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男女必修時代の高等学校家庭科における消費者教育

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Academic year: 2021

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要旨  学校教育における消費者教育は半世紀近い歴史を持つが,20 年前から実施された高等学校家庭科の男 女共修(必修)により,その中心教科は社会科・公民科から家庭科へ移行した。家庭科は,従来の被服, 食物中心の教科から消費者教育や環境教育などを含んだ広領域の教科としてその充実を図ってきた。しか し,その授業内容を見ると優れた授業実践も多いが,2 単位の「家庭基礎」を選択する学校が大半を占め ると,授業時間の少なさもあり,生徒に知識を注入し暗記させる授業が多くなり,消費者教育推進法にい う「自立した消費者」を育成できるか心もとない。家庭科と公民科など教科間の連携,総合的な学習の時 間の活用など各学校での主体的な工夫が期待される。 キーワード:消費者教育,男女必修,家庭科,学習指導要領,教科書

Ⅰ.はじめに

 戦後 70 年が経過し,戦後の民主的な家庭建設のた め「家事」「裁縫」に代わり新設された家庭科である が,高等学校においては女子のみ必修から男女必修と なり 20 年以上が経過した。カリキュラム上は定着し てきたが,いくつか課題も見えてきた。一方,「家庭 科を学んでよかったか」の問いに「そう思う」47.8%, 「やや思う」43.4% とほとんどの生徒は学んでよかった としている1)。また,「将来生きていく上で重要な教 科」として「とても重要だ」「重要だ」を合わせると, 国語 87%,外国語 85%,公民 78%,そして家庭 77% と 上位を占めた2)。ここでは,男女必修となり一層充実 してきた家庭科における消費者教育について,学習指 導要領及び教科書,授業実践事例等を基に報告する。

Ⅱ.学校教育における消費者教育

 学校教育に消費者教育が本格的に取り入れられたの は,1970 年告示の高等学校学習指導要領以降である。 68 年制定の消費者保護基本法第 12 条で「国は,(略) 消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ず る」とされ,家庭科及び社会科における消費者教育の 充実が図られた。72 年には消費者運動のバイブルと なった『消費者の権利』(正田彬著 岩波新書)が出 版された。  消費者教育が想定する教育内容について,西村隆男 は表 1 のように五つを挙げている3) さらに続けて「人間の一生は消費者であり続けるの であり,生涯において独立した市民・消費者の意識形 成が行われる必要があろう。こうした意識形成が発達 段階にある学校教育の時期に行われることは,効果的 であり意味のあるものであることは言うまでもない」 とし,学校教育における消費者教育の重要性を指摘し ている。  家庭科教育の立場からは,消費者教育の学習内容は 表 2 のようにまとめられる。消費者教育の領域として, 消費生活(家庭生活)に関する内容,経済・社会に関 する内容,消費者の権利・責任に関する内容の 3 つの 領域が挙げられ,この 3 つの領域の有機的関連が把握 できるように学習されなければならず,これらの知識 を実践力に高めるのが 4 つ目の意思決定の領域である とされる4)

男女必修時代の高等学校家庭

科における消費者教育

―公民科との関連―

The Journal of Economic Education No.35, September, 2016

Consumer Education in High School Home Economics Required for both Male and Female Students: Its Relevance to Civics

Ohta, Masayuki

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 今世紀に入り,2004 年消費者保護基本法が消費者 基本法に改正され,その第 17 条で「国は,消費者の 自立を支援するため,学校,地域,家庭,職域その他 の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する 等必要な施策を講ずる」とされた。さらに 2012 年に 消費者教育推進法が制定され,消費者教育の機会が提 供されることを自立する消費者の権利とし,消費者教 育に関する基本理念や国や地方公共団体の責務を明ら かにし,消費者教育を総合的,一体的に推進すること が規定された。なお,この法律で消費者教育は「消費 者の自立を支援するために行われる消費生活に関する 教育(消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画 することの重要性について理解及び関心を深めるため の教育を含む)及びこれに準ずる啓発活動」(第 2 条) と定義された。

