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Degradation Mechanism of Ethylene-propylene-diene Terpolymer by Ozone in Aqueous Solution Satoshi MIWA 1 *, 2, Takako KIKUCHI 1, 2, Yoshito OHTAKE 1 a

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Academic year: 2021

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1. 緒       言 近年,水中にオゾンを溶解させたオゾン水の利用手法の 開発と実用化に向け,様々な研究が急速に進行,拡大して いる.水中のオゾンは,自己分解反応を生じることで,ヒ ドロキシルラジカル(・ OH)に代表される高い酸化力を 有する活性酸素を生成する1).これらの活性酸素は有機物 の分解力に優れ,反応後は無害な酸素や水へと変化し,ま た残留性も低いため,人体に対する安全性が極めて高い. そのため,オゾン水は有機物除去を目的とした下水,浄水 処理や,環境汚染を誘引する薬剤処理の代替方法など多様 な分野で利用されている2 − 4) エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM) は耐熱性,耐候性や耐オゾン性に優れるゴム材料として広 く用いられている.EPDM の主鎖は飽和炭化水素構造で あるため,天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等の汎用ジ エン系ゴムと比較して酸化されにくい.また,EPDM は 非極性ゴムであり耐水性を有することから,水道用ゴム材 料としての使用頻度も高い.一方で,EPDM 製の水道用 ゴム部品がオゾン水に短期間接触しただけで,べたつき等 の不具合を発生する報告がある5). 筆者らは,カーボンブラック配合の EPDM コンポジッ トをオゾン水中に浸せきし,その安定性を評価した.その 結果,EPDM 表面は数時間の浸せきで一部が崩壊し,粘 着性を帯びることを確認した6).すなわち,気相ではオゾ ンに対して高い耐性を有する EPDM が,水相ではオゾン により損傷を受けやすいという既存の概念とは反した特徴 ( 24 ) 324

研究論文

三元共重合体の劣化機構

三輪 怜史

1 *, 2

・菊地 貴子

1, 2

・大武 義人

1

・田中 敬二

2

Degradation Mechanism of Ethylene-propylene-diene Terpolymer by Ozone in

Aqueous Solution

Satoshi MIWA1*, 2, Takako KIKUCHI1, 2, Yoshito OHTAKE1and Keiji TANAKA2(1Chemicals Evaluation and Research Institute, Japan, 1600, Shimo-takano, Sugito-machi, Kitakatsushika-gun, Saitama 345-0043, Japan; 2 Department of Automotive Science, Graduate School of Integrated Frontier Sciences, Kyushu University 744, Motooka, Nishi-ku, Fukuoka 819-0395, Japan)

* [email protected]

The degradation of ethylene-propylene-diene terpolymer (EPDM) in ozone water has been investigated. The sur-face of EPDM specimen degraded rapidly in ozone water. It showed adherence after ozone water treatment, since the polymer near the surface decomposed. From Fourier transform infrared (FT-IR) spectroscopy, the aggregation struc-ture near the surface of EPDM treated with ozone in aqueous solution was different from that treated with ozone in gas phase. This may be due to that the degradation of EPDM by ozone in aqueous solution was initiated by hydroxyl radical, which was generated by self-decomposition of ozone. Through nuclear magnetic resonance (NMR) spec-troscopy, the detected structures from degraded EPDM after ozone water treatment agreed with the most probable structures, which may be produced by ozone water treatment. It was concluded that the degradation of EPDM pro-ceeded in ozone water, regardless of its good ozone resistance in air, because hydroxyl radical caused the decomposi-tion of EPDM, which was initiated from proton abstracdecomposi-tion from saturated hydrogen carbon linkage of EPDM main chain.

(Received on February 26, 2010) (Accetpted on July 22, 2010)

Key Words: Ozone Water, EPDM, Degradation, Hydroxyl Radical, NMR

1 一般財団法人化学物質評価研究機構

(〒 345-0043 埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野 1600 番地)

2 九州大学大学院統合新領域学府オートモーティブサイエンス専攻

(2)

