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5 MWダウンウィンド風車および洋上風力用浮体式変電設備の開発

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Academic year: 2021

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(1)

5 MW

ダウンウ

ンド風車および

洋上風力用浮体式変電設備の開発

電力・エネルギーソリ

ーシ

Featured Articles

1.

 はじめに

化石燃料の枯渇問題や,地球温暖化問題,エネルギー ミックスの観点より,再生可能エネルギーに対する社会的 要求が高まっている。再生可能エネルギーの中でもコスト 競争力が高い風力発電は世界的に導入が進められており, 特に洋上ウィンドファームは,陸上適地の減少や,風速が 高くまた安定していること,騒音などの環境問題が発生し にくいことなどの優位性があり,国内外で多くの計画が立 てられている。 日立では,上記のような社会的要求に応えるべく,風力 発電設備を開発してきた。

2005

年には

2 MW

ダウンウィ ンド風車

HTW2.0-80

の実証機を設置し,これまでに国内 に累計

96

台を設置している。

2010

年には同機を国内初の 外洋に

7

機設置し,

2013

年は

8

機増設した。

2013

年には 国内初,世界でも

3

例目となる浮体式洋上発電設備を長崎 沖に

1

機,福島沖に

1

機設置した1)。 日立では現在,より経済性が高い

5 MW

ダウンウィン ド 風 車

HTW5.0-126

を 開 発 し て い る。 実 証 機 は

2015

3

月に 城県神栖市の沿岸の陸上に建設され,

2015

9

月 に商用運転を開始した。開発コンセプト1)や開発プロセス2) については既報のとおりであるが,ここでは実証機で実施 されている性能・機能試験について述べる。 また,遠浅な海岸が少ないわが国においては浮体式の風 力発電設備や変電設備が必要になる。世界初の浮体式洋上 変電設備の開発状況についても述べる。

2.

HTW5.0-126

の基本仕様および特徴

HTW5.0-126

は,台風が来襲する日本やその周辺地域

の環境を考慮し,極値風速は

IEC

International

Electro-technical Commission

)のクラス

I

を上回る

55 m/s

で設定 した。また,ロータ位置は,暴風停電時に優位性があり, また容易にタワーとのクリアランスを確保でき,日立のこ れまでの風車開発の経験を生かせるダウンウィンド風車と した。基本スペックを表1に,実証機の外観を図1に示す。 構造的には,信頼性を高めるため,中速ギアドライブ方 式,

2

軸受外輪駆動方式主軸,パッシブ冷却方式を採用し ていることに特徴がある。

清木

荘一郎   坂本

潔   稲村

慎吾

Kiyoki Soichiro Sakamoto Kiyoshi Inamura Shingo

飛永

育男   佐伯

満   横山

和孝

Tobinaga Ikuo Saeki Mitsuru Yokoyama Kazutaka

日立は,再生可能エネルギーの拡大という社会的要求に 応えるため,洋上ウィンドファームに適用できる機器の開 発を進めている。風力発電設備については,これまでの

2 MW

ダウンウィンド風車の経験を基に,信頼性を高め た

5 MW

ダウンウィンド風車の開発を行っている。実証機 は現在商用運転に移行しているが,本稿では試運転で実 施された性能・機能試験の内容および結果について述べ る。また,遠浅な海岸が少ないわが国においては浮体式 の洋上ウィンドファームが有望であるが,そこで必要になる 浮体式変電設備の開発状況についても記述する。 定格出力 5,000 kW ロータ直径 126 m ブレード枚数 3 ロータ位置 ダウンウィンド チルト角 −8 deg 出力制御 ピッチ・可変速 コーニング角 5 deg 極値風速 55 m/s 平均風速 10 m/s 乱流カテゴリ A 増速比 約1:40 発電機種別 永久磁石同期発電機 PCS方式 フルコンバータ

注:略語説明 PCS(Power Conditioning System)

1HTW5.0-126基本仕様

(2)

F eatur ed Ar ticles

3.