Ⅲ.学習指導要領の変遷

 家庭科の目標は,衣生活(被服),食生活(食物), 住生活(住居),保育,家庭経営など家庭生活に関す る知識と技術の習得及び「消費者としての立場と責 任」(1956 年版,60 年版,70 年版)を理解させること とされてきた。1994 年から男女必修となり,99 年版 及び 09 年版では「男女が協力して」「家族・家庭の意 義,家族・家庭と社会との関わりについて理解させ る」とされた。学習内容を見ると,男女必修となった 1989 年版「家庭一般」では大項目「(2)家庭経済と 消費」が新設,99 年版「家庭基礎」では「(3)消費 生活と環境」の「ア家庭の経済と消費」,09 年版では 「(2)生活の自立及び消費と環境」の「エ消費生活と 生涯を見通した経済の計画」で環境教育とともに消費 者教育が行われている。また,消費者の権利と責任に 関する内容を充実させ,環境保全に配慮した消費行動 がとれるようにするため,20 科目ある専門科目の 1 つ として「消費生活」が設置された。この科目は,消費 生活アドバイザーや消費生活相談員等の資格や職業に 関心をもたせる科目でもある。

Ⅳ.教科書の検討・分析

 男女必修時代には,従来の衣食住保育中心でなく家 庭・家族関係や環境教育,消費者教育などにも重点を 置いた教科書が登場した。当初は「家庭一般」(4 単 位)を履修していたが,99年版・09年版では4単位の 「家庭総合」より 2 単位の「家庭基礎」を履修する学 校が圧倒的に増え,家庭科を 2 単位しか学ばない生徒 表 1 消費者教育の内容 ①生き方教育 (人間形成,人間開発の教育) 教育の目的である人格の陶冶に連なる消費者教育の人間教育としての側面 ②権利義務意識を身につける 主権者教育 消費者の権利に目覚め,被害にあったときに救済を求めるなどの行動がとれる力を養い,自らの行動によって社会が前進すると考える主権者意識を喚起させる側面 ③市民意識形成の教育 (シティズンシップ) 長く行政依存,他人依存で自立した市民になり得ていなかった日本人の自己責任意識を育てる側面 ④経済教育(市場における意 思決定,バイマンシップ) 賢い選択をする合理的行動は経済社会のありようを決定するという意識を育てる側面 ⑤消費者意識形成の教育 (消費者問題意識の高揚) 消費者問題を現代社会の構造的問題と捉え,経済的不正義に対して正当な主張のできる消費者を育てる側面 表 2 学校における消費者教育の内容 領域 学習項目 経済・社会 経済の仕組み,流通の仕組み,キャッシュレス,さまざまな販売方法,さまざまな店舗,消費者信用,マ ーケティング,CM,今後の生産活動・企業の方向,契約,資源問題,環境問題,社会福祉 消費生活 (家庭生活)衣・食・住・保育・家族・家庭経営に関する基礎的知識・技術,生活観,ライフスタイル,生活設計,金銭管理,表示,購入心理,流行の心理 消費者の権 利・責任 消費者の権利・責任(義務)(内容,歴史)消費者主権,消費者保護(理念,法,行政) 消費者相談と行政の組織,消費者問題(歴史,現状) 消費者運動 意思決定 購入行動心理,日本人の心理,流行の心理, 意思決定の過程,意思決定の評価 共同・連帯行動の実際例

