小特集
金融機関におけるシステムイノベーション
∪・D・C・る81・324.022:〔33る.717:る59.23〕
株式会社富士銀行における顧客情幸艮サービス
システムの開発
BankinglnformationServiceSYStemforCustomersinFuji-Bank
銀行を取り巻く急速な環境変化を背景として,新しい金融商品や金融サービスの 提供競争が激化しており,また先進都市銀行を中心に,第3次オンラインシステム の開発が進展している。 この環境下に株式会社富士銀行では,銀行の取引先に対する各種情報サービスの 窓口となる顧客情報サービスシステムを開発し,第3次オンラインシステムの中核 を担うエレクトロニックバンキングシステムとした。本システムは,サービス向上,信頼性向上など,数々の設計配慮がなきれており,本格的な顧客情報サービスシス
テムとなっている。 本論文は,この顧客情報サービスシステムの概要,システムの特徴,及び今後の 展開方向について論述する。l】
緒
言 株式会社富士銀行では,収益重視型経営への対応,競争の 激化への対応をねらいとして,従来の銀行業務の思想に革新的なメスを入れた第3次総合オンラインシステム``F-TOPS''(Fuji-TotalOnline Processing System)を開発中で ある。この新総合オンラインシステムは,匡=に示すとおり 六つのサブシステムから構成されている。
顧客情報サービスシステム"FENICS''(FujiExternal
Network andInformationConnectionSystem)は,汎用コ ンピュータ,パーソナルコンピュータ,電話,ファクシミリ, テレックス,CAPTAIN(CharacterandPatternTelephoneAccess Information Network System),ANSER
(Automatic answer Network System for
ElectricalRe-quest)などのメディアによr),決済情報,投資運用情報を企 業,家庭へとサービスし,ファームバンキング,ホームバン キング,ホームショッピングなどをつかさどるエレクトロニ ックバンキングシステムである。
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システムの概要
2.1 システムの構成 (1)ハードウェア構成 本顧客情報サービスのコンピュータシステムは,図2に示 すように,東京センターにホストコンピュータ(HITAC M-260H)を設置し,同センター内の勘定システムと自営の音声 応答システム(東京地区用2台,大阪地区用2台)とを回線接 続している。また,外部ネットワークシステムとして,ANSER システムとCAPTAINシステム(ANSER経由)とを公衆網に よって接続するとともに,パーソナルコンピュータ,汎用コンピュータなどについては,公衆網及びDDX(DigitalData
Exchange)綱で接続している。 (2)ソフトウェア構成 図3に,本顧客情報サービスシステムを実現するためのソ フトウェアの構造をまとめて示す。コントロールシステムと しては,大形のオペレーティングシステム``vOS3''(Virtual *口上;虹作所大森ソフトウェア丁場 新情報システム豊島昌洋*
ル払αんわ℃乃ユりざ/∼g〝∽島田武史*
九鬼ピ∫ゐ才Sんわ卿血 ファーム・ホームバンキング 顧 客 情 報 サービスシステム 新勘定システム 証券システム 新営業店システム 注:略語説明CMS(Cash Ma[agement Se川Ce)
F-TOP(叫--Tota【0州l[e Proccesslng)
国際総合システム
海外へ 国際CMS
図I F一丁OPシステム概念図 第3次総合オンラインシステム(F一丁OP
システム)は,六つのサブシステムから構成されている。
StorageOperatingSystem3),通信管理システムはVTAM
(VertualTelecommunication Access
Method)/BTAM
(Basic Telecommunication Access Method)を使用してお
り,全銀協標準通信手順,ARS(AudioResponseSystem)手 順,ANSER手順などの各種プロトコルが標準的にサポート されており,ユーザー開発負担を軽減している。 業務処理の構造として,メディアをサポートする部分と業 務をサポートする部分とに分け,プログラムの独立分離を図 っているため,拡張性,開発効率の向上,信頼性の向上が図 られている。 2.2 メディアとサービス内容
メディアとしては,電話(プッシュホン,ダイヤルホン),
ファクンミリ(GII,GIII,ミニファックス),キャプテン端末,