HTW5.0-126

の実証実験

3.1 発電性能試験

HTW5.0-126

実証機の近傍に,風車のハブ高さと同じ

90 m

高さの風況マストを設置しパワーカーブを評価して いる。サイト平面図および風況マスト側面図を図2に示 す。風況マストは風車の西南西約

300 m

の地点に設置し, 風速および風向の高さ分布や大気圧,気温,湿度を計測し ている。 計測されたパワーカーブを図3に示す。ここで,風車の 南側には東京電力株式会社鹿島火力発電所の鉄塔があるた め,風向が南のデータは解析対象から除外した。現在運転 方法を調整中だが,事前想定値に近い性能が得られること を確認した。 3.2 系統事故時運転継続試験

5 MW

ダウンウィンド風力発電システム

HTW5.0-126

は,系統事故により瞬時電圧低下が発生しても,系統電圧 低下レベルと電圧低下時間が規定の範囲内にある場合は, 解 列 す る こ と な く 運 転 を 継 続 す る

FRT

Fault Ride

Th

rough

)機能を標準装備している。本機能は,発電機と

PCS

Power Conditioning System

)の組み合わせ工場試験

を実施し,要求仕様を満たすことを確認している。図4が 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 電力 [ kW ] 風速[m/s] 計測 10 min 注: カタログ値 図3│パワーカーブ実測値 風況マストの風車ハブ高さの風速と電力との相関を描いたもの。事前に想定 していたカタログ値に近い性能が得られている。 図1HTW5.0-126実証機外観 城県神栖市に2015年3月に設置され,各種性能・機能試験が行われている。 風速計・風向計取付高 30° 鉄塔高 (避雷針含む)支線取付高 45,000 GL 30 , 000 60 , 000 90 , 000 63 , 000 84 , 000 93 ,000 2 , 500 6 , 300 9 , 000 9 , 000 9 , 000 9 , 000 9 , 000 9 , 000 9 , 000 9 , 000 8 , 700 89 , 500 87 , 000 88, 500 5,000 5,000 風況マスト 東京電力株式会社 鹿島火力発電所 鉄塔 HTW5.0-126 図2HTW5.0-126実証機サイト平面図および風況マスト側面図 発電性能把握のため,実証機の近傍に風況マストを建設し風速などを計測し ている。実証機サイト平面図はGoogleマップ3)より引用した。 注:略語説明 GL(Ground Line) 電源#1 電源#2 昇圧変圧器 試験発電機 (PMG) FRT回路 試験用モータ 発電機とPCSの組み合わせ試験ベンチ PCS 図4│工場試験構成(FRT機能確認) 試験対象の発電機を試験用モータで駆動し,PCSの系統出力側に電圧低下を 模擬するFRT回路を設けている。

(3)

工場試験の構成である。

FRT

回路により,系統事故時の 電圧低下を模擬した。図5に工場試験波形例を示す。系統 電圧の復帰後,日本国内の規定4)で定められた期間内に発 電出力が回復することを確認している。 さらに,系統事故時の運転継続試験は,

HTW5.0-126

実証機においても実施している。実証機における確認試験 は,電力会社に接続するための連系変電所と風車との間に

FRT

回路を挿入し,風力発電システム全体の挙動を確認 するもので,

2015

年度中の終了を予定している。 3.3 冷却性能試験

HTW5.0-126

実証機において,ナセル冷却,タワー冷 却は,ラジエータにファンを設けないパッシブ冷却方式を 採用し,冷却に必要な風量を得るためのナセル形状やラジ エータ配置について,流体解析を活用して設計した。 実証機の負荷運転時における,ナセル冷却システムとタ ワー冷却システムの,ラジエータ通過後の冷却水温度(外 気基準)とナセル風速との相関を,図6に示す。同図より, ナセル風速が高いときに,冷却水温度が低く冷却効率が高 くなる傾向が得られ,冷却システムの設計妥当性を検証す ることができた。 3.4 荷重評価試験 風車の設計においては,空力弾性解析により風車各部・ 各断面における荷重を算出し,それを入力条件として詳細 モデルに対する応力を

FEM

Finite Element Method

)など により算出し,強度評価を行う。したがって,風車の構造 健全性の評価には,上流となる荷重の検証を行うことが重 要となる5)。 現在,風車各部の荷重を検証中であるが,ここではブ レードルート部のフラップ方向曲げモーメント(以下,「フ ラップ曲げ」と記す。)についての検証結果を示す。計測 はフラップ方向の正圧側および負圧側に設置した歪みゲー ジにより行い,それらの差分を

