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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 利用統計を見る

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質

著者名(日)

笠原 俊宏

雑誌名

東洋法学

41

2

ページ

315-344

発行年

1998-03-15

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000474/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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︻研究ノート︼

   リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質

  目 次 一 緒言 二 法典化の経緯 三 総則規定の内容と特質 四 各論規定の内容と特質 五 結語 ︵参考資料︶ 国際私法に関する一九九六年九月一九日法律

東洋法学

緒  言  近時、欧州諸国において国際私法の法典化ないし改正が相次ぐ中にあって、リヒテンシュタイン公国の国際私 法の改正作業が進行していることについてもすでに報じられており︵ωけ9βN貫田3冨屋鼠昌一ω畠窪弓勾− 315

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 国Φ︷自βぼ勾8辟葵o臣ωδ器P閃Φωけω。日洋臣﹃国①巨﹂8押ψ駐㎝顕︶、その作業の完成がまさにまたれていたとこ ろである。一九九七年一月一日から施行されている同国の新しい国際私法は、主として、次の二つの法律である。 すなわち、そのひとつは、一九九六年九月一九日の﹁国際私法に関する法律﹂︵一九九六年一一月二八日付同国ラ ント官報一九九六年第一九四号︶であり、いまひとつは、一九九六年一〇月三〇日の﹁人事法および会社法の改正 に関する法律﹂︵一九九七年一月一七日付同国ラント官報一九九七年第一九号︶である。前者は、五六箇条にわたる 独立の国際私法典として新規に立法化されたものであり、後者は、一九二六年一月二〇日の﹁リヒテンシュタイ ン民法典・人事法および会社法﹂中の国際私法規定が大幅に改正されたものである。なお、﹁国際私法に関する 法律﹂の施行に伴う関連法の改正︵廃止︶についていえば、それは、前出﹁人事法および会社法﹂中の諸規定の ほか、一八一一年六月一日の﹁普通民法典﹂、一九二二年一二月三一日の﹁リヒテンシュタイン民法典・物権法﹂、 一九一一年一二月四日の﹁外国人の遺産の処理に関する法律﹂等の法律中の諸規定にも及んでいる︵﹁国際私法 に関する法律﹂第五四条参照︶。  この小稿は、前記の二つの法律の中、とくに、国際私法総論規定、国際人事法、国際家族法、国際相続法、国 際物権法、国際債権法を包括している﹁国際私法に関する法律﹂の内容を紹介するとともに、その特質を明らか にしようとするものである。また、その目的のため、リヒテンシュタインの近隣諸国であるオーストリア、スイ ス、ドイツ、イタリア等の国際私法についても言及し、若干の比較立法的検討を試みることとしたい。 316

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二 法典化の経緯

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 もとより、広範な国内市場を有する国々と異なり、リヒテンシュタインのような小国にとっては外国と関わり 合う確率は高く、従って、同国において伝統的に抵触法の果たしてきた役割は大きい。そのような事情は、前出 ﹁人事法および会社法﹂中の極めて詳細な抵触規定の存在からも窺い知ることができる。しかし、新立法の施行 以前、リヒテンシュタインにおいては、単一の国際私法典は存在せず、その法源はすでに言及されている前記の 諸法中に散在している状態であった︵それらの諸法の邦訳については、笠原俊宏﹃国際私法立法総覧﹄︵冨山房、平成 元年︶三九五頁以下︶。かくして、リヒテンシュタインにおいては、常に、その国際私法事情に適合した国際私法 の法典化が求められる状況の下にあったが、とくに八十年代を迎えてからは、例えば、同国高等裁判所一九入七 年三月一三日判決︵妻嚢詠駄8帖ミ鳴ミ轟§ミ§、嵐ミト§栽隷さミ§簑螂罫冴︵以下、箆嚢として引用︶一。。ρω﹂。ε にも見られるように、裁判実務においても、既存の抵触規定をもってしては、今日の商取引に十分に対処するこ とができなくなっていたといわれている ︵︾︾署鼻幻庶o§琶α内&凶臨ざ寓9号ω一一9巨窪ω什α巳零冨俳 ﹃富旨讐δづ巴窪℃ユ奉霞①o窪ρ肉息塾N轟題ミ簿慧マ§⇔轟§&象書。リミ§織暁ミミミ織§ミ翁、嵐ミ誉§ミ︵以下、肉&塾Nと して引用︶一〇。8ψ弩民参照︶。  その必要性に迫られて開始された集中的な作業の成果として提示されたのが、リヒテンシュタイン政府の手に        ク なる一九九一年の第一次草案である。これは、それまでの分散していた法源を取りまとめ、また、欠鉄の多い抵 3

