Title
Development of determination and removal methods for ionic
Chemical species in environmental and biological samples( 内容
の要旨(Summary) )
Author(s)
Rahmiana, ZEIN
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 乙第008号
Issue Date
1998-09-02
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1680
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名 (本籍) 学 位 の 種 類 学位記 号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論文題 目 Rahmiana ZEIN(インドネシア) 博 士(工学) 乙第 8 号 平成10 年 9 月 2 日 物質工学専攻
Development of determinationand removaltnethods forionic Chemicalspeciesin environmentaland biologicalsamples
(環境および生体試料中イオン性化学種の定丑と除去法の開発) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 三 輪 智 夫 (副査) 教 授 柴 田 勝 喜 教 授 石 原 秀 晴 教 授 箕 浦 秀 樹 助教授 竹 内 豊 英
論文内容の要旨
本論文は,環境および生体試料中のイオン性化学種の定量および除去のための新し い分離方法や検出方法を提案したもので,以下に詳しく示すように重要な研究結果を 含んでいる。 環境分析は,最近では最も重要な研究分野の1つとなっている。環境保全のため,あるいは生態系を正しく理解するた吟に,各種マトリックス中に存在する微量成分の
定量分析が欠かせないものとなっている。これらの目的のために,滴定,重量分析, 分光測光,原子吸光分析,クロマトグラフィーなどの分析法がこれまで駆使されてき たが,正確で再現性のよい結果を得るために,さらに高選択性で高感度の分析法の開 発が不可欠とされている。本研究では,イオンクロマトグラフィーによるイオンの定 量のための新しい固定相と検出法の開発および籾殻のような生物資源を利用した排水 中毒性物質の除去法の開発を行っている。 イオンクロマトグラフィーにおいては,1975年に開始されて以来,ポリマー系やシ リカ系などの数多くのイオン交換体が開発されてきた。シリカゲルやアルミナなどの 無修飾の無機担体も利用されてきている。アルミナは両性であって,溶離液の条件に よって陰イオンまたは陽イオンを保持することができる。タンパク質も両性であるこ とから,イオンクロマトグラフィーの固定相として利用できれば,溶離液のpHに依存などの有機酸ならび硫酸などの無機酸を溶離液として,陰イオンの分離定量を可能に している。タンパク質国定相を用いると,タンパク質を分離カラムに注入しても何ら 問題がないため,複雑な前処理をすることなく血清中の無機イオンの分析に応用して いる。タンパク質は両性であるので,分離条件を検討することによって,陽イオンの 分離定量も可能と思われる。 間接吸収検出は,イオンクロマトグラフィーでよく用いられる方法の1つである。 間接吸収検出の感度は,吸光係数の大きなイオンを溶離液として用いることによって 改善できる。この場合,希薄な溶離液を用いることが必要となる。本研究では,間接 吸収検出の感度を改善するために,新しい溶離液の検索を行っている。その結果,ア ントラキノンジスルホン酸塩やヨウ化物イオンが陰イオンの検出のために,また芳香 族系の塩基が陽イオンの検出に適していることを見い出している。 これまで,下水や工業排水中の有害金属や化合物を除去するために,イオン交換, 吸着,沈殿分離,電解などの方法が利用されてきており,この目的のために多くの新 しい材料が開発されてきた。このほか,農業製品や副産物の利用も考えられる。これ ら生物資源への各種化学種の吸着は,細胞や細胞壁に存在するタンパク質,多糖類, リグニンあるいはそのほかの高分子性化合物との会合に因るものと考えられている。 