( 25 ) 325 が現れる.現状では,EPDM の水相と気相におけるオゾ ン劣化の反応機構の差異は明らかにされておらず,今後も 同様な事故が生じる可能性が危ぐされる. そこで,本研究では,水相及び気相においてオゾン劣化 した EPDM の表面凝集状態をフーリエ変換赤外分光(FT-IR)測定に基づき評価することで,水相におけるオゾン 劣化因子を検討する.さらに核磁気共鳴(NMR)測定に より,オゾン水中において劣化した EPDM の構造解析を 行い,EPDM のオゾン水劣化機構を検討することを目的 とする. 2. 実       験 2. 1 試料作製 EPDM は JSR 製 EP22(C2 = 54 wt%,ムーニー粘度 ML1+4(125 ℃)= 27,5-エチリデン-2-ノルボルネン (ENB)含有量= 4.5 wt%)を用いた.EPDM,酸化亜鉛, ステアリン酸,ジクミルペルオキシドをそれぞれ,100,5, 1,2.7 phr の比率で配合し,8 インチオープンロールによ り混練りし,未架橋ゴムを得た.得られた未架橋ゴムを 170 ℃で 19 分間プレス成形し,厚さ 1 mm の架橋ゴムシー トを作製した. 2. 2 劣化処理条件 試験片のオゾン水処理は,Figure 1 に示す装置により浸 せきして行った.オゾン水の温度は 20 ℃に設定し,試験 片には 20 × 20 × 1 mm の平板を用いた.試験片未浸せき 時のオゾン水容器内の溶存オゾン濃度は 5.5 mg/L であっ た.オゾン水処理との劣化差異を検討するため,オゾンガ ス処理を行った.スガ試験機製オゾンウェザーメーター OMS-H により,50 ± 5 ppm,40 ℃のオゾンガス雰囲気下 で上記と同形状の試験片を暴露した. 2. 3 劣化評価 オゾン水およびオゾンガス処理後の試験片はともにイオ ン交換水で洗浄後,24 時間 40 ℃で減圧乾燥させ,劣化評 価に供した. 試験片表面の粘着力は TA インスツルメンツ製 RSA-III により評価した.ステンレス(SUS304)製の直径 4.8 mm 円筒プローブを,試験片表面に対して 1 N の荷重で 30 秒 間接触後,速度 1 mm/min でプローブを上昇させ,試験 片−プローブ間はく離時の応力を粘着力とした.分子量は 標準ポリスチレンを用いてサイズ排除クロマトグラフ (SEC)測定により決定した.カラムは昭和電工製 Shodex KF-806M を 2 本連結して使用し,溶離液にテトラヒドロ フラン(THF)を用いた.送液ポンプは日本分光製 PU-980,示差屈折計は昭和電工製 Shodex RI-101 を用いた. 試験片表面の劣化状態は顕微 FT-IR(バイオ・ラッドラボ ラトリーズ社製 FTS-6000,UMA-500)により,全反射法 (ATR)で分析した.プリズムにはゲルマニウム結晶(入 射角度 30 °)を用いた.オゾン水処理後の EPDM 表面の 劣 化 生 成 物 の 構 造 解 析 は N M R ( 日 本 電 子 株 式 会 社 製 JNM-ECX400)で行った.1H,13C の観測周波数はそれぞ れ 399.78 MHz,100.53 MHz とした.溶液 NMR 測定の試 料は,基準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を含 む重水素化 THF(THF-d8)に溶解させて用い,測定温度 は 40 ℃とした.13C NMR 測定は逆ゲート付きデカップリ ングのパルス系列により,パルス幅 30 °,待ち時間 30 秒, 積算回数 3200 回で行った.Distortionless enhancement by polarization transfer(DEPT)測定は待ち時間 2 秒, 積算回数 3200 回で行った.1H-13C Hetero-nuclear single

quantum correlation(HSQC)測定,1H-1H Double-quan-tum filtered correlation spectroscopy(DQF-COSY)測定,

1H-13C Hetero-nuclear multiple-bond correlation(HMBC)