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 触規定を補うことをその提案の理由とするものであり、また、オーストリア国際私法を模範として、それと広範 に一致するものであった︵なお、同国国際私法については、笠原・前掲書七〇頁以下︶。そして、それに対する様々 な機関および利害関係団体からの見解が聴取された後に結実したのが、一九九二年一〇月二七日の第二次草案で ある。それは、初めてリヒテンシュタイン法上の物権の特質が顧慮されたものであるといわれている。さらに、 同草案は、一九九四年に設置された議会内の委員会による改訂を経た後、一九九六年七月五日の委員会草案とし て採択された。その最終草案が法案として同国のラント議会に提出され、それが、一九九六年九月一九日、可決 されたことにより、同国の最初の国際私法典が誕生するに至った︵︾E9騨鉾ρω6寅参照︶。 三 総則規定の内容と特質  第一条ないし第一一条が総則規定である。その構成の大枠および内容はオーストリア国際私法のそれとほぽ一 致している。しかし、いくつかの重要な規定において、同国国際私法と異なるものがあり、また、同国国際私法 に置かれていない規定も散見される。それらを中心として、次に言及することとしたい。  まず、第一条は、国際私法の基本原則に関する規定である。それについては、渉外私法関係の準拠法の選定に おける基本理念を﹁事実関係が最も強い関係を有する法秩序﹂︵最密接関連法︶への連結であるとしていない点 が指摘されるべきであろう。そのような連結は、二次的なものであって、まず、何よりも﹁本法または他のいず れかの法規定︵送致規定︶﹂に従った連結が優先されている。この点において、オーストリア国際私法第一条が 318

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﹁最も強い関係が存在する法秩序﹂への連結を同法の全般にわたる法理であるとし、個別規則がその原則の表現 であると嘔っていることとの違いが注目される。  次に、反致に関する第五条第一項もオーストリア国際私法第五条第一項および第二項と異なる立場を採るもの として注目される。すなわち、後者が、外国法の指定を総括指定説の立場から、一定の範囲において転致を認め ているのに対して、前者は、実質法指定説の立場を明文をもって表明している。それにもかかわらず、外国法が リヒテンシュタイン法へ反致する場合には、それが考慮されるという狭義の反致は認められている。これは、改 めて指摘するまでもなく、わが法例と同様の立場である。この立場については、やはり、国際主義の観点からみ て、オーストリア国際私法に比して後退するものであると評すべきであろう。もっとも、多数法国法の指定の場 合においては、間接指定主義が採られており、それに拠ることができないときは、最も密接な関係の原則に拠る ことになる︵第五条第二項参照︶。  一方、オーストリア国際私法に存在しない規定として、住所および常居所の概念を定義する第九条が挙げられ る。その内容そのものを見る限り、スイス国際私法第二〇条︵笠原・前掲書一三三頁︶を原型とするものである ことが推知される。  以上のほか、注目されるべき点としては、いずれもオーストリア国際私法上の立場と同一であるが、属人法に おける本国法主義が採られていることである。重国籍者の本国法については、最も強い関係が存在する国の国籍 が基準とされており︵実効的国籍の理論の採用︶、その場合において、常居所は必ずしも決定の基準とはされて 319

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 いない︵第一〇条第一項︶。常居所が基準とされるのは、無国籍または国籍不明の場合である︵同第二項︶。避難 民およびそれに準ずる者の属人法については、まず、住所が基準となり、それがないときにのみ、常居所に基準 が求められる︵同第三項︶。しかし、オーストリア国際私法と比べてみて、本国法に代えて常居所地法がより積 極的に採用されていることは、後にみられる通りである。  さらに、公序に関する第六条が外国法の適用の排除の理由として掲げているのは、﹁リヒテンシュタイン法の 基本的価値と相容れない結果﹂であり、その場合においては、﹁必要な場合において﹂リヒテンシュタイン法が 適用される。これと類似した外国法適用の排除基準を設定しているものとして挙げられるのが、ドイツ国際私法 第六条である。すなわち、﹁ドイツ法の本質的原則と相容れない結果﹂がそれである︵笠原・前掲書二四三頁参照︶。  さらに、また、各論規定において比較的に広範に認められている当事者自治との関連において、それに関する 一般規定が置かれていることも特徴的である。それにより、選択された法が抵触規則を含むか否か、黙示意思の 推定の要否、第三者保護に関する問題の解決が明らかにされている︵第一一条参照︶。  なお、法律回避に関する規定は置かれていない。 320 四 各論規定の内容と特質  各論規定は、人事法︵第一二条ないし第一六条︶、家族法︵第一七条ないし第二八条︶、相続法︵第二九条および第 三〇条︶、物権法︵第三一条ないし第三七条︶、無体財産法︵第三八条︶、債務法︵第三九条ないし第五三条︶をもっ

