Title
木材の曲げクリープ過程のメカノソープティブクリープに
およぼす断面寸法の影響( 内容の要旨 )
Author(s)
川添, 正伸
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第219号
Issue Date
2001-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2560
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与 の 要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 川 添 正 伸 (静岡県) 博士(農学) 農博甲第219号 平成13年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 静岡大学 木材の曲げクリープ過程のメカノソープティブ クリープにおよぼす断面寸法の影響 主査 静 岡 大 学 教 授 祖父江 副査 静 岡 大 学 教 授 副査 信 州 大 学 教・授 副査 岐 阜 大 学 教 授 論 文 の 内 容 の 要 旨 平 井 徳 本 棚 橋 夫 之 彦 彦 信 信 守 光 本論文は、メカノソープティブクリープ(以下ではMSクリープと略する)と呼ばれる
水分非定常状態における木材に藤有なクリープ現象に関する研究で、とくに木材の寸法効
果と湿度変動の履歴の影響、および自然環境下におけるMSクリープの定量的評価を中心 に検討したものである。この現象は応力作用下で水分変化が起こる場合に現れる。したが って、木材中の水分拡散に寸法依存性が大きく影響するため、実際の木材利用の場面を考 えると、木材中の水分移動および局所的な水分履歴の関係を考慮してMSクリープにおよ ばす断面寸法の影蜜を明らかにすることが重要である。 第1章では、比較的小さな試験体.を用いた検討について、明瞭なMSクリープが現れる 実験条件における水分履歴の影響、特に特徴的な最初の湿度履歴で放湿状態からの開始か 吸湿状態からの開始で差異があるかについての検討、また水分定常状態におけるクリープ の含水率の依存性についても述べている。含水率変動の幅が等しい場合は、湿度変化を吸 湿から開始しても放湿から開始しても、ほぼ同じMSクリープの挙動を示した。ただし、 最初の湿度履歴において、吸湿から開始する場合は非定常クリープの進行と水分による回 復が同時に起こるため頭打ち現象を示す。水分定常状態におけるクリープについそは、応 力レベルがそれほど高くない場合には、負荷初期たわみで規格化した相対クリープに含水 率の依存性は認められず、水分非定常クリープに比べてわずかであることを述べている。 第2章では、木材の寸法効果を明らかにすろためこ.水分変化を梁せい方向に制限した断面積が約10倍異なる畠種類の試験体を用いた検討たっいて述べている。さらに、周期の
ことなる4種類の湿度変動の実験条件を設定し、試験体の寸法と湿度変動周期の等価性に 関する検討も加えた。その結果、木材内部への水分拡散が十分に起こる条件では従来から-70-指摘されている典型的なMSクリープ挙動を確認できたが、湿度の変動周期が十分な水分 拡散に要する時間に比べて短い場合や断面寸法が大きい場合には、それとは逆位相甲現象 が起こることを新たに見いだした。典型的なMSクリープと逆位相のクリープは、湿度変 動の周期または試験体寸法が変わることにより連続的に移行し、寸法が大きくなることと 湿度変動周期が短くなることに等価性が見いだされた。また、木材中の水分移動を拡散方 程式に基づいて定量化し、これと力学の組み合わせ梁理論を加味したシミュレーションの 検討結果からは、木材内部への水分拡散の時間遅れから逆位相のMSクリープが発生する 可能性は示されたが、実験結果を定量的に説明するほどの効果は現れないことが指摘され た。したがって、水分傾斜に基づく新たな局所的な水分応力の関与が有力であることが結 論されている。また、複合周期の湿度変動の検討から、MSクリープは過去に受けた最長 周期の湿度変動の履歴に大きく左右される●ことが示された。 第3章では、自然環境下におけるMSクリープについて述べている。寸法が異なる4種 類の試験体(断面積比約40倍)を用いた。自然環境下では、湿度の日変動、季節変動、突 発的な湿度変動が複合的におこるため、フーリエ変換を用いた周波数解析の手法による湿 度変動とMSクリープの定量的な関係の検討を行った。MSクリープにおよぽす主要因を
解析し、日琴動成分と季節変動成分が大きく関与しており、いずれも湿度変化に対して典
型的なMSクリ⊥プの挙動を示すことが確認された。小断面材では日変動成分の影響が現 れたが、試験体断面寸法が20cm2以上の材では季節変動成分甲みが顕著に現れた。負荷後約 1年のたわみは、載荷直後のたわみの約1.8倍に達し、.水分非定常状態のMSクリープは実 際の木材の利用環境で重要なことがわかった。申請者が適用したフーリエ変換手法が、複 雑に変動する自然環境下のMSクリープの解析に有効なことを明らかにした。 審 査 結 果 の 要 旨 平成13年1月29日、静岡大学農学部において審査委員会委員出席のもと公開論文発表会が 開かれ、■約40分にわたる口頭発表と、約20分の質疑応答が行われた。 メカノソープティブクリープ(以下ではMSクリープと略する)と呼ばれる現象は、水 分非定常状態における木材に特有なクリープ現象として、1.960年に初めて報告されている。 MSクリープは、水分定常状態におけるクリープに比べて著しく大きく、また吸湿過程と 放湿過程で挙動が異なり、水分履歴の効果が大きい。この現象は、木材中の水分状態と力学的環境の複合効果として現れるものであり、学術研究の対象のみならず琴際の木材の加
エや利用の際にも大きな問題となっている。現在、特i;基礎理論と応用的な問題をつなぐ 寸法効果や自然環境のように複雑な湿度変動下におけるMSクリープ挙動の予測に関する問題の廃決が望まれている。本論文は、とくに木材の寸法と湿度変動の履歴の影響、およ
び自然環境下におけるMSクリープの定量評価者中心に検討したものである。
秦1章では、比較的小さな試験体を用いた明瞭なMSクリープが現れる実験条件における水分履歴の影響と、特に特徴的な最初の湿度履歴で放湿状態から開始するか吸湿状態か
ら繭始するかによる差異についても言及している。また水分定常状態におけるクリープの含水率の依存性にらいても述べている。
-71-第2章では、木材の寸法効果を明らかにするため、水分変化を梁せい方向に制限した断 面積が約10倍異なる3種類の試験体を用いた検討について述べている。さらに、周期の異