テレックス,汎用コンピュータ,パーソナルコンピュータの 6種類がある。サービスの内容としては,振込入金内容の照 11506 日立評論 VOL.67 No.7(1985一了) 東京センター 通信制御 装 置 顧 客 情 報 サービスシステム (M-260H) 通信制御 装 置 ARS (H-1200) FRS (E-600) SRU FRU FRU F/TAC (OKl-50/60) ANSER ARC
コ
ARE 公 衆 網 テレックス網 公 衆 網 ビ デ オ テックス網 D D X 網[コ
電 話 (プッシュホン,ダイヤルホン) ファックス(GII,GIll) テレックス 電 話 (プッシュホン,ダイヤルホン) ファックス(ミニファックス) キャプテン端末 注:略語説明ARS(Audio Response System)
FRS(FacsimileR叩0=.SeSystem) SR〕(Speak什1gRecognltion U山t)
FRU(Facs仰‖e Response U〔it)
F/TAC(F叫/Telex Automatic
CommunやtionSystem)
ANSER(AutomatlC anSWer Network
System for E†ectrlCal
Request)
ARC(Audio Response Controller) ARE(A=dio Response Equipme〔t) DDX(DigitalData Exchange) CCP CP〕 汎用コンピュータ パーソナル コンピュータ 電 話
(芸才右左票:)
テレックス ファクシミリ (GIl,GIII,ミニ) キャプテン端末 勘定システム ECS/ NCP BCP「 ̄蒜
ンター ARS (H-1000)  ̄「
SRU FRU F/TAC (OK卜50/60) 公 衆 網 公 衆 網 テレックス網日
VOS3 TMS-4V ECS/ VTAM BTAM ホスト接続 プロトコル 全銀協標準 通信手順 (パーソナル コンピュータ) ARS/FRS(フ雪クシ讐り)
テレックス アプリケーション メディア制御部 ホ ス ト A R A /。 S N コノヽ ンl ピソ ユナ lル タ / S F [ R S R 業務共通処理部 業務処理部 7 ̄ l タ 才辰 込 入 残 ∃監 積 処 金 i亀 r司 日召 知 連 王里 絡 A :=; FMB AFM ファイル伝送 H肝IT,H凧T/ZGN 会・通知連絡,預金口座の残高の照会,振替処理の受付・照会など多種多様なサービスをサポートしている。表lに,現
在サポートしているサービス内容とメディアの対応を示す。 2.3 処理形態 本システムは,処理形態面から分類すると,通知連絡型, ファイル伝送型,問合せ型,依頼型の四つの基本パターンに 分かれる。現在このパターンのうちで主音克となっているのは, 通知連絡型とファイル伝送型であるが,今後情報のリアルタ イム性とオンラインデマンド性という観点から問合せ型が増 えてくるものと予想される。 12 汎用コンピュータ 汎用コンピュータ パーソナル コンピュータ 電話(妄言右左票;・)
ファックス (GlI,GIIl) テレックス 区12 雇員客情報サービス システムのハードウェア 構成 本システムは,勘定 システム,自営の応答システ ム(東京・大阪地区),外部ネッ トワークシステムを回線接続 し,多種・多様のメディアを サポートしている。 注:略語説明VOS3(Virtualstorage Operating System3) TMS-4V(Transaction Management
System-4V)
FMB(File Managerfor Banks)
AFM(Attached File Management program)
ECS/VTAM(Extended Commun】Cat10n
Support/VirtualTe弓ecommunlCation
Access Method)
ECS/NCP(ECS/Network ControIProgram)
BTAM(Basic Telecomm]巾cat旧n Access Met仙d)
BCP(Basic ControIProgram)
CPU(CentralProccessing Unit)
CCP(CommunjcationControIPro?CeSSOr)
HtFIT(High LevelFile Transmiss10n PrOgram)
H肝汀/ZGN(HIFlT/Zengin) 図3 雇頁客情報サービスシステムのソフ トウェア構成 本システムは,各種プロト コルを標準的にサポートしており,ま.た業務処 王里は,メディアと業務の分離により開発を容易 にLている。 2.4 データベースの構造
本システムは,顧客情報の一元管理を目的としてデータベ
ース構造が作られており,図4にデータベースの関連図を示す。顧客に関する契約情報・各種通知連絡情報などを一元管
理する加入者マスターを中心とした加入者管理テー一夕セット
群と,業務の遂行に必要な各種情報を蓄積する業務情報蓄積