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て構成されている。ここにおいても、その基本的な構成はオーストリア国際私法のそれとほぼ同様である。しか し、同国国際私法に存在しない規定、および、それと異なる内容の規定が少なくない。そして、そのような規定 の中にスイス国際私法の立場に接近するものが散見される点が、比較立法における特徴として指摘されるべきで あろう。  予め、新立法の特質として整理すれば、次の三点を指摘することができる。すなわち、第一に、属人法におけ る原則としての本国法主義が徹底されたものではなく、むしろ常居所地法が基準とされている規定が少なくない 点である。第二に、当事者自治に関する規定が比較的に多く、当事者の意思の尊重がかなり顧慮されている点で ある。そして、第三に、未成年者である子、消費者、労務者等の弱者保護の立場が徹底している点である。  まず、第一の点について、属人法事項に限っていえば、例えば、婚姻の身分的効果に関する第一九条において、 それについて、夫婦の同一常居所地法、最後の同一常居所地法の段階的連結の立場が採られている。その立場は、 別居および離婚の成立要件および効果についても全面的に採られている︵第二一条参照︶。また、子の嫡出性およ び準正の効果および非嫡出性の効果については、子の常居所地法が基準とされ︵第二五条、第二六条第二項︶、婚 外子の母のその子の父に対する請求権︵同第三項︶、および、養子縁組の効果︵第二七条第二項︶についても同様 である。  第二の点については、次に掲げる規定においてそれが認められている。すなわち、夫婦財産制について、夫婦 の同一常居所地法、婚姻住所地法、夫婦のいずれか一方の本国法からの法選択を認める第二〇条、相続について、 321

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 終意処分または相続契約により、被相続人の本国法または最後の常居所地法からの法選択を認める第二九条がそ れらである。契約については、第三九条ほかにおいて、弱者保護が顧慮されつつ、広範に当事者自治が認められ ている。それについて、オーストリア国際私法との比較においていえば、その導入が相続の分野にまで拡大され ていることが指摘されるべきであろう。このことの背景として、近年におけるハーグ国際私法条約の進展がある ことはいうまでもない。  第三の点については、まず、子の保護として、嫡出性に関する第二二条および後婚による準正に関する第二三 条が、それらの成立のため、﹁子にとってより有利な属人法﹂の択一的連結を定めているほか、嫡出宣言による 準正に関する第二四条および養子縁組の成立に関する第二七条第︼項が、子の属人法上の要件をも考慮すべきと する保護条項を定めている。この点はわが法例ともほぼ同様である。また、消費者契約に関する第四五条第二項 および第三項は、それぞれ、﹁消費者の不利になる法選択﹂および﹁消費者の保護を減少させる法選択﹂は顧慮 されないものと定めている。さらに、労働契約に関する第四七条第三項は、﹁明白な法選択もそれが労務者の不 利に行なわれている場合﹂には顧慮されないと定めている。  以上のほか、身分行為の保護を顧慮した規定も少なくない。例えば、第一八条第二項は、リヒテンシュタイン 法の視野から見て有効に解消されている婚姻の当事者の再婚について、その属人法にかかわらず、それが可及的 に認められるべきであるとの立場が明らかにされており、また、第二一条第二項は、別居および離婚についても、 本来の準拠法に依ればそれが許されない場合において、原告配偶者の属人法の適用を補則として認めている。婚 322

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外親子関係の成立に関する第二六条第一項もまた、その可及的な成立のため、子の出生当時の属人法の適用を放 棄して、その後の属人法に依ることを認めている。これらの規定は、いずれも、当事者の実質的利益を考慮しよ うとする立場を抵触規則に導入したものである。  しかし、扶養の準拠法に関する規定は置かれていない。従って、要扶養者の保護の理念は、明文規定としては 存在しておらず、解釈上、個々の身分関係の効果として、それぞれの準拠法がそれについて規律することになる ものと考えるほかはない。 五 結  語

東洋法学

 オーストリアとスイスの狭間に位置する小国リヒテンシュタインであるが、国際私法に着目する限り、それら 両国との関係においてのみならず、欧州の中にあっても、現代的理念に基づいた国際私法立法を有する国のひと つとして位置付けることができるであろう。しかし、新立法が手本としたのが一九七八年のオーストリア国際私 法であることもまた疑う余地はない。リヒテンシュタインの独自性が強調されながらも、オーストリア法に傾倒 するリヒテンシュタインの法体系の伝統的特質はやはり否定し難い。民事法の基本原則である一八一一年の﹁普 通民法典﹂そのものがすでにオーストリア民法典の継受であり、そのことが、右に述べられたような特質の一面 を如実に物語っている。国際私法においても、重要な問題については、議会における審議や態度決定をみる限り、 独自の道を歩んでいるとはいえ、新立法の構成、文体、用語等は正しくオーストリア国際私法のそれである。そ 323

