4 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 要旨 日韓学術交流協定締結記念講演では,私の研究グループが,1990 年代中頃から始めた,韓国経済学教育 学会や韓国開発研究院の主要なメンバーとの人的・学術的交流を,年代順に,次の 3 つに分けて報告した。 (1)「韓国でのセミナー開催・学会参加」では,1995 年 2 月に韓国ソウルで開催された「韓日経済教育セミ ナー」に始まり,2008 年 8 月の「韓国経済学教育学会夏季会議」までの 5 回の合同会議に関して話した。 (2) 番目の「日本での経済教育学会・全国大会での報告」では,1999 年 11 月に韓国経済学教育学会の会長 (金容子・淑明女子大学教授)が本学会の全国大会で行った記念講演に始まる両学会の学術交流や,同年の 全国大会から 2011 年 10 月まで設置された分科会(「アジア太平洋地域の経済教育」)での韓国側報告に関し て報告した。最後の 3 番目として,(3)「米国(NCEE,CEE)での合同報告」では,2003 年(ニューオリ ンズ),2008 年(バイロキシ),2010 年(マイアミ)に開催され年次総会での韓国側との合同分科会に関し て,その経緯を解説した。本経済教育学会と韓国経済学教育学会は,学術交流協定を2017年8月に結んだが, 本報告では,その前史として,それ以前の時期での両学会間の人的・学術的交流に関して話をした。 キーワード:韓国経済学教育学会,日本経済教育学会,韓国開発研究院,経済教育協議会(CEE),経済 教育研究協会 本経済教育学会(以下,日本学会:1981 年発足) は,韓国経済学教育学会(以下,韓国学会:1994 年 発足)と学術交流協定を2017年8月に結んだが,本記 念講演では,私の研究グループが,1990 年代中頃か ら始めた,韓国学会やその主要なメンバーとの人的・ 学術的交流を,年代順に,次の 3 つ【(1)韓国でのセ ミナー開催・学会参加,(2)日本での経済教育学会・ 全国大会での報告,(3)米国(NCEE,CEE)での合 同報告】に分けて報告する。 第 1 番目の「韓国でのセミナー開催・学会参加」で あるが,私が参加したのは,下記の 5 つである。ここ では,韓国学会の他に,韓国開発研究院とも協力関係 があった。 1995 年 3 月 27 日:韓日経済教育セミナー(ソウル 商工会議所,ソウル)【10 名】(会長:金乗柱教 授) 999 年 10 月 30 日:韓日経済教育セミナー(淑明 女子大学,ソウル)【淺野,赤峰,山岡】(会長: 金容子教授) 2003 年 11 月 14 日~ 15 日:「市場機構と経済教育の 役割に関する第 1 回国際会議」(漢陽大学,ソウ ル)【山岡】(会長:金在源教授) 2004 年 3 月 27 日:韓日経済教育セミナー(漢陽大 学,ソウル)【9 名】(会長:金在源教授) 008 年 8 月 28 日:韓国学会夏季会議(慶尚大学, 晋州)【8 名】(会長:文承来教授) まず 1995 年 3 月にソウルで開催された第 1 回目の日 韓経済教育セミナーであるが,日本からの参加者は 10 名がおり,高校段階での経済教育を研究していた 経済教育研究協会(経済同友会の外郭団体)のメン
交流協定締結記念講演
日韓経済教育学会交流前史
The Journal of Economic Education No.38, September, 2019Historical review on academic cooperation between Korea Economic Education Association and Japan Society for Economic Education
YAMAOKA, Michio
経済教育38号 5 バー 8 名(山根,新井,栗原,蔵方,野田,保立,増 田,山岡)と,大学段階での経済教育を研究していた 早稲田大学教育学部付属教育総合研究室のプロジェク ト(学内公募の 2 年間プロジェクト:経済教育に関す る教材研究)の 3 名(岡山,淺野,山岡)が参加した。 前者の経済教育研究協会という組織は,米国で経済教 育を推進している CEE(Council for Economic Educa-tion,2009 年から:旧名 NCEE;National Council on Economic Education,1993 年から: 旧名 JCEE; Joint Council on Economic Education,1949 年)と提携関 係があった。