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が大多数になった。「家庭基礎」の教科書の頁配分は, 衣・食・住及び保育が 6 割,消費者・環境教育を含む 経済生活は 1 〜 2 割である。ただし,衣食住に関する 学習でも,被服や食品(外食),住居の選択と購入, 廃棄とリサイクルなど消費者教育の視点で扱われる内 容もある。なお,消費者教育に割ける授業時間は数時 間程度と思われる。教科書に記述される用語を集計す ると表 3 のようになる。「家庭基礎」の用語は公民科 に比べ多いことが分かる。また,意思決定プロセスや クーリングオフ通知,悪質商法の種類,クレジット カードの仕組み,消費者の 8 つの権利と 5 つの責任, 消費者相談窓口の連絡先などはほとんどの教科書で取 り上げられている。  また,公民科「政治・経済」の消費者問題に関する 近年の大学入試センター試験問題(資料 1)だが,法 律名や人名などの知識を問う問題がほとんどである。 そのためか,教科書には漏れがないよう多くの用語が 掲載されており,生徒はその背景など考えず用語を暗 記し,授業で教師は一方的に用語を解説することにな る。これでは,消費者教育推進法でいう消費者の「自 立」には到底結びつかない。 【資料 1】大学入試センター試験に出題された消費者 問題 1 消費者を保護するための日本の法制度についての 記述として最も適当なものを,次の①〜④のうちから 一つ選べ。(2009 年「政治・経済」本試験) ①特定商取引法は,欠陥商品が消費者に販売された 場合には,過失がなくても賠償責任を販売者に負 わせる法律である。 ②新食糧法は,食品の原材料名である賞味期限につ いて,一定の基準に従った表示を製造業者に義務 づける法律である。 ③製造物責任法(PL 法)は,製造物を廃棄する際 の処理方法および処理責任者を定めた法律である。 ④消費者契約法は,消費者の利益を不当に害する条 項を無効とすることなどによって,消費者の利益 を擁護することを目的とした法律である。 2 消費者に関連する日本の法律についての記述とし て最も適当なものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。 (2010 年「政治・経済」本試験) ①訪問販売法は,通信販売や電話勧誘販売をめぐる トラブルを背景として,特定商取引法に改正され た。 ②食糧管理法は,BSE(牛海綿状脳症)や残留農薬 による食に対する不安を背景として,食品安全基 本法に改正された。 ③消費者契約法によって,不当な契約で被害を受け た消費者を保護するために国民生活センターが設 立されている。 ④サラ金規制法(貸金業の規制等に関する法律)の 改正によって,グレーゾーン金利が認められてい る。 3 欠陥商品の被害者救済は消費者保護政策の一環で あり,この政策展開の出発点となったのは,アメリカ のケネディ大統領が提唱した「消費者の四つの権利」 である。この権利のうち一つは「知らされる権利」で あり,次のA〜Cは,その他の三つの権利の内容を説 明したものである。下のア〜ウは,これら三つの権利 を保護,または侵害する例である。A 〜 C とア〜ウと の組合せとして最も適当なものを,下の①〜⑥のうち から一つ選べ。(2013 年「政治・経済」本試験) A 生命や健康にとって危険な製品の販売から保護さ れる,という「安全を求める権利」 B 政府の政策立案において,消費者の利益が十分に 考慮され,行政手続においては,公正で迅速な行政 上の対応が保障される,という「意見を聞いてもら う権利」 C できる限り多様な製品やサービスを,競争価格で 入手できるよう保障されるという「選択できる権 利」 ア欠陥車に関する自動車のリコール制度 イ食品健康影響評価に関するパブリック・コメント ウ同一産業内の企業によるカルテル ① A―ア B―イ C―ウ ② A―ア B―ウ C―イ  ③ A―イ B―ア C―ウ ④ A―イ B―ウ C―ア ⑤ A―ウ B -ア C―イ  ⑥ A―ウ B―イ C―ア

Ⅴ.家庭科における消費者教育の授業実践

 消費者教育推進法にあるように,消費者として自立 し,消費者市民社会に主体的に参画し,消費者の権利 を実現することを目指して様々な授業実践が行われて いる。高等学校における消費者教育の実施内容として, 悪質商法とクーリングオフ,信用取引やクレジット カード,消費者の権利と責務,ゴミ問題やリサイクル は 8 〜 9 割,表示やマーク,製造物責任法,環境を考 えた消費などが 7 割を越えている。また,指導方法と して,講義式(板書授業)が 9 割を越えているが,こ

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表3 「家庭」「公民」現行教科書の消費者関連用語一覧 科目名 家庭基礎 家庭基礎 家庭基礎 家庭総合 中学家庭 現代社会 政治 ・ 経済 出版社 東書 実教 教図 東書 東書 東書 実教 消費行動 〇 〇 〇 消費者市民 〇 意思決定プロセス 〇 〇 〇 〇 〇 無店舗販売 〇 〇 〇 電子商取引 〇 〇 ネットショピング 〇 〇 〇 〇 契約 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 クーリングオフ 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者契約法 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 特定商取引法 〇 〇 〇 〇 消費者信用 〇 〇 〇 販売信用 〇 〇 〇 〇 電子マネー 〇 〇 〇 〇 クレジットカード 〇 〇 〇 〇 〇 プリペイドカード 〇 〇 〇 〇 デビットカード 〇 〇 〇 消費者金融 〇 〇 〇 〇 リボルビング払い 〇 〇 〇 多重債務 〇 〇 〇 〇 〇 自己破産 〇 〇 〇 〇 〇 消費者問題 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者の権利 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 悪質商法 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費生活センター 〇 〇 〇 〇 〇 〇 製造物責任法 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者行政 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者庁 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 国民生活センター 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者保護基本法 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者基本法 〇 〇 〇 〇 〇 〇 消費者委員会 〇 〇 消費者運動 〇 〇 ADR 〇 〇 〇 消費者団体訴訟 〇 〇 〇 特定継続的役務提供 〇 〇 〇 〇 連鎖販売取引 〇 〇 〇 〇 〇