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 のため、時として、同一の内容を有する規定の解釈においては、オーストリア判例が引き合いに出されることが ありうることも示唆されている︵ρ囚o巨9囚&窪ξぎ昌巨α勾庶9ヨ号ω巨Φ旨呂2巴窪ギ貯簿おo窪ω営 口9辟窪馨Φ芦舅§お零︸ωる8参照︶。事実、同様のことは、これまでも、リヒテンシュタインの裁判実務上、 ﹁普通民法典﹂の解釈に際して行なわれてきたことが指摘されている︵ω9馨ふ﹄。ρω﹂弁合蒔参照︶。それゆ えに、一九九五年のイタリア国際私法の随所にみられるような近年の数々の国際条約への明文規定による追従と いう立場は採られていない︵イタリア法については、笠原俊宏﹁イタリア国際私法の改正とその特質について﹂比較法 三四号一一一頁以下参照。また、スイス法第二四条、第四九条、第八三条、第八五条、第九三条、第一一八条、第一三四 条、第一九二条、第一九四条なども同様である。それに対して、ドイツ法は、条約への追従をそれと内容において同一の 立場を採る条文によって表現している。笠原・前掲書参照︶。その意味において、リヒテンシュタインの国際私法は、 スイスやドイッやイタリアのそれに比して保守的である一面をも有しているといえるであろう。  なお、次に掲げるのは、リヒテンシュタインの﹁国際私法に関する法律﹂の試訳である。訳出にあたっては、 舅嚢お。8ψ。。竃顕に掲げられている独語の正文に拠った。同一の条文は、閑暮霧軸這貫ω6﹄中にも掲載 されている。 324

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︵参考資料︶

国際私法に関する一九九六年九月一九日法律

総  則

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第一条 国際私法の原則  ω 外国との関連性を有する事実関係は、私法の点について、本法または他のいずれかの法規定︵送致規定︶ において指定された法秩序に従って判断されるべきものとする。  の 送致規定がないときは、事実関係が最も強い関係を有する法秩序が基準とされる。 第二条 連結の基準となる要件の調査  特定の法秩序への連結の基準となる事実上および法律上の要件は、法選択ができる事項︵第二〇条、第二九条 第三項、第三九条第一項︶において、当事者の事実の申立てが手続法規定に従って真実とみなされるべき場合で ない限り、職権によって確定されるべきものとする。 第三条 外国法の適用  外国法が基準とされるときは、それは、職権により、かつ、その本来の施行領域におけると同様に適用される 325

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 べきものとする。 第四条 外国法の調査  ① 外国法は職権によって調査されるべきものとする。当事者の協力、政府の情報および専門家の鑑定も、そ のために許された補助手段とする。  ω 外国法が、最善を尽くしたにもかかわらず、相当な期間内に調査されることができないときは、リヒテン シュタイン法が適用されるべきものとする。 第五条 実質法規への送致・反致  ω 外国法が基準とされるときは、その実質規定︵送致規定を除く法規定︶が適用されるべきものとする。こ のことは、外国法の送致規定がリヒテンシュタイン法を基準とすると言明するときは行なわれず、その場合にお いては、リヒテンシュタイン法の実質規定が適用されるべきものとする︵反致︶。  ㈹ 外国法秩序が多数の部分法秩序から構成されているときは、その外国法秩序に存在している規則が送致す る部分法秩序が適用されるべきものとする。かような規則がないときは、最も強い関係が存在する部分法秩序が 基準とされる。 第六条 留保条項  外国法の規定は、その適用がリヒテンシュタイン法の基本的価値と相容れない結果へ導くこととなるときは、 適用されないものとする。必要な場合においては、それに代えて、リヒテンシュタイン法のしかるべき規定が適 326

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用されるべきものとする。 第七条 準拠法の変更  いずれかの特定の法秩序への連結のために基準とされる要件の後発的変更は、すでに完成している事実構成要 件にいかなる影響も与えない。 第入条 方 式  法律行為の方式は、法律行為自体と同一の法に従って判断されるべきものとする。但し、法律行為が行なわれ る国の方式規定の遵守をもって足りる。 第九条、住所および常居所  本法の意味において、自然人は次に掲げる場所に住所もしく常居所を有する。  a その者が永続的な滞在の意図をもって居る場所に、その者の住所  b 比較的に長期の期間が始めから期限付きであったとしても、その者がその期間にわたって生活する場所に、   その者の常居所 第一〇条自然人の属人法  ω 自然人の属人法は、その者が属する国の法とする。人が外国国籍のほかにリヒテンシュタインラント市民 権をも有するときは、後者が基準とされる。他の重国籍者については、最も強い関係が存在する国の国籍が基準 とされる。 327