次に,第2回目の1999年に開催されたセ ミナーでは,日本学会の会長(1998 年 11 月~ 1999 年 11 月)として私が参加し,両学会の合同セミナー(経 済学教育学会関東地域研究例会ソウル研究集会)とし て,当時,韓国学会の会長であった金容子教授の所属 大学である淑明女子大学で開催された。第 3 回目の 2003 年の国際会議には,当時,韓国学会の会長で あった漢陽大学の金在源教授の主催で開催され,日本 からは私 1 人が参加し,「市場機構と経済教育の役割」 がテーマの国際会議であった。第4回目の2004年の韓 日経済教育セミナーは漢陽大学で開催され,日本から 9 名(佐藤,保立,久保寺,樋口,山田,真野,阿部, 淺野,山岡)が参加した。第 5 回目の 2008 年 8 月の合 同会議には,日本から 8 名(淺野,樋口,山根,久保 寺,保立,猪瀬,栗原,山岡)が参加して,金景模教 授の主催で,国立慶尚学校師範大学で開催された。 次に,第 2 番目の活動分野である「日本での経済教 育学会・全国大会での報告」であるが,韓国学会との 学術交流は,1999 年に富山大学で開催された第 15 回 全国大会での,当時の韓国学会の会長であった金容 子・淑明女子大学教授の記念講演から始まった。それ は,その 1 ヵ月前(1999 年 10 月 30 日)に,ソウルで の淑明女子大学で,金教授の主催で日韓合同セミナ- を開催した直後であったからである。その後は,「ア ジア太平洋地域の経済教育」という分科会を淺野忠克 先生と共同で開設し,1999 年から 2011 年まで,英語 と日本語の二言語を用いて開催した(参考資料参照)。 当初は NIRA(総合研究開発機構)に滞在しており, 日本語が堪能であった韓国開発研究院の金振榮先生を 中心として交流が始まり,また同様に日本語が堪能で あった東京韓国学校の姜泰権先生や,その後は,韓国 学会のメンバーである金景模教授や,大邱教育大学の 金商奎教授が加わった。 1999 年 11 月 13 日(土)第 15 回全国大会(富山大 学),記念講演「IMF 不況下の韓国における経済 学教育の課題」(金容子:淑明女子大学校,韓国 学会会長) 最後の,第 3 番目の活動分野は,「米国(NCEE, CEE)での合同報告」であるが,CEE の年次総会 (Annual Meeting or Annual Conference)には,私は,
1993 年から 2011 年までの 19 年間において,1995 年を 除き 18 年間にわたり参加し,最初(1993 年)と最後 (2011 年)の 2 回を除き,学会報告を個別か研究仲間 と共同で実施した。この間の 2004 年,2008 年,2010 年の 3 回の年次総会では,下記のように,韓国開発研 究院や韓国学会のメンバーと合同で分科会を設置して, 共同報告を行った。
2003 年(ニューオリンズ)「Test of Economic Lit-eracy in Korea」
Seongpyo Lee, Korea Development Institute(李 成杓)
Jungho Yoo, Korea Development Institute(兪正 鎬)
2008 年(バイロキシ)「An International Compari-son of TUCE-4 Results: New Zealand, Japan, South Korea and the United States」
Sang-Kyu Kim, Daegu National University of Ed-ucation(金商奎)
Kyung-mo Kim, Gyeungsang National University (金景模)
Kyung-dong Hahn, Hankuk University of Foreign Studies(韓暻東)
Kyung-ho Jang, Inha University(張景皓) 2010 年( マ イ ア ミ )「The Result of Test of
Eco-nomic Knowledge 2 in Korea」
Kyungdong Hahn, Hankuk University of Foreign Studies(韓暻東)
Kyungmo Kim, Gyeungsang National University (金景模)