測定はパルス磁場勾配を使用した.HSQC,HMBC 測定の 1J CHは 140 Hz,また HMBC 測定のnJCHは 8 Hz に設定した. 3. 結 果 と 考 察 3. 1 オゾン水中における EPDM 表面の変化 EPDM 試験片はオゾン水中に浸せき後,徐々に粘着性 を示した.オゾン水処理後の試験片表面を SUS304 製プロ ーブに接触した際のはく離強度より,粘着性を評価した. Figure 2 はオゾン水[I]およびオゾンガス[II]処理し た EPDM 表面の粘着力と処理時間の関係である.オゾン ガス処理した EPDM 表面の粘着力は,実験の時間範囲で 一定であった.この結果は,EPDM が耐オゾン性に優れ る従来の結果とよく一致している7).一方,オゾン水処理 した EPDM 表面の粘着力は処理時間の経過とともに増加 した.本研究で使用した EPDM 試験片には粘着性を有す る添加剤は配合されていないにも関わらず,その表面には 極性溶媒には溶解するが,非極性溶媒には溶解しない粘着 性物質が析出した.また,アセトンにより予め添加剤を抽 出した EPDM 試験片においても,オゾン水処理を行うと 粘着力は増加した.したがって,EPDM 表面の粘着性物 質は,試験片内部からのブリード成分ではなく,オゾン水 中における化学反応により生成したことは明らかである. ozonizer

tank for O3 gas cooling

O3 O3 water treatment tank

O2 glass filter (pore size : 40 μm) flowmeter

O3killer

specimens valve

magnetic stirrer

(3)

EPDM 試験片は架橋されているにも関わらず,表面の粘 着性物質は極性溶媒に可溶であることから,EPDM 表面 近傍の主鎖や架橋部が親水化と同時に切断していると考え られる.そこで,7 日間オゾン水処理した EPDM 表面の粘 着性物質を THF に溶解し SEC 測定を行った.その結果, Table 1 に示すようにオゾン水処理した EPDM 表面の粘着 性物質の分子量は,架橋前の原料ポリマーより著しく低か った.したがって,オゾン水処理により EPDM 表面近傍 に存在する分子鎖の切断が進行することで,低分子量成分 が生成し,この成分が粘着性を発現すると結論できる. 3. 2 水相におけるオゾン劣化因子 気相におけるゴム材料のオゾン劣化は一般的な反応機構 として,主鎖の C = C 結合とオゾンの反応を起点とした Criegee 機構が知られている8).しかしながら,EPDM に 含まれる C = C 結合は ENB のプロペニリデン基のみであ り,主鎖に C = C 結合を有していない.このため Criegee 機構はオゾン水中における EPDM の劣化反応機構として 適当でない.他のオゾン劣化反応として,オゾンが C-H 結 合と反応し,ヒドロペルオキシド基(-OOH)やヒドロト リオキシド基(-OOOH)等を生成後,自動酸化が進行す る機構が知られている9,10).この場合,酸化に伴い分解及 び架橋反応がランダムに進行することから,分子鎖切断も 生じる可能性がある.ただし,オゾンと飽和炭化水素化合 物の直接酸化反応の速度は約 10-2 M-1s-1であり,C = C 結 合への付加反応の速度 1 ∼ 104 M-1s-1と比較し,非常に低 い11).また,オゾンによる直接酸化反応のみで,分子鎖 切断が進行するならば,オゾンガス中においても EPDM 表面の粘着力に変化を生じるべきである.したがって,オ ゾン水中では直接酸化反応以外に,異なる反応経路で EPDM の劣化が進行していると考えられる. 一方,オゾン水中では,オゾン分子だけでなく・ OH も 存在する.・ OH は Table 2 に示すラジカル連鎖反応を素 反応としたオゾンの自己分解反応により生成する12 − 14) この・ OH は C-H 結合の水素を 109∼ 1010 M-1s-1と非常に高 い速度で引き抜く15).そのため,水相におけるオゾン劣 化はオゾン分子の直接的な関与以外に,・ OH が寄与する と考察される.一方,気相ではオゾン分子が直接 EPDM 表面との反応に関与するため,オゾン水およびオゾンガス により劣化した表面の化学構造は異なると予想できる. そこで,FT-IR(ATR)測定により,オゾン水及びオ ゾンガス処理後の EPDM 表面の劣化状態を比較した.表 面の劣化度合が同程度の試験片で比較するため,FT-IR ス ペクトルにおいて試験片の酸化に由来する 1710 cm-1のカ ルボニル基(C = O)と,試験片内部に含まれる 1373 cm-1 のメチル基(-CH3)の吸収強度比が同程度のものを用い た.Figure 3 はオゾン水及びオゾンガス処理後における EPDM 表面の FT-IR スペクトルである.オゾン処理後の EPDM には水相,気相に関係なく 3500 ∼ 3200,1710, 1630,1410 及び 1310 cm-1付近に新たな吸収ピークが検出 ( 26 ) 326 日本ゴム協会誌 三元共重合体の劣化機構 4.0 3.0 2.0 1.0 0 Ta c k s tr e n g th / 10 5 Pa 160 120 80 40 0 Treatment time / h [I] [II]

Figure 2 Relationship between treatment time and tack strength of EPDM surface treated with ozone water [I] and treated with ozone gas [II].