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質  ω 人が無国籍であるか、または、その者の国籍が明らかにされることができないときは、その者の属人法は その者が常居所を有する国の法とする。  ⑥ リヒテンシュタインにおいて施行されている国際条約の意味における避難民であるか、または、本国に対 する関係が比較的に重大な理由によって絶たれている者の属人法は、その者が、その住所、それがないときは、 その常居所を有する国の法とする。但し、同法の本国法への送致は顧慮されない。 第一一条 法選択  ① 当事者の法選択︵第二〇条、第二九条第三項および第三九条第一項︶は、疑わしいときは、選択された法 秩序の送致規定に関係しない。  ③ 係属中の手続において予め行なわれた法選択は、それが明示的に行なわれているときにのみ顧慮される。  ㈹ 第三者の法的地位は、後発的法選択によって侵害されない。    二 人 事 法 第一二条権利能力および行為能力  ω 自然人の権利能力および行為能力は、その者の属人法に従って判断されるべきものとする。  ω 法律行為を行なったいずれの者も、その属人法によればその者が行為無能力者であっても、その者が法律 行為を行なった国の法によればその者が行為能力者であったときは、他方当事者がその者の行為無能力を知って 328

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いたか、または、それを知るべきであった場合でない限り、その者の行為無能力を援用することはできない。本 規定は、家族法上および相続法上の法律行為、および、法律行為であって、それにより、他のいずれかの国に所 在する土地またはその同等の権利について処分が行なわれるものには適用されない。

第二二条不法行為能力

 自然人の不法行為能力は、損害を惹起している行為が行なわれている国の法に従って判断されるべきものとす る。 第一四条 氏  ω 自然人の称氏は、氏の取得がいかなる原因に基づこうとも、その者の属人法に従って判断されるべきもの とする。  ω 自然人の氏の保護は、侵害行為が行なわれる国の法に従って判断されるべきものとする。

第一五条失踪宣告

 リヒテンシュタイン裁判所による人の失踪宣告およびその効果については、リヒテンシュタイン法が基準とさ れる。

第一六条禁治産宣告

 リヒテンシュタイン裁判所による人の禁治産宣告およびその効果については、リヒテンシュタイン法が基準と される。 329

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 三 家 族 法

 A 婚姻法

第一七条婚姻締結の方式  ω 内国における婚姻締結の方式は、内国の方式規定に従って判断されるべきものとする。  ③ 外国における婚姻締結の方式は、婚姻当事者の各々の属人法に従って判断されるべきものとする。但し、 婚姻締結地の方式規定の遵守をもっても足りる。 第一八条婚姻締結の要件  ω 婚姻締結の要件および婚姻無効の要件は、婚姻当事者または夫婦の各々につき、その者の属人法に従って 判断されるべきものとする。  働 リヒテンシュタイン法の範囲として有効な裁判により、婚姻が無効と宣告されているか、解消されている か、または、存在しないものとして確認されているときは、婚姻当事者または夫婦の一方または双方の属人法に よればその裁判が承認されないことのみを理由として、新たな婚姻締結が禁止されるか、または、新たな婚姻が 無効と宣告されてはならない。このことは、失踪宣告の場合において準用する。 第一九条婚姻の身分上の法的効果  ω 婚姻の身分上の法的効果は、夫婦の双方がその常居所を有する国の法、それがないときは、夫婦の一方が 330

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保持した場合に限り、双方がその最後の常居所を有した国の法に従って判断されるべきものとする。  ⑧ 婚姻が、第一項において指定された法の範囲としては成立していないが、リヒテンシュタイン法の範囲と しては成立しているときは、身分上の法的効果はリヒテンシュタイン法に従って判断されるべきものとする。 第二〇条 夫婦財産制  ω 夫婦財産制は、当事者が書面をもって決定する法に従って判断されるべきものとする。  ω 夫婦は、双方がその常居所を有するか、または、婚姻締結後にその常居所を有することとなる国の法、お よび、夫婦の双方のいずれか一方の本国法の中から選択することができる。  ㈹ かような法選択がないときは、夫婦財産制は、婚姻締結の当時において婚姻の身分上の法的効果について 基準とされる法に従って判断されるべきものとする。 第二一条 別居および離婚  ① 別居および離婚の要件および効果は、別居または離婚の当時において婚姻の身分上の法的効果について基 準となる法に従って判断されるべきものとする。  の 同法によれば、婚姻が主張された事実に基づいて別居または離婚されることができないか、または、第一九 条の連結点のいずれも存在しないときは、婚姻の別居または離婚は、別居または離婚の当時における原告配偶者 の属人法に従って判断されるべきものとする。  ⑬ リヒテンシュタイン裁判所は、夫婦の一方のみがリヒテンシュタインラント市民であるときも、リヒテン 331

