第1学年 道徳科学習指導案
平成28年11月2日(水) 第1学年2組 27名 授業者 水野 梨沙1 主題名 親切な心で (B-(6) 思いやり・親切)
2 資料名 「はしのうえのおおかみ」 (出典:文部科学省 「わたしたちの道徳」)
3 主題設定の理由
(1)学びのつながり 学年段階 内容項目 小学校低学年 幼い人や高齢者などの身近にいる人に温かい心で接し、親切にする。 小学校中学年 相手のことを思いやり、進んで親切にする。 小学校高学年 だれに対しても思いやりの心をもち、相手の立場に立って親切にする。 (2)ねらいとする価値について 「親切にすること」は、相手の立場や気持ちを推し量り、自分の思いを相手に向けることである。人 と人との結びつきを作り、人間関係を築く上で欠くことができないものといえる。単に自分の思い込み や自己満足のためではなく、相手の立場に立ってその心情を思うことが大切である。自分の優しさが、 相手に伝わり喜びとなって戻ってきたとき、親切にできる優しい気持ちがもてることのよさが理解でき るといえる。この段階の児童は自己中心的な傾向が強く自分のことで精一杯なため、相手の立場に立っ て考えるということは、なかなかできない。親切にすることが、よいことであると分かっていても、実 践につながらないのが現状である。学校、学級での生活が身に付いてきたこの時期に、身近な人に優し い心で接し、相手のことを考える温かい気持ちや親切な行動について考えさせたい。 (3)児童の実態 本学級の児童(男子14名、女子13名、計27名)は、明るく活発的な子が多い。困っている子 がいたら、すぐに手を差し伸べたり、優しく声をかけたりできる子も何人もいる。人に優しくすること の大切さはわかっているが、まだ自己中心的な傾向が強く、相手の立場に立って考えることは難しい。 また、教師からの声かけにより親切な行動をすることはできても、いつでも自分から行動に移すという ことはなかなかできていない。 そこで、本学習を通して、親切にされることの心地よさや相手を思いやり親切にすることのよさに気 付かせたい。そして、身近な人に親切にしようとする心情を育てたい。 (4)資料について 本資料は、主人公のおおかみが、うさぎたちを相手におもしろがっていじわるを続けるが、今度は自 分がそうされると思ったくまに親切にされる。自分の行為を振り返り、今度はくまをまねてうさぎに優しくするという内容である。くまと出会ったことでおおかみの気持ちや行動が変化したことを押さえ、 親切にされた時の気持ちをじっくりと考えさせる。また、親切にすると相手も自分もいい気持ちになる というよさにも触れ、親切にすることの大切さに気付かせたい。
4 研究主題との関連
(1)本時における目指す児童像≪研究主題≫
(2)研究主題に迫るための指導の工夫 ア 「考えるに足る発問」 おおかみがくまの後ろ姿をいつまでも見ていたときの気持ちを中心発問に設定した。いじわるを 楽しんでいたおおかみが、自分より大きなくまに出会い、親切にされたことでその心地よさに気付 き、気持ちが変わっていく。おおかみがくまの行為のよさに気付いたり、今までの自分の行動を反 省したり、これからの自分の生き方を見つめたりと、多様な考えを引き出すことができると考えた。 イ 資料提示の工夫 話の内容や登場人物の心情を捉えやすくするために、大型紙芝居を用いて範読する。また、授業 の展開でも、場面絵や登場人物の表情を拡大した絵を提示することで、登場人物の相互関係や心情 の違いを明確にできると考えた。 ウ ねらいとする価値に気付かせるための工夫 おおかみの心情が想像しやすいように、くまに通してもらう場面で役割演技を取り入れた。児童 がおおかみ役、教師がくま役になり、橋を渡らせてもらった後にくまに向かって一言話す。おおか みの気持ちになって体験することで、親切にしてもらったときの心地よさを感じ取らせたい。 