Table 1 Molecular weight of EPDM samples

Sample Mn/104 Mw/Mn

Degradation product of surface 0.17 2.0 Crude polymer * 7.76 3.5Insoluble part of polymer was eliminated by filter.

Table 2 Reaction equations of ozone self-decomposition, according to SBH(Staehelin, Bühler and Hoigné) model

Elementary reactions Reaction rate Reference constants number Initiation O3+OH-→・ O2-+HO2・ 7 × 10 M-1s-1 12 HO2・→← H++ ・ O2- − 12 Propagation O3+ ・ O2-→・ O3-+O2 1.6 × 109M-1s-1 13 ・ O3-+H+→ HO3・ 5.2 × 1010M-1s-1 13 HO3・→・ O3-+H+ 3.3 × 102s-1 13 HO3・→・ OH+O2 1.1 × 105s-1 14 ・ OH+O3→ O3OH ・ 3 × 109M-1s-1 12 O3OH ・→ O2+HO2・ 2.8 × 104s-1 14 Ab so rb a n c e / a .u . 3500 3000 2500 2000 1500 1000 Wavenumber / cm-1 [I] pristine

[II] treated with ozone water [III] treated with ozone gas [IV ] hydrated by 50 % H2SO4

[I] [II] [III] [IV ]

(4)

( 27 ) 327 された.これらはオゾンとの反応により生成した C = O ま たはカルボキシ基(-COOH)の吸収に対応すると考えら れる.オゾン水処理後の EPDM は前述した吸収ピークの 他に 1200 ∼ 1100 cm-1に強い吸収ピークが観測された.ま た,3600 ∼ 3100 cm-1の吸収がブロードであることがオゾ ンガス処理後と異なっていた.これらの吸収ピークはヒド ロキシ基(-OH)に由来すると予想されるが,より確実な 議論にするため,Figure 4 に示す反応に基づき,ENB の C = C 結合部位をヒドロキシ化した EPDM 表面を調製し, その FT-IR 測定を行った.Figure 3 の[IV]がその結果 である.ヒドロキシ化した EPDM 表面からは,3600 ∼ 3100,1200 ∼ 1000 cm-1に吸収ピークが観測された.した がって,オゾン水中ではオゾンガス中に比べ,-OH を生成 しやすいと結論できる.これは,式(1)及び式(2)に基 づき説明できる.・ OH が EPDM 主鎖(R)から水素を引 き抜き,アルキルラジカル(R ・)を生成する.R ・は自 動酸化反応以外に,・ OH と結合することで,-OH が導入 される. RH + ・ OH → R ・ + H2O (1) R ・ + ・ OH → ROH (2) 以上より,オゾンの自己分解により生成した・ OH がオ ゾン水中の EPDM 主鎖と反応することで,劣化が進行し たと結論した. 3. 3 オゾン水中における EPDM 劣化反応機構 上述したように,オゾン水中における EPDM の劣化 は,・ OH と EPDM 主鎖の反応を起点として進行する. そこで,NMR 測定に基づき EPDM 劣化生成物の構造解析 を行うことで,反応位置を明確にし,オゾン水中における EPDM の劣化反応機構を検証した. EPDM 劣化生成物は THF-d8に溶解し測定した.ここで は,試料中の添加剤を除去するため,予めアセトン抽出し た試験片を用いた.同試験片に 7 日間オゾン水中で処理後, 表面に蓄積した劣化生成物を捕集し,測定に供した.