籾殻は,インドネシアでは大量に利用できる生物資源であるが,これまで一般的に は廃棄されるか,あるいは燃料として利用されるに過ぎなかった。籾殻の細胞壁はセ ルロース,シリカ,リグニンや糖類を含んでおり,水中の各種化学種と相互作用する ことが考えられる。本研究では,籾殻に適正な処理を施すことによって,クロム,亜 鉛,銅,カドミウムなどの有害金属イオンの吸着体として機能することを確認し,こ れらの金属イオンの80∼85%が籾殻によって除去できることを見い出している。この 方法は,工業排水や医療機関の排水中のフェノールやアンモニアも効果的に除去でき ることを明らかにしている。 このほか,イオン性化学種の定量のために着色錯体の形成に基づく分光測光法,ガ スクロマトグラフィー,ポーラログラフィーなども利用されてきている。これらの方 法では,目的化学種に対するさらに高い選択性や感度が要求されている。本研究では, 環境水や生体中の化学種の高選択かつ高感度定量ための新しい錯成試薬や修飾剤の開 発を行っている。プルシンおよぴN-(トナフチルトエチレンジアミンが,それぞれ硝 酸イオンおよび亜硝酸イオンの良好な錯形成試薬であることを見い出している。また, 2-(5-プロモー2-ビリジルアゾト5-ジュチルアミノフェノールは,酸性溶液中,酸化剤 の存在下で唾液中のチオシアン酸イオンの定量に有効な試薬であることを確認してい る。原子吸光分析における鉄の分析感度を向上させるために,無機および有機修飾剤 の検索を行っている。
学位論文等審査結果の要旨
本論文は,環境および生体試料中のイオン性化学種の定量および除去のための新し い分離方法や検出方法を提案したもので,以下に詳しく示すように重要な研究結果を 含んでおり,審査の結果合格と判定した。 環境分析は,最近では最も重要な研究分野の1つとなっている。環境保全のため, あるいは生態系を正しく理解するために,各種マトリックス中に存在する微量成分の 定量分析が欠かせないものとなっている。これらの目的のために,滴定,重量分析, 分光測光,原子吸光分析,クロマトグラフィーなどの分析法がこれまで駆使されてき たが,正確で再現性のよい結果を得るために,さらに高選択性で高感度の分析法の開 発が不可欠とされている。本研究では,イオンクロマトグラフィーによるイオンの定 量のための新しい固定相と検出法の開発および籾殻のような生物資源を利用した排水 中毒性物質の除去法の開発を行っている。 イオンクロマトグラフィーにおいては,1975年に開始されて以来,ポリマー系やシ リカ系などの数多くのイオン交換体が開発されてきた。シリカゲルやアルミナなどの 無修飾の無機担体も利用されてきている。アルミナは両性であって,溶離液の条件に よって陰イオンまたは陽イオンを保持することができる。タンパク質も両性であるこ とから,イオンクロマトグラフィーの固定相として利用できれば,溶離液のpHに依存して陰イオンおよ甲陽イオンを保持しうることが考えられる。数多くのタンパク質が
存在することから,イオン性あるいは疎水性の異なるタンパク質を固定化することに よって分離選択性の異なる固定相の調製が可能であると期待される。 本研究では,牛血清アルブミン(BSA)をイオンクロマトグラフィーの固定相として 選択した。疎水性の担体にBSAを物理的に固定したものとシリカゲルに化学的に結合 したものの2種類のBSA固定相を用いて検討した結果,酒石酸,クエン酸やアミノ酸 などの有機酸ならび硫酸などの無機酸を溶離液として,陰イオンの分離定量を可能に している。タンパク質国定相を用いると,タンパク質を分離カラムに注入しても何ら問題がない声め,複雑な前処理をすることなく血清中の無機イオンの分析に応用して
いる。タンパク質は両性であるので,分離条件を検討することによって,陽イオンの 分離定量も可能と思われる。 間接吸収検出は,イオンクロマトグラフィーでよく用いられる方法の1つである。 間接吸収検出の感度は,吸光係数の大きなイオンを溶離液として用いることによって 改善できる。この場合,希薄な溶離液を用いることが必要となる。本研究では,間接 吸収検出の感度を改善するために,新しい溶離液の検索を行っている。その結果,アントラキノンジスルホン酸塩やヨウ化物イオンが陰イオンの検出のために,また芳香
リグニンあるいはそのほかの高分子性化合物との会合に因るものと考えられている。 籾殻は,インドネシアでは大量に利用できる生物資源であるが,これまで一般的に