目 指 す 児 童 像 低 学 年 中 学 年 高 学 年 ○ 自 分 の 素 直 な 思 い を 伝 え た り 、相 手 の 思 い を 受 け 止 め た り し て 、自 分 の 考 え を も つ 子 ○ 道 徳 的 価 値 に 気 付 き 、生 活 に 生 か そ う と す る 子 ○ 自 分 の 素 直 な 思 い を 伝 え た り 、相 手 の 思 い を 受 け 止 め た り し て 、自 分 の 考 え を 深 め る 子 ○ 道 徳 的 価 値 を 自 覚 し 、生 活 に 生 か そ う と す る 子 ○ 自 分 の 素 直 な 思 い を 伝 え た り 、相 手 の 思 い を 受 け 止 め た り し て 、自 分 の 考 え を 高 め る 子 ○ 道 徳 的 価 値 を 高 め な が ら 、生 活 や 生 き 方 に 生 か そ う と す る 子 本 時 に お け る 目 指 す 児 童 像 ○登場人物の気持ちについて、自分なりの考えをもち、それを伝えたり、友達の思いや考えを 聞いたりすることができる子 ○身近な人に親切にしようとする子自分を見つめ、友達の思いを大切にする子供の育成
-「特別の教科 道徳」に向けての指導の工夫-
5.資料分析
主な場面 登場人物の心の動き 主な発問 児童の反応 価値 1.おおかみにど なられて、うさぎ はもどっていきま した。 2.それからとい うもの、おおかみ は こ の い じ わ る が、とてもおもし ろくなりました。 3.目の前に大き なくまが立ってい たからです。 4.くまは、おお かみをかるがると 抱き上げて、どっ こいしょと、後ろ へそっとおろして やりました。 おおかみ ・おれの方が強い のだから、言うこ とを聞け。 ・うさぎなんかに、 道を譲ってたまる か。 うさぎ ・おおかみだ。怖 いなぁ。 ・いじわるだな。 ・怖いから、言う ことを聞こう。 おおかみ ・みんなが言うこ とを聞いて楽しい な。 ・いばって追い返 すのは、面白いな。 おおかみ ・大きなくまだ。 自分より強そう。 ・こわいな。いじ わるはできない。 おおかみ ・くまは優しいな。 ・いじわるしない んだな。 ・びっくりした。 ・ありがとう。 ○うさぎにいじわ るをしているおお かみは、どんなこ とを思っていたで しょう。 ○いじわるを繰り 返すおおかみは、 どんな気持ちだっ たでしょう。 ○くまに出会った 時、おおかみは何 を思ったのでしょ う。 ○くまに後ろにお ろしてもらったお おかみは、何を思 ったでしょう。 ・うまく追い返し てやったぞ。 ・うまくいったぞ。 楽しいな。 ・困らせてやった ぞ。 ・おれの言うこと を聞け。 ・いじわるするの は、楽しい。 ・いじわるするの は、面白い。 ・おれは強いんだ。 ・これからも続け てやろう。 ・怖いな。 ・いじわるはでき ない。 ・おこられたくな い。 ・くまは優しい。 ・くまさん、あり がとう。 B-(6) いじわるをするこ との面白さに共感 させ、相手の嫌な 気持ちにも気付か せる。 B-(6) 相手の立場を考え ず、自分の思う通 りにさせようとい う気持ちを理解さ せる。 B-(6) 自分より大きな存 在への恐怖や自分 勝手な思いに気付 かせる。 B-(6) 自分より大きな存 在に親切にされた 喜びや嬉しさを実 感させる。5.おおかみは、 はしの上に立って いました。くまの 後ろすがたを見な が ら 、 い つ ま で も・・・。 6.うさぎを抱き 上げて、どっこい しょと、後ろへ、 そっとおろしてや りました。 7.いい気持ちで す。ふしぎなこと に、前よりずっと いい気持ちです。 おおかみ ・くまは強そうな のに優しいんだ。 ・いじわるされな かった。驚いた。 ・おれもあんなふ うになりたいな。 ・おれもこんなふ うにやってみたい な。 うさぎ ・今度のおおかみ はやさしいぞ。 ・ぼくを通してく れた。前と違うな。 おおかみ ・くまと同じこと をしてみよう。 ・うさぎも喜んで くれている。嬉し いな。 ・なんだか気持ち がいいな。 おおかみ ・うさぎも喜んで いたし、通してあ げてよかったな。 ・親切にすると、 自分もいい気持ち になるんだな。 ・今度からは、い つ も 親 切 に し よ う。 ○くまを見送って いるおおかみは、 どんなことを思っ たのでしょうか。 ○おおかみに抱き 上げられて、うさ ぎはどう思ったで しょう。 ○まえより、ずっ といい気持ちにな ったおおかみは、 どんなことを思っ たのでしょう。 ・くまは優しいな。 ・おれみたいに、 い じ わ る じ ゃ な い。 ・優しくされて嬉 しいな。 ・おれも、くまみ た い に な り た い な。 ・あれ、前と違う ぞ。驚いたな。 ・おおかみは、優 し く な っ た の か な。 ・優しくしてくれ て嬉しいな。 ・橋を通してくれ て嬉しいな。 ・うさぎが喜んで くれてよかった。 ・自分も気持ちが いいな。 ・今度から、みん な に 親 切 に し よ う。 ・前はうさぎに悪 いことをしたな。 B-(6) 自分が親切にされ て嬉しい気持ちに 共感させ、親切に することの大切さ に気付かせる。 B-(6) いじわるな行動を されることと親切 な行動をされるこ との比較から、親 切な行動のよさを 実感させる。 B-(6) 親切な行動を実践 して、相手も自分 も清々しい気持ち になったことに共 感させ、より高い 価 値 に 気 付 か せ る。
