の性質上,全記録時間(時系列 総数口)に対して周;期(遅延時間ん)が1/3∼1/5以 下すなわちんく1/3∼1/5πでなければ信頼性に乏 しいと考えられる.また,前述したごとく,REM− NREMサイクルの周期は通常90分前後なので, 余りに長周期のピークを棄却するために,ここで は便宜上,各睡眠の睡眠時間の1/3の時間を計算 し,遅延時間がそれ以下の周期を持つ自己相関図

のpeakの相関係数をその睡眠のREM期の周期

性とした. これを対照群にあてはめてみると,それぞれ, 0.55,0.32,0.23,0.64,0.48という値をとり, 平均±SDは0.44±0.17であった(表2).一方, 登校拒否では0.06∼0.64と極めて分散が大きく, 全体では0.33±0.17と対照群に比較して,やや周 期性に乏しいことを示唆したが有意差とはならな かった.また,DSM−III分類の3群に分けた検討 でも,適応障害でやや卸値の傾向が見られただけ で,有意差は得られな:かった.そこで,登校拒否 児を入院前の登校情況で全休していたもの(全休 群)と,少しでも登校していたもの(部分休漁) との2群に分けて相関係数の平均を比較すると, 全休群の平均が0.22±0.18で部分休群の0.42± 0。09で有意水準1%で差が見られた.また,全休 群は対照群に対しても有意水準5%で相関係数の 平均が小さいことが判明した. 考 察

AserinskiやKleitmanによってREM期が発

見されて以来,原因は何であれ,睡眠に障害を来 した場合,REM期について言及することを避け て通ることはできない.通常,REM期は成人で一 夜に4∼5回反復して出現し,周期性を持ってい 一1174一

(4)

るものと考えられている.すなわち,REM期と.

NREM期は一対となって出現し,これを一つの

サイクルと考えることができる.このサイクルは 90分前後の周期を持って変動することになる.し

かもこのようなREM期の周期性はナルコレプ

シーめ患者の観察などから,昼間も存在し,覚醒 1 0 1 0 60 120 300 600 1 一1 0 1 0 z 60 120 ) control I 300 600 60 120 300 600 一ユ 60 120 control N 300 600 ユ 0 1 0 60 120 300 600 1 一1 0 1 60 120 v control II 300 600 0 60 120 300 600 一1 60 120 control V 300 600 1 0 1 60 120 300 600 0 一1 60 120 300 600 corltrol III 図2 正常対照群のREM−NREM自己相関図

(5)

時にはこれがおおいに隠されているに過ぎないと いわれている.また,睡眠と学習の研究から REM−NREMサイクノkが正常に保たれているこ とが学習を促進させるという考え方もある4).

このようなREM−NREMの周期性を二値自己

相関数(binary−autocorrelation)を用いて分析し ようと試みたのはGlobusであり3),我国では飯島 らがこの方法を用いて,周期性傾向眠症の睡眠分 1 0 1 60 120 300 1 0 600 一1 0 1 60 120 V case 12 300

V

600 0 一ユ 60 120 300 600 60 120

case 16 300 600 1 0 1 60 120 300 1 0 600 一1 0 ユ 60 120 case 17 300 600 0 60 120 300 600 一1 60 120 case 19 300 600 1 0 1 1 0 60 120 300 600 一1 0 1 60 120 case 7 300 600 0 60 120 300 600 一1 60−120 case 24 図3 登校拒否児のREM−NREM自己相関図 300 600 一1176一

(6)

表2 自己相関係数の比較(mean±SD) 全登校拒否児 (n=26) 0,33±0,17 DSM−III分類 幼小児期または思春期に発症する障害 0.33±0,!9 (n=9) 身体表現性障害 (n=1D 0.36±0,17 適応障害 (n=6) 0.29±0,13 入院前の登校情況 全休 (n=11) 舶ェ休 (n=16) 1:1;圭1濡]・・ * 正常対照児 (n=5) 0.44±0.17 *tく0,05 **t<0,01 析を行っている5).著者らもこの方法に準じて

REM−NREMサイクルの周期性を登校拒否児に

あてはめて検討した.その結果は上述したごとく, 正常対照群が概ね良好な周期性を示したのに対 し,登校拒否児では良好なパターンを示すものと, 周期性が殆んど見られないものが相半ぼしてい た.これをさらに,ピークの最大相関係数により, 客観的な評価を試みたが,分散が大きく,対照群 との間に明らかな有意差は得られなかった.この ことは病態を考える上で意味のあると思われる DSM−III分類での3寒寒でも同様であった. しかし,登校情況を考慮してみると,入院前に 全く登校していなかった児では,少しでも登校し ていた児に比べ,相関係数は有意に低かった.こ

の事は,REM−NREMサイクルの周期性の低下

は,登校拒否児全体が持っている普遍的な要素と いうよりも,登校拒否に伴った睡眠障害の程度を 直接反映しているものと考えられる.その睡眠障 害が体質的なものか,登校拒否があるための二次 的なものかは,このパラメータのみで判断するの は困難であるが,DSM−III分類では表現し得ない 登校拒否症の重症度を判定する上で,良い指標に なるものと考えられる. 結 語 1.登校拒否児26例と正常対照群5例について 終夜睡眠脳波を記録し,REM睡眠の周期性につ いて検討した.

2.二値自己相関図でREM−NREMサイクル

の周期性をみると,対照群では良好な周期性を示 したのに対し,登校拒否群では周期性の良好なも のから,殆んど周期性のないものまで様々なパ ターンが見られた. 3.自己相関図において,REM期の周期性に関 与する最大ピークの相関値の比較では,登校拒否 児全体では対照群と比較して有意差が得られな かったが,入院前の登校情況で分けると,全休し ていた群では少しでも登校していた群よりも相関 値が有意に低かった.

4.以上より,REM−NREMサイクルの周期性

異常は登校拒否状態,重症度に関連しているもの と推察された. 文 献 1)梅津亮二,草川三治:登校拒否児の睡眠脳波。小 児科学年鑑1985−1986,小児科の進歩5.pp182, 診断と治療社,東京(1985) 2)梅津亮二,大谷智子,草川三治:登校拒否児の終 夜睡眠脳波.臨床脳波 28:476−480,1986 3)Globus GG:Quanti且cation of the REM sleep

cycle as a rhythm. Psychophysiology 7:248−

253, 1970 4)鳥井鎮夫:睡眠の機能一適応行動としての睡眠 一.神経進歩 25:961−969,1976 5)飯島壽佐美,手島愛雄,八十澤晶ほか:周期性傾 眠症の睡眠ポリグラフィによる検討一特にREM 睡眠をめぐって一.臨床脳波 25:383−391,1983

参照

関連したドキュメント

学校に行けない子どもたちの学習をどう保障す

・西浦英之「幕末 について」昌霊・小林雅宏「明〉集8』(昭散) (参考文献)|西浦英之「幕末・明治初期(について」『皇学館大学紀要

当第1四半期連結累計期間における業績は、売上及び営業利益につきましては、期初の業績予想から大きな変

The key lemma required is a combinatorial version of Dehn’s lemma and the loop theorem for immersed surfaces of the type considered by Hass and Scott with an extra condition —

We shall henceforth assume that our maximal rank outer automorphism is represented by a relative train track map which satises the conclusions of Proposition 4.2.. Remark 4.5

当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業において、資源価格の上昇に伴う原材料コストの増加

て当期の損金の額に算入することができるか否かなどが争われた事件におい

Amount of Remuneration, etc. The Company does not pay to Directors who concurrently serve as Executive Officer the remuneration paid to Directors. Therefore, “Number of Persons”