2

で割ることで等価に加わ る遠心力などの影響を除去し,さらに換算係数を掛けるこ とで曲げモーメントを算出した。 発電時におけるフラップ曲げの評価結果を図7および 図8に示す。図7

10

分間データに対する平均値,最大 値, 最 小 値, 標 準 偏 差 で あ り,図8

DEL

Damage

Equivalent Load

)である。図中の「計測」は実測値,「設計」 は空力弾性解析ソフトウェア

BLADED

6) を用いた設計値 である。数値は

10 m/s

における

DEL

の設計値との比とし た。

DEL

は式(

1

)により算出した。

R

eq=(

R

im

n

i

/

n

eq)1/m (

1

)  −0.3 0.4 0.3 0.2 時間(s) 時間(s) システム有効電力出力(pu) 系統出力側電圧(kV) 瞬時電圧低下 0.1 0 −0.1 −0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 −0.2 −8 −6 −4 −2 0 2 4 6 8 −0.1 0  0.1 0.2 0.3 図5FRT機能試験波形例 電源電圧が0 Vまで低下し0.15 s間継続した例を示す。電圧復帰後0.1 s以内に 発電出力は回復している。 0 4 6 8 10 12 ナセル風速(m/s) タ ワ ー 冷 却 シ ス テ ム  冷却水温度 ( k ) 14 16 18 4 6 8 10 12 ナセル風速(m/s) 14 16 18 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 ナ セ ル 冷 却 シ ス テ ム  冷却水温度 ( k ) 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 図6│冷却水温度とナセル風速との相関図 ナセル冷却システムおよびタワー冷却システムにおいて,ナセル風速が高い ときに,冷却水温度が低く冷却効率が高くなる傾向が得られた。

(4)

F eatur ed Ar ticles ここで,

R

eq

DEL

R

i:疲労荷重スペクトルにおける

i

番目のビンの荷重幅,

n

i:疲労荷重スペクトルにおける

i

番目のビンの繰り返し回数,

n

eq:等価繰り返し回数(

600

),

m

:材質の

S-N

Stress - Number of cycles to failure

)曲線の 傾きである。 図7の平均値は実測値と設計値でよく一致しており,空 力弾性解析は実機の静的な挙動をよく再現できているとい える。また,最大値は実測が設計よりも小さく,最小値は 実測が設計よりも大きく,それに連動して図8の疲労荷重 は実測が設計よりも小さい。フラップ曲げの

DEL

につい ては発電時が支配的であり,フラップ曲げの影響が大きい 部位の疲労については問題ない可能性が高い。

4.

 洋上風力用浮体式変電設備の実証実験

日本近海は欧州の北海と違い遠浅の海が少ないために浮 体式が有力とされている。ここでは資源エネルギー庁の実 証研究事業として運用されている

2011

年度福島復興浮体 式洋上ウィンドファーム実証研究について紹介する。洋上 変電所外観を図9に示す。 4.1 洋上変電所機器の振動試験 昨今の変電設備は,過去の大地震の経験を生かし耐震性 の高い製品となっているが,浮体式は数十年に一度の台風 発生時に対する揺れに加えて,常時揺動する状況で使用さ れる。本事業では揺れに対する性能検証として,設計段階 で 十 分 な 検 討 を 行 い 開 閉 器(

66 kV

ガ ス 絶 縁 開 閉 装 置,

24 kV

真空絶縁開閉装置)類は,実際に加震機に乗せて性 能を確認した。主変圧器(

66 kV

25 MVA

)は重量が

50 t

を超え,対応できる加震機が極めて少ないため,揺れに相 当する加速を変圧器の傾きに置き換えることで模擬し性能 を確認した(図10参照)。 揺れ以外では,海上に設置するために塩害による発 (せい)・損傷の懸念がある。陸上設備との違いは保守性に ある。陸上施設では補修塗装や作業を最適に行える環境を 整えることは容易であるが,海上では制約があることを考 慮に入れて設計する必要がある。実際に屋外に設置されて いる機器は変圧器のみであるが,薄板材を使用するラジ エータは溶融亜鉛鍍金(めっき)および亜鉛溶射を行いメ ンテナンスが少ない方法をとっている。 1.5 1 0.5 0 4 ブレ ー ド1 フラ ッ プ方 向 曲 げ モ ー メ ン ト のDEL 比( − ) 5 6 7 8 9 風速(m/s) 計測 設計 注: 10 11 12 13 14 図8│ブレードルート部フラップ方向曲げモーメント疲労荷重 10分間平均風速に対してブレードフラップ曲げの10分間疲労等価荷重を図示 したものである。