Kyungho Jang, Inha University(張景皓) これ以外の交流では,早稲田大学で開催した 2 回の 経済教育に関する国際会議(2004 年 8 月と 2009 年 8 月)に,韓国代表として,第 1 回目は,韓国開発研究
6 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 院の 2 名(李成杓:韓国 KDI 経済情報センター主任研 究員と,兪正鎬:韓国 KDI 経済情報センター所長) を,また第 2 回目は,韓国学会の 2 名(金景模:慶尚 大学教授と,張景皓:仁荷大学准教授)を招聘した。 また,2011 年度に,在外研究で早稲田大学に滞在し ていた金景模教授と韓暻東・韓国外国語大学教授は, 「中国とアメリカの経済教育」というテーマで,2011 年3月12日(東日本大震災の翌日)に早稲田大学で開 催された国際シンポジウムに参加した。 なお,韓国学会の機関誌である『経済学教育研究』 の創刊号(1996 年 2 月発行)には,山根栄次先生・新 井明先生の各論文と共に,拙論(「日本の大学生の 『経済学理解力テスト』の結果」)も,韓国語に翻訳さ れて掲載されている。これは,1995 年 3 月にソウルで 開催された第 1 回目の日韓合同セミナーでの報告を取 りまとめたものである。 このように,約 20 年間にわたって,韓国学会や韓 国開発研究院との学術交流を続けて来たが,今後は, 両学会同士で,裴光雄教授(現日本学会会長)を仲立 ちとして,学術交流を深めて行くことを願っている。 参考資料: 経済教育学会の分科会(「アジア太平洋 地域の経済教育」)での報告一覧 1999 年 11 月 14 日(日)第 15 回全国大会(富山大学) 分科会 2-B「アジア太平洋地域の経済学教育」 (2) 「韓国の経済教育:教科書分析を中心に」(金 振榮:韓国開発研究院経済情報センター, NIRA) 2000 年 11 月 26 日(日)第 16 回全国大会(松山大学) 第 4 分科会「アジア太平洋地域の経済学教育」 (2)「韓国での経済学教育」(姜泰権:東京韓国学 校),金振栄(韓国開発研究院) 2003 年 11 月 9 日(日)第 19 回全国大会(中京大学) 分科会 B-1「アジア太平洋地域の経済学教育」 (3)「韓国における中・高校生の経済意識の調査 結果の分析」(金在源:漢陽大学,韓国学会 会長) 20 07 年 11 月 26 日(日)第 23 回全国大会(福岡教育 大学) 第 1 会場「アジア太平洋地域の経済学教育」 (1)「韓国の高校における経済教育現況」(姜泰 権:韓国・盤如高校) (2)「大学の経済教育と学生の経済理解力:韓国 の大学生の経済理解力テストの結果を中心と して」(金商奎:大邱教育大学校),(金景 模:国立慶尚大学校師範大学) 2009 年 9 月 27 日(日)第 25 回全国大会(関西大学) 第 1 分科会「アジア太平洋地域の経済教育」 (1)「A Study on the Korean Economics
Accredi-tation Test」(文承來:順天郷大学),(金景 模:国立慶尚大学),(張景皓:仁荷大学) (2)「Teaching Economics with Korean
Tradi-tional Proverbs」(金商奎:国立大邱教育大 学),
(3)「A Comparative Study on Economic Educa-tion between Korea and Japan:Focusing on Institutional Approach」金振栄(韓国開発 研究院)
2010 年 9 月 26 日(日)第 26 回全国大会(京都橘大学) 第 4 分科会「アジア・太平洋地域の経済教育」 (3)「Economic Education Using Children’s
Lit-erature」(Kim Sangkyu:国立大邱教育大学 校) 20 11 年 10 月 2 日(日)第 27 回全国大会(椙山女学園 大学) 第 7 分科会「諸外国の経済・金融教育」 (4)「韓国の学校における金融教育の現況と課題」 (金景模:国立慶尚大学),(朴英錫:京仁教 育大学)
(5)「A Study on Financial Literacy Trial Test for Korean High School Students」( 文 承 來:順天郷大学),(Chun Qsyng:韓国開発 研究院)
付記:紙幅の関係で,記念講演の当日に配布した関連 資料等を掲載できなかった。後日,機会を見つけて, 完全版を他の研究雑誌に掲載する予定である。