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 シュタイン法を適用しなければならない。

 B 親子法

第二二条 嫡出性  子の嫡出性の要件およびその否定は、夫婦が、子の出生の当時、または、婚姻がその前に解消されているとき は、解消の当時有した属人法に従って判断されるべきものとする。夫婦の属人法が異なるときは、子の嫡出性に とってより有利であるその属人法が基準とされる。 第二三条 後婚による準正  後婚による婚外子の準正の要件は、父母の属人法に従って判断されるべきものとする。父母の属人法が異なる ときは、子の準正にとってより有利であるその属人法が基準とされる。 第二四条 嫡出宣言による準正  嫡出宣言による婚外子の準正の要件は、父の属人法に従って判断されるべきものとする。但し、嫡出宣言が父 の死亡後に申し立てられるときは、父の死亡の当時におけるその者の属人法に従って判断されるべきものとする。 子の属人法によれば、子、または、子が家族法的関係にある第三者の同意が必要であるときは、その限りにおい て、同法も基準とされる。 第二五条 嫡出性および準正の効果 332

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東洋法学

 子の嫡出性および準正の効果は、子がその常居所を有する国の法に従って判断されるべきものとする。 第二六条 婚外親子関係およびその効果  ω 婚外子に対する父子関係の確定および認知の要件は、その出生の当時における属人法に従って判断される べきものとする。但し、確定または認知が、出生の当時における属人法によれば許されないが、子の後の属人法 によれば許されるときは、それらは同法に従って判断されるべきものとする。父子関係が確定または認知される について従った法は、その否定についても基準とされる。  ω 子の非嫡出性の効果は、その者がその常居所を有する国の法に従って判断されるべきものとする。  ㈹ 婚外子の父に対する母の妊娠および分娩に関連する請求権は、母がその常居所を有する国の法に従って判 断されるべきものとする。 第二七条 養子縁組  ω 養子縁組および養子関係終了の要件は、各々の養親の属人法に従って判断されるべきものとする。子の属 人法によれば、子、または、子が家族法的関係にある第三者の同意が必要であるときは、その限りにおいて、同 法も基準とされる。  ㈲ 養子縁組の効果は、養親がその常居所を有する国の法に従い、夫婦による養子縁組の場合においては、婚 姻の身分上の法的効果について基準となる法に従い、夫婦の一方の死亡後は、他方配偶者がその常居所を有する 国の法に従って判断されるべきものとする。 333

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質  C 後見法および保佐法 第二入条 命令および効果  リヒテンシュタイン裁判所による後見または保佐の命令、および、その効果については、リヒテンシュタイン 法が基準とされる。    四 相 続 法 第二九条 死亡に因る権利承継  ω 死亡に因る権利承継は、被相続人の死亡の当時におけるその属人法に従って判断されるべきものとする。  ③ 遺産の処理がリヒテンシュタイン裁判所によって実行されるときは、死亡に因る権利承継は、第三項およ び第四項の留保のもとに、リヒテンシュタイン法に従って判断されるべきものとする。  ⑥ 外国人である被相続人は、終意処分または相続契約により、その権利承継をその本国法またはその最後の 常居所の国の法に服せしめることができる。  ㈲ 外国に住所を有する内国人である被相続人は、終意処分または相続契約により、その権利承継をその本国 法またはその最後の常居所の国の法に服せしめることができる。 第三〇条 死因処分の有効性  ω 遺言能力、および、その他の終意処分、相続契約または相続放棄契約の有効性のための要件は、次に掲げ 334

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るいずれかの法の有効要件が充たされているときは、具備されているものとする。  a 法律行為の当時または被相続人の死亡の当時におけるその者の本国法  b 被相続人が、法律行為の当時またはその死亡の当時、その常居所を有した国の法  c 遺産の処理がリヒテンシュタイン裁判所によって実行される限り、リヒテンシュタイン法  ω 同法律行為の撤回または取消しについては、第一項が準用される。 五 物 権 法  A 物の種類