6 本時の授業
(1) ねらい 身近な人に親切にしようとする心情を育てる。 (2) 展開 学習活動(〇基本発問、◎考えるに足る発問 ・予想される児童の反応) 指導上の留意点 導 入 1 親切について考える。 ○親切という言葉を聞いたことはありますか。それはどんな ことですか。 ・人にやさしくすること。 ・困っている人を助けてあげること。 ・ねらいとする価値に方向付ける。 ・親切とは、その人のためになるよ うに、やさしくすることだという ことを押さえる。 展 開 2 資料「はしのうえのおおかみ」を読んで話し合う。 ○「もどれ、もどれ。」と言って動物たちを追い返したおお かみは、どんなことを思っていたでしょう。 ・楽しいな。 ・いい気持ちだな。 ・もっとやりたい。 〇くまに出会ったおおかみは、どうして意地悪をしなかった のですか。 ・自分より大きいから。 ・大きくて怖いから。 〇くまに抱き上げられて下ろされたとき、おおかみはどんな ことを思いましたか。 ・くまさん、ありがとう。 ・くまさん、やさしいな。 ・資料への興味と理解が高まるよう に、紙芝居を用いて範読する。 補助発問 「もどれ、もどれ。」とおおかみに言 われたうさぎたちは、どんなこと を思っていましたか。 ・おおかみは、意地悪をしていい気 持ちになったことと、うさぎは、 意地悪をされて恐怖を感じ嫌な思 いをしていることを押さえる。 ・くまは自分より小さい(弱い)ものに 意地悪をし、大きい(強い)ものに対 しては、うさぎたちと同じ気持ち だということを押さえる。 ・教師がくま役、児童がおおかみ役 を演じる。役割演技をすることで、 親切にされて心地よさを感じてい るおおかみの気持ちに迫らせる。 ・くまが「はい、どうぞ。」と言いな がら、おおかみを抱き上げて下ろ す。その後に、おおかみ役の児童 には、くまの後に続いて言葉を言 わせる。 ・役割演技を見ている児童には、お おかみの気持ちになって発表を聞 かせる。◎くまのうしろすがたをいつまでも見ていたおおかみは、 どんなことを考えていたのでしょう。 <感動、感謝> ・くまさんは、優しいな。 ・くまさん、ありがとう。 ・もう一度会いたいな。 <後悔、反省> ・みんなに悪かったな。 ・うさぎさんに会ったら謝ろう。 <意欲> ・意地悪はやめて、これからは優しくしよう。 ・くまさんのようにしよう。 〇うさぎを後ろへそっと下ろしたおおかみは、どんなことを 思っていたのでしょう。 ・親切にすると気持ちがいいな。 ・親切ってこんなにいいことなんだ。 ・意地悪するより親切にしたほうが嬉しいな。 ・これからはみんなに優しくしよう。 3 自分の生活を振り返る。 ○これから友達のためにどんな親切をしていきたいですか。 ・けがした友達を保健室に連れて行ってあげる。 ・落し物を一緒に探してあげる。 ・おおかみとくまのお面をかぶり、 児童が役になりきれるようにす る。 ・くまの優しさに触れたおおかみの 心の変化に気付かせる。 ・ワークシートに書かせる。 ・全体での発表の前に、ペアになり 自分の考えを紹介させ、全員に自 分の考えを伝える機会をつくる。 補助発問 おおかみに後ろへそっと下ろされ たうさぎは、どんなことを思って いたのでしょう。 補助発問 前と今のおおかみの気持ちは変わ りましたか。 ・前と今とでのおおかみやうさぎの 表情を比べさせ、変化がわかるよ うにする。 ・親切にすると相手だけでなく自分 も嬉しい気持ちになることを押さ える。 ・思考の助けになるように場面絵を 掲示する。 終 末 4 教師の説話を聞く。 ・親切という行為は、気持ちのよい ものであるということを感じさせ る。 (3)評価 身近な人に親切にしようとする気持ちがもてたか。
(4)板書計画 し ん せ つ や さ し く す る た す け て あ げ る