Figure 5 は原料ポリマー[I],及び EPDM 劣化生成物

[II]の13C NMR スペクトルである.EPDM 劣化生成物の 220 ∼ 60 ppm の範囲には,原料ポリマーにないシグナル として,L)209.2 ppm,K)206.8 ppm,J)175 ppm,I) 85.8 ppm,H)71.7 ppm が検出された.これらは EPDM の酸化劣化により出現することが知られており,L), K) はケトン基,J)は-COOH またはエステル基,I)は-OOH の隣接炭素,H)は-OH の隣接炭素に帰属できる16, 17).J) はエステル基由来ならば,64,52 ppm 付近に隣接炭素の シグナルが観測されるが16),EPDM 劣化生成物からは検 出されなかった.このため,J)は-COOH に帰属した. EPDM 劣化生成物,原料ポリマーの13C NMR スペクト ルはともに 50 ∼ 10 ppm の狭い範囲に多数のシグナルが観 測される上,THF-d8のシグナルが 26 ∼ 24 ppm に存在す るシグナルを隠している可能性がある.そこで,EPDM 劣化生成物の 80 ∼ 10 ppm,原料ポリマーの 50 ∼ 10 ppm の範囲のスペクトルを拡大し,同時に DEPT 測定により, THF-d8のシグナルを消去するとともに,炭素の級数を判 定した.Figure 6,7 は原料ポリマー,EPDM 劣化生成物 それぞれの DEPT 測定結果である.Figure 6 中の13C NMR スペクトルの矢印は 1 級炭素,DEPT 90 スペクトル の矢印は 3 級炭素,DEPT 135 スペクトルの矢印は 2 級炭 素である. これらのシグナルは EPDM 劣化生成物におい ても観測された.EPDM 劣化生成物のみで観測されたシ グナルのうち H)が 4 級炭素であり,G)42.9 ppm,F) 34.2 ppm,E)29.9 ppm,B)25.7 ppm,A)24.5 ppm が 2 CH CH3 CH2 CH3 OH 50 % H2SO4 r. t., 168 h 0 0 5 25 75 100 125 150 175 200 δ / ppm 0 2 2 180 140 100 60 100 125 150 [I] [II] THF-d8 L) J) I) H) ENB K)

Figure 4 Hydration reaction of 5-ethylidene-2-norbornene moiety in the main chain.

Figure 5 13C NMR spectra for crude polymer [I] and

degrada-tion product of EPDM treated with ozone water [II].

10 20 30 40 50 δ / ppm 13 C NMR DEPT 90 DEPT 135 THF-d8

(5)

級炭素,D)29.4 ppm,C)27.3 ppm が 1 級炭素であるこ とを確認した.I)は DEPT 135 測定によりシグナルが観 測されないため,4 級炭素の可能性が考えられる.しかし ながら,I)は存在量が少なく,十分な感度が得られてい ない可能性があるため,級数の判別は不可能と判断した. A)∼ G)のシグナルは,劣化により出現したことから, C = O,-COOH,-OOH,-OH に 1 ∼ 3 結合間距離程度の炭 素由来と推察される.したがって,これらのシグナルを帰 属することで,EPDM 主鎖の反応位置を特定することが 可能になると考え,EPDM 劣化生成物の 2D-NMR(HSQC, DQF-COSY,HMBC)測定を行った. Figure 8 は EPDM 劣化生成物の HSQC スペクトルであ る.2 級炭素の G)は g)2.36 ppm 及び b)1.31 ppm,F) は f)2.20 ppm,B)は d)1.57 ppm,A)は c)1.51 ppm に相関シグナルが観測された.E)は 1.29 ppm の1H と相 関している可能性を有するが,13C の 30.4 ppm と1H の 1.29 ppm の相関シグナルが強く,E)と結合する1H シグナル の判別は困難であった.1 級炭素の D)は e)2.02 ppm,C) は a)1.06 ppm に相関シグナルが観測された.ここで得ら れた C-H 直接結合の帰属結果を基に,C-C 直接結合を決定 するため,DQF-COSY 測定を行った.