第三一条原則

 物の所在地において施行されている法が、 物が動産または不動産のいずれとみなされるべきかを決定する。

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 B 不動産

第三二条 実質法  占有を含め、不動産に対する物権は、

第三三条方式

 ω 占有を含め、土地に対する物権、 それが所在している地の法に従って判断される。 および、それに関連する債務は、物の所在地法によって定められた方式 335

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 を必要とする。  ③ 公の登記および公証は、それらが契約締結地における法に合致するときは承認される。  C 動 産 第三四条 一般的取得および喪失  ω 占有を含め、動産に対する物権の取得および喪失は、構成要件事実の充足の当時、物が所在している地の 法に従って判断される。  ㈲ 明白な法律回避の意図のもとに行なわれた場所の変更は、顧慮されてはならない。 第三五条 取得時効  ω 取得時効は、物のその時の所在地において施行されている法によれば要件が存在しているときにのみ、成 立する。  ③ 取得時効が他のいずれかの法のもとに開始したときは、経過した取得時効時間は比例して取得時効期間へ 算入される。 第三六条 第三者に対する効力  善意の第三者に対する効力のためには、所有権および制限物権は、物のその時の所在地法が善意の取引きの保 護のために定めた公示を必要とする。 336

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第三七条 内  占有を含め、 容 動産に対する物権の内容は、 その時の所在地において施行されている法に従って決定される。

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第三入条 無体財産権    六 無体財産権  ① 無体財産権の成立、内容および消滅は、使用行為または侵害行為が行なわれる国の法に従って判断される べきものとする。  ⑧ 労務者の労働関係の枠内におけるその活動と関連する無体財産権については、使用者と労務者の間の関係 につき、労働関係について行なわれている送致規定︵第四八条︶が基準とされる。    七 債 務 法 第三九条 総 則  ω 債務関係は、当事者が明示的または決意的に決定する法︵第二条︶に従って判断されるべきものとする。 当事者がいずれかの特定の法秩序を基準として認めたことが事情から明らかであるときは、決意的決定が同様に 存在する。 337

(25)

リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質  ③ 法選択が行なわれていないか、または、本法によれば顧みられない限り、第四〇条ないし第五三条が基準 とされる。 第四〇条 双務契約  双務契約であって、それによれば当事者の一方が他方に少なくとも主として金銭債務を負うものは、他方当事 者がその常居所を有する国の法に従って判断されるべきものとする。その当事者が企業家として契約を締結する ときは、常居所に代え、営業所であって、契約がその範囲において締結されるものが基準とされる。 第四一条 片務契約および単独法律行為  一方的義務を負う契約および債務の原因となる単独法律行為は、債務者がその常居所を有するか、または、第 四〇条第二文の場合においては、その営業所を有する国の法に従って判断されるべきものとする。 第四二条 銀行取引および保険契約  ω 銀行取引は、銀行法に従って営業する企業がその営業所︵第四〇条第二文︶を有する国の法に従って判断 されるべきものとする。但し、かような企業問の銀行取引の場合においては、委託された企業の営業所の所在地 における法が基準とされる。  ③ 保険契約は、保険業者がその営業所︵第四〇条第二文︶を有する国の法に従って判断されるべきものとす る。 第四三条 取引所業務および類似契約 338

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東洋法学

 取引所業務ならびに市場および見本市において行なわれる契約は、取引所または市場が所在するか、または、 見本市が開催される国の法に従って判断されるべきものとする。 第四四条 競売による売却  競売による売却は、競売が開催される国の法に従って判断されるべきものとする。 第四五条 消費者契約  ω 一方の当事者がその常居所を有する国の法が、契約に際し、その者に消費者として特別の私法的保護を与 える契約は、それが、同国において展開された活動であって、企業、または、企業によってかような契約の締結 のために使われた者のそれに向けられた活動と関連して成立しているときは、同国の法に従って判断されるべき ものとする。  ㈹ 同法の強行規定に関する限り、消費者の不利になる法選択は顧慮されない。  ⑥ 消費者契約における濫用条項によって消費者の保護を減少させる法選択は、顧慮されない。 第四六条 不動産の使用に関する契約  不動産または付属物の使用に関する契約は、物が所在する国の法に従って判断されるべきものとする。 第四七条 無体財産権に関する契約  ω 無体財産権に関する契約は、無体財産権が譲渡または譲与される国の法に従って判断されるべきものとす る。契約が多数の国に関連するときは、取得者︵使用許可を受けた者︶がその常居所︵その営業所、第四〇条第 339

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リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 二文︶を有する国の法が基準とされる。  ω 労務者のその労働関係の枠内における活動と関連する無体財産権に関する契約については、労働関係につ いて行なわれている送致規定︵第四八条︶が基準とされる。 第四入条 労働契約  ω 労働契約は、労務者が平常その労務を遂行する国の法に従って判断されるべきものとする。同法は、労務 者が他のいずれかの国における労務地へ派遣されるときも基準とされる。  ω 労務者が平常その労務を一国よりも多い国々において遂行するか、または、その者が平常の労務地を有し ないときは、使用者がその常居所︵その営業所、第四〇条第二文︶を有する国の法が基準とされる。  ㈹ 法選択は、それが明白に行なわれているときにのみ顧慮される。但し、第一項および第二項において挙げ られた法の強行規定に関する限り、明白な法選択も、それが労務者の不利に行なわれている場合においては顧慮 されない。 第四九条 従属的法律行為  法律行為であって、その効力が概念上いずれかの存在している義務に従属するものは、その義務について基準 とされる実質規定が属する国の実質規定に従って判断されるべきものとする。これは、とくに義務の保証または 変更を対象とする法律行為について行なわれる。第四二条第一項には及ばない。 第五〇条 利 得 340