注:略語説明 DEL(Damage Equivalent Load) 2.5 2 1.5 1 0.5 0 −0.5 −1 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 ブレ ー ド 1 フラ ッ プ方 向 曲 げ モ ー メ ン ト 比( − ) 風速(m/s) 計測最小 計測平均 計測最大 計測標準偏差 設計最小 設計平均 設計最大 設計標準偏差 注 : 図7│ブレードルート部フラップ方向曲げモーメント統計値 10分間平均風速に対してブレードフラップ曲げの10分間統計値を図示したも のである。 図9│洋上変電所外観 変電所規模は66 kV1回線受電,変圧器出力は25 MVAとなっている。変電設 備は上部デッキ内に収納されている。場所は福島県小名浜沖で手前が変電所, 奥が日立2 MW風車である。(写真提供:福島洋上風力コンソーシアム)

(5)

4.2 実証実験

2013

10

月受電以降,約

2

年間の運用実績となり,何 度か大きな台風も経験しているが,動揺によるトラブルお よびその他トラブルもなく運転を続けている。屋外に露出 されている変圧器に関しても塩害の影響は想定レベルに収 まっている。今後は将来に向けたコスト低減・設計評価を 実施していく予定である。

5.

 おわりに

本稿では,

5 MW

ダウンウィンド風車

HTW5.0-126

性 能・機能試験の内容や結果および浮体式変電設備の開発状 況について述べた。 今後は,騒音なども含めた性能・機能試験をさらに実施 し,特性の把握や改善を図る。また,新たな制御方法の検 証にも取り組む。それらを通じて高性能・高信頼性の機器 を社会に提供していく。 謝辞

5 MW

洋上風力発電機

HTW5.0-126

の開発においては, 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (

NEDO

)よりご支援いただき,感謝申し上げます。 福島復興・浮体式ウィンドファーム実証研究事業におい てはコンソーシアム各位よりご協力いただいており,お礼 申し上げます。 1) 佐伯,外:5 MW洋上風車および2 MW浮体式洋上風車の技術開発,日立評論, 96,5,341∼346(2014.5) 2) 飛永,外:日立製作所5MW機の技術開発,実証,今後の展開,風力エネルギー, Vol.39,No.1,pp.93-96(2015) 3) Googleマップ,https://www.google.co.jp/maps 4)日本電気技術規格委員会,系統連系規程JEAC9701-2012(2012)

5) International Electrotechnical Commission, Wind turbine generator systems - Part 13: Measurement of mechanical loads, IEC TS 61400-13:2001, First edition

(2001.6)

6) GL Garrad Hassan, Bladed, Version4.4.0.121(2014.8)

参考文献など 清木荘一郎 日立製作所電力システム社日立事業所風力発電システム部所属 現在,風車の開発業務に従事 日本風力エネルギー学会会員 坂本潔 日立製作所電力システム社日立事業所風力発電システム部所属 現在,風車の開発業務に従事 博士(工学) 電気学会会員 稲村慎吾 日立製作所電力システム社日立事業所風力発電システム部所属 現在,風車の開発業務に従事 博士(工学) 電気学会会員 飛永育男 日立製作所電力システム社日立事業所風力発電システム部所属 現在,風車の開発業務に従事 日本風力エネルギー学会会員 佐伯満 日立製作所電力システム社日立事業所所属 現在,風車開発プロジェクトに従事 技術士(電気電子部門) 電気学会会員 横山和孝 日立製作所エネルギーソリューション社 ソリューションシステム事業部電源システム部所属 現在,国内・海外の受変電システムの拡販に従事 技術士(電気電子部門) 執筆者紹介 図10│変圧器傾き試験 日立製作所国分事業所にて行った変圧器傾き試験の様子を示す。

表 1 │ HTW5.0-126 基本仕様

参照

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