データセット群から構成されている。加入者管理データセッ ト群は,(1)口座番号をシステム内加入者キーに変換する口座 番号変換データセット,(2)顧客への通知連絡データの送達管 理をする加入者管理テーブルデータセット,(3)加入者番号を表l メディアとサービス内容 多種多様なメディアをサポートLて おり,サービスとの組合せ選択の自由度を図っている。 項 番 メディア サービス内容 ARS/FRS ANSER キ ヤ プ テ レ ツ ク ス 汎 用 =l ン ノヽ l ソ ナ ノレ プ ツ ダ イ フ ア プ 'ニノ ダ イ 7 ア シ ヤ ク シ ヤ ク 7 ̄ ピ =】 ン■ ユ ノレ シ・ ユ ノレ シ ン ユ ピ ホ ホ ホ ホ 端 】 ユ l ン ン り ン ン リ 末 タ タ I 入 出 金 明 細 通知 〔〕 (⊃ (⊃ ⊂) (⊃ ⊂〕 ⊂) 〔_〕 照会 ⊂〕 ⊂) ⊂) ○ ⊂) ○ ⊂) 2 振 込 入 金 通知 ⊂) (⊃ (⊃ 0 (〕 (⊃ ○ (⊃ 照会 ⊂) 〔〕 (⊃ (⊃ 〔〕 (つ (⊃ 3 取 立 入 金 通知 ⊂) (⊃ ⊂) ⊂) ⊂) 〔⊃ ⊂) (⊃ 照会 (つ (⊃ 〔〕 〔〕 〔 ̄〕⊂) ⊂〕 4 預 金 残 高 通知 ⊂) ⊂) ⊂) 〔⊃ 照会 ⊂) (⊃ (⊃ ⊂) (⊃ ○ ⊂) ⊂) 5 外国為替取引 通知 〔つ ⊂) (⊃ ⊂) 照会 ⊂) 6 外国為替相場 通知 ⊂) 〔二〕〔つ ⊂1 照会 ⊂) 7 外国為替ニュース 通知 ⊂) 〔〕 (二つ r⊃ 照会 ⊂) 8 娠 菅・一振 込 受付 ⊂) (二二〕 〔〕 r〕 照会 ⊂) 〔〕 (⊃ (⊃ 9 金融情報サービス 通知 〔〕 システム内加入者キーに変換する加入者変換データセットか
ら構成されており,FMB(File Manager for Banks)を使用
したVSAM(VirtualStorageAccessMethod)データセット
である。業務情報蓄積データセット群は,顧客への入出金明細情報,振込入金情報などの通知連絡データを日別(7日間保
有)に登録するデータセット群で,AFM(Attached File Management program)を使用したBDAM(Basic DirectAccessMethod)データセットである。またデータベースは,
性能面,運用面から店群構成をとるとともに分散化を図って いる。田
システムの特徴
3.1 サービスの向上 (1)顧客ごとにサービス及びメディアの選択の自由化 振込入金サービスは電話(プッシュホン),取立入金サービ スはファクシミリ,振替・振込サービスはキャプテン端末と いった具合に,顧客が契約時に複数サービスの選択が可能で あり,またサービスごとにメディアの選択が可能となってい る。 (2)通知連絡のきめ細かなサービス 通知連絡方法として,データの発生の都度通知する都度通知連絡,定刻に通知する時刻指定通知連絡,翌日の早朝に通
知する翌日一括通知連絡などがあり,顧客が契約時に上記の 選択を可能としており顧客へのサービスが図られている。 3.2高信頼性システムの実現
(1)ホットスタンバイの採用 CPU障害,ソフトウェア障害などにより待機系CPUでオン ライン再開始する場合,オペレータによる判断時間,また手 動によるデバイスの切替時間が必要であったが,システムコ ンソールにより瞬時にCPU,オンラインデバイスの切替えを行なう(ホットスタンバイシステム)ため,オペレータ判断が
入らず,切替えによるオペレーションミス防止が図られる。「≡
株式会社富士銀行における顧客情報サービスシステムの開発 507 加入者管理データセット群 ち タ ト 加 入 者 管理テーブル データセットゝミニこ
入出 金 明細情報 振込関係 情 報 加 入者 マスターさモ
取立情報 加入者番号 変換データ セ ッ ト「
_+
業務情報蓄積データセット群云「
外国為替 関係情報++
図4 データベース関連図 加入者マスターを中心とLた加入者管理デ ータセット君羊と業務蓄積データセット群から構成されており,各蓄積データセ ットは,店群構成をとるとともに分散化を図っている。 (2)各種機器グ)縮退及び代行 自営のARS,FRSで,機器のハードウェア障害時,障害機 器を閉そく し別機器でサービスの継続を可能としておr),ま た一部のサービスについては,ANSERで代行が可能である。 通信機器及び回線では,二重化構成となっており,片系で障 害が発生した場合,他系の通信機器又は回線によってサービ スの継続を可能としている。 3.3 セキュリティへの配慮 暗証番号と加入者番号の併用により,本人確認を行なうと ともに,ファイル上,紙面上での暗証番号のスクランブルな どによりセキュリティヘの配慮を行なっている。 3.4 拡張性の確保 (1)他システムとの接続の容易性 ANSER,CAPTAINシステムなどの外部システムとの接 続については,各種プロトコルが標準的にサポートされてお り,また他ホストコンピュータとの接続(異機種間)について は,標準ホスト間プロトコルをサポートし,接続が容易とな るように配慮している。 (2)データベースの一元管理 データベースを一元管理することによって,他ホストコン ピュータとのデータ重複を避けるとともに,管理運用面での 統一を図っている。また将来新しいメディアへの拡弓長,サー ビスの拡張を容易とするデータベース構造を採用している。 (3)縦割りプログラム構造 プログラム構造は,メディア制御部分と業務部分の独立分 離を図るため,縦割りプログラム構造を採用しておr)新しい サービスヘの迅速な対応を可能としている。 3.5 事彙作性の向上 (1)コマンドの自動スケジュール化 業務の開始・終了,ANSER・勘定システムなどの開始・終 了などのコマンドを,タイマ制御で自動スケジュールするこ とによって,オペレータ操作の向上が図られている。 (2)システムコンソールのヨ采用デバイスの個別切替えなどで,安全性・迅速性のため,シ
ステムコンソールによる集中切替えをサポートしておr),オ 13508 日立評論 VOL.6了 No.7(1985-7) 顧 客 情 報 サービスシステム 決済情報サービス 取引情報サービス ●残 高 情 報 ●取引明細情報 ●外国為替取引明細情報 投 資 運 用 情報サー ビス コンサルティング 受託サービス 資金移動サービス ●給 与 振 込 ●総 合 振 込 ●資金集中・分配 金融情報サービス ●金融市場情報 ●外国為替市場情報 ●証券市場情報 図5 顧客情報サービスシステムのサービス てゆ〈。 銀行システム 顧客情報 サービス システム 顧 客 情 報 データベース ●顧客情報 ●口座こと情報 投資運用情報 データベース など ●決算情報サービス ●投資運用情報 サービス ●コンサルティング 受託サービス 経済情報サービス ●経 済 情 報 ●一 般 情 報 資金運用コンサルティングサービス ●財 務 分 析 ●財 務 管 理 ●ポートフォリオセレクション 一般受託サービス ●財 形 貯 ●年 金 業 ●社 内 預 蓄務金 現在の決済情報中心のサービスから今後投資運用情報サービス,コンサルティングサービスへと拡大L 通信網 公衆網 DDX網など メ デ ィ ア コンピュータ ルタ けぃ 一ン パコ
岩咽国
電(ANSER経由)話 ファクシミリ (ANSER経由) 家庭テレビジョン (CAPTAIN経由) CATV ベレータ操作の向上が図られている。 (3)豊富なコマンド 本システムで,トラフィック状況照会,加入者状況照会な ど豊富なコマンドによって運用を容易にしている。 3.6 開発・保守の生産性向上標準DB/DC(TMS-4V二
Transaction Management System-4Vなど)及び高級言語PL/Ⅰを開発・保守の生産性 向上のため全面的に採用してお-),また自動ドキュメントシ ステム(ADCAS:AutoDocumentationAidSystem)の利用 によりドキュメント保守の容易性,精度向上が図られている。【l
今後の展開方向
4.1 サービス内容の拡大 図5に,顧客情報サービスシステムでのサービス内容につ いてまとめて示す。現在のサービス内容は,取引明細情報,給与振込,資金移
動などの決済情報が主i克とな-),事務処理の合理化に貢献し
ているが,今後は,顧客の経営,経済活動に寄与する投資運 用情報サービス,コンサルティングサービスなどの情報系サービス,更には,受託サービスヘと拡大し,真に顧客ニーズ
にマッチした情報提供をしてゆくことが必要となる。 4.2 メディアの拡大 エレクトロニクス技術,通信技術の進展により,現在,使 われている電話,ファクシミリ,パーソナルコンピュータ, テレビジョンなどが基本となり,今後,多種多様なメディアが開発されてくると思われる。図6は,顧客情報サービスシ
ステムで想定されるメディアを示したものであり,新しいメ 14 サービス対象 企業(.スプ占多)
家庭(宍ン妄ン多)
注:略語説明CATV(CommunltY Antenna TelevIS10∩)
図6 雇頁客情報サービスシステ ムのメディア 電話,ファクシミ リ,パーソナルコンピュータ,テレビ ジョンが基本となり,今後多種多様な メディアが開発されてゆく。 ディアを積極的に接続してゆくことになる。 従来,使用されていたテレックスは,処理速度,データ精 度などの点から,今後はファクシミリ(ミニファックスも含 む。)が増加してゆく ものと思われる。またパーソナルコンピ ュータは,決済情報サービスの問合せ応答処]璽,ファイル伝 送処理にも適しており,価格も低下してきているため,今後 大いに普及してゆく と思われる。また昭和59年11月から稼動 を始めたCAPTAINシステムは,ホームショッピング,ホー ムリザベーションなどの分野に活用され,ホームバンキング とのつながりをもって進展してゆくものと思われる。