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れでは生徒の関心は低い。事例活用 8 割弱,実験・実 習 3 割となっている。シミュレーションやゲーム, ロールプレイ,見学・調査活動,ディベートは 1 割前 後と少数である5)。なお,学校の消費者教育で取り上 げてほしいテーマとして,「消費者トラブル(契約, 解約,偽装表示,安全性など)への対処方法」が 6 割, 「苦情の相談・処理機関の役割や利用方法の紹介」, 「消費者関連法・制度の紹介・解説」,「経済・社会・ 環境へ良い影響を与える商品・サービス(地産地消, フェアートレード,エコマークなど)」が 3 割を越え ている6) 【資料 2】高等学校家庭科における消費者教育授業実践例 ☆「キャッシュレス社会における購入―カード」7) 1 単元目標 ①キャッシュカードやプリペイドカードなど,現金に代わるカードについてその複雑な仕組みと種類を知る。 ②キャッシュレス社会の背景を知る。 ③キャッシュレス社会における消費者の主体的な対応とは何かを考える。 2 指導過程(2 〜 4 時間) ☆「自動車ローンの返済を伴う経済生活の設計」8) 1 単元の目標 ①現代社会において急速に発達している消費者信用,具体的にはローンやクレジット等の仕組みを理解させ, それらが将来の収入をあてにした借金であることを自覚させる。 ②ローンを利用した自動車購入を通して,その返済額と生活費の在り方を体験的に学習させ,生活に支障をき たさないローンの返済及び高額な耐久消費財の計画的な購入について考えさせる。 ③将来の経済生活について検討させ,生活に関する自主性,計画性,及び実践力を身に付けさせる。 2 単元計画「家庭経済と消費」 ①家庭の経済生活(1 時間) ②家庭の経済計画(2 時間) ③生活診断と家計の管理(3 時間) ③ -1 支出設計の必要(1 時間) ③ -2 自動車ローンの返済を伴う経済生活の設計(1 時間 本時) ③ -3 家計管理と生活設計(1 時間) 3 授業展開 学習過程 学習内容 学習活動 現状把握 情報の提示 (1)いろいろなカードを見せる。プリペイドカード,キャッシュカード,クレジットカー ド,商店カードなど 基礎知識 の習得 カードとは (2)カードに関する種々の設問をする。使ったことがあるか,どんな場合に使ったか,カードはどのくらい持っているか,なぜ持っているか,どんな時に便利かなど。 課題の意識化 (3)プリペイドカード,キャッシュカード,クレジットカードの仕組みの説明(構造につ いて詳しく説明する) カードのトラブ ル (4)クレジットによる購入のトラブルの事例についてどうするか考える。多額の金額になってしまった。落としてしまった。商品を購入していないのに支払い請求を受けた。数回 使用しただけで壊れたのに支払いがまだ残っている。 意思決定 問題への対応 (5)どうしたらよいか (6)消費者保護の現状,消費者の責任等について理解する。 消費者のカード利用の利点と問題点,販売業者のカード発行の意図。 キャッシュレス 社会 (7)キャッシュレスな私たちの生活についてどうあるべきか考えを発表する。