Figure 9 は EPDM 劣化生成物の DQF-COSY スペクトル である.g)は c)と,また,f)は d)と,それぞれ相関を 示した.この結果より,G)と A),また,F)と B)の炭 素はそれぞれが直接結合であることが判明した. Figure 10 は EPDM 劣化生成物の HMBC スペクトルで ある.H)∼ L)は,a)∼ g)と複数の相関シグナルが観 測された.この結果に,DEPT,HSQC 及び DQF-COSY 測定で得られた C-H 及び C-C 結合の情報を考慮すること で,C = O,-COOH,-OH の位置関係が特定できると考え られる.HMBC スペクトルで観測された相関シグナルと, DEPT,HSQC 及び DQF-COSY 測定で得られた級数及び 相関シグナルとの関係を Table 3 にまとめた.これらを帰 属した結果,EPDM 劣化生成物には Figure 11 に示す各化 学構造が存在することが明らかとなった.これらのケトン, カルボン酸,3 級アルコールは,主鎖の酸化が進行後も安 定構造として残存すると考えられる.他に-OOH も微量検 出されたことから,EPDM の劣化はラジカル連鎖反応的 に進行したことが明らかである. Figure 12 は EPDM 劣化生成物の構造から推察されるオ ゾン水中における EPDM の劣化機構である.・ OH が EPDM の直鎖,分岐部に対し,非選択的に反応し,アル キ ル ラ ジ カ ル を 生 成 す る . そ の ア ル キ ル ラ ジ カ ル は , ・ OH との反応による-OH の生成,あるいは酸素やオゾン との反応により主鎖切断を伴いながら,最終的に酸化され にくいケトン,カルボン酸,3 級アルコールを含む構造を 形成したと考えられる. 4. 結       論 オゾン水中において EPDM 表面に生成した粘着性物質 は,EPDM の分子切断により生成した劣化物であった. オゾン水処理後の EPDM 表面の FT-IR スペクトルからは, オゾンガス処理後よりヒドロキシ基の吸収ピークが強く検 出された.この理由として,水中のオゾン自己分解反応に より発生した・ OH が,EPDM 主鎖から水素を引き抜き, アルキルラジカルを生成後,さらに・ OH が結合したと考 え ら れ た . E P D M 主 鎖 の 反 応 位 置 を 明 確 に す る た め , NMR により劣化生成物の構造解析を行った結果,主鎖に 結合したケトン,カルボン酸,3 級アルコール,ヒドロペ ルオキシドが確認された.これらの結果より,オゾン水中 における EPDM は・ OH と非選択的に反応し生成したア ルキルラジカルを起点に,ヒドロキシ化や主鎖分解を伴う ( 28 ) 328 日本ゴム協会誌 三元共重合体の劣化機構 10 20 30 40 50 60 70 80 90 δ / ppm 13 C NMR DEPT 90 DEPT 135 THF-d8 THF-d 8 A) B) C) D) E) F) G) H) I)

Figure 7 13C and DEPT spectra for degradation product of EPDM

treated with ozone water.

G ) - g ) F ) - f ) D ) - e ) G ) - b ) B ) - d ) A ) - c ) C ) - a ) a ) c ) d ) e ) f ) g ) G ) F ) D ) C ) B ) A ) b ) E ) * T H F -d8 * *

Figure 8 HSQC spectra for degradation product of EPDM treated with ozone water.

(6)

自動酸化反応が進行していると考えられた. オゾン水中の EPDM は,ゴムの一般的なオゾン劣化と は 異 な る 反 応 機 構 に よ り 劣 化 が 進 行 す る . そ の た め , EPDM 以外の他の耐オゾン性を示すポリマーもオゾン水 中では異なる劣化挙動を示すと考えられ,今後オゾン水中 において高分子製品を使用する際には,耐オゾン水性試験 による材料評価が必要不可欠である. ( 29 ) 329 a ) c ) d ) e ) f ) g ) b ) * * T H F -d8

Figure 9 DQF-COSY spectra for degradation product of EPDM treated with ozone water.

L ) - g ) K ) - g ) E ) - g ) A ) - g ) J ) - f ) E ) - f ) B ) - f ) K ) - e ) F ) - d ) G ) - c ) H ) - a ) G ) - a ) I ) L ) a ) c ) e ) g ) f ) K ) J ) I ) H ) G ) E ) B ) b ) F ) A ) H ) - b ) d ) J ) - d ) L ) - c ) E ) - c ) , d ) * * * * T H F -d8

Figure 10 HMBC spectra for degradation product of EPDM treat-ed with ozone water.