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東洋法学

 利得償還請求権は、利得が生じている国の法に従って判断されるべきものとする。但し、利得がいずれかの法 律関係を根拠として供されている履行に因るときは、その法律関係に適用されるべき実質規定が属する国の実質 規定が基準とされる。なお、これは、相手方が行なうべき費用償還請求権に準用される。 第五一条 事務管理  事務管理は、それが処理されている国の法に従って判断されるべきものとし、但し、それが他のいずれかの法 律関係と内的関連性を有するときは、第四九条が準用される。 第五二条 契約外の損害賠償請求権  ω 契約外の損害賠償請求権は、損害を惹起している行為が行なわれている国の法に従って判断されるべきも のとする。但し、当事者にとって、唯一かつ同一の他の国の法により強い関連性が存在するときは、同法が基準 とされる。  ③不正競争に因る損害賠償請求権および他の請求権は、競争が影響を及ぼす市場が属する国の法に従って判 断されるべきものとする。 第五三条 任意代理  ω 本人および代理人の第三者に対する関係における任意代理の要件および効果は、第三者にとって認識可能 な方法をもって、本人が決定した法に従って判断されるべきものとする。  ㈲ 適用されるべき法が決定されていないときは、第三者に認識可能な本人の意思に従い、代理人が活動すべ 341

(29)

リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 きこととなる国の法が基準とされる。但し、代理人が多数の行為について任じられているときは、第三者に認識 可能な本人の意思に従い、その者が規則通りに活動すべきこととなる国の法が基準とされる。  ⑬ 第二項において定められた連結も機能しないときは、代理人が活動することとなる国の法が基準とされる。    八 経過規定および最終規定 第五四条 従来の法の廃止  次に掲げる条項は廃止される。  a 一九二六年一月二〇日の人事法および会社法︵勺O菊︶︵リヒテンシュタインラント官報一九二六年第四号︶中   の次に掲げる諸条項    第八条、第二三条第一項、第二四条、第三〇条、第三一条、第四二条、第四五条第一項、第五三条および   第五七条第四項    最終編第七〇条第四項ないし第六項    第一四条第一項における﹁本国法の適用のもとに﹂との文言    第一四条第三項における﹁リヒテンシュタイン法に従って﹂および﹁リヒテンシュタイン法または外国法   に従って﹂との文言    第四五条第二項における﹁内国法に従って﹂との文言 342

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東洋法学

   第五七条第二項および第三項における﹁リヒテンシュタイン法に従って﹂との文言  b 一八一一年六月一日の普通民法典︵︾ωO閃︶︵>ω名︶中の第四条、第三四条、第三五条、第三六条および   第三七条  c 一九二二年一二月三一日の物権法︵ω即︶︵リヒテンシュタインラント官報一九二一二年第四号︶中の第九条な   いし第一八条  d 一九一一年一二月四日の外国人の遺産の処理に関する法律︵リヒテンシュタインラント官報一九一一年第六   号︶中の次に掲げる諸条項    第二条第二項および第九条第二項    第一条第二項における﹁この国の法に従って﹂との文言    第一条第三項における﹁処理は、外国の相続権争議を考慮することなく、リヒテンシュタイン法に従って   行なわれるべきものとし、また、リヒテンシュタイン法は外国において作成された終意についても適用され   るべきものとする﹂との文言    第三条における﹁リヒテンシュタイン法に従って﹂との文言    第四条における﹁リヒテンシュタイン法に従って﹂との文言 第五五条 従来の法の維持  本法により、とくに人事法および会社法︵リヒテンシュタインラント官報一九二六年第四号︶中の第九条第三項、 343

(31)

リヒテンシュタイン国際私法の法典化とその特質 第三七条、第四九条、第五九五条、第六一三条、第六七九条、第七七八条、第七九三条、第八二八条、第八三三 条、第九三一条、第九三二条のa第一七〇号、第九四三条および第一〇四四条、権利保証法︵リヒテンシュタイ ンラント官報一九壬二年第八号︶第七五条、ならびに、道路交通法︵リヒテンシュタインラント官報一九七入年第一八 号︶第八O条第二項は触れられない。

第五六条 発効

 本法は一九九七年一月一日に発効する。 344

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