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Ⅵ.公民科との関連

 消費者教育を担う教科として,家庭科とともに社会 科・公民科が大きな役割を果たしてきた。家庭科にお ける消費者教育が拡充されるに従い,公民科ではその 比率を低下させてきた。09 年版学習指導要領では, 本文に消費者問題はなく「内容の取扱い」に記述され るのみで,教科書でも 2 ページ程度となっている。教 科間の連携が望まれるが,時間不足などからほとんど 行われていない。  なお,家庭科教員の消費者教育に対する関心は,社 会科(地理歴史・公民科)教員より高く,消費者教育 の実施状況では家庭科 9 割に対し,社会科は 4 割と なっている。年間実施時間数(平均)では,家庭科 5.6 時間,社会科 2.1 時間となっている。これでも十分 な授業時数は確保できていない。次に,消費者教育で 扱っている学習内容について,カテゴリー別のキー ワードの順位を家庭科と社会科で比較したものが表 4 である。家庭科,社会科ともに消費者トラブルや経 済・金融,消費生活・環境が重視されている。社会科 としては法律が,家庭科としてはトラブル解決機関が 次に重視されている。これは,家庭科と社会科の教科 目標・内容の違いなどによるものである9)  また,消費行動や契約の主体としての生き方を学ぶ 新科目「公共」(仮称)では,家庭科や情報科など関 係教科・科目等とも連携することが想定されている。 なお,商業科「経済活動と法」でも消費者保護が扱わ れている。 指導事項 指導上の留意点 (0)本時の目標の確認 (0)多重債務者や自己破産が増加している現実を新聞記事などを使って知らせる。 (1)購入希望の車の選択 (1)自動車の DB より各自の意向に沿った自動車を検索抽出させ,実際に購入するにはどの くらい費用が必要か把握させる。 (2)ローンを利用した自 動車の購入計画 (2)ローンの仕組みについて理解させる。自動車の DB を選択した車の購入計画にローンを使用した場合を想定させ,ローンの返済額を計算させる。返済方法は元利均等返還方法を用 い,借入額・利率・返済期間に応じてそれぞれ返済額を算出させる。毎月均等払い及びボー ナス併用払いの違いについても理解させる。 (3)自動車ローンの返済 を伴う経済生活設計 (3)高卒後の収入について高卒公務員行政職の例を基に認識させる。男女別に総務庁統計局「全国消費実態調査報告」の 30 歳未満の単身世帯の消費支出及びそれらの構成比を示し生活 費の実態を把握させる。また,その構成比に従って,高卒公務員の手取額を各消費支出に配 分したものに示し,実際の生活について考えさせる。  次にローンの返済を伴う場合の生活費について考えさせる。すでに計算した毎月均等払い の時の返済額を高卒公務員の手取額から差し引き,その残高を構成比に従って配分させ,各 費目について検討させる。ボーナス併用の場合について同様に検討させる。配分させた生活 費で実際の生活が可能かどうかを検討させ,生活に無理のないローン返済計画について考え させる。 (4)本時のまとめ (4)計画的な消費生活の重要性を理解させる。計画的な消費生活を送るためには健全な家計 運営が大切であることを自覚させ,家計簿記帳の大切さを知らせる。 表 4 高等学校家庭科・社会科(公民科)における消費者教育での学習内容 カテゴリー 家庭科 社会科(公民科) 消費生活(衣食住)・環境 ①品質表示・マーク ②消費者の権利と責任 ③商品選択 ①消費者の権利と責任 ②資源・エネルギー ③グリーンコンシューマー 経済・金融 ①クレジットカード ②多重債務 ③ローン ①クレジットカード ②多重債務 ③ローン 消費者トラブル ①悪質商法 ②クーリングオフ ③契約 ①クーリングオフ ②悪質商法 ③ネットトラブル 情報 ①個人情報保護 ②ネット販売 ③情報モラル ①メディアリテラシー ②知的財産権 ③個人情報保護 法律 ①消費者基本法 ②消費者契約法 ③製造物責任法 ①製造物責任法 ②消費者基本法 ③消費者契約法 トラブル解決に関わる機関 ①消費生活センター ②消費者庁 ③裁判所 ①消費生活センター ②消費者庁 ③裁判所

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註 1) 日本家庭科教育学会「高等学校家庭科男女必修の成果と 課題」(2007 年 6 月)各地区国公立高等学校 45 校 1863 名 (男子 729 名,女子 1111 名 不明 23 名) 2) 国立教育政策研究所「理系文系進路選択にかかわる意識 調査」(2012 年 10 月)高等学校 3 年生 33127 名 3) 西 村 隆 男『 日 本 の 消 費 者 教 育 』 有 斐 閣,1999 年, pp.89-90. 4) 武藤八恵子・松岡博厚・鶴田敦子『消費者教育を導入し た家庭科の授業』家政教育社,1992 年,pp.20-21. 5) 内閣府国民生活局消費者企画課「学校における消費者教 育の実態調査」『国民生活』第 31 巻,第 10 号,2001 年. 6) 内閣府「消費者行政推進に関する世論調査」2014 年. 7) 武藤八恵子・松岡博厚・鶴田敦子『消費者教育を導入し た家庭科の授業』家政教育社,1992 年,pp.269-283. 8) 『 家 庭 科 教 育 』 第 68 巻,9 号, 家 政 教 育 社,1994 年, pp.167-175.高知県立安芸高等学校教諭 濱田久美子氏の 授業実践 9) 大本久美子・鈴木真由子「高等学校における消費者教育 の現状と課題―家庭科及び社会科教員への質問紙調査を もとに―」『大阪教育大学紀要 第Ⅴ部門』第 61 巻,第 2 号,2013 年,pp.73-78.

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