H OH OO OOH O O O O OH CH2 O OOH CH3 O OO OH OH OH OH O ex. O2 + OH OH CH2 OH scission ketones ketones ketones acids tert-alcohols ex. O2 tert-alcohols + scission O ketones CH3 +

Figure 12 Predicted degradation reaction mechanism of EPDM in ozone water. C CH2 C CH2 CH3 OH H) C)-a) G)-b) G)-b) CH2 C CH2 CH 2 O G)-g) G)-g) CH2 A)-c) E) CH3 C CH2 CH 2 O G)-g) D)-e) CH2 A)-c) L) K) HO C CH2 CH 2 O F)-f) CH2 B)-d) J) E) CH OOH I) C CH3 OOH I) or E)

Figure 11 Chemical structures in degradation product of EPDM treated with ozone water, which were specified through 1D- and 2D-NMR spectroscopy. 1H DQF-COSY HSQC HMBC δ / ppm δ / ppm 13C δ / ppm 13C δ / ppm 1.06a 27.3C[p] 42.9 G[s] 71.7H[q] 1.31b 42.9G[s] 71.7H)[q] 29.9E[s] 1.51c2.36g24.5A[s] 42.9G[s] 209.2L[q] 29.9E[s] 1.57d2.20f25.7B[s] 34.2Fs] 175J[q] 2.02e 29.4D[p] 206.8K[q] 25.7B[s] 2.20f1.57d34.2F[s] 29.9E[s] 175J[q] 24.5A[s] 2.36g1.51c42.9G[s] 29.9 E[s] 206.8K[q] 209.2L[q]

The Superscripts represent the assignments described in Fig-ure 7 - 10. a)- g)assigned to 1H signals and A)- L)assigned

to 13C signals. Alphabet in square blankets represents the

structure decided by DEPT measurements. p, s and q denote primary, secondary and quaternary, respectively.

Table 3 Chemical shifts in 1H NMR spectrum and correlated

sig-nals in DQF-COSY, HSQC and HMBC spectra for degra-dation product of EPDM treated with ozone water

(7)

( 30 ) 330

日本ゴム協会誌 三元共重合体の劣化機構

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11)Gottaschalk, C. ; Libra, A. J. ; Saupe, A. : “Ozonation of Water and Waste Water”, Wiley-VCH Verlag, Weinheim, p.18(2010) 12)Staehelin, J. ; Hoigné, J. : Environ. Sci. Tech., 16, 676(1982)

13)Staehelin, J. ; Bühler R. E. ; Hoigné, J. : J. Phys. Chem., 88, 5999 (1984)

14)Bühler R. E. ; Staehelin, J. ; Hoigné, J. : J. Phys. Chem., 88, 2560 (1984)

15)Haag, W. R. ; Yao, C. C. D. : Environ. Sci. Tech., 26, 1005(1992) 16)Palmas, P. ; Colsenet, R. ; Lemarié, L. ; Sebban, M. : Polymer, 44,

4889(2003)

17)Cheng, H. N. ; Schilling, F. C. ; Bovey, F. A. : Macromolecules, 9, 363(1976) 日本語表記参考文献 2)宗宮功:オゾンハンドブック,特定非営利活動法人日本オゾン 協会オゾンハンドブック編集委員会編,サンユー書房,横浜,1 章(2004) 3)角田光雄:洗浄技術の展開,シーエムシー出版,東京,p.153 (2007) 5)大武義人:ゴム・プラスチック材料のトラブルと対策,日刊工 業新聞社,東京,p.207(2005) 6)三輪怜史,近藤寛朗,隠塚裕之,大武義人:日本ゴム協会誌, 81,14(2008) 7)渡辺茂隆:ゴム工業便覧(第 4 版),日本ゴム協会編,日本ゴム 協会,東京,p.307(1994) * * * * *

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ゴ ム 工 業 便 覧

(第四版)

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(1994.1 発行)

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Figure 2 Relationship  between  treatment  time  and  tack  strength of  EPDM  surface  treated  with  ozone  water  [I] and treated with ozone gas [II]
Figure 4 Hydration  reaction  of  5-ethylidene-2-norbornene moiety in the main chain.
Figure  9 は EPDM 劣化生成物の DQF-COSY スペクトル である.g)は c)と,また,f)はd)と,それぞれ相関を 示した.この結果より,G)と A),また,F)と B)の炭 素はそれぞれが直接結合であることが判明した. Figure  10 は EPDM 劣化生成物の HMBC スペクトルで ある.H)〜 L)は,a)〜g)と複数の相関シグナルが観 測された.この結果に,DEPT,HSQC 及び DQF-COSY 測定で得られた C-H 及び C-C 結合の情報を考慮すること で,C
Figure 9 DQF-COSY  spectra  for  degradation  product  of  EPDM treated with ozone water

参照

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